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Der Moderne Man “80 Tage Aus See”
漸く、入手しました。Der Moderne Manのファースト・アルバム”80 Tage Auf See (80ターゲ・アウス・ゼェー)”です。が、再発盤ということで、比較的入手や代金はそんなに困る程ではありませんでした。Der Moderne Manのバイオグラフィーは、前回までに書いてありますので、そちらをご参照下さい。Der Moderne Man (デァ・モダーネ・マン)は、1979に独ハノーバーで結成されていますが、本作品では、若干メンバーの入れ替えがあったようで、参加者は、Ziggy XY (Vo, Synth; 本名Michael Jarick; ミヒャエル・ヤリック), E. K. T. (G, Back-Vo; 本名Eckart Kurtz; エッカート・クルツ), Mattus (B, Back-Vo; 本名Martin Simons; マルチン・ジモンズ), Claudi H. (Drs, Piano, Kravierteile; 本名Claudius Hempelmann; クラウディウス・ハンペルマン)の4人です。バンドとしては、1984年に解散しています。担当楽器からも予想できるように、シンセとかが隠し味になったニューウェーブ調〜パンク調の楽曲が並びます。内容はA面8曲/B面7曲が収録。それでは、各曲についてご紹介しますね。 ★A1 “Der Unbekannte” (2:12)は、イントロが特徴的ですが、何と無く投げやりなVoとベースラインが特徴的もパンキッシュな曲です。 ★A2 “Telefonlied” (2:04)は、シンコペーションのドラムで始まる曲で、語り調のVoが乗る曲ですが、途中で歌う部分もあります。 ★A3 “Dreizehn” (4:04) は、ややレゲエ調のリズムを用いた曲ですが、Voは怒声〜呟きまで使いこなして、サビになると通常のロック調になり、途中でブレイクが入り、そこにSE的シンセが加わります。 ★A4 “Haarschnitt” (3:17)は、直線的Bのリフに、SE的シンセとピアノが絡むドラムレスな曲で、そこにVoが入ってきますが、ピアノのアレンジが何か変です。 ★A5 “Dauerlauf” (1:39)は、突進するようなストレートなパンクな曲で、投げやりでヘナヘナなVoは相変わらずですが、コーラスは良いですね。 ★A6 “Licht Und Dunkelheit” (3:45)は、やや凝ったイントロで始まり、反復するようなリフ回しの後、サビはコーラスワークとバタバタなDrsで乗り切る曲で、間奏にはピアノソロが!でも合っていないような!? ★A7 “Mitternacht” (1:48)は、Wireの”Pink Flag”に入っていそうな反復する曲で、地味ながら興味深いです。また間奏には変なシンセが入ります。 ★A8 “Gib Mir Den Tod” (4:08)は、珍しく歪んだGを使った曲で、Bが活躍しており、コーラスがグー! カズーのようなシンセ音が面白いです。 ★B1 “Farblich Gesehen” (3:13)は、やたら慌ただしいアップテンポの曲で、Drsはハードコアと言うよりもカントリー&ウエスタン調に近いです。ダレたかなと思ったら、最後にVoが「黒!」って叫んで終わります。 ★B2 “Heute” (3:03)は、ドラマチックな曲調ですが、如何せんシンセの音がショボ過ぎるインスト曲です。 ★B3 “Vergesslichkeit” (2:56)も、スパイ映画のサントラのようですが、ちゃんとパンキッシュな曲になります。サビのコーラスは良いですねー。 ★B4 “Flucht” (5:52)では、シンバルが響き渡り、Gの爪弾かれるイントロから、単調なリフでのパンクな曲へと移ります。間奏ではBソロも聴取できますが、最後は息切れで終わります。 ★B5 “Unmodern” (1:48)でも、歪んだGがリフを刻むアップテンポな曲ですが、Voはタイトルを何度も叫んでいます。 ★B6 “30 Grad - / 30 Grad +” (3:35)は、中々カッコ良いイントロで始まる曲で、Voにもやる気が出てきたようです(おいおい、やっとかよ!)。 ★B7 “Disco-Lied” (3:51)では、直立したリズムに、正気を帯びたVoが歌い上げるノリの良い曲ですのら最後はちょっとだけグチャグチャに! しかしながら、Der Moderne Manってこんなんだっけと、そのショボさにビックリしました。確か、VoのZiggy XYことMichael Jarickは、あのKosmonauntentraumに在籍していたのだと思いましたが、如何にもぶっきらぼうに歌っており、録音の性か、どうも説得力に欠ける感じがします。逆に、それが面白いとも思えるのかも知れませんが。なお、彼はこのアルバムの後に脱退しています。どうにも彼にとっては、不完全燃焼だったのではないでしようか?でもここら辺の脱力が下手ウマで面白いとも言えますが、皆さんどうでしょう?私はもう一度、セカンドとかを聴き直してみたくなりました! https://youtu.be/02nuhhwO_W0?si=9xW2mPX6f0lhB3Ip [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLpKx6HYPySaQZOqRdW_TnLo-4dyb2jQIR&si=wokcCV4d0sfEm9w9 #DerModerneMan #80TageAufSee #FirstAlbum #2019年 #RockersRecords #Reissue #1980年 #NoFunRecords #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Punk #NewWave #Synthesizers #ZiggyXY #E.K.T. #Mattus #ClaudiH.
Neue Deutsche Welle (German New Wave) Rockers Records (No Fun Records) €15.00Dr K2
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Lost Gringos “Nippon Samba”
久しぶりに入手しました。そうです、独ATA TAKのLost Gringosの12㌅EP “Nippon Samba”です。発売当時、私はこのEPは認識してはいたのですが、ジャケの余りにもやり過ぎ感が強くて、どうにも触手が伸びませんでした。しかしながら、NDWを極めようとする中で、どうしても聴いておかなきゃと思い立ち、海外購入した次第です。Lost Gringosについては、前回のEP “Troca Troca”の時に書いてありますので、そちらをご参照して下さい。それで、Lost Gringosは、Eberhardt Steinkrüger (Piano, Vo, Tapes; エバーハルト・シュタインクリューガー)とPete Jekyll (G, Sax; Programming [A1, B1]; ピート・ジェキル)のデュオで、今回は、Keiko Miller (Vo), Zins Zinsius (B, Wood-B), Karl-Heinz Tango (Drs, Perc, Vibraphone, Marimba), Hideto Sasaki (Back-Vo), Laurie Lovecraft (Back-Vo), Rudi Glaser (Back-Vo)が、ゲスト参加しており、A面2曲については、Pyrolatorがマスタリングを担当しています。ただ、Pete Jekyllは、ATA TAKのスタジオ・ミュージシャンのようで、このLost Gringosが本当の意味での「デュオ/グループ」だったのか?それともレーベルが仕掛けた洒落みたいな存在(ゲストも含めて)だったのか?は、今持って不明です。と言うことを念頭に置いて、各曲を紹介していきましょう。 ★A1 “Nippon Samba (Receitap'ra Sambar)” (5:30)は、打ち込みから始まるサンバ調の曲で、「歌え、踊れ、叫べ、行け、行け、日本サンバ!」を始めとして日本語の歌詞をKeiko Millerが歌っており、思わず脱力しますが、時に挿入される牛の鳴き声や自動車のクラッシュ音等が中々味わい深く、コラージュのセンスの良さを感じますね。 ★A2 “Ohne Dich (Sinti)” (2:25)は、一転、スパニッシュ調で、男性Vo(Steinkrüger?)が、フラメンコGとリムショットとWood-Bに合わせて朗々と歌っており、これはこれで脱力してしまいます。 ★B1 “Tambo Machay” (4:32)は、ドラムマシンとシーケンスに、シタール様の弦楽器が何となく中近東風で、囁くような男性Voがしっとり歌っています。細かいGやKbdも中々捨て難いポイントになっていますし、コーラスによる盛り上がりや民族楽器調のSaxもグー! ★B2 “Vida De Inés” (2:20)は、鶏の声で始まり、女性による語りと微かなアコーディオンらしきバックで始終さる曲で、正直、意味不明です。 この作品も、無国籍風というか、日本&ブラジル〜スペイン〜中近東〜スペインと言うように何の脈絡も無く、しかも沙汰なくこなしており、このレコードの存在意義自体が既に意味不明です。ですが、A1での歌詞もさることながら、サウンド・コラージュのカットインとかの手法は、当時としては画期的であり、そこに実験性を見出すことはできます。しかしながら、全体としては、ジャケのゴチャゴチャ感が彼等の本質なんだろうなと想像しますが、どうなんでしょう?それとも、単なる語呂合わせ的なおふざけなんでしょうか? Pete Jykeyll氏に直接問いたくなっちゃいますね。そんな珍盤です!好事家の方にもお勧めです。 https://youtu.be/kDF-9hyIOzA?si=T5Y7t9YS0kKzgpMJ #LostGringos #NipponSamba #AtaTak #1982年 #12inchEP #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #MondoMusic #NewWave #KeikoMiller #EberhardtSteinkrüger #PeteJekyll #ZinsZinsius #Karl-HeinzTango #HidetoSasaki #LaurieLovecraft #RudiGlaser #Mastering #Pyrolator
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Synth Pop ATA TAK €20.00Dr K2
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Die Doraus und Die Marinas “Die Doraus Und Die Marinas Geben Offenherzige Antworten Auf Brennende Fragen”
