~アダージオ・クワジ・ウン・ポコ・アンダンテ~

初版 2024/09/14 16:30

ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第14番op131より

ベートーヴェンの後期の弦楽四重奏曲は、晩年の彼の自由闊達な心で鳴る音が、思いがけなく肺腑をつく瞬間がある。
晦渋であり、それでいてロマンティックでもある。よく哲学的思索の対象とされることもあるけれど、僕にはもっと人間くさい彼の精一杯浄化された到達点を感じる。
動的で、心のふるえが音になる。
突然静謐な透明感のある美しさの中に幾条もの抒情の糸が引かれてゆくものになる。
それは最後に用意された前進する明朗で、吹っ切れた世界への入り口にあるカーテンのようだ。
僕は彼のこのop.131を彼の作品の中で最もたくさんの時間聴いてきた。
気分が落ち込んだ時、自分の心に共鳴する第6楽章~アダージオ・クワジ・ウン・ポコ・アンダンテ~に続くフィナーレ楽章(第7楽章)推進力のあるアレグロ。


意識の中で顔が上がり、伏せていた目線が前を向く。いつでも、僕にとってこの曲はそういう曲であり続けている。
どんな作曲家にも言えることだけれど、人の情念に共鳴する曲想は緩徐楽章の中に込められている。
プレストで、スケルツォで歌われる歌は心ではなく、肉体のリズムに結びつき、躍動する。
でも、ベートーヴェンのラルゴ、アダージオにはもっと奥深いところで感じる戦きがある。
僕はそれにたどり着きたくてそれ以前を聴き、そこから前に行きたくてそれを聴く。
この短い浄化の世界を聴いて欲しい。
そして、この後の希望に溢れた力の歌を想像して欲しい。

第6楽章は28分43秒から 第7楽章は切れ目なく演奏されます。

古生物を中心に動物(想像上のもの)を含め、現代動物までを描くイラストレーターです。
露出度が少ない世界なので、自作の展示と趣味として行っている地元中心の石ころの展示を中心に始めようかと思っています。
海と川が身近にある生活なので気分転換の散歩コースには自然が豊富です。その分地震があれば根こそぎ持っていかれそうなので自分の作品だけは残そうかとAdobe stockを利用し、実益も図りつつ、引退後の生活を送っております。
追加ですが、
古いものつながりで、音楽についてもLabを交えてCD音源の部屋をつくっています。娘の聴いてるような音楽にも惹かれるものがありますが、ここではクラッシックから近代。現代音楽に散漫なコレクションを雑多に並べていきながら整理していこうかと思っております。走り出してから考える方なので、整理するのに一苦労です。

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