満足

初版 2024/05/15 15:24

改訂 2024/05/15 15:28

ダヴィド・ポッパー/チェロ協奏曲ハ短調op.24

第1楽章 アレグロ モデラート
第2楽章 アンダンテ
第3楽章 アレグロ モルト モデラート

数十年前にメタルテープを失い、レコードも発売されず、市場にはバカ高い中古の出物しかない状態であったポッパーのチェロ協奏曲第2番。時代は移り変わり、いつのまにやらその第2番のみならず、彼の4曲の協奏曲がすべてYouTubeにアップロードされていた。(いいのかなあ?)
1曲がそれぞれ大体で20-25分程度の楽曲だけど、楽章で分けずに連続で聴ける。
正直ボクは他の3曲にそれほど惹かれるものはないのです。

ただ、どれもまるでヴァイオリンのようにつまり巨人がチェロをヴァイオリンのように抱えて弾いているような印象を受ける。おッそろしく難しそう。
ダヴィドフもポッパー先生も学生が試験の課題としてよくピアノ伴奏で協奏曲を独奏する。当たると嫌だそうです。

何はさておきとにかく第2協奏曲を聴く。

昔のことなのでずいぶん忘れている部分がある。
短い序奏からいきなりチェロの独奏があると思っていたけれど、実際は弦楽が歌うテーマに続いてチェロがそれを引き継ぐ形できわめてオーソドックス。
旋律の独創性は記憶通り、なんたってまるでヴァイオリンなんだから独創的だわね。
ただ、本家のヴァイオリンのパガニーニの協奏曲のようなこれ見ろッてな調子の上滑り(パガニーニファンの方ごめんなさい。)は少ない。
その辺は低音楽器の落ち着きがうまくカバーしているのかも知れない。
ただ、スケール感はなくて、オーケストラが頑張ってシンフォニックに独奏者とぶつかり合うような作風ではなく、やはりチェロ主導であることは確か。ライヴの演奏なんか聞いてると室内管弦楽団でいいような感じ。
まるでヴァイオリンのような旋律の閃きの中でチェロ独特の中低音域の重い旋律線が軽々と浮かび上がり、駆使され、奏者の大変さに比例して聴く方の気分が浮き立つ。
厚い間合いの空気感が懐かしく、聴かして頂きました。

いろんな演奏を一度に聞いたけど、昔の印象か少し我が強い演奏だけど、他にも

マーティン・ルンメルとかアントニオ・メネセスとかのcelloもいい個性です。

でも、ここではメタルテープで記憶に残っている最初に聴いたイルジ・ホセックの演奏を聴きながら書いております。他にも
ユーリ・ホセックというチェリストは名前からチェコ系で、多分地元のプラハ放送交響楽団とよく協演しているんだろうね。
凄く息が合っていてコントラバス、ヴァイオリンの細かいトレモロの中から浮かび上がる歌の呼吸が素晴らしい。
第1楽章のカデンツァは、こういうのはあまり好みではないけれど、チェロでのこの吹っ切れ方は凄い。
緩徐楽章は正直言って全く記憶に残っていなかった。でも、いいね。
ピアノの感覚に縦に入ってくる気分の沈潜ほどではないけれど、管楽が葬送音楽のような入り方をしつつ狭まった行き先を弦楽が広げて行き、そこにチェロのロマンティックな旋律が入ってくる。
ポッパーという作曲家は弦楽四重奏曲でも美しい旋律を聴かせるが、妖精の踊りのようなせせこましいショウピースよりもこういう緩徐楽章で実力を見せる。
中間部のオケとの絡みの中で腹に応えるようなカンタービレが実に美しい。セピア色に沈潜するホルンと遠近を構成するドラムが巧みに憂いを感傷から抒情に引き上げる。
第3楽章も土臭い歌い廻しが昔から気に入っていて歌い出しで『ああ、これだ』とホントに懐かしかったね。

個人的に尻尾まであんこが入った鯛焼きに巡り会ったような気分で聞き終わりました。
一気呵成。 全曲をどうぞ。(ホントにいいのかなあ。いつ削除されるかも知れないよ。)

古生物を中心に動物(想像上のもの)を含め、現代動物までを描くイラストレーターです。
露出度が少ない世界なので、自作の展示と趣味として行っている地元中心の石ころの展示を中心に始めようかと思っています。
海と川が身近にある生活なので気分転換の散歩コースには自然が豊富です。その分地震があれば根こそぎ持っていかれそうなので自分の作品だけは残そうかとAdobe stockを利用し、実益も図りつつ、引退後の生活を送っております。
追加ですが、
古いものつながりで、音楽についてもLabを交えてCD音源の部屋をつくっています。娘の聴いてるような音楽にも惹かれるものがありますが、ここではクラッシックから近代。現代音楽に散漫なコレクションを雑多に並べていきながら整理していこうかと思っております。走り出してから考える方なので、整理するのに一苦労です。

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