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Konica Lens Adapter (Konica F to AR)
1965年に小西六はコニカFマウントを捨て,ARマウントに移行します。ARマウントはコニカFマウントのフランジバックはそのままにマウント口径を40mmから47mmに拡大しています。その際に,コニカFマウントレンズを新しいARマウントのボディに取り付けるためのマウントアダプタを発売しています。そのアダプタがKonica Lens Adapterというなんとも普通の名前が付けられたマウントアダプタです。 マウントアダプタ全盛期の現在にあってもコニカFマウント用のマウントアダプタはほとんどありません。時々,Sony Eマウントボディにとりつけるための手作り感満載のアダプタがeBayに出ている程度です。一方,ARマウントレンズを各種カメラボディに装着するためのマウントアダプタは簡単に入手できるので,コニカFマウントレンズをARマウントに変換できればその先はどうにかなりそうです。そのためにもっとも手堅いのが小西六純正のKonica Lens Adapterです。 ほとんど幻のアダプタと言ってもよいと思います。そもそもコニカFマウントレンズが数多く出回ったわけではないうえに,コニカFマウントからARマウントへ移行した人の数はさらに少なかったことは容易に想像されます。結果としてコニカF → ARのマウントアダプタがほとんど市場に出回らなかったとしても不思議はありません。しかも商品名が思い切り普通名詞だけで構成されているので検索をしても関係ないものばかりヒットする,という探すことさえもままならない,という困難を極めるブツなのです。 それにもめげずに頑張って探したのがこの個体です。絞りの絞り込み用レバーのバネが少し弱っているので完璧な状態ではないのですが,これを介してARマウント用アダプタで種々のカメラにコニカFマウントレンズを装着できるようになったことに比べれば少々の不具合は小さなことだと思っています。 後半3枚の写真はHexanon 52mm F1.4に装着した状態です。フランジバックは同じままマウント口径だけが変わっているため,ちょっと複雑な機構になっています。 https://muuseo.com/MOR/items/40 入手の経緯はモノ日記に書き留めましたのでもしも興味がおありでしたらご覧ください。 https://muuseo.com/MOR/diaries/1 #マウントアダプタ #KonicaF #AR #Konishiroku #Konica #純正
マウントアダプタ Konica F to AR KonishirokuMOR
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KONISHIROKU HEXANON 1:1.4 f=52mm
小西六は1960年に最初の一眼レフカメラKonica Fを投入します。Konica Fとともに登場したレンズは35mm F2, 52mm F1.4, 85mm F1.8, 135mm F2.8の4本でした。Nikon Fよりも高価な高級カメラで,世界初の1/2000の高速シャッターを搭載しての登場でしたので,レンズも高級路線でいずれも当時としては明るい大口径レンズばかりでした。なかでも,52mm F1.4はバックフォーカスを長くとらねばならない一眼レフにあって当時の技術でこのスペックを実現するのは相当にたいへんであったことと想像されます。レンジファインダーカメラのようにバックフォーカスが短いカメラではSonnar型のようなレンズ構成でも50mm F1.5を実現できましたが,一眼レフカメラには適合できませんでした。ダブルガウス型にしても1960年前後では50mmでF1.8やF2のレンズはなんとかなってもF1.4は非常にハードルが高かったようです。かの有名な富岡光学でも標準レンズは55mmだったことからもその難しさがうかがえます。 小西六は,50mm F1.4をどうしても実現する,という目標を持って一眼レフカメラを設計したように思われるところがあって,フランジバックを40.5mmとするためにミラーがレンズに干渉しないようにミラーが跳ね上がるときの動きに工夫を加えています。ミラーの軌道の設計と50mm F1.4を実現可能なフランジバックの兼ね合いからマウントの仕様が決まったのではないか,と思われるのです。小西六の試作機では実際に50mm F1.4がついていたようですが,製品版では52mm F1.4になったようです。いずれにしても,一眼レフを投入するにあたって小西六がたいへんな力を入れていたことは間違いありません。 