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Andreas Dorau “Das Wesentliche”
またまた、Andreas Dorauのアルバムです!2019年の新録アルバムです(最新作と思っていたら、2024年にアルバム”Im Gebüsch“が出てました)。彼のバイオグラフィーについては以前にも書いてありますので、そちらをご参照下さい。本作品は、Das Wesentliche (ダス・ヴェゼントリッヒェ「核心」)と題されていますが、その真意は?と勘繰ってしまいます。まぁ、彼のことですので、Dorauとしての「核心」に立ち返った作品なのでは?と予想しています。なお、本来なら特別版の2枚組を買うところを、通常版の1枚だけのモノを買ってしまいました。ちょっと残念ですが、堪忍して下さい。内容的には、A面7曲/B面8曲が収録されています。殆どの曲は、DorauがVo/Synth/Gで、今回、プロデュースもやっているマルチ奏者Zwanie Jonson (ツヴァニー・ジョンソン)やギタリストのGunther Buskies (ギュンター・バスキーズ)、Kbd奏者Carsten Erobique Meyer (カーステン・エロビーク・メイヤー)及びEric Falconnier (エリック・ファルコニアー)がバックをしっかりと固めています。それでは、各曲について、紹介していきましょう。 ★A1 “Nein!” (1:59)は、Dorauしては珍しく、アコギとピアノを使った軽妙なポップ・ミュージックの小曲で、肩の力も抜けてます。新境地ですね。 ★A2 “Unsichtbare Tänzer” (3:34)は、唸るBとタイトなDrsに合わせて、軽めのシンセやSE的電子音に、優しいDorauのVoが聴ける曲で、聴きやすいです。 ★A3 “Identität” (2:07)は、跳ねるようなハッピーなリズムと手拍子に、Dorauが「可愛らしく」歌ってます。ピアノも良い具合ですねぇ。 ★A4 “Menschen Tragen Graue Hüte” (1:50)も、ハッピーソングで、やはり跳ねるようなリズムと何と!Gも入ってきます。小曲なんですが、元気が出ます! ★A5 “Wieso” (2:00)では、女性コーラスと軽快なバックに、Dorauが力まず、自然体で歌ってます。 ★A6 “Dinge Können Sich Ändern” (1:15)は、優しいシンセの音とポップなバックに、Dorauが柔らかく歌っていて、何だかほっこりします。 ★A7 “Gebrauchtes Herz” (2:52)も、アコギの弾き語りで始まる軽いポップソングです。最早、シティポップ? Dorauも自然体で歌っています。 ★B1 “Du Bist Eine Insel” (2:58)は、大歓声(ライブでは無くSEとして使っている)で始まる極めて王道ポップな曲で、シンセ以外にもアコギとかも使っていますね。間奏のシンセソロもグー! ★B2 “Naiv” (3:20)は、本作品では、ちょっと趣向が違って、打ち込みリズムに、ホーン風なシンセやエレピの演奏と絡んで、DorauのVoを聴くことができます。 ★B3 “Vielleicht” (1:05)も、エスプリの効いたラテンっぽい小曲です。Dorauは、タイトルをただただ反復して歌っています。 ★B4 “Hey Tonight” (2:22)も、打ち込みSynth-Bのリズム隊にGと言う簡素なバックで、可愛らしくDorauが歌っています。間奏のシンセソロも良き。 ★B5 “Fallen” (1:31)は、結構、細かい打ち込みを主体としたリズム隊とシンセをバックにDorauらしくしっかりと歌っています。 ★B6 “Instant Magic” (1:24)では、大胆なシンセと生ドラムをバックにDorauがタイトルを反復して歌っています。なお、シンセ度も高い曲です。 ★B7 “Schwierigkeiten” (2:41)も、シンセ度高い曲で、バックは打ち込みで、特にキックが効いています。コーラスワークが良いのと、後半のアコギもグーです! ★B8 “Was Immer Du Auch Vorhast” (2:22)は、日曜の朝のような穏やかな曲で、Gとピアノがバックの主体なんですが、Drsやコーラスも入ってきて、エンドロールとして良い感じです、 本作品は、今までと違って、割とアコースティックな要素が多いのと、短い曲が多いのですが、日本の「シティポップ(昔のニューミュージックですね)」のような軽妙で毒の無いポップソングが主体を占めています。まぁ、シティポップは言い過ぎかもしれませんが、とにかく、軽めで、肩の力を抜いた感じが、初めて聴いた時の第一印象です。まぁ、Andreas Dorauももういい歳のおじさんになったと言うことでしようか。また、歌詞に関しては、タイトルを呟くように繰り返すのも特徴ですね(彼って作詞は苦手なのかな?)。それでいて、一発で、Dorauと分かる「歌心」が、彼の持ち味でしょう。そんなDorauの歌も聴いてみませんか? それから、曲は短いものが多いのですが、アレンジは凝っていて、そんなことを考えさせずに、すんなりと聴かせてくれるのも、DorauのDorauたる所以でしょう! B2 “Naiv” (3:20) https://youtu.be/E6hh15I9M3Q?si=ZtzOIbUdOzsax5PP [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mpecD3C1IV6F2E8h2NTo3QTmPFsxAqQKk&si=iT5pBLTpbDSKVbna #AndreasDorau #DasWesentliche #TapeteRecords #SoloAlbum #HeavyGauge #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #PopMusic #CityPop #AcousticGuitar #Synthesizers #Choir #Drums
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Andreas Dorau “Ärger Mit Der Unsterblichkeit”
またまた、Andreas Dorauで申し訳ない! 今回は、 Dorauとしての全経歴中4作目のアルバムになります。しかしながら、今回のDorauは、どうもミュンヘンのクラブで知ったらしいアシッド・ハウスに着想を得ての作品らしく、全編、サンプラーを用いた曲で、今までの打ち込みシンセ中心の彼の音楽とはかなり違っています。一言で言えば、Dorau流クラブ・ミュージックですね。確かに、VoはDorauなのですが、バックの演奏は、完全にサンプラーを多用しています。なお、私の購入したのは、再発盤ですので、B6-B7の2曲はボーナストラック(オリジナルではA1-B5が収録)となっており、A面6曲/B面7曲が収録されています。それでは、各曲を紹介していきましょう。 ★A1 “Warten” (3:44)は、タイトな打ち込みリズム隊と四重奏のような弦楽器とピアノが組合せに乗って、Dorauが朗々と歌う曲です。 ★A2 “Es Dreht Sich Die Welt” (4:16)も、やはりタイトなリズム隊とSE的シンセに乗って、Dorauも歌っていますが、テンポがヒップホップ的で、Gも入っています。 ★A3 “Geträumt Von Dir” (4:18)は、リュートの流れるようなイントロと、女性コーラス等の色んな音のサンプリングから成る曲で、Dorauの語り口Voもありますが、今までとは違い、ダークな雰囲気です。勿論、リズムはあります。 ★A4 “Einsam” (4:59)では、群衆の騒ぎのような音とブレイク・ダンス曲調の打ち込みリズム隊に合わせて、Dorauが軽妙に歌っています。コーラスとの掛け合いもグー! ★A5 “Die Trottellumme” (3:19)は、スパイ映画の表題曲のようなシンセで始まり、やや跳ねるようなリズムの曲で、多分、サンプリングしたオルガン等の音で作っているのではないでしょうか。中々に怪しい感満載です。 ★A6 “Stoned Faces Don't Lie” (5:17)も、重めのリズム隊(B-Synthはやや抑え気味)に、Dorauの歌とサンプリングした声を上手く組合せています。サビの歌(表題の英詞)もサンプリングした声では? ★B1 “Die Schande Kommt” (3:36)では、軽めの打ち込みDrsと奥で流れるシンセ音及びサンプリングされた電子音に合わせて、Dorauが歌っています。 ★B2 “Tiere Im Regen” (2:59)では、民族音楽的な打楽器のリズムに合わせて、笛の音のようなメロディとオペラのテノールのサンプリングが乗り、そこにDorauのVoが入ります。 ★B3 “Menschenschicksale” (3:19)は、タイトなリズム隊とサンプリングされた音から成るダンス・チューンで、DorauのVoも含めて、ノリが良いです。 ★B4 “Das Ist Das Wirkliche Leben” (4:12)は、ゴムの口琴のようなイントロから始まるダンサブルな曲で、心待ちDorauのVoもラップ調で、シンセのリフも軽妙かつサンプリングされた音ですね。 ★B5 “Der Wasserfloh” (3:06)は、ややスローな電子バラードな曲で、単調なリズムに、語り口VoとSE的なシンセとピアノが乗ります。 ★B6 “Die Schande Kommt (Dub-Version)” (3:40)は、タイトル通り、B1のダブ曲なんですが、多少のスネアのディレイ掛けやリバーブ処理されたVoは聴取できますが、大きく崩している所は無いです。 ★B7 “Stoned Faces Don't Lie (Gitarrenversion)” (3:35)は、A6のギターヴァージョンなんですが、ドライなブレイクビーツに、Synth-Bとサンプリング音とDorauのVoと言う組合せは変わらず、Gは然程入っていないと思われますが、どうでしょう? と言う訳で、この作品をもって、Dorauは、ATA TAKを離れますが、そのくらい、Dorauの作品としては異質な感じを受けます。つまり、ヒップホップ・カルチャーの要素をかなり色濃く受容していますね。私は、そこら辺はちょっと疎いのですが、とにかく、全編、リズム隊の構成やテンポ等がダンス・ミュージック的であり、それにも増して、サンプリングがかなり使われているので、Voを抜いたら、「これ、ヒップホップでしょ?」と思う位、曲調が変わっています。しかしながら、先述のように、Dorauが耳にしたアシッド・ハウスをここまで、忠実に再現し、同時に、自分の曲として取り入れてしまうのは、やはり彼の音楽的才能なのでしよう!この作品の後の”Neu!”も同様の路線なので、ここら辺はDorauファンとしては押さえておきたい作品ですね! https://youtu.be/VhIQHZLCP-8?si=ex_75ChVL_YL-f_z [full album] https://youtube.com/playlist?list=PL22Aa1wSmDcXKhIhN-nP3lhfEV3uikr6D&si=sY1S88KFK_G5fmQS #AndreasDorau #ÄrgerMitDerUnsterblichkeit #BureauB #2012年 #Reissue #Remastering #HeavyGauge #ATATAK #EFA #1992年 #SoloAlbum #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #HipHop #Electro #Sampling #AcidHouse #Sampler
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Synth Pop Bureau B (ATA TAK / EFA) €20.00Dr K2
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Andreas Dorau Und Die Bruderschaft Der Kleinen Sorgen “Demokratie“
