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Front “Alternativ”/“City West”
Frontは、Front242とは全くの別バンドで、Palais SchaumburgのRalf Hertwig (ラルフ・ヘルトヴィヒ)がやっていたバンドです。Hertwigは、高校生の頃は、ハンブルクで、Coroners (コロナーズ)と言うバンドのドラマーでしたが、その後に、Frontのドラマーに転じました。その後は、1981年〜1984年までPalais Schaumburgに加入しており、最初はドラマーでしたが、1983年からは、シンガーとして在籍しています。それで、Frontについてですが、メンバーは、Jörn Zimmermann (Vo, G, Melodica; ヨルン・ツィマーマン), Godehard 'Gode' Buschkühl (G; ゴーデハルド・ゴーデ・ブシュキュール), Jürgen Keller (B; ユルゲン・ケラー), Ralph Hertwig (Drs, G, Vo)でした。結成当初は、ネオスカとかネオファンクに分類されていましたが、ZickZackの理念でもある「新しいダンス・ミュージックの創世」に沿って、バンドはゆっくりではありますが、順調に進化して、1980年には、本格的なモダニスト・ファンク・バンドに成長しています。元々、Frontは、ハンブルク出身のCoronersのZimmermann, Buschkühl, Hertwigの3人に、ハイデルベルク出身のJürgen KellerがBで加入して出来たバンドです。ZickZackのコンピレーション・アルバム”Geräusche Für Die 80er (ゲレウッシェ・フュール・ディー・80アー)”にはCoronersで3曲で参加しています。また、Flying Pigの1980年代コンピレーション・カセット”Krawall 2000 (クラヴァール2000)”にもCoronersで参加しています。そうして、この辺りでFrontに改名しています。そして、1980年になると、Frontは、ZickZackのAlfred Hilsbergからシングルを出さないかと誘われて、本作品”Alternativ/City West”をリリースしています。この作品では、掻き鳴らされるパンキッシュでファンキーなGをフィーチャーし、「ポゴダンスの世界が今後どうなるか」を示しており、更に、ファンクとダブとを融合した新しいダンスミュージックであると評されています。これに続いて、4 曲入りのEP”Georg”をリリースし、本作品とは一転してハード・エレクトロニクスな内容になっており、見事にドライブするベースライン、ハンマービートを叩き出すドラム、泡立つエレクトロニクス、初期段階の D.A.F. のようなボーカルを備えた「正に時代を超越した曲」と評され、彼等のシングルとEPは両方とも英国BBCラジオのDJであるJohn Peelが放送しています。しかしながら、この年の初夏に、Godehard 'Gode' Buschkühl (G)が脱退し、その後トリオとして継続することを決め、Jörn Zimmermann (Vo, G, Melodica), Jürgen Keller (B), Ralph Hertwig (Drs, G, Vo)のラインナップで、彼らは、ハンブルクの魚市場にインスピレーションを得た作品”Blech und Liebe (ブレハ・ウント・リーベ)”とともにコンピレーション”Better too much than too little”に楽曲を提供していますが、前者はDiscogsには載っていません。その後、ドイツのさまざまな都市で行われたZickZackのフェスに出演し、1980年後半にはAbwärtsのオープニングアクトとして国内ツアーを敢行しまいます。その頃のFrontのライブに関しては、音楽誌の反応もほぼ絶賛に近い評価でした。それで、彼等は、GeisterfahrerのAndy Giorbinoを新ギタリストに迎えて、更なるコンサートをやる予定でした。また、1981年秋にはFrontのファースト・アルバムも予定されていましたが、1981年半ばにFrontは解散してしまい、アルバムも制作されませんでした。HertwigはPalais Schaumburgに移籍して、その後、Ziggy XY (本名Michael Jarick; Kosmonautentraum, Der Moderne Man)と共に、Bergtraum (ベルクトラウム)名義で12インチ・マキシシングル”Almenrausch (アルメンラウシュ)”をリリースしています。1990年代には、Andreas Dorauのリミックス盤に参加したり、ベルリンのTommi Eckart (2Raumwohnung)と共に、Perry & Rhodanと言うデュオもやっていたりします。一方、ギタリスト/VoのJörn Zimmermannは、Andreas DourauのバックでBを弾いていますが、弁護士としても働いています。ベーシストのJürgen Kellerは、Die Andreas Doraus &Die Marinasにも参加しており、元Palais SchaumburgのHolger Hillerの1983年作ソロアルバム”Ein Bündnis Fäuulnis in der Grube (アイン・ビュンドニス・フェウールニス・イン・デア・グルベ)”にも参加しています。最後に、途中で脱退したギタリストのGodehard 'Gode' Buschkühlは、1982年に、シンガーのMina Mur (本名Sabine Bredy)とEinstrützende NeubautenのMarc Chung, F.M.Einheit, Alexander Hackeと共に、Mona Mur & Die Mieterを結成しており、Mona Murのソロ名義の12インチ・マキシEP “Jeszcze Polska”を出します。そうして、2004年に、Mona Murのセルフ・コンピレーション・アルバムがリリースされた時には、彼のクレジットもちゃんと記載されていました。
以上が、Frontとそのメンバーの略歴となります。まぁこの頃は、バンドのメンバーも緩くて、他のバンドを掛け持ちしたり、ゲストで参加と言うことは多々あったと思いますので、何だか複雑な人間関係にはなっていますが。そんな中でも、Frontは、短い期間でしたが、かっちりとバンドとして活動していた訳です。そんな彼等が目指したのは、新しいダンス・ミュージックであり、ファンクであったと思います。と言う訳で、各曲を紹介していきますね。
I don’t
★A: “Alternativ” (2:18)は、鋭いGのカッティングとスラップ奏法も交えたファンクな曲で、Voもノリノリです。NDWにしては真っ当なファンク・ソングですが、Gang Of Four等との共通点もありそうです。
★B: “City West” (3:40)も、ミディアムテンポの曲で、よく動くBとカッティングに徹するG、リズムをキープするDrsをバックに、Voが歌いまくってます。途中でダブ的なエフェクトが掛かり、そこら辺に、Frontの先見性が感じ取れますが、PILっぽい気もします。
このシングルも音は全く覚えていなかったのですが、聴き直して、結構、真っ当なファンクだったのですね。ビックリです。特に、B面とかは、ダブの手法も取り入れており、その先進性に驚きました。このシングルも面白いので、NDWにおけるFrontの立ち位置が知りたい方は、是非とも聴いてみて下さい!また、2枚目のEPも面白そうなので、見つけたら、即ゲットですね!
A: “Alternativ” (2:18)
https://youtu.be/UG0-hpPxSEg?si=ASVaR32w4aZELzJ6
B: “City West” (3:40)
https://youtu.be/e4RQGGgbrG4?si=t6tuz5nQ6v4miw3A
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4AD
2024/06/29 - 編集済みFROSTのアナログは持ってませんが、2nd シングルのPolaroidは、2枚組NDWコンピCD UNTERGRUNDWに入っているので聴いたことあります。
この曲はちょっと初期のA CERTAIN RATIOのような雰囲気もあり FUNKというのも理解できますね。
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Dr K2
2024/06/29そうなんですよね。ドイツにしては珍しい真っ当なファンクなんですよ。B面は更にダブもやっています。結構、先見性がありますね。
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