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Ceratonurus sp.
オクラホマの有名産地、ハラガン (Haragan) 累層のケラトヌルスの一種 (Ceratonurus sp.) です。本標本はBob Caroll氏の作品です。コレクターには有名な種かと思いますが、これほど特徴がはっきりしていているのに、正式な種名がついていない不思議な種であります。 マニアにはよく知られているように、モロッコには本種の色合いを黒くしたような類似種がいます。モロッコのそれは如何にもモンスターじみた見た目ですが、一方、オクラホマのこちらは色合いが飴色になって、やや棘がおとなしめになっただけなのですが、怪物的な印象は薄れ、何故か上品な印象すら漂います。 この標本では、頭部後方から出る、二股に分かれたホーンを支持する母岩を、浮かせぼりにせず残したままにしてあります。このようなプレパレーションは好みが分かれるところだと思いますが、棘が折れることにトラウマになってしまっている私のような人間には、有り難い安心のクリーニングです。
Lower Devonian Haragan Coal County, Oklahoma, USA Ceratonurus sp.trilobite.person (orm)
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Viaphacops claviger
ネヴァダ州というと、基本的には三葉虫関連ではカンブリア紀の層が大半を占めております。そんな中でこちらウェンバン累層 (Wenban fm) は、ネヴァダ州でも中央に位置するSimpson Park Mountainにある地層で、同州にしては珍しいデヴォン紀の層が広がっております。 そんなマニアックな産地で産するこの種は、ヴィアファコプス・クラヴィゲル (Viaphacops claviger) 。異色の産地の異色の巨大なファコプス類であります。ウェンバン累層は地層の変形が激しく、押しつぶされたように圧がかかった標本が多いです。本標本もプレスされたように押しつぶされております。 特筆すべきはその特異な風貌。全長100mmオーバーと、ファコプスの仲間ではモロッコの巨大種ドロトプス (Drotops) に匹敵する巨体を有し、髭のような自由頬から伸びる棘や、軸葉から垂直に伸びる棘(本標本では残念ながら摩耗しております) を持つなど、相当な変わり種のファコプスであります。サイズ感の比較用に写真8枚目で、一般サイズのファコプス (NY州のEldredgeops rana) と並べております。 ファコプスにもこんな種がいるのかと、認識を改めてくれる種です。
Lower Devonian Wenban fm he Simpson Park Mountains, Nevada, US Viaphacops clavigertrilobite.person (orm)