Dubhglasina yunnanensis

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中国のBaoshan/Pupiao累層産のオルドビス紀の三葉虫、ドゥブグラシナ・ユンナネンシス (Dubhglasina yunnanensis) とされる種です。

Eye ridgeなどが目立つことから、頭部はハルピデス属 (Harpides) を彷彿とさせますが、体尾部はハルピデス程に蛇腹様ではなく、モロッコのハルペス属 (Harpes) に似ているという見た目の種であります。
(Xiu_trilobiteさんのmuseumにて、この目立つeye ridgeは、古い時代のハルペスの特徴なのではないかとの推察をされておられます、なるほどです。)

細かい話ですが、分類上はハルペス属はハルペス科 (Harpetidae) に、ハルピデスはハルピデス科 (Harpididae) に分類されます。
前者のハルペス科には、ドリコパルペス属 (Dolichoharpes) 、ボヘモハルペス属 (Bohemoharpes)、エオハルペス属 (Eoharpes) 、リオハルペス属 (Lioharpes) 、ヒベルティナ (Hibbertia) などに並び、このドゥブグラシナ属 (Dubhglasina) も入っております。
従って本種は、分類上はハルピデス属よりは、ハルペス属に近い種であります。

ドゥブグラシナ属は、『L1が小さい、genal rollが狭く一方でbrimが比較的広い、alaが目立たない』などの特徴で、他のハルペスの仲間と分類されます。各部位の名称・位置関係については、最後の写真 (Trilobites infoより) をご参照ください。

本産地の三葉虫はどれもそうですが、表面が荒れているか、保存が良好でも欠けているかの二択であります。

そこで、
1. 比較的全体が残存しているが表面の保存がイマイチの標本:写真1番目など
2. 頭部のみも、細部はよく残っている標本:写真2番目など

の二通りをupしてみました。

何と無くですが、上記のドゥブグラシナの特徴を満たしている気もします。

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    ktr

    2025/02/15 - 編集済み

    アイ・リッジはなぜか心惹かれる特徴(プロソポンというのでしょうか)で、私は大好きです。手持ちのハルペスにはその痕跡さえも窺えないのが悲しいですね。
    1と2は、どっちをとるか、ビュリダンの馬的難問ですね。私なら首を左右に振りながら決めかねて餓死してしまいそうです。

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    • 心惹かれるのは、アイリッジがあることで、いっそう人間の眼(の内側の切れ込み)のように見えるからなのでしょうかね。本種の場合、頭鞍がちょうど鼻に相当しますし。

      良い標本の必要条件は何かと聞かれれば、保存状態・細部が残っていることなのではないかと私は思います。ですので、1と2のどちらを取るかとすれば、究極的には私は2になりそうです。

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    xiu_trilobite

    2025/02/16 - 編集済み

    拙論を取り上げて下さり恐縮です。ハルピデスとの分類上の違いなど勉強になりました。
    こうして見ると同じBaoshanのDubhglasinaとされているハルペスでもormさんの真円に近い鍔のタイプと楕円形の鍔のタイプがありますね。雌雄の違いなのかもしれませんが、印象が違っていて面白く感じました。

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    • 私も今回この標本を取り上げるにあたり、ハルペスの分類の記事を読んで、ふーんハルペスってそう見分けるんだなと、自分で勉強になりました。
      https://museum.wa.gov.au/sites/default/files/A%20SYSTEMATIC%20REVISION%20OF%20THE%20FAMILY%20HARPETIDAE%20(TRILOBITA).pdf

      仰る通り、xiu_trilobiteさんの本種や他の方の標本を見ていると、鍔の形状と鍔の広さなどで、外見的には最低2タイプはいる気がします。そのあたり今回はスルーしましたが、雌雄差か、ともすると種差か、興味深い点ですよね。

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      xiu_trilobite

      2025/02/16

      大変役立つ記事を紹介して頂きありがとうございます。ハルペスは特に好きなので、頑張って読み解きたいと思います。細かな特徴の有無で仕分けていくイメージなんですね。

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