- woodstein Museum
- 13F 映像ソフト 英語圏クラシック映画
- DVD「ストレンジャー」
DVD「ストレンジャー」
まず、タイトルですが表題のほかに「ナチス追跡」「謎のストレンジャー」「オーソン・ウェルズINストレンジャー」「ザ・ストレンジャー」などの邦題があるそうで、このうち前者2題はテレビ放映の際に付せられたもの、後者2題と表題はDVDなどの映像ソフト販売用のもので、これだけ種類があるのは取りも直さず本アイテム収録作が劇場未公開だから、ということです。この1946年製作、すなわちオーソン・ウェルズの戦後第一作のあらすじは、
「戦犯聴聞会委員長ウィルソン(エドワード・G・ロビンソン)は、ナチ残党の大物フランツ・キンドラーの行方を探索すべく、元ナチのマイネックを釈放して泳がし、その跡を追うことでコネチカットの田舎町ハーパーに辿り着く。マイネックはチャールズ・ランキンと名を変えて高校の歴史教授をしているキンドラー(オーソン・ウェルズ)と再会するものの自首を促したため絞殺され、地中に埋められる。ナチとして活動していた際には表舞台に現れずその姿を把握されていなかったため、キンドラーの特定ができないウィルソンは、マイネック、そしてランキンの新妻メアリー(ロレッタ・ヤング)の家族の飼い犬が行方不明になったことと何気ないランキンの発言、そしてキンドラーと同様に時計狂であるとの共通点よりランキンに疑いの眼を向ける…。」
というものですが、要するに結末のわかっている作品ですからミステリーの要素はなくサスペンス、それもアクションではなく心理サスペンス劇という内容で、どのようにオーソン・ウェルズ扮するキンドラーが追い込まれていくのか、その過程が見どころとなっています。因みに、この作品の評論の中には遡ること3年前の1943年に製作されたアルフレッド・ヒッチコック監督作品『疑惑の影』と同じようだと指摘する向きもあります。この作品も犯罪者の叔父(ジョセフ・コットン)に疑惑の視線を向ける姪(テレサ・ライト)との心理戦が見どころだったので、言われてみれば納得なのですが、そういう意味では、『ストレンジャー』はオーソン・ウェルズ監督作品らしからぬ「正攻法」な出来上がりで、彼の監督作品のフィルモグラフィーの中ではむしろ「異色作」という位置付けになる作品とも言えるでしょう。本作品はアメリカでは興行的にはそこそこ成功したので作品的に失敗したとは言いませんが、「オーソン・ウェルズの監督作品」ということでは捻りが少なくてカロリー不足の感が否めませんでした。
https://www.youtube.com/watch?v=ZbiLI6gfAiw
#DVD #ストレンジャー #ナチス追跡 #謎のストレンジャー #オーソン・ウェルズINストレンジャー #ザ・ストレンジャー #オーソン・ウェルズ #ブラニスロウ・ケイパー #エドワード・G・ロビンソン #ロレッタ・ヤング