今回は、またまた、Andreas Dorau (アンドレアス・ドーラウ)関係を!Discogsで調べてて載ってないなあと思っていたら、後に続く、Die Bruderschaft Der Kleinen Sorgen (ディー・ブルーダァシャフト・デア・クライネン・ザールゲン; 「ちょっとした悩みのある親友」の意)も含めてのアーティスト名だったので、漸く分かりましたが、この名義では、本アルバムと表題曲のシングル1枚しか出ていません。なので、実質、Dorauのソロと考えても宜しいかと思います。それで、この作品の一つ前の作品は、所謂Die Andreas & Die Marinas名義で、かつメジャーから出ていたのですが、その時に、音楽産業のやり方にほとほと嫌気が刺して、一時期、映像作家への道も目指していました。しかしながら、再び、音楽の世界へ戻ってきて、暫く振りに制作されたのが、本作品となります。「クラウトロック大全」によると、英国で活動していた時に、Flying LizardsのDavid Cunninghamと知り合い、彼を通じて、Michael Nymanをアレンジャーに起用して制作されたとのことです。しかも、古巣のATA TAKからのリリースとなります。そして、本作品の参加者は、Andreas Dorau (Vo, Synth, Kbd, etc)とそれ以外に、Christian Kellersmann (Sax), Christoph Bunke (B), Moritz von Oswald (Drs)がいます。それで、A1-B7はオリジナルに収録されていますが、B8-B9は、再発盤でのボーナストラックとなっています(A面8曲/B面9曲収録)。それでは、各曲について紹介していきましょう。 ★A1 “Immer Nur Warten” (2:06)は、可愛らしいKbdの響きとワルツのリズムに乗って、地声で歌うDorauが何とも瑞々しい。最後はマーチ調になってフェイドアウトします。 ★A2 “Sei Steif!” (2:50)は、タイトなリズムのノリの良い曲なんですが、ワザと不協和音を使ったりするところがニクいですね。弦楽四重奏やシンセの間奏も中々のアレンジです。 ★A3 “Demokratie” (4:02)は、表題曲で結構ロック調ですが、何とも可愛らしい声で「これが民主主義だ!」なんてサビで歌うのは変な違和感があって、聴いている方がくすぐったいです。声での管楽器のマネもおちょくってるみたいで、如何にもATA TAKっぽい。 ★A4 “Sucht Eure Tat” (2:58)で、もろバロック調の室内楽をバックに、掠れ声で歌うDorauは、何故か悲し気で、こちらまで泣ける。何故か、戸川純を思い出します。 ★A5 “Taxi Nach Shibuya” (3:18)も、弦楽器の爪弾きのイントロからクラヴィアと打ち込みBの清らかなメロディですけど、間奏の弦楽器が入っているところが、Dorauらしいインスト曲です。 ★A6 “Blume '86” (2:35) は、再び、タイトなリズム隊とDorauのKbdワークとVoが冴える1曲になっています。、 ★A7 “Tradition” (1:47)では、弦楽器のリズムにクラリネットのサブメロディをバックに、変調Voで対抗していますが、サビではDrsも入ってきて、力強く曲が進行します。 ★A8 “Frauenfüsse” (3:01)は、軽やかなリズム隊とKbd に、爽やかにDorauに歌ってますが、聴いてるこちらが気恥ずかしくなります。「ラララッ」って歌うのも、何だかDorauっぽくて良いですね。 ★B1 “Stehst Du An Der Himmelspforte” (3:41)は、カッコ良いビートに、DorauのVoとエレピが乗るポップ・ロック調の曲で、ちょっと異色です。最後のSaxとエレピの絡みもサイコー! ★B2 “Na, Du Alte Kuh” (2:38)も、タイトで強力なリズム隊にシンセでの刻みと、やや落ち着いたDorauのVoが乗り、間奏のシンセとSaxの絡みもカッコ良い! ★B3 “Ein Liebesraum” (2:14)は、一転、Logic Systemか⁈と思いましたが、スローで落ち着いた曲ですが、変調Voで「TOKIO〜」とか歌っていて、ちょっとクスって。曲自体は素晴らしいです。 ★B4 “Ein Fall Für Dr. D” (2:49)は、指パッチンとBとエレピのイントロから、Drsと共に女性のスキャットとコーラスが瑞々しいメロディを歌いあげており、これぞ!Dorauとも言うべき曲です。 ★B5 “Immer Noch Warten” (2:45)は、勇ましいマーチのリズムに、ナヨっとしたDorauのVoが「おい、大丈夫かぁ?」とツッコミを入れそうな勇壮な曲です。 ★B6 “Willi Im Busch” (2:28)は、ちょっと悲しげなワルツの打ち込みから成るインスト曲です。暫し、休息かな?でもメロディは最高で、泣けます。 ★B7 “Ein Tropfen Geht An Land” (1:02)は、ジェット機音のイントロから始まる、女性とのデュエットの小曲です。 ★B8 “Menschenschicksale (1. Version)”では、ループ音のイントロから、柔らかい女性Voが優雅なワルツのリズムに乗って流れていきますが、Dorauは歌っていません。最後は不協和音。 ★B9 “Ein Liebesraum (Remix)”は、打ち込みのリズム隊に、ゆったりしたシンセが流れ込んできて、没入してしまい、甘い気分になります。そこに「TOKIO〜」と一回だけ入ります。 全体としては、Die Marinasを引き連れていた頃よりも、格段に大人びた曲調になっており、彼の成長/本来の音楽的指向が伺えます。それにしても、彼の曲と言うのは、多分ブラインドで聴いても、Dorauでしょ?と分かるくらい、個性的だと思います。それで、思ったんですが、日本で言うと戸川純が一番近いかなぁと。当然、男女の違いはありますが、中々、「大人」になれないけど、本人は頑張っているところの立ち位置なんかは似てると思えます。まぁ、そんなこと言うのは、私だけかもしれませんが。本作品では、バックの演奏もタイトで、しっかりしていので、また、今までの童謡調ポップ・ミュージックとは異なり、その分、音楽的にも楽しめます。多分、Michael Nymanのアレンジ力も後押ししているのだと思います。それで、解説書を読んだら、「Dorauは、Frank Zappaか?Morzartか?」と言う見出しが付いていましたが、「変だって?いや、彼はMozartだから。」と締めてありました!分かるわぁぁ❗️ https://youtu.be/8d_vx7JiBlw?si=f7YKgO5qcc6jesRp #AndreasDorau #DieBruderschaftDerKleinenSorgen #Demokratie #BureauB #2012年 #Reissue #Remastering #ATATAK #1988年 #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #SynthPop #Electro #Synthesizers #ChristianKellersmann #ChristophBunke #MoritzVonOswald #Co-Producer #FrankFenstermacher #Arranger #MichaelNyman
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Butzmann & Kapielski “War Pur War”
やっと入手できました。早熟の天才Frieder Butzmann (ブリーダー・ブッツマン)と独のマルチ・アーティストThomas Kapielski(トーマス・カピールスキ)のコラボ・アルバム”War Pur War (ヴァル・プール・ヴァル)”です。Frieder Butzmannについては、以前にバイオグラフィーを書いてありますので、今回のコラボレーターThomas Kapielskiについて、ちょっと調べてみました。Kapielskiは、1951年9月生まれで、BerlinのCharlottenburg地区生まれの作家/文芸批評家/ビジュアル・アーティスト/音楽家と言う多彩な顔を持つアーティストです。彼は、1970年代には、Freie大学ベルリン校に入学して、地理学、文献学、哲学を学んで、そこから総合的芸術活動に参入します。彼は日常的な物事に潜んだ不条理や異常な側面に注目したオブジェや写真、絵画を作製しています。1980年代には、今回のコラボの相手でもあるFrieder Butzmannと知り合い、彼と共に、日常の騒音やノイズや言葉をミックスした作品を作り始めます。1981年にベルリンで行われた有名なイベントFestival Genialer Dilletantenでは、演奏の機会/時間をも与えられています。1984年には、Der bestwerliner Tunkfurmという活動家関係の雑誌を出版、その中に、Helmut HögeとSabine Vogelと共に「こんにちは、地獄へようこそ」との文章を書いてたり、アナーキスト系雑誌にも「唯一無比と開始宣言: 中くらいの損失」なる文章も寄せています。また、1988年には、「ベルリンのバーDschungelは満杯のガス室だ」との記事も書いています。1990年代には、Zeit紙やFAZ紙或いはFrankfurter Rundschau紙から本を出版しています。また、ミュンヘンのValentin-Karlstadt美術館に、彼の作品の写真・目録展を開催し、1999年度のIngeborg-Bachmann賞を受賞しています。その後も、2011年にはKassel文芸賞を、2010年には文学館賞も受賞しています。そして、彼はダダやFluxusからの流れを組み、既存の美学を洒落た気で破壊するような表現を行うマルチ・アーティストでもあり、オーバークロイツベルク鼻笛オーケストラ(Oberkreuzberger Nasenflötenorchester)も率いています。と言う訳で、Thomas Kapielskiは、どちらかと言うと音楽家と言うよりも総合芸術家みたいな人物みたいです(Wikiが独語なので訳するのツラい!)。 と言うバックボーンを持った天才2人が、1987年に作り上げたのが、本作品”War Pur War”です。まぁ、このバックボーンを知っていれば、大体、音も想像出来ると思いますが、何処までも逸れていくミニマルエレクトロ、寸劇交じりのコラージュ工作など、Die Tödliche Dorisあたりを彷彿とさせる曲が、2曲のボーナス・トラック(B8, B9)を含んで、18曲詰め込まれています。2人の担当等の情報は記載されていないです。因みに、ジャケ写は、Thomas Kapielskiの代表作にもなっているスリッパクリーチャーとのことです。それでは、各曲について紹介していきましょう。 ★A1 “Freebeer” (2:44)は、割と自由に弾いているシンセBとホワイトノイズのスネアによるアンサンブルで、前者はメロディも兼ねています。そこに変調した人声が入ってきます。 ★A2 “Damit Des Ergetzens Auf Erden Kein Ende Seyn Möge” (1:25)では、加工しまくった具体音と叫び声に、シンセの電子音が渦巻き状に絡みつきます。 ★A3 “Die Luftmatratze” (0:29)では、細かいシーケンスとそれに同期したシンセが、やがて異形のメロディへの昇華していく小曲です。 ★A4 “Der Garagenschlager” (1:16)は、性急なリズムボックスと掻きむしられるGに変調Voが乗る曲で、何とも言えない焦燥感を感じます。 ★A5 “Pavel From Prague” (0:58)は、重いホワイトノイズのスネアに様々に変調したVoと電子音の断片から成る小曲です。 ★A6 “Incendio (Versione Per Danza)” (4:36)では、怪しげなシーケンスとドラムマシンが反復する中で、淡々とした変調Voが語り出し、更にディレイも掛けられます。バックにも怪しげなシンセのメロディも流れています。 ★A7 “Do The VoPo” (4:25)は、A6に連続して始まり、強靭なドラムマシンと硬質なシンセBのシーケンスに、SE的な音や時に変調Voも聴取できるミニマルな曲です。後半では少しだけメロディも聴取できます。 ★A8 “Zweitstimme” (0:40)は、語り口とラジオのコラージュ及びシンセのSE音から成る小曲です。 ★A9 “Wunderbar” (1:46)は、微かながらもゆったりとしたゆり籠に乗せられたような曲ですが、後半にはやや盛り上がりかけます。 ★B1 “Wurmberg” (4:10)は、パンを振られた石を引き摺るような音に、ひび割れた電子音が加わる、何とも不気味なリズムレスの曲です。突発性に電子音や時に少女合唱団やSEシンセ音も挿入され、最後は電子持続音へと収束します。 ★B2 “Rolle Der Frau” (3:17)は、ジャズ演奏のサンプリングや電子SE音や人声が高速コラージュされた曲で、2人の宣言や微かにリズムボックスも含まれます。 ★B3 “Qua Pur Qua” (0:28)は、美しいシーケンスに不定形の電子音が上下しつつ絡んでくる小曲です。 ★B4 “Con Fermezza” (1:00)は、低速再生されたような既存の音楽をループにした曲ですが、これにはギミックがあるようです。 ★B5 “Haacke & Gross” (3:14)は、モーターのような物音系ノイズと通奏低音から成るリズムレスな曲で、フィードバック音は段々上がっていきます。 ★B6 “Kurzstück” (0:20)は、シンセ音と人声などのコラージュから成る小曲です。 ★B7 “Ein Beglockendes Rauschen” (5:13)では、ショートディレイをかけたリズムマシンと単調なシンセB及びシンセのリフが骨格を成し、不定形の電子音やホワイトノイズ、または同期した新しいシーケンスなどが加わっていきます。更に、大胆なシンセのメロディも。 ★B8 “Akron, Ohio” (0:41)では、チューニングのズレたアコギを掻きむしる音に、意味不明のVoやシンセ音も加わります。 ★B9 “Kojote” (2:29)では、シンセによる基本メロディ(途中、ダレたりもする)と、そのバックに人声や犬の鳴き声やらが薄っすらと入っています。 とまぁ、やりたい放題なのですが、聴く前に想像していた程の無茶苦茶さは無いように感じました。そして、一つ気付いたことがあります。個々の曲の面白さもありますが、アルバム全体としても、「サウンド・コラージュ」の様相を呈していることです。ご紹介の都合上、個々の曲の解説文も書きましたが、全体として聴いてみると、マクロでも各々の曲がコラージュされて、配置されており、A面/B面それぞれが一つの作品になっているのではないでしょうか? それから、全体的に流れる一種の「ユーモア」みたいな雰囲気があって、それが、本作品を堅苦しい音楽ではなく、柔軟で柔和な音楽にしていると思います。まぁ、この手の「ユーモア」は、NDWの多くのバンドに共通しているところから想像するに、独逸人気質なのかもしれませんね。この作品の面白さは、とにかく、アルバムを聴いてみることで初めて分かることなので、気になるリスナーさんは是非ともご購入して、堪能して下さい❗️ A7 “Do The VoPo (Panoptique Ajustement)” https://youtu.be/KCgT7pxW66o?si=MjH3tQEFBMgVEboO [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_l15GOVTX4eMdBld59wWcHJqQ13TTdiiPg&si=_QK48HlMzdHgzdr5 #FriederButzmann #ThomasKapielski #WarPurWar #ButeauB #2020年 #Reissue #Remastering #Zensor #1987年 #Experimental #Avant-Garde #Dada #Fluxus #SoundCollage #ConceptualAlbum
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Die Doraus und Die Marinas “Die Doraus Und Die Marinas Geben Offenherzige Antworten Auf Brennende Fragen”
ファースト・アルバムで、世界のロリコン・リスナーに衝撃を与えたDie Doraus & Die Marinasですが、今回は、この名義でのセカンド・アルバム”Die Doraus Und Die Marinas Geben Offenherzige Antworten Auf Brennende Fragen”(それにしても長いタイトル!「DorausとMarinasは、どんな炎上案件にも寛大な心で答えますよ」と言う意味らしい)を紹介します。私の購入したのは、Bureau Bによる再発盤の方です。この頃のAndreas Dorauには、私それ程の興味は無かったのですが、去年、彼のソロ名義のアルバムを聴いて、やっぱり、最初からちゃんと聴かなきゃと思い、聴いていなかったDie Doraus & Die Marinasのセカンド・アルバムを入手しました。一時期、アイドル的にもてはやされていたDorauですが、メジャーからのリリースになっており、今回は、ATA TAKやLost Gringos, Ja Ja Jaのメンバーの協力を得て、独自のポップ路線へと向かおうとしています。彼のバイオグラフィーとかは前回、書きましたので、詳しくはそちらをご参照下さい。今回は、首謀者としてAndreas Dorau以外に、Jürgen Keller (B), Moritz von Osswald (Drs), Christian Kellermann (Sax), Young-Hack Chi (Synth), Helge Gabrecht (Trumpet)が参加しており、彼等以外に、スタジオ・ミュージシャンのFrank Samba (Ja Ja Ja), Pete Jeckyll (Lost Gringos), Ralf Nowi, Rolf Albrichもヘルプで参加しています。なので、上述のスタジオ・ミュージシャンをまとめて、Die Dorausとし、女性コーラス隊(クレジットはされていない)をDie Marinasとしているようです。そして、Der PlanのFrank FenstermacherとPyrolatorことKurt Dahlkeがプロデュースをしています。それでは、各曲について紹介していきましょう。 ★A1 “Die Welt Ist Schlecht” (3:03)では、ノリノリのリズムに、若きDorauや女性コーラスが童謡ポップ調に歌っています。コーラス最高ですね。 ★A2 “Agent” (2:18)では、スラップ奏法もキメるBを含むリズム隊と豪華なホーン隊をバックに、Dorauが歌いまくってます。女性コーラスも良い感じです。 ★A3 “Feierabend” (2:31)では、リズム隊とホーンとオルガンをバックに、Dorauが歌い、時に入るアコーディオンや口笛が絶妙です。歌謡曲調?アニソン調? ★A4 “Zu Spät” (3:58)では、アコギのアルペジオとKbdに合わせて、女性(?)Voがしっとり歌っており、間奏のGやFluteも絶妙です。やがてリズム隊も入ってきます。 ★A5 “Polizist” (3:09)は、性急なテンポのリズム隊と若きDorauのVoとホーン類から成るポップな曲で、隠し味にシンセや女性コーラスが入ってきます。 ★A6 “Guten Morgen” (5:19)では、緩めのファンクなリズム隊に、呟くようなVoが入ってきます。間奏のホーン類やシンセもグー! ★A7 “Grosser Bär - Kleiner Bär” (3:17)は、簡素なリズム隊と女性コーラスに、若いDorauのVoが入ってくる曲ですが、ホーン類や鉄琴も良い味を出しています。 ★A8 “Texas” (3:30)は、いきなりバンジョーで始まっなら、直ぐにテープ操作した後に、何ちゃってカントリー調ポップソングになります。歌詞は勿論独逸語です! ★B1 “Fatme” (3:47)は、中近東風のGメロディで始まりますが、基本は子供ディスコな曲で、ホーン類や女性コーラスもバッチリです。 ★B2 “Satellit” (3:39)は、未来的なシンセのパルス音とトランペットで始まり、やがて、Dorauの初々しいVoとポップな曲調が見事にハマっている曲です。 ★B3 “Sandkorn” (3:32)は、アコースティックな楽器による曲で、ちょっとビックリします。幼なげなDorauのVoが何とも良い雰囲気です。 ★B4 “Die Welt Ist Schlecht (Dub)” (6:28)は、A1のダブ曲で、もうやりたい放題です。逆回転やサンプリングやVoのディレイ処理等々。それでもポップに聴かせるのは、彼の才能ですね。 ★B5 “Kleines Stubenmädchen” (3:40)は、シンセBで始まりますが、可愛いらしい曲調と女性Voによるポップソングに仕上がっています。間奏のストリングスが程良い感じです。 ★B6 “Katharina” (4:00)は、シンセBと生Drsの リズム隊とピアノを背景に、変調Voが入る曲で、ちゃんとポップソングとして成立しているのが、Dorauらしいです。 ★B7 “Höllentingeltangel” (2:53)は、性急なビートとホーン類(?ストリングス・シンセ?)から成る曲で、変調Voで歌いまくっていますが、これは既知の曲のセルフ・カバーですね。 Dorauのソロ名義よりも、意外と女性コーラスや女性Voも使っていて、その分量が何とも良い塩梅になっており、今で言う「地下アイドル」っぽいかな?と感じました。やっぱりDie Marinasはあるんだなと!それにも増して、Dorauの作曲能力の凄さが感じられ、所謂「Andreas Dorau節」と言うべき節回しと引き出しの多さとアレンジが優れていると実感しました。後、Dorauの声がまだ幼い感じが残っており、それが何とも言えず、気恥ずかしいような気がします。まぁ人それぞれだとは思いますが。この作品をもって、Die Doraus & Die Marinas名義での音源は終わります! https://youtu.be/ZCXB2K5p-Fw?si=Qb7am7fOwM-J6x4z [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_k1IpGjoDGgkMrCN5jgj9fi9JGLCUP2PE8&si=lU0JzCr1shxXNxot #DieDorausUndDieMarinas #DieDorausUndDieMarinasGebenOffenherzigeAntwortenAufBrennendeFragen #BureauB #2012年 #Reissue #CBS #1982年 #SecondAlbum #DieMarinas #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #NewWave #PopSong #FemaleChorus #AndreasDorau #JürgenKeller #MoritzVonOsswald #ChristianKellermann #Young-HackChi #HelgeGabrecht #StudioMusician #FrankSamba #PeteJeckyll #RalfNowi #RolfAlbrich #Producer #FrankFenstermacher #Pyrolator
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Pop Song Bureau B (CBS) €40.99Dr K2
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Sodom “TV Murder”
何で、こんなもん持ってるのかなぁ?と言う訳で、Trans Records御三家(Asylum, Z.O.A.,Sodom)の一つSodomのアルバム”TV Murder”を紹介します。多分、何かの気の迷いで買ったのだと思いますが、よく覚えていません。1980年代中期〜1990年代までバンドブームが起こり、黒いモノトーンの服装の女の子のファンをトランス・ギャル、それに対してキラキラの色取り取りな可愛らしい服装のナゴム・ギャルと言うように棲み分けがありました。まぁそれは良いんですが、私が、初めてSodomを観たのは、Psychic TVの初来日の前座の時だと思ったのですが、どうでしよう?もしそうだとしたら、ちょっと「イタかった」です。 それで、Sodomのバイオグラフィーを書いておきます。1981年 Zazieを中心にSodomは結成され、1983年には、スターリンのタム氏が設立したADKレコードより発売された”ADK Omnibus vol.1”に収録されています。翌年1984年に、カセット・アルバム”聖レクイエム”をゴモラレコードからリリースしています。このアルバムは、世界的に上映禁止となった1975年作映画”ソドムの市”と同名のライブ活動をしていた時期の音源です。この時のメンバーは、Zazie (Vo), Shinoyan (G), Bara (B), Hayato (Drs, Piano)で、一曲だけゲストでBaki (G)が参加しています。そうして、1985年に、本作品でもあるファースト・アルバム(LP)”T.V. Murder”をTrans Recordsからリリースしています。この時には、Shinoyan (G)の代わりにKonan (G, Synth)が加入しています。1986年に、12㌅シングル”Material Flower”をTrans Recordsよりリリースしますが、一度活動を休止しています。その後、1987年に活動を再開しますが、その際、ダンス・パンクというジャンルをバンドに取り入れています。そして、1988年に、Tommyこと福富幸宏がメンバーとなって、ハウス・バンドとして復活し、セカンド・アルバム”King Of House”をCaptain Trip Records傘下のBang A GongよりCDリリースしています。