Neometacanthus stellifer

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ドイツの有名古典的産地アイフェル (Eifel) のネオメタカンサス・ステリフェル (Neometacanthus stellifer) です。モロッコの一般種の、メタカンシナ (Metacanthina) やホラルドプス (Hollardops) にそっくりな種ですが、モロッコ種と比較し、本種は市場で目にする機会が少なく貴重です。

モロッコ類似種と比べると、20mm程度とサイズの小ささが際立ちます。三葉虫マニアのバイブル、"TRILOBITI"にも本種は掲載されていますが、本標本と同程度の大きさであり、他方、他のコレクターの方の標本を参照をしても同サイズです。

この種に限らず、アイフェル産の三葉虫の一部は、モロッコ類似種の縮小版のような種が多いです。当時、ゴンドワナ大陸側のモロッコとユーラメリカ大陸側のアイフェルは、レイク海 (Rheic ocean) を挟んで、向かい合う位置関係にあります。近い位置にある両産地の三葉虫の形態が似ているのは理解できるものの、縮尺だけが異なるという事が実に不思議です。

どのような環境の違いが、モロッコの三葉虫群を巨大化させ、もしくはアイフェル三葉虫群を小型化させたのか、興味深くあります。

本標本は写真5枚目にちらっと写っているように、実は同一母岩に別の三葉虫 (Geesops schlotheimi) も共存する標本です。スペースの都合上、こちらは別途紹介いたします。

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    Trilobites

    2023/03/09 - 編集済み

    私の所有個体も同様のサイズです。Eifel産は、本種に限らず小さめなので、モロッコと年代は同じでも寒冷地か棲息域がやや深めだったと勝手に理解してました。

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    • 説明文中の、他のコレクターの方の標本、というのがまさにTrilobitesさんの標本に言及しておりました。
      Eifel産は全般的に小さめですよね。なるほど、寒冷地や水深の深いところでは、サイズが小さくなるという事がありうるのですね。あまり考えたことがなかったです。

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    ktr

    2023/03/11 - 編集済み

    デボン紀の三葉虫はモロッコの一人勝ちか、と思っていましたが、意外と北米が健闘していますね。
    ただし欧州産となると、やはりどうも分がわるいようです。
    一般的にはモロッコの近縁種(アステロピゲの仲間)でじゅうぶんでしょうけど、私はモロッコ産だけでは埋められない何かを欧州産が満たしてくれるように感じていて、この標本などにもとても惹かれます。

    あと、こちらでいうのも何ですけど、タイポを見つけたので。
    C. gibbus
    Comptonaspis

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    • 私の偏った収集品だと、未登録の分を含めても、デボン紀欧州産はドイツ物数点あと少々という感じですが、Trilobitesさんやtatsutoyさんのデボン紀標本を併せて見ていると、ドイツほか、チェコ、フランス、スペインなど、多くはないものの、あるところにはあるんだなと感じます。
      私の場合、モロッコの化石で埋められないその何かは、化石っぽさといいますか、年代相応の古びた質素さかもしれません。モロッコの化石は綺麗ですが、それは勿論すぐれた点でもありつつ、侘び寂びがちょっと足りないと感じなくもないです。

      それと学名の間違い、ご指摘ありがとうございます。修正させていただきます。

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