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Xex “Xex:Change”
いきなりXexって言われても、訳分かんないよねぇー。元々、私がここら辺に注目していたのは、米国レーベルDark Entriesが、盛んに1980年代のシンセ・ポップ音源(その殆どがミニマル・ウェーブと言われる形態であり、2000年以降、欧州とかでは人気のジャンルでもあります)の発掘をやっていたからなんです。いわゆる、その頃って、安価なシンセとドラムマシンの使用と国際的カセット・カルチャーとが見事に結び付いていた時代だったと思います。だから、何の情報も無しに、Bandcampとかで視聴して面白かったバンドの音源を探していたのです(まぁ、郷愁に浸るだけですが)。それで、今回は、米国NewJerseyのXexの未発表音源LPと1981年のライブDVDと言うお得なセットをご紹介したいと思います。 先ずは、Xexのバイオグラフィーを分かる範囲で書いておきます。Xexは、全員がシンセ(とドラムマシン)を担当しているNJ州South Riverのバンドで、結成は定かではないですが、高校同級生のトリオ編成だったのが、Rutgers大学の友達も加えて、Xexが結成されたようです。その時のメンバーは、Alex Zander (Drum Machine, Vo), Jon-Boy Diode (Synth, Vo), Thumbalina Guglielmo (Synth, Vo), Waw Pierogi (Synth, Vo), Cookie Ruggerio (Vo, Synth)とのことで、シンセもARP等を使っていたようです。そうして、1980年に、彼等はファースト・アルバム”Group:Xex”を自分達のレーベルWhat's That Music Recordsから出しており、その目的の1つが、最も暗くて深いレーガンの時代からのタイムカプセルみたいなものを考えていたようで、もう1つの目的は未来志向だそうです。まあ、その後は続かず、知らない間に消滅しており、すっかりXexのことは忘れ去られていました。しかし、1998年に、DJ Tom Smithが、その唯一のアルバムをラジオ局WFMUの音楽ライブラリーから見つけてしまい、バンドのメンバーの許可を得て、2004年にそのアルバムをCDの形態でSmack Shire Recordsから出しています。こんな動きがあって、Dark Entriesも、2011年に、このアルバムを再びLPとしてリイシューし、更にメンバーに協力してもらい、未発表音源を発掘・コンパイルして、本作品であるアルバム”Xex:Change”を2013年にリリースしたとのことです。しかも、1981年4月9日に地元ライブハウスHurrahで行われたライブ動画をDVDとして付けてのリリースです。これは貴重ですよぉー。それでは、Xexの本作品のLPの各曲を紹介していきましょう。DVDについては全体をご紹介することにします。 ◼️LP ★A1 “Fast Food” (4:23)は、重めのドラムマシンと直線的シーケンスに、男女のVoがポツリと歌う曲で、シンセソロも簡素で、微笑ましいです。 ★A2 “Trust In Machines” (3:29)は、やや複雑なリズムセクションに、女性Voが精気無く歌う曲で、シンセのSE的リフがポイントですね。 ★A3 “Fun In The Sun” (5:24)は、スローテンポなドラムマシンとシーケンスとホワイトノイズのPercに、女性Voが淡々と歌う暗い曲で、間奏のシンセが何故か悲しげです。 ★A4 “Vietnam Vet” (3:41)は、重めのSilicon Teensみたいな曲で、野卑な男性Voと女性コーラスから成りますが、やはり軽やかさ不足が特徴でしょうか? ★B1 “Heartbeat” (5:21)は、結構凝ったシーケンスとドラムマシンに、男女Voの掛け合いとシンセのリフが乗る、垢抜けた曲で、心地良いです。曲自体はミニマル。 ★B2 “Form Follows Function” (4:44)も、同期させたシンセでリズムとシーケンスを打ち込んでいますが、コード進行は3コードのロッケンローですね。この曲でも男女Voの掛け合いが聴けます。 ★B3 “Dance For The Limbless” (6:50)は、四つ打ちキックのダンサブルなリズムに、多層化した女性VoとSE的シンセや宇宙音が乗る曲で、タイトル通りで、ミニマルで催眠的! ◼️DVD - Live At Hurrah April 9, 1981 1 “St. Vitus Dance” 2 “Fashion Hurts” 3 “Times For Love” 4 “Rome On $5 A Day” 5 “Form Allows Function” 6 “Compact Love” 7 “Heartbeat” 8 “Svetlana” 9 “Dance For The Limbless” 実は、DVDは、今回初めて観ました。映像では、女性2名を含む5人で演奏しており、その内、男性1名がE-Percを担当、女性1名はVoのみで、シンセは男性2名と女性1名が担当しています。しかも、シンセ奏者は曲によってシンセはそのままに、シェアして演奏しており、またシーケンサーは使っておらず、ベースラインは手弾きのようです。ただ、キックだけはドラムマシンのようです。いやーここまで、ローテックとは思いませんでした。また、その為か、曲も単純なものが多く、演奏も決して上手くはない、寧ろ下手です。しかしながら、「B-52’s meet Kraftwerk」のような雰囲気は、当時の米国ハイティーンの流行を反映しており、大変興味深いものです(学芸会的なノリではありますが)。そんなXexですが、LPでは、結構ちゃんとした演奏で、ややダークな曲が多く、なんか、DVDのバンドとは別物かも?と思う程、違います。それぞれ、面白いと思いますし、LPでの素っ気ないVoの掛け合いや重めのビートなんかも、ミニマル・ウェーブとして楽しめますので、そこら辺のバンドの発掘音源に興味があるリスナーさんにはお勧めしますよ❗️ [LPの曲のまとめは無かったので、各曲を別々に貼っておきます] A1 “Fast Food” (4:23) https://youtu.be/w-TApqa2LUY?si=Va2_VremSFzNsJjY A2 “Trust In Machines” (3:29) https://youtu.be/CQfGEzGmI0I?si=VJHTQVZC_C4sZI3M A3 “Fun In The Sun” (5:24) https://youtu.be/m2YIYySDc7w?si=nknt3CMChsz9yqiw A4 “Vietnam Vet” (3:41) https://youtu.be/hdipem6kpRU?si=kJpc_6rpAvLlJJ0a B1 “Heartbeat” (5:21) https://youtu.be/jjmVDzXyMLU?si=lRj_qqUDeOQZ48Jx B2 “Form Follows Function” (4:44) https://youtu.be/blxv7yTLFbE?si=i6FvAMbOlcEdc9Iw B3 “Dance For The Limbless” (6:50) https://youtu.be/VVhuSQlHn0s?si=U_mwp8Nel0FygeQ0 [Live at Hurrah, Apr. 9, 1981] https://youtu.be/uR_5R1-ymSE?si=XREekX9CljH5yxz- [BandcampのURLも貼っておきます] https://xexgroup.bandcamp.com/album/xex-change #Xex #Xex:Change #DarkEntries #AmericanUnderground #NewJersey #PreviouslyUnreleased #SynthPop #MinimalWave #Synthesizers #DrumMachine #ElectronicPercussions #NoGuitar #Vocal #AlexZander #Jon-BoyDiode #ThumbalinaGuglielmo #WawPierogi #CookieRuggerio
