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Xex “Xex:Change”
いきなりXexって言われても、訳分かんないよねぇー。元々、私がここら辺に注目していたのは、米国レーベルDark Entriesが、盛んに1980年代のシンセ・ポップ音源(その殆どがミニマル・ウェーブと言われる形態であり、2000年以降、欧州とかでは人気のジャンルでもあります)の発掘をやっていたからなんです。いわゆる、その頃って、安価なシンセとドラムマシンの使用と国際的カセット・カルチャーとが見事に結び付いていた時代だったと思います。だから、何の情報も無しに、Bandcampとかで視聴して面白かったバンドの音源を探していたのです(まぁ、郷愁に浸るだけですが)。それで、今回は、米国NewJerseyのXexの未発表音源LPと1981年のライブDVDと言うお得なセットをご紹介したいと思います。 先ずは、Xexのバイオグラフィーを分かる範囲で書いておきます。Xexは、全員がシンセ(とドラムマシン)を担当しているNJ州South Riverのバンドで、結成は定かではないですが、高校同級生のトリオ編成だったのが、Rutgers大学の友達も加えて、Xexが結成されたようです。その時のメンバーは、Alex Zander (Drum Machine, Vo), Jon-Boy Diode (Synth, Vo), Thumbalina Guglielmo (Synth, Vo), Waw Pierogi (Synth, Vo), Cookie Ruggerio (Vo, Synth)とのことで、シンセもARP等を使っていたようです。そうして、1980年に、彼等はファースト・アルバム”Group:Xex”を自分達のレーベルWhat's That Music Recordsから出しており、その目的の1つが、最も暗くて深いレーガンの時代からのタイムカプセルみたいなものを考えていたようで、もう1つの目的は未来志向だそうです。まあ、その後は続かず、知らない間に消滅しており、すっかりXexのことは忘れ去られていました。しかし、1998年に、DJ Tom Smithが、その唯一のアルバムをラジオ局WFMUの音楽ライブラリーから見つけてしまい、バンドのメンバーの許可を得て、2004年にそのアルバムをCDの形態でSmack Shire Recordsから出しています。こんな動きがあって、Dark Entriesも、2011年に、このアルバムを再びLPとしてリイシューし、更にメンバーに協力してもらい、未発表音源を発掘・コンパイルして、本作品であるアルバム”Xex:Change”を2013年にリリースしたとのことです。しかも、1981年4月9日に地元ライブハウスHurrahで行われたライブ動画をDVDとして付けてのリリースです。これは貴重ですよぉー。それでは、Xexの本作品のLPの各曲を紹介していきましょう。DVDについては全体をご紹介することにします。 ◼️LP ★A1 “Fast Food” (4:23)は、重めのドラムマシンと直線的シーケンスに、男女のVoがポツリと歌う曲で、シンセソロも簡素で、微笑ましいです。 ★A2 “Trust In Machines” (3:29)は、やや複雑なリズムセクションに、女性Voが精気無く歌う曲で、シンセのSE的リフがポイントですね。 ★A3 “Fun In The Sun” (5:24)は、スローテンポなドラムマシンとシーケンスとホワイトノイズのPercに、女性Voが淡々と歌う暗い曲で、間奏のシンセが何故か悲しげです。 ★A4 “Vietnam Vet” (3:41)は、重めのSilicon Teensみたいな曲で、野卑な男性Voと女性コーラスから成りますが、やはり軽やかさ不足が特徴でしょうか? ★B1 “Heartbeat” (5:21)は、結構凝ったシーケンスとドラムマシンに、男女Voの掛け合いとシンセのリフが乗る、垢抜けた曲で、心地良いです。曲自体はミニマル。 ★B2 “Form Follows Function” (4:44)も、同期させたシンセでリズムとシーケンスを打ち込んでいますが、コード進行は3コードのロッケンローですね。この曲でも男女Voの掛け合いが聴けます。 ★B3 “Dance For The Limbless” (6:50)は、四つ打ちキックのダンサブルなリズムに、多層化した女性VoとSE的シンセや宇宙音が乗る曲で、タイトル通りで、ミニマルで催眠的! ◼️DVD - Live At Hurrah April 9, 1981 1 “St. Vitus Dance” 2 “Fashion Hurts” 3 “Times For Love” 4 “Rome On $5 A Day” 5 “Form Allows Function” 6 “Compact Love” 7 “Heartbeat” 8 “Svetlana” 9 “Dance For The Limbless” 実は、DVDは、今回初めて観ました。映像では、女性2名を含む5人で演奏しており、その内、男性1名がE-Percを担当、女性1名はVoのみで、シンセは男性2名と女性1名が担当しています。しかも、シンセ奏者は曲によってシンセはそのままに、シェアして演奏しており、またシーケンサーは使っておらず、ベースラインは手弾きのようです。