-
M-HEXANON LENS 28mm F2.8
1999年に登場したコニカ のHexar RFはライカM型とほぼ互換性のあるレンジファインダーカメラです。ライカに遠慮してかレンズのマウントはKMマウントという名前になっていました。微妙に距離計の連動が異なっていたようです。これはHexar RFの基線長がライカMのそれよりも少し(2.8mm)短かかったことが原因かもしれません(本当のところはよくわからない)。当時は,KMマウントのレンズをライカに装着して使えるように距離計の連動カムを調整するというサービスもあったようです。 M-Hexanon 28mm F2.8はHexar RFの広角レンズとして1999年にHexar RFとともに登場します。2003年ころまでは販売されていたようです。よく言われるのはライカの第4世代のElmarit M 28mm F2.8とウリ二つのレンズ構成で,よく写るレンズだというものです。和製エルマリートなどと呼ばれたりしたようですが,そのように呼ばれること自体,なんとなく負けた感があるというか,最初から負けているという感じがします。 そうはいっても,コニカはHexar RFに相当,力をいれていたようで,この28mm F2.8も構成レンズの全ての面をマルチコーティングして絞り羽も10枚というとても贅沢なつくりで,当時のコニカの意気込みが伝わってきます。 イマドキのレンズと比べるようなものではないと思いますが,開放からシャープできっちり写り,コントラストもある,今風の写りのレンズだと思います。なんというか,普通にちゃんと写るレンズ,と言えばよいでしょうか。もちろん21世紀にはいってすぐの頃に発売されたレンズでもまだ現役のものもあることを考えればM-Hexanon 28mm F2.8が「よく写る」ことはあまり驚くことではないのかもしれません。 このレンズによる作例を https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/M-HEXANON%20LENS%2028mm%20F2.8 においています。 #レンズ #MF #M-HEXANON #LM #Konica #28mm #F2.8 #広角 #単焦点
MFレンズ LM KonicaMOR
-
KONICA HEXANON 1:1.4 f=57mm
1960年に登場したKonica FマウントのKonica Fからはじまった小西六の一眼レフが1965年に新たに登場し,新しいARマウントを採用したKonica Autorexとともに登場した高速標準レンズがHexanon 57mm F1.4です。57mm F1.4は全てのバリエーションがEEタイプでした。1973年にAUTOREFLEX T3の登場によって絞り優先およびシャッタースピード優先の両対応となるAEタイプの時代になると,T3用の大口径標準レンズとして新たに登場した50mm F1.4にその座を明け渡します。 Konicaの一眼レフ用レンズのご多聞にもれず,57mm F1.4には細部の細かな違いにより多くのバリエーションが存在しています。そのバリエーションはわずか8年の供給期間中に少なくとも16種類はあるようですが,細かく見ればもっと多くのバリエーションがあるのかもしれません。銘板にARの文字が入るのは最後期のレンズに限られるようです。最後とその直前のバージョンのみ,鏡筒全体がブラック仕上げで,それ以前のモデルは被写界深度指標のリングがクローム仕上げでした。時代が進むにつれて少しずつ簡略化されているようです。ただ,レンズ構成は5群6枚のウルトロン型で4群6枚のダブルガウス型の第2群の貼り合わせレンズを分離した構成で一貫していました。外観の変更は多くありますが,光学系には変更がなかったものと思われます。 1/2段明るいHexanon AR 57mm F1.2がフィルタ径62mm,重さが460gもあるのに対して,F1.4のこのレンズはフィルタ径はコニカ標準の55mmで重さも275gですからF1.2はF1.4の1.6倍以上も重いことがわかります。F1.2でなくては撮れない画があることも事実ですが,大きさ,重さの違いを考えるとF1.2のレンズを持ち出すのは少し躊躇してしまいます。 https://muuseo.com/MOR/items/19 この個体は中期型-IIあるいは第11版と呼び方は人によって異なりますがおそらく1968年のKonica FTAが発売された頃に登場したタイプです。ヤフオク!を通して入手しましたが,説明では薄カビはあるものの機能はスムースで純正フード付きということでした。実際に届いたものを見ると,大カビで距離環はほぼ固着していて,どんな素人が見てもわかるような完全にダメな個体でした。ヤフオク!