暗殺者の家

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 本作がアルフレッド・ヒッチコック監督で、後年『知りすぎていた男』というタイトルでリメイクされた、というのは、割と映画を本格的に観出した時に自然に身についた知識でしたが、観ることができたのは本ディスクを入手したとき、すなわち『知りすぎていた男』を観た後ということになりました。本来、本作において語るべきはヒッチコック、またはピーター・ローレなのでしょうが、前者は今後いくらでも触れる機会はあるでしょうし、後者は本フロア展示の別のアイテムを紹介する際に、と予定していますので、別の話を。
 リメイクというのは映画製作においては腐るほどある話ですが、全く別の製作者や監督によるというのではなく同じ監督によって、というのはどのくらいあるのでしょうか。このフロアの展示アイテム『三悪人』の紹介文を作成する段で知ったのが、『三人の名付親』(1948年)が同じくジョン・フォード監督による同一原作を元にした1919年の無声映画『恵みの光』のリメイク作品であることですかね。他には『十戒』(1956年)が同じくセシル・B・デミル監督による1923年の無声映画『十誡』の第一部のリメイク作品、カラー映画『浮草』(1959年)が同じく小津安二郎監督による1934年の白黒映画『浮草物語』のリメイク作品、というのが挙げられますが、以上の4例はおそらく作品自体のコンセプトとしては気に入っているものの、自らの演出や撮影技術などに不満が残り、再度挑戦してみた、ということだったのでしょう。では、市川崑監督による『犬神家の一族』はどうなのでしょうか。御存知のとおり、1976年と2006年に製作されています。もちろん、それなりに前作とは異なるコンセプトで演出されていた部分はあるものの、上記の4例のような動機付けによるリメイクとは思えないので、私には製作意図が見えませんでした。
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