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Tom Tom Club “s/t (おしゃべり魔女)”
本家のTalking Headsではなく、今回は、そのバンドのリズム隊からスピンオフしたバンドTom Tom Club (以下、TTCと表記)をご紹介します。先ず、TTCのバイオグラフィーを紹介したいと思います。米国バンドTalking HeadsのTina Weymouth (B)とChris Frantz (Drs)の夫婦が、1981年に、サイドプロジェクトとして始めたのが、TTCです。2人は、Compass Point All StarsのメンバーやAdrian Belew (G)、それにTinaの姉妹達の比較的緩い関係で録音したり、ライブを行ったりしています。TTCと言うネーミングは、元々、1980年のTalking Headsのリハを行ったバハマのダンスホールから付けられたとのこと。そして、1980年代初頭に出したシングル”Genius Of Love”や”Woody Rappinghood”がヒットしたこともあって、ダンス・ミュージック・シーンで成功を収めます。それで、これらの曲も含んだファースト・アルバムをSire Recordsからリリースし、そこそこの成功を収めていますが、David Byrneには無視されていました。しかし、"Genius of Love"は、色々なアーティストにサンプリングされ、それはHip Hopの黎明期とも関係しています。一方、英国でもこの曲の短縮盤が、1982年に12㌅EPでIsland Recordsから配給され、英国ではThe Driftersの”Under the Boardwalk"のカバーが英国Top 40に食い込む程のヒットを記録しています。た、”Genius of Love”は、1984年に、Talking Headsのコンサート映画”Stop Making Sense”にもフィーチャーされています。しかしながら、翌年にリリースしたTTCのセカンド・アルバム”Close to the Bone”はヒットしませんでした。ただ英国盤は6種類のカラー盤でリリースされており、Treacherous Threeは、シングルカットされたTTCの"Pleasure of Love"をサンプリングしていたりもします。その後1988年に4年振りに、TTCは、サード・アルバム”Boom Boom Chi Boom Boom”をリリースしていますが、この時には、米国外のレーベルFontana/PolyGramと契約しており、内容も、もう少しエッジの効いたロック調の作品が制作されています。しかしながら、このアルバムでも商業的成功は収められず、1992年には、4枚目のアルバム”Dark Sneak Love Action”をリリースしています。このアルバムには、Hot Chocolateの”You Sexy Thing”のカバー曲も含んでおり、全体としては、よりテクノに近いた内容です。2000年には、5枚目のアルバム”The Good, the Bad, and the Funky”をリリースし、これにはDonna Summerの”Love To Love You Baby”とLee “Scratch” Perryの”Soul Fire”のカバー曲を含んでいます。2002年にはTalking Headsがロックの殿堂入りを果たしますが、その後、TTCとしてのライブも時々と言う風に少なくなっていきます。しかしながら、現在もWeymouthとFrantzはTTCを現役で活動を続けているとのことです。 と言うのが、TTCのザッとした流れです。ではTTCのファースト・アルバムで本作品でもある”おしゃべり魔女”の紹介をしていきましょう。 ★A1 “Wordy Rappinghood (おしゃべり魔女)”は、結構、Weymouthのラップ調のVoと着実でタイトなリズムとシンセやPercが初々しくも、弾けるような曲です。当時はよく流れていましたね。 ★A2 “Genius Of Love (悪魔のラブソング)”は、A1に連続して始まり、Weymouth姉妹のコーラスワークが映えるファンキーな曲です。シンセのリフが癖になります。しかし邦題は酷いんじやない? ★A3 “Tom Tom Theme (トムトムクラブのテーマ)”も、連続して始まり、Percをふんだんに使ったリズム楽器だけのインスト曲です。 ★A4 “L'Éléphant (エレファント)”は、Adrian Belewお得意の「パォーン」なGワークとダンサブルなリズムに、Weymouth姉妹の可愛らしいコーラスワークが冴えています。 ★B1 “As Above, So Below (魔法は気まぐれ)”は、DrsとPercとKbdの刻みが絶妙な曲で、やはり姉妹のコーラスが素人っぽくてキュート!間奏のシンセがピロピロしてて、グーです。 ★B2 “Lorelei (ローレライ)”は、ちょっと落ち着いた雰囲気の曲ですが、多分それはウィスパーなコーラスのせいでしょう。曲自体はダンサブルです(Aunt Sallyとは同名異曲)。しかし、結構、細かい所に凝った音作りしています。 ★B3 “On, On, On, On... (オン・オン・オン)”は、割と直線的なビートの曲で、ファンクっぽくはないです。そんなロックなビートと姉妹のVo/掛け合いが良くマッチしています。ダブ処理もあり。 ★B4 “Booming And Zooming (ブーミングとズーミング)は、フニャフニャなシンセとビートに、変調(男性)Voによる語りが乗る曲で、最初と最後だけ姉妹のコーラスが聴けます。ちょっと毛色が違う曲です。 Talking Headsより肩の力が抜けた感じで、楽しんでやっている感がひしひしと感じられます。それも、キュートかつ素人的なWeymouth姉妹のコーラスがメインVoであることによるのでしよう。また、よく聴いてみると、曲の至る所にダブ処理などちょっとだけ凝った音作りも発見できて、そこら辺の塩梅がアート臭くないポップネスになったのではないか?と思います。