でレンズを転売している人にはこういう人が少なくないのでいちいち目くじらを立てているようではレンズ遊びなどできない,というのが私のスタンスですので,さっさと某マエストロにオーバーホールを依頼しました。もちろん素晴らしいコンディションになって返ってきました。距離環の軽すぎない滑らかな感触はピント合わせが楽しくなります。ピントの山が一瞬なうえに,開放では光の状態によってはハロを纏うため,ピント合わせはたいへん難しいレンズです。そのため,距離環の感触は重要です。実際に撮影してみると開放での被写界深度は非常に薄く感じられ,これならF1.2のレンズはいらないんじゃないか,と思ってしまうほどです。昔のレンズらしく少し絞るとピント面はシャープになって甘さがなくなります。 開放でのピント合わせが難しいのでミラーレスカメラで撮影する場合はついつい1段ほど絞って撮ってしまいます。古い時代の一眼レフの冴えないファインダーでどうやってピント合わせをしていたのか,自分が当時のカメラにこのレンズ をつけていたとすると,ちょっと想像するだに恐ろしくなります。とはいえ,花などを柔らかく撮りたいときには気合を入れて開放でチャレンジしてそれでちゃんとピントがきていると,とてもいい感じの画になってうれしくなります。 このレンズによる作例を https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/HEXANON%20AR%2057MM%20F1.4 に置いています。 #レンズ #MF #Hexanon #AR #Konica #52mm #F1.4 #標準 #単焦点 #大口径
MFレンズ AR KonicaMOR
-
HEXANON AR 35mm F2
Hexanon 35mm F2は小西六の最初の一眼レフカメラKonica F以来,最後までラインナップされていたレンズです。ネット上の情報によると,Konica Fマウントで1960年に登場したものの1965年のARマウントへの変更後もKonica Fマウントのまま放置され,Autoreflex T3が登場する1973年頃にようやくARマウント版が登場したようです。Konica Fマウント版はほとんど幻のレンズといってよいと思われます。 ARマウントの35mm F2は最初,金属製の距離環をもつEE版として登場し,その後,他のレンズと同様にゴム巻きの距離環に変更され,AE版に更新されます。Konica Fマウント版ほどではないにしても,ARマウント版も生産数はかなり少ないようで,eBayやヤフオク!をパトロールしていてもほとんど見かけません。eBayに出品されているものはかなり高い値付けのものが多いようです。レアだからといって高値でも売れるわけでもなく,なんだか微妙な位置付けのレンズです。写りは,ズミクロンのようだ,という人もいるようですが,私のように感性が鈍い人にはそのあたりのことはあまりわかりません。 手元の個体は,金属ローレットのついたEE版です。外観は結構きれいですが,ヘリコイドの動きは少し引っ掛かりを感じることがあるので必ずしも調子がよいわけではありません。数が少ないので状態の良いものを見つけること自体が難しいのでしょうがないんだろう,と思っています。 #レンズ #MF #Hexanon #AR #Konica #35mm #F2 #広角 #単焦点 #大口径
MFレンズ AR KonicaMOR
-
HEXANON AR 24mm F2.8
Hexanon AR 24mm F2.8はコニカが市場に投入した広角レンズのなかでは最後の焦点距離でした。登場したのはAutoreflex T3の頃ということなので1973年ころだと思われます。1960年に小西六最初の一眼レフカメラとしてKonica Fが登場して以来,10年以上も24mmの画角のレンズがラインナップされていなかったというのはすこし興味深いものがあります。21mmはARマウントに移行した1965年頃には市場投入されていたようなので,24mmは中途半端な画角ということで先送りにされていたのかもしれません。 24mm F2.8は最初はEE版が登場しますが,すぐにAE版に置き換えられます。これらはいずれも最小絞りはF16でした。その後,最小絞りがF22で,より小型で軽量になったバージョンが登場します。最後のバージョンはTokinaによるOEMという噂があるようです。ただ,OEMレンズについても設計はコニカがやっていたと囁かれています。最小絞りがF16のバージョンもかなり数は少ないようですが,F22のバージョンはさらに少ないようです。F22のバージョンが登場したのは1982年頃のようでコニカが一眼レフから撤退をするまでに十分な期間がなかったことも数が少ない理由だと思われます。 このレンズには28mmと兼用の角形フードが用意されていました。