この時のメンバーは、Zazie (Vo), Conan (Computer [Programming]), Tommy (Computer [Programming]), Marr (Perc)です。1991年に、サード・アルバム”Sodom”をAlpha Recordsからリリースし、これがメジャーデビューとなりますが、リリース直後に活動を停止してしまいます。その時のメンバーは、Zazie (Vo), Conan (Kbd, Back-Vo), Yukihiro Fukutomi (Kbd, Programming), Marr (Perc, Back-Vo)です。その後、2007年2月18日に、新宿Loftにて、Shoko-Fこと藤川祥虎が加わり、16年振りにSodom名義でライブを行い、活動を再開しますが、2009年の企画Drive To 2010では、Sodom Project名義で再復活し、暫くはこの名義で活動しています。2019年2月3日に新大久保Earthdomでの企画機械魔術フェスのライブ後、Sodomとして、2019年の全国ツアーが発表されています。 以上が、Sodomの略歴となります。最初のLPでもある本作品では、先述のように、Zazie (Vo), Bara (B), Konan (G, Synth), Hayato (Drs)がメンバーであり、プロデュースは、あの北村昌士がやっています。収録曲はA面3曲/B面4曲となっています。それでは、各曲をご紹介していきましょう。 ★A1 “Euro (Down On The Dead)”では、単調なピアノの単音弾きに呻くようなVoが乗ってきますが、突如、GのリフやDrsが入ってきて、ビートを刻み始めます。と同時にVoのテンションも上がりますが、一端静まり、再び、ビートをたたき出し、怒号のようなVoのテンションも上がります。長尺で曲構成はやや複雑で、緩急や音圧の振り幅も広いですが、飽きることはないですね。 ★A2 “TV Murder”では、ディレイの効いた掛け声で始まり、リズム隊も重厚でタイトなリズムを叩き出し、Gもひたすらリフを刻み、シアトリカルなVoも自在に怒声を放射しています。 ★A3 “Hills Garden”は、タムを多用したリズムと唸るようなBと控えめながらもツボるGをバックに、Voのテンションは高くなります。これって六本木ヒルズのことじゃないよね? ★B1 “Art Of Lab”では、ミニマルなリフをひたすら弾くBとGで始まり、Drsも入ってビートを、更に捨て鉢なVoも加わり、一丸となったタイトな演奏を繰り広げます。Gの音色が当時を思い出しますね。 ★B2 “In The Wall”は、微かな悶え声から、スネア連打のビートとなりますが、途端に、シンコペーションの効いたビートの曲に変換されます。曲の構成にはかなり柔軟ですが、演奏は極めてタイトです。 ★B3 “Calimrec”は、タイトなリズム隊にシグナルのようなGのリフから成る曲で、狂的なVoが異教徒の呪文のように暴れまくります。 ★B4 “Test Pattern Nº2”では、叫び声から、ポストパンク的リズムが叩き出され、演奏はミニマルですが、Voはシアトリカルで自在です。途中のブレイクなんかもカッコ良いですね。 当時、言われていた程、Gothな感じはないですね(これは当時の服装に寄る印象かと)。YBO2のベーシストでもある北村昌士が共同プロデュースと言うこともあってか、リズムの構築とか曲構成とかに気を使って練り上げられており、特にBの録音仕方が良いです。また、ZazieのVoも基本、怒声なのですが、結構シアトリカルかつ自由自在に歌っているようで、その点も興味深かったです。反対に、Gとかは敢えて抑え気味に仕上げられているのかなぁと思いましたし、フランジャーを多用したGの音色も当時の流行りだった思います。凄くノレる音楽ではないですが、プログレのように曲構成が割と複雑で、じっくり聴きたいものです。あと、この作品ではシンセは余り使われていませんね。ちょっと残念。 https://youtu.be/HLiwbAbQKwE?si=NAZ5rxJl0ldlQp4G A2 “TV Murder” [MV] https://youtu.be/6Bxsi8mbfRs?si=CSLuI6E-meYLXkTe #Sodom #TVMurder #TransRecords #2ndAlbum #JapaneseUnderground #PostPunk #AlternativeRock #Industrial #Zazie #Bara #Konan #Hayato #Co-Producer #MasashiKitamura
Post Punk / Alternative Rock / Industrial Trans Records 不明Dr K2
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Bomis Prendin “Clear Memory”
またまた、謎物件です。Bomis Prendinとは?グループ名であり、個人名でもあります。まぁ、どちらにしても、米国Washington D.C.で活動しているのには変わりませんが、、、。良く分からないので、ちょっと調べてみました。結成は1978年11月で、Washington D.C.に住んでいた実験音楽好きのノイジシャン、またはDIY、インダストリアル、カセット・カルチャー或いは実験的電子音楽シーンのパイオニアの集合体が、Bomis Prendinなのです(メンバーには、同名のメンバーがおり、ソロでも活動しています)。その時に集まったメンバーと言うのが、CandeeeことBill Altice, Bomis Prendin, Miles Anderson, Norbert Heubusch, Corvus Crorson或いはSteve WallことStephen E. Wall, William Burke で、後に、William Burkeは、レーベルARTIFACTS/ycleptを立ち上げ、運営しており、また、Candeeeは、2019年に他界しています。それで、彼等は、先ず最初に、1979年と1980年にソノシートをそれぞれ1枚ずつリリースし、1980年には、仏Bain Total / Scopaによる国際 コンピ・アルバム”International CompilationI Part 2”にも参加しており、その後も、1984年と1986年にも2枚以上のコンピに参加しています。2001年になると、活動15年で初のCDRをリリースし、その後もCDR作品をリリースし、更に1980年代に録音していた音源をデジタル配信も始めています。そうして、2020年になって、漸く、1984年作のカセット作品”Clear Memory”をCDとLPで再発しており、これが今回ご紹介する作品となります。彼等は、1970年代後半から、サーキットベンディングしたおもちゃの楽器やG, B, アナログ・エフェクター、安物のKbdそれに、接続し直した回路などでの演奏を、カセット・レコーダーで録音しており、特に、最初のミニ・アルバム的な9㌅ソノシート”Test”と ”Phantom Limb”2枚は、あのNurse With WoundのNurseリストにも加えられています。まぁ、当時としては、それだけ実験的な「ロック」らしき音楽をやっていたのでしよう。そして、彼等が当時、興味を持っていたグループは、The Residents, Chrome, Cabaret Voltaire, Throbbing Gristle, Faust, Cluster, Olivia Tremor Control等だそうです。しかしながら、近年は、活動をしているかどうかは不明でしたが、2011年までは、リリースは確認できました。 以上が、Bomis Prendinの略歴となります。それで、彼等は最初に再発をした音源になりますが、1984年と時点では、カセットとして50部だけしか販売されておらず、その宣伝効果は余り無かったのではないでしょうか?そして、彼等に言わせると、この作品には、DIYで作られた異形のサイケ・ポップや手作り電子音楽が当時のまま封印されている」とのことです。 それで、本作品ちょっとややこしいのですが、Bomis Prendinのメンバーは、Bomis Prendin (Kbd, Perc, Vo, 落書き, 録音), Corvus Crorson (Noises), Miles Anderson (G, Vo, 反作曲), Hungry "Isaac" Hidden (B, Vo), Candeee (空電/雰囲気)で、以前はBill Alticも在籍していました。なお、B7は、ヴァージニア州のBenny’s Richmondでのライブ音源です。内容は、A面8曲/b面7曲が収録されています。それでは、本作品の各曲をご紹介していきましょう。 ★A1 “First Light” (2:54)は、簡素なリズムボックスとカシオとSynth-B及び鳥の囀りから成る朴訥としたポップソングで、インスト曲です。 ★A2 “French Passport” (1:56)は、何ともぐにゃぐにゃなKbdとペケペケのGとSynth-Bからなるインストの小曲です。 ★A3 “Respect The Road” (3:05)では、ややマシなリズムボックスにカシオの伴奏とシンセやGが絡み、やっとVoが出てきます。Gのアーム奏法も時代を感じさせます。 ★A4 “Street Without Lunch” (2:51)では、またチープなリズムボックスとジャジーなオルガンに、歪んだGを弾きまくってます。宅録ジャズ? ★A5 “Why Blondes Eat” (0:16)は、オルガンとかの楽器音の断片のみで、そのままA6に移行します。 ★A6 “I Don't Want” (3:45)では 逆回転したリズムボックスに合わせてのオルガンやGの伴奏に、ちゃんとした歌詞のVoが加わります。 ★A7 “Hell's Little Ransom” (4:51)は、ビックリするような重いSynth-Bとカシオの壁に、SE的シンセなんかが踊っているインスト曲で、重厚な出来です。 ★A8 “Forced Delight / Debris Factory” (2:04)は、最初、簡素なリズムボックスとのんびりしたカシオとGの合奏ですが、突然、激しく歪んだGとBと快活なシンセ音から成る2部構成のインスト曲です。 ★B1 “Jumpstart” (1:20)では、轟音な音塊の中から、リズムボックスやウニョウニョの電子パルス音やGが立ち現れます。 ★B2 “Robop” (3:26)は、単調なリズムボックスに、ジャジーなBと如何にもなGによる「即興ジャズもどき」な曲で、LFOを掛けたカシオも入っています。 ★B3 “Keep The Letters” (4:22)は、チープなリズムボックスに合ったBとGとカシオの伴奏に、途中から入るGやカシオがメロディを取るような構成のインスト曲で、何とも明るいLo-Fiポップですね。 ★B4 “Busy” (0:46)は、シグナル音とリズムボックス音と電子音の混合物から成る小曲です。 ★B5 “I Walk The Lawn” (2:26)では、カリプソ風のノリの良いリズムボックスに、カッコ良いGを弾きまくっていますが、時にKbdにメインが代わったりもするインスト曲です。 ★B6 “The Big Horizon” (3:04)は、キュートな電子音とそれに同期するオルガンらしきKbdから成るシーケンスに、更に重厚なオルガン音が被ってくる曲です。 ★B7 “Integers” (2:53)は、ライブ音源で、ドラムボックスとGのファンキーなカッティングを背景に、自在にカシオを弾きまくったり、また逆にカシオを背景にファズGを弾きまくったりして、メンバー紹介しています。 Bomis Prendinと言うバンドは、結構、古いバンドであり、その為か、録音もチープで、一聴するとLo-Fiバンドのようにも思えますが、これは単に録音機材に制約があったからだと思います。そして、殆どの曲はインストである点とカシオトーンを多用している点も面白いです。個人的には、DD. Recordsの吉松さんとか鎌田さんの作品を思い出しました。多分、彼等はライブをガンガンやるタイプではなく、地下室やガレージ等の閉鎖空間で、音を出して、ジャムったりして、それをそのまま録音した後に、ベストテイクを選んで、カセット作品を作っていたのではないでしようか。曲の完成度は別として、曲自体はアイデア満載で面白いので、そう言った米国アングラ・シーンの最底辺に興味がある方は是非とも一聴してみて下さい!また、今回の再発盤にはインタビューもついていますので、読んでみたい方は購入することをお勧めします。 B1 “Jumpstart” (1:20) https://youtu.be/SkKQNZhnNqo?si=nsQwisdS7C8vt7NT [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_l2CQmBX-uqXktN_Mh38Cd6TBmJ-G9Ocgo&si=NYJc5W5mP_sLtYUd [BandcampのURLも貼っておきます] https://bomisprendintheband.bandcamp.com/album/clear-memory #BomisPrendin #ClearMemory #MentalExperience #2020年 #Reissue #Remastering #ARTIFACTS/yclept #1984年 #USUnderground #NurseList #WashingtonD.C. #Lo-Fi #ExperimentalPop #JazzyTaste #CircuitVending #CheapInstruments #ToyInstruments #BomisPrendin #CorvusCrorson #MilesAnderson #Hungry’Isaac’Hidden #Candeee #BillAltice
