Hologon T* 16mm F8 (G)

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Hologon 16mm F8はGシリーズの登場時からラインナップされていました。Hologonのみがドイツ製で,おそらくZeiss本体(?)による製造だったのかもしれません。ZeissはHologonの復活に強い意欲を示していた,という説もあります。

WikipediaによるとHologonの発売時(1994年)の希望小売価格は28万円だったようで,Zeissのレンズとしては比較的リーズナブルな価格であったGシリーズにあってダントツの高級レンズでした。

Hologonは最初はレンズ交換式のContarexカメラに15mm F8の超広角レンズを固定した「ツァイス・イコン・ホロゴン・ウルトラワイド 」というカメラとともに1968年に登場します。その後1972年にLeica Mマウント用の交換レンズとしてHologonはごく少数(400本くらい?)製造されたようですが,滅多に見かけることはありませんし,あっても普通に100万円超の価格で取引されています。2024年9月に松屋銀座で開催された世界の中古カメラ市ではじめて実物を見ましたが,200万円以上の値が付いていました。

Contax Gマウントで復活したHologonは登場時にはずいぶんと話題になったように記憶しています。しかし,その価格から自分には無縁だと思っていました。2002年頃にはモニターキャンペーンと称してBiogon 21mmやHologon 16mmが希望小売価格の1/4ほどで投げ売りをされていたようです。京セラのカメラ事業撤退に向けての在庫一掃セールだったというもっぱらの噂ですが実際のところはわかりません。新品のHologonが7万円くらいだったというのは驚きの価格です。

ただ,これに関しても真偽不明の都市伝説があるようで,シリアル番号が812xxxx番台あたりの個体がモニターキャンペーンで投げ売りされていて,投げ売り対象の個体は実はデキが悪い個体だという怪しげな話です。ちなみに,私の手元にある個体はまさにその投げ売りバージョンと噂される812万番台の個体です。

Contax G用のHologonは3群5枚構成で前玉は大きな半球,後玉は小さな半球形状で絞りはなくF8固定です。超広角レンズも標準レンズと同様に最初は対称型レンズからはじまり,Biogonタイプを改良というか洗練・単純化をしてHologonになったという考え方もあるようです。Zeissの超広角対称型レンズといえば私のなかではBiogonよりもTopogonのほうがしっくり来ます。別に何かの根拠があるわけではありませんが,HologonはTopogonの改良型なのではないか,と個人的には考えています。だからどうだってことはないのですが。

Hologonはバックフォーカスが極端に短く特殊な形状であるため,Contax Gマウント用のマウントアダプタではミラーレス一眼カメラに取り付けることができません。Leica Mマウントに改造して使うのがお作法です。Leica Mマウントへの改造をやってくれるところはいくつかあるようですが,台湾あたり(?)で開発されたらしいマウント部分をごっそり入れ替えるキットを調達して自分でマウントを交換するのが安上がりで簡単です。かつては3万円くらいでしたが,円安もあって値段が高騰しています。eBayでは香港から発送されるものが見つかることが多いように思います。アメリカから送られるものや台湾から送られるものもありますが,ブツは同じものだと思います。Hologonを使ってContax G1/G2以外のカメラで撮影するためには絶対に必要ですので,ヤフオクで未使用品がでているときにすかさずゲットしました。マウントの交換は簡単でネジを3本はずすだけです。Made in Germanyと刻印されたマウントを取り外すのはちょっと残念ですが,いつでももとに戻せるので気楽に試すことができます。ここに並べている写真の個体もLeica Mマウントに交換済みのものです。

Leica Mマウントに改造したHologonをSonyのαシリーズで使うにはLeica MマウントをSony Eマウントに変換するアダプタを介して当然のように装着できますが,Hologonの後玉の保護用ガードがシャッター幕と干渉してシャッター幕が壊れる危険があります。レンズを上向きにしているときは干渉しないけどレンズを下向きにすると干渉する,という本当にごくわずかのシャッター幕のたわみによって干渉したりしなかったりするという話があるほどのギリギリぶりです。したがってSony αで使う時は電子シャッターで撮影する,が基本です。

私はSony αに装着するのが怖かったので,Leica M Monochrom Typ 246に装着して撮影してみました(これも怖かったけど)。

Hologonの特徴は,超広角にもかかわらず歪曲がない一方で周辺光量落ちが非常に大きい,という点です。フィルムカメラの時代はあまり問題になりませんでしたが,デジタルカメラになってからは光がセンサーに正面から入射しないと感度が悪くなるという特性によってバックフォーカスが短いレンズはデジタル一眼での撮影には周辺の色被りなどが問題になるようになりました。Leica M246はモノクロセンサーなので色被りは本質的にありませんが,周辺光量が大幅に落ちているのはレンズ本来の周辺光量落ちに加えてテレセントリック性が満足されないことによるセンサーの感度低下が原因だと思われます。いくらなんでも落ちすぎ,というくらい落ちます。

このレンズによる作例を
https://mor-s-photo.blogspot.com/search?q=Hologon+16mm+F8
においています。

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