ただ、キックだけはドラムマシンのようです。いやーここまで、ローテックとは思いませんでした。また、その為か、曲も単純なものが多く、演奏も決して上手くはない、寧ろ下手です。しかしながら、「B-52’s meet Kraftwerk」のような雰囲気は、当時の米国ハイティーンの流行を反映しており、大変興味深いものです(学芸会的なノリではありますが)。そんなXexですが、LPでは、結構ちゃんとした演奏で、ややダークな曲が多く、なんか、DVDのバンドとは別物かも?と思う程、違います。それぞれ、面白いと思いますし、LPでの素っ気ないVoの掛け合いや重めのビートなんかも、ミニマル・ウェーブとして楽しめますので、そこら辺のバンドの発掘音源に興味があるリスナーさんにはお勧めしますよ❗️ [LPの曲のまとめは無かったので、各曲を別々に貼っておきます] A1 “Fast Food” (4:23) https://youtu.be/w-TApqa2LUY?si=Va2_VremSFzNsJjY A2 “Trust In Machines” (3:29) https://youtu.be/CQfGEzGmI0I?si=VJHTQVZC_C4sZI3M A3 “Fun In The Sun” (5:24) https://youtu.be/m2YIYySDc7w?si=nknt3CMChsz9yqiw A4 “Vietnam Vet” (3:41) https://youtu.be/hdipem6kpRU?si=kJpc_6rpAvLlJJ0a B1 “Heartbeat” (5:21) https://youtu.be/jjmVDzXyMLU?si=lRj_qqUDeOQZ48Jx B2 “Form Follows Function” (4:44) https://youtu.be/blxv7yTLFbE?si=i6FvAMbOlcEdc9Iw B3 “Dance For The Limbless” (6:50) https://youtu.be/VVhuSQlHn0s?si=U_mwp8Nel0FygeQ0 [Live at Hurrah, Apr. 9, 1981] https://youtu.be/uR_5R1-ymSE?si=XREekX9CljH5yxz- [BandcampのURLも貼っておきます] https://xexgroup.bandcamp.com/album/xex-change #Xex #Xex:Change #DarkEntries #AmericanUnderground #NewJersey #PreviouslyUnreleased #SynthPop #MinimalWave #Synthesizers #DrumMachine #ElectronicPercussions #NoGuitar #Vocal #AlexZander #Jon-BoyDiode #ThumbalinaGuglielmo #WawPierogi #CookieRuggerio
Synth Pop / Minimal Wave Dark Entries 1000円位?Dr K2
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Polyphonic Size “Earlier / Later”
皆さんは、Polyphonic Sizeってバンドを知っていますか? 多分、1980年代初頭から始まったシンセ・ウェーブとかに興味の無い方は知らないと思います。当時は、宅録機材の普及、安価なシンセやリズムマシン、カセット・カルチャーの台頭等の理由から、このような機材を使って、エレ・ポップな音楽を作って、カセットにダビングして交換!なんてことが、世界同時多発的に行われていました。そんな宅録バンドの一つが、このPolyphonic Sizeなんです。Polyphonic Sizeは、ベルギーBrusselsで、1979年にRoger-Marc Vande Voordeによって始まったシンセ・ウェーブなユニットで、彼の他に、France Lhermitte (Vo), Kloot Per W (G, Vo), Martine Bourlée (Vo)もヘルプで参加していたらしいです。それと、結構、早い時期から、英国The StranglersのJean-Jacques Burnelがプロデューサーとしてコラボしており、時には、コーラスでも参加しています。Polyphonic Sizeは、1979年にデビュー・シングル ”Algorhythmic E.P.”を出してから、1990年に最後のシングル”Nosotros”をEMIから出すまで、割とコンスタントにレコード(アルバム4枚、シングル12枚)を出していますが、1990年以降はリリースが無いので、恐らく活動を辞めたものと思われます。しかしながら、それ以降も本作を含めて、3回もセルフ・コンピ・アルバムが作られていることから、それなりの人気(需要)はあったようです。曲は基本的はRoger-Marc Vande Voordeが書いており、シンセの演奏やリズムマシンの打ち込み等も彼が1人でやっていたようです。とすると、「Polyphonic Size= Roger-Marc Vande Voorde」と考えても良いでしょう。 