Lo-Fi / Experimental Pop Mental Experience (ARTIFACTS/yclept) 3250円Dr K2
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POP. 1280 “Way Station”
またまた、謎物件です。POP. 1280と言うバンドをご紹介します。米国NYCで2008年に結成されたバンドで、この風変わりなバンド名は、1964年発刊のJim Thompsonの犯罪小説の表題から取られています。まぁ、なんだか良く分からなかったので、ちょっと調べてみました。元々は、2008年に、Chris Bugが、高校卒業後2年間、中国「そうじょういん」での勉強が終わったタイミングで、長年の友人Ivan Lipに説得されて、米国NYCに移住してきたことから始まりました。最初は、Greenpointで、Bugがヴォーカル、Lipがギターと言うデュオで始まりましたが、その内、楽器を弾いたことの無いメンバーを誘うようになりました。その結果、最初、John Skultraneがベース、Andrew Smithがドラムと言うバンド形態となり、Bugが曲を書き始めます。しかしながら、それを演奏してみると、ダウナーなパンク・サウンドのようになってしまいましたが、彼等は自分達のサウンドを直ぐに自己分析しています。その結果、彼等の音楽は、No WaveとNew Wave、PunkとIndustrial、NoiseとTribal、ElectroとPost-Hardcoreと言った異なるジャンルの音楽をミックスしたものだと結論付け、まるで、The Velvet Underground, Suicide, Joy Division, The Birthday Party, Sonic Youth, Liarsみたいじゃないかと思って、そのまま活動を続けることになります。BugとLipは不動のメンバーですが、その後、関わったメンバーはJohn Skultrane, Andrew Smith, Zach Ziemann, Pascal Ludet, Allegra Sauvage, Andy Chuggらがいます。本作品では、Matthew Hordが正式メンバーとなっています。彼は、シカゴ在住でしたが、アナログ・シンセ等のハードウェアに詳しいことから、正式メンバーになったようで、アルバム作製1年前にNYCに引っ越してきています。また、Andy Chuggは演奏ではなく、エンジニアとプロデュースとして関わっています。2021年には、5作目のアルバム”Museum On The Horizon”をカナダのレーベルProfound Lore Recordsからリリースしており、現在も活動しています。 以上がPOP. 1280の略歴となりますが、彼等は3枚目のアルバムまでは、自身のレーベルSacred Bones Recordsからアルバムを出してきましたが、この4作目のアルバム”Way Station”に関しては、ベルギーのレーベルWeyrd Son Recordsからのリリースとなっています。前作”Paradise”を出してから、彼等は、音楽的モデルを考え直すことにして、毎晩、セッションを繰り返しては、サンプリングしていたそうで、そこで気付いたのは、BugとLipと言うシンプルなデュオ形態では、寧ろ、ミニマル・ミュージックの美学を導き出せることで、それを後にライブでも演奏できるように形作るにはどうしたら良いかも考えるようになったらしいです。因みに、彼等は、2013年にライブ・カセット作品” Live In Hell”を出していますので、ライブもそこそこやっているようです。また、歌詞も、心の一番奥底にまで潜り込み、それらを取り出す時の痛みや恐れをテーマにしているとのことです(私にはよく分かりませんが)。本作品のメンバーは、Ivan Drip [Ivan Lipの別名] (G, Synth, Drum Machine, Piano), Chris Bug (Vo, Sampler, Synth), Matthew Hord (Synth)で、Scott Kiernan (G, Artwork)がゲストで参加しています。本作品では、A面6曲/B面5曲が収録されています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ★A1 “Boom Operator” (3:08)は、重めのドラムマシンと荒いシーケンス・ベースに、呻くような狂的Voが挿入される曲で、フリーキーなGもバックに入っていますが、所謂インダストリアル・ロックのようです。 ★A2 “Under Duress” (4:08)は、繊細なピアノと持続電子音で始まる、割と落ち着いた曲ですが、Voには明らかに「ロック」を感じます。また、曲構成も秀逸です。 ★A3 “The Convoy” (1:38)は、物音系サンプル音をリズムにリリカルで不穏なピアノが曲を牽引する小曲です。 ★A4 “Doves” (2:55)は、疾走するマシンリズムに狂騒的なGと荒っぽいVoから成る曲で、Gの音色は1980年代の日本のニューウェーブっぽいです。 ★A5 “Hospice” (4:34)は、ミドルテンポの粘着度の高い曲で、Voは今までの人とは違うように感じますが、歌い方とか録音方法が違うのかな? また、曲構成も絶妙で、Gもカッコ良くて聴かせてくれます。 ★A6 “Monument” (4:19)は、引き摺るようなダウンテンポの曲で、重々しい雰囲気と単調なリズム隊に恨めしいVoから成り、初期のSwansを想起させる位の重圧感があります。 ★B1 “Empathetics” (3:30)も、重いマシンリズムと重厚なシンセ音に、Michel Gilaを想起させる、苦悶に満ちたVoが乗る曲ですが、間奏でのメタパーを思わせる打楽器の挿入もカッコ良いです。 ★B2 “Leading The Spider On” (3:38)は、珍しくGのリフと吐き捨てるようなVoから成る曲ですが、やがて重苦しいリズム隊が入ってきます。 ★B3 “The Deserter” (2:17)は、意外にもアコギとピアノの繊細な調べから成る悲しげな曲で、薄っら電子音も流れています。 ★B4 “Home Sweet Hole” (4:01)では、キックとBの単調なリズムに粗暴なVoが乗り、やがてシンセによるコードやメロディも入ってきます。歌詞はヤバそうです。 ★B5 “Secret Rendezvous” (5:11)では、宇宙音と共に諦念したVoが語るように歌っていますが、やがて奥ばったキックやSynth-Bも挿入され、リリカルなピアノも入ってきます。アルバム最後に相応しい”The End”な曲です。 まあ、バンド名から予想していたようなポップネスは無く、NYCのエキセントリックなロックバンド、MinistryやSwans等からの濃い影響を感じさせるインダストリアル・ロックで、かなり息苦しい程の重いサウンドを彼等は持っていると思います。世界的には、まだまだ無名ですが、NYCの狂気を伝承する直系バンドとしてのポテンシャルはありますので、日本のリスナーの方にももっと聴いて欲しいですね。ドラムマシンを使っていますが、サウンドのヘビネスや曲の構成はピカイチですので、そこら辺のNYCバンドが気になるリスナーさんには激お勧めします❗️ A6 “Monument” (4:19) https://youtu.be/kRj-2vEe5y0?si=5dLcITGtOtH_lK5z [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mo598wDV-hZ7qXtL182rEIkDjFkppPzPM&si=hO-Uc3ZfpYbaIBhY [BandcampのURLも貼っておきます] https://weyrdsonrecords.bandcamp.com/album/way-station #POP.1280 #WayStation #WeyrdSonRecords #4TheAlbum #USUnderground #NYC #NYInsanity #IndustrialRock #Cyberpunk #Swans #Ministry #JimThompson’sNovel #ChrisBug #IvanDrip #MatthewHord #Synthesizers #Guest #ScottKiernan
Industrial Rock / Cyberpunk Weyrd Son Records 1100円Dr K2
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The Serfs “Half Eaten By Dogs”
私は、このバンド、全然知らなかったのですが、試聴して良かったので、即購入しました。なので、先ず、The Serfsについて調べてみました。The Serfsは、元々、オハイオ州シンチナティで、2010年代後半に結成された3人組で、メンバーは、Dylan McCartney, Dakota Carlyle, Andie Lumanですが、それぞれが別のサイド・バンド(The Drin, Crime of Passing, Motorbike)を並行してやっており、この地域の新しいアングラ・シーンには欠かせない存在です。それで、彼等は、最初のカセットアルバムを2019年に独のミニマルシンセ・レーベルDetriti Recordsからリリース、その後2022年に、シアトルのレーベルDreamから彼等のファーストLP”Primal Matter”をリリースしています。そうして、2023年に、本作品であるセカンドLP”Half Eaten By Dogs”をシカゴを拠点とするTrouble In Mindから出しています。その作品は、モダニスト達が、Total ControlやCold Beat等の未来指向のバンドを米国中西部へグッと引っ張り上げるようなもので、ポスト・インダストリアル或いはインダストリアル・ロック・バンドであるSkinny Puppy, Dark Day, This Heat, Factrixによるグライムと同様の衝撃があったようです。 調べてみましたが、この位のことしか分かりませんでした(すまん!)。過去の作品を聴いてみると、ポストパンクと言うよりも打ち込み系ロック、即ち、インダストリアル・ロックと言う方がしっくりくる感じでした。それで、本作品についでの文章がありましたので、引用します。「この作品は、スカスカの異教徒のヴィジョンに焦点を当てており、それは、氷のようなシンセのハーモニーが、滲み出すケミカルなリズムとボコボコに穴の空いたロックの様式に統率しているようなもので、そうすることで、サイケな憂鬱さも体現できます。そう言うのは抽象的な歌詞にも反映されており、その内容は、自然的厄災と超自然的厄災とが運命的に決まっていることも、また、より可視化された音楽シーンの運命も含んでいると言うことです。」とのこと。実際、彼等は、陰気なドラムやギターとインダストリアルなシンセの予定調和を越えて、方向転換していますし、この作品ではSaxやハーモニカ、Fluteなんかも使っています。まあ、つべこべ言わずに聴いてみましょう。本作品の参加メンバーは、Dylan McCartney (Vo, Perc, G, B, Drs, Synth, Electronics, Harmonica, Flute), Dakota Carlyle (Programming, Electronics, Synth, B, G, Vo), Andie Luman (Vo, Synth)で、ゲストとして、Eric Dietrich (Sax [A5]), Luke Cornett (G [B4]), Bradley Kennedy (Perc [A2])も参加しています。また、内容も両面とも5曲ずつ収録されています。それでは、各曲について紹介していきたいと思います。 ★A1 “Order Imposing Sentence” (3:08)は、いきなりサーフ系ロック・アンサンブルで飛ばすチューンで、カッコ良すぎます。