ファースト・アルバムで、世界のロリコン・リスナーに衝撃を与えたDie Doraus & Die Marinasですが、今回は、この名義でのセカンド・アルバム”Die Doraus Und Die Marinas Geben Offenherzige Antworten Auf Brennende Fragen”(それにしても長いタイトル!「DorausとMarinasは、どんな炎上案件にも寛大な心で答えますよ」と言う意味らしい)を紹介します。私の購入したのは、Bureau Bによる再発盤の方です。この頃のAndreas Dorauには、私それ程の興味は無かったのですが、去年、彼のソロ名義のアルバムを聴いて、やっぱり、最初からちゃんと聴かなきゃと思い、聴いていなかったDie Doraus & Die Marinasのセカンド・アルバムを入手しました。一時期、アイドル的にもてはやされていたDorauですが、メジャーからのリリースになっており、今回は、ATA TAKやLost Gringos, Ja Ja Jaのメンバーの協力を得て、独自のポップ路線へと向かおうとしています。彼のバイオグラフィーとかは前回、書きましたので、詳しくはそちらをご参照下さい。今回は、首謀者としてAndreas Dorau以外に、Jürgen Keller (B), Moritz von Osswald (Drs), Christian Kellermann (Sax), Young-Hack Chi (Synth), Helge Gabrecht (Trumpet)が参加しており、彼等以外に、スタジオ・ミュージシャンのFrank Samba (Ja Ja Ja), Pete Jeckyll (Lost Gringos), Ralf Nowi, Rolf Albrichもヘルプで参加しています。なので、上述のスタジオ・ミュージシャンをまとめて、Die Dorausとし、女性コーラス隊(クレジットはされていない)をDie Marinasとしているようです。そして、Der PlanのFrank FenstermacherとPyrolatorことKurt Dahlkeがプロデュースをしています。それでは、各曲について紹介していきましょう。 ★A1 “Die Welt Ist Schlecht” (3:03)では、ノリノリのリズムに、若きDorauや女性コーラスが童謡ポップ調に歌っています。コーラス最高ですね。 ★A2 “Agent” (2:18)では、スラップ奏法もキメるBを含むリズム隊と豪華なホーン隊をバックに、Dorauが歌いまくってます。女性コーラスも良い感じです。 ★A3 “Feierabend” (2:31)では、リズム隊とホーンとオルガンをバックに、Dorauが歌い、時に入るアコーディオンや口笛が絶妙です。歌謡曲調?アニソン調? ★A4 “Zu Spät” (3:58)では、アコギのアルペジオとKbdに合わせて、女性(?)Voがしっとり歌っており、間奏のGやFluteも絶妙です。やがてリズム隊も入ってきます。 ★A5 “Polizist” (3:09)は、性急なテンポのリズム隊と若きDorauのVoとホーン類から成るポップな曲で、隠し味にシンセや女性コーラスが入ってきます。 ★A6 “Guten Morgen” (5:19)では、緩めのファンクなリズム隊に、呟くようなVoが入ってきます。間奏のホーン類やシンセもグー! ★A7 “Grosser Bär - Kleiner Bär” (3:17)は、簡素なリズム隊と女性コーラスに、若いDorauのVoが入ってくる曲ですが、ホーン類や鉄琴も良い味を出しています。 ★A8 “Texas” (3:30)は、いきなりバンジョーで始まっなら、直ぐにテープ操作した後に、何ちゃってカントリー調ポップソングになります。歌詞は勿論独逸語です! ★B1 “Fatme” (3:47)は、中近東風のGメロディで始まりますが、基本は子供ディスコな曲で、ホーン類や女性コーラスもバッチリです。 ★B2 “Satellit” (3:39)は、未来的なシンセのパルス音とトランペットで始まり、やがて、Dorauの初々しいVoとポップな曲調が見事にハマっている曲です。 ★B3 “Sandkorn” (3:32)は、アコースティックな楽器による曲で、ちょっとビックリします。幼なげなDorauのVoが何とも良い雰囲気です。 ★B4 “Die Welt Ist Schlecht (Dub)” (6:28)は、A1のダブ曲で、もうやりたい放題です。逆回転やサンプリングやVoのディレイ処理等々。それでもポップに聴かせるのは、彼の才能ですね。 ★B5 “Kleines Stubenmädchen” (3:40)は、シンセBで始まりますが、可愛いらしい曲調と女性Voによるポップソングに仕上がっています。間奏のストリングスが程良い感じです。 ★B6 “Katharina” (4:00)は、シンセBと生Drsの リズム隊とピアノを背景に、変調Voが入る曲で、ちゃんとポップソングとして成立しているのが、Dorauらしいです。 ★B7 “Höllentingeltangel” (2:53)は、性急なビートとホーン類(?ストリングス・シンセ?)から成る曲で、変調Voで歌いまくっていますが、これは既知の曲のセルフ・カバーですね。 Dorauのソロ名義よりも、意外と女性コーラスや女性Voも使っていて、その分量が何とも良い塩梅になっており、今で言う「地下アイドル」っぽいかな?と感じました。やっぱりDie Marinasはあるんだなと!それにも増して、Dorauの作曲能力の凄さが感じられ、所謂「Andreas Dorau節」と言うべき節回しと引き出しの多さとアレンジが優れていると実感しました。後、Dorauの声がまだ幼い感じが残っており、それが何とも言えず、気恥ずかしいような気がします。まぁ人それぞれだとは思いますが。この作品をもって、Die Doraus & Die Marinas名義での音源は終わります! https://youtu.be/ZCXB2K5p-Fw?si=Qb7am7fOwM-J6x4z [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_k1IpGjoDGgkMrCN5jgj9fi9JGLCUP2PE8&si=lU0JzCr1shxXNxot #DieDorausUndDieMarinas #DieDorausUndDieMarinasGebenOffenherzigeAntwortenAufBrennendeFragen #BureauB #2012年 #Reissue #CBS #1982年 #SecondAlbum #DieMarinas #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #NewWave #PopSong #FemaleChorus #AndreasDorau #JürgenKeller #MoritzVonOsswald #ChristianKellermann #Young-HackChi #HelgeGabrecht #StudioMusician #FrankSamba #PeteJeckyll #RalfNowi #RolfAlbrich #Producer #FrankFenstermacher #Pyrolator
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Pop Song Bureau B (CBS) €40.99Dr K2
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Nacht’Raum / Bande Berne Crematoire “Expanded LP 1982-1984”
これも謎物件です!何でこれを購入したのか?全く記憶にありません。それで、ちょっと調べて見ました。すると、どうもこの作品と言うのは、Nacht’Raum (ナハトラウム。「夜」と「夢」を合わせた造語?)とBande Berne Crematoire(バンデ・ベルネ・クレマトール。以下BBCと表記)のスプリットで、1980年代初頭の発掘音源かと思ってました。それでもう少し深掘りすると、両者とも、スイスのシンセ奏者Michael Antener関係のユニットと言うことが分かりました。Nacht’Raumは、Michael AntenerとMichael Stämpfliのデュオで、BBCはMichael Antenerのソロユニットであり、両者共、1980年代初頭にスイスのシンセ・ウェーブ〜インダストリアル辺りのシーンで活躍、と言うか宅録してのカセット作品とかの流通で活動していたユニット/アーティストであった訳です。それで、本作品はNacht’RaumとBBCのセルフ・コンピ・アルバムなんですが、Nacht’Raumは、1984年にリリースしたセルフ・タイトルのファーストLPから、A2, A5, A6, B1, B3, B5の6曲を、BBCは、1985年にリリースしたセルフ・タイトルのカセット作品から、A1, A3, A4, B2, B4の5曲を抜粋して、コンパイルされた一種のセルフ・コンピに近いアルバムです。ただ、B2はかなり短く編集されており、また、B6は、Nacht’Raumが、1983年リリースのカセット・コンピ・アルバム”It's My (The) Age 7 “に提供した曲とのことです。また、Nacht’Raumでは、オリジナルの作品には、Dani (G)とSara! (Vo)がゲスト参加しているのですが、肝心のメンバーのMichael Stämpfliに関しては、何を担当していたかは、不明です。そうして、Nacht’RaumもBBCもオリジナル作品としては、前述の作品以外には1〜2作位しか出していません。なので、今回のリイシューは大変貴重な音源と言えるでしよう。またNacht’Raumは、2006年に、B6を除いて、セルフ・タイトルでLP再発していますが、その前までは殆ど活動していないようです。1〜2回再発をしていますが、その度毎に曲順が変わったりしています。そんなスイス・アングラ・シーンの徒花Nacht’RaumとBBCのセルフ・コンピ収録の各曲をご紹介していきましょう。 ★A1 BBC “Viva España”では、最初のインダストリアルな盗聴音から、薄らシンセ音が聴こえる。 ★A2 Nacht'Raum “Tiere Schreit”では、重いキックにカッコ良いシーケンスと微かな囁くようなVoが呪文のように乗ってきます。 ★A3 BBC “Kranzø Røses”では、ホワイトノイズからスローな機械音なリズムに移行し、単純な持続電子音と抑制的で不明瞭なVoが不穏な呪詛を唱えています。 ★A4 BBC “Rosa Bernet”では、ちょっと忙しないリズムマシンのビートに、シンプルなシーケンスと深めのエコーVoで焦燥感溢れています。 ★A5 Nacht'Raum “Sahel Passe”は、スローテンポな粗いリズムマシンに、不穏な電子持続音とモゴモゴしたVoが乗る怪しげな曲で、最後で叫び声も聴ける! ★A6 Nacht'Raum “Ich Muss”は、重めでスローなリズムマシンに引き攣るGと大声で煽る女性Voが特徴的な曲で、ヒステリックなGの切れ味は抜群! ★B1 Nacht'Raum “Maria Tanz-Maria Flieg”は、ミドルテンポのリズムマシンに、SE的シンセと不明瞭な呪文Voが乗る曲で、シーケンスはちょっとポップ? ★B2 BBC “Consume”では、破壊的リズムマシンに持続電子音と仰々しいVoが乗って、ライフルみたいなSEも味わい深く、狩猟的音楽とも思える? ★B3 Nacht'Raum “Menschwirtschaft”は、モロ「機械」なリズムマシンとシーケンスに、電子Percと不明瞭なVoや宇宙音が乗るインダストリアルな曲です。 ★B4 BBC “Ende”は、スローなリズムと終末感漂うシーケンスと不明瞭なVoから成り、時にホワイトノイズのスネアが曲を引き締めています。 ★B5 Nacht'Raum “Plastikträume”も、金属質な打ち込みリズムの下で、優しいシンセ音が流れますが、切り裂きGとヒステリックな女性Voも入り、焦燥感を煽ります。 ★B6 BBC “Nächstes Jahr”のリズムマシンには存在感がありますが、シーケンスもVoも敢えて不明瞭にしている悪意を感じます。時に咆哮もグレイト! 今までの再発モノと、比較すると、曲順が替わっていたりしますが、総じて、Nacht’RaumもBBCもその音楽性に大差は無いようです。寧ろ、ゲスト参加によっては、大きく雰囲気が変わる感じで、Nacht’RaumもBBCも敢えて録音を不明瞭にしている為か、ダウナーな音と言う印象が強く、シンセ・ポップ調と言うよりも、EGが鬱屈したようなインダストリアル或いはダーク・ウェーブに近いと思います。これもMichael Antenerの性(さが)なのかもしれませんね。そう考えると、ジャケの禍々しさも納得です。しかしながら、Mannequin Recordsは毎回、面白い音源を発掘しますね。このレーベルは要注目ですよ! [Nacht'Raum] A2 “Tiere Schreit” https://youtu.be/FA1fWQIBfvQ?si=LG9ndyEibk2D3YLc A5 “Sahel Passe” https://youtu.be/ddl4CmNPKdg?si=0fjgVsz6pzfffZC9 A6 “Ich Muss” https://youtu.be/1o3D8dsCE6k?si=gDMCL3VgznsmWQ7f B1 “Maria Tanz-Maria Flieg” https://youtu.be/Xbt0LgexSFg?si=RjdFiBgL_k6KwubF B3 “Menschwirtschaft” https://youtu.be/kOvLEZana3k?si=KDSXBVFlQ3q5kVYb B5 “Plastikträume” https://youtu.be/yo8yLYSPgqc?si=r63E4YRcOXQWkvTT [Bande Berne Crematoire “Bande Berne Crematoire (1985)”] https://youtu.be/mOdA1A_PVhs?si=2aiDfUnCQHzxOkUI B6 “Nächstes Jahr” https://youtu.be/VIY6R_Z227s?si=baAoq3O4aycbnkmr #Nacht’Raum #BandeBerneCrematoire #ExpandedLP1982-1984 #MannequinRecords #Reissue #1982-1984年 #LPFormat #CassetteFormat #LimitedEditions #500部 #Switzerland #SwissUnderground #Industrial #ColdWave #Dark #Minimal #MichaelAntener #MichaelStämpfli #Guests #Dani #Sara!
