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Retina-Tele-Arton f:4/85mm
Schneider-Kreuznachがデッケルマウントのコダックレチナ用に供給したコンパクトな中望遠レンズです。コンパクトなぶんだけ開放F値は大きく現代の感覚では85mmでF4ってどうなの,という感じになりがちですがレチナが現役だったころは明るくはないにしても特別暗いという感覚ではなかったのだと思います。 このレンズについてはあまり情報がないのですが,4群5枚のXenotar型の構成のようです。デッケルマウント用レンズのご多分にもれず,最短撮影距離が長く,1.8mもあるので使い勝手はあまりよくありません。また,レンズ先端のフィルター枠がバヨネット式のため汎用的なねじ込み式のフィルタが使えませんし,キャップでさえも簡単に見つかりません。キャップに関しては被せ式のものを調達すれば実用的には問題ないと思いますが,保護フィルタがつけられないのは個人的には持ち出すときにちょっと怯んでしまいます。 筐体は非常に美しい作りで1950から1960年代のものづくりのこだわりが感じられます。この個体はシリアル番号から1965年の後半から1966年の間に製造されたものと考えられます。 #レンズ #MF #Retina-Tele-Arton #DKL #Schneider-Kreuznach #85mm #F4 #望遠 #単焦点
MFレンズ DKL Schneider-KreuznachMOR
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Contarex Sonnar 85mm F2
Sonnarは1929年にベルテレ博士によって発明されたレンズ構成で,コーティングが発明される前の時代に,空気とガラスの境界面を可能な限り減らして収差を補正し,大口径を実現するものでした。貼り合わせレンズにより,わずかに3群に抑えていることが特徴です。3枚貼り合わせレンズが2群と1枚の前玉の組み合わせという3群7枚構成の85mmのSonnarはSonnarタイプの設計思想が存分に活かされたレンズと言えると思います。 モノコーティングが実用化されると,レンズ群の数を少なくして空気とガラスの境界面を減ずることの意味は次第に薄れてきますが,Zeiss Ikonの超高級カメラであるContarexには,85mmと135mmのSonnarがラインナップされました。特に,85mm F2は,コントラスト,階調,ボケ,発色,大口径が高度にバランスした,絶妙の設計で究極のSonnarとの呼び声も高いようです。Zeiss Ikonはこのレンズの設計に力を入れたのだろうと思われます。1958年の最初のContarexとともに登場し,Zeiss Ikonがカメラ事業から撤退する1973年まで製造が続けられました。その間の15年間に7585本が出荷されたようです(Wikipediaによる)。単純計算で月産50本にも満たず,工業製品として成立するとはちょっと思えないような数字です(もちろん,まとめて生産しておいて在庫を少しづつ出荷していたのでしょうけれど)。 とてもよく写るレンズだと思います。もちろん,よいレンズだというプラセボ効果も多分にあるのでしょうけれど,ボケも自然で滑らかなので積極的に開放を使いたくなります。手元の個体は,前期型の銀鏡筒のもので,比較的コンディションのよい個体でしたが,某マエストロにメンテナンスをしていただいたものです。ある特定のマウントアダプタを使うと確実に絞り羽が動かなくなる,ということがわかりました。正常に動作するアダプタとそうでないアダプタの違いはほとんどわからないのですが,レンズの絞り連動用のパーツを確実に壊すというものでした。まさかそんなワナにハマるとは思ってもいませんでした。 このレンズによる作例は https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/Sonnar%201%3A2%20f%3D85mm に置いています。 #レンズ #MF #Sonnar #Contarex #Carl_Zeiss #85mm #F2 #望遠 #単焦点
MFレンズ Contarex Carl ZeissMOR
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Contarex Distagon 35mm F4
