出逢い
ジェーン・フォンダとの共演は『逃亡地帯』(1966年)、『裸足で散歩』(1967年)に続いて3作目で、この後『夜が明けるまで』(2017年)で4回目を果たしていますが、そのことを含んだ作品の内容やデイヴ・グルーシンの音楽などに関しては別の機会に語るとして、ここでは邦題について言いたい。
原題は「The Electric Horseman」、巧い訳語が見つかりませんがあえて直訳すれば「電飾の、馬の乗り手」という感じでしょうか。レッドフォードの役柄の設定が、「かつてロデオ世界チャンピオンの経験をもち、今はテレビや看板やポスターで全米にその顔を知られるCMタレントとしてきらびやかなコスチュームを身につけスポットライトを浴びているが、企業の傀儡のような自分の存在に嫌気がさし、その不満を酒にたよるという堕落した日々を送っている」というもので、その境遇を「The Electric Horseman」という半ば揶揄するような、なかなか味のある映画タイトルだと、本作に関しては思われます。という内容を、本邦公開(1980年)の前年の段階で当時購読していた「ロードショー」誌などの新作情報の記事を通じて把握していたので、邦題もそのまま「エレクトリック・ホースマン」となるのかな、と漠然と思っていたのですが、『出逢い』という邦題に決まったことを知った瞬間は言葉を失いました。これはある意味では、本作に対する日本の配給会社(CIC)の宣伝部の冒涜ですね。監督のシドニー・ポラックやレッドフォードがこのこと、すなわち「encounter」という意味の邦題になったことを事前に知らされていたなら、反対したのではないか、という気もします。また、この頃には私はすでにレッドフォードのファンになっており、この新作だけは名画座ではなくロードショー館で観よう、と事前には心に決めていたのですが、その意欲も萎えました。結局、公開から数か月後に名画座で観たのですが、『遠すぎた橋』から約3年ぶりのレッドフォードの新作を観る、という高揚感は既になかったですね。もっとも、その頃は次作の『ブルベイカー』の公開が控えていた、という側面もありましたが…。
ということで、結論を言わせてもらうと、本展示アイテム収録作の公開から40年を経た現在でも、この邦題は私が観た数多の洋画の中でも、ワースト3に入るような残念なものでした。
あと、本展示アイテムや同作のBlu-rayには吹替が収録されていませんが、Wikipediaによるとかつて地上波で制作された吹替版がNetflixで再放送されているそうなので、そうなると映像ソフト制作の際に収録できたはずであり、その点も不満は残ります。
https://www.youtube.com/watch?v=pfVXj-4tlak
#DVD #ロバート・レッドフォード #出逢い #シドニー・ポラック #デイヴ・グルーシン #ジェーン・フォンダ #ウィリー・ネルソン #ヴァレリー・ペリン
オマハルゲ
2019/11/26権利の問題、現存してない音源、理由はありましょうが吹き替え未収録のソフトについては歯痒い思いが色々あります。
「シベールの日曜日」の江守クリューガー、「リオ・ブラボー」のおやっさん版デューク等々、生きてるうちにもう一度見たいのが一杯です。
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woodstein
2019/11/27omaharuge102さん、コメント有難うございます。私も基本的には吹替は収録して欲しいとは思いますが、質の低い新録ならば不要で、逆にその経費の分でも販売価格を下げて欲しいという気分です。もちろん、往年のテレビ放映の際に制作された当時の吹替ならば大歓迎です。現存しないのは致し方ないかもしれませんが、巷の一般家庭には古い録画の形でビデオテープに残されている可能性もありますので、そういったものの掘り起こしもして欲しいですね。
『シベールの日曜日』のハーディー・クリューガーの江守徹氏の吹替は私も観てみたいですが、現存しているのですかね。『リオ・ブラボー』はジョン・ウェインを納谷悟朗氏が吹き替えた版はさすがにどこかにはあるとは思いますが、映像ソフトを販売する方も旧録を収録する手間とコストと、販売数の予想との兼ね合いで、なかなか実現できないのでしょうね。
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オマハルゲ
2019/11/27江守版「シベール~」はかつて某動画系サイトにありました。「神様」と呼ばれた方が録画したテープからアップロードされていて、貴重な音源が数十本ありましたね。そこが閉鎖になってしまい、おまけにそこから××したデータがPCのトラブルで消えてしまい、二度と見れなくなりました(T_T)
後で見ようと冒頭部分しか見ないままに終わっちゃいました…。
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woodstein
2019/11/27ということは、まだどこかに現存している可能性がある、ということですね。『シベールの日曜日』は1980年のリバイバル公開で観て以来、個人的にはずっと支持している作品ですから、吹替を完備した映像ソフトを出版してなんとか日の目を見る格好にして欲しいものですが…。
ところで、スクリーン内の立ち居振る舞いで観客を魅了したパトリシア・ゴッジ嬢も間もなく古希になられるそうですが、数年前に収録されたインタビュー動画が見つかりましたので、提示しておきます。彼女の近影が観られます。
https://www.youtube.com/watch?v=epHrVkuyGmo
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オマハルゲ
2019/11/27おお、これは貴重な動画をありがとうございます。
自分はP・ゴッジの吹き替えのラストシーンでの「私には名前なんてない。名前なんてないのよぉぉ~!」という趣旨の台詞が頭から離れません。
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