Industrial / Cold Wave Mannequin Records 990円Dr K2
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Klaus Schulze “Moondawn”
いつも、独モノが多くてすいません。でも買っちゃうんですよね。プログレでも、こう言うエレクトロ物は。と言う訳で、今回は、Klaus Schulzeのソロ名義としては6枚目のアルバム”Moondawn”を紹介します。この作品で、初めて、Schulzeは巨大なMoogシンセ (いわゆるタンスでしょうか?)を使って制作したと言われており、噂ではPopol VuhのFlorian Frickeから譲り受けたとのことです。まあ、インナーのジャケ写で、多量のシンセに囲まれているSchulzeは、正直、カッコ良いっす!彼のバイオグラフィーは以前にも書いてありますので、そこら辺をご参照下さい。今回は、1976年1月に、FrankfurtのStudio Panne-Paulsenで、制作されています。先ずは、参加者ですが、Klaus Schulze (Synth, Organ, Kbd, Sequencer)だけで、ゲストにHarald Großkopf (Drs)を迎えての制作となっていますが、Schulzeの機材について、もう少し詳しく書きますと、シンセはBig Moog, ARP 2000, ARP Odyssey, EMS Synthi A, Farfisa Synthorchestraで、オルガンはFarfisa Professionalで、キーボードはCrumarで、シーケンサーはSynthanorma 3-12を使っています。これだけ見たら、ご飯3杯はいけますね。まぁ、冗談はさておき、両面1曲ずつと言う長尺の曲をそれぞれ紹介していきたいと思います。 ★A “Floating” (27:15)は、微かな電子音から始まり、Drsのキックとシーケンスへと移行、EMSシンセらしきSE音も加わり、次第に盛り上がっていきます。とにかく反復するシーケンスと滑り込んでくるストリングス風のシンセ音が心地良い。Drsによるビートと言うよりシーケンスによるビート。更に入れ替わり立ち替わり、シンセ音のメロディが挿入され、やがてリズム隊が前面に出て、盛り上がってきます。Drsも手数が増えてきます。ここら辺は確かに「浮遊感」がありますね。そして、フェイドアウトしていきます。 ★B “Mindphaser” (25:22)は、這うような電子音とホワイトノイズで始まり、ゆったりとしたメロディも、SE的な雷鳴音と共に、明瞭化してきます。ストリングスらしきアナログ・シンセの音が耳に優しく、ジリジリと大きくなっていき、一気に、Drsとオルガンのパートに切り替わり、EMSやMoogシンセ音が飛び交い、頭の中を擽ぐられるようです。ほぼ単一コードで進行していますが、多彩なシンセ音が次々に立ち現れ、またDrsも叩きまくられ、シーケンスも挿入されます。電子音は重層化し、小宇宙の大セッションへと。そうしてカオスとなって曲は締められます。 いやー、聴き応えのある作品ですねー。2曲とも一代電子音絵巻の如く、じっくりと聴くことができます。シーケンスも手弾きシンセもDrsも、非常に上手く絡み合っており、また、ミックスも秀逸です。Suezan Studioの小柳カヲルさんによると、本作は、”Picture Music”からのロマン主義的作風の頂点とのことで、なるほど!と納得してしまいます。各曲に物語性があり、そのピークの前後のミックスが見事です。電子音は決して無機質ではないとの証明が、本作品には溢れていますので、そんな音楽を体験するにはもってこいです!さあ、聴いてみましょう! https://youtu.be/BfZr-mUxOlU?si=rFgfOzJVQnQreY9M #KlausSchulze #Moondawn #BrainRecords #Repress #1976年作 #6ThSoloAlbum #Krautrock #Electronic #Romanticism #Synthesizers #Moog #Arp #EMSSynthiA #Sequencer #Organ #Drums #HaraldGroßkopf
Krautrock / Electronic Brain Records 1780円Dr K2
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Embryo “Live"
また、ちょっと買っちゃったので、紹介します。独ロック界の中でも、超絶テクのジャズロックからエスノ・ロックへと移行していたEmbryoのライブ・アルバムです。なお、Embryoのバイオグラフィーは前回書きましたので、そちらをご参照下さい。Embryoは、結構、メンバーが代わっていますので、本作品での参加メンバーを列挙しておきます。Christian Burchard (Vo, Drs, Marimba, Vibes), Roman Bunka (G, Vo, Oud, Perc), Uve Müllrich (B, Dilruba, Perc), Charlie Mariano (Alto Sax, Soprano Sax, Flute, Nagasuram), Dieter Miekautsch (Fender Rhodes Piano), Maria Archer (Vo, Perc)で、1976年2月のライブ音源からコンパイルされています。この時点では、Burchardと一緒にEmbryoを立ち上げたEdger Hoffmannはいませんし、Amon Düül IIに在籍していたChris Karrerはまだ加入していません。しかも、このアルバムは、装丁がチープで、ジャケはカラーコピーを2枚、表と裏で挟み込んだだと言うチープなもので、それこそ1980年代初頭の日本の弱小自主制作レーベル並で、そこがちょっと残念です。まあ、それは良いとして、本作品は、A面3曲/B面6曲が収録されており、同じライブなのかどうかは不明です。それでは、各曲についてご紹介していきたいと思います。 ★A1 “Bambus Railway” (5:06)は、軽快なリズムに乗せて、歌い上げるVoで、正しくジャスロックですね。エレピソロは聴かせてくれます。 ★A2 “You Can Turn Me On” (13:13)は、やや複雑なリズムパタンを弾くエレピとリズム隊に、自在に吹きまくるSaxと弾きまくるGの絡みが拮抗する良曲で、Voを含めバネのあるファンクを感じます。 ★A3 “Tiflis” (5:52)では、民族打楽器のリズムをエレピやFluteが引っ張っていきますが、やがて熱いVibesの演奏が入ってきますが、フェイドアウトが残念。 ★B1 “Road Song” (3:35)は、ワウったGとDrsやBが如何にジャズロックで、Voも「黒っぽい」ですが、Bの唸りが凄いです。 ★B2 “After The Rain” (3:25)では、熱帯雨林のスコール後のような雰囲気を醸し出すエレピやGが心地良いですが、後半のプレイは一気に熱量が上がります。 ★B3 “Bambule” (3:50)では、アコギとFlute、それにVibesの絡み合いが、何ともターキッシュな雰囲気で、心地良いです。 ★B4 “No More Love” (4:35)では、かなり弾けるインタープレイが聴けます。ArcherのVoもソウルフルで、昔TVで観ていた「ソウルトレイン」を想起しました。 ★B5 “Sho Do Ima(項度今)” (1:19)は、しっとりした演奏で、ArcherのVoを中心に進みます。でも、この日本語の意味は? ★B6 “The Orange Man” (7:09)は、ターキッシュなムードのSaxとGの演奏に導かれて、次第にリズム隊も加わってきますが、全体的にエスニックで、しかもGは弾きまくって、アルバムを締めていきます。 う〜む、そうですねぇ、独逸のクラウトロック・バンドがこんなブラックでソウルフルな音楽を志向しているのに、ちょっと驚きましたが、時代的にそうなるしかなかったのかな?とも思います。もっと民族音楽的な感触かなと期待していたんですが、内容はジャスロックでしたね。それと、殆どの曲がフェイドアウトで終わってしまうのが、ちょっと残念で、曲数減らしても、最後までを収録して欲しかったです。余り、初心者向けではないですが、熱いインタープレイを聴きたいのであれば、試してみても良いかも? https://youtu.be/ANjnxwXkcJQ?si=Byd1OVm0Z-1Sx4Ay #Embryo #Live #April #Reissue #LiveAlbum #1976年 #Krautrock #JazzRock #Ethno #Funk #EthnicInstruments #ChristianBurchard #RomanBunka #UveMüllrich #CharlieMariano #DieterMiekautsch #MariaArcher
Krautrock / Jazz Rock / Ethno April 不明Dr K2
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Throbbing Gristle “20 Jazz Funk Greats”
Throbbing Gristle (以下TGと表記)の名盤の一つ、ジャズでもファンクでもないアルバム”20 Jazz Funk Greats”を、今回はご紹介します。TGのアルバムの中でも、このアルバムは中々中古市場に出ず、また出ても結構高額なことが多く、私は何年も買いそびれていました。それで、去年、やっと購入できました。TGのバイオグラフィーについては、今までも紹介してきましたし、メンバーのCosey Fanni Tuttiの自叙伝なども出ていますので、そちらをご参照下さい。メンバーを一応、書いておきますと、Genesis P-Orridge (B, Vln, Vibes, Synth, Vo), Cosey Fanni Tutti (G, Synth, Cornet, Vo), Chris Carter (Roland Synth, Sequencer, Drum Machine, Vo), Peter “Sleezy” Christopherson (Tapes, Vibes, Cornet, Vo)の鉄壁の4人です。また、ジャケ写は、一見爽やかに見えますが、英国の自殺の名所(東サセックス州の南端にある通称Beachy Head)が使われています。本作品は、LPとしては、3枚目のアルバムになり、また、TGのアルバムの中では「最も聴き易い」作品とも言われています。今回の再発では、緑盤となっており、ブックレットも付いています。また、内容については、A面6曲/B面5曲となっています。それでは、各曲について紹介していきましょう。 ★A1 “20 Jazz Funk Greats” (2:51)は、如何にもTGらしいダウナーなリズムを刻む曲で、勿論、ジャズでもファンクでもないです。シンセとコルネットでとにかく憂鬱な気分にさせられます。 ★A2 “Beachy Head” (3:42)も、リズムレスで、更にダウナーな曲です。自殺する人の頭の中の諦念を見事に描写しています。 ★A3 “Still Walking” (4:56)は、パンで左右に振られたリズムマシンとノイズGやVlnの軋む音から成る曲ですが、囁く様な男女Voの絡みに反吐が出そうです。 ★A4 “Tanith” (2:20)では、ワウを掛けたBと鉄琴のフリーな絡みから成るリズムレスな曲で、地縛霊のように飛び跳ねることが出来ない。 ★A5 “Convincing People” (4:54)は、ライブでも良く演奏されている曲で、6/8拍子の独特のリズムマシンとシークエンスに、暗雲たるノイズが被さって、抑制的なGene-PのVoも冴えてます。 ★A6 “Exotica” (2:53)は、また鉄琴の演奏で、浮遊する魂がふらふらしているようなリズムレスな曲で、逆に陰鬱。 ★B1 “Hot On The Heels Of Love” (4:24)は、後のChris & Coseyの原型になる様な四つ打ちキックとシーケンスにCoseyの囁くようなVoが乗る曲で、ポップなトラックです。しかし鉄琴の音は虚ろです。 ★B2 “Persuasion” (6:36)も、ライブで良く演奏される曲で、単調なBとGene-Pの邪悪なVo、それにSleezyのテープ音やGノイズから成り、これまた鬱々としています。 ★B3 “Walkabout” (3:04)は、またもやChrisの打ち込みが冴えるシンセポップな曲で、TGってアルバムに、こう言う曲を混ぜるから困ります。 ★B4 “What A Day” (4:38)は、テープによる単調な反復リズムにGene-Pの叫び声から成る強力な曲です。憤怒の唄! ★B5 “Six Six Sixties” (2:07)は、ライブ録音と思われる粗いリズムマシンとB?G?によるノイズ、それにGene-Pの呪詛のようなVoから成る曲です。 まあ、あんまりメンタル弱っている時に聴く音楽ではないですが、それでも当時の一種の閉塞感みたいなものが詰め込まれており、しかも、B1やB3の様なハッピーエンドを伺わせる曲も混じっているのが救いですかね。本作品は、ジャケ写のように、何気ない景色/風景の中に鬱屈した薄寒い「負の何か」があるような事象を的確に掴んで、それを抽出・増幅しており、その意味ではTGのアルバムの中でも傑作なのではないでしょうか?ブックレットの軍服姿の4人はそれを差し引いても、カッコ良いですが、、、ただ、内容は良いので、2枚組とかでじっくり聴きたい一枚ではあります! https://youtu.be/EEsjrg9j2c4?si=tpBQ0eJAVSPEecf2 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_miBdBiuGRWWq6kDf2jruN6lmf6wMDNpkg&si=ttTOlAt3CBpM6R6Z #ThrobbingGristle #20JazzFunkGreats #MuteRecords #IndustrialRecords #Reissue #Remastering #1979年 #2017年 #GreenVinyl #Industrial #Electro #Synthesizers #DrumMachine #Bass #Guitar #Tapes #GenesisP-Orridge #CoseyFanniTutti #ChrisCarter #PeterChristopherson #Sleezy
Industrial / Electro / Noise Mute Records (Industrial Records) 不明Dr K2
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Bono / Burattini “Suono In Un Tempo Trasfigurato“
これだから、通販まとめ買いは、謎物件が含まれますね。全然、購入した覚えがありません!どうも、Bono / Burattiniが、コンビ名らしいです。それでちょっと調べてみました。コンピと書きましたのは、Ofeliadorme の創設者にして、Donnacirco collective のメンバーでもあるFrancesca Bono (Vo, Synth, Knd: 因みに女性です)と伊アヴァン・ロック・グループMassimo VolumeのメンバーのVittoria Burattini (Drs, Perc)の伊人グループのことです。真新しいデュオらしく、2023年のDiscongs上、まだ、唯一作みたいです。それで、先ず、Ofeliadormeと言うバンドは、2008年に伊Bologna(ボローニャ)で、ランボーの詩にインスパイアされて、Francesca Bono (Vo, G, Synth), Michele Postpischl (Drs), Tato Izzia (Synth-B, Synth, Electronics)によって結成されたオルタナ・バンドのことで、2009年にはシングルを出して、2011年にはデビューアルバム”All Harm Ends Here”を出しています。2016年までは何らかのリリースをしていますが、それ以降には途絶えているので、恐らく解散したのではないかと思われます。一方、Massimo Volumeは、1990年代に活発に活動していたBolognaのバンドで、伊で初めてスポークン・ワードを使ったインディー・ロックを演奏しており、1970年代後半〜1980年代前半の音楽、特に、Joy Divisionや伊のパンクバンドCCCP - Fedeli Alla Lineaに影響を受けたそうです。歌詞についても、伊の詩人Emidio Clementiに多大な影響を受けていたそうで、1992年にカセット作品を出してから、2011年に、Bachi Da Pietraとのスプリット・アルバムを出すまで活動していたらしいです。その後、セルフ・コンピ・アルバム” Lungo I Bordi / Da Qui”が出ていますが、新録アルバムは出ていないので、恐らく解散したのでしよう。以上が2人のバックボーンですが、今回、ご紹介するBono / Burattiniを組んだ経過については不明です。ただ、Bono / Burattiniは、前衛映像作家Maya Derenによる3本の作品①”At Land”, ②“Ritual in Transfigured Time”, ③“Choreography for Cameraの習作”にインスパイアされて、本作品の核心部分を作り上げたと言うことです(私はこれらの映像作品は観ていないので内容は不明)。と言う経緯で2人は音楽作品を作り上げたのだと思いますが、その実際の手順としては、これらの作品の参考地点を汲み取ることで、Burattiniが、独自のDrsのパタンを作り出しますが、それは、Bonoの風変わりなメロディやコズミックなサウンドスケープまたは鼻歌やコーラスワーク等のVoスタイルに、Burattiniが合わせる形で曲を作っているとのことです。その際には、有機的な楽器(Drs)と人工的な楽器(シンセやシーケンサー)をミックスして使い、彼等は、知らない世界のグルーヴや奇妙なノリ或いはSF的なエレクトロニクスを生み出し、その為か、Can, Gruppo Di Improvvisazione Nuova Consonanza, Suzanne Ciani辺りに近い音楽を作り出しています。 以上がBono / Burattiniのバックボーンとこのプロジェクトでの音楽コンセプトなのですが、2023年に出た本作品はそれらの結果と考えられます。では、本作品についてですが、両面とも5曲ずつ収録されていますので、各曲についてご紹介していきたいと思います。 ★A1 “Trick Or Chess” (5:19)では、先ず微音のビーコンから始まり、やがてスローなDrsがビートを、そしてシンセのリフが入って、そこに捩れたGソロらしき音が凄いエコーと共に挿入されてきます。ドラマチック! ★A2 “Le Ossa” (2:08)は、逆回転のイントロからポストパンクのようなDrsとBのリフ、そして鼻歌のようなBonoのVoとコーラスから成る曲で、雰囲気が良い。 ★A3 “Sogno Nel Vigneto” (3:18)は、シーケンスと四つ打ちっぽいDrsから成る曲で、中々イカした演奏を聴かせてくれます。Drs自体は禁欲的で、寧ろシーケンスが割とパタンを変えます。 ★A4 “Dinner Illusion” (3:18)も、シーケンスとDrsから成り、Bonoの透明感のある鼻歌(?)が伸び伸びと聴かれる曲で、独特の落ち着きを提示しています。 ★A5 “Stella” (3:41)は、籠った音色のDrsに、シンセとピアノが絡んでくる曲で、ピアノはリリカルなメロを弾いており、落ち着いてはいるものの、何か危機感を煽る雰囲気を感じます。 ★B1 “The Ballroom” (3:33)は、シーケンスで始まり、自在なDrsとBonoの多層化していく呟き等が被っていく曲で、2人のコンビネーションはバッチリです。 ★B2 “La Trama Del Desiderio” (4:33)も、単純なシーケンスからDrsと言うより「太鼓」が合わせる曲ですが、後半はシンセのパルス音とDrsで盛り上げます。 ★B3 “Dancing Demons” (3:28)は、怪しいフレーズのシンセがゆったりと鳴らされ、やがてシンセのメロディやコーラスも挿入されるスロー・バラードな曲です。 ★B4 “Your House Is A Ghost” (4:39)も、高らかなシンセ音で始まり、突然、エコーの掛かったハイハットと低音シンセが絡み、やがて四つ打ちっぽいDrsと大胆なシンセ音へと変わる劇的な曲です。 ★B5 “Waves” (2:41)は、ホワホワしたシンセとタムを多用したDrsの合奏曲で、小振りながら、最後に相応しい良曲となっています。 この2人と言う制限された編成の中で、如何に彼等が無駄を省いて、剥き身の音を出しているかが、良く分かる作品だと思います。確かにシーケンサーも使っていますが、所謂、シンセウェーブとかとは異なるミニマルではない自由な演奏で、恐らく曲もその形態の為に作られたものと思います。個人的には、シンセウェーブとは真逆のプログレ(特にKrautrock)とかSkeleton Crewのような音楽だと感じました。それと、Bonoは鼻歌やコーラスは演るものの全曲ほぼインスト曲と言うのも珍しいですね。その意味では、非常に稀有な存在だと思いますので、単なるポップとかシンセウェーブとかと思っていると、とんでもないしっぺ返しを喰らいますよ❗️ [live track: A1 “Trick Or Chess”] https://youtu.be/hmHj0Z4OkOQ?si=ug5MxB3VAWwD2ks1 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_k2WDWLNlvZhtD9Q0xgqhLmi5HFJXIVIes&si=dXA_rWFUZeBbvAIF [BandcampのURLも貼っておきます] https://mapledeathrecords.bandcamp.com/album/suono-in-un-tempo-trasfigurato #Bono/Burattini #SuonoInUnTempoTrasfigurato #MapleDeathRecords #FirstAlbum #LimitedEditions #500部 #ItalianUnderground #FrancescaBono #VittoriaBurattini #NewDuo #ExperimentalRock #Krautrock #Ofeliadorme #IndieRockBand #DonnacircoCollective #MassimoVolume #AlternativeRockBand #Avant-FilmMaker #MayaDeren #AtLand #RitualInTransfiguredTime #ChoreographyForCamera習作 #FromVisialToMusic
Experimental Rock / Krautrock Maple Death Records 2420円Dr K2
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Javier Segura “El Ser Y El Tiempo (1976-1978)”