1959年に西ドイツのZeiss Ikonから発売されたContarex用の交換レンズのひとつです。ContarexはZeiss Ikonが威信をかけて開発した究極の一眼レフカメラ,といってよいと思います。商業的には小さくて軽くて壊れないNikon Fをはじめとする日本製カメラに完敗してしまいます。結果として,Zeiss Ikonは1971 (1973?)年にカメラ事業から撤退します。 よく言われるようにContarexのrexはラテン語の王を意味していて,Contaxの王様,という意気込みで名付けられたものです。レンジファインダーのContaxは戦後はLeizがM型Leicaを出したことで大きく水をあけられZeiss Ikonは一眼レフに活路を見出そうとしたのだと思われます。しかし,凝った機構のために,兎に角,大きく重く高価でした。 現代の感覚では暗いレンズであってもContarexの現役時代はたいへん高価であったようです。さすがに現代では比較的安価に(といってもコンディションがよいものはそれなりのお値段で)入手することができます。 35mm F4に限ったことではないのですが,後年のContax/YashicaマウントのCarl Zeissのレンズはどちらかというと派手な発色でコントラストがはっきりした印象がありますが,レンジファインダーのContax Cマウントや一眼レフのContarexマウントのレンズはモノクロ時代のレンズということもあって,どちらかというと階調を重視したバランスであるように思います。それでも解像感は十分で階調と解像感をうまくバランスさせているのがContax/Yashicaマウントより前のZeissのレンズのよいところであると勝手に考えています。 手元の個体はシルバー鏡筒の前期型で,最短撮影距離は19cmで35mmレンズとしてはとても寄れます。これはいざというときには本当に便利です。ボケ味とかそういう概念がない時代のレンズなのですが,絞り羽根は8枚あります。 このレンズによる作例は https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/Distagon%201%3A4%20f%3D35mm に置いています。 #レンズ #MF #Distagon #Contarex #Carl_Zeiss #35mm #F4 #広角 #単焦点
MFレンズ Contarex Carl ZeissMOR
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M-HEXANON LENS 28mm F2.8
1999年に登場したコニカ のHexar RFはライカM型とほぼ互換性のあるレンジファインダーカメラです。ライカに遠慮してかレンズのマウントはKMマウントという名前になっていました。微妙に距離計の連動が異なっていたようです。これはHexar RFの基線長がライカMのそれよりも少し(2.8mm)短かかったことが原因かもしれません(本当のところはよくわからない)。当時は,KMマウントのレンズをライカに装着して使えるように距離計の連動カムを調整するというサービスもあったようです。 M-Hexanon 28mm F2.8はHexar RFの広角レンズとして1999年にHexar RFとともに登場します。2003年ころまでは販売されていたようです。よく言われるのはライカの第4世代のElmarit M 28mm F2.8とウリ二つのレンズ構成で,よく写るレンズだというものです。和製エルマリートなどと呼ばれたりしたようですが,そのように呼ばれること自体,なんとなく負けた感があるというか,最初から負けているという感じがします。 そうはいっても,コニカはHexar RFに相当,力をいれていたようで,この28mm F2.8も構成レンズの全ての面をマルチコーティングして絞り羽も10枚というとても贅沢なつくりで,当時のコニカの意気込みが伝わってきます。 イマドキのレンズと比べるようなものではないと思いますが,開放からシャープできっちり写り,コントラストもある,今風の写りのレンズだと思います。なんというか,普通にちゃんと写るレンズ,と言えばよいでしょうか。もちろん21世紀にはいってすぐの頃に発売されたレンズでもまだ現役のものもあることを考えればM-Hexanon 28mm F2.8が「よく写る」ことはあまり驚くことではないのかもしれません。 このレンズによる作例を https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/M-HEXANON%20LENS%2028mm%20F2.8 においています。 #レンズ #MF #M-HEXANON #LM #Konica #28mm #F2.8 #広角 #単焦点
MFレンズ LM KonicaMOR
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RMC TOKINA 17mm F3.5
Tokinaの17mm超広角レンズです。1979年に発売され,2008年まで生産されていたということですので30年近いロングセラーだったことになります。非球面レンズや異常分散ガラスなどの高級なものを一切使っていないレンズ構成で,廉価版としての位置付けだったと思われます。そのわりにはよく写る,とも言えます。超広角レンズとしては小型の部類といえ,前玉が飛び出していないので普通に前枠にフィルタをねじ込むことができて便利です。ちなみにRMCはrainbow multi coatingの略で7層膜の多層膜コーティングだそうです。 ロングセラーだった割にはたくさん売れたわけではないようで,中古品をあさっていてもあまり見かけることがありません。 色々なマウントで発売されていたようですが,手持ちの個体はPentax Kマウント用で,電子接点のないタイプです。いつどこで入手したのかまったく記憶にありません。ある日,防湿庫の奥から発掘されたのですが,それまで所有していることさえもすっかり忘れていました。 #レンズ #MF #RMC_TOKINA #PK #Tokina #17mm #F3.5 #広角 #単焦点
