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Neonbabies “Harmlos”
久々のNeonbabiesです。今回はセカンド・アルバム”Harmlos (ハールムロス)”を紹介します。その前に、久々なので、Neonbabiesの略歴を簡単に纏めておきます。Neonbabiesは、1979年にベルリンで結成されています。その時の結成メンバーには、Inga DiLemmaことInga HumpeとAnnette Spinettiこと実姉Annette Humpeがいました。1979年に、Neonbabiesは、Havelのゲストハウスでライブデビューしており、その後、Nikolaus Polak (G; ニコラウス・ポラック), Conny Homeyer (B; コニー・ハーメイヤー), Toni Nissl (Drs; トニ・ニシル)及びReinhard Meermann (Sax; ラインハルト・メアーマン)のメンツで、初めてビートスタジオで録音を行い、この時に制作されたEPが1980年初めにリリースされています。このEPには、AnnetteのバンドIdealのヒット曲”Blaue Augen(ブラウエ・アウゲン)”の元曲が含まれています。1980年秋には、彼等のセカンドEP”Die Krönung (ディ・クレヌンク)”がリリースされ、1000部リリースされましたが、僅か数日で完売しており、ベルリンを代表するバンドになっています。ちょっと話しが前後しますが、1980年初頭、Annetteは自身のバンドIdealを移り、代わりにMikoことPetra Mikolajczuk (ペトラ・ミコワイチュク)が加入しますが、ファースト・アルバムを制作後、脱退しています。このファースト・アルバムは、インディーズレーベルGood Noise Recordsからリリースされましたが、20000部が売れ、大ヒットしています。1982年に、Dave Hutchinsは、Conny Plankのスタジオで、本作品でもあるセカンド・アルバム”Harmlos”を録音し、Ariolaからリリースしています。その年の夏に、彼等は国内ツアーを行い、蘭でのベルリン・アムステルダム・フェスティバルでも演奏しており、初のTV生出演もしています。彼等は、同年8月に、ベルリンのWaldbühne(ヴァルドビューネ)でコンサートを行い、その模様は、ARD第3番組で放送されています。その後、Nikolaus Polak (G)が脱退し、Toni Kambiz (G; トニ・カムビツ)が加入し、1982年秋にDrafi Deutscher(ドラフィ・ドイッチァ)のプロデュースでシングル”Ich Bin Ein Mann”をリリースしましたが、商業的には売り上げは大きく下回りました。1983年には、Gareth Jonesのプロデュースで、ベルリンのHansa Studioにてサードアルバム”1983”を録音し、Ariolaからリリースしめしたが、バンドはまもなく解散しています。最後のシングル”Eiskalte Engel”が、同年10月にリリースされていますが、これはアルバム”1983”の中の曲”Engel”のリミックスであり、Inga Humpeのファンへの別れの贈り物と考えられています。この解散の時、Inga & Annette Humpe姉妹は、Prokopetz, Manfred O. “Fredi” Rauchenは、Deutsch-Österreichisches Feingefühl (DÖF; ドイッチュ・エステライハッシェ・ファインゲフューレ; German-Austrian Sensitivityの意)と言うNDW関連のプロジェクトに加入していますが、これはバンドと言うよりもキャバレー・プロジェクトみたいな存在です。 と言うのが、Neonbabiesの略歴となります。先述のように、メンバーは、Inga Humpe (Vo, Kbd), Reinhard Meermann (Sax, Kbd), Nikolaus Polak (G), Conny Cool (B), Toni Shanghai-Nissl (Drs)の5人で、プロデュースは、Dave HutchinsとNeonbabiesとの共同でやっています。割と、バンドもノリに乗っていた頃のアルバムですが、他のNDWのバンドと違って、バックの演奏も結構上手くて、改めて聴いてビックリしました。まぁ、それは置いておいて、各曲をご紹介していきましょう。 ★A1 “Alibi” (3:05)は、結構、BやGがブリブリ効いた曲で、Saxも効果的な曲で、IngaのVoも力強い。 ★A2 “Reise” (4:15)は、不穏と言うか落ち着いた曲で、Drsもドコドコしており、レゲエ調だったりで複雑なアレンジです。Saxのオリエンタルな響きも中々よい。 ★A3 “Angelogen” (1:28)は、アップテンポの勢いの良い曲ですが、間奏のSaxも吹きまくってますね。Ingaも緩急付けて歌ってます。 ★A4 “Ausser Sich” (2:44)は、ちょっと不思議なメロディ・ラインなのですが、IngaのVoとカシオも良い味です。とにかくSaxは吹きまくってますね。 ★A5 “Carosello” (3:54)は、変則4拍子のDrsにBが絡んできて、Ingaが切なく歌っています。サビでの疾走感は良い感じですし、Ingaも声を張り上げています。 ★B1 “Moderne Liebe” (3:34)は、スカっぽいリズムでダンサブルな曲で、Bが凄テクですが、中々のパーティーソングに仕上がっています。Saxも良い味付けです。 ★B2 “Triebtäter” (5:44)は、シグナル音で始まり、やがてカシオの可愛らしいメロディとIngaの囁くようなVoのダンサブルな曲になります。相変わらずSaxは吹きまくってます。 ★B3 “Roboter” (3:22)は、カシオの不協和音を上手く用いたポップソングで、IngaのVoも力強いです。途中からのカシオのコード弾きも良い味です。 ★B4 “Gemini” (3:16)は、細かいGのカッティングから始まるスパイ映画のような曲ですが、Ingaは囁くように歌いますが、サビでは声を張り上げます。また多層化したSaxも雰囲気抜群です。 ★B5 “Aiaiaiaiai” (2:11)は、ドコドコしたDrsにスライド奏法のGが加わり、更に伸びやかなSaxが乗る曲で、カシオ低音やIngaの掛け声が入ったと思ったら、急に終わります。 何か久しぶりにNeonbabiesを聴いたこともあってか、もっとKbdとかを多めに使って、如何にも「ニューウェーブ」な音を期待していたのですが、今回、聴いた感じは、Kbdは少な目で、代わりにSaxとかが大活躍しており、ちょっと戸惑ってしまいました。しかしながら、ポップソングとしては、凝ったアレンジが効いていて、中々聴き応えのある曲が並んでいますので、結構、楽しめました。そんなNeonbabiesのセカンド・アルバム、聴いてみますか? https://youtu.be/gnBiYJD82-M?si=fxeyAGXnfdgOIM8G #Neonbabies #Harmlos #Ariola #2ndAlbum #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #PopRock #Sax #Casio #IngaHumpe #ReinhardMeermann #NikolausPolak #ConnyCool #ToniShanghai-Nissl
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Pop Rock Ariola €6.00Dr K2
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Andreas Dorau und Holger Hiller “Guten Morgen Hose”
来ました!師弟の共作です!そうです。ギターの先生Holger Hillerとその生徒Andreas Dorauの共作マキシ・シングル”Guten Morgen Hose (グーテン・モルゲン・ホーゼ; 「お早う、ズボン」の意)”です。この作品は訳が分からないのですが、バックの曲は、確かにDorauとHillerのコラボ曲なのです。しかしながら、この作品のコンセプトは、実に難解と言うか可笑しな程バカバカしいものみたいです。「クラウトロック大全」の小柳カヲル氏によると、「現代表現主義大全」なる権威のある書籍を適当に開いたところで、目に付いた記述を元に、2人が即興で演じた不条理音楽劇らしいのです。筋書きとしては、人妻Lucyを巡って、父親Johnny (Dorau)、絨毯、ズボン(Hiller)とが争うと言うことらしいのですが、全く持って意味が分からないです。因みに、脚本は、Catherine Lienertとなっています。それで、歌手をスカウトしに大学に行って、偶々、そこにいた守衛と女性清掃員が抜擢されたとか。と言う訳で、次のような役が振られています。 ◼️歌; Johnny (Andreas Dorau) Hosenchor (ズボン合唱団; Catherine Lienert, Hagar Groeteke, Moritz Reichelt) Lucy (Erika Kochs) Die Hose (ズボン; Holger Hiller) Der Teppich (絨毯; Sol Rubio) ◼️喋り; Johnny (Andreas Dorau) Hosenchor (Jochen Liedisch) Lucy (Claudia Kaloff) Die Hose (Holger Hiller) と言うことを踏まえて、曲/音楽劇を紹介していきましよう。 ★A “Guten Morgen Hose”は、重厚なポリシンセで始まり、可愛らしい電子音や具体音のサンプリングに変わって行き、やがて男性Vo(Dorau)とバックの物音系音へ。そしてズボン合唱団を挟んで、はたまた男性Vo(Dorau)とバックの音へ。いつの間にか、女性Vo(Lucy)も出演して、シタール風のシンセやヴァイオリンの爪弾きをバックに男性Vo(Dorau)へ。そしてズボンVo(Hiller)も現れます。と言う風にコロコロと音とVoは変わっていきます。 ★B “Guten Morgen Hose”も、絨毯Vo(Rubio)が流れる中、バックの音はどんどん変わっていきますが、これはサンプラーによるのでしょう。ここら辺で男女のを挟んで、再びズボン合唱団のコーラスが。そしてまたもやサンプリング音と女性Vo(Lucy)をバックにズボンVo(Hiller)が。相変わらず、バックの音はシンセとサンプリング音で忙しないですが、男性Vo(Dorau)が絨毯を刺しで、自死します。最後にはズボン合唱団の独逸らしい歌が、バックのホーンのリズムに合わせて、ユニゾンで聴こえてきますが、雨音と爆発音とで終わります。 まあ、確かに音楽劇としたら、この2人ならこんな感じかなぁと納得はしますが、これを本当にレコードとして出すかぁ?と言われれば、ちょっと首を捻りますね。まあ、私は独逸語を聞き取れないので、この音楽劇の内容まではよく分かりませんが、音楽として聴くのであれば、かなりHiller色の強い音楽だとは思います。独逸語の分かる方は何を言っているのか?教えて下さい。でも音楽としても面白いので、特にHolger Hillerファンの方には受け入れられるのではないでしょうか!実は、蘭では、この音楽劇を映像化しているので、動画と一緒に聴いてみれば、何と無く言いたいことが分かるかも? https://youtu.be/auH4A9ZHzVw?si=r7ywa70KZ4eypIPl #AndreasDorau #HolgerHiller #GutenMorgenHose #ATATAK #12inchMaxi-Single #不条理劇 #音楽劇 #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #ExperimentalPop #CatherineLienert #HagarGroeteke #MoritzReichelt #ErikaKochs #SolRubio #JochenLiedisch #ClaudiaKaloff #DieHosen #DerTeppich #Hosenchor #Lucy #Johnny
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Experimental Pop ATA TAK 4800円Dr K2
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Annette Humpe “Solo”
Annette Humpe (アネッテ・フムンペ)は、1950年生まれで、ハーゲン出身の独のポップシンガー兼プロデューサーであり、その経歴は、ケルン音楽大学で 6 学期にわたって作曲とピアノを学んだ後、1974 年にベルリンに移り、NDW自体のバンドのVoから始まって経験を詰んでいます。1979年に、妹のInga Humpeと共にNeonbabiesで最初の成功を収め、その後、Ernst Ulrich DeukerとEffJott ことFrank Jürgen Krügerと共に、バンドIdealで独逸国内で大きく成功し、そこでは、Vo兼Kbdを担当しています。また、Trioの曲でもBack-Voを務めたりもしています。1973年に、Idealは解散し、Humpeはプロデューサーとしても手腕を発揮し出して、Deutsch-Österreichisches Feingefühl (DÖF)の曲”Codo”を書いて、プロデュースしています。この曲は、オーストリア人アーティストのJoesi Prokopetz und Manfred Tauchenによって歌われ、また後には妹のIngaによっても歌われています。1984年には、Palais Schaumburgもプロデュースしており、その後、1985年には、妹とのデュオHumpe-Humpeを結成して、自らプロデュースもしています。このデュオは1987年までに2枚のアルバムをリリースしています。その後、姉のA. Humpeは、1990年に、本作品であるファースト・ソロ・アルバム”Solo”を発表します。その後1990年代は、Die Prinzenに同行して、彼等を成功に導きます。その後、A. Humpeは、2004年頃まで作曲家兼プロデューサーとして活動しています。話しがちょっと前後しますが、Annette Humpeは、1995年に、再びInga Humpeと共にBambus名義で”Wall Of Sugar”をリリースしていますが、1997年〜2002年は音楽業界から遠ざかっています。その後2004年に、A.Humpeは、シンガーのAdel TawilとIch +Ichを結成し、作曲及び共同プロデュースも行っていますが、アルバム”Ich + Ich”は、A. Humpeのこれまでの中で最も成功した作品になり、リリースしたアルバム”Ich + Ich”と”Vom Same Stern”は、アルバムチャートで1位を獲得しています。しかしながら、2010年8月にデュオは活動を休止、それぞれがソロプロジェクトとして活動していくことになります。 以上が、Annette Humpeのバイオグラフィーになります。それで、今回は、彼女のファースト・ソロ・アルバム”Solo”をご紹介したいと思います。今回の参加者は、Annette Humpe以外に、George Glueck, Horst Königstein, Misha Schöneberg, Peter Hantke, Peter Viehweger, Peter Weihe, Reinhold Heil, Rio Reiser, Udo Arndt, Uli Hieber, Volker Griepenstrohと言う豪華なメンツとなっていますが、誰が何を演奏したのかは明記されていません。年代的には、NDWとは言えないかもしれませんが、彼女の才能に触れるのには良い作品かと思います。内容的には、A面5曲/B面6曲となっています。それでは、各曲を紹介していきましょう。 ★A1 “Macht Nichts” (4:56)は、雰囲気充分なバラード調の曲で、Annetteの落ち着いた呟くようなVoがばっちりフィットしています。泣きのGソロもグー! ★A2 “Ich Küsse Ihren Mann” (3:06)は、軽快なリズムに乗って、Annetteがコケティッシュに歌うポップソングで、こちらまでウキウキしますね。転調する所も結構良い感じです。 ★A3 “Warten Auf Ein Telegramm Von Gott” (3:35)は、簡素なエレアコとブラシでのDrsをバックに、Annetteが雰囲気一杯に歌っている曲で、サビも中々良いです。間奏のGソロも良き良き。 ★A4 “Nur Zu Gast” (4:08)は、またまたエレポップらしき簡潔な軽めのバックに、AnnetteのコケティッシュなVoが映えます。