Synth Pop / Minimal Wave Dark Entries 1000円位?Dr K2
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Karl Bartos “Off The Record”
今回は、1975年〜1990年の期間、あのKraftwerkのメンバーであったKarl Bartosのソロ名義でのセカンド・アルバム”Off The Record”を紹介しましょう(彼は、最初、Electric Musicと言う名義でも活動しており、最初にセルフタイトルをアルバムも出していますので、それを加えると、サード・アルバムとも言えます)。先ず、簡単に、彼のバイオグラフィーを書いておきます。本名Karlheinz Bartosで、1952年5月に独のMarktschellenbergで生まれています。大学生の時(1965年〜1975年)には、The Jokersのドラマーとして活動していますが、その時には、Carlos Bartosと名乗っていました。この後、1975年〜1990年まで、電子音楽グループKraftwerkのメンバーとして、Wolfgang Flürと共に活動していますが、この時期のKraftwerkは最も安定しており、創作活動も充実しています。Bartosは、元々、AutobahnのUSツアー要員として誘われたのですが、Karlhainzと言う本名は、ネオン管で作るには長過ぎるし、費用も掛かるとRalf Hütterに指摘されたので、ステージ名としてKarl Bartosとなりました。Kraftwerkでは、パーカッションを担当していましたが、アルバム”Man-Machine”, “Computer World”, “Electric Café”では作曲にも関わっており、特に後者では1曲、リードVoも担当しています。しかしながら、Bartosは、バンドの創設者Ralf HütterとFlorian Schneiderが、完璧主義に益々拍車が掛かり、バンドとしての活動が極端に遅くなり、それに対して不満が噴出したことから、1990年8月にバンドを脱退しています。それで、Bartosは、Elektric Musicを立ち上げ、1993年にKraftwerk風アルバム”Esperanto”を、1998年にはよりギターポップ的なアルバム”Electric Music”をリリースします。この2枚の間にも、1996年には、Bernard SumnerとJohnny Marrとのコラボを行い、Electronic名義で、アルバム”Raise the Pressure”を、またOMDのAndy McCluskeyと共作して、”Esperanto”とOMDのアルバム”Universal”にそれぞれ名を連ねています。また、スウェーデンのバンドMobile Homesのアルバムもプロデュースしたりして、余りにギターポップだったこともあり、一時期、シンセポップ・ファンを落胆させましたが、このアルバムは商業的には成功しています。その後、彼は、2003年に、Karl Bartos名義で、シンセポップ・アルバム”Communication”をリリースします。2007年には、グラフィック・アーティストJean Giraudに関するドキュメンタリー”Moebius Redux – A Life in Pictures”の音楽を担当しています。そうして、彼は、2008年初頭に、オーディオ・ヴィジュアル展Crosstalkの第1版をオーブンすることを自身のHPで宣言し、21本の映像、リミックス、カバーから成るプログラムを開催し、スウェーデン、ベルギー、蘭、独、英や日本からの素材をマッシュアップしています。2011年3月には、iPhoneのアプリとして、Mini-Composerを出しています。2013年3月5日に、本作品でもあるセカンド・アルバム”Off The Record”をリリースします。その前に、シングルカットされた”Atomium"を2月1日に1000枚限定で世界同時にリリースしています。2020年9月には、彼の公式ニュースレターが、新たなプロジェクトを進行していると公表しましたが、パンデミックの為、それは公開されませんでした。2021年5月12日に、Kraftwerkはロックの殿堂入りを果たし、Schneider, Hütter, Flürと共に、Bartosも賞されています。 ここら辺が、Karl Bartosの経歴ですが、本作品”Off The Record”は、元々、CD作品としてリリースされており、その一部は本作品のようにLPフォーマットでもリリースされています。本作品は両面共6曲ずつ収録されています。それでは、各曲をご紹介していきましょう。 ★A1 “Atomium” (3:16)は、7拍子と言う変拍子ですが、全然違和感の無い打ち込みシンセポップに仕上がっています。奇跡! ★A2 “Nachtfahrt” (3:30)は、バックはもろKraftwerk調なのですが、ほぼ生のVoが入ることで、より親しみ易いシンセポップになっています。メロとサブメロの掛け合いも良い塩梅です。 ★A3 “International Velvet” (4:37)は、変調Vo(ここでの「変調Vo」はヴォコーダーを通したVoです)も入った寛ぎのシンセポップで、メロディもテンポも優しい。Kraftwerkよりもずっと人間味に溢れています。 ★A4 “Without A Trace Of Emotion” (3:28)は、ノリの良い陽キャな曲で、この曲では生声で歌っており、ロックすら感じます。途中で7拍子のフレーズや変調Voも入ってくるのも良いアクセント! ★A5 “The Binary Code” (1:41)は、パルス状の電子音の波から成るインスト曲で、頭の中に沁みます! ★A6 “Musica Ex Machina” (5:15)も、ダンスチューンのようなリズムに合わせて、変調Voで歌っており、バックのシンセ音も絶妙なミックスと音色で良きかな。最後の転調もグー! ★B1 “The Tuning Of The World” (3:33)は、優しいメロディと変調Voによるシンセポップで、人間味溢れた曲調がKraftwerkとは違い、言わばシンセ弾き語り! ★B2 “Instant Bayreuth” (3:36)は、スローで簡素なリズムに、通奏低音と単音のシンセによるメロディが心に沁みるインスト曲です。 ★B3 “Vox Humana” (2:56)は、人間臭いリズムと人声サンプリング、それにピロピロしたSE的シンセが絡む、何かが言いたいような曲で、途中途中でテンポが変わります。 ★B4 “Rhythmus” (4:16)は、その表題通り、強靭な打ち込みリズムを強調した曲で、変調ロボットVoと生Voとを使い分けており、そこら辺に秀逸さを感じます。 ★B5 “Silence” (0:06)は、ポリシンセの2フレーズだけのSE的小曲です。電子音楽のNapalm Death? ★B6 “Hausmusik” (3:29)は、陽キャなメロディのシンセポップで、軽く変調したVoと軽やかなシンセのメロディもツボを押さえていますね。 