MFレンズ PK TokinaMOR
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SUPER ROKKOR 5cm F1.8
千代田光学精工(のちのミノルタ)は1947年にバルナックライカコピーの35mm判レンジファインダーカメラMinolta-35Aを市場に投入します。フィルムは35mm判でしたが,撮影範囲は24x32mmのニホン判が採用され,そのときの標準レンズは「梅鉢」の名で知られるChiyoko SUPER ROKKOR C 45mm F2.8でした。その後,いくつかのモデルを経て1958年にMinolta IIbで24x36mmのライカ判が採用されますが,このモデルがミノルタの最後のレンジファインダー機となります。 SUPER ROKKOR 1:1.8 f=5cmは1957年か1958年に登場したと考えられていますが,某所での考察によるとMinolta IIbの前年の1957年に市場投入されたと考えられるとのことです。これは,ミノルタ独自の複層膜コーティングであるアクロマチックコーティング(AC)が実用化されたタイミングが1958年で,かつ,SUPER ROKKOR 1:1.8 f=5cmにはACによるコーティングが施されていないことから推察されています。 いずれにしても,SUPER ROKKOR 1:1.8 f=5cmは千代田光学がリリースした(ほぼ)最後のL39マウントレンズであったことは容易に想像できます。このモデルの前,おそらく1954年ころには梅鉢の上位の高速レンズとして5cm F2の標準レンズがリリースされています。しかし,このF2のレンズはかなりの暴れ玉のようです。一方のF1.8はよく写るレンズという定評に加えて,販売期間が短かったこともあって,千代田光学がライカコピーの最後を飾るレンズとしてそれなりの人気があるようです。 私は普通の人なので暴れ玉の5cm F2ではなく普通に写るであろう5cm F1.8を探していましたが,それなりによいお値段のためなかなか手が出ませんでした。結局,価格の誘惑に負けて絞り羽に少し油染みのあるあまり状態の良くないものを入手しました。このレンズはダブルガウス型の第2群の張り合わせレンズを二つにわけた5群6枚構成であり,Carl Zeisのウルトロンと似たような構成です。 撮ってみると確かに解像感が高く,絞ればかなりかっちりとした像を結び,よく写るという印象です。ただ,ハイライトが簡単に飛んでしまうようなところがあるように私には感じられます。そのため,陽の光を受ける金属面などがのっぺりしてしまい金属の質感が感じられなくなる場合がありました。その一方で,ハイライト以外では階調が豊かで陰影のある木の表面などの質感表現はたいへん優れていると感じます。 ところが,暗部よりも明部のほうが粘る,という意見もあるようで,そのあたりは被写体のどこに注目しているか,によって感じ方が異なるのかもしれません。いずれにしても,被写体を選ぶようなところが無きにしも非ずなのですが,よく写るか,と問われれば定評どおりよく写るレンズだと思います。 このレンズによる作例は https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/SUPER%20ROKKOR%201%3A1.8%20f%3D5cm に置いています。 #レンズ #MF #Super_Rokkor #L39 #Chiyoda_Kogaku #Minolta #50mm #F1.8 #標準 #単焦点
MFレンズ L39 Chiyoda KogakuMOR
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smc PENTAX-A 50mm F1.2
旭光学は1984年にプログラムAEを含む自動露出に対応したPENTAX Super Aを登場させるとともに自動絞りに対応したsmc PENTAX-Aレンズもラインナップします。Aレンズはマウントの物理形状はそれまでのKマウントから変更はされていませんが(というか,現時点でのデジタル一眼レフの最新モデルであるK-3 Mark IIIまで変更されていません),絞り情報を伝達するための電気接点が追加され,KAマウントとなります。 このとき,50mm F1.2もリニューアルされます。レンズ構成は前モデルを踏襲して6群7枚の拡張ウルトロン型ですが,レンズの曲率などは再設計されているようです。また,絞り羽は前モデルの8枚から9枚に変更されています。フィルムの一眼レフカメラがAF化されてMFのAレンズが少しずつ整理されていく中で50mm F1.2だけは旭光学の一眼レフ用のもっとも明るいレンズとして生き延びます。