これまた、謎物件です。今回は、Javier Seguraのアルバム“El Ser Y El Tiempo (1976-1978)”です。まあ、タイトルからスパニッシュだとは思いますし、1976-1978と言うことから、発掘過去音源とは分かるのですが、何故、これを購入したのかはサッパリ分かりません。なので、少し調べてみました。このJavier Seguraは、1955年にSanta Cruz de Tenerifeで生まれたスペイン人で、Pedro MartínezとPedro Valverdeと共にサイケ・バンドHuellasを結成して、1973年にセルフ・タイトルのアルバムを1枚出して、それ以外にシングルを4枚出しています。しかし、それも1974年までで、それ以降はどうなったかは不明、恐らく解散しているのでしょう。その後、Seguraは宅録でのソロ活動をしていたようで、その中から、1976年〜1978年までの未発表音源を集めたのが、本作品であります。それは別として、正式には、1983年にセルフ・タイトルのファーストアルバムをJaja Records(このレーベルはスペインのカナリア諸島のロック/ポップスだけをリリースしている)からリリースし、その後も、1986年にセカンド”Nostalgia De Lo Humano”を、1989年にサード”Lamento Bereber”を同レーベルから出しています。そうして、4枚目のアルバム”¡Levantate!”を2006年にDiscos Necesariosからリリースしており、本作品は、2022年に5枚目のアルバムとして、Passat Continuからリリースしています。Seguraはソロとしてはこのような経歴になるのですが、このアルバムを出したPassat Continuと言うレーベルは、Modern Obscure Musicの主宰者Pedro VianとDavid G. Balaschが共同で運営を行なっており、その第1弾が、実はJavier Seguraのアルバム”El Sol Desde Oriente (Selected & Unreleased Recordings 1980-1990)”だったんです。この作品には、ミニマルなリズム・ボックスに、民族音楽的土着的感と先鋭的なシンセが強烈な"Jardín Marroquí”や、トライバルな"El Aborigen Parte 1”, 壮大なネイチャー・アンビエント"La Advertencia”等が収録されています。また、Optimo Musicからリリースされた第四世界のアンビエント・コンピ・アルバム”Miracle Steps: Music From The Fourth World 1983-2017”にも、Seguraの曲が1曲収録されており、彼は、1980年代のスペインの実験音楽/ニューウェーブから成るMadrid Sceneにおける重要人物と認識されています。ソロ活動とは別に、Seguraは、Mandi CapoteとのデュオArte Modernoとしても活動していたようで、1982年にシングルをJaja Recordsより出しており、その後、音沙汰無かったのですが、Minimal Waveなアルバム”Musica Cabeza”をCDフォーマットで2015年にLos '80 Pasan Facturaから出しています(正式にはLPフォーマットで、2018年にDomesticaからリリースされたものらしいです)。 以上が、Javier Seguraの活動遍歴なのですが、寡作の為、今まで余り知られていなかったアーティストで、しかも第四世界での活動の為、漸く、我々の耳にも届いた感があります。本作品は1970年代(1976-1978年)に、彼が宅録した音源をリマスターしてのアルバムですので、貴重な記録だと考えられます。彼の機材は、TASCAMのオープンリール4トラック・レコーダー2台, Flute, Sax, 鉄琴, Piano, Vln, Harp, Sun Raも愛用のヴィンテージ・シンセCrumar DS-2で、それらを駆使して、手作り電子音楽で曲を録音していた模様です。そして両面4曲ずつ収録されています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ★A1 “1, 2, 3 Secuencias”は、得体の知れない動物の声とピヨピヨした音や物音系Percから、エコーの効いたヴァイオリン(?)/人声(?)へと移行、更に鳴き声のような音がエコーの中で、舞い上がり、そして消え去ります。 ★A2 “Andrea Ex 1”は、空き缶等の物音系Percによるジャンクなアンサンブルです。時々、シンセらしき低音やアシッドな電子音も聞こえてきます。自発的音楽! ★A3 “Andrea Ex 2”は、オペラ的声音や色んな声/歌声の混合物が生成されていますが、時々、電子音らしき音もエコーに乗って襲来してきます。最後には蠢くシンセ音も聴取出来ます。 ★A4 “Andrea Ex 3”でも、物音系Percと縦笛や変な声そして電子音、これらがどれを貶す訳でもなく、等しく鳴らされます。延長する時間を体感できますね。 ★B1 “El Mencey Loco”は、オペラのテープやSaxと持続電子音等が闇鍋の如くごった煮の曲で、深いエコーが掛けられており、更にゴチャゴチャに! ★B2 “El Ser Y El Tiempo”は、深いエコーの掛かった人声やオペラ音声に、物音系ノイズやガチャガチャした音が乗ってきて、混沌を生成しています。 ★B3 “Meditación. El Sueño Ante El Espejo”では、チャルメラっぽい管楽器と物音系Perc、深いエコー処理の正体不明音が、最終的にはSaxや鉄琴に取って代わられます。Sacher-Perzっぽい? ★B4 “Para Piano”は、突然の爆発音とフリーキーなハープ音で始まり、何だか仰々しい雰囲気が渦を巻き、やがて残響音に収束していきます。劇的/激的! 面白い!まるで、LAFMSを1人でやっているような緩いアヴァンな音楽です。そんなに、シンセとかも前面には出てきていないし、またビートもない。ただただ鳴りたいように鳴らす。弾きたいように弾く。そんな副交感神経系を刺激して、肩の力を抜いて、頭を空っぽにしてくれる音楽です。如何にも宅録だなあと思いますが、もし、LAFMSとかが好きなリスナーさんであれば、この作品は「買い」ですよ❗️個人的には、それ程、アンビエンスは感じませんでした。エコーの掛け方なんかは、寧ろ、初期MBっぽい? B2 “El Ser Y El Tiempo” https://youtu.be/JgjHRqACvMM?si=q7DUALle7ecBloSb [Bamdcampでfull album注文可] https://passatcontinu.bandcamp.com/album/el-ser-y-el-tiempo-1976-1978 #JavierSegura #ElSerYElTiempo(1976-1978) #PassatContinu #5ThAlbum #SoundArtist #SoundEngineer #SpanishUnderground #Experimental #Electro-Acoustic #宅録 #Synthesizers #CrumarDS-2 #Flute #Sax #Vibraphone #Piano #Violin #Harp #ReelToReelRecorder
Experimental / Electro-Acoustic Passat Continu 2420円Dr K2
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W.A.T. “World According To (Eindhoven 1983-1985)”
W.A.T.と聞いて、パッと音楽が思い出すことが出来る方は少ないと思います。今回は、蘭のポスト・パンク・バンドW.A.T. (World According To)のセルフ・コンピ・アルバム”World According To (Eindhoven 1983-1985)”を紹介します。正直、私もこのバンドのことは全然知りませんでしたので、ちょっと調べてみました。W.A.T.とは、A.M.A.H. Keultjes van MeursことAd Van Meurs (G, Vo)とF.J.G.M. van den NieuwenhofことFrank van den Nieuwenhof (B), Ankie Keultjes (Kbd, Vo)によるバンドで、1982年に蘭Eindhovenで結成されています。当時はドラムレスであったので、BOSS Dr-55リズムマシンを使っていたらしいですが、アルバムの録音では生Drsを使っているようです。またシンセはアナログのPro Oneシンセを使っており、それにアルペジオの打ち込みをしていたとのことです。翌年1983年には、6曲入りデビュー・ミニアルバム”Defreeze”を蘭のレーベルPlurex Recordsからリリースし、RotterdamのDe Dielen で行われたフェスPandora's Music Boxに出演、また仏ReimsでのフェスMusiques de Traversesにも出演しています。そして、ラジオ局VPROのニューウェーブ等を掛ける番組Spleenにも出演したりしています。その後、1985年にはセカンド・アルバム”We” (音はテクノではないです)を蘭のテクノ・レーベルPrimeからリリースし、同年には蘭のレーベルから、6曲入りサード・ミニアルバム”Thin Blue Notes”もリリースしています。その後1988年に、バンドは解散し、Ad Van MeursはThe Watchmanとして活動していくことになります。 以上がW.A.T.の略歴なのですが、この位しか分かりませんでした(すまん!)。それで、本作品は、彼等が出した3枚のアルバムから曲をセレクトして、纏めたセルフ・コンピ・アルバムと言うことになります。内容的には、A2, A4, B2, B3はファースト・アルバム”Defreeze”から、A1, A3, A6, B1, B4, B5はセカンド・アルバム”We”から、A5, B6はサード・アルバム”Thin Blue Notes”からセレクトされており、両面共6曲ずつ収録されており、ベルギーのレーベルStroomからのリリースとなっています。それでは、各曲をご紹介していきましょう。 ★A1 “Love Suspect” (3:34)は、ややファンクっぽいリズム隊に、伸び伸び弾かれるGと良く通る女性Voから成るポストパンクな曲で、新鮮です。 ★A2 “Get Famous” (4:46)では、シーケンスと語るような女性Voで始まるニューウェーブっぽい曲で、その後にタイトなリズム隊と単音弾きのGで疾走しています。 ★A3 “Wax” (3:39)は、大胆なDrsと這い回るBにアルペジオGから成るポストパンクな曲で、時に入るシンセがニューウェーブっぽいかな? ★A4 “Defreeze” (4:07)は、機関車のようなリズム隊とシーケンスするシンセに、浮遊感漂う女性Voが心地良い曲で、ニューウェーブだなぁと。ミニマルなBと間奏のシンセが絶品! ★A5 “Thin Blue Notes” (4:37)は、いきなりのアコギとGで始まり、ちょいとマカロニ・ウエスタン調のアンサンブルで、洗練されていてシャレ乙。間奏のGもグー! ★A6 “The Captain” (4:24)は、やや落ち着いた曲で、シンセのメロは良いし、Bのリフはちょいファンク調。カッコ良い! ★B1 “THX” (3:42)は、蠢くようなBラインとDrsを中心に男性Voが女性コーラスと共に歌うポストパンクな曲で、間奏のGもそれっぽい。 ★B2 “Art Lovers” (4:58)は、タイトなDrsとGの刻みと躍動的なBから成る曲で、ここではメインは女性Voで、時にラップ調にもなり、スライドGも挿入され、良い塩梅です。 ★B3 “Ivanhoo” (4:27)は、やや焦燥感を感じさせる曲で、女性Voです。GとBの噛合せが絶妙で、中半〜後半のシーケンスの挿入も良い味付けです。 ★B4 “Hossa” (4:25)では、Gのアルペジオの中、コンガ等を使ったファンク調のリズム隊が始まり、重ねられたGが伸び伸びと弾いているインスト曲です。 ★B5 “Sangatte” (4:59)は、ミニマルなGのリフに囁く女性Voが中心となった落ち着いた曲です。メロも良く、中半からの盛り上がりもグー! ★B6 “Conspiracy In The Dark” (4:32)は、めっちゃカッコ良いノリの良い曲で、歪んだGが新鮮です。Voは女性で、バックの演奏には疾走感があります。 総じて、「軽いニューウェーブ」と言うよりも、ソフィストケートされたポストパンクな曲が多い印象ですが、歌詞が全部英詩で、そこがちょっと残念な所ですね。しかしながら、曲作りやアレンジは卓越しており、かなり聴き易く、また演奏の細部にも凝っている所をビンビン感じます。BOSS Dr-55と記載がありましたが、どうも生Drs(誰が叩いているかは不明)を使って録音されているようで、少なくとも、このようなチープなリズムボックスは使われていません。なので、蘭のバンドですが、これが英国のバンドだったら、もっと評価されていたのではないでしょうか?ポストパンク・ファンの方には是非とも聴いて欲しい一枚です❗️ B6 “Conspiracy In The Dark” https://youtu.be/XoIh6v_qRrw?si=gdJI6q2BPtBccU4g [Bandcampでfull album聴くことができます] https://stroomtv.bandcamp.com/album/world-according-to #W.A.T. #WorldAccordingTo #Eindhoven1983-1985 #Stroom #SelfCompilation #PostPunk #NewWave #Holland #DutchUnderground #Defreeze #We #ThinBlueNotes #RhythmBox #Drums #AMAHKeultjesVanMeurs #AdVanMeur #FJGMVanDenNieuwenhof #FrankVanDenNieuwenhof #AnkieKeultjes
Post Punk / New Wave Stroom 3872円Dr K2
