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smc PENTAX-DA 1:2.8 14mm ED [IF]
PentaxのAPS-Cセンサー用の超広角レンズです。発売時にはPentaxの超広角短焦点レンズとしては,もっとも広角でもっとも明るいレンズでした。 DA 14mm F2.8は2004年6月に発売されているので,デジタル一眼レフが本格的に普及し始めた頃の超広角レンズということになります。smc PENTAX-DAシリーズのレンズはデジタル一眼レフに対応した高解像度のレンズという位置付けですが,当時のカメラのセンサー画素数を考えると2020年代のレンズと比較するのはちょっと可愛そうです。2004年はPentaxからはAPS-Cサイズのセンサーを搭載したデジタル一眼レフとしては2世代目,610万画素の*istDSが市場に投入された年です。 APS-C専用の単焦点レンズとしては大きく重く,その後,2013年に登場したHD PENTAX-DA 15mm F4 ED AL Limitedが1段暗いものの小さく軽く,コーティングも進化していてDA 14mm F2.8の立ち位置は微妙になりました。さらに,2021年には35mm判換算21mmの画角としてはフルサイズ用のHD PENTAX-D FA 21mm F2.4 ED Limited DC WRが登場したことで,もっとも明るい単焦点レンズの座を明け渡すことになりました。 DA 14mm F2.8は大きく重い,ということに加えて,手持ちのAPS-CカメラがK-7で,ファインダーのキレがイマイチであったため超広角ではピントがつかみにくく,あまり持ち出しませんでした。本当はカメラのせいじゃなくて,横着だっただけなのですが。 さすがに古い時代のレンズらしく開放は甘いですが,当然のように絞れば普通に写ります。このレンズが登場した当時はこれが普通でしたし,特に不満もありませんでしたが,2020年代の開放からカリカリに解像するレンズばかり見ているとずいぶんと見劣りします。とはいえ,PKマウントのAPS-C用レンズとしては他に代わるものがありませんから,文句を言わずに使う,が正しいのだと思っています。 #レンズ #AF #smc_PENTAX-DA #PK #PKAF #Pentax #14mm #F2.8 #広角 #単焦点
AFレンズ PKAF PentaxMOR
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smc PENTAX-A MACRO 50mm F2.8
smc PENTAX-Mレンズの後継として絞り環にAポジションが追加され,電子接点も追加された世代のレンズで1984年に登場し,AFのSFXが登場した1987年の翌年,1988年にsmc PENTAX-F MACRO 50mm F2.8に交代します。このAレンズの50mm F2.8マクロはハーフマクロ(0.5倍)ですが,前世代のMレンズまでの50mmマクロはF4のハーフマクロ,後継のAFに対応したFレンズ以降の50mmマクロはF2.8で等倍マクロです。 したがって,50mm F2.8のハーフマクロはPentaxではAレンズだけしかありません。レンズ構成も先世代,後継機とも異なる4群6枚構成です。普通は4群6枚といえばダブルガウス型のレンズ構成を想像しますが,後群の第3群が張り合わせではなく,第4群が凹凸の張り合わせで,クセノター型を想起させる構成です。製造期間がわずか4年で,かつ,同型のレンズが全くない,という意味で希少種なのですが,特に写りがよいというようなこともないので,たいして注目されていなくて,中古の価格もたいしたことはありません。同世代のsmc PENTAX-A 100mm F2.8 MACROが希少品として特別な扱いをうけているのとは対照的です。 レンズの距離環のテーパー部分にレンズ銘を刻印するAレンズのデザインは個人的にはかなり違和感がある,というか端的に言えば,あまり好きになれないのですが,後継のAFレンズに比べるとずっと「普通のレンズ」っぽい(私の基準で)ので許容範囲です。 どうしても等倍撮影が必要という事情があったためにD-FA MACRO 50mm F2.8を入手したため,ハーフマクロのsmc PENTAX-A 50mm F2.8の出番がなくなってしまったのですが,モノとしてはとてもよいレンズだと思います。 撮影倍率が1/2でも撮影対象において特に問題がなくて,かつ,マクロなら普通,MFだよね,という(非常にニッチな)人にとってはMFのフィーリングもよく,開放F値も明るくて唯一無比のレンズだと思います。そういう私は安直にsmc PENTAX-D FA 50mm F2.8 MACROを使ってます。 https://muuseo.com/MOR/items/85?theme_id=30044 #レンズ #MF #smc_PENTAX-A #PK #PKA #Pentax #50mm #F2.8 #標準 #単焦点 #マクロ
MFレンズ PKA PentaxMOR
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RMC TOKINA 17mm F3.5
