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Homalopteon murchisoni
可愛らしい三葉虫、英国ウェールズのホマロプテオン・マーチソニ (Homalopteon murchisoni) です。黒色の母岩に黒色の本体、しかも15mmと小型なので目立たず地味な標本ではあります。本種にしては珍しく、左自由頬が残っております。写真4枚目はnega標本です。
分かりづらいですが、アサフス目(Asaphida) に分類される種です。
同属異種として、ホマロプテオン・ラディアンス (Homalopteon radians) が知られており、本種を産出するLlanfawr Middle Quarryで共に見つかるようです。提供者によると、産出数はラディアンス > マーチソニで、マーチソニの方がより希産とのこと。
実際、英国三葉虫の決定版図鑑『TRILOBITES of THE BRITISH ISLES』では、ラディアンスの複数体標本が2プレート掲載されているのに対し、マーチソニは単体標本のみが唯一掲載されています。
派手さがある訳でなければ、お世辞にも優美な種という訳でも無いのですが、ここまで外形が丸っこい種というのはあるようで、それほどない気もするのです。パッと思い浮かぶのは、若干毛色は違いますが、ロシアやモロッコのスティジナ (stygina) ぐらいでしょうか。
(※ ただし本種は、もう少し大きいサイズとなると、前後に伸び楕円形に近くなります)
言い過ぎかもしれませんが、ある意味、三葉虫の形態の多様さを知ることが出来る種では無いでしょうか。
Trilobites
2023/02/25 - 編集済みまた地味な路線きましたね。でも意外と見かけない種類だと思います。Ogygiocarellaの幼体みたいな感じに見えますが、アサフスの中でもここまで地味な姿を貫くのは、この時代に貴重ですね。
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trilobite.person (orm)
2023/02/25こんな地味な標本にもコメント頂きすいません。随分と昔にケネディ氏から入手した標本なのですが、その後、あまり見かけない気がします。
上の英国三葉虫本掲載の4cmほどの個体は頭尾に長く、本標本と結構形が違うので、こちらは可能性として幼体なのかもしれません。
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tatsutoy
2023/03/01 - 編集済み古典種の登場ですね。イギリス三葉虫あるあるで何度も名称が変わっているので調べるのが大変な種類です。
改めて調べてみるとormさんの解説文内に掲載されているH.radiansは、Ogygia、Barrandia、Homalopteonと変遷もしくは、入り乱れて記載されている感じです。
ご参考:Salterの1873年ケンブリッジ大学のカタログ。Page33一番上のイラストをご覧ください。丸い三葉虫がBarandia(Ogygia)radiansで、この標本に瓜二つです。
出典:Catalogue of the Cambrian and Silurian fossils contained in the Geological Museum of the University of Cambridge
リンク:
https://www.biodiversitylibrary.org/item/48918#page/85/mode/1up
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trilobite.person (orm)
2023/03/01属名がどんどんと変更されていき、ともすればシノニムだらけになる事は化石業界の常ではありますが、マニア泣かせでありますよね。
特に英国産三葉虫は歴史が古いので、100年~200年の長い経過で名称が変わっていき、追いかけるのが大変です。Homalopteonの歴史は詳しくは調べていなかったのですが、そんな風な変遷だったのですね。
ケンブリッジ大学のカタログを教えていただき、ありがとうございます。
確かにPage33の上のイラストは本標本に似通っていますね。巷の標本がどれもこの標本より大型で形状も若干長細く、ちょっと違うなあと思っていたのですが、こイラストを参照するに、本標本がHomalopteonである自信をより持てました。
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