それでは、本作品について紹介していきます。関係者は、Roger-Marc Vande Voorde (All Instruments), Dominique Buxin (Lyrics [A1-B1, B3-B5])で、B2はThe Rolling Stonesのカバーです。なお、Jean-Jacques Burnelが、A3, B2-B5についてはプロデュースしています。内容としては、A面6曲/B面5曲で、A面は”Earlier”とB面は”Later”と副題が付いています。それでは、各曲を紹介していきましょう。 ◼️side Earlier ★A1 “Kosmik Rok” (1:55)は、チープなリズムマシンに、手弾きのウニョウニョしたベース・シンセをエフェクトとかで弄りながらのインスト小曲です。 ★A2 “Space Rejection” (2:05)も、やはりチープなリズムマシンに、ミニマルな手弾きのペース・シンセに合わせて、呪文のような女性Voとホワイトノイズ的SEが乗る曲です。 ★A3 “Nagasaki Mon Amour” (4:03)では、シンセで作ったワルツのリズム(シーケンサー使っているのかな?)に、VoとSE的シンセから成る曲ですが、サビの所は良いメロディでグッと来ます。この曲は、Ultravox!の”Hiroshima Mon Amour”への返答曲かな? ★A4 “Ommatidia” (2:39)では、シンセのパルス音をリズムに、女性Voとホワイトノイズ多目の電子音とオルガンっぽいシンセ音で、アイデアが詰まってます。 ★A5 “Party” (2:47)も、シンセのパルス音がリズムな曲で、安っぽいシンセのメロディとエフェクト掛けたVoが乗っています。最後にモールス信号あり! ★A6 “Saison” (3:43)は、割とちゃんとしたリズムマシンに、ウニョウニョしたアシッド過ぎるシンセと呪文のようなVoから成る曲で、シーケンサー等は使っておらず、メロのシンセもほぼユニゾン! ◼️side Later ★B1 “Logique Polygonale” (3:36)は、SE音(ホワイトノイズ)とリズムマシンと手弾きシンセから成るシンプルな曲で、フラマン語(?)のVoが乗ってきます。しかしながらチープな構成です。 ★B2 “Mother's Little Helper” (3:06)は、ノリの良いリズムマシンとシーケンサーとG(?)らしき音に、やるせないVoから成る曲で、これはカバーですが、原曲とはかなり印象が違いますね。 ★B3 “RDA-RFA” (2:52)も、リズムマシンとホワイトノイズのスネア音とシーケンスとドリーミーなシンセをバックに囁くような女性(?)Voが流れる曲で、今までよりもアレンジは凝っています。 ★B4 “Parties Dance” (4:08)は、リズムマシンに、シーケンスとエレピのような音と朗々としたVoで、曲の構成も良い塩梅で、シーケンスはミニマルですが、アレンジはちょい複雑です。 ★B5 “Night Is Coming On” (4:11)も、リズムマシンとシーケンサーによるベースラインに、綺麗なシンセ音が色付けし、エロチックなVoとコーラスも入っており、曲の出来としては、漸く「普通」のシンセウェーブです。 やっぱり、JJプロデュースの方が、音楽的には成熟度が高いと言えますが、その分、より「普通」になっており、Polyphonic Sizeの程良いチープで駄菓子のような味が薄まってしまっているように感じました。ここら辺は意見が分かれそうですね。私はとしては、A面とかのチープな一発録りのような構成よりも、B面のちょっとだけ凝った録音の方が好きですが、どうでしょう?まあ、とにかく、聴いてみて下さい❗️あと、Vande Voordeは、ホワイトノイズを多用するのも特徴ですね。こんなに使うアーティストは余りいないと思います。まあ、それも好き好きですが、、、。 B2 “Mother's Little Helper” https://youtu.be/TXYZOrkkVKk?si=0NQbX_z1W6fSLFyh [オマケ: live version Polyphonic Size w/ J.J.Burnel “Je T'Ai Toujours Aimée”] https://youtu.be/jdt0nA8u9Ks?si=blS8qkrDy_XABKB6 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nCBnW2BVN3aLhUqoHTbOfOGahtuI9CzxQ&si=6cLM4ECd0qFmgOml #PolyphonicSize #Earlier/Later #MinimalWave #SelfCompilation #TranslucentRedVinyl #Album #Belgium #SynthPop #Electro #Synthesizers #DrumMachine #WhiteNoise #Produce #JeanJacquesBurnel #Roger-MarcVandeVoorde #DominiqueBuxin
Synth Pop / Minimal Wave Minimal Wave €30.00Dr K2