と言う訳で、Karl Bartosの”Off The Record”を聴いてみましたが、Kraftwerkに似た部分もあるのですが、多分見ている方向が真逆で、打ち込みによるシンセポップながら、非常に人間臭いものを感じました。そこら辺も意識しているのかも知れませんが、大きな違いだと思います。根本にはバピネス指向ではありますが、所々に批判精神も感じられ、そう言う意味では、一聴の価値ありと思いますので、本作品を是非聴いて欲しいですね❗️ A6 “Musica Ex Machina” (MV) https://youtu.be/msAFXe4PEVU?si=e7dF7yd5FmouGqzv [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_klyXA2OKwTf5C0xO5fdbpzYSRfIQzrcdc&si=me56ZwJowKJ1PmiY #KarlBartos #OffTheRecord #BureauB #ElectroPop #Synthesizers #Kraftwerk #SoloAlbum #2ndAlbum #変拍子 #Humanity #German #ElectricMusic
Electro Pop Bureau B £14.81Dr K2
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Polyphonic Size “Earlier / Later”
皆さんは、Polyphonic Sizeってバンドを知っていますか? 多分、1980年代初頭から始まったシンセ・ウェーブとかに興味の無い方は知らないと思います。当時は、宅録機材の普及、安価なシンセやリズムマシン、カセット・カルチャーの台頭等の理由から、このような機材を使って、エレ・ポップな音楽を作って、カセットにダビングして交換!なんてことが、世界同時多発的に行われていました。そんな宅録バンドの一つが、このPolyphonic Sizeなんです。Polyphonic Sizeは、ベルギーBrusselsで、1979年にRoger-Marc Vande Voordeによって始まったシンセ・ウェーブなユニットで、彼の他に、France Lhermitte (Vo), Kloot Per W (G, Vo), Martine Bourlée (Vo)もヘルプで参加していたらしいです。それと、結構、早い時期から、英国The StranglersのJean-Jacques Burnelがプロデューサーとしてコラボしており、時には、コーラスでも参加しています。Polyphonic Sizeは、1979年にデビュー・シングル ”Algorhythmic E.P.”を出してから、1990年に最後のシングル”Nosotros”をEMIから出すまで、割とコンスタントにレコード(アルバム4枚、シングル12枚)を出していますが、1990年以降はリリースが無いので、恐らく活動を辞めたものと思われます。しかしながら、それ以降も本作を含めて、3回もセルフ・コンピ・アルバムが作られていることから、それなりの人気(需要)はあったようです。曲は基本的はRoger-Marc Vande Voordeが書いており、シンセの演奏やリズムマシンの打ち込み等も彼が1人でやっていたようです。とすると、「Polyphonic Size= Roger-Marc Vande Voorde」と考えても良いでしょう。 それでは、本作品について紹介していきます。関係者は、Roger-Marc Vande Voorde (All Instruments), Dominique Buxin (Lyrics [A1-B1, B3-B5])で、B2はThe Rolling Stonesのカバーです。なお、Jean-Jacques Burnelが、A3, B2-B5についてはプロデュースしています。内容としては、A面6曲/B面5曲で、A面は”Earlier”とB面は”Later”と副題が付いています。それでは、各曲を紹介していきましょう。 ◼️side Earlier ★A1 “Kosmik Rok” (1:55)は、チープなリズムマシンに、手弾きのウニョウニョしたベース・シンセをエフェクトとかで弄りながらのインスト小曲です。 ★A2 “Space Rejection” (2:05)も、やはりチープなリズムマシンに、ミニマルな手弾きのペース・シンセに合わせて、呪文のような女性Voとホワイトノイズ的SEが乗る曲です。 ★A3 “Nagasaki Mon Amour” (4:03)では、シンセで作ったワルツのリズム(シーケンサー使っているのかな?)に、VoとSE的シンセから成る曲ですが、サビの所は良いメロディでグッと来ます。この曲は、Ultravox!の”Hiroshima Mon Amour”への返答曲かな? ★A4 “Ommatidia” (2:39)では、シンセのパルス音をリズムに、女性Voとホワイトノイズ多目の電子音とオルガンっぽいシンセ音で、アイデアが詰まってます。 ★A5 “Party” (2:47)も、シンセのパルス音がリズムな曲で、安っぽいシンセのメロディとエフェクト掛けたVoが乗っています。最後にモールス信号あり! ★A6 “Saison” (3:43)は、割とちゃんとしたリズムマシンに、ウニョウニョしたアシッド過ぎるシンセと呪文のようなVoから成る曲で、シーケンサー等は使っておらず、メロのシンセもほぼユニゾン! ◼️side Later ★B1 “Logique Polygonale” (3:36)は、SE音(ホワイトノイズ)とリズムマシンと手弾きシンセから成るシンプルな曲で、フラマン語(?)のVoが乗ってきます。しかしながらチープな構成です。 ★B2 “Mother's Little Helper” (3:06)は、ノリの良いリズムマシンとシーケンサーとG(?)らしき音に、やるせないVoから成る曲で、これはカバーですが、原曲とはかなり印象が違いますね。 ★B3 “RDA-RFA” (2:52)も、リズムマシンとホワイトノイズのスネア音とシーケンスとドリーミーなシンセをバックに囁くような女性(?)Voが流れる曲で、今までよりもアレンジは凝っています。 ★B4 “Parties Dance” (4:08)は、リズムマシンに、シーケンスとエレピのような音と朗々としたVoで、曲の構成も良い塩梅で、シーケンスはミニマルですが、アレンジはちょい複雑です。 ★B5 “Night Is Coming On” (4:11)も、リズムマシンとシーケンサーによるベースラインに、綺麗なシンセ音が色付けし、エロチックなVoとコーラスも入っており、曲の出来としては、漸く「普通」のシンセウェーブです。 やっぱり、JJプロデュースの方が、音楽的には成熟度が高いと言えますが、その分、より「普通」になっており、Polyphonic Sizeの程良いチープで駄菓子のような味が薄まってしまっているように感じました。ここら辺は意見が分かれそうですね。私はとしては、A面とかのチープな一発録りのような構成よりも、B面のちょっとだけ凝った録音の方が好きですが、どうでしょう?まあ、とにかく、聴いてみて下さい❗️あと、Vande Voordeは、ホワイトノイズを多用するのも特徴ですね。こんなに使うアーティストは余りいないと思います。まあ、それも好き好きですが、、、。 B2 “Mother's Little Helper” https://youtu.be/TXYZOrkkVKk?si=0NQbX_z1W6fSLFyh [オマケ: live version Polyphonic Size w/ J.J.Burnel “Je T'Ai Toujours Aimée”] https://youtu.be/jdt0nA8u9Ks?si=blS8qkrDy_XABKB6 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nCBnW2BVN3aLhUqoHTbOfOGahtuI9CzxQ&si=6cLM4ECd0qFmgOml #PolyphonicSize #Earlier/Later #MinimalWave #SelfCompilation #TranslucentRedVinyl #Album #Belgium #SynthPop #Electro #Synthesizers #DrumMachine #WhiteNoise #Produce #JeanJacquesBurnel #Roger-MarcVandeVoorde #DominiqueBuxin
