RotzKotz “Lebensfroh + Farbenfroh”

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久しぶりに出会いました。独パンクの源流でありながら、ニューウェーブな音へとチェンジしたバンドRotzKotz (ロッツコッツ)のセカンド・アルバム”Lebensfroh + Farbenfroh (レーベンスフロー+ファルベンフロー; 「陽気でカラフル」の意)”が、今回、独の優良レーベルTapete Recordsから再発され、それを日本のSuezan Studioが少数ながらディストリビュートしてくれていましたので、早速、購入した次第です(小柳さん、いつもお世話になっています。どうも有難うございます)。先ず、今回、参加しているメンバーは、Ernst-August Wehmer (Vo, Synth, Choir, Kling Klong, Rhythmbox), Horst Illing (G, Vo, Choir), Gregor Ludewig (Piano, Choir), Axel Wicke (B, Choir), Markus Joseph (Drs, Choir, Rhythmbox)で、エンジニアは Thomas Rigelが行っています。今回の再発に当たって、彼等のインタビューが載っていますので、一部、要約して掲載していきます。先ず、インタビューのタイトル/結論が凄いです。そこには「トラッシュ・ガレージ・ビートとちょっとしたアヴァンギャルド、それにKurt Schwittersスタイルの歌詞で、このアルバム”Lebensfroh + Farbenfroh”は出来ている!」とあります。そして、彼等は元々は独語歌詞で歌っていたのをメンバーにくそダサいと言われ、それで、ファーストの時は英詞で歌って、UKで録音し、タイトルも”Much Funny (ただし、オリジナル・タイトルは”Vorsicht! Paranoia”です)”としたのですが、今回は独逸語の歌詞で歌うことにしたと。また、サウンドについても、コラージュっぽいのは、当時、メンバーのErnst-August Wehmerがハノーファー芸術学校で学んだダダイストKurt Schwittersの”DiedelDum, DiedelDie”からヒントを得ていたからとも。曲作りも、ピアノかギターかシンセを中心としてリハで作り上げたらしいです。それで、彼等は、Neu!とかLa Düsseldorfとかは全く聴いておらず、寧ろ、米国のRamones, Velvet Underground, Stoogesなんかが好みだったとか(これには、Ernestの姉妹がWolfgang Küsterと結婚したことで、Manfred Schützを介して、BOOTSレコード店で、好きな音楽を掛けまくれたことによる)。ただ、ある日、スタジオに置き忘れてあったKraftwerkのアルバムのテープを爆音で聴いて、椅子からすっ転げ落ちて「ギターでこれが出来ねーかなぁ」とビックリしたそうです。後、良くある大手レコード会社の確執については、真相は、最初はケルンのEMIの為に3〜4曲は既に録音していたのですが、「コマーシャルにやりたくない!」と言う気持ちもあって、迷いに迷って、結局、今回はインディー・レーベルのNo Fun Recordsからリリースすることにしたとしています。またバンド名(RotzKotz「鼻水嘔吐」の意)が如何にもパンク・バンドっぽいことについても、「俺達はパンクじゃない!」と断言しています。多分、インタビューに答えているのは、Horst Illingだと思いますが、クレジットが無いので、Ernst-August Wehmerも含まれているかもしれません。と言う訳で、トラッシュ・ガレージ・ビートとちょっとしたアヴァンギャルド、それにKurt Schwittersスタイルの歌詞で出来ている”Lebensfroh + Farbenfroh”の各曲を紹介していきましよう。

