オールウェイズ

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 本邦公開1990年4月6日。現在では映画の劇場公開初日が金曜日というのは当たり前のことになっていますが、本作以前は原則として土曜日が初日でした。要するに世間で週休二日制が定着しつつあったのでその流れに連動したわけですが、そのきっかけとしてスピルバーグ、ヘップバーンというビッグネームの揃った作品を選んだというのはそれなりの見識であったとは言えます。ただ、スピルバーグ作品の中でも割と地味な内容の作品でしたので、「公開曜日が変わった」ということがインパクトを持って、世間に知れ渡るきっかけとして認識されたのかどうかは疑問です。
 さて、映画で「オールウェイズ」というと、山崎貴監督の日本映画『ALWAYS 三丁目の夕日』というのが世間一般の認識なのでしょうね。わざわざ「スピルバーグのオールウェイズ」と注釈をつけても「三丁目の夕日」と混同されてしまうことがよくありますし、そもそも「スピルバーグのオールウェイズ」を知っている人自体も少ないようですし。世間一般のスピルバーグ監督の作品ジャンルのイメージというのがSF、アクション、大作ドラマといった類いで、どうも本作のようなロマンティックな風情のものはイメージにない、ようですね。
 というように、いらないハンデを勝手に付けられたような本アイテム収録作ですが、さすがはスピルバーグで見事な佳作だと思います。特に印象深いのが音楽で、もちろんプラターズの『煙が目にしみる』の使い方も効果的でしたが、それよりもジョン・ウィリアムズのスコアの方が、より本作をロマンティックに盛り上げてくれました。あと、本作はいわゆる「ゴーストもの」であり、そうなると他の「ゴーストもの」の映画と比較したくなるのが人情ですが、音楽のことも含めてこれらのことはまた別の機会に言及します。
 あと触れておきたいのが吹替のことで、リチャード・ドレイファスを樋浦勉が担当したのはともかく、オードリー・ヘップバーンが池田昌子氏ではない(水城蘭子)というのはいただけませんね。もっとも、本作のBlu-rayには池田氏の吹替が収録されているようですが、そのために買い替えるのも考えものではあります。
https://www.youtube.com/watch?v=1E8bhrxEzpc
#DVD #スティーブン・スピルバーグ #オールウェイズ #ジョン・ウィリアムズ #リチャード・ドレイファス #ホリー・ハンター #ジョン・グッドマン #オードリー・ヘップバーン #樋浦勉 #水城蘭子 #吹替 

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    woodstein

    2020/02/05

     『煙が目にしみる』プラターズ
    (Smoke Gets in Your Eyes: Always & Platters, Holly Hunter, Richard Dreyfuss)
    https://www.youtube.com/watch?v=I2pxEIKeQs0

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    オマハルゲ

    2020/02/15

    水城女史はやっぱりバーグマンですね。ヘップバーンは池田昌子でなきゃ。
    同じヘップバーンでもキャサリンの方は…と、止まらなくなりますw

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      woodstein

      2020/02/15

       omaharuge102さん、コメント有難うございます。水城蘭子氏はイングリッド・バーグマン、そしてデボラ・カーですね。キャサリン・ヘップバーンはこれといったフィックスは思い当たりませんが、とりみき氏の説だと、山岡久乃、寺島信子、原知佐子各氏ということだそうです。個人的には『招かれざる客』での奈良岡朋子氏の吹替がよかったとは思っていますがね。

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      オマハルゲ

      2020/02/15

      オードリーの方のヘップバーンですけど、あまりにも池田昌子の印象が強すぎて、池田女史が担当しなかった作品は「緑の館」位しかなかったようですね。それも2バージョンあるのに両方とも池田さんじゃないという…。
      今のうちに新規で作って欲しいです。
      相手役のトニパキの西沢利明さんは鬼籍に入られちゃいましたけど。

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    収集じいさん

    2022/02/19 - 編集済み

    良い映画です。オードリーの遺作ですね。

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      woodstein

      2022/02/24

       収集じいさんさん、コメント有難うございます。返事が遅くなり申し訳ありませんでした。スピルバーグとしては地味ですが、死者の霊魂と生者の片務的交流を通じて、残された者が生き続ける動機づけの一形態が見事に描かれていました。
       オードリー・ヘップバーンの実質的な映画女優としてのキャリアは『暗くなるまで待って』が最後で、そのあとは言わば付け足しのようなものでしたが、それでも特に本作のように往年の魅力の片鱗を見せたのは、貫禄としか言いようがなかったですね。

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