Synth Pop / Minimal Wave Minimal Wave €30.00Dr K2
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Saboten (サボテン) “Floor Et Satie (フロアとサティー)”
サボテン、覚えている方はいるでしょうか?1980年代初頭の日本で、「サティーをエレキバンドで弾いたらどうなるか」を実践したデザイン/美大生の女子4人によるロックは、当時は衝撃的であった/衝撃的な程「下手な」バンドであったと思います。彼女らは、1982年にはファースト・アルバム”サボテン”を突然段ボールのレーベルFloorから出し、その後、1984年に、自身のレーベルSabot RecordsからEP “いつもある”を、1992年にもSabot Recordsからセカンド・アルバム”目覚める”を、2002年にはいぬん堂からサード・アルバム”つづく夢”をリリースしています。とDiscogs上は記載されていますが、コンピ等への参加や海外でのリリースなどを含めると録音物はもっとあるようです。実は、英国を代表する即興Sax奏者Lol Coxhillとの共演(その一部は、仏NATOのErik Satieのカバー集にも収録)や、英国出身米国在住のFred Frithによるプロデュースでのコンピ・アルバムへの参加も果たしており、また、突然段ボールの故蔦木栄一主催の日本カセット・テープ・レコーヂングからも、彼女達の自信作でもあるカセット作品”Let’s Satie”を出しています。と言う訳で、このセルフ・コンピ・アルバムが出たのが、もう既に10年前な訳ですが、私自身は何故、このアルバムを購入する気になったのかは忘却の彼方です。なので、知識の整理も兼ねて、ライナーノーツなどから、サボテンのバイオグラフィーを先ず書いてみます。元々は、法政大学哲学科在学中に絵の学校にも通っていた松本里美と武美大デザイン科在籍の田邊厚子が知り合って、お互いが先ず、楽器(松本はGを、田邊はDrs)を購入したことから端を発します。その後、田邊の中学時代の同級生で、日芸彫刻科在籍の宮川いづみがBで加入。3人共、ピアノは弾けますし、楽譜の読み書きもできましたが、宮川の加入で、彼女が弾くErik Satieの”Sports Et Divertissements (スポーツと気晴らし)”に触れ、Satieをピアノじゃなくてエレキバンドで演った方が、Satieの面白さに繋がると決断し、分担譜面割りを始めます。その後、早稲田大の風間正江 (G)と知り合い、4人組として、オリジナルのインスト曲も作り始めます。この頃はまだバンド名も無かったようですが、宮川の知り合いの突然段ボールの故蔦木栄一にデモテープを聴かせたところ、偉く気に入られ、1981年の突段企画のオールナイト・コンサートに出演を誘われ、その際にバンド名がサボテンになったとのことです。その時には、サボテンは通常の4ピース・ロックバンドの形態でしたが、全ての楽器をメロディ楽器として演奏、また歌詞も松本が書いていたようです。その後、先述のように、1982年にファースト・アルバムをリリースしています。当時の彼女達の演奏は、ストイックに楽曲をプレイしているのですが、時にはステージに背を向けて輪になって演奏したり、スカスカの音や変拍子でノン・グルーヴの特有のリズム感などを体現しており、The SlitsとかThe Raincoats或いは、ESGやCaptain BeefheartやThe Shaggsなどが引き合いに出されていました。しかし、彼女達は初めからコピーバンドでは無かったので、突然変異だったのでしょう。ただ、当時は下手くそバンドと揶揄されていたようですが、後のオルタナ/Lo-Fiバンドの先取りをしていたのかもしれませんね。その後、風間が脱退し、3人で録音したのが、EP “いつもある”で、更に、田邊が脱退し、代わりにグンジョーガクレヨンの宮川篤がDrsで参加して、2002年にアルバム”つづく夢”を出しています。 と言うのが、サボテンのバイオグラフィーになりますが、本作品では、過去の音源をKoichi Hara氏がミックスし直して、リマスタリングしており、オリジナルとはまた異なった感触に仕上がっているとのことです。それで、先ず各面のクレジットについて、先に表記しておきます。LP1はファースト・アルバム”サボテン”全曲を収録しており、メンバーは、松本里美 (G, Lead-Vo, Back-Vo), 宮川いづみ (B, Synth [Korg]), 田邊厚子 (Drs), 風間正江 (G, Lead-Vo & Back-Vo [A1-A3, B1-7])で、ゲストに蔦木俊二 (G [A1, A2, A4, B4], Perc [B1])が参加しています。LP2C面は、カセット作品”Let’s Satie”からで、メンバーは、松本里美 (G, Harmonica), 宮川いづみ (B, Piano), 田邊厚子 (Drs), 風間正江 (G [C3, C5])で、ゲストにLol Coxhill (Sax [C3, C5])が参加しています。録音場所/日時は、ややこしいですが、C1前半とC3後半が1992年録音で、C1後半が1985年4月4日渋谷屋根裏で、C3前半が1982年録音で、C2とC4が1983年9月29日早稲田大学で、C5が1981年荻窪Misty Music Studioでの録音となっています。なお、C面は、C3前半”Enteraku”を除いて、全てErik Satieの曲です。LP2D面の内、D1とD2はEP “いつもある” (1984年: Studio 246)からで、D3はアルバム”Non Position” (2002年: Gok Studio[1984年録音])からで、D4とD5は、アルバム”目覚める”(1992年作: Studio Parkside)からコンパイルされており、メンバーは、松本里美 (G, Vo), 宮川いづみ (B, Synth [Korg]), 田邊厚子 (Drs)となっています。D3はFred Frithのプロデュースです。また、LP1A/B面とLP2D面の内、D2だけがErik Satie作曲で、残りは全てオリジナル曲です。では、各曲を簡単に紹介していきますね。 LP1: From “Saboten”(1982) A1 “エメラルドの山彦 (Emerald Echo)”は、そんなに下手だとは思わなかったです。Voも元気一杯だし。 A2 “ヘビ使いのうた(The Snake Charmer's Song)”は独逸語/日本語の歌詞と曲の構成が面白い! A3 “低い椅子 (The Low Chair)”では、シンセの単音弾きのイントロから、何だか不思議な構成とミックスの曲が始まります。Voもキュート。 