時に入ってくるSE的シンセ音やオルガンも最高です! ★A2 “Cheap Chrome” (3:37)は、性急なマシンリズムとミニマルなシーケンスに、シンセによるメタ・メロディと複数のVoが重なる曲で、ちょっとだけSuicideを想起しますね。 ★A3 “Suspension Bridge Collapse” (4:10)は、LFOシンセとディレイを掛けたマシンリズムから始まり、ミニマルなシーケンスとドリーミーなメロディそしてインダストリアルなシンカッションに、深いエコーを掛けた単語切りのVoから成る曲で、甘くも硬派な印象です。 ★A4 “Beat Me Down” (3:30)は、反復するシンセのリフに、生DrsとGが加わり、ミニマル・ロックな曲で、VoはJesus & The Mary Chainのようで、結構、カッコ良いです。 ★A5 “Spectral Analysis” (4:35)は、A4と連続して、マシンリズムが淡々と流れる中、Bと共に、緩やかなシンセのメロディとディレイを掛けた語り口調とVoが乗ってくる曲で、郷愁を誘うSaxと共に「新しい工業音楽」を感じさせます。 ★B1 “Club Deuce” (5:30)では、シンセで作ったリズムのシーケンスとミニマルなB-Synthに加えて、シューゲイザー風女性Voがメインに入ってきます。微かな男性の語りもワンポイントで。何処かポップになり切れないインダストリアルを感じます。 ★B2 “Electric Like An Eel” (3:47)は、ロック調のマシンリズムに、不思議なシーケンスと地を這うB-Synth、そこに突き放すようなVoが乗る曲ですが、曲はミニマルで、シンセの音色もグーです! ★B3 “Ending Of The Stream” (3:00)では、フランジャーの掛かった低音持続シンセに、土俗的生DrsとVo、それに流れるようなシンセとGが加わり、シンセ版ポストパンクのような曲に仕上がっています。 ★B4 “The Dice Man Will Become” (4:07)は、アップテンポな生DrsとBかつドリーミーなパワーポップな曲で、ノリも良く、シンセも秀逸で、思わず踊りたくなります。 ★B5 “Mocking Laughter” (4:28)は、直線的なキックとBで始まり、ポストパンクなVoが乗ってくる曲ですが、脇を固めるGやシンセが嘗てのFactory系のバンド・サウンドを想起させると同時にドリーミーさも感じます。 私的には、凄く好みのサウンドで、インダストリアルと言う程、悪意や攻撃性は無く、寧ろ、セカンドの頃のSuicideの淡い感情や1980年代のポストパンクやパワー・ポップ或いはガレージのロックっぽさを上手く自分達のテイストとして消化していると感じました。なので、確かにミニマルな曲は多いですが、シンセ・ウェーブよりももっと「ロック」に近いとも思えますし、インダストリアルともインダストリアル・ロックとも全く異なる「歌心」があるように感じます。そう言う意味では、結構、掘り出し物でした❗️多分、好きな人にはピッタリハマると思いますので、先入観無しで聴いてみて下さい!ありそうで無かったサウンドです。 https://youtu.be/_nX6wZz7uLU?si=qQKplt2sOsJc_HWh [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nQmflopNqtRhxj1Xe2wOVqaSoPGanSn9g&si=SpkBrPrVQDfGDDO2 [BandcampのURLも貼っておきます] https://theserfsmusic.bandcamp.com/album/half-eaten-by-dogs #TheSerfs #HalfEatenByDogs #TroubleInMindRecords #3rdAlbum #USA #CincinnatiUnderground #SynthPunk #PostPunk #MinimalWave #PowerPop #Garage #打ち込み #Shoegazer #Synthesizers #DylanMcCartney #DakotaCarlyle #AndieLuman #Guests #EricDietrich #LukeCornett #BradleyKennedy
Synth Punk / Post Punk / Minimal Wave Trouble In Mind Records 2900円Dr K2
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Hans-A-Plast “s/t”
Hans-A-Plast (ハンズ・ア・プラスト)とは、独Hannoverで、1978年に結成されたパンク・バンドです。当時は、Neue Deutsche Welle (NDW: German New Wave)が押し寄せてきた時期でもあり、その一つのバンドと捉えられることが多かったですね。彼等は、1978年のNo Fun Festivalに出演しようと思い、女性VoにSlimeに居たAnnette Benjaminを加えて、出演したのがキッカケで、翌年には、セルフ・タイトルのファースト・アルバムであり、本作品でもあるアルバムを出しています。1979年に、このアルバムは、Lava Recordsから出ていますが、これは米国向けレーベルであったようで、1980年には、独のNo Fun Recordsから同じ内容でリリースされています。Hans-A-Plastのバイオグラフィーは以前にも書いてありますので、そちらをご参照下さい。 それで、このファースト・アルバムでのメンバーは、Annette Benjamin (Vo, Sax), Jens Meyer (G), Micha Polten (G), Renate Baumgart (B), BettyことBettina Schröder (Drs, Vo), Phil Luland (Vo; 実はLiveMixer)の6人組ですが、クレジットでは、Willi (変わり者)もメンバーだったみたいです。内容は、A面7曲/B面6曲となっています。では、各曲をご紹介していきましょう。 ★A1 “Rock'n Roll Freitag” (1:28)は、元気一杯でアップテンポのパンキッシュな曲で、一発目から飛ばしていきますね。 ★A2 “Lederhosentyp” (2:00)は、浮遊感のある女性Vo/コーラスから始まり、その後、お得意のパンク・サウンドをぶちかましてくれます。後半のBenjaminの奇声も中々ハマってます。 ★A3 “Für 'Ne Frau” (1:57)は、ツービートで走り回るハードコアの原型みたいな曲ですが、間奏のGソロがなんか変です。 ★A4 “Monopoly” (2:03)は、分厚いパンク・サウンドで、独語歌詞が良くマッチしています。それにしても、間奏のGソロでの不協和音はわざとなのかな? ★A5 “Teenage Traum” (2:45)は、口笛で始まり、ポップ・ミュージックかなあと思っていたら、サビはしっかりパンクでした!後半のコーラスワークも面白いです。 ★A6 “Rank Xerox” (2:37)は、ロータムのややスローなリズムで始まりますが、直ぐにお得意の軽快なパンク・サウンドに取って代わります。Benjaminの早口独逸語Voは面白いですね。 ★A7 “Es Brennt” (4:03)では、始め、Benjaminの語るようなVoと唐突なGノイズなんかが続きますが、やがてビートが生まれ、フリーキーなGも入ってきます。Benjaminの笑い声やしつこい位の歌詞の反復なんかもあって、ちょい実験的な曲です。 ★B1 “Starfighter” (2:43)は、スライド奏法のGなんかも含むポストパンクな曲で、A面よりもNo Wave的です。投げやりなVoもグーだし、最後のぐちゃぐちゃ具合も面白いですね。 ★B2 “Polizeiknüppel” (2:53)も、パンキッシュな曲で、疾走感もあってカッコ良いですね。間奏の銃撃音は、「警棒」って曲だからかな? ★B3 “Man Of Stone” (2:22)も、パンクよりもポストパンクな曲で、コーラスワークも冴えています。Benjaminの早口Voは結構な特徴ですね。 ★B4 “Amerikaner” (4:00)は、4拍子に3拍子のパートが組み合わさった不思議な曲で、寧ろ、Alternative TVのようなポストパンクなトラックで、メンバー各人のアイデアで演奏が駆動しています。 ★B5 “Hau Ab Du Stinkst” (2:44)は、一転、パンキッシュな曲で、Bのドライブ感がカッコ良いです。Benjaminの弾けっ振りも素晴らしいです。 ★B6 “O, O, O” (1:58)は、B→Drs→Gの順で音が厚くなり、そこにVoも加わり、ストップ&ゴーを繰り返しながら、最後はふにゃふにゃになります。 以前に紹介したライブ盤のことをすっかり忘れていましたので、今回、初めてスタジオ・アルバムを聴いて、「おっパンクじゃん!」と再認識した次第です。それでも、全曲パンクと言う訳ではなく、程良く実験的なことを組み入れており、それが、Benjaminの若気の至り?と言うか瑞々しさと相まって、相乗効果を成しているなあと感心してしまいました。それにしても、Benjaminのちょっとハスキーな声質は、個人的には好みです。しかし、Gが2人もいるのに、そんなに音が分厚くないのも、ちょっと不思議でしたね。まあ、1978年録音で、かつ独逸と言うことで、英国みたいなストレートなパンクでは無く、独逸らしいユーモアの粉を振りかけたパンク〜ポストパンクな作品になったのではないでしょうか?そんな意味でも興味深いので、もし見つけたら、ゲットして下さい❗️ https://youtu.be/wkUY6q5jIVk?si=NkOaRwa-do5BkCZk [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nxasK5dsz6k12dO15bAF1cJS6qeD2lMZM&si=crvIBBPltJ4a104L #Hans-A-Plast #FirstAlbum #LavaRecords #1979年 #NoFunRecords #1980年 #Reissue #2023年 #TapeteRecords #Hannover #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Punk #PunkRock #AnnetteBenjamin #JensMeyer #MichaPolten #RenateBaumgart #BettinaSchröder #PhilLuland #Willi
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Punk Rock Tapete Records (Lava Records) €28.95Dr K2
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Peter Baumann “Trans Harmonic Nights”
