DVD「男性と女性」

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 セシル・B・デミル監督作品というと、『十誡』『キング・オブ・キングス』『クレオパトラ』といった聖書ものや史劇、『平原児』『大平原』といった西部開拓史もの、そして晩年の『サムソンとデリラ』『地上最大のショウ』『十戒』と、とにかく大作の製作・監督というイメージが定着している感がありますが、他方、このフロアに収録アイテムを展示した早川雪舟主演の『チート』、そして本展示アイテム収録作である『男性と女性』のような作品も監督していたのだ、という認識を得られたのは『世界クラシック映画100撰集』の効用の一つでした。
 「ある気位の高い英国貴族一家が、豪華ヨット遊びで嵐に巻き込まれて、同乗の使用人とともに無人島に漂流する。生きる力に富む使用人とそうではない貴族、やがて主従関係が逆転した島での生活が繰り広げられることになったが、それも終わる日が来て…」というあらすじで、1978年に公開された映画『流されて…』のもとになった作品ということにもなるのかな。まあ『流されて…』は男女2人だけの個人戦なのに対し、本アイテム収録作は団体戦ですし、似たような結末であっても受ける印象は異質でした。見どころは、一義的には何と言ってもグロリア・スワンソンの美しさで、豪奢な貴族の生活のシーンもさることながら、無人島のサバイバル生活、はては古代バビロニア王の物語のシーンでの美しさは煌くようしたが、本当の見どころは、やはり後年になってハリウッドの巨人となるデミル監督の若き日の才気あふれる発想力と行動力の発露の具現化であり、この作品ではそれが如何なく発揮されていました。
https://www.youtube.com/watch?v=k3nj2t_Oiew
#DVD #淀川長治 #男性と女性 #セシル・B・デミル #グロリア・スワンソン #トーマス・ミーアン #ライラ・リー 

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  • Lion

    toy ambulance

    2020/04/18

     グロリア・スワンソンと言うと、本人のイメージまで含めて、これの印象に引きずられてしまいます。

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      woodstein

      2020/04/18

       toy ambulanceさん、コメント有難うございます。主たる活動時期が戦前ですから、現代を生きる我々のような者にとってグロリア・スワンソンというとやはり提供画像の『サンセット大通り』ということになります。この映画に関してはいずれ触れるつもりですが、本展示アイテムとのつながりで言えば、やはりセシル・B・デミルが本人役で出演し、かつてのスワンソンを語るがごとく、役のノーマ・デズモンドについてコメントを吐いたシーンですかね。殆ど、ドキュメンタリーでした。

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    • Lion

      toy ambulance

      2020/04/18

       スワンソンの元夫で監督、今は召し使いという役がエリッヒ・フォン・シュトロハイムと言うのも凄かったです。
       フェリーニの言葉に「私は俳優を名前では無く風貌で選ぶ」というのが、あったと思いますが、この映画でビリー・ワイルダーはシュトロハイムの名前と風貌の両方を使いたかったのだと思います。

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      woodstein

      2020/04/19

       toy ambulanceさん、再びのコメント有難うございます。結果的に「サイレント映画の三大巨匠」と呼ばれたD・W・グリフィス、セシル・B・デミル、エリッヒ・フォン・シュトロハイムのうちの二人を自作に引っ張り出したビリー・ワイルダーの当時のハリウッドにおける影響力の強さが窺えました。あと、これは妄想の域ですが、『サンセット大通り』の中でのスワンソンとシュトロハイムの演じた関係は、何かマレーネ・ディートリッヒとジョセフ・フォン・スタンバーグの関係の成れの果てのように思えたりもしました。

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    • Lion

      toy ambulance

      2020/04/19

       なるほど!、いくつかの意味で「80日間世界一周」より、密度の濃いオールスターキャストですね。
       亡命オーストリアンのワイルダーには、ドイツ系の先達への思いもあったのでしょうか?

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      woodstein

      2020/04/20

       先達への思いと言われても、これは個人的なものですから、あくまで推測の域になってしまうのですが、散見されるワイルダーのインタビュー記事からすると、それなりに畏敬の念はあったと思われます。また、ワイルダーは以前にB級戦争アクション映画『熱砂の秘密』(1943年)でロンメル将軍役にシュトロハイムを起用したことがあったわけですが、そこで培った人間関係が『サンセット大通り』(1950年)での成功につながったのでしょう。
       あと、大したエピソードではないですが、『80日間世界一周』との共通点と言えば、両作にバスター・キートンが出演していた、ということですかね。

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    • Lion

      toy ambulance

      2020/04/20

       ありがとうございます。m(_ _)m
      「熱砂の秘密」観てみたくなりました。

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