A4 “余計な予感 (Useless Foresight)”でも同様に、GもBもDrsも歌っており、曲の構成も緻密で秀逸!インスト部分が特に良い。 B1 “Accel”は、一転、何だか各楽器が緩〜く崩しての演奏によるインスト曲です。テンポも段々速くなります。 B2 “日の丸 (The Rising Sun)”も インスト曲で、それぞれの音の構成とミックス・バランスが不安定です。 B3 “エテンラク (Etenraku)”は、元は雅楽の演目「越天楽」で、ダブっぽいけど、レゲエ調ではないファットなBとそれぞれが主張を繰り広げるインスト曲です。 B4 “Knee Guitar”も、Bに導かれ、何かベンチャーズっぽいインスト曲ですが、決定的に何かが違います! B5 “彼女 (She)”では、シンセの大胆な導入もあるのですが、各人が勝手に弾いているような錯覚に陥ります。 B6 “ヨロコビ (Pleasure)”は、てんでバラバラな印象のインスト曲で、即興では?と勘違いしそう! B7 “馬(Horses)”は、本作では珍しく、Bのリフが延々と刻まれるインスト曲で、意外な一面です。 LP2: From “Let's Satie!” (1992) C1 “食欲をそそらないコラール~インプロヴィゼーション (Choral Inappétissant/Unappetizing Chorale – Improvisation)”は、ハーモニカのイントロから、いきなりフリーキーな即興演奏に移行していく短い曲です。 C2 “ブランコ (La Balançoire/In A Swing)”では、規則的なリズムの上に、Coxhillの素っ頓狂なSaxに乗りますが、フリーキーなGやのほほんとしたピアニカが良い塩梅です! C3 “エテンラク~海水浴 (Etenraku – Bain De Mer/Sea Bathing)”は、同じ曲とは思えない程のカッコ良いビート曲に連続して、ピアノの演奏へと交代。 C4 “競馬 (Les Courses/Race)”は、B7をモチーフにしたような一定のBのリズムの上に、CoxhillのSaxが跳ねていますが、中盤のGとの掛け合いは必聴!しかし、これ、本当にSatieの曲か? C5 “タンゴ (Tango)”は、ラジカセ録りなのか、荒い印象ですが、割とBがしっかりしてます。そして段々テンポは速くなります。 その他: D1 “未来の記憶 (Memory Of The Future)” (1984)では、最早、意味不明なインスト部分を含んで、落ち着いたVoの聴ける楽曲になっていますが、やはり全体の構成は凄いです! D2 “ゴルフ (Golf)” (1984)は、Satieの曲とは思えない位、ナンセンスかつ複雑な曲構成になっています。これは必聴! D3 “箱庭 (Miniature Garden)” (1984)は、複雑に聴こえる曲構成に漸く演奏能が追いついてきた感もあり、拍子の変化や転調が凄いです。そこにキュートなVoも。 D4 “自転車 (Bicycle)” (1992)は、アンビエントかつミニマルな曲で、Voのメロディは全くフリーです! D5 “島の生活(Island Life)” (1992)も、Voの無い部分では、各パートは全くフリーの如く演奏しています。 ふーぅ、やっと本作品をレビューしてみました。個人的には、インスト曲の方が好みかな? とにかく、演奏能力が乏しいにも関わらず、曲の構成は複雑で、これを全部譜割して演奏しているのか❗️と思うとちょっとビックリしてしまいます。Satieの曲自体よりも面白いかも! LP1: From “Saboten”(1982) A1 “エメラルドの山彦 (Emerald Echo)” A2 “ヘビ使いのうた(The Snake Charmer's Song)” A3 “低い椅子 (The Low Chair)” A4 “余計な予感 (Useless Foresight)” B1 “Accel” B2 “日の丸 (The Rising Sun)” B3 “エテンラク (Etenraku)” B4 “Knee Guitar” B5 “彼女 (She)” B6 “ヨロコビ (Pleasure)” B7 “馬(Horses)” LP2: From “Let's Satie!” (1992) C1 “食欲をそそらないコラール~インプロヴィゼーション (Choral Inappétissant/Unappetizing Chorale – Improvisation)” C2 “ブランコ (La Balançoire/In A Swing)” C3 “エテンラク~海水浴 (Etenraku – Bain De Mer/Sea Bathing)” C4 “競馬 (Les Courses/Race)” C5 “タンゴ (Tango)” その他: D1 “未来の記憶 (Memory Of The Future)” (1984) D2 “ゴルフ (Golf)” (1984) D3 “箱庭 (Miniature Garden)” (1984) D4 “自転車 (Bicycle)” (1992) D5 “島の生活(Island Life)” (1992) [LP1 “Saboten”オリジナル・アルバム] https://youtu.be/LVTLtkhHyts?si=copfvux2-5jFCZik LP1 A1 “エメラルドの山彦 (Emerald Echo)” https://youtu.be/sRdv-LWbvBE?si=iAmDeUVu1o9YnMG4 LP2 D2 “ゴルフ (Golf)” (1984) https://youtu.be/JxOag0Q4m_s?si=s7uAkIBAOLpUcZy2 LP2 D3 “箱庭 (Miniature Garden)” (1984) https://youtu.be/fZvi00MSyDQ?si=XvB0ef_ZZ4XXr5F_ LP2 D4 “自転車 (Bicycle)” (1992) https://youtu.be/GFMVDjlMbUY?si=5iTS_eqwnj9jAyUi #Saboten #サボテン #FloorEtSatie #フロアとサティ #EMRecords #SelfCompilationAlbum #Reissue #Remastering #1982年-1992年 #IndieRock #PostPunk #Lo-Fi #Piano #ErikSatie #蔦木栄一 #EiichiTsutaki #Floor #日本カセット・テープ・レコーヂング #NipponCassetteTapeRecorzing #松本里美 #SatomiMatsumoto #宮川いづみ #IzumiMiyakawa #田邊厚子 #AtsuoTanabe #風間正江 #MasaeFuma
Rock / Post Punk EM Records 不明Dr K2
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K2 / Hakobune “Disambient”
