Humpe Humpe “ Humpe・Humpe”

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Humpe Humpe (フンペ・フンペ)。これは、以前に紹介したNeue Deutsche Welle (NDW: German New Wave)の真っ只中にいたバンドNeonbabiesで、VoとKbdを担当していた実の姉妹Annette Humpe (Anita Spinettiと名乗っていた)とその妹Inga Humpe (Inga DiLemmaと名乗っていた)が、その後1980年〜1983年に在籍していたバンドIdealを経て、更にその後1983年〜1985年に在籍していたバンドDeutsch-Österreichisches Feingefühl (因みにこのバンド名はDAFを文字ったもので、2枚のアルバムを出しています)を経て、姉妹だけで1985年に結成したデュオのことです(因みに、IdealのメンバーはTrioとも仲が良く、特にAnnetteは彼等の曲にコーラスでゲスト参加もしたりもしています)。彼女らは、1987年にデュオを解消するまでに2枚のスタジオ・アルバムを制作し、中でもシングルカットされた”Careless Love”は独シングルチャート24位まで上りました。独国内では、Inga & Anete HumpeとかHumpe Humpeとして知られていましたが、英国では、英語でHumpeが隠語を意味することからSwimming with Sharks (彼女らのセカンド・アルバムの表題でもあります)として知られていたそうです。1987年頃には、彼女達は、独国外、特に英国を意識していたこともあり、セカンド・アルバムからシングル"Careless Love"と"No Longer Friends"は、BBC Radio 1で盛んに放送されていましたし、英国の音楽誌も強くプッシュしていましたが、英国チャートには反映されませんでした。デュオを解消してからの2人の動向ですが、姉のAnnetteは、1990年に初のソロアルバム”Solo”をリリースしたものの、1997年〜2002年の間、表舞台から退く形で、作曲やプロダクションなどに携わっていました。その後、2004年に、Adel TawilとIch + Ichと言うデュオを結成し、独では結構成功しています。一方、Ingaの方は、TrioのStephan RemmlerやMark Almond等の他のアーティストのバック・ヴォーカル等を行いながら、1990年には自身のソロアルバム”Planet Oz”をリリース、またBamby名義で、アルバム”Walls of Sugar”もリリース、その後、1994年には、Kylie Minogueの為に”Automatic Love”を作曲したり、また、Andreas DorauがプロデュースしたHumpeのアルバムを聴いたことで、1993年から付き合い出したTommi Eckartとは、2000年にBerlinで2raumwohnung成るエレクトロ・ポップ・デュオを結成し、現在も現役で活動しています。