Tokinaの17mm超広角レンズです。1979年に発売され,2008年まで生産されていたということですので30年近いロングセラーだったことになります。非球面レンズや異常分散ガラスなどの高級なものを一切使っていないレンズ構成で,廉価版としての位置付けだったと思われます。そのわりにはよく写る,とも言えます。超広角レンズとしては小型の部類といえ,前玉が飛び出していないので普通に前枠にフィルタをねじ込むことができて便利です。ちなみにRMCはrainbow multi coatingの略で7層膜の多層膜コーティングだそうです。 ロングセラーだった割にはたくさん売れたわけではないようで,中古品をあさっていてもあまり見かけることがありません。 色々なマウントで発売されていたようですが,手持ちの個体はPentax Kマウント用で,電子接点のないタイプです。いつどこで入手したのかまったく記憶にありません。ある日,防湿庫の奥から発掘されたのですが,それまで所有していることさえもすっかり忘れていました。 #レンズ #MF #RMC_TOKINA #PK #Tokina #17mm #F3.5 #広角 #単焦点
MFレンズ PK TokinaMOR
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smc PENTAX 135mm F2.5
旭光学の135mmはM42マウントのTakumar時代から大口径F2.5のレンズがラインナップされていました。M42からKマウントへ移行した際に,マウントだけ変えてTakumar時代のものが引き継がれて1975年にKマウント版135mm F2.5が登場しています。Kマウントのごく初期にはsuper multi coatedを意味するsmcを大文字で表記していたようで,135mmレンズの銘板にも「SMC PENTAX 1:2.5/135」と刻印されていました。これが前期型です。 その後,SMCをsmcと表記するようになって銘板の刻印も「smc PENTAX 1:2.5 135mm」となった後期型が1977年に登場します。また,焦点距離の表記にmmがつくようになっています。 光学系は前期型も後期型も6群6枚で,レンズ構成に変化はありません。各エレメント(レンズ)の形状は微妙に変わっているのかもしれませんが細かいことはわかりません。大口径中望遠レンズとはいえ公称で500gあり,かなり大柄なレンズです。 手持ちの個体は銘板の刻印から後期型です。プラスチック製の純正フードがついています。このレンズをいつどこで入手したのかまったく記憶がありません。たぶん,1990年代の後半に東京出張のついでに中古カメラ店にぶらっと寄った際に,二束三文で売られていて思わず買ったのだろうと思います。実測で483gと公称値よりは少し軽いのですが,重いことに変わりはありません。ガラスの塊のような存在感は素晴らしいと思いますが,その重さゆえに入手してから一度も使った記憶がありません。しかし,存在感はあるので手元にこのレンズがあるという記憶は鮮明でした。最近,はじめて,それも今さらのようにフィルムカメラのPENTAX LXにつけて使ってみました。今のレンズのような解像感はもちろんなくて柔らかい画で,ちょっと懐かしい気分になりました。よくも悪くもオールドレンズ感満載ですが,個人的にこういう写りは好きだったりします。 作例を以下においています。 https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/smc%20PENTAX%20135mm%20F2.5 #レンズ #MF #smc_PENTAX #PK #Pentax #135mm #F2.5 #望遠 #単焦点 #大口径
MFレンズ PK PentaxMOR
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KONICA HEXANON 1:1.4 f=57mm
1960年に登場したKonica FマウントのKonica Fからはじまった小西六の一眼レフが1965年に新たに登場し,新しいARマウントを採用したKonica Autorexとともに登場した高速標準レンズがHexanon 57mm F1.4です。57mm F1.4は全てのバリエーションがEEタイプでした。1973年にAUTOREFLEX T3の登場によって絞り優先およびシャッタースピード優先の両対応となるAEタイプの時代になると,T3用の大口径標準レンズとして新たに登場した50mm F1.4にその座を明け渡します。 Konicaの一眼レフ用レンズのご多聞にもれず,57mm F1.4には細部の細かな違いにより多くのバリエーションが存在しています。そのバリエーションはわずか8年の供給期間中に少なくとも16種類はあるようですが,細かく見ればもっと多くのバリエーションがあるのかもしれません。銘板にARの文字が入るのは最後期のレンズに限られるようです。最後とその直前のバージョンのみ,鏡筒全体がブラック仕上げで,それ以前のモデルは被写界深度指標のリングがクローム仕上げでした。