ええっ〜‼️K2とHakobuneが一緒にぃー❗️と言う訳で、今回もまた、自分関係のレコードを紹介します。因みに、この作品はコラボではなく、スプリットです。K2についてはちょっと前にも書きましたが、この頃のは第3期K2の時期で、なおかつミキサーのフィードバックを使っていた頃の録音です。強いて言うならば、第3期初期〜中期と言うところでしようか? 一方、Hakobuneは、今や世界中のカセットをいち早く入荷して、日本のカセット・カルチャーを牽引しているTobira Recordsを店主依藤貴大 くんのソロユニットのことです。彼は、アンビエント作家として、2007年頃より、今までに膨大な種類の作品(主にカセット)を世界中のレーベルからリリースしています。そんな依藤くんと何でスプリットを作ろうと思ったのかはよく覚えていないのです。その結果は、まあ当然と言えば当然ですが、K2サイドはもろノイズ・ミュージックを、Hakobuneサイドはゆったりとしたアンビエントを収録しています。また両A面仕様で、ジャケもそれぞれ別のレーベルがジャケのデザインを担当しています。それで、内容をもう少し掘っていきますが、先ず、K2サイドはミキサーのフィードバック・ノイズ(junk electronics)を中心に、生ピアノや電子ヴァイオリンを用いたラウド・ノイズから成る曲”Medal Merq Mehre”(このタイトルは当時、夢に出てきた文字を羅列したものです)を収録しています。この時期はピアノを取り込むことが多かったですね。一方、Hakobuneサイドは、ベースとエフェクターを用いたゆったりと沈み込むようなアンビエント曲”Hange-Ame (半下雨)”を収録しており、さながら、深海に潜っていくような感覚になってきます。お互い、スタイルの違いはあったと思いますが、音楽に真剣に向き合うと言う点で一致していたものと考えます。そんな再生時に音量設定に困るような作品ですが、もし見かけたら、聴いてみて下さい。現物は300部限定です❗️そしてTobira Recordsにも行ってみよう(と言いながら私もまだ行っていないw)❗️ Hakobune / K2 https://k2music3.bandcamp.com/album/disambient #K2 #Hakobune #Disambient #UndergroundPollutionRecords #AutisticCampaign #IkebukuroDada #RohsProd #Anarchofreaksproduction #Pianoise #Cut-UpLoudNoise #Bass #DeepAmbientMusic #SplitAlbum
Noise / Ambient Underground Pollution Records / Autistic Campaign / Ikebukuro Dada / Rohs Prod / Anarcho Freaks Production 不明。Dr K2
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Daniel Fagerström ”Synthesator Vol.4: Beyond Interstitial Space”
これも、忘れていた謎物件。元々は、スウェーデンのUFO Mongoが自国の電子音楽をシリーズ”Synthesator”の第四弾として、自国でSkull Defekts, Optic Nest, Members of Tinnitusなどのポストロックバンドやアンビエントユニットで活躍しているDaniel Fagerströmのソロ作品をリリースしたと言う訳です。彼についての情報は殆ど分からないのですが、上記のバンドをYouTubeで聴いてみると、Skull Defektsはミニマルな展開でノリの良いアンサンブルを提示するカッコいいバンドで、Optic NestはDanielのソロユニットで、モデュラーシンセとVoから成るアンビエントな電子音楽を演っており、本作品にも通じるものを感じさせます。Members of Tinnitusについては不明でした。 本作品はそんなDaniel Fagerströmのソロです。一見、現代音楽のようなジャケ写に見えますが、モデュラーシンセとアナログシンセ(Roland SH-101, Juno 60)を用いた電子音楽で、一部は、同じスウェーデン在住のAlexander Skeppがドラムを叩いています。本作品を聴いて思ったのは、1970年代の仏のRichard Pinhasが率いてたプログレ・バンドHeldonの後期の作品とそのRichard Pinhasのソロ作品です。特に、Alexanderが加わったA3 “Mithochondrion”とB2 “Chromatin”はモロHeldonと言っても誰も疑わない程です(生ドラムとシンセ及びシーケンサーの同期演奏)。また、それ以外の曲も生ドラムもギターもありませんが、初期のRichard Pinhasの作風にも共通点がありそうです。面白いのは曲のタイトルの付け方で、全て細胞生物学用語が冠されています。そう考えると、アルバムタイトルも生物学用語てすね(「間質を飛び越えて」と言う意味ですね)。彼の言葉を借りると、「タイトルは、人間の細胞間にある空虚な部分(間質)を飛び越え、お互いの感覚器と細胞のエネルギー産生所の両方に達して、よく働く分子の運動が、コアを貫通し、最終的に細胞の、まさに中心(核)に到達すると言う「旅」のようなものである。」とのこと。う〜む、奥が深い。その分子の「旅」が、この作品のコンセプトなのでしようか。とすると、これはparacrineの音楽ですね。彼が何故こんな細胞生物学的知識があるのかは不明ですが、そのモデュラーシンセの粘りこっい電子音がもう一つの魅力ではあります(何となく、粘着質=有機質と感じるのですが)。Heldonファンはチェックした方が良いでしょう。 “Chromatin” https://youtu.be/KWslHJF58fg #DanielFagerström #BeyondInterstitialSpace #BörftRecords #UFOMongo #Synthestor #Sweden #Electronics #Synthesizers #ModularSynthesizers #TapeManipulation #Drums #DanielFagerstrom #AlexanderSkepp #Heldon #RichardPinhas
Electro-Acoustic Music Börft Records 不明。Dr K2
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Nisennenmondai (にせんねんもんだい) “s/t”
このバンド、以前にYouTubeを観てから、ずっと欲しかったんですよ。1999年にYuri Zaikawa (B), Sayaka Himeno (Drs), Masako Takada (G)から成る不動のトリオとして、東京で結成されたガールズ・インスト・バンドです。これはレコードよりもライブの方が彼女達の魅力がよく分かるんですが、まあ、ここでは敢えてレコードを紹介したいと思います。先ず、彼女らのバイオグラフィーです。1999年に彼女達が通う大学の近くのクラブで会い、話していたら、すぐにバンド結成に至りました。レコードなどは、彼女達の自主レーベルBijin Recordsより出すことが多いです。最初のフルアルバムはBijin Recordsから2006年にリリースした”ろくおん”になります。彼女達の音源はメインストリームでは殆ど顧みられなかったのですが、それでも彼女達は、豪州、オーストリア、クロワチア、デンマーク、仏、独、伊などなどのフェスに出演しています。もちろん、英国や米国ツアーも積極的に行なっています。その演奏スタイルは、他に似たものがなく、AllmusicのHeather Phares氏は「This Heat, The Pop Group, Sonic Youth, DNA, Neu!などの実験的ロックバンドにインスパイアされたようで、荒削りだが、反復を繰り返すポストパンク・インスト・バンドとも言えるだろう。しかもグルーブ重視のノー・ウェーブ/ディスコ・ヴァイブも聴き取れる」と評しています。 そんな彼女らが坂本慎太郎氏のレーベルから、石原洋のプロデュースで出したリミックスEPが本作に当たります。