2000年にはPENTAX LXの特別バージョンが発売されますがその際に標準レンズとしてシルバーの50mm F1.2がセットされます。シルバーの50mm F1.2はLimitedシリーズを彷彿とさせる意匠で高級感のあるものでした。 標準モデルの50mm F1.2はその後も生き続けます。デジタル一眼レフの時代に入ってもカタログに残っていましたが,2011年頃にカタログから消えたようです。27年にわたるロングセラーだったことになります。MFレンズなのでもちろんAFは使えませんが電気接点も絞り環もあるので,歴代のあらゆるKマウントカメラで使うことができるオールマイティなレンズです。F1.2で少し大柄ですが,最近の肥大化したレンズと比較すればむしろコンパクトと言ってもよいと思います。 作例を以下においています。 https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/smc%20PENTAX-A%2050mm%20F1.2 #レンズ #MF #smc_PENTAX-A #PK #Pentax #50mm #F1.2 #標準 #単焦点 #大口径
MFレンズ PKA PentaxMOR
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Carl Zeiss Jena BIOTAR 5.8cm F2 T
Carl Zeiss JenaのBiotarです。4群6枚構成の典型的なダブルガウス型のレンズで,グルグルボケで有名です。戦前の初期型は球面形状の絞り羽でしたが,戦後に登場した前期型では通常の平面形状の絞り羽となっています。また,前期型以降はモノコーティングが施されており,レンズ銘板には赤字でTの刻印がはいっています(中期型の途中からTの刻印は省かれます)。 旧ソ連製のHelios-44がグルブルボケで一部のインスタな人たちにウケているようですが,Biotarはそのコピー元となったレンズです。第二次世界大戦の終戦時にソ連はドイツから技術者も含めてレンズに関するあらゆるものを接収してコピーを作り始めています。その後,ソ連製レンズは単なるコピーから独自の発展をしていきます。 Biotarは前期型の一部を除いて全てシルバー鏡筒でした。この個体はブラックの前期型でシリアル番号が327万番代ですので,1949年頃に製造されたと思われます。また,外観からおそらく前期型のなかでも少し改良が加えられた第二世代のモデルだと考えています。前期型は最短撮影距離が90cmでその後のモデルに比べてかなり長いので実用性を考えれば中期型以降のほうが便利です。しかし,中期型以降と前期型以前では少し画作りが違うように感じられ,かつ,前期型のほうが個人的な好みにあっているように感じています。 #レンズ #MF #Biotar #M42 #Carl_Zeiss #Jena #58mm #F2 #標準 #単焦点
MFレンズ M42 Carl Zeiss JenaMOR
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Panasonic AG-AF105
Panasonicの業務用AVCHDカメラAVCCAMシリーズのAG-AF105です。2010年12月に世界初の4/3 (フォーサーズ)型センサーを搭載したHDビデオカメラとして登場しました。レンズ交換式でマウントはマイクロフォーサーズ(m4/3)規格です。 AG-AF105は同じ年の10月に発売されたm4/3ミラーレス一眼カメラであるGH2と同世代のハードウェアであると考えられますが,動画撮影に特化しています。内蔵のNDフィルタやマイクのXLR端子を内蔵していますがメカシャッターは持たないためスチル写真を撮ることはほとんど想定されていません。もちろん,HD動画から静止画を切り出すことは可能ですが,当然ながら静止画としての解像度はあまり高くありません。 2012年5月には有償のファームウェアアップデート(AG-SFU100G)によってHDプログレッシブの1080/60p出力に対応します。同じ年の11月にはAG-AF105の後継機としてAG-AF105Aが発売されますが,ハードウェアはほぼそのままで1080/60p出力に対応し,SDIから10ビット4:2:2信号を出力できるようになりました。ファームウェアをアップデートしたAG-AF105との違いは10bit出力とフォーカスアシスト機能が少し追加されたくらいだと思われます。最近では業務用でもSDIではなくHDMIで事足りるようなところがありますがSDI出力はBNC端子で確実に接続できるのはなんとなく安心感があります。ただ,私個人としてはSDI出力を使うような本格的な動画撮影をしないのでAG-AF105Aが出てもなんだかなぁ,という感じでした。 手元の個体は,AG-SFU100Gをあてた中古をヤフオク!で調達したものです。なぜ,このカメラを調達しようと思ったのか,今から思い出そうとしてもあまり思い出せません。ミラーレス一眼で動画が撮れるといっても外部マイク端子がついていなかったり,ついていてもプラグインパワーのしょぼい端子でマイクアンプも最低限のものしか内蔵されていないため音声は相当に貧弱でした。