かぶせ式でフィルター枠の外側からネジで締め付けて固定するタイプですので,向きをきちんと考えて固定しないと,簡単にケラれてしまいます。フード本体は金属製でその内面には植毛がされていて丁寧な作りのものです。 手元の個体は最小絞りがF16のAE版で24mm F2.8の中では一番多く流通したものだと思います。ちょうどこのレンズを入手した時に偶然にもとても状態のよい専用フードがヤフオク!に出品されていたので思わず入手してしまいました。下手をするとHexanonの普及タイプのレンズとかわらない値段ですが,それほど多く出回るものでもないのでしょうがないと言い訳をしています。 #レンズ #MF #Hexanon #AR #Konica #24mm #F2.8 #広角 #単焦点
MFレンズ AR KonicaMOR
-
HEXANON AR 135mm F2.5
135mm F2.5レンズはAutoreflex T3の頃に登場したということなので1972年以降,1975年までには市場に投入されていたものと思われます。コニカの135mmレンズとしてはもっとも大口径で,フィルタ径もコニカで標準的な55mmではなく62mmです。最初はEE版として登場し,その後AE版に置き換えられています。4群4枚のシンプルなレンズ構成で,エルノスター型のレンズを基本としているようです。レンズには内蔵のフードがありますが,非常に短い(浅い)もので135mm用としてはほとんど役に立ちません。フードとしての機能が必要ならば汎用のねじ込み式のもっと深いフードを使わねばなりません。 コニカの一眼レフに詳しいwebサイトには,「画質は135mm F3.2ほど良くはないものの良い部類であるが,大きく重いのでどうしても135mmが欲しいならF3.2を勧める」という趣旨のことが述べられています。135mm F3.2は所有していないので比較のしようがありませんが大きく重くて持ち出すには少し躊躇ってしまいます。しかし,イマドキのレンズはもっと大きく重いものはいくらでもあるので,そんなことを気にしていてはいけないのかもしれません。 そのような微妙な立ち位置のうえ,現在は135mmは不人気焦点距離ということもあって,中古の人気もあまりないようで中古の流通価格も安値で安定しています。人気がない割には,ヤフオク!などではしばしば目にするのでこのレンズが現役だった時代にはそれなりに数がでたレンズだったと思われます。手元の個体は,AE版です。大きく重いこと以外,これといった特徴もなく,確かに地味なレンズだと思います。 このレンズによる作例は https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/HEXANON%20AR%20135MM%20F2.5 においています。 #レンズ #MF #Hexanon #AR #Konica #135mm #F2.5 #望遠 #単焦点
MFレンズ AR KonicaMOR
-
HEXANON AR 85mm F1.8
小西六の一眼レフカメラ用85mmレンズは1960年に登場した最初の一眼レフカメラKonica Fおよび他の3本のレンズとともに登場します。ネット上の噂(?)によると,Konica Fは1500台ほど生産され,初代の85mm F1.8レンズは500台ほどの生産数だったようです。1965年に登場したAutoReflexからマウントがARマウントに変わりますが,85mm F1.8もマウントを変えてコニカの一眼レフの最後までラインナップされます。ARマウントの85mm F1.8は,フィルタ径が58mmのEE版ではじまりますが,その後,フィルタ径はコニカの標準である55mmに変更されます。さらに,鏡筒の意匠がクロームのリングがあるものから全体が黒色のものになり,意匠はオールブラックのまま,最後のAE版が登場しています。 レンズ構成は5群6枚の拡張ダブルガウス型で,この時代の大口径中望遠レンズによく見られる構成です。85mm F1.8はコニカの一眼レフの望遠レンズのなかでは最も大口径でポートレートで用いることを意識したレンズでした。もうひとつの大口径望遠レンズであった135mm F2.5は今でも簡単に見つけることができますが,85mm F1.8はあまり見かけません。 手元の個体はこのレンズのなかでは最後期にあたるAE版です。85mm F1.8は探してみるとなかなか見つからなくてARマウントレンズのわりには高価だったりしますが,たまたまeBayでフランスから出品されているのを見つけて入手しました。外観は非常にきれいなのですが,距離環が非常に重く,ピント合わせがたいへんです。ただ固着しているというわけでもないのでどうにかなるかな,という感じです。 #レンズ #MF #Hexanon #AR #Konica #85mm #F1.8 #望遠 #単焦点 #大口径