とにかく、執拗で無機質なハイハットの刻みとバスドラがまるで機械のように連打され、そこに点描のようなベースと効果音にしか聴こえないギターが、その人力マシンビートの間を浮遊すると言うスタイルは、確かに先述のグループを思い起こさせるかも知れませんが、聴こえる音楽は全くのオリジナルと言えます。何と言うか、修験行者の禁欲的な修行とでも言いましょうか、とにかく、唯一無比の孤高の音楽です。そう言った意味で、私は個人的には「極めて簡素かつ強靭な点描の音楽」或いはは「マンマシーンなロック」と言いたいです。本作品ではM. Takedaはギター以外にKbdも演奏しています。B面は一転して、リフらしい音も聴こえてきますし、途中にブレイクも聴こえてきますが、相変わらず「反復」は基本となっています。これは、石原氏のプロデュースによるものでしょうか?あと、彼女らの音楽は反復を基調としていますが、薬物系な感じではなくて、一種のdisciplineのような態度を感じます。そんな彼女らの音楽を一度は体験してみて下さい。 “B-1” https://youtu.be/wo3xrfFKYOI #Nisebnenondai #にせんねんもんだい #ZeloneRecords #YouIshihara #反復 #Repetition #InstrumentalMusic #YuriZaikawa #SayakaHimeno #MasakoTakada
Minimal Music / Post Punk Zelone Records 1800 円Dr K2
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Merzbow “Samidara”
ノイズ・ミュージックのオリジネーターであるMerzbow (秋田昌美氏)の黄盤です。最早、語るどころの騒ぎでは無いと言うか余りにも語るべきことが多過ぎて、語り尽くせないです。もう皆さんも知っている通り、最初にはメール・アート/ミュージックの世界で、ミュージック・コンクレートやコラージュ的手法でノイズ・ミュージックを実践していましたが、段々とライブ用に多量のエフェクターを用いたアナログ・ノイズへ、更には、LapTopを用いたデシタル・ノイズへ、そしてデシ・アナ混合のノイズへと常に時代を先取りしていた秋田昌美氏のストレート・エッジ・ヴィーガン・ノイズ・プロジェクトが、このMerzbowです。それで本作品は米国ミシガンのPlacenta RecordingsからリリースされたLPで、イエロー盤(片面のみのカセット版もあるみたいです)。録音は2009年に自宅で行われており、3曲が収められています。何もかも飲み込んで、歪み切った轟音の中にふあーっと立ち上がってくるパーカッションやドラム或いはギターのリフの反復音が、如何にもMerzbowらしいところですね。その轟音も単に音がデカい訳ではなく、複雑なレイヤーの重ね合わせからなり、金属ジャンクやフィードバック音などの色々な音を使っている点も高得点です。これをエアーで大音量で聴いたら、凄いだろうなあと正直、そう思いますね。しかしながら、今までに550作以上、ノイズのアイテムを作り続けている、その熱意に尊敬の念を懐かざるを得ないですね。まあそれは兎も角、常に進化続けるMerzbowのノイズ・ミュージックを是非とも堪能して下さい(私、始めは45回転で聴いてたのですが、それでも違和感はなく、何か直ぐに終わるなあと勘違いしてました、すいません)。それと秋田さんってタイトル付けるの上手いですよね。何かのモチーフがあるのかもしれませんが、中々出来ないですよ、あのセンスの良さは。 “Gran 1” https://youtu.be/kud4Z-2yeNw #Merzbow #Samidara #PlacentalRecordings #HarshNoise #Noise #NoiseMusic #MasamiAkita
Noise Placenta Recordings 不明Dr K2
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Pharmakon “Bestial Burden”
Pharmakon、、、それは新しいものが生まれるアートの坩堝NYC生まれでNYC育ちのMargaret Chardietのソロ・ノイズ・ユニットのことである。と言う訳で、彼女のセカンド・アルバム”Bestial Burden”を紹介します。一言、凄まじいですよ、これ❗️その前に、彼女のバイオグラフィーを。先にも書きましたが、米国NYC生まれの生粋のニュー・ヨーカーですが、彼女は17歳の時から、NYCのアングラ・シーンに身を投じて、アイコンにもなっています。そうやっていることで、必然的に彼女は「音楽」を作ることになります。ですので、リリースが開始されたのは2007年で、その後、NYCの老舗レーベルBloodlust !からシングルCDRを2009年にリリースします。その後には、彼女は同じNYCのレーベルSacred Bone Recordsよりファーストアルバム”Abandon”を2013年に、そして本作品であるセカンド・アルバム”Bestial Burden”を2014年に、更にサードアルバム”Contact”を2017年に、4枚目のアルバム”Devour”を2019年にリリースしております。また、同レベールより”A Mixed Tape Made By Pharmakon”なるカセット作品を2019年にリリースしております(個人的には聴いてみたい!)。現在のところの活動は不明です。 それで本作品なんですが、最近、話題の女性パワ・エレ・アーティストがアメリカに居るとの噂を聞き付けて、初めて購入した作品になります。ですので、他の作品は聴いておりませんので、立ち位置がよく分からないと言うことをご承知おき下さい。Pharmakonと言う名を聴いた時、私は薬学関係の造語どと思っていたんですが、今回、調べてみたら、哲学用語としてちゃんとあるんですね。「治療・毒・スケイブゴート」の3種類の混合物を指すようで、どうもモルヒネなんかの作用のことらしいです。としたら、スラングで「ヤク」のことでは?と思いを馳せます。肝心の音ですが、全体の印象は、重厚なシンセの音やとシンセで作ったバスドラのトライバルな音に、ささくれ立った彼女の叫び声的ヴォイス(所謂、グラインド・コアで言うところのデスヴォイスではないが、B面最後の曲などはDiamanda Galasを想起させるヴォカリゼーションも披露してます)が絡みつくスタイルで、所謂、NYスタイルのパワ・エレの進化型と感じます。それと録音物と言うこともあって、女性の息遣いを多重録音した曲(A-1)や病気の男性の声を使った曲(B-1)もあり、アルバムの中では効果的に作用しています。また、重量盤と言うこともあって、音圧もあり、迫力は充分です。とてもダイナミックな音作りですね。あと、アートワークが上手く誤魔化しているようですが、捌かれた食肉や内蔵を写真を上手く使ってますね。こう言う悪趣味な所が、米国らしいと言えばらしいかな(もうこんなアートワークは使い古されて、ショック・タクティクスとしては機能しないですね) ? そんな彼女のぶっ壊れたパワ・エレに一度は触れてみて下さい。 [full Album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lq11jwa6XbKcTp0SWdk7QFSosoZmo4Fm8 #Pharmakon #BestialBurden #SacredBoneRecords #NewYork #PowerElectronics #Female #MargaretChardiet
Power Electronics Sacred Bone Records 不明Dr K2