時代が進むにつれて少しずつ簡略化されているようです。ただ,レンズ構成は5群6枚のウルトロン型で4群6枚のダブルガウス型の第2群の貼り合わせレンズを分離した構成で一貫していました。外観の変更は多くありますが,光学系には変更がなかったものと思われます。 1/2段明るいHexanon AR 57mm F1.2がフィルタ径62mm,重さが460gもあるのに対して,F1.4のこのレンズはフィルタ径はコニカ標準の55mmで重さも275gですからF1.2はF1.4の1.6倍以上も重いことがわかります。F1.2でなくては撮れない画があることも事実ですが,大きさ,重さの違いを考えるとF1.2のレンズを持ち出すのは少し躊躇してしまいます。 https://muuseo.com/MOR/items/19 この個体は中期型-IIあるいは第11版と呼び方は人によって異なりますがおそらく1968年のKonica FTAが発売された頃に登場したタイプです。ヤフオク!を通して入手しましたが,説明では薄カビはあるものの機能はスムースで純正フード付きということでした。実際に届いたものを見ると,大カビで距離環はほぼ固着していて,どんな素人が見てもわかるような完全にダメな個体でした。ヤフオク!でレンズを転売している人にはこういう人が少なくないのでいちいち目くじらを立てているようではレンズ遊びなどできない,というのが私のスタンスですので,さっさと某マエストロにオーバーホールを依頼しました。もちろん素晴らしいコンディションになって返ってきました。距離環の軽すぎない滑らかな感触はピント合わせが楽しくなります。ピントの山が一瞬なうえに,開放では光の状態によってはハロを纏うため,ピント合わせはたいへん難しいレンズです。そのため,距離環の感触は重要です。実際に撮影してみると開放での被写界深度は非常に薄く感じられ,これならF1.2のレンズはいらないんじゃないか,と思ってしまうほどです。昔のレンズらしく少し絞るとピント面はシャープになって甘さがなくなります。 開放でのピント合わせが難しいのでミラーレスカメラで撮影する場合はついつい1段ほど絞って撮ってしまいます。古い時代の一眼レフの冴えないファインダーでどうやってピント合わせをしていたのか,自分が当時のカメラにこのレンズ をつけていたとすると,ちょっと想像するだに恐ろしくなります。とはいえ,花などを柔らかく撮りたいときには気合を入れて開放でチャレンジしてそれでちゃんとピントがきていると,とてもいい感じの画になってうれしくなります。 このレンズによる作例を https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/HEXANON%20AR%2057MM%20F1.4 に置いています。 #レンズ #MF #Hexanon #AR #Konica #52mm #F1.4 #標準 #単焦点 #大口径
MFレンズ AR KonicaMOR
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Contarex Distagon 25mm F2.8
Contarex用の広角レンズです。Contarex用レンズは主な焦点距離において明るい(F値が小さい)ラインと暗いラインの二本立てになっていました。明るいレンズとして35mm F2, Planar 55mm F1.4, Planar 85mm F1.4, Sonnar 135mm F2.8がラインナップされ,暗いレンズとしてDistagon 35mm F4, Planar 50mm F2, Sonnar 85mm F2, Sonnar 135mm F4というラインナップでした。しかし,これらのレンズよりも広角または望遠側のレンズについてはさすがに需要が少ないということもあってか1つの焦点距離に対して1つのF値というラインナップでした。 レンジファインダーのContax用のレンズ(Contax Cマウントレンズ)では広角は(おおよそ)対称型のBiogonでした。しかし,一眼レフでは長いバックフォーカスが必要となるため,Contarexではレトロフォーカス型のDistagonがラインナップされていました。現在では標準ズームの広角端にすぎない25mmもContarexが登場した1960年代は超広角レンズという扱いでした。また,Carl ZeissのレンズはBiogonの時代から超広角は24mmではなく25mmという焦点距離のレンズをラインナップしていて,それは現在まで続いています。NikonやCanonもレンジファインダーカメラの時代には25mmをラインナップしていましたが一眼レフの時代になると24mmになっています。 Contarex用の(当時としては)超広角レンズであるDistagon 25mmはかなり特殊な位置づけと認識されていたのか,明るさ(開放F値)は1種類だけで中庸を狙ったF2.8のものが1963年にリリースされています。前期のクローム鏡筒のものと,後期の黒鏡筒のものがあり,Wikipediaによると両者をあわせて6,630本生産されたということです。