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Tachycardie “Probables”
これは、謎物件ですね。どうも仏のTachycardieと言うJean-Baptiste Geoffroyによるソロプロジェクトのことで、彼のファースト・アルバム“Probables”と言うことです。まあ、ソロと言っても、A面には、多数のゲスト参加者がいますが、B面の3曲は完全にGeoffroyのソロのようです。彼は仏Tours出身のドラマー兼作曲家で、Presque Toutと言うレーベルも運営しています。しかしながら、彼のことを調べようとしても、同姓同名の音楽家が複数いる為、中々、調べ上げることが出来ませんでした。また、Geoffroy自身も、様々なグループ(その多くは単発のプロジェクトみたいです)名義で活動しているようで、今回は、もう彼のバイオグラフィーを調べるのは断念しました(本当にすまん!)。ただ、その中でも、Tachycardieは、2012年リリースのCDR作品”Be Nice To Music”も含めると計5枚もアルバムを出しているので、この名義が2020年代の現在ではメインのプロジェクトと考えられます。この位しか分かりませんでした。それで、今回、ご紹介するのは、正式に、Un Je-Ne-Sais-QuoiからリリースされたTachycardioのファースト・アルバム”Probables”を紹介します。本作品のA面では、Jean-Baptiste Geoffroy (Tom, Chronometer, Synth)以外に、Melanie Loisel (Contrabass), Oliver Claveau (Trombone), Antonie Serreau (Trumpet), Julian Nicolar-Bizet (Synth-B), Nicholas Cuelli (Clarinet, Bongo), Rachel Langlais (Piano), Carla Pallon (Vln), Vincent Robert (Contrabass), Pierre Lambla (Sax), Lea Roger (Harp), Jeremie Morin (Bongo), Frederic Mancini (Tom), Guillaume Bernard (Sax), Antoine Bellanger (Euphonium), Armand Delaval (Vln)が参加していますが、B面は、Jean-Baptiste Geoffroy (Perc, Objets Frappés, Cymbales motorisées, caisses claires motorisées, céramique, coquilles d'huitres motorisées, Field Recording, Bagpipes, G, Synth, PC)と完全なるソロで多重録音しているようです。それで、録音・ミックス・マスタリングは、2018年12月〜2019年3月にBrice Kartmann によって行われていますが、A面1曲/B面3曲が収録されています。それでは楽曲をご紹介していきますね。 ◼️A面 ★A1 “1000 Fois Bonjour Depuis Le Vignemale”は、弦楽器のリズミックな演奏とPerc(Drs類)のドコドコしたリズムから始まり、段々と他の楽器の音が加わっていくミニマルな曲で、ほぼアコースティックな音が「機械」のように精密に演奏されています。音が加わり、少しずつリフに変化が起こると、段々とメロディらしき音像が浮かびますが、途中で、ブレイクがあります。そして、そこからも同様のパタンで演奏が再開します。パタンは余り逸脱せず、禁欲的に演奏されます。ミニマル好きには堪らんですね。 ◼️B面はJean-Baptiste Geoffroy1人での演奏と構築から成っています。 ★B1 “Aunir, Forcer”は、不明瞭なタムや打楽器と非常に分かりにくい何か分からない楽器の音(或いはその音のテープ操作)や持続音等から成る曲で、各パートは明瞭ですが、A面とは異なりますね。 ★B2 “Vesprir”も、不明瞭な打楽器音とバックの微音の物音から成る曲で、ビートもなく、パート分けもありません。ただ、次第に金属質な音が迫ってきます。 ★B3 “Tarir”では、何か金属性の擬似楽器(例えば、Harry Bertoiaの音響彫刻の演奏を想起)の単音弾きから始まり、途中から連打によって持続音的に響き渡ります。その後は非金属製打楽器の乱れ打ちと成り、管楽器や弦楽器らしき持続音も挿入され、この曲全体として何か一話完結の物語のようです。 元メタル・ジャンク使いの私としては、B3が圧倒的に面白いのですが、それにも増して、A面全部を使ったアコースティックなミニマル・ミュージックが、やはり本作品のハイライトではないでしようか?ジャケのデザインからはもっと素人っぽい印象(宅録っぽい作品?)も受けたのですが、聴いてみると意外にコアな現代音楽ファン向けの内容で、良い意味で裏切られました。アコースティックな音に飢えている場合には丁度、良い音楽となるので、そんなリスナーさんにはピッタリです❗️ A1 “1000 Fois Bonjour Depuis Le Vignemale” https://youtu.be/xcW8otka9Ns?si=F4N-7oulZOFVrY2x B1 “Aunir, Forcer” https://youtu.be/5U6Ht9ONb5g?si=Bx0jAb1srILPV4an B2 “Vesprir” https://youtu.be/ZWmdiFXpeUA?si=MnIZfy9RfdBGTJ5F B3 “Tarir” https://youtu.be/RdqhEN_1F5Q?si=JwWrNpaWZ6LYC6P3 #Tachycardie #Probables #UnJe-Ne-Sais-Quoi #FirstAlbum #Experimental #ModernClassic #MinimalMusic #FrenchComposer #SoloProject #Jean-BaptisteGeoffroy #MelanieLoisel #OliverClaveau #AntonieSerreau #JulianNicolarBizet #NicholasCuelli #RachelLanglais #CarlaPallon #VincentRobert #PierreLambla #LeaRoger #JeremieMorin #FredericMancini #GuillaumeBernard #AntoineBellanger #ArmandDelaval
Modern Classic / Experimental / Minimal Music Un Je-Ne-Sais-Quoi 不明Dr K2
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Esplendor Geométrico “40 Años Nos Iluminan”
いつもお世話になっているSuezan Studioの小柳カヲルさんの個人輸入から、またまた買いました。そうです。EGことEsplendor Geométricoの40周年記念特別盤2枚組セルフ・コンピ・アルバム”40 Años Nos Iluminan“(このタイトルを直訳すると「40年間が我々を輝かせる」となります)をご紹介します。EGのバイオグラフィーについては、以前に書いてありますので、そちらをご参照下さい。今回は、メンツがArturo LanzとSaverio Evangelistaのデュオになってからの曲をコンパイルしたものとなっています。しかしながら、ほぼリズムマシンだけで、40年以上もやってきたEGは凄いと思いますし、やり続けることの大切さを体現してきたバンドだと思います。そして、そのスタイルは、世の流行り廃りに関係無く、独自にやり続けてきたことも重要ですね。本作品は収録曲の殆どは、Arturo LanzとSaverio Evangelistaによって2020年に作られていますが、A2, C3は古い音源で、更にB1はMost Significant Beatによって、B4はMauricio Martinucci-Plasmaによって、C1はAtom TMによって改変されています。本作品は、各面4曲ずつ収録されていますが、各曲について紹介していきたいと思います。 ◼️LP1 ★A1 “Syncro”は、重くスローなリズムマシンのビートの執拗な反復に、アジるようなスペイン語Voが挿入される曲で、このパタンは初期の曲には見られなかったですね。シンセによる電子音も最小限です。 ★A2 “Mechanical IV”も、重いリズムマシンの複雑な反復ビートに、ラジオ音やモールス信号が挿入される曲です。催眠ビート! ★A3 “La La 2020”は、リズムマシンとMIDIで同期させたシンセによるリズミックな電子音から成る曲で、時々、電ノコらしきノイズや人声等のサンプリングが挿入されます。 ★A4 “Brain Fungus”は、ディレイを掛けたリズムマシンの不明瞭なリズムに、シンカッションとか電子音を挿入した曲で、不安感を炙り出します。 ★B1 “Ferro”は、リズムマシンの反復に、ホワイトノイズのスネアと持続音から成る曲で、珍しく、同期したシーケンスにメロディらしさを感じます。 ★B2 “Il Resto Indietro”は、強力な突進力のリズムマシンの反復ビートに、歌声テープ音やノイズが花を添えている曲で、やや初期の音に近い印象です。 ★B3 “Buenos Días”では、宇宙的な感じさえするリズムマシン音をバックに、淡々としたVoやノイズ音も重なり、Jean Tinguelyの機械音楽を想起します。 ★B4 “City Of Heroes”は、初期の曲の様でシンセにぶっ込んだリズムマシンに、アジテーション・テープ音やシンセ音が挿入される曲で、「駆動力」そのものです。 ◼️LP2 ★C1 “Estás Solo”も、反復するリズムマシンのヒプノティックなビートが続く中、スペイン語の語り調Voが淡々と挿入される曲で、恐らく初期に近いかな? ★C2 “Tareas”は、リズムマシンの民俗的パタンのビートに、人のコーラスみたいな音や動物の鳴き声みたいな音が時々挿入される曲で、怪しさ満点! ★C3 “Mechanical I”では、ロートルな機械の動くカタカタとした音をリズムマシンとシーケンスで作り出しており、シンセ音やアジる声も挿入される催眠ビート! ★C4 “Mockba”は、怪しげな雰囲気のリズムマシンの反復ビートとスピーク&スペルの様な声やアジるテープ音楽も加わり、背景にシンセの分厚い壁がある曲で、EGにしては珍しい。 ★D1 “40 Anni Di Luce”は、シンセにぶち込んだリズムマシンによる腐食ビートに、念仏の様な声のテープ音が重なる曲で、初期のEGを想起します。 ★D2 “Freetime”は、ゴロゴロとしたパタンのリズムマシンに、メタパーらしき音とか電ノコっぽい音等が加わる曲で、やはり催眠的です。 ★D3 “Potentissima”は、これまたモロTinguely的なロートルな機械を模したリズムマシンの反復駆動音から成る曲で、正に「インダストリアル」です!グレート! ★D4 “Vuelve A Jugar”は、トライバルなリズムマシンのビートと、背景に幼稚園の音と抑揚の無いVoから成る曲で、如何にもEGらしいです。 総じて、音質は格段に良く、音の広がりも充分に感じられて、洗練されていますが、曲としては、初期の後期〜中期前半辺りで、リズムマシンは確実に高級なものを使っていますね。そして、我が道を行くEGは、40年の間に、独自のトライバルなパタンやJean Tinguelyの動く彫刻の音のようなパタンを作り出し、独自の進化を遂げているのが、良く分かります。これにはノックアウトされました❗️皆さん、「EGなんて、テクノイズでしょ?」とか「金太郎飴みたいなもんでしょ?」とか言ってないで、このアルバムだけでも聴いてみて下さい。それ位の価値のある作品だと思います。マストです❗️ クレジット曲順 A1 “Syncro” A2 “Mechanical IV” A3 “La La 2020” A4 “Brain Fungus” B1 “Ferro” B2 “Il Resto Indietro” B3 “Buenos Días” B4 “City Of Heroes” C1 “Estás Solo” C2 “Tareas” C3 “Mechanical I” C4 “Mockba” D1 “40 Anni Di Luce” D2 “Freetime” D3 “Potentissima” D4 “Vuelve A Jugar” https://youtu.be/Ut37DAHckcc?si=RX_HGC20bDi1JFJ3 #EsplendorGeométrico #40AñosNosIluminan #Geometrik #SelfCompilation #2LPsAlbum #Industrial #Technoise #Hypnotic #JeanTinguely #SpecialEdition #RhythmMachine #Sampler #TapeManipulation #ArturoLanz #SaverioEvangelista