1960年に登場した最初の4本のコニカFマウントレンズはいずれも非常に数が少ないようです。コニカF自体が1500台程度の生産数という説もあるので,数が少なくて当然です。さすがにセットレンズとして供給された52mm F1.4はときどき見かけますが,それ以外の3本はヤフオクでもeBayでもまず見かけることがありません。一度だけ,ヤフオクに85mm F1.8が出品されているのを見かけましたが(一説には生産数は500本くらい),かなり高価であったにもかかわらず落札されていました。またコニカFマウントはフランジバックが短いため他のいかなる一眼レフカメラにも取り付けることができません。レンジファインダーカメラであれば取り付けることができるため,52mm F1.4のマウントをライカMマウントに改造したものをときどき見かけます。もちろん,距離計には連動しないのでミラーレスで使うことが大前提だと思われます。それでも,52mm F1.4は改造してでも使いたい,と考える人が多少なりともいる,ということなのでしょう。 ネット上の情報によると,52mm F1.4の初期型はフィルタ径が49mmであったようですが,その後,コニカで標準となる55mm径のものが登場します。いずれも同じ5群7枚の変形ダブルガウス型ですが,当然のことながら光学系は再設計されています。52mm F1.4はなぜかARマウントには引き継がれず,57mm F1.4にとって代わられてしまいます。 手元の個体はフィルタ径が55mmのものです。状態は可もなく不可もなくというところで実用上の問題はありません。後ろの3枚の写真は小西六純正のコニカFマウントレンズをARマウントカメラに装着するためのアダプタ(Konica Lens Adapter)を取り付けてARマウントレンズとして使えるようにした状態です。このマウントアダプタについてはマウントアダプタのフロアでいずれ紹介したいと思います。 #レンズ #MF #Hexanon #KonicaF #Konishiroku #52mm #F1.4 #標準 #単焦点 #大口径
MFレンズ Konica F KonishirokuMOR
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KONISHIROKU HEXANON 1:3.5 f=135mm
コニカはなぜか135mmレンズに力を入れていて,コニカFマウントでF2.8とF3.5,ARマウントでF2.5, F3.2, F3.5をリリースしていました。すべてのレンズが同時に販売されていたわけではありませんが,それにしても力が入っていたと推察されます。フィルムの一眼レフ時代,特にその黎明期には,セットレンズとして標準レンズがついてきて,交換レンズが欲しい,となると多くの人は望遠レンズとして135mmを求めたように思われます。200mmほど大仰ではなく,85mmや100mmでは望遠レンズとしてちょっと物足りないと言うか,損をしたようなそんな気分があって135mmが求められたのではないかと想像します。そのため小西六が135mmに力を入れた,というのはもっともな話です。 コニカFマウントの135mm F3.5は1962年頃に登場します。ネット上にはFSとともに登場したと書かれているサイトがありますが,FSは1960年の終わり頃の登場なのでちょっと辻褄があっていません。F3.5は最初に最小絞りがF16の自動絞りのものが登場し,その後,FPの登場とともに最小絞りがF22のプリセット絞りのものが登場したようです。ARマウントに移行したのちも,プリセット版とEE版として継続し,その後,Autoreflex T2の頃に135mm F3.2に置き換えられます。 コニカFマウントの135mm F3.5は52mm F1.8ほどではないにしても,よく見かけます。多くのユーザーが標準レンズの次のレンズとして135mmを選んだのでしょう。コニカFマウントの廉価版レンズは52mm F1.8, 135mm F3.5, 35mm F2.8の3本だけだといっても大筋では間違いがないと思っていますが,前二者は多く見られるのに35mm F2.8はかなり少ないということからも3本目のレンズを求める人は多くはなかったものと想像されます。 手元の個体は最小絞りがF22のプリセット絞りバージョンです。コニカは自動絞りのレンズの場合,絞り羽根は6枚ですが,プリセット絞りの場合は倍の12枚羽根でほぼ完全な円形を維持しながら絞り羽根が閉じていきます。望遠レンズとしてボケが大きいことを考えると,これはこれでよいですし,ミラーレス時代にあっては自動絞り機構がレンズについているかどうかはどうでもよいのでむしろプリセット絞りのほうが良かったりします。何がよいのか,というのは,その時の最善のものが将来にわたって最善とは限らない,というなんとも皮肉なことで,色々と考えさせられます。 #レンズ #MF #Hexanon #KonicaF #Konishiroku #135mm #F3.5 #望遠 #単焦点