Alpaのレンズを見ていると十分に多い数字に見えてしまいますが,Zeissが自前のカメラ事業から撤退した1973年までの約10年間の生産数とすると,平均して1年に660本あまりしか生産されておらず,工業製品としてみるとその生産数は非常に少ないと言えます。実際,超レアというほどではないにしても,十分にレアな部類に入るレンズだと思います。 手元の個体は写真に見る通りクローム鏡筒の前期型で,最短撮影距離は17cmでほとんど広角マクロとして使えるレベルの近接能力をもっています。寄れる,ということは撮影の幅が広がるということで使い勝手がよいレンズです。しかし,古い時代の広角レンズにありがちな周辺光量落ちや逆光耐性の低さは普通にありますから,これらの要素をレンズの味として楽しめなければ使いにくいかもしれません。 このレンズによる作例は https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/Distagon%201%3A2.8%20f%3D25mm に置いています。 #レンズ #MF #Distagon #Contarex #Carl_Zeiss #25mm #F2.8 #広角 #単焦点
MFレンズ Contarex Carl ZeissMOR
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CANON LENS 25mm F3.5
Canonがレンジファインダーカメラを作っていた1956年に登場したレンズです。当時25mmの画角は超広角で,かつこのレンズは25mmで世界で最も明るい(ZeissやNikonよりF値が半絞り小さい)レンズでした。こういうスペック重視なところは現在と変わらずCanonらしいなぁ,と思ってしまいます。 レンズ構成は2群4枚のトポゴン型の後群の後ろに「無限遠曲率の特殊光学ガラス」を追加して収差補正を行っています。「無限遠曲率の特殊光学ガラス」という表現は,Canonのオフィシャルサイト内のCanon Camera Museumの説明です。要するに,最後面に板ガラスを追加した,ってことです。簡単なことをわざわざ難しく説明するというのはなんだかなぁ,と思わなくもありませんが,このような変形トポゴン型のレンズはたぶん,Canon 25mm F3.5が唯一無二だと思われます。 トポゴン型レンズは,まるでビー玉のように大きな曲率をもつ半球状の2組のレンズが向かいあって配置される対称型のレンズで,Carl Zeissのロベルト・リヒテルによって戦前に発明されました。歪曲が非常に少ないため,航空測量用のレンズとして使われたようです。その後,レンジファインダーカメラのContax用のTopogon 25mm F4として投入されます。歪曲は小さいのですが,周辺減光が半端なく大きい,という特徴を持ちます。ZeissのContax用トポゴンは数も少なくたいへん高価です。Zeissの超広角レンズはTopogonはこの一代限りで終わり,Biogonや15mmのHologonに置き換わります。 トポゴン型構成のレンズはレンズエレメントの製作が難しいためか,あまり多くはなく私の知る限り2つしかありません。ひとつはトポゴンコピーとして知られるNikonのW-Nikkor C 2.5cm F4です。このレンズも繊細で美しいレンズですが,本家のTopogon以上に高価で取引されているようです。もうひとつはソ連製のOrion-15 28mm F6です。Orionは第二次世界大戦のどさくさでソ連が接収した多くのレンズ(と技術)の末裔ではなく,Zeissから技術供与をうけて独自に開発されたソ連オリジナルのレンズだそうです。Orionは数も多く,ソ連製ということもあってそれほど高価ではありません。 Canonの変形トポゴン型レンズである25mm F3.5は1970年代まで現役の20年にわたるロングセラーだったようです。また,このレンズによって撮られた多くの写真が写真雑誌の月例コンテストなどに多く入賞していたようです。撮影に使われたカメラはLeitz Minolta CLが多かったとか。一番重要なのは写真の腕とセンスなのでしょうけれど,このような武勇伝を聞くとこのレンズを使えば自分もよい写真が撮れそうな気がしてきます。 #レンズ #MF #Canon_Lens #L39 #Canon #25mm #F3.5 #広角 #単焦点 #Topogon
MFレンズ L39 CanonMOR
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HEXANON AR 35mm F2
