Polyphonic Size “Earlier / Later”

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皆さんは、Polyphonic Sizeってバンドを知っていますか? 多分、1980年代初頭から始まったシンセ・ウェーブとかに興味の無い方は知らないと思います。当時は、宅録機材の普及、安価なシンセやリズムマシン、カセット・カルチャーの台頭等の理由から、このような機材を使って、エレ・ポップな音楽を作って、カセットにダビングして交換!なんてことが、世界同時多発的に行われていました。そんな宅録バンドの一つが、このPolyphonic Sizeなんです。Polyphonic Sizeは、ベルギーBrusselsで、1979年にRoger-Marc Vande Voordeによって始まったシンセ・ウェーブなユニットで、彼の他に、France Lhermitte (Vo), Kloot Per W (G, Vo), Martine Bourlée (Vo)もヘルプで参加していたらしいです。それと、結構、早い時期から、英国The StranglersのJean-Jacques Burnelがプロデューサーとしてコラボしており、時には、コーラスでも参加しています。Polyphonic Sizeは、1979年にデビュー・シングル ”Algorhythmic E.P.”を出してから、1990年に最後のシングル”Nosotros”をEMIから出すまで、割とコンスタントにレコード(アルバム4枚、シングル12枚)を出していますが、1990年以降はリリースが無いので、恐らく活動を辞めたものと思われます。しかしながら、それ以降も本作を含めて、3回もセルフ・コンピ・アルバムが作られていることから、それなりの人気(需要)はあったようです。曲は基本的はRoger-Marc Vande Voordeが書いており、シンセの演奏やリズムマシンの打ち込み等も彼が1人でやっていたようです。とすると、「Polyphonic Size= Roger-Marc Vande Voorde」と考えても良いでしょう。
 それでは、本作品について紹介していきます。関係者は、Roger-Marc Vande Voorde (All Instruments), Dominique Buxin (Lyrics [A1-B1, B3-B5])で、B2はThe Rolling Stonesのカバーです。なお、Jean-Jacques Burnelが、A3, B2-B5についてはプロデュースしています。内容としては、A面6曲/B面5曲で、A面は”Earlier”とB面は”Later”と副題が付いています。それでは、各曲を紹介していきましょう。

◼️side Earlier
★A1 “Kosmik Rok” (1:55)は、チープなリズムマシンに、手弾きのウニョウニョしたベース・シンセをエフェクトとかで弄りながらのインスト小曲です。
★A2 “Space Rejection” (2:05)も、やはりチープなリズムマシンに、ミニマルな手弾きのペース・シンセに合わせて、呪文のような女性Voとホワイトノイズ的SEが乗る曲です。
★A3 “Nagasaki Mon Amour” (4:03)では、シンセで作ったワルツのリズム(シーケンサー使っているのかな?)に、VoとSE的シンセから成る曲ですが、サビの所は良いメロディでグッと来ます。この曲は、Ultravox!の”Hiroshima Mon Amour”への返答曲かな?
★A4 “Ommatidia” (2:39)では、シンセのパルス音をリズムに、女性Voとホワイトノイズ多目の電子音とオルガンっぽいシンセ音で、アイデアが詰まってます。
★A5 “Party” (2:47)も、シンセのパルス音がリズムな曲で、安っぽいシンセのメロディとエフェクト掛けたVoが乗っています。最後にモールス信号あり!
★A6 “Saison” (3:43)は、割とちゃんとしたリズムマシンに、ウニョウニョしたアシッド過ぎるシンセと呪文のようなVoから成る曲で、シーケンサー等は使っておらず、メロのシンセもほぼユニゾン!
◼️side Later
★B1 “Logique Polygonale” (3:36)は、SE音(ホワイトノイズ)とリズムマシンと手弾きシンセから成るシンプルな曲で、フラマン語(?)のVoが乗ってきます。しかしながらチープな構成です。
★B2 “Mother's Little Helper” (3:06)は、ノリの良いリズムマシンとシーケンサーとG(?)らしき音に、やるせないVoから成る曲で、これはカバーですが、原曲とはかなり印象が違いますね。
★B3 “RDA-RFA” (2:52)も、リズムマシンとホワイトノイズのスネア音とシーケンスとドリーミーなシンセをバックに囁くような女性(?)Voが流れる曲で、今までよりもアレンジは凝っています。
★B4 “Parties Dance” (4:08)は、リズムマシンに、シーケンスとエレピのような音と朗々としたVoで、曲の構成も良い塩梅で、シーケンスはミニマルですが、アレンジはちょい複雑です。
★B5 “Night Is Coming On” (4:11)も、リズムマシンとシーケンサーによるベースラインに、綺麗なシンセ音が色付けし、エロチックなVoとコーラスも入っており、曲の出来としては、漸く「普通」のシンセウェーブです。

 やっぱり、JJプロデュースの方が、音楽的には成熟度が高いと言えますが、その分、より「普通」になっており、Polyphonic Sizeの程良いチープで駄菓子のような味が薄まってしまっているように感じました。ここら辺は意見が分かれそうですね。私はとしては、A面とかのチープな一発録りのような構成よりも、B面のちょっとだけ凝った録音の方が好きですが、どうでしょう?まあ、とにかく、聴いてみて下さい❗️あと、Vande Voordeは、ホワイトノイズを多用するのも特徴ですね。こんなに使うアーティストは余りいないと思います。まあ、それも好き好きですが、、、。

B2 “Mother's Little Helper”
https://youtu.be/TXYZOrkkVKk?si=0NQbX_z1W6fSLFyh

[オマケ: live version Polyphonic Size w/ J.J.Burnel “Je T'Ai Toujours Aimée”]
https://youtu.be/jdt0nA8u9Ks?si=blS8qkrDy_XABKB6

[full album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nCBnW2BVN3aLhUqoHTbOfOGahtuI9CzxQ&si=6cLM4ECd0qFmgOml

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    4AD

    2023/12/25 - 編集済み

    1st LPと Mothers Little Helper 12" だけ持ってます。 1st 7"アルゴリズミックは 僕の好みではなかったので、Disk Unionに売り飛ばしました。

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      Dr K2

      2023/12/26

      好みは人それぞれですからね。私は好きですけど。

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