チート

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 この作品を語るに際しては「早川雪洲」抜きというわけにはいきませんが、語りたいのはそこではないので最初に簡単に触れておきますと、自らの所有物であることを示す鳥居の形の焼印を人妻に押す美貌の東洋人がアメリカ人にとっては非常に新鮮であった反面、「残虐かつ好色、非人道的な日本人」という扱いを嫌い、リバイバル公開の際には、役名の「日本人の骨董商ヒシュル・トリ」は「ビルマ人の象牙王ハカ・アラカウ」と変更されたなどのことがなされ、現在、日本国内で入手できるDVDはこの「ビルマ人版」(本アイテムもこの版)である、そんなところでしょうか。
 さて、「チート」cheatの辞書的意味は「だまし」「詐欺」「欺瞞」そこから波及してそのような行為をなす人、ということになりますか。この作品のストーリーの決着はファニー・ウォード演じるヒロインの女性イーディスが、結局元の鞘に収まるが如く、夫のハーディを擁護し、トリ(鳥居)が悪者扱いされるのですが、トリは残酷な面はあっても、誰かをだましたわけではありません。ですので、タイトルの『欺瞞者(チート)』とはトリのことではなく、イーディスを指すのがわかりやすい解釈ですかね。ただ、思うにイーディスも夫のハーディもトリも善人ではない、それなのにラストシーンである種のカタルシスを観客に提供してしまっているセシル・B・デミル監督こそこの作品における最大のチート、詐欺師であった、というのが私の結論でした。もう、お見事、と言うしかない。
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https://www.youtube.com/watch?v=-eExydVWC00

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