そのため,コンサートの録画には到底使えず,XLR端子が付いた動画機が欲しい,と思ってAG-AF105を調達したような気がします。もちろん録音は別途やっているのでそちらの音声を使えばよいのですが,万一のときの保険としてカメラ側でもそこそこの音声が録れていれば安心というのもありました。 これを調達したのがいつごろかすっかり記憶が失われていますが,2016年5月に最初の動画を撮っているようなのでこの時期に調達したものと思われます。AG-AF105はインターフェースが充実しているかわりに見た目通りにガタイがでかく,かさばります。しかし,プラスチックの筐体なので持つと意外に軽く撮影の取り回しはそれほどたいへんではありません。しょぼい三脚に据えてもよほどひどい三脚でなければフラフラしないし,トータルとして荷物を軽くできて助かります。私は動画を撮る機会はそれほど多くないので,撮影をするたびに使い方を思い出すのに苦労しますが,最低限の機能を使うだけなら大きな問題はありません。インターフェースもよく考えられていますからすぐに慣れます。 SDカードスロットが2つあるのですが,どういうわけか同時にパラレルで録画することができず,2枚に連続して書き込むことで長時間記録をする,という機能しかありません。SDカードの容量が小さくて高価だった時代のカメラだからかもしれませんが業務用と言う割にはなんだかなぁ,と思う仕様です。しかしそれ以外は私のような使い方では特に不満もありません。ちゃんとしたマイクを使えば音声もそこそこの音質ですし,リニアPCMで記録できるので保険としては十分です。音楽ではなく講演の録画程度なら単体+マイクで余裕です。 使用頻度は高くないですが,いざというときには頼れるカメラです。 #カメラ #レンズ交換式 #ミラーレス一眼 #AF #Panasonic #AG-AF105 #デジタル #m4/3
レンズ交換式カメラ MFT PanasonicMOR
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HEXANON AR 24mm F2.8
Hexanon AR 24mm F2.8はコニカが市場に投入した広角レンズのなかでは最後の焦点距離でした。登場したのはAutoreflex T3の頃ということなので1973年ころだと思われます。1960年に小西六最初の一眼レフカメラとしてKonica Fが登場して以来,10年以上も24mmの画角のレンズがラインナップされていなかったというのはすこし興味深いものがあります。21mmはARマウントに移行した1965年頃には市場投入されていたようなので,24mmは中途半端な画角ということで先送りにされていたのかもしれません。 24mm F2.8は最初はEE版が登場しますが,すぐにAE版に置き換えられます。これらはいずれも最小絞りはF16でした。その後,最小絞りがF22で,より小型で軽量になったバージョンが登場します。最後のバージョンはTokinaによるOEMという噂があるようです。ただ,OEMレンズについても設計はコニカがやっていたと囁かれています。最小絞りがF16のバージョンもかなり数は少ないようですが,F22のバージョンはさらに少ないようです。F22のバージョンが登場したのは1982年頃のようでコニカが一眼レフから撤退をするまでに十分な期間がなかったことも数が少ない理由だと思われます。 このレンズには28mmと兼用の角形フードが用意されていました。かぶせ式でフィルター枠の外側からネジで締め付けて固定するタイプですので,向きをきちんと考えて固定しないと,簡単にケラれてしまいます。フード本体は金属製でその内面には植毛がされていて丁寧な作りのものです。 手元の個体は最小絞りがF16のAE版で24mm F2.8の中では一番多く流通したものだと思います。ちょうどこのレンズを入手した時に偶然にもとても状態のよい専用フードがヤフオク!に出品されていたので思わず入手してしまいました。下手をするとHexanonの普及タイプのレンズとかわらない値段ですが,それほど多く出回るものでもないのでしょうがないと言い訳をしています。 #レンズ #MF #Hexanon #AR #Konica #24mm #F2.8 #広角 #単焦点
MFレンズ AR KonicaMOR
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KONISHIROKU HEXANON 1:1.4 f=52mm
