Ricoh GR1s (フィルム)とGR III (デジタル)
フィルム時代のGR1sとデジタル化されたGR IIIが手元にあるので,誰でも考えるように並べてみたくなります。まぁ,それだけの話です。 Ricoh GR1s | MUUSEO(ミューゼオ) https://muuseo.com/MOR/items/33 MOR Ricoh GR III | MUUSEO(ミューゼオ) https://muuseo.com/MOR/items/55 MOR リコーのフィルム時代の高級コンパクトカメラであったGR1sとデジタル時代の高級コンデジであるGR IIIはフィルムと撮像素子の大きさの違いから搭載されているレンズは前者は28mm F2.8,後者は18.3mm F2.8と異なっていますが画角はどちらも35mm判換算で28mmです。同じ開放F値でも当然焦点距離が長いGR1sのほうがボケ量は大きくなります。あまりボケを活かして撮るというような性質のカメラではないにしても表現の幅が広いかどうか,と言われれば理論的にはGR IIIよりもGR1sのほうに軍配があがります。ただ,GR1sは近接撮影時にはファインダーにパララックス補正が表示されますが,ある意味アバウトなので近接で厳密なフレーミングは困難です。フレーミングに関しては撮像素子に届いている画像がそのまま見えているデジタルカメラにはフィルムカメラはとても太刀打ちできません。ただ,そんなにすごく厳密なフレーミングをするのか,と言われると撮影者である私の技術やセンスがたいしたことはないので,フレーミングもそれほど気にする必要もないのかもしれません。 両者を並べてみると以下のようになります。まずは前から。 後ろから。 真上から。 裏側。 正面。 並べてみると大きさ,形のいずれもよく似ていることがわかります。よく似ている,というよりはよく似せた,というべきかもしれません。シャッターボタンの形までそっくりです。確かにフィルム時代のGR1シリーズはひとつの完成形だったとも言えるのでそれをデジタル時代に踏襲する,というのはひとつの考えかただと思います。GR1sとGR IIIの大きな違いは露出補正ダイアルの有無とダイアルの機能です。GR1sの絞りダイアルはGR IIIではモードダイアルになり絞りは目盛のないダイアルで変更します。GR1sにあった露出補正ダイアルは消滅し,GR IIIでは右手の親指が届く位置のレバーに置き換えられています。右手だけで操作ができる,という点でより合理的ですし,GR IIIには液晶モニタがあるので絞り値や露出補正量の設定状態はダイアルではなく液晶を見ればよい,という考えなのでしょう。 両者は大きさは同じくらいに見えますが持ってみるとデジタルのGR IIIのほうがずっと重く感じます。もちろん,GR IIIも十分に軽いのですが比較すると違いを感じます。液晶モニタをはじめとして筐体内に部品がぎっしり詰まっているからでしょう。フィルムのGR1sは当然ですが,フィルムのスペースはスカスカで,かつそのスペースが筐体内部の大部分を占めています。GR1sは軽くて当然です。 それにしても,GR1sの発売からほぼ20年,それにもかかわらず,ほとんど同じように見えて中身が全く異なるカメラが2台並んでいるというのはなんとも感慨深いものがあります。