Hexanon 35mm F2は小西六の最初の一眼レフカメラKonica F以来,最後までラインナップされていたレンズです。ネット上の情報によると,Konica Fマウントで1960年に登場したものの1965年のARマウントへの変更後もKonica Fマウントのまま放置され,Autoreflex T3が登場する1973年頃にようやくARマウント版が登場したようです。Konica Fマウント版はほとんど幻のレンズといってよいと思われます。 ARマウントの35mm F2は最初,金属製の距離環をもつEE版として登場し,その後,他のレンズと同様にゴム巻きの距離環に変更され,AE版に更新されます。Konica Fマウント版ほどではないにしても,ARマウント版も生産数はかなり少ないようで,eBayやヤフオク!をパトロールしていてもほとんど見かけません。eBayに出品されているものはかなり高い値付けのものが多いようです。レアだからといって高値でも売れるわけでもなく,なんだか微妙な位置付けのレンズです。写りは,ズミクロンのようだ,という人もいるようですが,私のように感性が鈍い人にはそのあたりのことはあまりわかりません。 手元の個体は,金属ローレットのついたEE版です。外観は結構きれいですが,ヘリコイドの動きは少し引っ掛かりを感じることがあるので必ずしも調子がよいわけではありません。数が少ないので状態の良いものを見つけること自体が難しいのでしょうがないんだろう,と思っています。 #レンズ #MF #Hexanon #AR #Konica #35mm #F2 #広角 #単焦点 #大口径
MFレンズ AR KonicaMOR
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HEXANON AR 24mm F2.8
Hexanon AR 24mm F2.8はコニカが市場に投入した広角レンズのなかでは最後の焦点距離でした。登場したのはAutoreflex T3の頃ということなので1973年ころだと思われます。1960年に小西六最初の一眼レフカメラとしてKonica Fが登場して以来,10年以上も24mmの画角のレンズがラインナップされていなかったというのはすこし興味深いものがあります。21mmはARマウントに移行した1965年頃には市場投入されていたようなので,24mmは中途半端な画角ということで先送りにされていたのかもしれません。 24mm F2.8は最初はEE版が登場しますが,すぐにAE版に置き換えられます。これらはいずれも最小絞りはF16でした。その後,最小絞りがF22で,より小型で軽量になったバージョンが登場します。最後のバージョンはTokinaによるOEMという噂があるようです。ただ,OEMレンズについても設計はコニカがやっていたと囁かれています。最小絞りがF16のバージョンもかなり数は少ないようですが,F22のバージョンはさらに少ないようです。F22のバージョンが登場したのは1982年頃のようでコニカが一眼レフから撤退をするまでに十分な期間がなかったことも数が少ない理由だと思われます。 このレンズには28mmと兼用の角形フードが用意されていました。かぶせ式でフィルター枠の外側からネジで締め付けて固定するタイプですので,向きをきちんと考えて固定しないと,簡単にケラれてしまいます。フード本体は金属製でその内面には植毛がされていて丁寧な作りのものです。 手元の個体は最小絞りがF16のAE版で24mm F2.8の中では一番多く流通したものだと思います。ちょうどこのレンズを入手した時に偶然にもとても状態のよい専用フードがヤフオク!に出品されていたので思わず入手してしまいました。下手をするとHexanonの普及タイプのレンズとかわらない値段ですが,それほど多く出回るものでもないのでしょうがないと言い訳をしています。 #レンズ #MF #Hexanon #AR #Konica #24mm #F2.8 #広角 #単焦点
MFレンズ AR KonicaMOR
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HEXANON AR 135mm F2.5
135mm F2.5レンズはAutoreflex T3の頃に登場したということなので1972年以降,1975年までには市場に投入されていたものと思われます。コニカの135mmレンズとしてはもっとも大口径で,フィルタ径もコニカで標準的な55mmではなく62mmです。最初はEE版として登場し,その後AE版に置き換えられています。4群4枚のシンプルなレンズ構成で,エルノスター型のレンズを基本としているようです。レンズには内蔵のフードがありますが,非常に短い(浅い)もので135mm用としてはほとんど役に立ちません。フードとしての機能が必要ならば汎用のねじ込み式のもっと深いフードを使わねばなりません。 コニカの一眼レフに詳しいwebサイトには,「画質は135mm F3.2ほど良くはないものの良い部類であるが,大きく重いのでどうしても135mmが欲しいならF3.2を勧める」という趣旨のことが述べられています。135mm F3.2は所有していないので比較のしようがありませんが大きく重くて持ち出すには少し躊躇ってしまいます。しかし,イマドキのレンズはもっと大きく重いものはいくらでもあるので,そんなことを気にしていてはいけないのかもしれません。 そのような微妙な立ち位置のうえ,現在は135mmは不人気焦点距離ということもあって,中古の人気もあまりないようで中古の流通価格も安値で安定しています。人気がない割には,ヤフオク!などではしばしば目にするのでこのレンズが現役だった時代にはそれなりに数がでたレンズだったと思われます。手元の個体は,AE版です。大きく重いこと以外,これといった特徴もなく,確かに地味なレンズだと思います。 このレンズによる作例は https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/HEXANON%20AR%20135MM%20F2.5 においています。 #レンズ #MF #Hexanon #AR #Konica #135mm #F2.5 #望遠 #単焦点
