DVD「ジュニア・ボナー 華麗なる挑戦」

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 1972年製作。いきなり個人的な話ですが、私が映画を本格的に観出した70年代後半、スティーブ・マックイーンの人気の高さは『ロードショー』『スクリーン』といった映画雑誌の紙面から十分感じ取られるものでした。というのも、この当時は『タワーリング・インフェルノ』以後の俳優としての活動が作品となって出現していない期間で、その渇望感からか新作に関する憶測記事が散見されるほどだったからです。そうなると、「新作がだめなら旧作を」というのが人情ですが、これが東京やその近郊の名画座ではなかなかマックイーンの出演作の上映情報が見つからず、結局映画館で観ることができたのは『華麗なる賭け』、『ブリット』、そして本展示アイテム収録作くらいで、あとは悉くテレビ放映で、でしたね。一応、観に行く前には本作がサム・ペキンパー監督であり、マックイーンは同監督の次作の『ゲッタウェイ』にも出演した、という程度の予備知識はあり、さらにはその時点では『ゲッタウェイ』はすでにテレビ放映されたものを観ていたので、「あんな感じのアクション映画なのか」という先入観で上映館に赴いたのですが、まったくと言っていいほどの異質な作品で正直拍子抜けしました。
 あらすじは、「元ロデオ・チャンピオン、ジュニア・ボナー(スティーブ・マックィーン)は、自分を振り落とした荒牛サンシャインを追って、故郷アリゾナ州プレスコットに帰ってきた。「オーストラリアで一山当てる」と未だ見果てぬ夢を追って牧場を売ってしまったロデオ・スターの父エース(ロバート・プレストン)や、父と別居中の母(アイダ・ルピノ)、そして、実業家の兄(ジョー・ドン・ベイカー)と再会を果たし、ギクシャクしながらも、家族の絆を確認しあう。そして、地元のロデオ大会でジュニア・ボナーは再び荒牛サンシャインと対峙した…。」というもので、ストーリー自体は理解しやすかったものの、10代の世間知らずの男子であった当時の私には凡作に思えました。
 ですが、この作品の良さは、ある程度人生経験を積んでから観ると、沁みて理解できる類のものであることを、今回この紹介文を作成するにあたって再び観返してみて実感しました。この作品の製作当時、マックイーン自体もすでに40歳代であり、実際には『タワーリング・インフェルノ』以後、映画人としての新たな道を模索することになったのですが、この作品の中の主人公ジュニア・ボナーはそれができず、時代の変化に応じた周囲の状況の移り変わりにも背を向き続ける、この何とも言えない哀感は、やはり若者には理解し難いものでしょうね。
 また、ペキンパーの作品というと、最初に本作を観た当時、『コンボイ』『わらの犬』は観ていたものの、他の作品、例えば『ワイルドバンチ』や『ガルシアの首』などといったペキンパーの代名詞といった作品を観るのは後年になってから、だったのですが、本作を予め観ておいたことで、これらの作品の見方にも変な先入観を持たずに臨めた、そんな効果もありました。
https://www.youtube.com/watch?v=xmq-bBCr-q0
#DVD #ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦 #サム・ペキンパー #ジェリー・フィールディング #スティーブ・マックイーン #ロバート・プレストン #アイダ・ルピノ #ベン・ジョンソン #ジョー・ドン・ベイカー #バーバラ・リー 

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    woodstein

    2020/05/17

     (full movie)字幕はありません。
    https://www.youtube.com/watch?v=tOkZoAa9VMc

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  • Polar bear polygon blue silhouette

    recopan

    2020/07/06 - 編集済み

    woodsteinさん、私もタワーリングインフェルノのオハラハン隊長にやられて、スティーブ・マックイーンを追っかけておりました。その後の劇場で観たのが、リバイバル上映のパピヨンでしたが、当時はリバイバルでもロードショー扱いであったので、大スクリーンで鑑賞することができ、とても良かった思い出です。

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      woodstein

      2020/07/07

       recopanさん、コメント有難うございます。『パピヨン』は、私個人は結局劇場で観る機会がなく、残念でした。リバイバル公開は1977年だそうで、その頃、私はまだ劇場で映画を観られていなかったわけですがね。本編もさることながら、この作品で素晴らしいのは音楽で、ジェリー・ゴールドスミスの作曲群の中でも、その旋律は最も有名な曲の一つですね。そのサントラ盤は、いつになるかわかりませんがいずれ紹介したいと思っています。

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    • Polar bear polygon blue silhouette

      recopan

      2020/07/07

      ジェリー・ゴールドスミスの音楽との映画のマッチングは素晴らしく、音楽と共に映画を思い出すという感じです。写真は当時のパピヨンのパンフレット、確かに1977年でした。

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    tomica-loco

    2020/07/07

    この写真のマックィーンは仁義なき戦いの千葉真一扮する大友に見えてしまいました。

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      woodstein

      2020/07/07

       tomica-locoさん、コメント有難うございます。下の画像ですかね。私には想像もできない見方でした。

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      tomica-loco

      2020/07/07 - 編集済み

      似てますよね。大友勝利のセリフ奴らはオメコの汁でメシ食うとるんど‼︎って広島弁で言っていたら笑っちゃいますけど
      不適切な文章だから
      もしかして削除🆑されるかも

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