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Direktion “Jeder Tag Wunderbar“
これは、海外通販の時に、ついでに買った作品で、ちょっとYouTubeを試聴して購入したので、その正体は不明のままでした。なので、少し調べてみました。
先ず、メンバーは、Manfred Rürup (Kbd; マンフレッド・リュールプ), Michael Schrader (Vo; ミヒャエル・シュラーダー), Udo Dahmen (Drs; ウド・ダーメン)のトリオです。そして彼等のバイオグラフィーですが、Die HamburgerのManfred Rürup (それ以前には、Tomorrow’s Gift, Panther, RMOにも在籍していた)とUdo Dahmen (元Rufus Zuphall, Kraan, Bill Ramsey, Helmut Hattlerにも在籍していた)は、元々パーカッショニストのMichael Schraderを誘って、新たなバンドDirektion (ディレクチオーン)を結成し、1982年に、Rürupは自分で録音してあったデモテープを元に、共同プロデューサー兼エンジニアの”Charly“ Steinbergと共に、トリオで録音し直しています。その時の曲が、大手CBSの目に留まり、同年、CBSと契約して、シングル2枚とLP1枚がリリースされています。その内のフィースト・シングル”Herzstiche”がちょっとしたヒットとなり、彼等は既にセカンド・アルバムを用意しており、既にスタジオ入りしています。この時には、人気スタジオ・ベーシストで、Dahmenの友人でもあるBenjamin Hüllenkremer (B; ベンヤミン・ヒューレンクレマー)がヘルプで参加しています。しかしながら、この時点で、独語で歌うと言うことが余り求められなくななった為、結局、このセカンド・アルバムは「幻」となります。そうして、Direktionは解散してしまいます。解散後、Rürupは、Inga Humpeらと一緒に演奏したり、1984年には、Harald Gutowskiと共に、BAT BATと言うプロジェクトを立ち上げ、クラシックなタンゴに現代的な音を加えた新しいダンスミュージックを作り、マキシ・シングル”ZZZANGO”をリリースしています。一方、Dahmenは、独のスタジオ・ドラマーやライブドラマーとして人気が出て、Inga Rumpf, Ina Deter, Georg Danzer, Achim Reichel, Anne Haigis, Manfred Maurenbrecherの作品に参加しており、現在は、Mannheimのポップアカデミーで芸術監督で、同時に教授もやっているとのこと。また、Rürupは、プロデューサーのSteinbergと共に、Steinberg (www.steinberg.de)と言う会社を設立し、音楽制作におけるコンピューター・テクノロジーの可能性について早い段階から認識して、成功を収めています。
まぁ、Direktionについては、この位しか分かりませんでしたし、Direktionとして活動していた時期も短かったので、この位ですね。
それで、Direktionの唯一のアルバム“Jeder Tag Wunderbar (イェダー・ターク・ヴンダーバー「素晴らしき毎日」の意)”は、先述の通り、Manfred Rürup (Kbd), Michael Schrader (Vo), Udo Dahmen (Drs)の3人で作成されています。それでは
本作品の各曲を紹介していきましょう。
★A1 “Wunderbar” (0:29)は、アッという間に終わる口ずさめそうなメロディアスな曲の断片です。
★A2 “Herzstiche” (3:24)は、ガラスの割れる音から始まる、ブラス系のシンセを多用したソウルフルなポップン・ロールで、オルガンも結構、味のある使い方をしています。シンセをGっぽく弾いているのが特徴です。
★A3 “Abenteuer” (3:18)は、強烈なビートに乗せて、木琴系のシンセやメロディアスなシンセと共に、抑制気味なVoが乗るアップテンポな曲です。SE的なシンセもDrsと良く合っています。
★A4 “Haiti Und Hawaii” (3:54)も、ロータムを多用したジャングルなリズムに、キレのよいシンセがよくマッチしている曲で、太いシンセBや複数でのVoも効果的です。ちょっぴり陰がある所も魅力的。
★A5 “Jo San” (4:02)は、女性Voとシーケンスで始まる曲で、歌詞はどうも独逸語ではなさそうです(中国語?)。ポリシンセのふにゃふにゃ具合も良い感じですが、バックの演奏自体はポップです。
★A6 “Eitel Genial” (3:38)も、キラキラしたシンセが眩しいポップチューンで、Voも弾け気味ですし、サビのコーラスもグーです。でも、タイトルが、、、。途中のブレイクも中々ポップスの王道的アレンジです。
★B1 “Flugzeugträume” (3:42)も、割とミニマルなアップテンポのシンセ・ポップチューンで、繰り返されるシンセのリフが頭に残ります。複数でのVoもグーです!