MFレンズ Konica F KonishirokuMOR
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KONISHIROKU HEXANON 1:2.8 f=35mm
このレンズは1962年に登場したようです。ネット上の情報には「Konica FSとともに1962年に登場した」との説がありますが,FSはFと同じ年,1960年の終わり頃に発売されているのでちょっと違う気がします。1962年にはFSの後継機であるFPが発売されていますので,このレンズの発売が1962年だとすればFPの登場と前後して発売された,と考える方が自然であるように思います。まぁ,今となってはよくわからないし,わからなくてもまったく困らない話なのですが。 コニカFマウントレンズのなかでは35mmがもっとも広角なレンズでした。高級路線まっしぐらであったKonica Fと同時に発売された35mmは上位の開放F値がF2のレンズでした。35mm F2はARマウントに移行後もよく写ると言われているようですが,あまり見かけません。ARマウントでさえも見かけないくらいなので,当然のことながらKonica Fマウントの35mm F2は見たことがありません。F2.8はコニカFマウントの第一世代ではなく2年遅れでの登場ですが,ARマウントに移行後も最後まで残っていました。 Hexanon 35mm F2.8のレンズ構成は典型的なレトロフォーカス型で,3群4枚のテッサーの前に2群2枚を付け加えてバックフォーカスを長くとり一眼レフカメラに適合させた構成です。これは1950年に世界ではじめてレトロフォーカス型レンズを商品化したP. ANGENIEUX PARISのRETROFOCUS TYPE R1 35mm/f2.5とほとんど同じ構成です。ただし,アンジェニューはF2.5ですが,小西六はF2.8で明るさは少し控えめです。 Type R1のレンズ構成を見るとすぐわかるとおり,第一群が飛び抜けて大きな径を持っています。1950年当時はこの構成は大発明だったわけですが,その後,レトロフォーカス型の光学系も少しずつコンパクトになっていきます。Hexanon 35mm F2.8はType R1から遅れること12年での登場ですが,レンズ構成が大きく進歩したような印象はうけません。実際,F2.8という暗めのレンズなのにずいぶんとデカいです。和製アンジェニューなどと呼ばれたりすることもあるようですが,これは褒め言葉として受け止めるべきなのかどうか,微妙です。 Hexanon 35mm F2.8のARマウント版はそれほど珍しいものではありませんが,コニカFマウント版はあまり見かけません。コニカFマウント版には,プリセット絞りのものと自動絞りのものがあります。Hexanonに詳しいサイトでは,どちらのバージョンも最短撮影距離は30cmとされています。しかし,手元の個体は自動絞りバージョンで最短撮影距離は60cmです。そのため,ひょっとすると,絞り方式以外にも光学設計のバリエーションが存在するのかもしれません。 #レンズ #MF #Hexanon #KonicaF #Konishiroku #35mm #F2.8 #広角 #単焦点
MFレンズ Konica F KonishirokuMOR
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KONISHIROKU HEXANON 1:2 f=50mm
1960年の終わり頃(12月?)に廉価版として登場したKonica FS用のセットレンズとして50mm F2は登場します。ちょっとはっきりしないのですが,このレンズの登場は1962年のようで,FSの登場時期と一致していません。Konica Fのセットレンズは52mm F1.4でしたから当初FSも52mm F1.4をセットレンズとしていたものの価格を下げるために後から50mm F2が投入されたのかもしれません。しかしながら,1962年の秋にはKonica FPが登場し,そのセットレンズは52mm F1.8に変更され,50mm F2はディスコンになります。このようなことから50mm F2がFSにセットされて販売された期間がどのくらいだったのか,今ひとつ判然としないのですが販売期間が極めて短かったこと,単体では販売されていな可能性が高いこと,は容易に想像されます。結果として,このレンズはコニカFマウントレンズのなかでもかなりレアなレンズです。