心に射す光

初版 2023/06/25 15:29

改訂 2023/06/27 21:06

心の光

ガブリエル・フォーレ

  前奏曲第3番 ト短調 op.103

音楽が息を止める 

俯いたままの男の表情は読めず、いつからそこに居続けたのか

気が付けばうっすらと朝日が射す中に

男の白くなった髪の毛が次第に濃くなってくる光に縁取られて煌めいている。

息を止めるように指先が旋律を止め、何度目かに吐き出された心の音は高く、

そして硬く単調なフレーズの中に男の決意の分だけ暖められた血の管が開く。

崩れかけては立て直す心は、立て直すたびに過ぎ去る時間に暖められ、

冷えた背中を通してさしてくる光に色づき始める。

そこから動かないまま老いてゆく心を避けるかのように周りの風景がつかず離れず移ろってゆく。

男は川面に立つ一本の杭のように路傍に薄い影を引き、

音楽はその周りのあまり多くない全てを歌う。

心を薄い紙切れが背後から炎を当てられたように燃やしてゆく。

フォーレの前奏曲は描くのではなく、石榑から像を生み出すように硬い周囲を削ってゆく。

削られ尽くして

最後に残されたものは

心の中で暖められた一瞬で消える光

ドワイヤンのピアノが聴きたかったが、3番だけというのがなかった。もう少し突き放して演奏してくれるといいのだけれど、

鍵盤の上をしなやかに次の音をのためにかざす指が追っている。そんなに優しく弾かないでくれ。もっとザッハリヒに…フォーレのセピア色の風景を見せて欲しい。

古生物を中心に動物(想像上のもの)を含め、現代動物までを描くイラストレーターです。
露出度が少ない世界なので、自作の展示と趣味として行っている地元中心の石ころの展示を中心に始めようかと思っています。
海と川が身近にある生活なので気分転換の散歩コースには自然が豊富です。その分地震があれば根こそぎ持っていかれそうなので自分の作品だけは残そうかとAdobe stockを利用し、実益も図りつつ、引退後の生活を送っております。
追加ですが、
古いものつながりで、音楽についてもLabを交えてCD音源の部屋をつくっています。娘の聴いてるような音楽にも惹かれるものがありますが、ここではクラッシックから近代。現代音楽に散漫なコレクションを雑多に並べていきながら整理していこうかと思っております。走り出してから考える方なので、整理するのに一苦労です。

Default