ブレイブハート 

初版 2024/08/12 13:40

Sir=チャールズ V.スタンフォード/ピアノ協奏曲第2番ハ短調op.126

第1楽章 アレグロ モデラート
第2楽章 アダージオ モルト
第3楽章 アレグロ モルト


肖像画を見るとアメリカか何処かのカレッジのトレッドかぶれのように見える。
気のいい先生。
少女マンガに出てくるイメージ。
でも、育成した作曲家はホルストやフランク・ブリッジなどイギリスのその後の音楽界を構成する重要な作曲家がたくさんいる。
ピアノ協奏曲的な作品は知るだけで4曲。そのうち第1番の協奏曲は交流のあったカミユ・サン=サーンスの作品に霊感の一部を依存しているように思えた。
もっとも充実した書法を展開するのはピアノと管弦楽のための変奏曲だろう。
この作品、第2協奏曲はもう一人交流のあったブラームスのような雰囲気も持っているけれどやはり彼独自で消化したドイツ音楽がアイルランド風の雄坤さを持っている。

第1楽章オケのトウッテイに続くピアノの和音を縫うように展開するトランペットの狩りの音が好きです。
そこからピアノは少しブラームスっぽくなりながらも、素朴な歌が厚いオーケストラと絶妙の間合いのトランペットと協奏しつつ、リリカルでよく歌う旋律を幾つものアレンジで呈示してみせる。
近代の作曲家が金管楽器を多用すると嵌りがちな楽器の性能によって音楽の流れを左右されるような弱みもなく、ピアノが張り切って前に出てくるような独走的なアスレティックなものでもない。
ピアノ付きの交響曲ともいえるような大きな懐がある。
中間部のチェロとクラリネットとのピアノの間を置いた絡みは美しい。
この第1楽章にはスタンフォードの美質が詰まっている。
第2楽章は少し変わっていて、緩徐楽章はピアノがあまりよく書けていない。
ピアノのアルペジオというよりグリッサンドがテーマをくり返し、弦楽の抒情的なフォーマットの上で同じテンポを繰り返す。個々ではピアノが通奏であり、管弦楽がソロである。
中間部のピアノの独白からフルートに引き継がれる旋律は美しい。
この辺りからピアノは己が役割に気づいたかのように強くなるけれど、それはやはり協奏ではなく、共奏である。
つまりブラームスっぽいね。
3日間くらい飯食ってないブラームスだ。
けなしてるんではなくて力が抜けてて重なる音の層に風の通る隙間がある。
この楽章は終わりに近づくに連れてよくなる。
第3楽章はピアノと管弦楽の序奏付き。
ピアノの勇ましいテーマに始まり、第2楽章の主題が回想される。
ホルンがブラームスのように落日に向かわず、西日を正面に受けたまま目を閉じることなく淡々と進む。
『ああ、アイルランドの作曲家なんだなあ』という感慨が初めて湧いた。

ジャケットは違うけど録音のソースは同じ。だけど、このターナーの絵で選んだ。「ケニルワース城」でも、この絵、ディテールが少し違う気がする。日没が美しいこの作家の肌理がちょっと甘い気がするんだけど、少しカットしてあるせいなのかなー陽は沈んでゆくのに茜色すぎんか?まあ、これは今は0と1の数値で組み立てたあくまでコピーだからね。でも、好きな絵なのです。

古生物を中心に動物(想像上のもの)を含め、現代動物までを描くイラストレーターです。
露出度が少ない世界なので、自作の展示と趣味として行っている地元中心の石ころの展示を中心に始めようかと思っています。
海と川が身近にある生活なので気分転換の散歩コースには自然が豊富です。その分地震があれば根こそぎ持っていかれそうなので自分の作品だけは残そうかとAdobe stockを利用し、実益も図りつつ、引退後の生活を送っております。
追加ですが、
古いものつながりで、音楽についてもLabを交えてCD音源の部屋をつくっています。娘の聴いてるような音楽にも惹かれるものがありますが、ここではクラッシックから近代。現代音楽に散漫なコレクションを雑多に並べていきながら整理していこうかと思っております。走り出してから考える方なので、整理するのに一苦労です。

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