サビでの彼女のVoもカッコ良く、彼女にはこの手の曲が良く似合いますね。 ★A5 “Ayudame” (4:42)も、軽めのリズムマシンを使ったボサノバ調の曲で、優しく歌うAnnetteも感情たっぷりです。サビのGも良い隠し味です。歌詞は仏語? ★B1 “Ich Laß Mich Geh'n” (3:42)は、軽めのミドルテンポのポップソングで、だからこそ余計にAnnetteのVoが活きています。サビのコーラスもグー! ★B2 “Wenn Ich Tot Bin” (3:30)は、またしっとりとした落ち着いた曲で、バックも室内楽風で、Annetteも時に歌い上げたりしていますが、基本、落ち着いて歌っています。 ★B3 “Ticket For Love” (2:47)は、ノリの良い重めなリズムの曲ですが、Annetteが雰囲気一杯に歌っています。スパイ映画とかに出てきそうな曲で、表題は英語ですが、歌詞は独逸語です。 ★B4 “Zeit” (4:16)は、一転、明るく爽快なポップソングで、柔らかい雰囲気に包まれており、Annetteも柔らかく歌っています。コーラスもグー!バックは打ち込み+生演奏? ★B5 “Letzter Tag” (3:32)は、重めのリズムセクション (Drs&Synth-B)で始まり、シーケンスやシンセも加わった劇的な曲で、Annetteも朗々と歌ってます。 ★B6 “Nix” (0:46)は、シンセも加わったジャジーなインスト曲で、フェイドインしたら、直ぐにフェイドアウトしていきます。 正直、余り期待していなかったのですが、聴いてみてAnnette Humpeのポップネスを充分に感じることが出来て、非常に満足できました。IdealとかHumpe-Humpeとも違って、軽いポップソングなのですが、どの曲も捨て曲の無い程、完成度が高く、彼女の年齢に合わせた歌を思う存分、楽しむことができました。偶にはこう言う軽いもの良いですね。因みに、1曲を除いて、全て彼女の作曲となっており、そこでもまた彼女の凄さを思い知らされました。なので、軽いポップソングが聴きたい時には、最適なアルバムかと思います! A2 “Ich Küsse Ihren Mann” (3:06) https://youtu.be/M96Doyn03ko?si=qMa10qpAAs2SrJIZ [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mls1EvDkUQToA8-3Nbe7xL86nthPMnExY&si=hhFZwnlL4jCYEbre #AnnetteHumpe #Solo #MercuryRecords #FirstSoloAlbum #PopSong #PopRock #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Composition #Lyrics #Vocals #GeorgeGlueck #HorstKönigstein #MishaSchöneberg #PeterHantke #PeterViehweger #PeterWeihe #ReinholdHeil #RioReiser #UdoArndt #UliHieber #VolkerGriepenstroh
Pop Rock (Neue Deutsche Welle : German New Wave) Mercury €8.00Dr K2
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Die Tödliche Doris “Live SO36 Berlin 19.11.1982”
またまた、来ました!Die Tödliche Dorisの初期のライブ盤です。Die Tödliche Dorisのバイオグラフィーについては既に書いてありますので、そちらをご参照下さい。元々は、バンドに無許可で録音したライブ音源をカセット作品として、(π+RQ-J6) Tape Productionが1982年に出していますが(要するにブートですね)、この作品に関しては、バンドが自身のレーベルから1986年にカセット作品として、正規でリリースしています。ライブは、西ベルリンの有名なクラブSO36で、1982年11月19日に行われたものであり、メンバー等の情報は何もありませんが、少なくとも、Wolfgang MüllerとNikolaus Utermöhlenは参加していると思われますが、残りの女性メンバーについては不明です(Käthe Kruseかな?)。と言う訳で、謎が多い音源ですが、まあ、正規のLPとして、独Vinyl On Demandが再発してくれていますので、彼等の貴重なライブ音源を聴いてみて、各曲についてご紹介していきます。あと、驚いたんですが、通常のアルバムとかに収められている曲をちゃんと曲として(つまり、全くのフリーな即興曲ではなく)演奏していると言う点が、即興的なノイズ・ミュージックではないのだなと感心してしまいました。 ★A1 “Stümmel” (3:30)では、無定形な塊状のノイズが放射されていますが、どうもGとかを使っているようで、やがてハウリング音やディレイを掛けたB、更にはDrsらしき音も入ってきます。 ★A2 “Der Tod Ist Ein Skandal (Kavaliere)” (6:35)は、A1に連続して、男性Voとそれらしきビート感を叩くDrsの演奏を中心に「曲」になっています。バックには、何かのノイズ(男性Voのテープ操作?)も鳴っており、段々エキサイトしていきます。最後にテープループも。そして拍手! ★A3 “Über-Mutti” (2:15)は、重いDrsとスライドGに素っ頓狂な男性Voの繰り返しで始まりますが、Voはやがて叫び声っぽくなります。そして拍手。 ★B1 “Rhythmus Im Blut” (6:12)は、筒を吹いているような持続音(テープ操作?)とビート感のあるDrsに、語るような男性Voから成る曲で、段々とバックの音は乱れ、ディレイも掛けられたり、Gノイズらしき音も聴取されます。最後は拍手もあり、盛り上がっています。 ★B2 “7 Tödliche Unfälle Im Haushalt” (4:23)は、男性の語りとキック音及び太いBから成る曲で、バックにシンセらしき音やモーター音(?)等が鳴らされています。最後はまた拍手で! エアーでのラジカセ録音なのか、音質はペラペラで全然低音が出ていない悪い音質ですが、Die Tödliche Dorisの生の音を聴くことが出来たのは、中々、貴重な体験でした。多分「観客を裏切るのがDorisで、それを期待して観に行ってしまう観客を更に裏切るのもDorisである」と言われていたことが、本作品を聴くと何と無く分かりますね。同じ曲(?)でも、そのパフォーマンスを含めた音が大きく変わって「演奏」されていたのでしょう。そう言う意味で、彼等は、単に即興演奏/ノイズ・グループでもカッチリ演奏するグループでもなく、演る度に、その「演奏仕方」を変えていた特異なグループだったのではないでしょうか?その事に気付けただけで、ここ一連のDie Tödliche Dorisの音源を聴いてきた意味があったと思います。本作品を真っ先に聴くことはお勧めしませんが、他のちゃんとした録音作品の後に聴けば、彼等の意図が分かると思いますよ❗️ https://youtu.be/AyLVrpvEpvk?si=S3z1yTcoOJ8rai_S #DieTödlicheDoris #LiveSO36Berlin19.11.1982 #VinylOnDemand #2004年 #Reissue #LimitedEditions #500部 #LP #(π+RQJ6)TapeProduction #1982年 #Unofficial #1986年 #OfficialRelease #Cassette #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Avant-Garde #Dadaism #Experimental #LiveRecording #WolfgangMüller #NikolausUtermöhlen #KätheKruse
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Avantgarde Vinyl On Demand ((π+RQ-J6) Tape Production) $53.00Dr K2
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V.A. “Die Große Unterganhsshow: Festival Genialer Dilletanten”
このボックスセットは、1981年9月4日に西独のTempodrom (テンポドローム)と呼ばれたベルリンの壁近くのテントで行われた歴史的イベントFestival Genialer Dillentatenの記録的アイテムであり、ここから、NDWの多くの、そして重要なバンドが輩出されていったと言う意味で、大変貴重なものです。先ず、その内容に驚かされます。LPアルバム2枚組と1枚のCD、それにDVD1枚で、加えてLPサイズの豪華ブックレットも付いています。その前に、1981年、ベルリンで行われたFestival Genialer Dilletanten(フェスティファル・ゲニアラー・ディレタンテン「天才的アマチュア展」)とは何であったかを紹介したいと思います。元々のこのイベントのタイトルDilettanten (ディレタンテン)のタイプミスをそのままフライヤー等に使っていた事から分かるように、意味性を剥奪するところから、このイベントのコンセプトは始まっています。そして、このイベントでは、新しい音楽、アート、映像、その他表現を一つの場に集まって、皆んなが共有し、刺激し合い、発展されていくDIYでの試みであると言える訳で、それが可能だったのが、1981年の西ベルリンであったのだと思います。このイベントを企画したのは、Die Tödliche DorisのWolfgang Müller(ヴォルフガング・ミューラー)とEinstrützende NeubautenのBlixa Bargeld (ブリクサ・バルゲルト)で、その後、同様の25周年記念イベントが、今度は、オーストリアのViennaで、Wolfgang MüllerとFrieder Butzmann (フリーダー・ブッツマン)によって行われています。それで、話しを少し戻しますと、このフェスでは、パンクやポスト・パンクから派生してきたノイズやエクスペリメンタル・バンドやアーティストを初めて観ることも出来ましたし、それまでの不毛な音楽シーンからの脱却も出来ました。また、当時のリアリズムの支配から違う何かをしたいヴィジュアル・アーティストも多く、それには、東西に分断されていたそれぞれのベルリンのリアリズムからの脱却も含みます。その為に、コンセプチュアル・アートやパフォーマンス・アート等の地下芸術を広めたかったのです。当然、出演者は、色々な形態で参加・披露し、変容可能で、国境を越えたオープンな形で音楽とアートが行われています。因みに、翌年、Wolfgang Müllerは、出版社であるMerve(メルヴェ)社から”Genialer Dilletanten”と言う本を出版し、これが初めて、仏のポスト・モダニズムを独逸に紹介した書籍とされています。そこでもミススペルのまま、タイトルが使われていますが、彼によると、それは「プロ」とは対照的に、「天才的アマチュア」が自らの「間違い」を傍観するだけでなく、それを、実際に存在する現実と受け入れていることの証拠であるらしいです。このフェスで、Die Tödliche DorisやEinstrützende Neubautenなどのバンドがより多くの観客に知られるようになりました。 しかし、あまり知られていないのは、後の独テクノの重鎮たちの何人かがここで初めてステージに登場し、先述のMüllerの本にも寄稿していることです。1980年代、このフェスの後継として、既存のポップ・ミュージック・シーンに対抗したベルリンの音楽家達は、自らを”Geniale Dilletanten”と呼んでいたそうです。それから、このフェスでは、 ベルリン映画祭で長年”Panorama”の監督を務めたWieland Speck(ヴィーラント・スペック)が、場違いな程の正装で、いちいち司会・進行を務めているのも面白いですね。それで、出演者を列挙しておきます。Alex Kögler (アレックス・ケグラー)のバンドWir Und Das Menschliche E.V.(ヴィア・ウント・ダス・メンシュリッヒェ・E. V.), Frieder Butzmann, Sprung Aus Den Wolken (スプルンク・アウス・デン・ヴォルケン), Mark Eins (マーク・アインズ)のバンドDin A Testbild, Dagmar Dimitroff (ダグマー・ディミトロフ)とWolfgang Müller及びNikolaus Utermöhlen (ニコラウス・ウーテンメーレン)から成るDie Tödliche Doris, Blixa BargeldとF.M. Einheit, Mark Chung及びN.U. Unruhから成るEinstrützende Neubauten, Kriegsschauplatz Tempodrom (クリークスシャウプラッツ・テンポドローム; そのメンバーにはWestBamがいました), Christine Fとその恋人Alexander von BorsigのデュオのSentimentale Jugend(ゼンチメンターレ・ユーゲント)や他にもGudrun Gut (グドルン・グート), Max Müller (マックス・ミューラー), Padeluun (パデルーン), Mark Reeder (マーク・レーダー), それにDr. Motteは、本名Matthias Roeingh[マチアス・レインフ]で、DPA (Deutsch-Polnische Aggression[ドイッチュ・ポルニッシェ・アグレション])と言うバンドで出演しています。そうして、千秋楽は、Klaus Mabel Aschenneller (クラウス・マーベル・アッシェンネラー)とBlixa BargeldがオーガナイズしたBILD + TON im TEMPODROMが務めています。それでは、本作品に収録されたバンドと各曲を紹介していきましょう(主にレコードについて紹介していますが、CDやDVDとは同じ内容ですので、後者2つについてのご紹介は省略させて頂きます。また司会のWieland Speckについてのコメントも省略させて頂き、単に(司会)と表記します)。 ◼️LP1 ★A1 司会 (2:19) ★A2 Kriegsschauplatz Tempodrom “Ich War Tot” (5:01)は、始め、スローなBのリフとリズムマシンのキックが流れていましたが、突然アップテンポして、Gや投げやりなVoも加わってきて、パンキッシュな演奏になります。メンバーは、Frank Xerox (G), Andreas Bleckmann (B), Markus Linde (Vo, RhythmBox), Markus Ernst (Sax) ★A3 Kriegsschauplatz Tempodrom “Wer O Sag Muss Auch B Sagen” (2:39)は、リズムマシンのチープな音に、直線的なBとG、それにフリーなSaxとVoで始まります。 ★A4 司会 (0:23) ★A5 Nekropolis (Die Unbekannten) “Kiss Me I Am Cold” (2:00)は、単調なリズムマシンとBのビートにSax?らしき音が乗るインスト曲です。メンバーは、Mark Reeder (G, B, RhythmBox), Alistair Grey (B, Vo) ★A6 Nekropolis (Die Unbekannten) “Poseidon” (5:12)も、リズムマシンとBの単調なビートに、掻きむしるようなフランジャーGと語るようなVoから成る曲です。 ★A7 Nekropolis (Die Unbekannten) “Casualties” (2:37)は、ディスコティックなリズムマシンと直線的なBと一定のリフを弾くGと怠く語るようなVoから成る曲です。 ★A8 Nekropolis (Die Unbekannten) “Alone” (4:47)は、全体的にダルな雰囲気で、のっそり歩く怪獣のようなリズムマシンのビートにBとGが乗っており、Voもダレている感があります。 ★B1 司会 (0:29) ★B2 Leben Und Arbeiten “Hundebesitzer” (3:07)は、ノリの良いBラインから始まり、DrsやGもテンポ良くノッてきます。Voと犬の鳴き声ようのコーラスもパンキッシュで良いです。