とは言え,コニカFマウントのレンズ自体の数がそれほど多くはないので,52mm F1.8以外はいずれのレンズもそれなりにレアであると言えるかもしれません。 もうひとつ,この50mm F2について特筆すべき点は,コニカの一眼レフ用のレンズとして,ARマウントレンズも含めて50mm F2というスペックのレンズは後にも先にも存在していない,ということです。50mm F2なんていかにも廉価版レンズの王道をいくスペックでいくらでもありそうなのですが,コニカの一眼レフに関して言えば,1962年頃にそれほど多くない数が販売されたこのレンズが50mm F2というスペックの唯一のレンズなのです。 ネット上の情報によるとこのレンズのバリエーションは距離環がfeet表示のものとmeter表示の二種類だけのようです。販売期間が短かったことを考えるとそれ以上のバリエーションがあったとはちょっと考えにくいので,実際,仕向地ごとのバリエーションしか存在しなかったものと思われます。やたらと細かい違いのバリエーションが多いコニカ(小西六)にしては珍しいパターンです。 この個体はヤフオクでたまたま見つけたので入手しました。やや高い値付けでしたが,次にいつ見つけられるかわからない,ということもあって入札しました。レアなレンズであることは間違いありませんが,古い時代の廉価版レンズだし,そもそも使い道があるのかないのかわからないコニカFマウントだし,でなんとも微妙な値付けでした。 #レンズ #MF #Hexanon #KonicaF #Konishiroku #50mm #F2 #標準 #単焦点
MFレンズ Konica F KonishirokuMOR
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KONISHIROKU HEXANON 1:1.8 f=52mm
1960年に登場した小西六の最初の一眼レフカメラコニカFはニコンFよりも高価な高級機でした。そのため同じ1960年の終わり頃に廉価版であるFSが投入されます。SはスタンダードのSということのようです。Fのキットレンズは小西六渾身の52mm F1.4でしたが,FSでは50mm F2がセットされます。その後,FSの改良版(?)として1962年にFPが登場すると,セット用のレンズは50mm F2から52mm F1.8に変わります。 1965年には小西六はコニカFマウントを捨ててARマウントに変えますが,52mm F1.8はARマウントになっても継続してセット用の標準レンズとして供給されます。1973年にAutoreflex T3のセットレンズとして50mm F1.7が登場すると,ついにその座を明け渡して市場から消えていきます。しかし,52mm F1.8は10年あまりにわたって供給が続けられたため,コニカの一眼レフ用のレンズとしては目にすることが最も多いレンズのひとつです。ARマウント版の52mm F1.8は以下で紹介しましたが,ここで紹介するのはコニカFマウント版です。 https://muuseo.com/MOR/items/1 ARマウント版では途中から自動露出に対応したEE仕様のものが登場しますが,基本的に,ARマウント版とFマウント版は同じ光学系のまま,大きな変更はされていないようです。ネット上の情報によると,Fマウント版の52mm F1.8には3種類あるようですが,仕向地ごとに銘板の表示が異なっていただけのようですので大きな違いはなさそうです。また,最初期のモデルは距離環のfeet表示の数字が黄色だったようですが,途中からオレンジ色に変更されています。feet表示が黄色っぽい個体は確かに見たことがあるような気もするのですが,オレンジ色が退色しただけ,あるいは写真のホワイトバランスが悪いだけ,のようでもあって,今ひとつはっきりしません。手元の個体はfeet表示の文字がオレンジ色のバージョンです。 コニカFマウントレンズのためのミラーレスカメラに使えるマウントアダプターはまったくないわけではないですが,最近は販売されているのを見たことがありません。このレンズを何らかのカメラにマウントする最も確実な方法は小西六純正のFマウントレンズをARマウントカメラに装着するためのマウントアダプタを用いることです。このアダプタは極めてレアものであるというだけでなく,Konica Lens Adapterというまるで特徴のない当たり前な名前がついているおかげで,検索してもほかのアダプタばかりヒットしてしまって容易には見つけられません。 #レンズ #MF #Hexanon #KonicaF #Konishiroku #52mm #F1.8 #標準 #単焦点
MFレンズ Konica F KonishirokuMOR