 と言うのが、Humpe姉妹の流れですが、本作品について紹介しましょう。彼女らは、それまでのバンドでも曲は書けましたので、多少の他者との共作はありますが、全曲彼女らの作曲となっています。また、A3, A4, B2, B4, B5は、Conny Plankが、A1, A2, A5, B1, B3 はRoma Baranがプロデュースしています。内容は両面とも5曲ずつ収録されていますが、それぞれの曲で、バック・ミュージシャンを従えて、両姉妹(特にIngaの方)がVoを取る形となっていますが、歌詞が2曲以外全部英語なのはちょっと残念ですね。それでは、各曲について紹介していきます。
★A1 “3 Of Us” (3:39)は、強力なドラムマシンと生Drsに、ゴージャスなシンセとIngaの舌足らずなVoが乗る曲で、メジャーでも通用しそうな程、キャッチーです。
Inga Humpe (Lead-Vo, Kbd, Vo), Annette Humpe (Vo), Simon Jeffes (Megaphone-Vo), Carol Coleman (B), Jimmy Bralower (Drum Machine), David Van Tieghem (Drs), David Collard (Kbd), Ingo Bischoff (Kbd), Jeff Bova (Kbd) Klaus Buhlert (Kbd).
★A2 “Happiness Is Hard To Take” (3:56)は、独特な音色のキックのリズム隊に、Annetteの渋めなVoとサビでの姉妹のコーラスワークが映える曲で、極上のポップスに仕上がっています。MuteのDaniel MillerやDepeche ModeのMartin Goreも参加。
Annette Humpe (Lead-Vo, Kbd, Vo), Inga Humpe (Vo), Alistair McMordie (B), Carol Coleman (B),
Jimmy Bralower (Drum Machine), Gerd Paseman (G) Peter Viehweger (G, Whistle), Martin Gore (Kbd), Roma Baran (Kbd), Daniel Miller (Synth).
★A3 “Memories” (5:02)も、ゴージャスでキャッチーなシンセ・ポップスで、ちょっとだけ変調したIngaのVoと姉妹のコーラスは素晴らしいです。Drsを中心としたスケール感も大きく、これなら非独語圏でもヒットするのでは?と思ってしまいます。
Inga Humpe (Lead-Vo, Vo), Annette Humpe (Vo, Kbd), Hans Bäär (B), Rüdiger Braune (Drs), Rüdiger Elze (Mandolin).
★A4 “Can't Leave The Pool” (3:43)は、姉妹揃ってのユニゾンVoが優しく響く、やや落ち着いた曲で、また、サビでの息の合った掛け合いは素晴らしいです。
Annette Humpe (Lead-Vo, Kbd), Inga Humpe (Lead-Vo), Hans Bäär (B), Rüdiger Braune (Drs), Rüdiger Elze (G).
★A5 “Don't Know Where I Belong” (3:36)も、姉妹揃ってのVo(ひょっとするとIngaが声を重ねている?)で語るように歌う、落ち着いた曲で、最後に入ってくるドラムマシンも良い塩梅です。この曲にもMartin Goreが参加していますが、音は分からなかったです。
Inga Humpe (Lead-Vo, Vo), Annette Humpe (Vo), Carol Coleman (B), Jimmy Bralower (Drum Machine), Simon Jeffes (G), Martin Gore (Toy Kbd).
★B1 “Yama-Ha” (2:45)は、タイトルから分かる通り、あの「ヤマハ」ですが、日本企業の名前を連呼するVoと若干の和風な/琴のようなKbdの音色にちょっとズッコケます。しかし曲自体はキャッチーですね。
Annette Humpe (Lead-Vo, Kbd), Inga Humpe (Lead-Vo), Carol Coleman (B), Jimmy Bralower (Drum Machine), Simon Jeffes (G), Peter Vieweger (Hoo Ha).
★B2 “Geschrien Im Schlaf” (3:30)は、NDWっぽい曲調ですが、Ingaの可愛らしいVoは世界に訴えられるのでは?またAnnetteのKbdも凄くて、引き込まれます。この曲は独逸語の歌詞です。
Inga Humpe (Lead-Vo, Vo), Annette Humpe (Vo, Kbd), Hans Bäär (B), Rüdiger Braune (Drs), Rüdiger Elze (G).
★B3 “Yo No Bailo” (2:56)でも、舌足らずなIngaのVoがキッチュで、ホーンやPercとの合わせもトロピカルで、極上のポップスです。この曲の歌詞は英語でも独逸語でもないですね。伊太利語?
Inga Humpe (Lead-Vo, Vo), Annette Humpe (Vo), Carol Coleman (B), Jimmy Bralower (Drum Machine), Peter Vieweger (G, Piano), Phenix Horns (Horns), Sue Hadjopoulos (Perc).
★B4 “Belle Jar” (3:43)では、御大Conny Plank自ら組んだシーケンスに対して、堂々と歌うHumpe姉妹のVoも力強いです。サビなんかは、Eurythmicsにも匹敵する位です。
Annette Humpe (Lead-Vo), Inga Humpe (Lead-Vo), Hans Bäär (B), Rüdiger Braune (Drs), Rüdiger Elze (G), Conny Plank (Sequence).
★B5 “You Didn't Want Me When You Had Me” (4:18)は、再び落ち着いた雰囲気の曲調で、やや気怠く歌うIngaのVoとHumpe姉妹でのコーラスなんかは本当にメジャー級です。AnnetteのKbdもツボを押さえています。珍しく、Gが弾きまくってますね。
Inga Humpe (Lead-Vo, Vo), Annette Humpe (Vo, Kbd), Hans Bäär (B), Rüdiger Braune (Drs), Rüdiger Elze (G).

 と言う訳で、それまでNeonbabies〜Ideal〜DÖFとNDWの中で活動してきたHumpe姉妹が、実はメジャー級の作曲能力や歌唱力を持っていたと改めて納得しました。まあ、これには賛否両論あるとは思いますが、ポップ・ミュージックとしては本当に良く出来たアルバムだと思いますよ。個人的には、独語の歌がもっと聴きたかったですね。皆さんも機会があれば、是非聴いてみて下さい❗️(それにしてもB1 “Yama-Ha”の破壊力は凄かったw)

B1 “Yama-Ha”
https://youtu.be/JAuftdVhiGg?si=PpbDxb4QGdprHOF6

[full album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mtBKKO7xuQlP6BKb7lbdakT69meIlLi9A&si=KmFW_FJPhbStbpfv

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    4AD

    2024/01/03 - 編集済み

    日本盤出ましたよね

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      Dr K2

      2024/01/04

      出てますねー。音自体、メジャー指向ですから。

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