MFレンズ AR KonicaMOR
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HEXANON AR 85mm F1.8
小西六の一眼レフカメラ用85mmレンズは1960年に登場した最初の一眼レフカメラKonica Fおよび他の3本のレンズとともに登場します。ネット上の噂(?)によると,Konica Fは1500台ほど生産され,初代の85mm F1.8レンズは500台ほどの生産数だったようです。1965年に登場したAutoReflexからマウントがARマウントに変わりますが,85mm F1.8もマウントを変えてコニカの一眼レフの最後までラインナップされます。ARマウントの85mm F1.8は,フィルタ径が58mmのEE版ではじまりますが,その後,フィルタ径はコニカの標準である55mmに変更されます。さらに,鏡筒の意匠がクロームのリングがあるものから全体が黒色のものになり,意匠はオールブラックのまま,最後のAE版が登場しています。 レンズ構成は5群6枚の拡張ダブルガウス型で,この時代の大口径中望遠レンズによく見られる構成です。85mm F1.8はコニカの一眼レフの望遠レンズのなかでは最も大口径でポートレートで用いることを意識したレンズでした。もうひとつの大口径望遠レンズであった135mm F2.5は今でも簡単に見つけることができますが,85mm F1.8はあまり見かけません。 手元の個体はこのレンズのなかでは最後期にあたるAE版です。85mm F1.8は探してみるとなかなか見つからなくてARマウントレンズのわりには高価だったりしますが,たまたまeBayでフランスから出品されているのを見つけて入手しました。外観は非常にきれいなのですが,距離環が非常に重く,ピント合わせがたいへんです。ただ固着しているというわけでもないのでどうにかなるかな,という感じです。 #レンズ #MF #Hexanon #AR #Konica #85mm #F1.8 #望遠 #単焦点 #大口径
MFレンズ AR KonicaMOR
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KONISHIROKU HEXANON 1:1.4 f=52mm
小西六は1960年に最初の一眼レフカメラKonica Fを投入します。Konica Fとともに登場したレンズは35mm F2, 52mm F1.4, 85mm F1.8, 135mm F2.8の4本でした。Nikon Fよりも高価な高級カメラで,世界初の1/2000の高速シャッターを搭載しての登場でしたので,レンズも高級路線でいずれも当時としては明るい大口径レンズばかりでした。なかでも,52mm F1.4はバックフォーカスを長くとらねばならない一眼レフにあって当時の技術でこのスペックを実現するのは相当にたいへんであったことと想像されます。レンジファインダーカメラのようにバックフォーカスが短いカメラではSonnar型のようなレンズ構成でも50mm F1.5を実現できましたが,一眼レフカメラには適合できませんでした。ダブルガウス型にしても1960年前後では50mmでF1.8やF2のレンズはなんとかなってもF1.4は非常にハードルが高かったようです。かの有名な富岡光学でも標準レンズは55mmだったことからもその難しさがうかがえます。 小西六は,50mm F1.4をどうしても実現する,という目標を持って一眼レフカメラを設計したように思われるところがあって,フランジバックを40.5mmとするためにミラーがレンズに干渉しないようにミラーが跳ね上がるときの動きに工夫を加えています。ミラーの軌道の設計と50mm F1.4を実現可能なフランジバックの兼ね合いからマウントの仕様が決まったのではないか,と思われるのです。小西六の試作機では実際に50mm F1.4がついていたようですが,製品版では52mm F1.4になったようです。いずれにしても,一眼レフを投入するにあたって小西六がたいへんな力を入れていたことは間違いありません。 1960年に登場した最初の4本のコニカFマウントレンズはいずれも非常に数が少ないようです。コニカF自体が1500台程度の生産数という説もあるので,数が少なくて当然です。さすがにセットレンズとして供給された52mm F1.4はときどき見かけますが,それ以外の3本はヤフオクでもeBayでもまず見かけることがありません。一度だけ,ヤフオクに85mm F1.8が出品されているのを見かけましたが(一説には生産数は500本くらい),かなり高価であったにもかかわらず落札されていました。またコニカFマウントはフランジバックが短いため他のいかなる一眼レフカメラにも取り付けることができません。レンジファインダーカメラであれば取り付けることができるため,52mm F1.4のマウントをライカMマウントに改造したものをときどき見かけます。