メンバーは、Fromm (G), Rumme Beck (B), Matraze (Drs), Frisch (G, Vo) ★B3 Leben Und Arbeiten “Gefühl Nix Gut” (2:29)も、焦燥感溢れるポストパンク的演奏で、好感が持て、また程良く荒くて、カッコ良いです。Bラインはミニマルです。 ★B4 司会 (1:26) ★B5 Die Tödliche Doris “Die Schuldstruktur” (4:41)では、MüllerがVlnを弾きながら、引き攣るように叫んでおり、それに合わせるかのようにDrsやBが自由に演奏されています。メンバーは、Wolfgang Müller (Vo, Vln), Dagmar Dimitroff (Drs), Nikolaus Utermöhlen (B) ★B6 Die Tödliche Doris “Kavaliere” (1:04)は、ひたすら弾きまくるBを中心にMüllerの叫び声とDrsの断片が聴こえてきたら、終わってしまいます。 ★B7 Die Tödliche Doris “Der Tod Ist Ein Skandal” (3:19)は、最初、男性2人のコーラスから始まり、その後、DrsとBがビート?と取り始め、Müllerはひたすら叫んでいます。スライド奏法のGらしき音も聞こえますね。 ★B8 Die Tödliche Doris “Stümmel Mir Die Sprache” (1:26)は、グダグダのDrsとBに、Müllerの瀕死のVoとBと絡むVlnも聴取できます。 ★B9 司会 (1:13) ★B10 Gut Und Bargeld “Marokkoblut” (1:56)は、マーチングDrsで始まり、フィードバック奏法を駆使したGとBlixaの咆哮から成る小曲です。メンバーは、Gudrun Gut (Drs), Blixa Bargeld (G, Vo) ★B11 Gut Und Bargeld “Blutarmut” (0:53)は、初期のBlixaにみられた叫び声から成る小曲で、知らない間に終わっています。 ★B12 Gut Und Bargeld “Blutjung” (2:32)は、Blixaの叫び声から、割とノリの良いDrsとGも入り、シャーマンのようにBlixaは歌詞を反復して叫んでいます。 ◼️LP2 ★C1 司会 (0:25) ★C2 Drei Mädels Und Das Meer “Nimm Mich Mit Kapitän” (1:46)では、3拍子のアコーディオンに乗せて、可愛らしいコーラスが聴くことができます。大受けですね。メンバーは、Beatrice (Vo), Ulla (Vo), Gudrun Gut (Accordion) ★C3 司会 (0:39) ★C4 Sprung Aus Den Wolken “Leidenschaftlich” (2:38)は、ディレイの効いたVoiceと金属音に何か低音ノイズから成る曲で、時にシンバルなんかも聴こえてきます。メンバーはKiddy Citny (Tape Recorder, Echo, G)で、彼のソロユニットです。 ★C5 Sprung Aus Den Wolken “Lust Last Liebe” (2:45)では、オルガンらしき音にディレイ処理された怒号のようなVoと微かにバックにDrsのビートも聴こえます。 ★C6 Sprung Aus Den Wolken “Bis Zur Erschöpfung Gegen Den Strom / Stampfen Tanzen Laufen” (4:26)でも、Gを弾いているような音とリズムマシンらしき音をバックに、Citnyがひたすら叫んでいます。ハウリングも回っており、1人で阿鼻叫喚な場を作り上げています。打撃音やSaxの音なんかも聴取できます。 ★C7 司会 (0:46) ★C8 Sentimentale Jugend “Intro” (1:12)は、ハウリング音から始まり、シンセ音が一部入ったかな?と思っていたら、次の曲が始まっています。メンバーは、Alexander von Borsig (Tapes, Synth, Vo), Christine X (Echo, G, Vo)。 ★C9 Sentimentale Jugend “Ghetto” (2:14)では、シンセのパルス音をリズムに、ハウリング音とエフェクト処理されたVo等がアマルガムのように鳴っています。 ★C10 Sentimentale Jugend “Der 10.5.” (3:12)は、リズムマシン音をバックにぐちゃぐちゃに変調させられたVoやGの音が渦巻いています。最後のリズムマシン音はカッコ良かった! ★C11 Sentimentale Jugend “Hiroshima” (2:22)は、3拍子のワルツのリズムマシンとオルガンに合わせて、Borsigが歌い、ChristineのGがエフェクトをかけまくって変調しまくっています。 ★C12 Sentimentale Jugend “Weglaufen” (1:35)は、エグゾースト・ノイズです。時々、メタルジャンクの音も聴こえてきますが、多分、テープ操作ですね。 ★D1 司会 (0:22) ★D2 Einstürzende Neubauten “Kollaps” (9:37)は、Unruhの重いリズムで始まり、やがて、ChungのBとBlixaのGと叫ぶようなVoと重なっていき、Einheitのメタパーやカシオも被ってきて、危険極まり無い雰囲気になっていきます。ディレイをかけ過ぎているせいか、もう音はグチャグチャになっていますが、逆にそれがカッコ良いですね。メンバーは、Blixa Bargeld (G, Vo), Endrew Unruh (Metal), F.M. Einheit (Metal, Casio), Mark Chung (B) ★D3 司会 (1:07) ★D4 Din A Testbild “Satisfactory” (6:54)は、リズムマシンのノリに合わせて、シーケンスと呟くようなVoとちょっとしSE風のシンセも乗ってきますが、割としっくりした感じの曲です。メンバーは、Mark Eins (Synth)で、彼のソロユニットです。 ★D5 Sentimentale Jugend “Pour Mon Bibi” (3:41)は、音質の良いシンセウェーブなインスト曲で 今までのメチャクチャさを落ち着かせようと彼等が考えてくれたフィナーレですね。メンバー I’mは、Alexander von Borsig & Christine X ◼️CD 1 Wieland Speck 司会(2:13) 2 Kriegsschauplatz Tempodrom “Wer O Sagt Muss Auch B Sagen” (2:15) 3 Wieland Speck “Moderation (司会)” (0:18) 4 Nekropolis (Die Unbekannten) “Casualties” (2:19) 5 Wieland Speck 司会 (0:31) 6 Wir Und Das Menschliche E.V. “Baum Der Versuchung / Schatten Der Freude” (6:33) 7 Wieland Speck 司会 (0:29) 8 Leben Und Arbeiten “Hundebesitzer” (3:07) 9 Leben Und Arbeiten “Gefühl Nix Gut” (2:29) 10 Wieland Speck 司会 (1:45) 11 Die Tödliche Doris “Schuldstruktur” (3:32) 12 Die Tödliche Doris “Kavaliere” (0:51) 13 Die Tödliche Doris “Der Tod Ist Ein Skandal” (3:08) 14 Wieland Speck 司会 (1:05) 15 Gut Und Bargeld “Marokkoblut” (1:45) 16 Gut Und Bargeld “Blutarmut” (0:52 17 Gut Und Bargeld “Blutjung” (2:25) 18 Wieland Speck 司会 (0:25) 19 Vroammm! “Punks & Bullen United” (2:25) 20 Wieland Speck 司会 (0:14) 21 Drei Mädels Und Das Meer “Nimm Mich Mit Kapitän” (3:35) 22 Wieland Speck 司会 (0:22) 23 Sprung Aus Den Wolken “Leidenschaftlic” (1:32) 24 Sprung Aus Den Wolken “Lust Last Liebe” (1:06) 25 Wieland Speck 司会 (0:17) 26 Sentimentale Jugend “Ghetto” (1:47) 27 Sentimentale Jugend “Der 10.5.” (2:35) 28 Sentimentale Jugend “Hiroshima” (1:18) 29 Wieland Speck 司会 (0:15) 30 Einstürzende Neubauten “Kollaps” (6:38) 31 Wieland Speck 司会 (0:27) 32 Din A Testbild “Satisfactory” (6:54) 33 Sentimentale Jugend “Pour Mon Bibi” (3:41) ◼️DVD 1 Wieland Speck “Moderation (司会)” (2:13) 2 Kriegsschauplatz Tempodrom “Wer O Sagt Muss Auch B Sagen” (2:15) 3 Wieland Speck “Moderation (司会)” (0:18) 4 Nekropolis (Die Unbekannten) “Casualties” (2:19) 5 Wieland Speck “Moderation (司会)“ (0:31) 6 Wir Und Das Menschliche E.V. “Baum Der Versuchung / Schatten Der Freude” (6:33) 7 Wieland Speck “Moderation (司会)” (0:29) 8 Leben Und Arbeiten “Hundebesitzer” (3:07) 9 Leben Und Arbeiten “Gefühl Nix Gut” (2:29) 10 Wieland Speck “Moderation (司会)” (1:45) 11 Die Tödliche Doris “Schuldstruktur” (3:32) 12 Die Tödliche Doris “Kavaliere” (0:51) 13 Die Tödliche Doris “Der Tod Ist Ein Skandal” (3:08) 14 Wieland Speck “Moderation (司会)” (1:05) 15 Gut Und Bargeld “Marokkoblut” (1:45) 16 Gut Und Bargeld “Blutarmut” (0:52) 17 Gut Und Bargeld “Blutjung” (2:25) 18 Wieland Speck “Moderation (司会)” (0:25) 19 Vroammm! “Punks & Bullen United” (2:25) 20 Wieland Speck “Moderation (司会)” (0:14) 21 Drei Mädels Und Das Meer “Nimm Mich Mit Kapitän” (3:35) 22 Wieland Speck “Moderation (司会)” (0:22) 23 Sprung Aus Den Wolken “Leidenschaftlich” (1:32) 24 Sprung Aus Den Wolken “Lust Last Liebe” (1:06) 25 Wieland Speck “Moderation (司会)” (0:17) 26 Sentimentale Jugend “Ghetto” (1:47) 27 Sentimentale Jugend “Der 10.5.” (2:35) 28 Sentimentale Jugend “Hiroshima” (1:18) 29 Wieland Speck “Moderation (司会)” (0:15) 30 Einstürzende Neubauten “Kollaps” (6:38) 31 Sentimentale Jugend “Pour Mon Bibi” (3:41) と言う訳で、音も映像と当時の様子を楽しめますが、何と言っても、出演者や観客を含めて、とにかく、何かを作り出そう!それを目撃しよう!と言う熱意が凄いですね。知っているバンドの知っている曲ですら、特別バージョンのように全く違うように聴こえたりするので、充分に楽しめました。ライブ録音なので音がペラペラでは?と心配していましたが、そんなことを吹き飛ばす程の熱量でした!ここから、ベルリンのNDWは始まったようなものなので、やはり押さえておいた方が良い記録作品だと思います。日本でも、こう言う質の高い記録作品があれば良かったかな?とちょっと羨ましいです。 *全音源はYouTubeに上がっていなかったので、拾えるだけ拾って、貼ってあります。 [trailer] https://youtu.be/-MSN2P5VIs4?si=C_yriqv_TgKMkpKA DVD 4 Nekropolis (Die Unbekannten) “Casualties” https://youtu.be/rcXAJQQma1c?si=wpp5xM8d0DpwE8Jt DVD 7-9 Leben Und Arbeiten https://youtu.be/JdEEdzOGnO0?si=M8apM-qtYLWJs3Ur DVD 10-13 Die Tödliche Doris https://youtu.be/9mktoRLcv84?si=f0c_xBWXhAFJQCPS CD15-17 Gut Und Bargeld https://youtu.be/bNLe11Tto8A?si=Ehsits-gPojLBqq5 DVD 23-24 Sprung Aus Den Wolken https://youtu.be/YBuUyQgVV-w?si=zwoUSRIusLoBtEEE DVD 25-28 Sentimentale Jugend https://youtu.be/2Exp63Lo4QQ?si=p8GsWMa5mszw0jK9 DVD 30 Einstürzende Neubauten “Kollaps” https://youtu.be/Hkrv0Q11tWM?si=LvByEHqjCDo_skvz #VariousArtists #DieGroßeUnterganhsshow #FestivalGenialerDilletenten #Berlin #Tempodrom #1981年 #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Event #Avant-Garde #Experimental #PopMusic #Multimedia #ConceptualArt #PerformingArt #VisualArtists #KriegsschauplatzTempodrom #Nekropolis #DieUnbekannten #WirUndDasMenschlicheE.V. #LebenUndArbeiten #DieTödlicheDoris #GutUndBargeld #Vroammm! #DreiMädelsUndDasMeer #SprungAusDenWolken #SentimentaleJugend #EinstürzendeNeubauten #DinATestbild
Neue Deutsche Welle (German New Wave) Vinyl on Demand 12800円Dr K2
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Mittagspause “s/t”
