KONISHIROKU HEXANON 1:1.4 f=52mm

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小西六は1960年に最初の一眼レフカメラKonica Fを投入します。Konica Fとともに登場したレンズは35mm F2, 52mm F1.4, 85mm F1.8, 135mm F2.8の4本でした。Nikon Fよりも高価な高級カメラで,世界初の1/2000の高速シャッターを搭載しての登場でしたので,レンズも高級路線でいずれも当時としては明るい大口径レンズばかりでした。なかでも,52mm F1.4はバックフォーカスを長くとらねばならない一眼レフにあって当時の技術でこのスペックを実現するのは相当にたいへんであったことと想像されます。レンジファインダーカメラのようにバックフォーカスが短いカメラではSonnar型のようなレンズ構成でも50mm F1.5を実現できましたが,一眼レフカメラには適合できませんでした。ダブルガウス型にしても1960年前後では50mmでF1.8やF2のレンズはなんとかなってもF1.4は非常にハードルが高かったようです。かの有名な富岡光学でも標準レンズは55mmだったことからもその難しさがうかがえます。

小西六は,50mm F1.4をどうしても実現する,という目標を持って一眼レフカメラを設計したように思われるところがあって,フランジバックを40.5mmとするためにミラーがレンズに干渉しないようにミラーが跳ね上がるときの動きに工夫を加えています。ミラーの軌道の設計と50mm F1.4を実現可能なフランジバックの兼ね合いからマウントの仕様が決まったのではないか,と思われるのです。小西六の試作機では実際に50mm F1.4がついていたようですが,製品版では52mm F1.4になったようです。いずれにしても,一眼レフを投入するにあたって小西六がたいへんな力を入れていたことは間違いありません。

1960年に登場した最初の4本のコニカFマウントレンズはいずれも非常に数が少ないようです。コニカF自体が1500台程度の生産数という説もあるので,数が少なくて当然です。さすがにセットレンズとして供給された52mm F1.4はときどき見かけますが,それ以外の3本はヤフオクでもeBayでもまず見かけることがありません。一度だけ,ヤフオクに85mm F1.8が出品されているのを見かけましたが(一説には生産数は500本くらい),かなり高価であったにもかかわらず落札されていました。またコニカFマウントはフランジバックが短いため他のいかなる一眼レフカメラにも取り付けることができません。レンジファインダーカメラであれば取り付けることができるため,52mm F1.4のマウントをライカMマウントに改造したものをときどき見かけます。もちろん,距離計には連動しないのでミラーレスで使うことが大前提だと思われます。それでも,52mm F1.4は改造してでも使いたい,と考える人が多少なりともいる,ということなのでしょう。

ネット上の情報によると,52mm F1.4の初期型はフィルタ径が49mmであったようですが,その後,コニカで標準となる55mm径のものが登場します。いずれも同じ5群7枚の変形ダブルガウス型ですが,当然のことながら光学系は再設計されています。52mm F1.4はなぜかARマウントには引き継がれず,57mm F1.4にとって代わられてしまいます。

手元の個体はフィルタ径が55mmのものです。状態は可もなく不可もなくというところで実用上の問題はありません。後ろの3枚の写真は小西六純正のコニカFマウントレンズをARマウントカメラに装着するためのアダプタ(Konica Lens Adapter)を取り付けてARマウントレンズとして使えるようにした状態です。このマウントアダプタについてはマウントアダプタのフロアでいずれ紹介したいと思います。

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