もちろん,距離計には連動しないのでミラーレスで使うことが大前提だと思われます。それでも,52mm F1.4は改造してでも使いたい,と考える人が多少なりともいる,ということなのでしょう。 ネット上の情報によると,52mm F1.4の初期型はフィルタ径が49mmであったようですが,その後,コニカで標準となる55mm径のものが登場します。いずれも同じ5群7枚の変形ダブルガウス型ですが,当然のことながら光学系は再設計されています。52mm F1.4はなぜかARマウントには引き継がれず,57mm F1.4にとって代わられてしまいます。 手元の個体はフィルタ径が55mmのものです。状態は可もなく不可もなくというところで実用上の問題はありません。後ろの3枚の写真は小西六純正のコニカFマウントレンズをARマウントカメラに装着するためのアダプタ(Konica Lens Adapter)を取り付けてARマウントレンズとして使えるようにした状態です。このマウントアダプタについてはマウントアダプタのフロアでいずれ紹介したいと思います。 #レンズ #MF #Hexanon #KonicaF #Konishiroku #52mm #F1.4 #標準 #単焦点 #大口径
MFレンズ Konica F KonishirokuMOR
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KONISHIROKU HEXANON 1:2.8 f=35mm
このレンズは1962年に登場したようです。ネット上の情報には「Konica FSとともに1962年に登場した」との説がありますが,FSはFと同じ年,1960年の終わり頃に発売されているのでちょっと違う気がします。1962年にはFSの後継機であるFPが発売されていますので,このレンズの発売が1962年だとすればFPの登場と前後して発売された,と考える方が自然であるように思います。まぁ,今となってはよくわからないし,わからなくてもまったく困らない話なのですが。 コニカFマウントレンズのなかでは35mmがもっとも広角なレンズでした。高級路線まっしぐらであったKonica Fと同時に発売された35mmは上位の開放F値がF2のレンズでした。35mm F2はARマウントに移行後もよく写ると言われているようですが,あまり見かけません。ARマウントでさえも見かけないくらいなので,当然のことながらKonica Fマウントの35mm F2は見たことがありません。F2.8はコニカFマウントの第一世代ではなく2年遅れでの登場ですが,ARマウントに移行後も最後まで残っていました。 Hexanon 35mm F2.8のレンズ構成は典型的なレトロフォーカス型で,3群4枚のテッサーの前に2群2枚を付け加えてバックフォーカスを長くとり一眼レフカメラに適合させた構成です。これは1950年に世界ではじめてレトロフォーカス型レンズを商品化したP. ANGENIEUX PARISのRETROFOCUS TYPE R1 35mm/f2.5とほとんど同じ構成です。ただし,アンジェニューはF2.5ですが,小西六はF2.8で明るさは少し控えめです。 Type R1のレンズ構成を見るとすぐわかるとおり,第一群が飛び抜けて大きな径を持っています。1950年当時はこの構成は大発明だったわけですが,その後,レトロフォーカス型の光学系も少しずつコンパクトになっていきます。Hexanon 35mm F2.8はType R1から遅れること12年での登場ですが,レンズ構成が大きく進歩したような印象はうけません。実際,F2.8という暗めのレンズなのにずいぶんとデカいです。和製アンジェニューなどと呼ばれたりすることもあるようですが,これは褒め言葉として受け止めるべきなのかどうか,微妙です。 Hexanon 35mm F2.8のARマウント版はそれほど珍しいものではありませんが,コニカFマウント版はあまり見かけません。コニカFマウント版には,プリセット絞りのものと自動絞りのものがあります。Hexanonに詳しいサイトでは,どちらのバージョンも最短撮影距離は30cmとされています。しかし,手元の個体は自動絞りバージョンで最短撮影距離は60cmです。そのため,ひょっとすると,絞り方式以外にも光学設計のバリエーションが存在するのかもしれません。 #レンズ #MF #Hexanon #KonicaF #Konishiroku #35mm #F2.8 #広角 #単焦点
MFレンズ Konica F KonishirokuMOR
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KONISHIROKU HEXANON 1:2 f=50mm