MFレンズ AR KonicaMOR
-
HEXANON AR 57mm F1.2
たとえオールドレンズ がブームになっても,まったくといってよいほど見向きもされないKonicaのARマウントレンズにあって,それなりの人気を誇る数少ないレンズの一つがこの開放F値が1.2の大口径標準レンズです。 コニカ は一眼レフのなかでも特にフランジバックが短い仕様です。そのためかどうかはわかりませんが,1960年に発売されたコニカの最初の一眼レフKonica Fとともにリリースされた標準レンズは一眼レフの長いフランジバックにもかかわらず52mm F1.4という他に例のないスペックでした。コニカ は52mm F1.4のレンズが設計できることを前提にカメラの仕様を決めたのではないか,と思ってしまいます。しかし,Konica Fはとても高価でNikon Fよりも高価だったようで,あまり売れず,結果としてコニカは高級路線から大衆路線へと方針を変更します。 Konica Fマウントのレンズは5年ほどの短命に終わり,フランジバックの長さは変更されないまま1965年のKonica AutorexのARマウントに引き継がれます。Konica Fマウントにラインナップされていた52mm F1.8はARマウントに引き継がれますが,52mm F1.4は消滅してしまいます。かわってAutorexととも1965年に登場したのは57mm F1.4でした。 57mm F1.2が登場した時期は調べてもよくわからなかったのですが,おそらくAutorexが登場してからしばらく後だと思われます。この当時,F1.2の大口径標準レンズの最短撮影距離は60cm程度が普通でしたので,HEXANON 57mm F1.2の最短撮影距離45cmは当時としては他に例を見ない素晴らしいスペックだったと言えます。最短撮影距離の違いは撮影の自由度を大きく左右するのでコニカがこの部分に頑張ったことは称賛されるべきだと思います。 手元の個体はEEタイプで銀色の絞り環を有する第一世代のモデルです。EEタイプにはオールブラックの第二世代モデルもあるようですが,いずれも,距離環は金属製です。第二世代のモデルは酸化トリウムを含むいわゆるアトムレンズがあり,ブラウニング現象によって黄色くなっているものが多いようです。第一世代の銀色の絞り環を有するモデルでもアトムレンズがあるようですが,手元の個体ではブラウニングはあまり気になりません。アトムレンズでないものもあったようなので,酸化トリウムを含まない個体なのかもしれません。 ただ,この個体を使ってみたところ,大幅なアンダーインフで無限遠がまったく出ないことがわかりました。ひょっとすると,過去にメンテナンスをされていてその際に紫外線照射によってブラウニングが軽減されていた可能性も考えられます。いずれにしても,過去のメンテナンスの際に正しく組み立てられていないことは容易に想像されます。 とりあえず,近接ではピントが来るのでこのレンズによる作例を https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/HEXANON%20AR%2057mm%20F1.2 に置いています。 #レンズ #MF #Hexanon #AR #Konica #57mm #F1.2 #標準 #単焦点 #大口径
MFレンズ AR KonicaMOR
-
HEXANON AR 28mm F3.5
コニカのARマウントの広角レンズです。開放F値は3.5と控えめで,あまり無理をしていないからか,よく写るレンズ,という評価のようです。 Konicaの一眼レフレンズに詳しい中国語のwebページによると,HEXANON 28mm F3.5は初期の小西六時代のFマウント時代にはまだリリースされておらず,初期型はARマウントになってからリリースされています。その初期型(第1世代)は6群7枚構成のレンズでプリセット絞り,フィルタ径も58mmだったようです。これはFマウント時代に設計されてリリースされる前にFマウントが廃止になったためARマウントとしてリリースされたのではないか,ということです。 その後,EE化された際に7群7枚構成,フィルタ径55mmに設計変更されています(第2世代)。クロームリングのデザインのまま細かいマイナーチェンジがあり,EEタイプの最終型は黒一色になります(第6世代)。さらに,7群7枚構成のままAE化されますが(第7世代),フォーカスリングが金属製からラバー巻きに変更されます。最後期型(第8世代)は1987年にリリースされますが,その際にレンズ構成が5群5枚に変更されて大幅に小型化されます。 