Conrad Schnitzler “Filmmusik 1”

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今回、紹介するConrad Schnitzler先生の作品 ”Filmmusik 1”は、再発モノではありません。彼は、2011年に他界していますが、そのアーカイブの中に、”Filmmusik 1975A”とFlimmusik 1980B”とだけ題されたビデオテープがありました。アーカイブの管理者で、生前からの音楽的パートナーでもあったWolfgang Seidel氏がそれらを見つけて、独逸レーベルBureau BのThomas Worthmannが纏め、Jonas Försterがマスタリングして、聴くべきして出来たアルバムと言えます。この未発表のビデオ音源は本作品”Filmmusik 1”と ”Filmmusik 2”(これも次回、紹介します)があります。今回は、その内、”Filmmusik 1”について紹介します。それで、Schnitzler先生は、1970年代初頭に、EMS Syntiをロンドンで入手しても、用いる機材はCello, Combo OrganとそのEMS Synti シンセサイザーだけで、それらをカセットテープに録音しています。彼のカセットテープ・コンサートでは、それらのカセットテープがリアルタイムでミックスされていたそうです。ただ、完全手作業なアナログなので、キチンと頭出しが合わないことも多く、この「非同期性」をSchnitzler先生は「演奏」と捉えていたとのことです。それは録音でも同様で、彼はMTR(当然、PCとかも)とかは使っておらず、既に録音されているカセットテープをその場でミックスして、作製していたとのことです。なので、彼のコンサートでは2つのスーツケースだけの機材で済んだとか(笑)。そんなSchnitzler先生の未発表音源な訳ですが、簡素なシンセの通奏低音のようなドローン音とメロディ、そしてチープなリズムボックスの音からのみ成っており、A面6曲、B面4曲で構成されています。当然、曲名はありません、と言うか記号で構成されています。正直、音質自体はそんなに良くはないです。それでも、やはりSchnitzler先生らしい音の構築がバンバン出てきますので、一聴して分かると思います。また、元になったビデオ作品は、映像作家Walter Ruttmannの抽象的実験映画やBauhaus(バンドじゃなくて独の美術学校ね)の教授László Moholy-Nagyの”Lightplay: Black White Grey”のような実験的写真等からインスパイアされていたらしいです。それらから、Schnitzler先生は、何かを表す映像や写真でもなく、何かの為の音楽でもないと言う「抽象性」に大きな影響を受けたとのこと。それで、彼は、特にタイトルも無い作品を敢えて多量に作り出したのでしょう。本作品は、彼の音楽の始原を探る上で、ヒントになるアルバムだと思いますので、是非聴いてみて下さい❗️

https://youtu.be/jBYoplkX2o8

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