1960年の終わり頃(12月?)に廉価版として登場したKonica FS用のセットレンズとして50mm F2は登場します。ちょっとはっきりしないのですが,このレンズの登場は1962年のようで,FSの登場時期と一致していません。Konica Fのセットレンズは52mm F1.4でしたから当初FSも52mm F1.4をセットレンズとしていたものの価格を下げるために後から50mm F2が投入されたのかもしれません。しかしながら,1962年の秋にはKonica FPが登場し,そのセットレンズは52mm F1.8に変更され,50mm F2はディスコンになります。このようなことから50mm F2がFSにセットされて販売された期間がどのくらいだったのか,今ひとつ判然としないのですが販売期間が極めて短かったこと,単体では販売されていな可能性が高いこと,は容易に想像されます。結果として,このレンズはコニカFマウントレンズのなかでもかなりレアなレンズです。とは言え,コニカFマウントのレンズ自体の数がそれほど多くはないので,52mm F1.8以外はいずれのレンズもそれなりにレアであると言えるかもしれません。 もうひとつ,この50mm F2について特筆すべき点は,コニカの一眼レフ用のレンズとして,ARマウントレンズも含めて50mm F2というスペックのレンズは後にも先にも存在していない,ということです。50mm F2なんていかにも廉価版レンズの王道をいくスペックでいくらでもありそうなのですが,コニカの一眼レフに関して言えば,1962年頃にそれほど多くない数が販売されたこのレンズが50mm F2というスペックの唯一のレンズなのです。 ネット上の情報によるとこのレンズのバリエーションは距離環がfeet表示のものとmeter表示の二種類だけのようです。販売期間が短かったことを考えるとそれ以上のバリエーションがあったとはちょっと考えにくいので,実際,仕向地ごとのバリエーションしか存在しなかったものと思われます。やたらと細かい違いのバリエーションが多いコニカ(小西六)にしては珍しいパターンです。 この個体はヤフオクでたまたま見つけたので入手しました。やや高い値付けでしたが,次にいつ見つけられるかわからない,ということもあって入札しました。レアなレンズであることは間違いありませんが,古い時代の廉価版レンズだし,そもそも使い道があるのかないのかわからないコニカFマウントだし,でなんとも微妙な値付けでした。 #レンズ #MF #Hexanon #KonicaF #Konishiroku #50mm #F2 #標準 #単焦点
MFレンズ Konica F KonishirokuMOR
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KONISHIROKU HEXANON 1:1.8 f=52mm
1960年に登場した小西六の最初の一眼レフカメラコニカFはニコンFよりも高価な高級機でした。そのため同じ1960年の終わり頃に廉価版であるFSが投入されます。SはスタンダードのSということのようです。Fのキットレンズは小西六渾身の52mm F1.4でしたが,FSでは50mm F2がセットされます。その後,FSの改良版(?)として1962年にFPが登場すると,セット用のレンズは50mm F2から52mm F1.8に変わります。 1965年には小西六はコニカFマウントを捨ててARマウントに変えますが,52mm F1.8はARマウントになっても継続してセット用の標準レンズとして供給されます。1973年にAutoreflex T3のセットレンズとして50mm F1.7が登場すると,ついにその座を明け渡して市場から消えていきます。しかし,52mm F1.8は10年あまりにわたって供給が続けられたため,コニカの一眼レフ用のレンズとしては目にすることが最も多いレンズのひとつです。ARマウント版の52mm F1.8は以下で紹介しましたが,ここで紹介するのはコニカFマウント版です。 https://muuseo.com/MOR/items/1 ARマウント版では途中から自動露出に対応したEE仕様のものが登場しますが,基本的に,ARマウント版とFマウント版は同じ光学系のまま,大きな変更はされていないようです。ネット上の情報によると,Fマウント版の52mm F1.8には3種類あるようですが,仕向地ごとに銘板の表示が異なっていただけのようですので大きな違いはなさそうです。また,最初期のモデルは距離環のfeet表示の数字が黄色だったようですが,途中からオレンジ色に変更されています。feet表示が黄色っぽい個体は確かに見たことがあるような気もするのですが,オレンジ色が退色しただけ,あるいは写真のホワイトバランスが悪いだけ,のようでもあって,今ひとつはっきりしません。手元の個体はfeet表示の文字がオレンジ色のバージョンです。 コニカFマウントレンズのためのミラーレスカメラに使えるマウントアダプターはまったくないわけではないですが,最近は販売されているのを見たことがありません。このレンズを何らかのカメラにマウントする最も確実な方法は小西六純正のFマウントレンズをARマウントカメラに装着するためのマウントアダプタを用いることです。このアダプタは極めてレアものであるというだけでなく,Konica Lens Adapterというまるで特徴のない当たり前な名前がついているおかげで,検索してもほかのアダプタばかりヒットしてしまって容易には見つけられません。 #レンズ #MF #Hexanon #KonicaF #Konishiroku #52mm #F1.8 #標準 #単焦点
MFレンズ Konica F KonishirokuMOR