元Tangerine Dream (1971年〜1977年間在籍)のシンセ奏者で、プロデュースや作曲も手掛けるPeter Baumannのソロアルバム第二弾”Trans Harmonic Nights”を今回はご紹介します。彼のバイオグラフィーは前回、書きましたので、今回は省略させて頂きます。今回のソロアルバムでは、Peter Baumann以外に、Wolfgang Thierfeldt (Drs)とBernhard Jobski (Horn)がゲスト参加しています。録音・制作は、Berlinにある彼自身のスタジオParagon Studioで行われていますが、ここは、Conrad Schnitzler先生も良く利用していますね。Baumannのセカンドは、両面4曲ずつ収録されています。それでは、各曲について紹介していきましょう。 ★A1 “This Day” (5:10)では、徐々に立ち上がるシーケンスとキックに柔らかなGとシンセが次第に絡んで、更にはVocoder-Voまで挿入され、またGも!何とも落ち着いた雰囲気の曲になっています。 ★A2 “White Bench And Black Beach” (5:30)も、落ち着いたリズム隊(ドラムマシン?)に、簡素なシンセによるメロディと思っていたら、劇的に生Drsとピアノとシンセによって躍動感ある曲へと変化します。 ★A3 “Chasing The Dream” (4:34)も、可愛らしいシーケンスに合わせて、笛のようなシンセがメロディを取っていき、やがて説得力のある強い電子音の合奏になります。Gもメロディを奏でています。 ★A4 “Biking Up The Strand” (2:26)は、3拍子の電子ワルツで、Vocoder-Voもシンセと共に歌っています。何とも優雅で落ち着いた曲調です。 ★B1 “Phaseday” (5:50)は、簡素なシーケンスとキックとシンプルなメロディで始まるドリーミーな曲ですが、途中のDrsとVocoder-Voが良いスパイスになっています。電子音の優しさに溢れています。 ★B2 “Meridian Moorland” (4:34)は、跳ねるような軽めのマシンリズムとシーケンスと簡素なシンセで始まります。途中の生Drsで一旦雰囲気は変わりますが、やがて元に戻ります。 ★B3 “The Third Site” (5:10)では、元気一杯のリズム隊とシーケンスに、勇ましささえ感じるシンセのメロディが乗ってきます。途中ピコる部分やDrsとかVoをパンする場面もありますが、最終的には、中々勇壮な曲に仕上がっています。 ★B4 “Dance At Dawn” (4:02)は、Drsとホーンによるイントロ後、細かいシーケンスや波状のシンセ、コーラスなんかで静かに盛り上がります。特にマーチングDrsが効いています。インスト曲故に、次々とメロディやリフが出てきて、バラエティーに飛んだ曲となっています。 セカンド・ソロアルバムは、前作B面とは変わり、再び、電子音楽系クラウトロックに戻って、生楽器(特にDrs)も効果的に使っているようで、Tangerine Dream以来のファンとしては嬉しい限りです。相対的に柔らかな曲が多いですが、シーケンスやドラムマシンも多用しており、個人的には、大いに楽しめました。Peter Baumannは、やっぱり、この路線で行って欲しいです。前回はNew Age云々と言っていましたが、本作品ではまだそこまでの抽象性はなく、程良いメロディラインが堪能できることもプラス10点ですね。そんな彼のソロアルバムは本当に心地良い音楽に満ち満ちていますので、聴かない手はないですよ! A3 “Chasing The Dream” (4:34) https://youtu.be/C6LuKLwMkN4?si=CTxkKZalG22bbro- [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLUxYysXweZEzXqWInwg2yTYS4HBq1EYFv&si=GZq-jtwKbVG5gJ9a #PeterBaumann #TransHarmonicNights #VirginRecords #2ndAlbum #SoloAlbum #TangerineDream #Krautrock #Electronic #Synthesizers #Sequencer #Horn #Drums #Guests #WolfgangThierfeldt #BernhardJobski
Krautrock / Electronic Virgin Records 880円Dr K2
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Embryo “Father Son And Holy Ghosts”
またまた、きました!独Krautrockの生き残りEmbryoの3枚目のアルバム”Father Son And Holy Ghosts”をら、今回はご紹介します。今回、購入したのは再発盤で、嬉しいことに、44頁のブックレットが付いており、それを眺めているだけで、イっちゃいそうです。しかも、この再発盤は限定1000部なんですよ。無理して、海外通販して良かったです。このアルバム制作時のメンバーは、Dave King (B, Flute, Altomarimba, Vo), Christian Burchard (Drs, Perc, Marimbaphone, Vibes, Vo), Sigi Schwab (G, 12弦G, Veena, Bulbul Tarang), Edgar Hofmann (Vln, Soprano Sax)の4人で、相変わらずJazz Rockな音楽を全員マルチなメンバーが繰り広げられています。Embryoのバイオグラフィーは、既に書いてありますので、そちらをご参照下さい。本作品は、A面4曲/B面3曲が収められています。メンバーは先述の通りですので、早速、各曲について紹介していきましょう。 ★A1 “The Special Trip” (5:56)では、ブリブリのBで始まり、超絶Drsと如何にもなワウったジャズGに、プログレ臭のあるVoと隠し味のFluteが組んず解れずのインタープレイを聴かしてくれます。 ★A2 “Nightmares” (0:58)は、中東風打楽器とアコギから成る小曲です。 ★A3 “King Insano” (4:48)では、しっとりしたFluteとGと共に、上下する柔らかいBの調べから、全員で突入する緊張感溢れる演奏となります。割と基本のコード進行はミニマルです。そして、再び静寂へと戻ります。 ★A4 “Free” (6:19)は、カウントと取るハイハットとブリブリしたBにGや男女のVoの掛け合いが入ってくる曲で、間奏にSax?ハーモニカ?のソロやG等のソロ廻しが始まります。躍動感が半端無いです! ★B1 “The Sun Song” (8:48)は、イントロで竹とかの笛で始まり、緩やかなSaxやマリンバなんかも入ってきたと思ったら、跳ねるようなDrsが静寂を破り、盛り上がりをみせる曲で、多分、民族楽器を多用しているようでしよう。その内、GとSaxの掛け合いになり、Drsも叩きまくりになりますが、緩急をつけた曲構成で、長尺の曲ながらも聴き応え充分です。 ★B2 “Marimbaroos” (2:56)でも、マリンバのような音と静かなVlnのインタープレイが続き、そこにワウったG等も絡んできます。緊張感はありますが、何故か朴訥とした印象です。 ★B3 “Forgotten Sea” (9:09)は、粘るBラインにDrsとGや鉄琴等で静かに盛り上がっていくラウンジ・ジャズっぽい曲で、上手く緩急を付けたり、Vlnを入れたり、派手なGの超絶ソロ(時にフリーキーにもなる)を入れたりで、変化をつけていきます。時には走るDrsで速くなったりもします。それにしても聴かせてくれますねぇ。最後の不協和音がイカしてます! 個人的に、この作品は買ってから、実際に聴くまで結構放っていました。が、聴いてみると、中々、コンパクトに纏まっており、聴き易かったです。まあ、一言で言うと、ジャズロックなんですけれどね(フュージョンとは言いたくない!)。それと、Dave Kingのベース・プレイには感動しました。このミックスは最も効果的にベースの良さを引き出したのではないでしょうか!それと、よーく聴くと、至る所に民族楽器のような、ちょっと変わった音色が聞こえてくるのも、今後のEmbryoの方向性を想像する上で、興味深かったですね。昔はこう言う音楽とか聴くことが出来なかったんですが、何故か独プログレと言うだけですんなり聴けてしまうようになりました。いやー、成長したなぁ。勿論、ジャズロック好きのリスナーさんにも、ジャーマン・ロック好きのリスナーさんにもお勧めします!あと、ブックレットはフルカラーで豪華ですので、それだけで買う価値はありますよ! https://youtu.be/cxPksrGpJt0?si=tLd1R83H2aj9mUIM [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLLD8tmFAuglrpchegaZf5ujmEQaV7QKa5&si=FAEzI8Fb0MD0eR1B #Embryo #FatherSonAndHolyGhosts #GardenOfDelight #Reissue #2022年 #LimitedEditions #1000部 #UnitedArtistsRecords #1972年 #ThirdAlbum #Krautrock #JazzRock #EthnicInstruments #DaveKing #ChristianBurchard #SigiSchwab #EdgarHofmann
Krautrock / Jazz Rock / Ethno Garden of Delight (United Artists Records) €28.80Dr K2
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Group Rhoda “Wilderless”
Group Rhodaとは、米国CA州Oakland在住のMara Barenbaumのソロ電子音楽プロジェクトのことで、2009年頃から活動を開始しています。そうして、2012年に、ファーストアルバム”Out of Time, Out of Touch”をNight School Recordsから出し、その翌年にはセカンド・アルバム”12th House”をNot Not Funから出しています。同年には、Max + Maraと言うデュオで、Dark Entriesより、唯一のアルバムLP “Less Ness”を出しています。因みに、Max + Maraは、Mara Barenbaum (Synth, Vo)とMax Brotman (Synth, Vocoder)から成るデュオで、Barenbaumはその半分、即ち、シンセとドラムマシンを担当しています。このデュオについては、もしアルバムを入手しましたら、その機会にでも 詳細を紹介したいと思います。そうして、2017年には本作品でもあるサード・アルバム”Wilderless”を、2020年に、(今の時点で最新の)4枚目のアルバム”Passing Shade”をDark Entriesから出して、Group Rhodaとしての活動も、順調に進んでいます。その為、彼女は、Oaklandのエレクトロ・ミュージック・シーンの統合メンバーとしても重要視されており、執筆やライブ・パフォーマンスにも力を入れているそうです。 と言うのが、Group Rhodaの略歴で、割と最近のアーティストであることが分かりました。このソロプロジェクトの3作目”Wilderless”は、San FranciscoのRoom 5にて、Mark Pistelによってミックスされており、BerkeleyのFantasy Studiosにて、George Hornによってマスタリングされています。A面4曲/B面3曲が収録されています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ★A1 “Trespass” (5:32)は、アシッドなベースラインとマシンリズムに、空虚さを滲ませるVoとシンプルなシンセのリフで淡々とした曲となっています。余り余計な音が無いのが特徴かと感じましたが、後半は豊かな電子音が花開いています。 ★A2 “Ice House” (5:06)も、同じくシンプルで柔らかなシンセとマシンリズムに、淡々としたVoから成る曲ですが、Synth-Bの音色がA1と同じですね。曲自体は、打ち込みなのに、意外に複雑だと思います。 ★A3 “June” (4:27)は、やや切羽詰まった曲調ですが、決して叫んだりすることはなく、あくまでも柔らかい声のVoを聴かせてくれます。ポリ・シンセの使い方が絶妙に上手いですね。曲も打ち込みにしては複雑で、楽しめます。 ★A4 “Mexi Meri” (3:28)は、ドリーミーな曲調で、マシンリズムとSynth-Bと優しく浮遊感のあるVoで、シンプルに聴かせてくれます。ドラムマシンのオカズの入れ方なんかも秀逸です。 ★B1 “Agua De Florida” (5:32)は、怪しげと言うかアラビックな曲調で、ディレイを掛けたVoが素晴らしいです。特に、後半のベースラインはカッコ良く盛り上がりますね。 ★B2 “Sea Or Be Sea” (5:08)も、アラビックなメロディが紡がれる曲で、ふわふわの抱き枕を抱いているような心地良さが感じられる打ち込みによる曲で、これがマシンリズムとシーケンサーとシンセで作られているのに驚きますね。 ★B3 “Scia” (5:50)は、ややアップテンポな曲ですが、攻撃的な印象等は無く、あくまでも彼女の優しさの範囲は越えてはいません。ただ、ブリブリしたSynth-Bの音色や複雑なシンセのリフやドラムマシンの打ち込みなんかも聴取できて、興味深いです。 天は二物を与えず、とは言うものの、Mara Barenbaumには、緻密な曲作りと天使のような柔らかい声質のVoと言う二物が与えられ、本作品は、それらを遺憾無く発揮している傑作だと思います。あくまでもソフトで優しいシンセ・ウェーブとしてですが。それと、ちょっとだけ気になったのは、Synth-Bの音色が、どの曲も殆ど変化が無かったことで、そこら辺は好き嫌いが分かれるかもしれませんが、私的にはちょっと残念でした。ただ、打ち込みながらも、曲構成は、1980年代のシンセ・ウェーブのミニマルさはなく、かなり複雑な譜面でプログラミングしているので、こう言うところが、1980年代のシンセ・ウェーブとは大きく違うところなんだなと感心しました。個人的には、こう言う曲構成も好きですね。なので、女性Voもののシンセ・ウェーブでの「新」ジャンルに興味のある方は是非体験してみて下さい❗️ A4 “Mexi Meri” https://youtu.be/__4AInDTwWY?si=QluGuiGhySOylTW_ [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_legTbDusVwECJvHBAtyhKb-J7pIGEAU48&si=RcKaW6AlCoD542wo [BandcampのURLも貼っておきます] https://grouprhoda.bandcamp.com/album/wilderless #GroupRhoda #Wilderless #DarkEntries #USUnderground #OaklandElectroMusicScene #LivePerformance #Writing #SoloProject #宅録 #ThirdAlbum #SynthWave #ElectroPop #Synthesizers #DrumMachine #MaraBarenbaum #Max+Mara
