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Kosmonautentraum “Ungehörtes Unerhörtes”
またまた、Kosmonautentraumの作品をご紹介しますが、今回は、独の再発専門レーベルVinyl On DemandからリリースされたKosmonautentraum(或いは中心人物Ziggy XY[本名 Michael Jarick]関係)のセルフ・コンピレーション・アルバム”Ungehörtes Unerhörtes (ウンゲルヘルテス・ウナーヘルテス;「前代未聞」の意)”を紹介します。よって、この作品は、極初期から解散期までの曲を収録していますので、統一感は余り無いかも知れませんが、それでも未発表音源のZiggy & Enoなんかも聴くことが出来ますので、かなり貴重なアルバムだと思います。それでは、先ず、各曲の出典を記しておきます。A1, B6, B7は、1980年に自費出版された150部限定のファースト・シングル“Immer Laut Hören Nachbarn Stören“で、メンバーはZiggy XY (Vo, Synth), E.K.T. ことEckart Kurtz (G, Electronics, Synth), ClaudiことClaudius Hempelmann (Drs)から、A2は、1981年にZickZackからリリースされたセカンド・シングル“Rache!”で、メンバーはZiggy XY (Vo, Kbd), E.K.T. (Drs, G, B), Karl May (G), SüsskindことErhard Schüttpelz(Kbd)から、A3, A5, B1, B2, B4, B5は、1981年にZiggy & Enoとして制作された未発表音源で作曲にはJörg Laubischも参加している音源から、A4とA6は、1982年にZickZackよりリリースされたファーストLP”Juri Gagarin”で、メンバーは、Ziggy XY (Vo, Synth, Melodica), Kai MayことKarl May(G, Harp, E-Piano, Sounds, Perc), Süsskind (B, Synth, B-Effects, Klavier, Trumpet, Melodica, Xylophone, Perc), E.K.T. (Drs, Synth, Mellotron, G, Vo-Effects)から、A7は、1983年にバンド・プロジェクトStatschki Prospekt(シュタツキ・プロスペクト; メンバーはMichael Jarick, Christian Hartje, Hanno Hofmann)として参加したコンピレーション・カセット作品”Intrendent Fansette”から、A8は、1982年のZickZackからリリースされたサード・シングル ”Liebesmühn”で、メンバーはZiggy XY, E.K.T., Karl May, Süsskindから、B3は、1987年に自費出版された50部限定カセット品”Für Freunde”で、メンバーはZiggy XY, Jörg Einicke, Jörn Bender, Lenard Schmidthalsからとなっております。そう考えると、Kosmonautentraumは、Ziggy XYことMichael Jarickのバンドだったんだなぁと言うこと分かります。それでは、各曲について紹介していきたいと思います。
★A1 “Kosmonautentraum Nr. 3 Der Deutsche” (2:32)は、スモッグのようなホワイトノイズと極めて不鮮明な演奏をバックに、適当なリズムマシン操作とZiggyのアジテーションVoの掛け合いから成る曲で、最初は、こんな事もやっていたんだと感涙。
★A2 “Kosmonautentraum Nr. 6 Nur Zum Spass - Nur Zum Spiel” (1:13)は、ミニマルなリズムマシンとシーケンスをバックにZiggyのVoが乗る曲で、宅録風の仕上がりです。
★A3 “Süsser Mond” (2:04)は、落ち着いたBとGの調べをバックにヴォコーダーVoが切々と歌う曲で、何故かほっこりしてしまいます。打楽器は不使用。
★A4 “Juri Gagarin” (2:27)は、リリカルなピアノと強力なリズム隊に、ZiggyのパンキッシュなVoが乗る曲で、ノリも良く、初期の名曲ですね!
★A5 “Wir Tanzen Tango” (2:35)は、タンゴのリズムとおもちゃの鉄琴とアコーディオンやピアニカをバックに、Ziggyが切々と歌い上げる曲で、如何にも初期NDWを思わせるアレンジです。
★A6 “Tanz Den Kosmonaut” (3:38)は、強靭なズンドコ・ビートを叩き出すリズム隊とシンセをバックに、Ziggyが投げやり気味に歌う曲で、SE的シンセやGが良いアクセントになっています。これも初期の名曲!
★A7 “Waffenbrüder Für Den Frieden” (6:49)は、何ともカタカタしたドラムマシンにゴリゴリのBとノイジーなG、それにエフェクトを掛けたVoが乗る曲ですが、ドラムマシンはどんどん重くなり、Gは益々ノイジーに、Voは更に混沌となっていきます。ルーズでスラッジーの極みです。
★A8 “Goldene Nacht” (2:36)は、スカスカなズンドコDrsに、口琴とVoの掛け合いから成る曲で、叫びまくっています。
★B1 “Bärte Entstellen Wärter” (1:35)は、ドカドカしたDrsとスカスカなオルガンとGに、気の抜けたVoが乗る曲で、脱力感が半端ないです。
★B2 “Geduld” (3:06)は、銅鑼の一発から、単調なリズムマシンにB-Synthとシンセが乗り、そこにやたらハッキリしたVoが乗る曲で、後半ではアコーディオンも入ってきて、Harmonia等の往年のクラウトロック風にも聴こえます。
★B3 “Lösch Das Feuer” (5:25)は、断続的な重い打撃音とリズムを刻む木琴に合わせて、ピアノや女性コーラスの断片とZiggyの正気の無いVoが乗る曲で、割とダークな感じです。
★B4 “Hyperthrommatatronic” (3:22)は、タムを多用したDrsと鉄琴の金属質な調べと唸り声のような低音をバックに、Ziggyが「ハレルヤ!」と歌い上げる曲で、正に初期NDW的なアレンジです。
★B5 “Husarengebrechen” (4:25)は、欧州の田舎を想起させるようなリコーダーの調べをバックに、Ziggyがシアトリカルに語るように歌う曲で、時々、打楽器やBやGのインプロみたいな音も混在してきます。終わり方も秀逸!
★B6 “Kosmonautentraum Nr. 1” (4:07)は、聴こえ辛い不明瞭なDrsとB?の演奏に、TVのホワイトノイズやシンセによる電子ノイズが暴れ回る曲ですが、段々とバンド演奏(ブギ風?)の方は聴こえてきます。
★B7 “Kosmonautentraum Nr. 2 Alltag” (1:56)は、単なるシンセによる音遊びのような曲で、バックにはリズムマシンの音も微かに聴こえます。
こうやって聴いてみると、Kosmonautentraumと言うバンド(と言うかZiggy XYことMichael Jarick)の変遷が良く分かります。極初期のオモチャ箱をひっくり返したような電子音とバンド演奏の混合物から、次第にビートの効いたバンド・サウンドになり、その途中でオフビートやスカスカなリズムの実験的な曲調を作りつつ、最後にはダークなコンクレート風音楽まで辿り着いたように思います。それに、Ziggy & Enoも、実際にBrian Enoとコラボしているようには思えず、如何にもBrian Enoとコラボしている風に録音されているとしか思えません(ただし、これは未確認です)。そう言うギミックな所も含めて、如何にもNDWのど真ん中を歩いてきたZiggy XYの歴史に触れることが出来たのは面白かったです。本作品は、NDWファン全員に大推薦です!
https://youtu.be/ynxQ14MCW0o?si=NUUOjSzlCQZXi4HY
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