小西六は1960年に最初の一眼レフカメラKonica Fを投入します。Konica Fとともに登場したレンズは35mm F2, 52mm F1.4, 85mm F1.8, 135mm F2.8の4本でした。Nikon Fよりも高価な高級カメラで,世界初の1/2000の高速シャッターを搭載しての登場でしたので,レンズも高級路線でいずれも当時としては明るい大口径レンズばかりでした。なかでも,52mm F1.4はバックフォーカスを長くとらねばならない一眼レフにあって当時の技術でこのスペックを実現するのは相当にたいへんであったことと想像されます。レンジファインダーカメラのようにバックフォーカスが短いカメラではSonnar型のようなレンズ構成でも50mm F1.5を実現できましたが,一眼レフカメラには適合できませんでした。ダブルガウス型にしても1960年前後では50mmでF1.8やF2のレンズはなんとかなってもF1.4は非常にハードルが高かったようです。かの有名な富岡光学でも標準レンズは55mmだったことからもその難しさがうかがえます。 小西六は,50mm F1.4をどうしても実現する,という目標を持って一眼レフカメラを設計したように思われるところがあって,フランジバックを40.5mmとするためにミラーがレンズに干渉しないようにミラーが跳ね上がるときの動きに工夫を加えています。ミラーの軌道の設計と50mm F1.4を実現可能なフランジバックの兼ね合いからマウントの仕様が決まったのではないか,と思われるのです。小西六の試作機では実際に50mm F1.4がついていたようですが,製品版では52mm F1.4になったようです。いずれにしても,一眼レフを投入するにあたって小西六がたいへんな力を入れていたことは間違いありません。 1960年に登場した最初の4本のコニカFマウントレンズはいずれも非常に数が少ないようです。コニカF自体が1500台程度の生産数という説もあるので,数が少なくて当然です。さすがにセットレンズとして供給された52mm F1.4はときどき見かけますが,それ以外の3本はヤフオクでもeBayでもまず見かけることがありません。一度だけ,ヤフオクに85mm F1.8が出品されているのを見かけましたが(一説には生産数は500本くらい),かなり高価であったにもかかわらず落札されていました。またコニカFマウントはフランジバックが短いため他のいかなる一眼レフカメラにも取り付けることができません。レンジファインダーカメラであれば取り付けることができるため,52mm F1.4のマウントをライカMマウントに改造したものをときどき見かけます。もちろん,距離計には連動しないのでミラーレスで使うことが大前提だと思われます。それでも,52mm F1.4は改造してでも使いたい,と考える人が多少なりともいる,ということなのでしょう。 ネット上の情報によると,52mm F1.4の初期型はフィルタ径が49mmであったようですが,その後,コニカで標準となる55mm径のものが登場します。いずれも同じ5群7枚の変形ダブルガウス型ですが,当然のことながら光学系は再設計されています。52mm F1.4はなぜかARマウントには引き継がれず,57mm F1.4にとって代わられてしまいます。 手元の個体はフィルタ径が55mmのものです。状態は可もなく不可もなくというところで実用上の問題はありません。後ろの3枚の写真は小西六純正のコニカFマウントレンズをARマウントカメラに装着するためのアダプタ(Konica Lens Adapter)を取り付けてARマウントレンズとして使えるようにした状態です。このマウントアダプタについてはマウントアダプタのフロアでいずれ紹介したいと思います。 #レンズ #MF #Hexanon #KonicaF #Konishiroku #52mm #F1.4 #標準 #単焦点 #大口径
MFレンズ Konica F KonishirokuMOR
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KONISHIROKU HEXANON 1:2.8 f=35mm
このレンズは1962年に登場したようです。ネット上の情報には「Konica FSとともに1962年に登場した」との説がありますが,FSはFと同じ年,1960年の終わり頃に発売されているのでちょっと違う気がします。1962年にはFSの後継機であるFPが発売されていますので,このレンズの発売が1962年だとすればFPの登場と前後して発売された,と考える方が自然であるように思います。まぁ,今となってはよくわからないし,わからなくてもまったく困らない話なのですが。 コニカFマウントレンズのなかでは35mmがもっとも広角なレンズでした。高級路線まっしぐらであったKonica Fと同時に発売された35mmは上位の開放F値がF2のレンズでした。35mm F2はARマウントに移行後もよく写ると言われているようですが,あまり見かけません。ARマウントでさえも見かけないくらいなので,当然のことながらKonica Fマウントの35mm F2は見たことがありません。F2.8はコニカFマウントの第一世代ではなく2年遅れでの登場ですが,ARマウントに移行後も最後まで残っていました。 Hexanon 35mm F2.8のレンズ構成は典型的なレトロフォーカス型で,3群4枚のテッサーの前に2群2枚を付け加えてバックフォーカスを長くとり一眼レフカメラに適合させた構成です。これは1950年に世界ではじめてレトロフォーカス型レンズを商品化したP. ANGENIEUX PARISのRETROFOCUS TYPE R1 35mm/f2.5とほとんど同じ構成です。ただし,アンジェニューはF2.5ですが,小西六はF2.8で明るさは少し控えめです。 Type R1のレンズ構成を見るとすぐわかるとおり,第一群が飛び抜けて大きな径を持っています。