Industrial / Technoise Geometrik 4990円Dr K2
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Berrocal “Parallèles”
このレコード、買った覚えが無いのですが、まあ、届いてしまった以上、聴かざるを得ない訳です。Berrocalと言うのは、1946年10月22日生まれの異端の音楽家である仏人シンガー/作曲家/ トランペッターであるJacques Berrocalのことで、彼が書いた曲を集めたセカンド・アルバムが、1976年にd'Avantageからリリースされた”Parallèles”です。その後、2001年に伊のレーベルAlga Marghenが一度再発をしています。今回は、2度目の再発と言うことです。それで、何故、このアルバムがノイズ・リスナーにとって重要かと言うと、実はこのアルバムは、Nurse With Woundの所謂Nurseリストに載っているんですね。英国音響仙人ことSteven Stapletonのお気に入りらしく、その意味で、重要な作品と考えられているようです。また、本作品では、前衛芸術運動と相関する70年代仏の異端音楽界が生んだ怪物Berrocalが、David Bowieの”Ziggy Stardust”にインスパイアされた、ヤク漬けロックンロールスターVince Taylorを召喚して作った傑作とのことです。Berrocal自体のことは調べたのですが、よく分かりませんが、Discogs上、2010年代までは、彼の関わった作品のリリースを確認できます。なお、彼の作品は、エクスメンタル・ミュージックの精神交配術と皮肉たっぷりの80年代フランス・アヴァンギャルドを体感できる前衛音楽であると評されています。この位しか分からなかったです(すまん!)。 一応、今回の再発を行った仏レーベルRotorelief側の謳い文句をそのまま、掲載しておきます。「1976年、ロックンロールの黒の大天使Vince Taylorは、自転車の車輪の未来的なチリンと音を立てる“Rock'n Roll Station”を訪れて記録することに同意します。慣習に反する他のセッション、手に負えない豚の真ん中にマイクを搭載した豚小屋、この”bric-a-brac”の真ん中にPierre Bastienによって振られたタオルは、ボーナスによって再編成され、未発表の同じ期間。」とのこと。 それで、本作品での参加メンバーですが、Jac Berrocal (Trumpet, Bicycle), Vince Taylor (Vo), Pierre Bastien (Multi-Instruments), Bernard Vitet (Trumpet), Claude Bernard (Sax), Michel Potage (Reed Instruments), Philippe Pochan (Cello), Richard Marachin (Piano), Roger Ferlet (Double-B, Cornet, Trombone, Trumpet, Perc)みたいです。しかしながら、デュオ〜8人での合奏まで、様々な形態での演奏が収められています。また、B面一杯を使った曲が、あの伊の未来派芸術家Luigi Russoloに捧げられている点も聴き所でしょう。なお、オリジナルの同名アルバムでは、A1とA5の除く5曲が収録されているだけなので、今回は、これら2曲がボーナス・トラックと言うことになります。では、各曲をご紹介していきます。 ★A1 “Shorten” (1:45)は、ゴジラの足音なようなら低音とその上に中東のラッパのような楽器によるフリーなメロディとPercの乱れ打ちから成る曲で、私的には好きな曲ですね。 ★A2 “Parallèles” (6:25)では、管楽器の自体の音やそれのマウスピース音なんかが窒息しそうにポツポツと吹かれ、弦楽器の軋む音と共に苦しそうに演奏された後に、トランペット等の戯けたメロへ移行していきます。 ★A3 “Post-card” (4:00)は、まるでインダストリアルのようなフィールド録音に、トランペットらしき管楽器が纏わりつき、更にTaylorの仏語の語りがナレーションの様に入ってきます。 ★A4 “Galimatias” (3:05)は、ソロで吹かれるトランペットが複数になり、それらの掛け合いから成る曲です。 ★A5 “Rare Interview” (0:35)は、Taylorによる語りのみですが、声質に説得力を感じます。 ★A6 “Rock'n Roll Station” (4:40)は、ウッドベースのボンボンとしたミニマムなリズムと大仰なストリングスをバックにTaylorの語り口っぽいVoがバシバシ入り込んでおり、その内、背後で奇声も聴取される。 ★B “Bric-à-Brac (To Russolo)” (20:35)は、まるで「プロが演っているスクラッチ・オーケストラ」のような演奏で、先ずは、チェロやヴァイオリンなどの弦楽器による混沌とした即興演奏から始まり、物音系Percのガタゴトした演奏になり、その内、メガフォンVoや「象の鳴き声」も加わり、更にトランペット等の吹奏楽器の自由な演奏と移行していきます。そうして、唐突に、ピアノの乱打とサックスのフリーキーな合奏へと切り替わり、ウッドベースも加わり、最終的に、ウッドベースの単調なビートにTaylorのヘロヘロなナレーションとタイプライターの音だけに替わっていきます。これら誤用された演奏こそが、「騒音芸術」なのでしょう! 確かに、初版が1976年であることを考えても、この作品は世紀の「謎」盤ですね。私は、それ程、即興音楽自体も熱心に追ってきていないし、またその奥深さもちゃんと理解してはいませんが、そんな私でも、これは中々聴き応えがありました。また、初めてNurseリストの作品としても意識したのですが、Stapletonが好きだったのは何となく分かりました。Nurseファンもそうで無い方も、偶にはこう言うアヴァンな一枚も良いのではないでしょうか❗️ [original album] https://youtu.be/sJB0zhzOX0g?si=0BrV7kOKSfBdbf8v #Berrocal #Parallèles #JacquesBerrocal #Rotorelief #d’Avantage #AlgaMarghen #Reissue #BonusTracks #FreeJazz #Avant-Garde #NoWave #Experimental #NurseWithWound #NurseList #RockNRollStation #LuigiRussolo #VinceTaylor #PierreBastien #BernardVitet #ClaudeBernard #MichelPotage #PhilippePochan #RichardMarachin #RogerFerlet
Free Jazz / Improvisation / Experimental Rotorelief (d’Avantage) 不明Dr K2
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Decada 2 “La Noche Del Atomo”
メキシコのテクノとかハウスとかのクラブ・カルチャーって全然知らなかったので、試しに買ってみました。Decada 2 (デカダ・ホイと発音?)の12㌅EP “La Noche Del Atomo”です。まぁ、何にも知らなかったので、ちょっと調べてみました。Decada 2とは、Mateo LafontaineとCarlos Garcia Teruelの2人によって1985年に結成されたEBM (Electronic Body Music)デュオで、メキシコで初めてEBMをやったインダストリアル或いはテクノの先駆者としては有名らしいです。それで、ちょっと意外だったのは、このグループ名が、Joy Divisionの”Decades”って言う曲にインスパイアされて付けられたってことですね。それで、Mateo Lafontaineは、有名なメディア司会者Mario Lafontaineの弟みたいで、Mateo自身は、1982年からOld Fashionedを結成、その後、MarioとMaria Bonitaを結成しで、1985年に、Decada 2を結成していますので、結構、古くからと言えば古くからやっているアーティストなんですね。一方のCarlos Garcia Teruelは、Mexico city在住のマルチ奏者/作詞家/ サウンド・アーティスト/電子音楽家で、元々は、Walter SchmidtとCarlos Robledoに出会ってから、RIO系のグループDecibelにインスパイアされて、1977年にGlissandoと言うバンドを結成し、その時に中古のシンセやシーケンサーをCapitán PijamaのバンドSizeから購入しており、その後、1982年にOld FashionedとVoltiに加入し、またそれとは別に、並行してArturo Meadeらとのバンドも始めています。それで、Vortiのオリジナルメンバーが脱退した時に、Garcia Teruelは、彼にとって最もヤバいプロジェクトSilueta Palidaの活動を開始します。当初はソロ・プロジェクトでしたが、やがてパーカッショニストのJaime Herranzが加入し、ライブも可能になり、今ではメキシコのカルト・バンドとも言われているLas Insólitas Imágenes De AuroraとBon Y Los Enemigos Del Silencioともフェスで対バンしています。一方、Decada 2の方は、1985年〜2018年までは、Mateoと共に活動し、また、Noiselab RecordsのバンドOf.とも活動を共にしていましたが、 Garcia TeruelはDecade 2 脱退後、ソロアーティストとして活動を続けています。それで、Decada 2としては、Discogs上、カセット・アルバム1枚、セルフ・コンピ2枚、その他CDR1枚を出しているだけです。と言うのも、Mateoが2020年に他界しているからです。なので、デュオとしては実質3年間位しか活動していませんが、Meteoのソロ・プロジェクト期間も考えると30年近く活動しているのに、リリースしたアイテムは少ないかな?とも思います。 以上がDecada 2のバイオグラフィーとなります。そこにも書きましたが、Decada 2としてのリリース作品は少ないので、入手しにくさも考えると、本作品などは、貴重な音源と考えられます。内容は、両面3曲ずつ収録した12インチMini-LPで、1987年〜1991年の曲がセレクトされています。因みに、本音源を復刻した レーベルPhiloxeniaは、独のレーベルみたいです。それらも含めて、本作品の各曲をご紹介していきますね。 ★A1 “Música Electrónica [1988]” (7:09)は、強力なディスコティックなリズム隊に、細かいシーケンスとエフェクト変調した2人のVo或いはテープによる演説やサンプラーなどを散りばめた曲であり、ここら辺はまだ、インダストリアルとテクノ/EBMの狭間に位置しているようです。 ★A2 “Psycho Dance [1989]” (5:38)は、ヴォコーダーVoも用いた、やや重めの四つ打ちリズムと打ち込みによるシンセのリフやシンセ・ベースから成るニューウェーブっぽいダンス・ミュージックです。 ★A3 “La Voluntad De Dios [1987]” (5:34)は、ヒスパニックな語りから始まり、細かく刻むハイハット〜四つ打ちテクノなリズム・トラックで、サンプラーやテープ音を挟み込んできます。Bをサンプリングした音や最小限のシンセのリフ等も絶妙なタイミングです。 ★B1 “Dr. Rhythm [1990]” (5:51)では、ハウスっぽいリズムやシンセのアレンジが施してあり、やや今までと異なった印象です。