ウルトラセブン VOL.7

0

 名作の誉れ高いウルトラセブンといえども、全49話もあれば中には杜撰なストーリー展開のものもあるわけで、その代表格が第27話「サイボーグ作戦」でした。まず、通信隊員野川の婚約者早苗が朝日沼に引き込まれた自動車から振り落とされて失神した状態で発見された旨が、いきなりウルトラ警備隊の作戦室に連絡された時点で破綻しています。どう考えても警察案件であり、早苗の身元と行方不明の野川の肩書が判明した時点で、初めて防衛軍極東支部に連絡されるのが筋です。なぜ、こんなことをいうのかというと、第14話の冒頭で来日外国人が相次いで変死する事件に警備隊隊員が調査したい旨を進言するも、キリヤマ隊長がそのような事件は警察案件だから、ということで却下するシーンがあったからで、子供心にも違和感を持ったものでした。ただ、以上のことはストーリー展開をスピーディーにするためには止むを得ない、ということで百歩譲ったとしても、セブンに最後のプレート爆弾の所在を問われたときに、ボーグ星人がその場所をあっさりと回答したのは納得できなかったですね。明かさなければ、セブンにかなりのダメージを与えることができたわけですから。
 まあ、本ディスクに収録されている市川森一氏脚本の2作が割と重い内容なので、そのバランスをとってこのような御都合主義のエピソードをブッコんだのかもしれません。
#DVD #ウルトラセブン

Default
  • File

    A-chan

    2020/10/16

    こんばんは。
    こちらに同時収録されている「ひとりぼっちの地球人」は「セブン」の中でも切ない話の1つですね。電送移動機を発明した一の宮青年ですが、彼の理論は理解されなかったのでは無く危険視されたのではないでしょうか。
    人体を電送できればこれほど便利で楽な移動法はありませんが、それが悪用されたり大きな事故を引き起こしたりしたら大問題です。「電送人間」は電送機を悪用して犯罪を重ねてましたし、電送中に電送機に異物が入り込めば「ハエ男の恐怖」のような恐ろしい事態を招きかねません。
    「メカゴジラの逆襲」の真船博士然り、天才肌の人物になると自分が完璧だと思うあまり常識的な考え方ができなくなるようですが、一の宮氏もその類のようですね。周囲に誰か親身になって忠告してくれる人がいれば、宇宙人の口車に乗るような事にはならなかったのではないかと思うと一の宮氏が気の毒です。

    結局、一の宮氏は侵略者と心中という形で地球を救いますが、彼は地球人を救いたいというよりは地球人としての誇りを貫きたかったのかもしれませんね。彼は今も宇宙からひとりぼっちで地球を見ているかもしれません。

    返信する
  • File

    A-chan

    2020/10/19

    連続失礼します。
    同時収録の「超兵器R1号」このエピソードは痛ましいです。本当に酷過ぎる。許してなんて言えませんよ。
    ギエロン星獣は、きっとオカメインコに似た小鳥だったと思います。確かに、小動物であれば怪しい物体(調査用カメラの類)が迫ってくれば、岩の隙間にでも隠れてしまうから見つかりっこありません。ハナから無生物惑星と決めてかかった杜撰な調査が伺えます。

    ギエロン星獣は超兵器で体をバラバラにされたら再生する(過剰な身体破壊に反応する)体質に変異したようですが、そんな彼が超兵器に頼らない普通のやり方(喉元を斬る)であっさり倒れてしまいました。この展開は、ギエロン星獣が身をもって「過度の超兵器に頼らなくても敵は倒せる」という事を示してくれたようなものと受け取っています。
    その証拠に、ゴジラ映画の「怪獣大戦争」や「ゴジラ対ガイガン」では、地球人は科学万能主義の侵略者の盲点(生理的弱点や鉄壁の装備の脆い部分)をついて超兵器に頼らずに侵略者を撃退しています。地球防衛軍の科学者陣は、地球の平和を過剰に求めるあまりに大切なものを見失っていたのではないでしょうか?

    ともあれ、地球人がギエロン星獣の死から何かを感じ取り目を覚ましてくれれば、彼の死は無駄では無くなると思います。

    返信する
    • File

      woodstein

      2020/10/25

       A-chanさん、2度に亘り、コメント有難うございます。返事が遅くなって申し訳ありませんでした。
       まずは『超兵器R1号』についてですが、軍備拡張競争をモロボシ・ダンに「血を吐きながら続ける悲しいマラソン」と言わせることで、結果的には世代を超えてこのエピソードを視聴する、その時々の少年少女に強烈な印象を与えることになった市川森一氏の作家としての創造力は「素晴らしい」の一言です。ちなみに、1999年にはこのエピソードを基にして「最終章6部作」なるオリジナルビデオ作品が制作されたのも、おそらく把握しておられると思われます。まあ個人的には、この作品や後日譚ともいえる「最終章6部作」の結末にはいろいろ言いたいこともありますが、ここでは申し上げないこととします。さて、本題のギエロン星獣の処理に関してですが、様々な解釈があっていいと思います。そして、ここからはヨタ話になりますが、昔、やはりウルトラシリーズ好きとの酒席で、なぜギエロン星獣はウルトラセブンのあの程度の攻撃で止めを刺されたのか、が話題になったことがありました。それで、そのウルトラシリーズ好きの彼の意見が面白かった、すなわち、地球人を恨みに思っているので、地球人からの攻撃には死んでも堪えるが、セブンは地球人ではないからその者からの攻撃には脆い、との説で、反論する気にもならなかったので、その場ではそんな結論となりました。
       次に『ひとりぼっちの地球人』についてですが、『超兵器R1号』と同じ市川森一氏の脚本で、非常に味わい深い意味が込められているエピソードであり、個人的には『ウルトラセブン』全49話の中で最も好きな作品です。それ故、この場ではなく、いずれ別の機会にじっくりと語ってみたいと考えていますので、ここではこの程度でお茶を濁させて戴きます。

      返信する