★A1 “Computamensch” (2:58)は、コソコソ話しのイントロに続いて、ややパンクっぽいリズムと早口Vo、更にシンセのフレージングに、所々でSE的シンセが入ったりして、一味違う曲です。
★A2 “Was Ich Nicht Weiß” (3:01)は、ちょっと変わったリズムパタンにピアノと言う編成に、切迫感のあるVoが乗る曲で、サビでのちょいスパニッシュ風Gも良いアクセントです。
★A3 “Deutsche Land...” (4:04)は、ややスローテンポなリズムボックスとDrsにダルなBとシンセで始まりますが、Gのジャラ〜ンからテンポアップして、パンキッシュなビート&シンセのリフによるバックにVoが乗ってきます。コーラスもグー!当時のNDWに取って「独逸」のアイデンティティが如何に重要だかが分かります。
★A4 “Tante EMI” (4:25)は、シンセ・パンクと言うかニューウェーブな曲ですが、サビでのVoとコーラスの絡みがイカしてます。最後に行くにつけ、具体音のコラージュが挿入されてきます。彼等の名曲です!
★A5 “Müslibrei” (1:52)では、細かいGの刻みからギター・ニューウェーブ風の曲に雪崩れ込みます。曲の短さもパンクらしいですし、間奏に「雑踏音」の挿入もダダ的です。
★A6 “Schlanke Finger” (2:47)は、メトロノーム風リムショットとシンセのリズムのイントロの後、囁くVoが乗り、BやGがアクセント的に挿入される曲で、それでもサビは何となく爽やかな印象です。
★A7 “Farbenfroh / Lebensfroh” (4:51)は、メロディアスなアコーディオン風Kbdを中心としたバックの演奏に、思いっ切り歌っているVoが印象的な曲で、途中からピアノを交えたダブ的ミックスも施され、曲展開も良いです。
★B1 “Es Kehrt Die Zeit” (3:58)は、ちょっとコミカルさもあるシンセを使ったニューウェーブ的な曲ですが、当時のこのような音楽の同時性は全世界的なものでした。それでも、Voにはパンクの影がチラ見されます。
★B2 “Zeitsignale” (2:49)は、ピアノも使ったアッパーなテンポの曲で、VoもGもパンキッシュです。こう言う所が、彼等の魅力ですね。
★B3 “0,-“ (2:52)も、煽りのリズムからアップテンポになる曲で、後者はパンクが出自だと感じさせます。しかし、ピアノも途中で出てきたりして、曲展開が結構凝っています。
★B4 “Schatten Der Vergangenheit” (4:10)は、リリカルでしっとりしたピアノの独奏にVoが乗り、我慢できずにDrsやBが雪崩れ込んできて、結構、ドラマティックな曲に仕上がっています。間奏のGもシンプルで良い感じで、最後のコーラスに感涙します!
★B5 “Äuglein Zu” (2:24)は、リズムボックスとCasioのリフと単音ピアノから成る不気味な雰囲気の曲で、正気のないVoも含めて、まるでThe Residentsのようです。
★B6 “Kein Problem” (3:58)では、木琴のイントロから、いきなりモロパンクなアップテンポで性急な曲に雪崩れ込んでいきます。間奏の気に触るような音色のシンセもご愛嬌です。
★B7 “Problem” (3:02)は、スカっぽいノリのダンサブルなリズムのご機嫌な曲で、割と他の曲と違って、ハピネスを感じさせてくれます。ニューウェーブ的なノリではあります。また、間奏はバンジョー(?)とGのソロかな。

 ファースト・アルバムを今回、聴き直したのですが、ファーストが全くUKパンクアルバムだとすると、このセカンドはニューウェーブ的でかつアイデア満載のアルバムになっています。特に、ピアノやシンセが入っていることが大きいでしょう。それでも、所々に、パンク的要素が伺える点は高評価ですね (そこら辺は裏ジャケやインナースリーブの写真で想像出来ますね)。特に、A7やB3では、曲が短くでも曲展開が凝っていますし、アルバム全体として聴いていても、モロパンクな曲からピアノを中心としたリリカルな曲或いはB5のような不気味な雰囲気の曲とヴァラエティに富んでいて、アルバム全部としても楽しめます(逆に言うと、それだけ、メンバーの音楽性に違いがあったので、結局、解散に向かってしまったとも言えるのですが、、)。なので、パンクから参加したRotzKotzを体験したい方には楽しめるアルバムだと思いますので、是非聴いてみて下さい!!

https://youtu.be/butRSDOxJYI?si=fFGnONNi8HzVQU_n

[full album except A3]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mWmp91MxrKeXLOtUGzlhvKhWERA4dsxAQ&si=2goDWMGJlcoto5PV

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