やっと手に入れました。独逸で2番目に早かったパンクバンドMittagspause (ミッタークスパウゼ)のファースト・アルバムです!元々のフォーマットは、7㌅2枚組でしたが、私が購入した再発盤では、12㌅LP盤になっており、かつリマスタリング/ミックスし直しもされています。また、ジャケも変わっています。 それで、先ず最初に、Mittagspauseのバイオグラフィーについて書いてみます。元々、1977年にDüsseldorfで結成されていた前身バンドCharley’s Girlに在籍していたPeter Hein (Vo; ピーター・ハイン), Franz Bielmeier (G; フランツ・ビールマイアー), Markus Oehlen (Drs; マルクス・オェーレン)から、1978年7月にMittagspauseは結成されており、その時点で、セカンド・ヴォーカルとして、後にDAFのVoとなるGabi Delgado-Lopez(ガビ・デルガド-ロペス)も加入しています。それで、Mittagspauseは、1978 年 8 月 12 日に開催された ベルリンの有名なクラブSO36のオープニング・フェスに初めてライブ演奏を披露しています。 1978年12月26日、Düsseldorf でのクリスマス・コンサートの後、Gabiがバンドを脱退したので、このオリジナル・ラインナップでの唯一のライブ音源は同名のコンピレーション・アルバムで聴くことが出来ます。それで、1979 年初頭に、Thomas Schwebel (G; トーマス・シュヴェーベル )がバンドに加入しています。バンドはベースレスで、独自のサウンドを作り出します。Bielmeierがリズムやコードを担当し、Schwebelが高音のメロディを担当する形になり、他のバンドよりやや遅いビートをOehlenがキープするようになります。1979年夏に、彼等はデビュー・シングル2枚組をリリースしており、これが、今回紹介するアルバムのオリジナルに相当します。この作品に収録されている2曲”Militürk” と”Ernstfall”は、その後も Fehlfarbenでも演奏されています。1979年末にリリースされたシングル”Herrenreiter”/“Paff”のB面”Paff”は、独の有名な女優/歌手Marlene Dietrich (マレーネ・デートリッヒ)の古いシャンソンのカバー曲です。Mittagspauseの最後のライブは、Bielmeierが企画した大晦日Rondoレーベルのコンサートで、1979年12月31日にNeussのクラブOkie Dokieで、1980年には、バンドは解散しています。ちゃんとしたLPを企画していましたが、その時はリリースされず、後に、この為のデモ音源が、1992年にWhat’s So Funny AboutからCDでリリースされた”Herrenreiter"に収録されています。解散前から、HeinとSchwebelは、サイドプロジェクトとしてFehlfarben (フェルファーベン)を始めており、解散後は、このプロジェクトをメインにやっていき、NDW以降も影響力の強いバンドになります。Bielmeierは、自身のレーベルRondoの運営に集中するようになり、また、Oehlenは、ビジュアル・アーティストとして活躍し、時々、Red KrayolaやFlying Klassenfeind等の色々なバンドにサポートとして参加したりしています。しかしながら、MittagspauseのアルバムLP”Punk Makes A Big Ass”は、グループ解散後の1981年にリリースされています。 以上が、Mittagspauseの略歴となります。それで、本作品(LP再発盤)の時のメンバーは、Peter Hein (Vo), Franz Bielmeier (G), Thomas Schwebel (G), Markus Oehlen (Drs)で、プロデュースはBernd SchmidtとMittagspauseによる共同作業で、再発に当たってのミックスし直しは、Peter HeinとPyrolatorで行なっています。内容的には、A面6曲/B面5曲が収録されています。それでは、各曲について紹介していきましょう。 ★A1 “Testbild” (2:41)では、シグナル音のようなGノイズとリズムを刻むDrs&Gがじわじわと盛り上がって、最後にVoが入ってきますが、Voがちょっと歌った後、”Testbild!”と叫んで終わります。 ★A2 “3x Nordpol” (0:31)は、ドカドカしたリズムを中心としたバンキッシュな小曲ですが、針飛びしているかと思ったら、テープ操作みたいです(びっくりしました!)。 ★A3 “Intelnet” (2:37)は、大歓声のテープ音で始まる小気味良いビートの曲で、ひたすら呪文のように反復するVoも面白い。途中で如何にもUSっぽいロッケンローなフレーズも出てきますが、何処か小馬鹿にしていそうです。 ★A4 “X-9200” (0:57)は、コーラスワークの冴えている、如何にも独逸っぽいパンクソング(Oiっぽい?)で、あっと言う間に終わります。 ★A5 “Militürk” (3:55)は、セミアコとG、それとミドルテンポのDrsから成る曲で、哀愁一杯なメロディが泣かせます。と思ったら、これはDAFの”Kebab-Träume”じゃないですか!その後の反復するコーラスワークも独逸っぽいですね。 ★A6 “InnenStadtFront” (1:08)は、バタバタした演奏から成るロッケンローな小曲で、早口Voも思い切りが良い。 ★B1 “Deutschland” (1:58)は、ジャカジャカしたGで始まり、硬い感じのリズムを演奏するGとDrsに、投げやりなVoから成る曲ですが、サビのコーラスが何ともイカしてます。 ★B2 “Derendorf” (1:25)は、Bのような低音Gで始まり、テンポがコロコロ変わる小曲で、かなり変なアレンジです。 ★B3 “Überblick” (1:06)も、2本のGの絡みが面白いバンキッシュな曲で、1本のGがB代わりに刻んでいるビートも、投げやりなVoもグーです。 ★B4 “In Der Tat” (1:50)も、バタバタしたDrsにGが絡む曲ですが、叫び声のようなVoがパンクっぽいです。途中にフリーキーなGが挿入されるのも秀逸です。この曲だけ録音が違っているようです。 ★B5 “Ernstfall” (3:51)は、段々と速くなるフレーズの後に、やや疾走感のあるDrsとGに合わせて、吐き捨てるようなVoが絡んでくる、中々緊張感のある曲ですが、途中のコーラスがヘナヘナで、かつ演奏も止まってしまいますが、直ぐに復活して、あっという間に終わります。 正直言って、「これがパンクか?」と言われれば、パンクよりも寧ろポストパンクではないかと思ってしまいます。ベースレスなのも一因かも知れませんが、とにかく、一筋縄では行かない曲が目白押しで、単に曲が短きて下手位しか、パンクロックの要素は見出せないです。しかしながら、視点を変えれば、これこそが「独逸のパンク」なのかもしれませんが、個人的には、S.Y.P.H.が一番近いようにも思えます。少なくとも、こう言うサウンドをUKやUSではパンクとは言わないでしょう。一番近いのは、NYCのNo Wave一派かもしれません。既存のルールから外れていくと言う意味で、正にパンクなんでしょう。まぁ、とにかく聴いてみて、判断してみて下さい❗️ [オリジナル・ミックス] https://youtu.be/uqcfVg0f6j0?si=t-FFP-qRimsmWIgg #Mittagspause #SelfTitled #PureFreude #FirstAlbum #Reissue #Remastering #Remix #SecondGermanPunkBand #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #PunkRock #Punk #GermanPunk #BasslessBand #NoWave #PeterHein #FranzBielmeier #ThomasSchwebel #MarkusOehlen #Co-produce #BerndSchmidt
Punk / German Punk Pure Freude $33.00Dr K2
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Die Tödliche Doris “…”
漸く、たどり着きました。独逸が誇るアヴァンギャルド・グループ、Die Tödliche Doris (ディー・テードリッヒェ・ドーリス)のファースト・アルバムです。特にタイトルとかは付いておらず、”….”なんて表記されていたりします。それで、Die Tödliche Dorisの命名については皆さんも知っているとは思いますが、英語に直訳すると”The lethal Doris”で、lethal dose(致死量)とDoris(女の子の名前)を引っ掛けた造語のグループ名で、そこら辺にも彼等が只者では無いのが分かると思います。そして、その結成には、1981年に西ベルリンで行われたイベントGeniale Dilletanten運動(ゲニアーレ・ディレタンテン; タイプミスをそのまま使っていますが、意味としては「天才的アマチュア」)が大きく関わってきます。このフェスでは、音楽、絵画、映像等を問わず、何か面白くて、新しいことをやろうとするのが、コンセプトだったようで、音楽方面からは、Die Tödliche Dorisの他に、Frieder Butzmann, Einstürzende Neubautenなんかのメンバーが集まっています。また、Die Tödliche Dorisのリーダーであり、作家兼音楽家でもあるWolfgang Müllerが出版社メルヴェ社に”Geniale Dilletanten”という本を書いており、これは、仏のポストモダン哲学者を独で最初に出版したこととして知られています。Die Tödliche Dorisは、ポップミュージック・グループに通常不可欠である一貫したアイデンティティを構築するのではなく、「慣習」や「固定観念」の概念に挑戦しています。 その代わりに、彼らはそれぞれの楽曲やプロダクションにおいて、「スタイル」とか「イメージ」に従わないようにしています。 ボードリヤール、フーコー、ガタリ、リオタールのポスト構造主義に触発されたDie Tödliche Dorisは、音によって作られた彫刻を解体したいと考えており、この音楽的、娯楽的、或いは非音楽的な目に見えない彫刻は、Die Tödliche Dorisそのものの身体となるはずだと言うことです。とまぁ、その頃のDie Tödliche Dorisは、ポストモダンのコンセプトで理論武装した頭脳派演奏下手バンドだった訳です。 それで、Die Tödliche Dorisの最初の12インチのアルバムにはタイトルがありませんが、通称”7 tödliche Unfälle im Haushalt (「家庭内の 7 つの死亡事故」の意味)” と呼ばれており、それは前回ご紹介しました。 その後、彼らは、1982年に”….”(通称”Die Tödliche Doris”と呼ばれています)をリリースしています。このアルバムには 13曲が収録されていますが、共通点は無いように思えます。つまり、「面白い」曲、「シリアス」な曲、その次が「平凡」な曲、「残酷な」曲、「ソフト」な曲、 どれも一緒に収録されるようには思えず、すべてのスタイルやテーマが互いに厳密に分離されて、バラバラになっている訳です。 なので、Die Tödliche Dorisは人間と同じように、多くの異なる矛盾した特性で構成されており、それらは 1 つの身体の中に存在しますが、同時に存在する訳ではないと言うことを表していると言えましょう。それで、彼等は、このコンセプトを更にレコードで再現することはできないとの考えに至り、「レコード」と言うメディア自体も解体することにしました。それが、あの有名な1983年作の”Chöre & Soli”で、要するに、音質の悪い小さなソノシート8枚とそれ専用のバッテリー付き再生機及びブックレットをボックスに入れたと言う作品です。この作品は、世界中のコレクターズ・アイテムとなっています。 と言うように、かなりコンセプチュアルな作品を作り続けているDie Tödliche Dorisですが、今回は、先述の”….” (通称”Die Tödliche Doris”)をご紹介します。何せ常に観客を裏切るのが、Die Tödliche Dorisであり、それを期待している観客を更に裏切ってくるとまで言われた頭脳集団の音ですから。先ずは、タイトル”….”のファースト・アルバムから聴いてみます。因みに、参加メンバーは、Wolfgang Müller(ヴォルフガング・ミューラー)とNikolaus Utermöhlen (ニコラウス・ウーターメーレン)及び(多分)Käthe Kruse(ケェーテ・クルーゼ)の3人ですね。内容的には、A面7曲/B面6曲が収録されています。それでは、各曲の紹介をしていきましょう。 ★A1 “Stümmel Mir Die Sprache” (3:37)では、単調なDrsに、男性の叫び声と女性のうめき声の阿鼻叫喚と歪んだBらしき音から成り、一部でコードを弾くオルガンやフリーキーなGも聴取されます。 ★A2 “Posaunen Der Liebe” (1:40)では、壊れたラジオのようなノイズが段々と分厚くなってきます。大声援のテープ音も最後に放たれます。 ★A3 “Der Tod Ist Ein Skandal” (4:29)では、何とも頼りな気ないDrsと存在感あり過ぎなBに、弱々しい男性Voが呪文のように流れ出してきます。 ★A4 “Panzerabwehrfaust” (0:13)は、叫び声とDrsから成る一瞬の曲で、直ぐに過ぎ去ります。 ★A5 “Wie Still Es Im Wald Ist” (2:21)は、チェロとおもちゃ楽器(?)をバックに、引き攣るような語り男性Voから成る曲で、不安感が部屋中に充満します。 ★A6 “Sie Werden Nicht Beobachtet” (1:50)は、ドカドカしたDrsに合わせた男性の叫び声と、そのバックでGが鳴っている曲で、その構造自体がヘンテコ。 ★A7 “Haare Im Mund” (3:35)は、単調なスネアの打撃音に、男性の叫び声Voと女性の叫び声の合いの手が乗る曲で、多層化されたクラリネットが挿入されたり、一瞬の大音量ノイズやBのループ音も加わります。 ★B1 “M. Röck: Rhythmus Im Blut” (2:27)は、言葉遊びのようなリズミックな合いの手に、スライド奏法のGとB及び男性Voが乗る曲で、その内、バックに伸びやかな男性コーラスが挿入されてきます。 ★B2 “Kavaliere” (3:42)では、多層化したリズムを刻むDrsに、フリーなクラリネットとGノイズ及び多重録音された男女Voが被ってきて、せめぎ合います。 ★B3 “Fliegt Schnell Laut Summend” (2:48)は、反復するアコーディオンの上に、語るような女性Voが乗る曲で、それぞれの音や声は多層化して再生されます。 ★B4 “Robert” (3:09)は、ホワイトノイズのリズムの上にナレーションが乗っていたと思ったら、いきなり、リムショットにフリーキーなBやG、或いはそれらの逆回転再生音が押し寄せますが、ナレーションは続いています。 ★B5 “Über-Mutti” (2:21)では、単調なDrsにBとGの不協和音と段々エキサイトしてくる女性Voが乗る曲で、まるで出来損ないのMarsのようです。それが数回繰り返されます。 ★B6 “In Der Pause” (4:25)は、リズムマシンとSynth-Bから成る曲で、ラジオ調のナレーションが重なってきます。しかし、リズムレスになってきて、音数は減少していき、そのまま終わります。 いやー、凄かった!と言うのが、このアルバムを聴いた時の第一印象です。とにかく、男女問わずにVoはただただ叫んでいるだけで、「歌う」ことはしてないです。Drsとかも多分、Kruseだと思いますが、とても叩いていると言える程のテクはないと思われます。メインVo(男性)のMüllerもただ喚いているだけのように聴こえますが、独逸語が分かれば、もっと楽しめるのでしょう。彼の歌の調子っ外れ振りが魅力的ですね。しかし、それらの外れた音をUtermöhlenがしっかり補完している感じで、ちゃんと「曲」として成り立たせ、ギリギリのところで一線を保っているのも凄いです。そう言う意味で、Die Tödliche Dorisは「天才的アマチュア」なのかもしれませんね。必聴の一枚です! https://youtu.be/iVMGLohJV1Q?si=efxh7yz5ZsMdO9q0 #DieTödlicheDoris #… #ZickZack #FirstAlbum #7TödlicheUnfälleImHaushalt #1982年 #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Berlin #Avant-Garde #Dadaism #Fluxus #Noise #GenialeDilletantenFestival #WolfgangMüller #NikolausUtermöhlen #KätheKruse
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Avantgarde Zick Zack 不明Dr K2
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Palais Schaumburg “Parlez-Vous Schaumburg ?”
