香りは音でイメージできるか

初版 2023/12/01 15:04

改訂 2023/12/01 15:04

ローズマリー  フランク・ブリッジ 3つのピアの小品から

ブリッジと言えばかのベンジャミン・ブリテンの師匠ですが、チェロ・ソナタやチェロのための悲歌的協奏曲「祈り」とか舘野和泉氏がステージにカムバックしたきっかけとなった『ピアノのための3つの即興曲』とか結構個性的なピアノの小品も多い。

彼の音楽はイギリス音楽の歴史の中では近代の晦渋さを持ち、独自の和音を持っていたが、その根っこには後期ロマン派やフランス印象派も含まれている。
彼の小品ではチェロとピアノで奏されたエレジーやロシア風ワルツなんかもボツボツ紹介したいところです。 ボクはこの人のチェロも好きでブリテンのピアノとロストロポーヴィチのチェロで演奏されたものを今でも愛聴しております。

ここで聴いてみたのはピアノの小品。『ローズマリー』という長くて5分程度の佳品です。
ローズマリーはシソ科ロスマリヌス属(ラテン語で『海の雫』)が語源です。
由来は想像するにその瑠璃色に近い薄い紫の小さな花群が雫のように見えるからかなと思います。

作り手の意識が情景にあるのか、印象にあるのかわかりませんが、かなりフォーレのような情景の音化が感じられます。

パセリやセージやタイムなどと同じく食に結び付いた香りを楽しむ花いわゆるハーブの類だと思いますが、手のあまり入らないイギリスの古風な家庭園の中で風に揺れ,咲重なった花たちが揺れたり、震えたりする風情が音化されているようです。

この花の香りがはっきりと知覚できる方は選ばれた音にそのイメージを感じられるかもしれません。ボクはそこまでの想像力がない。

ところで、日本には似たような花を付ける常緑低木『カリガネ草』があります。

こっちはクマツヅラ科ですので直接は関係ないんだろうけれど、分類って言うのは必ずしも本質に根ざしたものではなくて、特徴によって客観的に区分したものだから、印象などと言う曖昧なものを排しているのです。
でも、肝心なものは排したものの中にあったりするんですよね。

話がよけいなところに逸れたけど、この可憐で判りやすい旋律は、ブリッジ先生のものとは思えないなあ。
氏がよっぽどこのハーブの香りが好きだったのか、はたまた一見日本のウチョウランのような可憐な花弁に見せられていたのか、わかりませぬが、モーツァルトやシューベルトは言わずもがなですね。一見気むずかしいような作曲家は時々これをやる。
マクダゥエルは『ワイルドローズ』を作曲し、ラフマニノフは『ひな菊』という可憐な曲を作る。


額が広く眼鏡をかけ口ひげを生やした、いかにも謹厳実直な学者然としたこの先生がどんな顔をして、そよ風に揺れる薄紫の花の群れに目を細めていたのか想像してみた。
香りはイメージできないけれど、ちょっと微笑ましい。


古生物を中心に動物(想像上のもの)を含め、現代動物までを描くイラストレーターです。
露出度が少ない世界なので、自作の展示と趣味として行っている地元中心の石ころの展示を中心に始めようかと思っています。
海と川が身近にある生活なので気分転換の散歩コースには自然が豊富です。その分地震があれば根こそぎ持っていかれそうなので自分の作品だけは残そうかとAdobe stockを利用し、実益も図りつつ、引退後の生活を送っております。
追加ですが、
古いものつながりで、音楽についてもLabを交えてCD音源の部屋をつくっています。娘の聴いてるような音楽にも惹かれるものがありますが、ここではクラッシックから近代。現代音楽に散漫なコレクションを雑多に並べていきながら整理していこうかと思っております。走り出してから考える方なので、整理するのに一苦労です。

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