ネット上のさまざまなところに断片的な情報が散らばっており,最後期型の28mm F3.5はレンズ構成が簡略化されたため,それ以前のものに比べて描写性能が劣っており,7群7枚構成の最後のバージョンが優れているという意見や,そうではない,という意見もあるようで,よくわかりません。 私の手元にある個体は,前面の銘板にARの文字が入っているEE版で,クロームリングがついたタイプでは最後のバージョンだと思われます。上記バージョンの中では第5世代に相当します。 コニカのARマウントレンズのレンズリアキャップは入手が困難なのですが,先に入手していた標準レンズのリアキャップが欲しくてリアキャップ付きの安い28mm F3.5を調達する,という何がやりたいんだかわからんような目的で入手したのがこのレンズです。本当に安い個体も少なくないのですが,この個体は光学は超美品などと転売屋さんにありがちなよくわからん表現でヤフオクにでていたものです。2000円弱で落札しましたが,写真も撮れるリアキャップ代と考えればリーズナブルなところだと思っています。実際には絞って青空を撮ると埃がそれなりに写るので超美品かと言われるとちょっと首を傾げたくなりますが,カビや曇りはなさそうなので,実用的には十分使えるものです。 リアキャップを他のレンズに使うと28mm F3.5のリアキャップがなくなるわけで,無限のワナにハマってしまうという,最初に気付けよ,という間抜けっぷりです。結局のところ,オリンパスのOM用やシグマSA用の一部のリアキャップが実用的には使える,ということがわかったのでそれで問題は解決して,めでたく無限ループから抜け出すことができました。 このレンズによる作例は https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/HEXANON%20AR%2028mm%20F3.5 においています。 #レンズ #MF #Hexanon #AR #Konica #28mm #F3.5 #広角 #単焦点
MFレンズ AR KonicaMOR
-
HEXANON AR 40mm F1.8
コニカのARマウントのレンズの中でも有名な部類に入ると思います。パンケーキ型で鏡筒の長さが非常に短いレンズです。普通のパンケーキ型レンズは3群4枚構成のテッサータイプがほとんどですが,このレンズは5群6枚のウルトロン型(変形ガウス型)です。短い筐体によくもそれだけレンズを詰め込んだ,ものだと思わせるレンズ構成です。でもって,パンケーキ型レンズとしては破格に明るい開放F値と,普通に45cmまで寄れる最短撮影距離を実現しており,作り手のこだわりを感じさせてくれます。 パンケーキ型であるだけでなく,そのレンズ構成,設計者,正面に赤色で刻印された大きな「40/1.8」という文字,など,写り以外のところでいろいろと話題が多いレンズです。 1979年に発売されたコニカの一眼レフ機であるFS-1のセットレンズとして共に発売されています。その後,1980年発売のFC-1にもセットレンズとして使われたようですが,その後は,コニカのARマウントの一眼レフ機そのものが終焉に向かっていきます。FS-1の発売時のコニカの立ち位置がどうだったのか,はよくわかりませんが,1980年頃がコニカ一眼レフの終わりの始まりだったように思われます。 このレンズはカメラの売れ行きが必ずしも好調ではない時期に出されたセットレンズなのでコストの制約が厳しかったと想像され,高級品として企画されたものではなかったはずです。しかし,セットレンズがレンズ沼の入り口ですので,セットレンズはそれなりの性能がなければカメラシステム全体の評価を落としかねませんし,他のレンズも買ってもらえない,ということもあって手抜きができない,という難しい立ち位置にありました。そこへ50mmではなく40mmを投入してきた,というのは当時のコニカが独自性を出そうとしていろいろ考えていた,ということなのだと想像されます。 あまりよい状態の個体は見つかりにくいようで,手持ちの個体もそれほど状態がよいわけではあrません。逆光で大暴れするのはコーティングがダメになっているからかもしれません。基本的に逆光の条件で強い光が入り込むとゴーストがでてコントラストが大幅に低下します。その一方で斜光や順光の条件では,つまらない画になりそうなところを,あれっと振り向かせる何かがあることがあります。私の腕の問題もあって,いつもそれを再現できるわけではないのですが,何かよくわからない引き付けるものがある場合があるのです。まったりした,少し粘性が高いねばっとした写りというのでしょうか,だからといって重苦しいわけではなくかといってさっぱりしているというわけでもなく,言葉にしにくい不思議な表情を見せることがあります。 Sony α7Sの絞り優先自動露出で撮ると,たいていの場合はなんだか色が浅くて必要以上にスッキリした画になることが多いと感じます。