Crotalocephalus gibbus

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デボン紀の芋虫三葉虫こと、クロタロセファルス・ギブス (Crotalocephalus gibbus) です。うねうねとした、今にも動き出しそうな何かの幼虫のような外見は、私的には可愛らしいのですが、あまりにも生々しく、人によっては気持ち悪いという印象を持つ方もいるでしょう。

その衝撃的な見た目で、多くの人々の度肝を抜き、ともすると彼らを三葉虫コレクターの世界に誘った功労種とも言える三葉虫の一つです。私も約10年ほど前に、ミネラルショーで本種の姿を初めて見た際には、つくりものだと勘違いしてしまいました。

この標本は、右頬が欠損してはおりますが、細部のクリーニングは素晴らしく、特徴的な頭鞍の黒い斑点模様 (筋肉付着痕という説あり) 、軸葉表面の小さな突起、尾部中心にある表層の細かな鳥肌様のぶつぶつなど、全て良好に残っています。側葉と尾部のみ浮かせた、最近の流行りの部分的浮かせプレップが施されています。見栄えが良くない事は承知の上、破損が怖いので、購入時の台座に固定したまま今も置いております。

コレクター入門者には驚きの種ですが、他方、年季の入ったコレクターからすれば、多産する本種は見慣れすぎていて、「なんだまたクロタロか」と感じてしまうかもしれません。

しかしそれでも、三葉虫界広しといえど、この独特の造形は唯一無二のものであり、いつまでも色褪せることがない、魅力的な種と言えるのではないのかなと思います。

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    Trilobites

    2023/03/11 - 編集済み

    モロッコでは一般種ですが、他エリアでは、近縁を含めそれ程繁栄していたとは思えない産出状況なのが不思議ですね。この種類の頭部にある八の字状の点線は、生体時の筋肉痕の一種とされてますが、どんな役割か気になっています。

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    • 特にtatsutoyさんのところにあるチェコのクロタロには驚きました。見た目がモロッコ産と一緒すぎますね。他方、ドイツGeesでは類似種がいないのも、チグハグな感じがして不思議です。

      頭部の八の字点も考えさせられますね。筋肉痕説は、昔からまことしやかに言われていますが、
      裏側に付いたの筋肉の跡がこんなに境界明瞭に残るだろうか?
      よく見られる、消化管遺残のようにもっとシミっぽい感じになるのでは?
      そもそも素嚢があると言われる頭鞍に、こんなにベタベタ筋肉がついているのはおかしいのでは?
      などと、色々疑問です。

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    ktr

    2023/03/12 - 編集済み

    ormさんのケイルルス好きは本種から始まっていたんですね。
    頭部の点々のことは今回初めて知りました。
    その意味するところはともかくとして、八の字というのがいいいですね、クロタロらしくて。
    本種は私のなかでは三葉虫界の大入道といった位置づけです。

    種名は、Crotalocephalina gibba のほうが正しいような気がして、一時期そうなっていましたが、また元の C. gibbus に戻っておりますね。

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    • 私のケイルルス好きは、カナダの各種ケイルルスの影響も強いですが、本種の存在もまた大きいですね。
      頭部の八の字の点々は特徴的でずっと気になってましたが、最近、実は八の字の底面にも直線状に点があって、三角形になっている事に気付きました。興味深い幾何学模様です。

      この種の種名は何故か安定しませんね。属名自体もCheirurus gibbusとした方が正しいのではないか、という気も最近しております。

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