Synth Wave / Electro Pop Dark Entries 1100円Dr K2
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Diamanda Galás “You Must Be Certain Of The Devil“
Diamanda Galásは、忘れた頃にやって来る!と言う訳で、ギリシャ系米国人の彼女の6枚目のスタジオ・アルバムになる"You Must Be Certain Of The Devil"を今回はご紹介します。彼女のバイオグラフィーは、以前に書いていますので、そちらをご参照下さい。それで、本作品”You Must Be Certain Of The Devil”なのですが、これは、3部作"Masque Of The Red Death"の3番目の作品に当たり、1番作"The Divine Punishment"と2番作”Saint Of The Pit"とで完成するとされています。この3部作は、1988年に3枚組CDとして、Mute Recordsよりリリースされています。この3部作は、彼女の兄弟であり、作曲家でもあるPhilip-Dimitri Galásが、丁度1作目を制作中にHIVに感染して、AIDSを発症した事と関係して、彼女はAIDSに関する作品を作ろうと決意し、作り上げたもので、AIDSに関する啓蒙や活動家としての参加と関係しているようです。しかしながら、彼女の弟は、1986年に、その3部作の完成を見るまでに他界してしまったとのことです。それで、本作品についてのクレジットですが、本作品には、Diamanda Galás (Vo, Hammond Organ, Piano, Synth, B-Kbd)の他に、Charlie Terstappen (Drs), F. M. Einheit (Drs [B2], Chains [A2]), Naut Humon (Sampler), Kurt Schmidt (G [A2,A4]), Peter Zimmermann (Perc)がゲストで参加しています。両面4曲ずつ収録されており、45回転のミニ・アルバムの体裁を取っています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ★A1 “Swing Low Sweet Chariot” (2:44)は、Galásの高周波ファルセットの独唱が気狂いじみたように響き渡ります。 ★A2 “Double-Barrel Prayer” (5:02)は、A1に連続して、Drsとシーケンスによる楽曲へと進む曲で、呪文のような多重化したコーラス(歌詞の朗読)や声帯をむき出しにするようなGalásのVoも混在してカオスへと雪崩れ込んでいきます。 ★A3 “Let's Not Chat About Despair” (4:59)は、這いずり回るB-Synthとピアノの上で、狂気のVoがパンしながら放射しまくり、やがて物音系ノイズも挿入されます。後半、GalásのVoは語り調になりますが、この時点で聴く者はカオスの中に放り込まれることに。 ★A4 “Birds Of Death” (5:15)では、Drsとcelloらしき持続低音による演奏をバックに、Galásが自由自在に叫ぶように歌いまくっています。バックの演奏は益々不穏になり、高揚するVoの迫力、そして最後のストリング・シンセやGやPercで緊張感はピークになります。 ★B1 “You Must Be Certain Of The Devil” (4:57)では、意外にも1950年代のポップス調の演奏ですが、Galásは相変わらず高周波Voで歌っており、コーラスも1人で担当しています。演奏と歌のギャップによって、彼女の凄まじさがより浮き彫りになっていきます。 ★B2 “Let My People Go” (3:21)は、Galásによるピアノの弾き語りですが、全ての悲哀を飲み込むような迫力があります、恐ろしいくらいに! ★B3 “Malediction” (4:18)では、シンプルなロック調のリズム隊に、Galásの狂人的なVoが悪意を撒き散らすが如く歌われ、更に多重録音によるコーラスやピアノも加わり、カオスの中に突っ込んでいきます。最後にはシンセも加わり、高周波Voと共にフェイドアウトしていきます。 ★B4 “The Lord Is My Shepherd” (1:32)では、歌うと言うよりも呼吸するように呪詛を吐く唱法を試しており、無伴奏となっています。 しかしながら、Diamanda Galásのアルバムは、毎回、分かってはいるものの、凄まじく狂的であり、混沌としており、取りつく島もなく、圧倒されるばかりです。それは、彼女が精神疾患とか言う訳ではなく、シラフでそう言った表現が出来ることが素晴らしいと、毎回、感嘆してしまいます。以前にご紹介した3部作の"The Divine Punishment"と”Saint Of The Pit”とを聴いた時から全然変わっていませんね。また、余り言われていませんが、彼女の歌詞にももっと注目が集まっても良いのではないでしょうか?まぁ決して明るい歌詞ではないですが、何か(恐らくはAIDS?)に対する呪詛のように、ある単語や言葉のパタンを繰り返したりするのは、彼女の唱法にマッチしているのだと思います。因みに、A2は、ミサ曲から、B1は旧約聖書の一部から歌詞が取られているようです。このアルバムも完成度は高いので、是非是非、彼女の壮絶な世界を体験してみて下さい! https://youtu.be/UsVW14its94?si=RJM5i_s-eHTXGSnP [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLaUZvzqQ0efQ77Vjah4PVkPlLpRQoDc8C&si=Tll82rX9cm09PESJ #DiamandaGalás #YouMustBeCertainOfTheDevil #MuteRecords #6ThAlbum #Trilogy #MasqueOfTheRedDeath #ForAIDSPatients #Philip-DimitriGalás #TheDivinePunishment #SaintOfThePit #Experimental #Vocalization #Organ #Piano #Synthesizers #Bass-Synth #Guests #CharlieTerstappen #F.M.Einheit #NautHumon #KurtSchmidt #PeterZimmermann
Avant-Garde / Vocalization Mute Records 不明Dr K2
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Hans-A-Plast “2”
またまた、来ましたよ、Hans-A-Plastです。彼等は、1978年結成のHannover出身の独パンクバンドの古参で、以前に、彼等のライブ盤とファースト・アルバムをご紹介していると思うのですが、覚えていらっしゃいますか? 今回は、彼等のセカンド・アルバム”2”をご紹介します。Hans-A-Plastのバイオグラフィーは前回、書いてありますので、そちらをご参照下さい。メンバーは、いつものAnnette Benjamin (Vo, Sax), Jens Meyer (G, Vo), Micha Polten (G, Vo), Renate Baumgart (B, Vo), BettyことBettina Schröder (Drs, Vo)の5人組で、内容は、A面7曲/B面5曲となっています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。因みに、2021年にバンドの創設者でもあるJens Meyerは他界しています。 ★A1 “Spielfilm” (2:40)は、インダストリアルなイントロから始まるノリのよいパンキッシュな曲で、間奏の鈴の音も良いです。 ★A2 “Reicher Vati” (2:42)も、パンキッシュな元気一杯の曲ですが、ここに来て漸く、BenjaminのSaxプレイが聴けました。 ★A3 “Kunde Und Vieh” (3:30)は、シンコペーションなリズムも持ち合わせたアップテンポな曲ですが、最早、ポストパンクです。スキャットやBソロもあり、曲構成も凝っています。 ★A4 “Dicke Kinder” (2:37)は、それぞれが何となく勝手に音出ししているようなフリーなイントロから始まる、切羽詰まったような曲調が秀逸で、Saxも聴取できます。 ★A5 “Sicherheit” (2:42)は、独特なユーモアを感じることが出来る何処か変な曲で、それが結構速いテンポで演奏されています。最後のコーラスもグー! ★A6 “Machtspiel” ~ ★A7 “Eidexe Kriech (3:31)は、闇を切り裂くGで始まり、アップテンポな小気味良いポップパンクな曲と成りますが、その内、軍靴の靴音に合わせた、何とも心許ない合唱になっていきます。まるで、予測不可能な面白さです。A6とA7はメドレーです。 ★B1 “Humphrey Bogart” (2:47)では、単に直線的なビートだけではなく、突っかかるビートや緩急を付けたり、反復したりと中々凝った構成になっており、上物にはコーラス等を使ったりと曲構成も意外と複雑です。 ★B2 “Kurz Und Dreckig” (3:09)も、最初のコーラスで油断していたら、いきなりアップテンポなビートをかましてくれます。間奏ではSaxソロや時に聴かれる変なブレイクとかもアイデア一杯で絶品です。 ★B3 “Tuaregs” (5:25)は、ミドルテンポで、自在なSaxソロやGのリフで始まりますが、Voが出てくると硬く垂直飛びをするようなビートになります。スローな曲ですが、Saxも沢山入っています。 ★B4 “Ich Zünd Mich An” (2:10)では、Gのリフから始まるアップテンポな曲で、早口Voと対比して、途中のGのリフがしょぼくて素敵ですね。最後はスパニッシュっぽいアンサンブルで終わります。 ★B5 “Mono-Ton” (3:49)は、最初、片方のスピーカーからしか音が出ておらず、故障か?と思い、そのまま聴いているとアップテンポのパンキッシュな曲なんですが、意外とGもフリーキーにかき鳴らされています。途中で反対側から人声が聴こえてきて、わざとなんだなと安心しました。 確かに、このアルバムは、単にパンクの枠では収まらずに、割と変なアレンジやちょい複雑な曲構成も聴けて、Hans-A-Plastのよりフリーキーな面とかポストパンクな面が出てきているようです。なので、このメンツでは最高峰の出来ではないでしょうか?また、Bの音も充分聴こえ、そのフレーズも絶妙で、また、BettyのVoとの掛け合いも良い味付けになっています。しかも、独逸語歌詞を早口で歌ったりして、独特のユーモアもあり、正しく、Hannoverの代表的ポストパンク・バンドに成長していますね。なので、ポストパンク好きなリスナーさんはトライしてみては如何ですか? 因みに、元々、彼等はX-Ray Spexのライブで衝撃を受けて、バンドを始めたようです。 https://youtu.be/B_YGaSe5scs?si=tMRk_KzSumHk00HU #Hans-A-Plast #2 #TapeteRecords #Reissue #2023年 #NoFunRecords #1981年 #2ndAlbum #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Punk #PostPunk #AnnetteBenjamin #JensMeyer #MichaPolten #RenateBaumgart #BettinaSchröder
Neue Deutsche Welle (German New Wave) Post Punk Tapete Records (No Fun Records) €10.00Dr K2