★B2 “Yeti” (1:20)は、物音から始まる割とアンビエント風の曲で、ちょっと牧歌的で、ドラムレスです。Amon Düül IIの曲とは大違いです。
★B3 “Saszacasza” (4:37)は、中近東風なリズムとメロディが中心の曲ですが、Muslimgauzeと違って、かなり、シンセのSE音も使われ、サビではタイトルを激情的に歌っています。このアルバムでは異色曲です。
★B4 “Tanz Der Zitronen” (2:59)は、割と重めのドラム(マシン)の独特なリズムに、シンセの大胆なメロディが絡むインスト曲で、途中ではBGM”期のYMOっぽいメロディも出てきます。
★B5 “Go” (2:06)は、会話から、のんびりしたシーケンスが始まる曲で、伸びやかなシンセも良い味です。最後に、カウントして”Go!”と叫び回ります。
★B6 “Wunderbar” (3:11)は、やはり”BGM”期のYMOのようなリズムに、大胆なメロディを響かせるシンセやコーラスの断片などが入ってくる割と実験的な曲ですが、最後で、A1のようなメロディになります。
割と、王道のシンセ・ポップな曲が多かったのと、インスト曲も含まれていたり、”BGM”期のYMOっぽい実験性もあったりとヴァラエティーに富んだアルバムだと思いました。これも、Manfred Rürupの作曲能力と”Charly“ Steinbergのプロデュース力の結実した賜物だと思います。まぁ2人の相性が良かったんでしようね。これ1作で終わってしまったのも勿体無いですし、「幻」のセカンド・アルバムもいつかは聴きたいものです!と言う訳で、今回は結構当たりでした。もし、この作品を見かける機会が有れば、是非ともシンセポップ・マニアの方は聴いてみて下さい!
A2 “Herzstiche” (3:24)
https://youtu.be/HgYjWInszlQ?si=cpLwck8Lxk0AtKVy
A3 “Abenteuer” (3:18)
https://youtu.be/PucrfxWsR9A?si=nScPianDq24MB-xa
A4 “Haiti Und Hawaii” (3:54)
https://youtu.be/M8ndnwd3A4U?si=T9o0Hdnmh2yEKjW3
A5 “Jo San” (4:02)
https://youtu.be/FrQ34O9g1m4?si=o8Supp_aFH6-hbma
A6 “Eitel Genial” (3:38)
https://youtu.be/j1O7TRAgWh4?si=gYFow_GEPuDCcXgA
B1 “Flugzeugträume” (3:42)
https://youtu.be/qUJ9Hz4r0Cw?si=OvFXRbEpefVdmoYU
B2 “Yeti” (1:20)
https://youtu.be/vN4AhR-uPrI?si=Uy5P-Yi2IgoNqKsc
B3 “Saszacasza” (4:37)
https://youtu.be/g2AV37KAmSI?si=YkNX9mStJzE93xnI
B4 “Tanz Der Zitronen” (2:59)
https://youtu.be/uZs9m1EomiI?si=cehLOg4-bIszD0jJ
B5 “Go” (2:06)
https://youtu.be/dilETwrL_Vo?si=l3QjADpETkt58AHf
B6 “Wunderbar” (3:11)
https://youtu.be/eNB6iizO9Nw?si=Gx6_ZQg4rxebmlnI
[オマケ: Interview]
https://youtu.be/3vN7EK1awkI?si=vgYxkZm3Pf7Odjr6
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