とうとう、Parais Schaumburg (パレ・シャンブルク)のサード・アルバム“Parlez-Vous Schaumburg ?”を入手しましたが、何でこれを欲しかったと言うと、石野卓球氏が紹介していたことと、それだけ音が変わったのなら、じゃあ聴いてみようとなったことだと思ったからです。また、セカンド・アルバムではVoだったWalter Thielschが脱退してしまい、この時のメンツは、Thomas Fehlmann (Synth, Trumpet; 後にAmbient ProjectであるThe Orbを結成), Moritz von Oswald (Drs &Perc; 1990年初頭には、Minimal / Dub Technoを始め、レーベルBasic Channel & Chain Reactionを運営), Ralf Hertwig (Drsで入ってVoへ; その後、2MBや3MB名義でDub Technoを始める)の3人で、ゲストシンガーにInga Humpe (元Neonbabiesで、後にDeutsch-Österreichisches Feingefühl[以下DÖFと表記]を結成)も加わっています。つまり、Palais Schaumburgはアルバムを出す度に、Voが代わっています。そして、バックに演奏をしていたメンバーはダブ・テクノの活動をすることになっています。そんな出入りの激しいグループですが、1984年には、Palais Schaumburgは解散しています。恐らく、このメンバーでは、1年程しか活動していないようです。ただ音的には、Holger Hillerのいたファースト・アルバムの時とは大きく異なり、それこそDepesche Modeのようなエレ・ポップな内容になったようです。本作品はサード・アルバムにして、最後のアルバムになり、内容的には、両面4曲ずつ収録されています。それでは、各曲について、ご紹介していきましよう。 ★A1 “Easy Go” (4:15)は、シングルカットされた曲で、キャッチーなエレ・ポップですね。しかも、耽美的でダンサブルです。ホーンやコーラスワークもバッチリです。 ★A2 “Spy Versus Spy” (3:36)は、ガムラン様のパーカッションとDrsに合わせて、シンセや跳ねるようなBが乗り、耳元で囁くようなVoとホーン類が何とも雰囲気を醸し出しています。 ★A3 “The Tart” (3:33)は、ちょっと不思議なスケールのリズム隊(Synth-B)に、甘いシンセとVoが乗る曲で、サビでは盛り上がりますね。リズムはドラムマシンですね。 ★A4 “3 Young Men”(4:05)は、何ともゴージャスなシンセのイントロで、少しだけ日本のゲルニカっぽい展開で、クラシック歌謡のような複雑な曲の進行となっています。リズムはそれ程強調されておらず、アンサンブルに重きを置いています。終わり方が良いですねー。 ★B1 “Quiet Village” (4:10)は、ちょっとびっくりするイントロですが、その後は、ダンサブルなエレ・ポップと言うかファンカラティーナになります。Voやコースワークもぴったしですが、歌詞は英語なのかな? ★B2 “Name The Cats” (4:30)では、B1と連続して始まり、怪しげなベースラインが中心にドラムマシンやシンセとなりますが、Voや女性コーラスも中々聴かせてくれます。Gも入っていて、ちょっと凝った曲ですね。 ★B3 “Beat Of 2” (5:00)も、シングルカットされた曲で、キラキラした陽性のエレ・ポップで、サンプラー音(ホーン類の音等)も使っているようで、当時としてはハイ・テックな機材での曲ですね。 ★B4 “What's The Time” (5:00)は、ゆったりとしたスローな曲で、「ジャングル大帝」とゲルニカの混合物を想起することような威風堂々たる雰囲気ですね。なので、そんなにビート感はありません。 まあ、Voが変わるだけで、こんなにも音楽が変わるんだとビックリしてしまいました。初代VoがHolger Hillerで骨折ファンクを、2代VoがWalter Thielschでラテン系エレ・ファンクを、そして3代VoがRalf Hertwigで、Depeche Modeのようなゴージャスなエレ・ポップを演奏しており、最早、Neue Deutsche Welleではなくなっていますね。歌詞も英語だし。まあ、これがキッカケとなったかどうかは分からないですが、各人がそれぞれ、ダブ・テクノの道へやThe Orbへと進んでいくのが、何とも独逸人らしいと言うか何と言うか。しかしながら、本作品での曲作りは一流ですので、プレ・テクノのエレ・ポップに興味のある方にはお勧めしますよ! https://youtu.be/Q_LsWfGqgO0?si=mRIHKWEMQ02O9LJp #PalaisSchaumburg #Parlez-VousSchaumburg? #Phonogram #ThirdAlbum #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #ElectroPop #SynthWave #Synthesizers #ThomasFehlmann #MoritzVonOswald #RalfHertwig #Guest #IngaHumpe
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Pop Song Palais Schaumburg / Phonogram 3950円Dr K2
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Die Tödliche Doris “Ohne Titel”
独の最大の「不思議」である致死量ドリスことDie Tödliche Dorisを紹介します。前回も書きましたが、正直言って、私は割とこう言う感じの音楽は避けてきました。あのWaveが出した2枚組は持っていますが、当時は、何故かピーンとはきませんでした。Die Tödliche Dorisのバイオグラフィーについては、前回もちょっと書きましたが、少しだけ復習を。グループは、1980年の西ベルリンの壁に設置されたTempodromで開催されていた、新しい表現を組合せたり、試みたりするイベントGeniale Dilletanten 運動 (ゲニアーレ・ディレタンテン[天才的好事家]; 本来の綴りはGeniale Dilettantenですが、意図的にスペルミスを入れて、そのままイベント名にしています)に参加していたWolfgang Müller(ヴォルフガング・ミューラー)とNikolaus Utermöhle (ニコラウス・ウーターメーレ)が中心となって、後に、Käthe Kruse (ケーテ・クルーゼ)、Dagmar Dimitroff (ダグマー・ディミトロフ)やTabea Blumenschein (タベヤ・ブルーメンシァイン)も加わり、Die Tödliche Dorisが結成されています。この時期には、コアメンバーの男性2人にDagmar Dimitroffの3人で活動していたようです。そのイベントには、他に、Einstrützende Neubauten, Frieder Butzmann (フリーダー・プッツマン)や Sprung Aus Den Worken (スプルンク・アウス・デン・ヴォルケン)なんかも参加しています。また、このイベントについてはドキュメント作品がありますので、そこで詳細を紹介することにします。 今回、取り上げたのは、Die Tödliche Dorisの1981年作の12㌅EP”Ohne Titel (オーネ・ティテール)”で、Die Tödliche Dorisにとっては初のヴァイナルです。これは、どう見ても”7 Tödliche Unfälle Im Haushalt(実際、A-1に収められている)”がタイトルになりそうなんですが、グループ側は、この作品のタイトルは”Ohne Titel (無題)”であると主張していますので、それに従うことにします。また、ジャケが素っ気ない感じなんですが、そこがまた彼等らしくもあり、好感が持てますね。内容的には、A面4曲/B面2曲が収録されています。それでは、各曲について紹介していきましょう。 ★A1 “7 Tödliche Unfälle Im Haushalt” (3:45)は、不安な響きのDrsとクラリネットに、男性Voが語り口調で乗る曲で、バックには怪し気なドローン音も聴取できます。多分、「家庭内における7つの死亡事故」について語っているものと思われます。 ★A2 “Tanz Im” (3:38)では、リズムマシンのビートに、男性の叫び声と何らかの空気音も聴こえ、途中からアコーディオンや囁き声も入ってきたりします。こう言う曲には「パンク」を感じますね。 ★A3 “Avon-Gard” (1:10)は、リズムマシンとDrsと木琴とアコーディオンに、男女語りVoが絡み合う、何とも忙しない小曲ですが、Voはダルダルになります。 ★A4 “Stop Der Information” (1:53)は、バシバシしたDrsにフリーキーなGと切羽詰まった男性Voから成る曲で、途中、短波ラジオノイズも聴取され、その成分は増えていきます。 ★B1 “Der Krieg Der Basen” (4:58)では、歪んだGカッティングと何かのノイズに、切羽詰まったように男性煽るVoが乗るのですが、時に別の女性?Voも挿入されてきて、それが更に不安を煽ります。そして最後には物音系な音も。 ★B2 “Der Astronaut Und Der Kosmos” (4:13)では、6/8拍子のリズムマシンと生Drsの単調なリズムに、リズムを刻むオルガン?と深いリバーブを掛けた語り口Voとコーラスが挿入されます。途中で音が変わって、クラリネットのフリーな演奏が不穏に鳴り渡り、再び男女のコーラスも復活します。 やはり、Die Tödliche Dorisは、LP位の長さでガッツリ聴いた方が良いですね。それにしても、彼等のぶっ飛び方は凄いです。それは、まるで「アート・パンク」のようです。何者にも縛られない発想と実践を、この最初の時点で既にやっていることに驚かされますね。12インチ45回転なので、音質も良好で、そこら辺も拘ったのか知りたいところです。それにしても、Die Tödliche Dorisの初期の魅力の詰まった、このミニ・アルバムは基本の基なので、是非とも聴いて欲しいです!「表現とは何か?」の発想の芽が感じられると思いますよ。 https://youtu.be/Prl3MzmqPS8?si=7GNPmuE6DyStYxiv #DieTödlicheDoris #OhneTitel #ZickZackPlatten #12inchEP #LimitedEditions #2000部 #FirstVinyl #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Avant-Grade #Experimental #FreeMusic #7TödlicheUnfälleImHaushalt #WolfgangMüller #NikolausUtermöhlen #KätheKruse #ChrisDreier #DagmarDimitroff #TabeaBlumenschein
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Avantgarde Zick Zack 8949円Dr K2
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V.A. “Sammlung - Elektronische Kassettenmusik, Düsseldorf 1982 - 1989”
1980年代は、カセット・カルチャーが爆発した年代であると思います。それは、単価が安いこと、世界中どこでも再生可能なフォーマットであること、それに送料などもそれ程高くないこと等の要因に加えて、当時、安価な録音機器やシンセ等の電子楽器が庶民の手に届くようになったことも、カセット・カルチャーを底上げしていたと思います。なので、多重録音も可能になり、宅録アーティストが多く出現したのだと思います。今回は、そんな時代(1982-1989年)に、独、特にDüsseldorfに活動の中心を置いていた宅録電子音楽アーティストのカセット作品からセレクトした曲を集めたコンピレーション・アルバム”Sammlung (ザムルング)- Elektronische Kassettenmusik, Düsseldorf 1982 - 1989”を紹介したいと思います。いわゆる、匿名性でのコンピでもある、この偉業を成し遂げたのは、いつもお世話になっている独レーベルBureau Bです。感謝! そのような時代背景を思い浮かべて聴いてもらえると幸いです。また、NDWに詳しい方は、Düsseldorfが1980年代初頭、様々なバンドを排出した都市としても重要であることが容易に予想出来ると思います。内容的には、A面6曲/B面7曲となっていますが、良く分からないグループ名が多いです。しかしながら、そう言う未知の音を聴くと言う楽しみを存分に味わいましょう。それでは、各グループと各曲の紹介をしていきたいと思います。 ★A1 Konrad Kraft(コンラッド・クラフト) “F” (5:08)は、クリック音から、複雑な民族音楽調のドラムマシンとピコるシーケンスの打ち込みから成る曲で、明確なメロディはハッキリしませんが、リズム重視なので、そこら辺が面白いですね。 ◉Konrad KraftはDetlef Funder(デトレフ・フンダー)のソロユニットで、この曲は1985年作ですが、1987年以来、SDV TonträgerやAuf Abwegenから最近までリリースを続けています。以前にも彼のアルバムを紹介しています。 ★A2 Deux Baleines Blanches (デュー・バライネス・ブランチェス)“Draht 8” (2:30)は、バンブードラムのようなドラムマシンとギターループから成るミニマルな曲で、音の質感がそれ程、電子的では無く、そのギャップがまた面白いです。 ◉DBBはStefan Schneider (G-Loop; シュテファン・シュナイダー)とHeinz-Adolf Tack (Synth; ハインツ・アドルフ・タック)のデュオで、本曲は1986年11月に録音されています。 ★A3 Ettlinger(エッティンガー) “bzw” (2:10)は、ホントにカシオトーンのリズムと簡単なシーケンスに、カシオトーンによるメロディが乗っかった曲で、プリミティブかつプリティーな曲になっています。 ◉Ettingerは、Stefan Ettingerのソロ名義で、Casio VL-Toneを使って、Fostex録音機器Model 250で多重録音した曲で、1982年作です。 ★A4 Mentocome(メントコメ) “b6” (4:28)では、民族打楽器らしきドラムマシンが、スカスカにプログラムされていますが、後半は硬質なリズムと微かなメロディに突然変化して、浮遊感から土俗性すら感じます。 ◉Mentocomeは、Axel Grube(アクセル・グルーべ)とRainer Robowski (ライナー・ロボヴスキー)のデュオで、本曲は1986年作です。 ★A5 Frigorex (フリゴレックス) “The Beginning” (2:51)では、ポップ調のドラムマシンとシーケンスなのですが、バックにはシンセの持続音が流れており、ピコった音も聴取でき、中々ファニーな曲になっています。 ◉Frigorexは、Dino Oon(ディノ・オーン)とKonrad Kraftのデュオで、本曲は1982年作です。 ★A6 Dino Oon “Nr. 6” (3:52)は、不協和音的で唸るオルガンのドローンから成る異色な曲で、時々、シンセやドラムマシンの短いシグナル音が入ってきます。 ◉A5のDino Oonのソロで、1989年作です。 ★B1 Pfad Der Tugend (ファド・デル・ツゲント) “Einklang” (2:26)は、バンド演奏で、テンポチェンジも含めて、始終、バックの演奏が主導権を握っており、その上をシンセが飛び回ります。 ◉PDTは、Martin Kobele (B; マルティン・コベレ), Jochem Simons (G; ヨヘム・ジモンズ), Heinz-Adolf Tack (Synth), Stefan Krausen (Drs;シュテファン・クラウゼン)から成るバンドで、1987年2月録音です。 ★B2 Kurzschluss (クルツシュルス)“L'Inconnu” (1:58)は、ポリシンセとシンセBから成るミニマルな展開の曲で、単音シンセがその上で踊っているように不明確なメロディを奏でています。 ◉Kurzschlussは、Catherine Ledit(キャサリン・レディット)のソロユニットで、本曲は1986年作です。 ★B3 Wooden Barrows “Zyklus VI” (2:29)は、ちょっとだけYMOを想起させるオリエンタルな雰囲気の打ち込みから成る曲で、そう言う意味では異色ですね。 ◉WBは、Andreas Bongartz (アンドレアス・ボンガルツ)とAndrea Bearch (アンドレア・ベアルチ)のデュオで、本曲は1986年にGood Boy Studioで録音されています。 ★B4 Le Petit Mort (ラ・プチ・モール) “Geheimes Wissen” (3:04)は、不気味雰囲気のドラムマシンとシーケンス成りますが、やはりバンブードラムのような音質が目立ち、民族音楽調、かつミニマルな曲です。 ◉LPMは、Catherine LeditとDirk Grutzmann (ディルク・グルッツマン)のデュオで、本曲は1988年に録音されています。 ★B5 Strafe Für Rebellion (シュトラーフェ・フュール・レベリオン)“Boston” (3:26)は、時計の音とディレイを掛けたキックに、チェロのようなシンセ音から成る不定形の曲で、時に野卑なヴォイスやテープループや色々なノイズ要素が挿入されます。 ◉SFRは、Bernd Kastner (ベルンド・カストナー)とSiegfried M. Syniuga (ジークフリード・M・ジニュガ)のデュオで、2人が全てのノイズと楽器を担当して、1988年に自身のスタジオで録音した曲です。 ★B6 Maria Zerfall (マリア・ツェルファール)“Wohin” (2:32)は、反復するシンセ音に、女性Voやテープ音も入るパワー・エレクトロニクスです。中々、様になっています。 ◉1986年作の彼女のソロ曲です。 ★B7 ADD “Dörper's Dream” (3:56)では、機械仕掛けの内部音に、オルガンとテープ音が被ってきて、更に不穏なメロディでダークな音像を醸し出しています。DörperってDie Kruppsの? ◉ADDは、Bernd Zimmermann (ベルンド・ツィマーマン)のソロユニットで、1983年作です。 He 「流石、Düsseldorf !」と言った幅の広い曲がコンパイルされていますね。それこそ、エレ・ポップ調〜ドローン〜パワ・エレ〜ノイズまで押さえてあり、Bureau Bの底力が発揮されています。数年前に、日本でもカセットブームがありましたが、最近のブームというのは、カセットはフィジカルとして、音はDLして聴くという感じが多かったのですが、ここに収められているのは、いずれもカセットのみで配給・交換が為されていた訳で、そこに大きな違いがあるようにも思います。そんな独のアングラ音楽シーンを支えていたカセット作品群の中でも、電子音楽に特化した点が興味深いです。そして、その音楽の振り幅も広く、興味深く聴けました。今でも通用する音楽もありますので、一度は聴いてみてはどうでしようか?面白い世界ですよー! B3 Wooden Barrows “Zyklus VI” (2:29) https://youtu.be/ZEOuYIAP174?si=Z0QXCoOQc8NGqCTO [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_meALp9YzQZvcovRewwvwg3nF63GNxsF6E&si=bfs5ZteUbdvsR1zi #VariousArtists #Sammlung #ElektronischeKassettenmusikDüsseldorf1982-1989 #BureauB #CompilationAlbum #CassetteCulture #Düsseldorf #1980年代 #Electro #SynthWave #Experimental #Industrial #Drone #Noise #KonradKraft #DeuxBaleinesBlanches #Ettlinger #Mentocome #Frigorex #DinoOon #PfadDerTugend #Kurzschluss #WoodenBarrows #LePetitMort #StrafeFürRebellion #MariaZerfall #ADD
Experimental / Electro-Pop / Industrial Bureau B €20.00Dr K2
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Andreas Dorau “Das Wesentliche”
またまた、Andreas Dorauのアルバムです!2019年の新録アルバムです(最新作と思っていたら、2024年にアルバム”Im Gebüsch“が出てました)。彼のバイオグラフィーについては以前にも書いてありますので、そちらをご参照下さい。本作品は、Das Wesentliche (ダス・ヴェゼントリッヒェ「核心」)と題されていますが、その真意は?と勘繰ってしまいます。まぁ、彼のことですので、Dorauとしての「核心」に立ち返った作品なのでは?と予想しています。なお、本来なら特別版の2枚組を買うところを、通常版の1枚だけのモノを買ってしまいました。ちょっと残念ですが、堪忍して下さい。内容的には、A面7曲/B面8曲が収録されています。殆どの曲は、DorauがVo/Synth/Gで、今回、プロデュースもやっているマルチ奏者Zwanie Jonson (ツヴァニー・ジョンソン)やギタリストのGunther Buskies (ギュンター・バスキーズ)、Kbd奏者Carsten Erobique Meyer (カーステン・エロビーク・メイヤー)及びEric Falconnier (エリック・ファルコニアー)がバックをしっかりと固めています。それでは、各曲について、紹介していきましょう。 ★A1 “Nein!” (1:59)は、Dorauしては珍しく、アコギとピアノを使った軽妙なポップ・ミュージックの小曲で、肩の力も抜けてます。新境地ですね。 ★A2 “Unsichtbare Tänzer” (3:34)は、唸るBとタイトなDrsに合わせて、軽めのシンセやSE的電子音に、優しいDorauのVoが聴ける曲で、聴きやすいです。 ★A3 “Identität” (2:07)は、跳ねるようなハッピーなリズムと手拍子に、Dorauが「可愛らしく」歌ってます。ピアノも良い具合ですねぇ。 ★A4 “Menschen Tragen Graue Hüte” (1:50)も、ハッピーソングで、やはり跳ねるようなリズムと何と!Gも入ってきます。小曲なんですが、元気が出ます! ★A5 “Wieso” (2:00)では、女性コーラスと軽快なバックに、Dorauが力まず、自然体で歌ってます。 ★A6 “Dinge Können Sich Ändern” (1:15)は、優しいシンセの音とポップなバックに、Dorauが柔らかく歌っていて、何だかほっこりします。 ★A7 “Gebrauchtes Herz” (2:52)も、アコギの弾き語りで始まる軽いポップソングです。最早、シティポップ? Dorauも自然体で歌っています。 ★B1 “Du Bist Eine Insel” (2:58)は、大歓声(ライブでは無くSEとして使っている)で始まる極めて王道ポップな曲で、シンセ以外にもアコギとかも使っていますね。間奏のシンセソロもグー! ★B2 “Naiv” (3:20)は、本作品では、ちょっと趣向が違って、打ち込みリズムに、ホーン風なシンセやエレピの演奏と絡んで、DorauのVoを聴くことができます。 ★B3 “Vielleicht” (1:05)も、エスプリの効いたラテンっぽい小曲です。Dorauは、タイトルをただただ反復して歌っています。 ★B4 “Hey Tonight” (2:22)も、打ち込みSynth-Bのリズム隊にGと言う簡素なバックで、可愛らしくDorauが歌っています。間奏のシンセソロも良き。 ★B5 “Fallen” (1:31)は、結構、細かい打ち込みを主体としたリズム隊とシンセをバックにDorauらしくしっかりと歌っています。 ★B6 “Instant Magic” (1:24)では、大胆なシンセと生ドラムをバックにDorauがタイトルを反復して歌っています。なお、シンセ度も高い曲です。 ★B7 “Schwierigkeiten” (2:41)も、シンセ度高い曲で、バックは打ち込みで、特にキックが効いています。コーラスワークが良いのと、後半のアコギもグーです! ★B8 “Was Immer Du Auch Vorhast” (2:22)は、日曜の朝のような穏やかな曲で、Gとピアノがバックの主体なんですが、Drsやコーラスも入ってきて、エンドロールとして良い感じです、 本作品は、今までと違って、割とアコースティックな要素が多いのと、短い曲が多いのですが、日本の「シティポップ(昔のニューミュージックですね)」のような軽妙で毒の無いポップソングが主体を占めています。まぁ、シティポップは言い過ぎかもしれませんが、とにかく、軽めで、肩の力を抜いた感じが、初めて聴いた時の第一印象です。まぁ、Andreas Dorauももういい歳のおじさんになったと言うことでしようか。また、歌詞に関しては、タイトルを呟くように繰り返すのも特徴ですね(彼って作詞は苦手なのかな?)。それでいて、一発で、Dorauと分かる「歌心」が、彼の持ち味でしょう。そんなDorauの歌も聴いてみませんか? それから、曲は短いものが多いのですが、アレンジは凝っていて、そんなことを考えさせずに、すんなりと聴かせてくれるのも、DorauのDorauたる所以でしょう! B2 “Naiv” (3:20) https://youtu.be/E6hh15I9M3Q?si=ZtzOIbUdOzsax5PP [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mpecD3C1IV6F2E8h2NTo3QTmPFsxAqQKk&si=iT5pBLTpbDSKVbna #AndreasDorau #DasWesentliche #TapeteRecords #SoloAlbum #HeavyGauge #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #PopMusic #CityPop #AcousticGuitar #Synthesizers #Choir #Drums
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Synth Pop Tapete Records €20.00Dr K2
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Andreas Dorau “Ärger Mit Der Unsterblichkeit”