1950年当時はこの構成は大発明だったわけですが,その後,レトロフォーカス型の光学系も少しずつコンパクトになっていきます。Hexanon 35mm F2.8はType R1から遅れること12年での登場ですが,レンズ構成が大きく進歩したような印象はうけません。実際,F2.8という暗めのレンズなのにずいぶんとデカいです。和製アンジェニューなどと呼ばれたりすることもあるようですが,これは褒め言葉として受け止めるべきなのかどうか,微妙です。 Hexanon 35mm F2.8のARマウント版はそれほど珍しいものではありませんが,コニカFマウント版はあまり見かけません。コニカFマウント版には,プリセット絞りのものと自動絞りのものがあります。Hexanonに詳しいサイトでは,どちらのバージョンも最短撮影距離は30cmとされています。しかし,手元の個体は自動絞りバージョンで最短撮影距離は60cmです。そのため,ひょっとすると,絞り方式以外にも光学設計のバリエーションが存在するのかもしれません。 #レンズ #MF #Hexanon #KonicaF #Konishiroku #35mm #F2.8 #広角 #単焦点
MFレンズ Konica F KonishirokuMOR
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FUJINON L 5cm F2.8
フジフィルムがバルナックライカコピーのレオタックス用に上位機である開放F2のレンズとともに供給した標準レンズです。供給した期間は1957年から1958年とごく短い期間で,F2レンズが5000本程度,F2.8レンズが6000本程度生産されたようです。一方で生産数は1000本程度,と書かれているところもあって実際のところははっきりしません。また,1954年に発売された,と書かれているところもありますので,正確な登場時期もよくわからないのですが,おおよそ1955年前後ということなのでしょう。F2レンズは途中で距離環にピントレバーの追加という小変更がされていますが,F2.8レンズは特に変更はなかったようです。 このレンズはレンジファインダー機用の標準レンズとしては珍しい4群5枚のクセノター型構成で,上位のF2レンズよりもよく写る,という評判で人気があるようです。直進式のヘリコイドではないので,距離環をまわすと絞り環もいっしょに回ってしまうので少し使い勝手が悪いレンズです。しかし,レンジファインダー機で使う場合はピントをあわせるまえに絞りを決めてからでも撮影に不便はないのであまり困らないとも言えます。クセノター型という構成によって鋭いピント面と広いダイナミックレンジを実現しているレンズということのようです。実際,実写してみると,空気感というかその場の雰囲気の描写はかなり優れているように思います。 この個体は絞り羽根がどうやら1枚欠損しているようで絞りを閉じていくと開口部の形状がとてもイビツな形になります。また,距離環もスカスカでグリスがほとんど切れているようです。ちゃんと調整しないとすぐにヘリコイドがかじりついてしまいそうです。いずれにしてもこの個体はかなり状態は悪い,と言わざるを得ません。足りない絞り羽はどうしようもないですから,開放で使うかがっつり絞ってF16で使うか,で騙し騙し使うしかなさそうです。 このレンズによる作例は https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/FUJINON%20L%201%3A2.8%20f%3D5cm に置いています。 #レンズ #MF #FUJINON #L39 #Fujifilm #50mm #F2.8 #標準 #単焦点
MFレンズ L39 FujifilmMOR
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Carl Zeiss Sonnar 50mm F2
Sonnarといえばベルテレと脊髄反応してしまうくらい有名な設計者による有名なレンズです。1931年にベルテレが写真機用(Contax)用Sonnarとしてはじめて設計したレンズは5cm F2でした。Sonnarの特許そのものは1929年にとっており,その後すぐに,映画撮影機用のSonnarが設計されています。ベルテレは1900年生まれだそうですので30歳前後で後世まで残る発明を世に送り出したことになります。もちろん時代背景が異なるので,現在の我々と同列で比較することが難しいことは言うまでもありませんが,それにしてもたいへんな仕事をした人物だったことは想像に難くありません。 収差の補正には多くのレンズを用いた方が有利ですが,レンズのコーティングが十分ではなかった時代には出来る限り空気とガラスの境界面を少なくすることが求められました。そのような要請に巧みに応えたのがSonnarだったといえます。最初に設計された開放値F2のレンズは3群6枚,その後に設計された開放F1.5,いわゆる「イチゴのゾナー」は3群7枚です。3枚貼り合わせのレンズがSonnarの特徴だと認識していますが(とても短絡的です),後世のレンズでSonnar銘のものはあまりそのような構成に拘らずに名前がつけられているものもあるようです。 