- Dissipated Life Museum
- 12F Konica ARマウントレンズ
- HEXANON AR 40mm F1.8
HEXANON AR 40mm F1.8
コニカのARマウントのレンズの中でも有名な部類に入ると思います。パンケーキ型で鏡筒の長さが非常に短いレンズです。普通のパンケーキ型レンズは3群4枚構成のテッサータイプがほとんどですが,このレンズは5群6枚のウルトロン型(変形ガウス型)です。短い筐体によくもそれだけレンズを詰め込んだ,ものだと思わせるレンズ構成です。でもって,パンケーキ型レンズとしては破格に明るい開放F値と,普通に45cmまで寄れる最短撮影距離を実現しており,作り手のこだわりを感じさせてくれます。
パンケーキ型であるだけでなく,そのレンズ構成,設計者,正面に赤色で刻印された大きな「40/1.8」という文字,など,写り以外のところでいろいろと話題が多いレンズです。
1979年に発売されたコニカの一眼レフ機であるFS-1のセットレンズとして共に発売されています。その後,1980年発売のFC-1にもセットレンズとして使われたようですが,その後は,コニカのARマウントの一眼レフ機そのものが終焉に向かっていきます。FS-1の発売時のコニカの立ち位置がどうだったのか,はよくわかりませんが,1980年頃がコニカ一眼レフの終わりの始まりだったように思われます。
このレンズはカメラの売れ行きが必ずしも好調ではない時期に出されたセットレンズなのでコストの制約が厳しかったと想像され,高級品として企画されたものではなかったはずです。しかし,セットレンズがレンズ沼の入り口ですので,セットレンズはそれなりの性能がなければカメラシステム全体の評価を落としかねませんし,他のレンズも買ってもらえない,ということもあって手抜きができない,という難しい立ち位置にありました。そこへ50mmではなく40mmを投入してきた,というのは当時のコニカが独自性を出そうとしていろいろ考えていた,ということなのだと想像されます。
あまりよい状態の個体は見つかりにくいようで,手持ちの個体もそれほど状態がよいわけではあrません。逆光で大暴れするのはコーティングがダメになっているからかもしれません。基本的に逆光の条件で強い光が入り込むとゴーストがでてコントラストが大幅に低下します。その一方で斜光や順光の条件では,つまらない画になりそうなところを,あれっと振り向かせる何かがあることがあります。私の腕の問題もあって,いつもそれを再現できるわけではないのですが,何かよくわからない引き付けるものがある場合があるのです。まったりした,少し粘性が高いねばっとした写りというのでしょうか,だからといって重苦しいわけではなくかといってさっぱりしているというわけでもなく,言葉にしにくい不思議な表情を見せることがあります。
Sony α7Sの絞り優先自動露出で撮ると,たいていの場合はなんだか色が浅くて必要以上にスッキリした画になることが多いと感じます。その特性をうまく活かすとハイキーな妙に明るくて軽快な画になります。一方で少し露出をアンダーにすると,ぐっと色がでて腰がすわわったような画になります。そういう意味で懐が広いというか,表現の引き出しが多いレンズと言えるのかもしれませんが,いつもはその引き出しを開けるのが難しくて,多くの場合はなんだかカスみたいな画ばかり量産してしまう(もちろん,撮影のウデの問題が大きいけど),という実に難しいレンズです。
コニカのARマウントのレンズの中で独自の地位(?)を築いているのはそういう予想が難しく,いつも新鮮な驚きを与えてくれるレンズ,という特性が貢献しているのかもしれません。
このレンズによる作例は
https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/HEXANON%20AR%2040mm%20F1.8
においています。
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