Die Unbekannten “Dangerous Moonlight”

このDie Unbekannten(ディー・ウンベカンテン)については、以前に少し聴いて気になっていたので、今回、12インチを購入しました。それで、このバンドのバイオグラフィーを調べてみました。Die Unbekannten (英語ではThe Unknownの意味) は、1981 年 6 月、ベルリン在住の 2 人の英国人、Mark ReederとAlistair Grayによって、1981 年 6 月 17 日にKreuzbergの 有名なクラブSO36で開催された伝説の Konzert Zur Einheit Der Nation(コンチェルト・ツム・アインハイト・デァ・ナツィォーン「独逸統一の為のコンサート」の意) 出演の為に結成されています。彼らのセットリストは数日前に即席でまとめられ、歌詞はサウンドチェックを待っている間にクラブの向かいのパブで書かれたそうです。SO36 に出演したとき、彼らは実際には名前がなかった為、音楽ジャーナリストAndre Schwerdt (アンドレ・シュヴェルト)が地元の雑誌のレビューで彼らを「2 人の無名の英国人」と呼び、その後 Die Unbekannten という名前が定着したとされています。彼らの伝説的な初パフォーマンスの 1 曲”Radio War”は、The Unknown名義で、 Wild Youth Records のコンピ・アルバム”Licht Und Schatten”に収録されています。1981年後半、彼らは、Elisabeth Recker(エリザベス・レッカー)のMonogamから最初のヒット作となる12インチ”Die Unbekannten”をリリースしています。この物議を醸した3曲入りEPには、友人のThomas Wydler(トーマス・ワイドラー)がドラムで参加しており、冷戦時代の名曲”Radio War”, “Casualties” , “Poseidon(ポセイドン原子力潜水艦の沈没を歌った英語と独逸語のバイリンガルソング)”と言った、ダークで政治的なテーマの曲からなっています。この最初のEPのカバーアートワークは、EPのアートワークのために特別に入手された東ドイツ国境警備隊（VOPOS）3人の写真でしたが、写真の著作権の問題が発覚して、街中のDie Unbekanntenの宣伝ポスターが紙で隠されてしまいます。それを知ったバンドは、レーベルに訴訟を起こし、写真の使用許可を取り消して、数千枚を売り上げた後、オリジナルのEPは回収されています。また、Mark Reederは、女性グループ Malaria! との共同マネージャー兼サウンド・エンジニアでもあったので、Die Unbekannten は、Malaria! のサポートアクトとして欧州各地を広範囲にツアーする絶好の機会に恵まれています。1982 年の春には、The Human League のメンバーから、Roland TR-606ドラムマシンの初期プロトタイプを譲り受け、数日間の試した後、彼らはすぐにKreuzbergの Harris Johnsの録音スタジオに入り、”Don't Tell Me Stories”と”Perfect Love”を録音し、更に、もう２曲”The Game”と”Against The Wall” (こちらも Thomas Wydler がDrsとPercで参加)も追加して、MonogamからセカンドEP “Dangerous Moonlight”をリリースしています。このEPがバンドの大ヒットとなり、エレクトロ・ダーク・ウェーブの最初期の代表作とも言われています。因みに、”Don't Tell Me Stories”では、Renegade SoundwaveのDanny BriotettがポットをPercとして参加しています。その後の 2 年間で、メンバーもサウンドも変わり、Thomas Wydlerは、Die Hautに加入する為、バンドを離れ、ドラムマシンとエレクトロニクスによるサウンドと作曲スタイルになっています。そうして、P1/E の創設メンバーである Michael Schäumer(ミヒァエル・シェウマー)とスウェーデンのミュージシャンJeppe Eckholm (イェッペ・エックホルム)が加入しています。Reederの東欧の反体制派との広範なつながりを利用して、Die Unbekannten はハンガリーやチェコスロバキアなどの共産圏のディープな場所で、秘密裏に違法ライブを行っています。また、1983 年初頭には、彼らは、パンクバンドDie Toten Hosen とともに独、オーストリア、ハンガリーを巡る冒険的なツアーも行っています。1984 年、メンバーが再び変わっています。Jeppe はスウェーデンに帰国し、Schäumer は Yuji Kimura と Monika Dietl と共に自身のバンド Tennis Boy Blues を結成する為、脱退しています。そうして、代わりに、元 Soif De La Vie のメンバーである Leo Walter (レオ・ヴァルター)と Helmut Wittler (ヘルムート・ヴァッター)が加入しています。バンドは、New Orderの大規模な欧州ツアーのサポートアクトを務めるよう依頼されますが、オリジナル・メンバーのReederとGrayは、新しいメンバー構成、サウンド、曲に合わせて、完全なイメージ変更が必要だと考え、Die Unbekannten は Shark Vegasというバンド名に変わり、Die Unbekanntenは終焉しています。
　以上が、Die Unbekanntenのバイオグラフィーとなります。本作品は、彼らの初期の大ヒットEPで、この時のメンバーは、先述のように、Mark Reeder (Synth, B, G, Perc, Tapes & Effects, Occasional Vo, Programming), Alistair Gray (Vo, B, Synth, Programming), Roland Six-O-Six (DrumMachine)で、ヘルプとして、Thomas Wydler (Drs, Perc [B1]), Danny Briotett (Timbales, Perc, Kettles [A1]), Michael Schäumer (Synth, Cigarettes), Eckholm (Synth, Vln), Abu Hamil (Vo [B2])が加わっています。エンジニアは、A1だけHarris Johnsですが、残り３曲はFrank Osterlandが行っています。そして、本作品の内容ですが、独逸臭さは余りなく、英国のゴスっぽいダークな曲調が特徴です。特に、A1なんかは4ADとかから出ていてもおかしくない位の完成度と曲調ですし、A2も同じく、激しさは無く、リズムマシンに合わせてダルそうに歌うMark Reederの声が虚空に響きますが、割とミニマルな曲です。B1はいきなりギターの刻みから始まり、生ドラムも入ってきますが、やはり英国ゴス・ロック調で、ちょっと激し目の曲です。B2では、一転、イスラミックな歌唱をバックにポストパンク的な曲調になっています。ベースラインが良いですね。全曲歌詞も英語ですし、、、。しかしながら、英国人が中心にやっているので、独逸臭さが余り感じられないのは分かりますし、寧ろ、英国ダークウェーブ/ゴス・ロック調なのも良く理解できます。なので、生粋のNDWと言えるかどうかは別として、当時のNDWの中では異質な存在であったのだろうと想像には難くないですね。4ADファンやダークウェーブ・ファンにもお勧めの１枚です！！

A1 “Don't Tell Me Stories” (5:01)
A2 “Perfect Love” (4:26)
B1 “Against The Wall” (2:38)
B2 “The Game” (7:26)

A1 “Don't Tell Me Stories” (5:01)
https://youtu.be/mlvyOp79W64?si=rd8KwiZ6pvVissXN

A2 “Perfect Love” (4:26)
https://youtu.be/DI0lo-hBBGg?si=qxi1XvSiHl62LbF5

B1 “Against The Wall” (2:38)
https://youtu.be/zwAd5hF5e7o?si=OkRKNicq65IgEvnH

B2 “The Game” (7:26)
https://youtu.be/AXRWj1EG4G8?si=BZjcTSR1y8QQCveA

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