手元にあるSonnar 50mm F2のレンズはシリアルナンバーが149万番台ですので,1953年から1959年の間の比較的早い時期にCarl Zeiss, Oberkochen, West Germanyにおいて生産された個体であると想像されます。ベルテレがSonnarを設計したときにはまだカラーフィルムは開発途上だったはずですし,この個体が世に出た時はカラーフィルムは存在していたけれどもまだ一般的ではなく,黒白フィルムを使うのが普通だった時代です。ネット上ではこってりした色のりのレンズだというようなコメントも見られますが,どうせならモノクロ時代のレンズはモノクロで撮ってみたい,と思います。 また,この個体はフィルター枠に当たりがあってフィルターがねじ込めないので,被せ式のコダックの(かなり無骨な)フードにシリーズ6のフィルタを挟んでいます。アメリカ風味のごついフードとちょっと繊細なイメージのSonnarは完全にミスマッチです。見た目的には全然ダメですが,古いレンズをフードなしで使うのはやや無理がありますから,実をとったということで自分的には納得しています。 このレンズによる作例は https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/Sonnar%2050mm%20F2 に置いています。 #レンズ #MF #Sonnar #Contax_C #Carl_Zeiss #50mm #F2 #標準 #単焦点
MFレンズ Contax C Carl ZeissMOR
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HEXANON AR 57mm F1.2
たとえオールドレンズ がブームになっても,まったくといってよいほど見向きもされないKonicaのARマウントレンズにあって,それなりの人気を誇る数少ないレンズの一つがこの開放F値が1.2の大口径標準レンズです。 コニカ は一眼レフのなかでも特にフランジバックが短い仕様です。そのためかどうかはわかりませんが,1960年に発売されたコニカの最初の一眼レフKonica Fとともにリリースされた標準レンズは一眼レフの長いフランジバックにもかかわらず52mm F1.4という他に例のないスペックでした。コニカ は52mm F1.4のレンズが設計できることを前提にカメラの仕様を決めたのではないか,と思ってしまいます。しかし,Konica Fはとても高価でNikon Fよりも高価だったようで,あまり売れず,結果としてコニカは高級路線から大衆路線へと方針を変更します。 Konica Fマウントのレンズは5年ほどの短命に終わり,フランジバックの長さは変更されないまま1965年のKonica AutorexのARマウントに引き継がれます。Konica Fマウントにラインナップされていた52mm F1.8はARマウントに引き継がれますが,52mm F1.4は消滅してしまいます。かわってAutorexととも1965年に登場したのは57mm F1.4でした。 57mm F1.2が登場した時期は調べてもよくわからなかったのですが,おそらくAutorexが登場してからしばらく後だと思われます。この当時,F1.2の大口径標準レンズの最短撮影距離は60cm程度が普通でしたので,HEXANON 57mm F1.2の最短撮影距離45cmは当時としては他に例を見ない素晴らしいスペックだったと言えます。最短撮影距離の違いは撮影の自由度を大きく左右するのでコニカがこの部分に頑張ったことは称賛されるべきだと思います。 手元の個体はEEタイプで銀色の絞り環を有する第一世代のモデルです。EEタイプにはオールブラックの第二世代モデルもあるようですが,いずれも,距離環は金属製です。第二世代のモデルは酸化トリウムを含むいわゆるアトムレンズがあり,ブラウニング現象によって黄色くなっているものが多いようです。第一世代の銀色の絞り環を有するモデルでもアトムレンズがあるようですが,手元の個体ではブラウニングはあまり気になりません。アトムレンズでないものもあったようなので,酸化トリウムを含まない個体なのかもしれません。 ただ,この個体を使ってみたところ,大幅なアンダーインフで無限遠がまったく出ないことがわかりました。ひょっとすると,過去にメンテナンスをされていてその際に紫外線照射によってブラウニングが軽減されていた可能性も考えられます。いずれにしても,過去のメンテナンスの際に正しく組み立てられていないことは容易に想像されます。 とりあえず,近接ではピントが来るのでこのレンズによる作例を https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/HEXANON%20AR%2057mm%20F1.2 に置いています。 #レンズ #MF #Hexanon #AR #Konica #57mm #F1.2 #標準 #単焦点 #大口径
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