その特性をうまく活かすとハイキーな妙に明るくて軽快な画になります。一方で少し露出をアンダーにすると,ぐっと色がでて腰がすわわったような画になります。そういう意味で懐が広いというか,表現の引き出しが多いレンズと言えるのかもしれませんが,いつもはその引き出しを開けるのが難しくて,多くの場合はなんだかカスみたいな画ばかり量産してしまう(もちろん,撮影のウデの問題が大きいけど),という実に難しいレンズです。 コニカのARマウントのレンズの中で独自の地位(?)を築いているのはそういう予想が難しく,いつも新鮮な驚きを与えてくれるレンズ,という特性が貢献しているのかもしれません。 このレンズによる作例は https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/HEXANON%20AR%2040mm%20F1.8 においています。 #レンズ #MF #Hexanon #AR #Konica #40mm #F1.8 #標準 #単焦点
MFレンズ AR KonicaMOR
-
Macro-HEXANON AR 55mm F3.5
HEXANONのARマウントのマクロレンズです。ARマウントのマクロレンズはベローズ用の105mm F4を別にすると普通のタイプはこれだけだったと思います。単体での最短撮影距離は25cmで撮影倍率は0.5倍です,等倍リングとセットで販売されていたようで,このリングを使うことで等倍撮影ができる,というものでした。開放F値が3.5なのは無限遠の時だけで,撮影距離が短くなるとどんどん暗くなるようで,どのくらい暗くなるかは繰り出してくる鏡筒に刻印されています。レンズ単体での最短撮影距離ではF5.2まで暗くなるようです。ミラーレスで使っているとファインダーが暗くなるわけでもないので,まったく気がつかなかったりします。 2, 3枚目の写真は距離環が無限遠の場合と最短撮影距離の場合です。撮影距離が短くなると鏡筒がどんどん繰り出してきます。繰り出した鏡筒には開放時のF値が刻印されています。鏡筒先端には3.5と書かれており,最短撮影距離まで近づくと5という刻印が見えます。 レンズ本体を単体でカメラにとりつけると絞り環は3.5から刻印されている面が上にきて3.5からの刻印が見えるようになっていますが,レンズ本体のもともと下側だった部分にはF5.2から刻印されています。等倍リングにレンズ本体を取り付けるとカメラに取り付ける上下が逆になります。そのため等倍リングを挟むとF5.2から刻印されている部分が上側にきます。4, 5枚目の写真は等倍リングを挟んだときに上にくる側を見ています。等倍まで近づくと開放F値は7まで暗くなるようです。相当暗いです。 イマドキのレンズでは無限遠のときだけ開放F値が小さくて撮影距離が短くなると暗くなる,というようなものはあまり見たことがありませんが,昔はこういうレンズは珍しくなかったように思います。有名なCarl ZeissのFlektogon 35mmも(マクロレンズではないけど),そういうタイプのものが古い世代にはありました。マクロレンズの場合は,普通は三脚を使うべきものなので,暗くなってもあまり気にする必要はないのかもしれません。一眼レフの場合は,ファインダーが暗くてピント合わせがたいへんだったのではないか,と想像します。しかし,ミラーレスで使うならファインダーは勝手に明るさを調整してくれるし,感度を上げれば手ブレもある程度は抑えられますから,ミラーレスカメラのおかげでレンズの登場時には想像もできなかった使い方ができるようになり,本来のポテンシャルが発揮されるようになったのかもしれません。 このレンズによる作例は https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/Macro-HEXANON%20AR%2055mm%20F3.5 においています。 #レンズ #MF #Hexanon #AR #Konica #55mm #F3.5 #標準 #単焦点 #マクロ
MFレンズ AR KonicaMOR
-
HEXANON AR 50mm F1.7