サンプラーは使用されていますが、シンセのキレが鋭いです。後半の低音シークエンスはカッコ良い! ★B2 “Extasy Bondage [1991]” (6:29)は、四つ打ちのキックに、ファンキーなシンセ・ベースとリズミックなサンプラー等が絡んでくる曲で、後半に挿入されるシンセ音もメロディアスで良い塩梅です。曲のエロさがDAFっぽい。 ★B3 “Holbox [1990]” (8:23)は、出だしが電子庭園のようですが、アシッドなベースラインとシーケンスから、BPM速めなリズム隊がなだれ込んできて、急かすように迫るアシッド・テクノな曲です。また、時に挿入される生ピアノのサンプリングが個人的には好きです。また、メロディアスなシンセも被ってきて、単にダンス・ミュージックで終わらないところも良きかな。 と言う訳で、全6曲を聴いてみましたが、それ程、南米っぽい要素は感じなかったです。ただ、B2のようにDAFをちょっとだけ想起させる曲もあり、DAFのGabiがヒスパニック系独人であるのと共通点があるのかな?とも思いました。正直、調べてみて、Decada 2の2人が結構、昔からやっているアーティストなので、そう言う意味では、欧州や英国のレイブ・カルチャーとの差異はあるようにも思います。私自身はそれ程、クラブ・ミュージックには詳しくないので、ハッキリとはわかりませんが、中々楽しめましたし、曲のクオリティも全然悪いものではなかったので、安心して聴けました。メキシコの電子音楽界を少しだけ覗いた感じです。気になる方は、体験してみてはどうでしょう❗️ A2 “Psycho Dance [1989]” https://youtu.be/Jkf8gLQc4QI?si=aS6FEQ2Xm3gdCyGa [full album] https://youtu.be/Jkf8gLQc4QI?si=aS6FEQ2Xm3gdCyGa [BandcampのURLも貼っておきます] https://lustpoderosa.bandcamp.com/album/phlx002-decada-2-la-noche-del-tomo-ep #Decada2 #LaNocheDelAtomo #Philoxenia #Mexico #SouthAmericanElectronicScene #Techno #EBM #ElectronicBodyMusic #Electro #Synthesizers #Sampler #MateoLafontaine #CarlosGarciaTeruel
EBM / Techno Philoxenia 1375円Dr K2
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Plus Instruments “79/80”
君はPlus Instrumentsを知っているか? 蘭の前衛アーティストTruus de Groot (トゥルース・ド・グルート)が1978年に蘭の地方都市Eindhovenで活動開始したプロジェクト名のことで、+ Instrumentsとも表記されます。今回は、彼女の初期音源を纏めたアルバム”79/80”を紹介しようと思います。de Grootは、元々、1979年にNasmakと言うポストパンク・バンドのVoでした。その頃は、蘭でもパンクが勃興していましたので、Nasmakの立ち位置はニューウェーブと言ったところみたいです。それで、de Grootは、もっと実験的な音楽をソロでやっていきたいのと、蘭の小さな場でやっているよりも、もっと大きな場でやりたいと思っていました。その頃、彼女は名前をTruusからTrussに変えており、それでソロの時には、Truss + Instrumentsと言う名義を使っていました。その時には、壊れたシンセやハンドメイドの電子楽器等やkraakdoosと言う楽器などを使って、宅録でノイズ的音楽をやっています。彼女は、1979年に、BandT + Instruments名義で、Bregt Camphuijzenと共にシングル”Special Agreement”を出しており、まぁ、これが彼女のソロとしてのデビュー作品となります。彼女は、BritポップとWhite Noiseのアルバムと欧米間の感性を持ち合わせており、いわゆるガールズ・ポップと凶暴なエレクトロニクスの間の立ち位置でした。その後、1980年には、Truss + Instruments名義で、カセット作品”79/80”(同名異作)を自主制作で出しています。それで、先述の理由で、1980年11月に、米国NYCに渡り、Lee RanaldoやJames Sclavunos等のアーティストからの援助で活動しています。その中で、Lee Ranaldo (G)とRhys ChathamグループのDavid Linton (Drs)と共に、Plus Instrumentsの最初の国際的ラインナップとして、1981年に、アルバム”Februari - April '81”を出しています。このラインナップは6ヶ月弱しか続かないかったみたいで、その後、彼女は、米国のビートニックに興味を示し、Teenage JesusのJames SclavunosとGun Club/Panther BurnsのJim Duckworthと共に活動することになり、ツアーや録音等も行っていましたが、やがて、このメンツでの創造性は低下していきます。その後、リリースは暫く無くなりますが、本人は余り気にしていなかったようです。しかしながら、2011年に、de Grootのソロ名義Truus Plus Instrumentsとして新録のアルバム”Dance With Me”をリリース、その後、2013年には、Vinyl On Demandより、過去作品のセルフ・コンピ・アルバム”Exile In Paradise (1982 – 2011)”と新録のアルバム”Trancesonics”も出ています。 以上が、Plus Instrumentsのバイオグラフィーのあらましなのですが、今回、ご紹介するアルバム”79/80”は、Truus de Grootのソロ・プロジェクトPlus Instrumentsとしてのアルバムと言うことになります。彼女は、Korg MS-20 SynthとRhythm Box及びEcho Machine(これらは、彼女の友人Wally van Middendorpから借りた機材), Putney SynthとCrackle Synth (これらは彼女のメンターMichel Waisviszから借りたシンセ), G, プラスチック製のオモチャのG, Flute, TV, Organ, マイクを使っており、この頃は、The Shadow Ring, Throbbing Gristle, Wolf Eyes, Toleranceの間を埋めるのが、Plus Instrumentsと評されていました。内容ですが、両面7曲ずつですが、A1, A2, A5はワン・トラックで、A4, A6, B2-B4, B6, B7はピンポンで、A3, A7, B1, B5は4トラックでの録音となっています。また、先述の彼女の一番最初にリリースしたカセット作品”79/80”に収録されている曲(A1-A3, A6, A7, B1, B2, B7)も入っています。実は、de Grootは、1980年に、Nasmakのファンとして、わざわざ地方都市EindhovenにやってきたNigel Jacklinと知り合って、何時間も彼女のアパートで録音しており、それで制作したカセットを彼のレーベルAlien Brains Tape Catalogueから1980年に極少数リリースされていたらしいです。同時期、de Grootは、Amsterdamに上京して、メンターWaisviszにシンセを借りただけでなく、4チャンネルのオープンリールのあったSTEIMスタジオも使わせてもらう機会を得て、また、レーベルFriend and Plurexを運営していたMiddendorpにもKorgのシンセやリズムボックスやエコーも借りて、彼のアパートで録音をしていたそうです。そんな状況で録音された曲を今回、新たにセレクトし、コンパイルして、同じ”79/80”と言うアルバムとしてリリースに至ったとのことです。それでは、各曲を紹介していきましょう。 ★A1 “Lucky Day” (6:40)は、ヘロヘロのテープに録音されたヘロヘロのリズムマシンとシンセ音に彼女の語り調のVoが被る曲で、時にハウリングも挿入される脱力ポップ⁈ ★A2 “How?” (4:29)では、複数のシンセの音が重なり合い、そこに、女性Voやらチープなリズムマシンやらシンセ音やらが被ってきます。音質は悪いけども、懐かしき1980年代初頭の音楽ですね。 ★A3 “Herhalingen” (1:53)では、単調なキックに、テープ音やエコー処理音或いはシンセ音等が被ってきて、すぐにリズムは無くなります。 ★A4 “True Love Stallion” (1:59)も、ハウリング音とシンセ音それに通奏低成るノンビートな小曲ですが、後半にワルツのリズムが聴取できます。 ★A5 “Ectr“ (1:58)は、不明瞭なテープ処理から始まり、これまた不明瞭なリズムマシンと語り調Voやら電子音やらが絡む小曲です。 ★A6 “Improv 1” (1:26)は、グルグルなシンセの単音弾きからガチャガチャした電子音へ繋がっていく曲です。 ★A7 “Dance” (3:13)も、不明瞭なリズムマシンとパルス音に、自由に歌う女性Voと(本当に)適当なGが合わせる曲で、最後にGをボロンボロン弾いて終わります。 ★B1 “Music-Zak” (5:18)は、単調なリズムマシンと背景の緩やかなシンセ音から成るミニマル曲で、次第にオルガン等の音も増えていくのですが、虚無感が凄い! ★B2 “So” (2:31)は、強迫的になっていくアップテンポのリズムマシンと自在な女性Voに、電子音がバックで暴れている曲で、焦燥感を煽ります。 ★B3 “Improv 2” (4:23)は、体操のような女性Voとオルガン(?)の不協和音から成るビートレスな曲で、何とも言えない不安とか不条理を感じます。 ★B4 “Drama” (2:25)は、可愛らしいリズムマシンと割と明確なシンセによるメロディと時折入る男性Voから成る曲で、作品中、最も「楽曲」らしいです。 ★B5 “O Ja” (1:08)は、シンセのパルス的な音によるリズムと多重録音された女性Voから成る曲です。 ★B6 “Mountain” (3:07)は、背後のヤバそうな雰囲気の中、きつ目のリズムマシンが鳴り響く曲で、リズミックですが、ダンサブルではないです。 ★B7 “Stratangle” (1:59)は、チョコマカしたリズムマシン及びバックの電子音と、リズムのズレた女性コーラス(多分多重録音による)が被る小曲です。 まあ、録音方法もモノラル一発録りから4チャンネルの多重録音までがあるので、仕上がりも曲毎で大きく異なっていますが、一貫して、ポップ・ミュージックの文法から外れてしまう感覚が彼女の中にあって、その逸脱振りが非常に興味深いです。シンセの音も篭り気味だし、リズムマシンもチープだし、それだとしても、余りある程の魅力的な曲が並んでいます。とにかく面白いので、一度体験してもらうのがよろしいかと! A2 “How?” https://youtu.be/e6BOSi0M860?si=nG39yt5tSehbAZwY A3 “Herhalingen” https://youtu.be/cN7oJxYD2To?si=tXP-w02qC1nL0SVn A7 “Dance” https://youtu.be/2vRWeZtkdT4?si=X88-2LjTy1RUZ91l [BandcampのURLを貼っておきます] https://plusinstruments.bandcamp.com/album/79-80 #PlusInstruments #79/80 #DeadMindRecords #Holland #NewYork #Primitive #Experimental #EarlyWorks #Synthesizers #Electro #Guitar #RhythmBox #ToyGuitar #Organ #Flute #TV #Microphone #EchoMachine #宅録 #TruusDeGroot #TrussDeGroot#Nasmak #AlienBrainsTapeCatalogue #NigelJacklin #WallyVanMiddendorp #Mentor #MichelWaisvisz
Experimental / Electro / Primitive Dead Mind Records 4048円Dr K2