群衆

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 このフロアには少なくとも3作、可能ならば4作のフランク・キャプラ監督作品のDVDを展示する予定ですが、他の展示アイテムでは別に語りたいこともあるので、ここではこの監督について触れます。もちろん名匠であると思いますし、演出力も際立っているとは思いますが、どうも個人的にはこの監督の作風には馴染めません。「古き良きアメリカの体現」「いかにも映画らしいストーリー仕立て」「ハートウォーミング」など、その美点を挙げろ、と言われれば、前述のような文句を継げますが、どうも観終わった後に爽快感が残らない。別の言葉にすると、この種の作品は心に残る何らかのものがあるはずなのに、それが見つからない。とても抽象的で何を言っているかも理解されないでしょうが、要するに自分の好みとは合わない、ということに尽きるのでしょう。
 あえて理屈を捏ねれば、「アメリカン・スピリットの巨匠」というのがフランク・キャプラ監督の、本ディスクにおける修飾語なのですが、私の思うところのアメリカン・スピリッツ、「フェアネスの精神」というものが、この監督の作品からは共通して感じられない、そこに違和感を持たざるを得ない、そんなところですかね。飽くまで個人的な独断と偏見です。
#DVD #淀川長治 #群衆 #フランク・キャプラ #ゲーリー・クーパー #バーバラ・スタンウィック 

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