またまた、Andreas Dorauで申し訳ない! 今回は、 Dorauとしての全経歴中4作目のアルバムになります。しかしながら、今回のDorauは、どうもミュンヘンのクラブで知ったらしいアシッド・ハウスに着想を得ての作品らしく、全編、サンプラーを用いた曲で、今までの打ち込みシンセ中心の彼の音楽とはかなり違っています。一言で言えば、Dorau流クラブ・ミュージックですね。確かに、VoはDorauなのですが、バックの演奏は、完全にサンプラーを多用しています。なお、私の購入したのは、再発盤ですので、B6-B7の2曲はボーナストラック(オリジナルではA1-B5が収録)となっており、A面6曲/B面7曲が収録されています。それでは、各曲を紹介していきましょう。 ★A1 “Warten” (3:44)は、タイトな打ち込みリズム隊と四重奏のような弦楽器とピアノが組合せに乗って、Dorauが朗々と歌う曲です。 ★A2 “Es Dreht Sich Die Welt” (4:16)も、やはりタイトなリズム隊とSE的シンセに乗って、Dorauも歌っていますが、テンポがヒップホップ的で、Gも入っています。 ★A3 “Geträumt Von Dir” (4:18)は、リュートの流れるようなイントロと、女性コーラス等の色んな音のサンプリングから成る曲で、Dorauの語り口Voもありますが、今までとは違い、ダークな雰囲気です。勿論、リズムはあります。 ★A4 “Einsam” (4:59)では、群衆の騒ぎのような音とブレイク・ダンス曲調の打ち込みリズム隊に合わせて、Dorauが軽妙に歌っています。コーラスとの掛け合いもグー! ★A5 “Die Trottellumme” (3:19)は、スパイ映画の表題曲のようなシンセで始まり、やや跳ねるようなリズムの曲で、多分、サンプリングしたオルガン等の音で作っているのではないでしょうか。中々に怪しい感満載です。 ★A6 “Stoned Faces Don't Lie” (5:17)も、重めのリズム隊(B-Synthはやや抑え気味)に、Dorauの歌とサンプリングした声を上手く組合せています。サビの歌(表題の英詞)もサンプリングした声では? ★B1 “Die Schande Kommt” (3:36)では、軽めの打ち込みDrsと奥で流れるシンセ音及びサンプリングされた電子音に合わせて、Dorauが歌っています。 ★B2 “Tiere Im Regen” (2:59)では、民族音楽的な打楽器のリズムに合わせて、笛の音のようなメロディとオペラのテノールのサンプリングが乗り、そこにDorauのVoが入ります。 ★B3 “Menschenschicksale” (3:19)は、タイトなリズム隊とサンプリングされた音から成るダンス・チューンで、DorauのVoも含めて、ノリが良いです。 ★B4 “Das Ist Das Wirkliche Leben” (4:12)は、ゴムの口琴のようなイントロから始まるダンサブルな曲で、心待ちDorauのVoもラップ調で、シンセのリフも軽妙かつサンプリングされた音ですね。 ★B5 “Der Wasserfloh” (3:06)は、ややスローな電子バラードな曲で、単調なリズムに、語り口VoとSE的なシンセとピアノが乗ります。 ★B6 “Die Schande Kommt (Dub-Version)” (3:40)は、タイトル通り、B1のダブ曲なんですが、多少のスネアのディレイ掛けやリバーブ処理されたVoは聴取できますが、大きく崩している所は無いです。 ★B7 “Stoned Faces Don't Lie (Gitarrenversion)” (3:35)は、A6のギターヴァージョンなんですが、ドライなブレイクビーツに、Synth-Bとサンプリング音とDorauのVoと言う組合せは変わらず、Gは然程入っていないと思われますが、どうでしょう? と言う訳で、この作品をもって、Dorauは、ATA TAKを離れますが、そのくらい、Dorauの作品としては異質な感じを受けます。つまり、ヒップホップ・カルチャーの要素をかなり色濃く受容していますね。私は、そこら辺はちょっと疎いのですが、とにかく、全編、リズム隊の構成やテンポ等がダンス・ミュージック的であり、それにも増して、サンプリングがかなり使われているので、Voを抜いたら、「これ、ヒップホップでしょ?」と思う位、曲調が変わっています。しかしながら、先述のように、Dorauが耳にしたアシッド・ハウスをここまで、忠実に再現し、同時に、自分の曲として取り入れてしまうのは、やはり彼の音楽的才能なのでしよう!この作品の後の”Neu!”も同様の路線なので、ここら辺はDorauファンとしては押さえておきたい作品ですね! https://youtu.be/VhIQHZLCP-8?si=ex_75ChVL_YL-f_z [full album] https://youtube.com/playlist?list=PL22Aa1wSmDcXKhIhN-nP3lhfEV3uikr6D&si=sY1S88KFK_G5fmQS #AndreasDorau #ÄrgerMitDerUnsterblichkeit #BureauB #2012年 #Reissue #Remastering #HeavyGauge #ATATAK #EFA #1992年 #SoloAlbum #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #HipHop #Electro #Sampling #AcidHouse #Sampler
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Synth Pop Bureau B (ATA TAK / EFA) €20.00Dr K2
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Andreas Dorau Und Die Bruderschaft Der Kleinen Sorgen “Demokratie“
今回は、またまた、Andreas Dorau (アンドレアス・ドーラウ)関係を!Discogsで調べてて載ってないなあと思っていたら、後に続く、Die Bruderschaft Der Kleinen Sorgen (ディー・ブルーダァシャフト・デア・クライネン・ザールゲン; 「ちょっとした悩みのある親友」の意)も含めてのアーティスト名だったので、漸く分かりましたが、この名義では、本アルバムと表題曲のシングル1枚しか出ていません。なので、実質、Dorauのソロと考えても宜しいかと思います。それで、この作品の一つ前の作品は、所謂Die Andreas & Die Marinas名義で、かつメジャーから出ていたのですが、その時に、音楽産業のやり方にほとほと嫌気が刺して、一時期、映像作家への道も目指していました。しかしながら、再び、音楽の世界へ戻ってきて、暫く振りに制作されたのが、本作品となります。「クラウトロック大全」によると、英国で活動していた時に、Flying LizardsのDavid Cunninghamと知り合い、彼を通じて、Michael Nymanをアレンジャーに起用して制作されたとのことです。しかも、古巣のATA TAKからのリリースとなります。そして、本作品の参加者は、Andreas Dorau (Vo, Synth, Kbd, etc)とそれ以外に、Christian Kellersmann (Sax), Christoph Bunke (B), Moritz von Oswald (Drs)がいます。それで、A1-B7はオリジナルに収録されていますが、B8-B9は、再発盤でのボーナストラックとなっています(A面8曲/B面9曲収録)。それでは、各曲について紹介していきましょう。 ★A1 “Immer Nur Warten” (2:06)は、可愛らしいKbdの響きとワルツのリズムに乗って、地声で歌うDorauが何とも瑞々しい。最後はマーチ調になってフェイドアウトします。 ★A2 “Sei Steif!” (2:50)は、タイトなリズムのノリの良い曲なんですが、ワザと不協和音を使ったりするところがニクいですね。弦楽四重奏やシンセの間奏も中々のアレンジです。 ★A3 “Demokratie” (4:02)は、表題曲で結構ロック調ですが、何とも可愛らしい声で「これが民主主義だ!」なんてサビで歌うのは変な違和感があって、聴いている方がくすぐったいです。声での管楽器のマネもおちょくってるみたいで、如何にもATA TAKっぽい。 ★A4 “Sucht Eure Tat” (2:58)で、もろバロック調の室内楽をバックに、掠れ声で歌うDorauは、何故か悲し気で、こちらまで泣ける。何故か、戸川純を思い出します。 ★A5 “Taxi Nach Shibuya” (3:18)も、弦楽器の爪弾きのイントロからクラヴィアと打ち込みBの清らかなメロディですけど、間奏の弦楽器が入っているところが、Dorauらしいインスト曲です。 ★A6 “Blume '86” (2:35) は、再び、タイトなリズム隊とDorauのKbdワークとVoが冴える1曲になっています。、 ★A7 “Tradition” (1:47)では、弦楽器のリズムにクラリネットのサブメロディをバックに、変調Voで対抗していますが、サビではDrsも入ってきて、力強く曲が進行します。 ★A8 “Frauenfüsse” (3:01)は、軽やかなリズム隊とKbd に、爽やかにDorauに歌ってますが、聴いてるこちらが気恥ずかしくなります。「ラララッ」って歌うのも、何だかDorauっぽくて良いですね。 ★B1 “Stehst Du An Der Himmelspforte” (3:41)は、カッコ良いビートに、DorauのVoとエレピが乗るポップ・ロック調の曲で、ちょっと異色です。最後のSaxとエレピの絡みもサイコー! ★B2 “Na, Du Alte Kuh” (2:38)も、タイトで強力なリズム隊にシンセでの刻みと、やや落ち着いたDorauのVoが乗り、間奏のシンセとSaxの絡みもカッコ良い! ★B3 “Ein Liebesraum” (2:14)は、一転、Logic Systemか⁈と思いましたが、スローで落ち着いた曲ですが、変調Voで「TOKIO〜」とか歌っていて、ちょっとクスって。曲自体は素晴らしいです。 ★B4 “Ein Fall Für Dr. D” (2:49)は、指パッチンとBとエレピのイントロから、Drsと共に女性のスキャットとコーラスが瑞々しいメロディを歌いあげており、これぞ!Dorauとも言うべき曲です。 ★B5 “Immer Noch Warten” (2:45)は、勇ましいマーチのリズムに、ナヨっとしたDorauのVoが「おい、大丈夫かぁ?」とツッコミを入れそうな勇壮な曲です。 ★B6 “Willi Im Busch” (2:28)は、ちょっと悲しげなワルツの打ち込みから成るインスト曲です。暫し、休息かな?でもメロディは最高で、泣けます。 ★B7 “Ein Tropfen Geht An Land” (1:02)は、ジェット機音のイントロから始まる、女性とのデュエットの小曲です。 ★B8 “Menschenschicksale (1. Version)”では、ループ音のイントロから、柔らかい女性Voが優雅なワルツのリズムに乗って流れていきますが、Dorauは歌っていません。最後は不協和音。 ★B9 “Ein Liebesraum (Remix)”は、打ち込みのリズム隊に、ゆったりしたシンセが流れ込んできて、没入してしまい、甘い気分になります。そこに「TOKIO〜」と一回だけ入ります。 全体としては、Die Marinasを引き連れていた頃よりも、格段に大人びた曲調になっており、彼の成長/本来の音楽的指向が伺えます。それにしても、彼の曲と言うのは、多分ブラインドで聴いても、Dorauでしょ?と分かるくらい、個性的だと思います。それで、思ったんですが、日本で言うと戸川純が一番近いかなぁと。当然、男女の違いはありますが、中々、「大人」になれないけど、本人は頑張っているところの立ち位置なんかは似てると思えます。まぁ、そんなこと言うのは、私だけかもしれませんが。本作品では、バックの演奏もタイトで、しっかりしていので、また、今までの童謡調ポップ・ミュージックとは異なり、その分、音楽的にも楽しめます。多分、Michael Nymanのアレンジ力も後押ししているのだと思います。それで、解説書を読んだら、「Dorauは、Frank Zappaか?Morzartか?」と言う見出しが付いていましたが、「変だって?いや、彼はMozartだから。」と締めてありました!分かるわぁぁ❗️ https://youtu.be/8d_vx7JiBlw?si=f7YKgO5qcc6jesRp #AndreasDorau #DieBruderschaftDerKleinenSorgen #Demokratie #BureauB #2012年 #Reissue #Remastering #ATATAK #1988年 #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #SynthPop #Electro #Synthesizers #ChristianKellersmann #ChristophBunke #MoritzVonOswald #Co-Producer #FrankFenstermacher #Arranger #MichaelNyman
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Synth Pop Bureau B (ATA TAK) €20.00Dr K2
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A. K. Klosowski & Pyrolator “Home-Taping Is Killing Music”