1973年に発売されたAUTOREFLEX T3のセットレンズとして初期型が登場しています。当初は絞り環にEEと刻印された前期型,その後,両優先に対応したAEが刻印された中期型,小型軽量化がはかられて最短撮影距離が10cm伸びて55cmになった後期型の3つのバリエーションがあるようです。この個体は後期型です。中期型に比べて35g前後軽くなっています。最短撮影距離を犠牲にして35gの軽量化って,バーターとして妥当だったんだろうか,などと余計なことを考えてしまいます。イマドキの大きく重いレンズを見慣れていると,35gスリム化するよりも最短撮影距離が45cmのほうがよかったんじゃないか,と思ってしまいます。 それと,F1.8じゃなくてF1.7という微妙に半端な開放F値がいろいろな意味で日本的です。 同時に上位機種としてHEXANON 50mm F1.4もリリースされています。この50mm F1.4のレンズは撮っていていまいちピンとこなかったのですが後からゆっくり見直してみると優しい感じで写っていました。F1.7のレンズはその廉価版ということで写りにも共通するものがあるようにも思えます。普通にまっとうな画を望むならF1.4のレンズでも開放で撮ることはあまりなくて少し絞ることになります。それなら開放で普通に写る中口径のレンズでも十分,ということはありがちです。もちろん,F1.4でなくては撮れない画は撮れないことも事実です。 このレンズは,なんというかよく言えば「普通さ」の王道をいく,悪く言えば何の特徴もないレンズ,ということになるでしょうか。小さくて軽いし持って歩くことが苦痛ではなく,普通に写るレンズです。セットレンズとして,まさしく王道をいってます。そんだけ,って感じです。 この個体は2019年の新宿クラシックカメラ博のジャンク棚から1000円で救出したものです。埃や傷やカビはそれなりですが,特にどうしようもない,というものでもなくて1000円分の仕事(ってどんな仕事?)は十分に働けそうです。 このレンズによる作例は https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/HEXANON%20AR%2050mm%20F1.7 においています。 #レンズ #MF #Hexanon #AR #Konica #Konishiroku #50mm #F1.7 #標準 #単焦点
MFレンズ AR KonicaMOR
-
HEXANON AR 50mm F1.4
HEXANON AR 50mm F1.4はHEXANON AR 57mm F1.4の後継として1973年に登場しました。57mm F1.4の時代はまだ無駄が無駄ではなかった時代であったと思いますが,1970年代はいろいろな意味でのコストカットが真剣に考えられる時代に入っていたと考えられます。そういう意味でこのレンズは新しい時代のレンズなのだと思います。 この個体はシャッター速度優先モードが使えるようになったAEタイプの最初の形のモデルです。このモデルの前には絞り優先モードにのみ対応したEEタイプがありました(1973年に登場したのはEEタイプです)。コストカットの時代に入ったのに57mm F1.4に比べてなぜかレンズが1枚増えています。後群の2群2枚はランタン材が使われているとのことで,黄変する可能性が高いレンズです。手持ちの個体はあまり黄変が気になりませんので,黄変の進行状況は個体差が大きいのかもしれません。 このレンズは写りは悪くないし,中心部はシャープなのに優しい写りで嫌いじゃないタイプのレンズです。しかし,どういうわけか,写真を撮っていてピンとこないものがあるのです。これは主観的なものなのでいわゆる相性というようなものなのかもしれません。初期の52mm F1.8が(ジャンクだったのに)それなりにインパクトがあったので,ある意味優等生である50mm F1.4の良さがわからなくなっているのかもしれません。決して嫌いなレンズではないのですが,私の感性とはどこかうまく噛み合わない部分があるレンズです。不思議です。 このレンズによる作例は https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/HEXANON%20AR%2050mm%20F1.4 に置いています。 #レンズ #MF #Hexanon #AR #Konica #50mm #F1.4 #標準 #単焦点 #大口径
MFレンズ AR KonicaMOR
-
KONICA HEXANON 1:1.8 f=52mm
この個体はコニカARマウントレンズとしては初期のもので,おそらくコニカFマウントレンズ時代の光学系を引き継いでARマウント化したものだと思われます。コニカのレンズにありがちな絞り環がガチャガチャした感触で,いまひとつ落ち着きのない使用感ですが,1960年代前半のレンズとしては十分に高性能だったと思われます。Sony α7Sと組み合わせた最初のオールドレンズで,オールドレンズ にはまるきっかけとなるレンズでもありました。 このレンズによる作例はhttps://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/HEXANON%2052mm%20F1.8 においています。 #レンズ #MF #Hexanon #AR #Konica #Konishiroku #52mm #F1.8 #標準 #単焦点
MFレンズ AR KonicaMOR