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The Haters / Hal Hutchinson “Xylowave 2010 / Amplifaction II”
出ました!G.X. Jupitter-Larsen率いるThe Hatersと金属ノイズのHal Hutchinsonのがっぷりよつのスプリット作品のリイシュー盤です❗️しかも青盤❗️ノイズとは格あるべきとのお手本のようなアルバムをリイシューしたのは独逸のAuf Abwegenです。それで、最初に両者のバイオグラフィーを簡単に。The Hatersは、その首謀者G.X.Jupitter-Larsenが1979年に結成した、彼の音楽を実践する不定形のノイズ・プロジェクトのことです。なので、通常の演奏よりもノイズを放出し、ライブハウスを破壊することに主眼を置いています。また、彼は、ラウドなノイズを作り出す訳ですが、その背景には、美学的観念とコンセプチュアル観念のミックスからなり、特に、後者には、エントロピーが関係しているとのことです。それを表す概念として、G.X.はしばしば、”Polywave”, “totimorphous,"や"xylowave."と言う言葉を使っています。その為に、The Hatersは大いなるエントロピーの増加の為、大音量で歪んで、増幅された音(=ノイズ)を放出するとのことです。一方、Hal Hutchinsonは2000年代に現れた英国人アーティストで、メタル・ジャンク使いです。また,本作の元になったカセット作品は元々,彼自身のレーベルDer Bünker Recordsからリリースされていますが、彼の活動も2010年前後に活発になっています、基本的に、彼はもっぱらメタル・ジャンクの演奏になりますが、Eistruzende Neubautenなどとは異なり、様々な奏法を試しており、第二期K2(特に”De Novo”辺りの感触ですね)と近いものと思われます。個人的な趣味で言う時にはもう少し、リバーブを効かせた方がいいかな?この人も情報が殆どないので,これくらいしか分かりません(すまん❗️) どちらの作品も音楽的にも面白いので、気になる方は、是非とも聴いてください。因みにこれをリイシューした独逸のAuf Abegenは良質なノイズミュージックを扱っているので、チェックした方が良いかも。 このアルバムはYoutubeになかったので、代わりに [The Haters live] https://youtu.be/prTKO0tcu5s [Hal Hutchinson] https://youtu.be/vAebZDjEXNY #TheHaters #HalHutchinson #Xylowave2010 #AmplificationII #NoiseMusic #AufAbwegen
Noise Auf Abwegen 不明Dr K2
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Eleh “Homage”
このボックスセットを何故購入したかは全く覚えがないのですが、多分、限定と言うことで購入したのだと思います。Elehが何者か?と思う方もいると思いますし、私も今回聴くまで、よく知りませんでした。Elehは本名John Brien Jr.で、多分多くの方は知らないかと思いますが、Johnの運営しているレーベルがImportant Recordsと言えば、知っている方もいるかと思います。それで、この作品なのですが、3枚組のボックスセットなのに、ほぼほぼ余計なモノは排除された、極めてハードコアかつミニマルな装丁です。盤面にはA面とかの表示もなく、どちらがこの曲なのか?も分かりません。しかもボックスの面も辛うじて見えるホワイトジャケで、情報も極めて分かりにくくなっています。それで内容なのですが、これまたハード・コアなミニマル・ドローン・ミュージックから成ります。それぞれにサイン波のみ、矩形波のみ、Pointed Waveformのみと言う記載がありますが、ほぼ変化に乏しい単音或いは少しばかりの倍音から成る片面一杯の長尺の曲から成ります。要するに音の方も、ミニマルかつミニマムなハードコア・ドローンです。どうも彼は一貫してこのような激渋なドローンを続けており、その徹底振りからイギリスの老舗Touchからも作品を出しています。また、使用機材は明記はされていませんが、Serge社のモデュラーシンセを使っているそうです。これを面白いと取るか?退屈と取るか?はリスナー次第、その時の気分次第と言うことでしょう。この作品を2回続けて聴くのは相当の体力が必要かと思います。なお、本ボックスは過去作をコンパイルしたもののようです。気になる方はどうぞ。 https://youtu.be/RNFmyaugV8k #Eleh #TaigaRecords #Drone #HardCore #Minimal #ImportantRecords
Drone, Experimental Taiga Records 不明Dr K2
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Sightings “Terribly Well”
突如、2002年のNYに現れたNo Waveの遺伝子を持つSightenigsの10枚目のアルバムはアナログで。メンバーはG/VoのMark Morgan, BのRichard Hoffman, Drs のJon Lockieの不動のトリオで、本作にはシンセでPat Muranoも参加していますが、あんまり良く分からないです。実は2002年位に来日しているのですが、余りにもそれまでの音と違った為、日本のオーディエンスは戸惑ったとか。しかしながら、本作では、打楽器と化したベースと超絶技巧なドラムの上に、有刺鉄線のような引き攣るギターが縦横無尽に掻き鳴らされ、更に叫ぶようなヴォーカルが乗っかると言う極度にフリーキーなロック(辛うじてロックの形態を保っていると言う意味で)をやってます。Markに言わせると、彼がこのようななギターを弾くようになったのは、灰野敬二氏のギター演奏を観たからだと明言しています。しかしながら、現在、このようなNo Waveなロックをやっているグループは貴重なので、是非とも続けて欲しいものです。応援しよう! 曲順 A1 “The Loafer” (5:18) A2 “Mute's Retreat” (3:17) A3 “Yellow” (6:51) A4 “Better Fastened” (4:21) B1 “Rivers Of Blood” (6:06) B2 “Bundled” (4:22) B3 “Take It In Trade” (3:21) B4 “Bucket Brigades” (6:16) B1 “Rivers Of Blood” https://youtu.be/-aXq2uSWYMc?si=utKpoCpv5TrHAZqO [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_k1UoJD4VrYw9NmdQ7kgv88HesJECRUSnY&si=MI4zXLjES9nhI8U2 #Sightings #TerriblyWell#DaisRecords #10ThAlbum #NoWave #NoiseRock #KeijiHaino #NewYork #MarkMorgan #RichardHoffman #JonLockie #Synthesizers #PatMurano
No Wave, Avant-garde Rock, Noise Rock Dais Records 不明Dr K2