みんなのコレクションが集まるミュージアム

0

File
  • File
  • File
  • File
  • File
  • File
  • File
  • File
  • File
  • PLAY

Scabrella sp.

この愛らしい風貌の王蟲のような三葉虫は、スカブレラ (Scabrella sp.) です。体長240mmとかなり大型の種で、モロッコデボン紀の幻種とも言える巨大三葉虫です。ずんぐりむっくりした巨体に、小さな眼がちょこんとついており、尾部からは小さな尻尾が出ております。何かのマスコットキャラのような種です。全体として、母岩から浮かせたプレップをしてあり、いわゆるフライングフィニッシュ仕上げとなっています。

この種を初めて見る人であれば、『これ、本物ではなくて模型なんじゃないの!?』という感想を抱くかもしれません。実際、『こんな生き物がいたのだろうか、仮に居たとしてもこんな形で化石が残るだろうか』、と思う方も多かろうと思います。全く妥当な疑問だと思います。

実は一時期、私はこの種に入れ込んだ事があり、この三葉虫の事を随分調べ回りました。結論を言えば、この不思議な三葉虫は架空のものなどではなく、確かに存在した生物なのだという事であります。本標本は棘のないタイプですが、棘のあるタイプもいて、棘の太さなどにより、更にタイプが分かれる可能性があります。なお、この棘のないタイプは、Scabrella propradoanaと言及される事もありますが、やや疑義が残りますので、Scabrella sp.のままとしております。

目立つ三葉虫なので、モロッコではこの種の偽物が大量に出回っています。出回る99%がフェイクとすら言われています。本標本は、いくつかの理由から本物だと考えていますが、100%本物ではなく、この種の部品を組み合わせて作ったコンポジットだと考えます。真のこの種の本物は、滅多になく、まさに幻扱いであります。

6~8番目の写真はこの種の尾部のみの標本です。この部分化石の保存状態は非常に良く、表面に小さな毛穴のようなものが見えます。ここからは感覚毛が生えていたという仮説もあります。更によく見ると、表面に棘が取れた跡のような痕跡も見る事ができます。

実に興味深い三葉虫であります。