実は、この作品、CDでは持っているのですが、どうしても、アナログで聴きたくなって買ってしまいました。そして、1990年代に西新宿の某専門店で初めて、この作品の存在を知った時は、凄くショックでした。ジャケ写とかインナーの写真を見てもらえると分かるのですが、10数台のカセット・ウォークマンを連結して、それぞれに長めのテープループを仕掛けた、完全手作りの「アナログ・サンプラー」のような装置(? 楽器?)を使って、他の楽器と一緒に演奏し、それを録音していたからです。当然、1985年頃にサンプラーと言えば、非常に高価なEmulator-1がやっと市場に登場した時期でしたので、このLo-Fiでアナログな発想の凄さにビックリした訳です。そのテープ・ループ・マシンを作製したのが、Arnd Kai Klosowski (アルンド・カイ・クロゾヴスキー)で、それと共演しているのが、Der Plan及び面白音楽の宝庫ATA TAKで有名なPyrolator (ピロレーター)ことKurt Dahlke (カルト・ダールケ)で、それぞれの志向を思い浮かべると、両者の会合は必然でした。これを使えば、サルサのトランペットとグレゴリオのコラールが出会い、鉄道のノイズとカンボジアの音楽が出会い、ゴスペルとバイエルンのヨーデルが出会うことが可能であるとのこと。いやはや、こう言う「自作楽器」を作り、また、それで「音楽」を作ろうとする柔軟な思考とそれをやり切る努力には本当に頭が下がります。 それで、A. K. Klosowskiのバイオグラフィーを簡単に書いておきます。彼は、1968年に、ハンブルクのAlbert Schweitzer中学校に通っており、そこの音楽教師がクラシックだけではなく、The Beatlesとかテープループとかも教えていたそうで、Klosowskiは、テープループを作ることに熱を上げていました。そこで思いついたのが、第一世代のPhilipsのカセット・レコーダーを使ってみることでした。そうして、1970年代末〜1980年代初頭に、ちょっとしたメモリー機能も付いたテープループマシンを作り上げます。彼自身はジャズギターもやってはいましたが、このマシンには全く合いませんでした。その後、彼は金細工職人になる修行の為にミュンヘンに移りますが、やはり、このマシンを使って音楽をやりたいと思い、ディスコでDJがブース内でやっていることに利用できないかと思い付きます。そこで、彼は8チャンネルのミキサーを用意して、友達の手を借りて、即興的に、このマシンを操作してみます。しかしながら、その「演奏」を理解してもらえる人はいませんでした。そこで、彼は中学校時代のテープループの実習を思い出し、再び、改良を加え、このマシンを完成させて、自分自身で最初の録音を行なってみます。その録音した作品を、独自主制作レーベルZickZackのボスAlfred Hilsberg (アルフレート・ヒルスバーク)に聴かせます。Alfredは、好意的な反応を示しますが、彼から「多分、君のやりたいことは、ATA TAKのPyrolatorが適任だよ」とアドバイスを受け、早速、ATA TAKに連絡を取ります。しかしながら、Pyrolatorは当時、プロデュース、レーベル運営、出版そして音楽活動等で時間が中々取れませんでした。しかしなが、Pyrolatorは、彼に録音仕方などの音楽のイロハを教えつつ、1984年/1985年に1週間で一緒に作ろうと約束してくれて、Klosowskiは自作のテープループマシンを、Pyrolatorも自分の特注のコンピューターBrontologik (Korg MS-20やYAMAHA DX-7を動かす為のシーケンサー・システムの一種)での演奏を録音しています。2人は、面白いサウンド・コラージュが出来たと満足し、更に、曲になり得る部分をトリミングして出来たのが、本作品とのことです。この作品は、2人の志向が似ていたのとも幸いしていたようです。つまり、2人は、サウンド・コラージュやオブスキュア・ミュージック、新しいテクノロジーに興味があったようです。それで、出来上がった作品は、当初、ZickZackから出そうと思っていたそうですが、Alfredに、ATA TAKの方がカラーが合っていると言われたことで、ATA TAKからリリースされた訳です。現在、Klosowskiは、ハンブルクで金細工職人として働いており、勿論、マシンの方もまだ持っているそうです。 上記の流れの中で出来た作品ですが、最初は、Klosowskiの単名で、Pyrolatorはプロデュースと言うことも考えられていましたが、最終的には、2人の共作と言うことになりました。私の購入した作品は、再発盤なので、A1-B2が1985年作のオリジナルに収録されており、B3-B7は、今回の再発盤でのボーナス・トラックとなっています(A面8曲/B面6曲)。それでは、各曲を紹介していきましょう。 ★A1 “Overtüre” (0:36)は、仰々しいシンセとベースシンセから成る短い前奏曲です。 ★A2 “Österreich” (3:30)は、複雑な打ち込みドラムマシンとオーケストラのテープループに、カットインで入ってくるテープ音やシンセから成る曲ですが、不思議なメロディ感もあって、差し詰めちょっとした「室内楽」ですね。 ★A3 “Tschak” (2:44)では、アラビックなイントロから、ジャジーな曲調になり、時に他の雑多な音要素も混在しており、音的には複雑ですが、難解ではありません。 ★A4 “Hammond” (3:41)は、硬質なリムショットから、アップテンポの曲になりますが、変調した子供声らしき音やシンセ音などの色々な音が次々に出てくる楽しい曲です。ひっそりとシンセのメロディも流れています。 ★A5 “Agana Wudiov” (3:37)は、如何にもな人声のテープループから始まり、複雑な打ち込みリズム隊に合わせて、ループ音(ゴージャスなブラス音も)やシンセ音がちょこまかと絡み合う曲です。 ★A6 “What Made You So No Good” (3:45)は、Bのソロから始まり、囁き合う男/女の声のテープループ音やシンセのリフと可愛らしいリズムとが淡々と綴られる曲で、一番落ち着いた雰囲気です。 ★A7 “Heimat” (2:41)では、変調した人声のループ音とマシンリズムが変な調子で絡み合う曲で、硬質なシーケンスやシンセ・ソロも聴取できます。教会の鐘音で終わります。 ★A8 “Dahomey” (5:07)では、爆発音らしき音の後に、タブラらしき打楽器のループと時折のドラムマシン音で曲が進み、段々と中近東風の歌(多分テープループ)の断片やいびきの音が入ってきます。中々ユーモラスなセンスです。 ★B1 “You Know I Need” (3:18)は、ショット風のシーケンスと打ち込みドラムに、エコーが掛かった人声のテープ音やシンセのリフ等が巻き垂らされつつ入ってくるゆったりとした曲です。 ★B2 “ZV9” (3:52)は、いきなりロックGで始まりますが、それのループに同期した打ち込みリズム隊が入ってきて、擬似ロックな曲に仕上がっています。「Gソロ」もあり、中々カッコ良い! ★B3 “Hi Fidelity” (3:28)では、ハウス風のシンセ音ループから始まり、四つ打ちキックと同期して進みますが、当時、ハウス・ミュージックは、それ程世間に浸透していなかったと思われますので、その先見性は素晴らしいです。 ★B4 “China First On Mars” (5:52)は、ロケット発射のカウントから始まる曲で、不明瞭なマシンリズムにシンセのメロディが延々と続く中、ディレイを掛けた人声や不明な音等が次々に投下されていきます。僅かに中華風の女性の歌唱も含みます。 ★B5 “Österreich (Roughmix)” (3:43)では、バンブーリズムと人声のテープ音で始まり、中々複雑な打ち込みリズム隊(時に逆回転も)に、アコーディオンの音の残骸も時に聴取されます。 ★B6 “Dahomey (Roughmix)” (6:19)は、不鮮明なリズム音のテープループにタブラの音等が加わり、中近東風歌声のテープ音の断片も撒き散らされる曲で、シンセ音はA8ほど入っていません。マントラのような曲です。 久しぶりに聴いてみましたが、当時、聴き流しながら聴いていた時と異なり、じっくり聴いてみると、そこここにテープループ音が上手くハマっており、仕上がりを聴くと、流石Pyrolatorと言うべきミックスになっていますね。まだ、ボーナストラックでの聴き比べも面白かったです。多分、Klosowskiだけではここまでの音楽性は確立出来なかったのでは?と思います。逆に言うと、全体的にはPyrolator色も強いのですが、Klosowskiのテープループマシンによって、異化されており、そのバランスは絶妙ですね。今や、サンプラーなんて素人でも手に出来る機材ですが、この時代にこう言うアナログ・サンプリングによる音楽が世に出た意味は大きいですね! https://youtu.be/IihmgkcUboE?si=Xwig_-XSgn5RTeNn [full album] https://youtube.com/playlistlist=PL22Aa1wSmDcUFSSA7H5YIt3KXl-i2cABf&si=_Btq-jQltzPlSgIc #A.K.Klosowski #Pyrolator #Home-TapingIsKillingMusic #BureauB #2013年 #Reissue #Remastering #ATATAK #1985年 #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #HandMadeCassetteSampler #TapeLoopMachine #Brontologik #Experimental #Electro #SoundCollage #ObscureMusic #TechnicalInnovation #ZickZack #AlfredHilsberg
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Experimental Pop Bureau B (ATA TAK) €20.00Dr K2
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Der Moderne Man “80 Tage Aus See”
漸く、入手しました。Der Moderne Manのファースト・アルバム”80 Tage Auf See (80ターゲ・アウス・ゼェー)”です。が、再発盤ということで、比較的入手や代金はそんなに困る程ではありませんでした。Der Moderne Manのバイオグラフィーは、前回までに書いてありますので、そちらをご参照下さい。Der Moderne Man (デァ・モダーネ・マン)は、1979に独ハノーバーで結成されていますが、本作品では、若干メンバーの入れ替えがあったようで、参加者は、Ziggy XY (Vo, Synth; 本名Michael Jarick; ミヒャエル・ヤリック), E. K. T. (G, Back-Vo; 本名Eckart Kurtz; エッカート・クルツ), Mattus (B, Back-Vo; 本名Martin Simons; マルチン・ジモンズ), Claudi H. (Drs, Piano, Kravierteile; 本名Claudius Hempelmann; クラウディウス・ハンペルマン)の4人です。バンドとしては、1984年に解散しています。担当楽器からも予想できるように、シンセとかが隠し味になったニューウェーブ調〜パンク調の楽曲が並びます。内容はA面8曲/B面7曲が収録。それでは、各曲についてご紹介しますね。 ★A1 “Der Unbekannte” (2:12)は、イントロが特徴的ですが、何と無く投げやりなVoとベースラインが特徴的もパンキッシュな曲です。 ★A2 “Telefonlied” (2:04)は、シンコペーションのドラムで始まる曲で、語り調のVoが乗る曲ですが、途中で歌う部分もあります。 ★A3 “Dreizehn” (4:04) は、ややレゲエ調のリズムを用いた曲ですが、Voは怒声〜呟きまで使いこなして、サビになると通常のロック調になり、途中でブレイクが入り、そこにSE的シンセが加わります。 ★A4 “Haarschnitt” (3:17)は、直線的Bのリフに、SE的シンセとピアノが絡むドラムレスな曲で、そこにVoが入ってきますが、ピアノのアレンジが何か変です。 ★A5 “Dauerlauf” (1:39)は、突進するようなストレートなパンクな曲で、投げやりでヘナヘナなVoは相変わらずですが、コーラスは良いですね。 ★A6 “Licht Und Dunkelheit” (3:45)は、やや凝ったイントロで始まり、反復するようなリフ回しの後、サビはコーラスワークとバタバタなDrsで乗り切る曲で、間奏にはピアノソロが!でも合っていないような!? ★A7 “Mitternacht” (1:48)は、Wireの”Pink Flag”に入っていそうな反復する曲で、地味ながら興味深いです。また間奏には変なシンセが入ります。 ★A8 “Gib Mir Den Tod” (4:08)は、珍しく歪んだGを使った曲で、Bが活躍しており、コーラスがグー! カズーのようなシンセ音が面白いです。 ★B1 “Farblich Gesehen” (3:13)は、やたら慌ただしいアップテンポの曲で、Drsはハードコアと言うよりもカントリー&ウエスタン調に近いです。ダレたかなと思ったら、最後にVoが「黒!」って叫んで終わります。 ★B2 “Heute” (3:03)は、ドラマチックな曲調ですが、如何せんシンセの音がショボ過ぎるインスト曲です。 ★B3 “Vergesslichkeit” (2:56)も、スパイ映画のサントラのようですが、ちゃんとパンキッシュな曲になります。サビのコーラスは良いですねー。 ★B4 “Flucht” (5:52)では、シンバルが響き渡り、Gの爪弾かれるイントロから、単調なリフでのパンクな曲へと移ります。間奏ではBソロも聴取できますが、最後は息切れで終わります。 ★B5 “Unmodern” (1:48)でも、歪んだGがリフを刻むアップテンポな曲ですが、Voはタイトルを何度も叫んでいます。 ★B6 “30 Grad - / 30 Grad +” (3:35)は、中々カッコ良いイントロで始まる曲で、Voにもやる気が出てきたようです(おいおい、やっとかよ!)。 ★B7 “Disco-Lied” (3:51)では、直立したリズムに、正気を帯びたVoが歌い上げるノリの良い曲ですのら最後はちょっとだけグチャグチャに! しかしながら、Der Moderne Manってこんなんだっけと、そのショボさにビックリしました。確か、VoのZiggy XYことMichael Jarickは、あのKosmonauntentraumに在籍していたのだと思いましたが、如何にもぶっきらぼうに歌っており、録音の性か、どうも説得力に欠ける感じがします。逆に、それが面白いとも思えるのかも知れませんが。なお、彼はこのアルバムの後に脱退しています。どうにも彼にとっては、不完全燃焼だったのではないでしようか?でもここら辺の脱力が下手ウマで面白いとも言えますが、皆さんどうでしょう?私はもう一度、セカンドとかを聴き直してみたくなりました! https://youtu.be/02nuhhwO_W0?si=9xW2mPX6f0lhB3Ip [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLpKx6HYPySaQZOqRdW_TnLo-4dyb2jQIR&si=wokcCV4d0sfEm9w9 #DerModerneMan #80TageAufSee #FirstAlbum #2019年 #RockersRecords #Reissue #1980年 #NoFunRecords #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Punk #NewWave #Synthesizers #ZiggyXY #E.K.T. #Mattus #ClaudiH.
Neue Deutsche Welle (German New Wave) Rockers Records (No Fun Records) €15.00Dr K2