肩の力を抜いて聴く時に良いかも❗️またはビール片手に軽く踊る感じかな? A4 “L'Éléphant (エレファント)” https://youtu.be/pll08D09IJk?si=u6Sf-7ACBQeYhcWC [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLE2DNBZSMVztRgpDFQ8-jAaAuhjbDkWVh&si=tWL4wvmLT9yRJovC #TomTomClub #おしゃべり魔女 #SireRecords #FirstAlbum #NewWave #Funk #Rhythm #Drums #Bass #TalkingHeads #ChrisFrantz #TinaWeymouth #AdrianBelew #UziahStickyThompson #TyroneDownie #MonteBrown #LoricWeymouth #LaniWeymouth #LauraWeymouth #BenjaminArmbrister #KendalStubbs
New Wave / Funk Sire Records 不明Dr K2
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Sheena & The Rokkets “Channel Good”
今や、伝説にまでなってしまった、日本のロックの草分け的存在Sheena & The Rokkets (以下、シナロケと表記)。彼等のセカンド・アルバム”真空パック”を探そうとしていたら、サード・アルバム”Channel Good”が出てきましたので、こちらを先にご紹介します。「伝説」と言うのは、もうシーナも鮎川誠も他界してしまったからなんです。そこまで紹介出来るかどうか分かりませんが、取り敢えず、彼等のバイオグラフィーを書いてみます。元々は、1970年から福岡で活動していたブルースロックバンド・サンハウスのG/作曲家であった鮎川誠 (米国人とのハーフ)と、妻のシーナを中心に1978年に結成されたのが、シナロケで、当時は地元福岡に拘って活動しています。しかし、父親に「一回、東京でスパッと勝負してこい!」と言われ、上京。1978年8月に新宿Loftで、鮎川誠&ミラクルメン名義でライブを敢行、同年10月に、Elbon Recordsより鮎川誠&シーナロケット名義で、”涙のハイウェイ”でメジャーデビューしています。翌年に、ファースト・アルバム”# 1”をリリース。そして、その年にAlfa Recordsへ移籍し、YMOのメンバーの協力を得て、セカンド・アルバム”真空パック”をリリースし、シングル”You May Dream”が、JALのCMに使用されたこともあって、ブレイクします。また、1980年9月には、細野晴臣と高橋幸宏がプロデュースし、YMOがゲスト参加したサード・アルバム”Channel Good (チャンネル・グー)”をリリースし、同年のYMOの初国内ツアーでは、福岡、神戸、京都、札幌、東京のゲスト・ギタリストとして鮎川が参加しています。1981年には、アルバム”Sheena & The Rokkets”が米国限定で、A&Mからリリースされています。1984年に、ビクター系列のレーベルInvitationに移籍、アルバム”New Hippies”をリリースしますが、1987年に、浅田孟 (B)が脱退します。その後、1992年に、シナロケは、同じビクター系列のSpeedstar Recordsに移籍、アルバム”(ha! ha! ha!) Hard Drug”をリリースしています。1998年には、野外フェスFuji Rock Festival ‘98 in Tokyoに出演し、翌年5月には、Wilco Johnson/シナロケJapanツアーを開催しています。2000年には、オリジナルメンバー川嶋一秀 (Drs)が復帰し、15枚目のアルバム”Rock The Rock”をリリース、Fuji Rock Festival ‘00にも出演。翌2001年には、初期の名曲から最近の楽曲までを網羅したライブ・アルバム”爆音ミックス”をリリースしていますそうして、2003年に、Shibuya-Callingに出演。同年7月にボックスセット”Dream Box”とベスト・アルバム”The Greatest Sheena & The Rokkets”を同時リリースしています。同年11月に東京Shibuya-AXにてシナロケ25周年ライブを開催し、2004年には、25周年を記念してリミックス・アルバム”Electrokkets”と、映像作品”Love Live”をそれぞれリリースしています。2007年には、Sony Music Directよりベスト・アルバム”Golden Hits The Alfa Yearsもリリース。2008年、シナロケ結成30周年として、アルバム”Japanik”をリリース、同年5月、恵比寿ガーデンホールにて”Japanik”発売と結成30周年を祝う”S&R Happy 30th Anniversary Special”を開催しています。そうして、2009年12月には、シーナの自伝的エッセイ”You May Dream: ロックで輝きつづけるシーナの流儀“を発刊し、その中で、悪化した声帯ポリープの手術のことを書き記しています。2013年には、シナロケが、Wilco Johnsonのホストバンドとして、”Wilco Johnson Tokyo Session 2013”を開催、ライブDVDはリリース後、即完売となります。2014年5月、鮎川の生誕66年祭を2日間行う。同年7月に、18枚目のアルバム”Rokket Ride”リリース。その時に、シーナがステージIVの子宮頸癌が発覚するも、シーナの希望で、病状は一切明かすことなく、亡くなる2ヶ月前までライブ活動を行っています。しかし、2015年2月14日、シーナが子宮頸癌により死去(61歳没)。鮎川は、シーナの意志を次いで、オリジナルメンバー3人でシナロケとして活動を続けます。末娘のLucyは、2015年4月7日「シーナの日#1」よりゲストボーカルを務めています。2018年には、デビュー40周年を迎え、鮎川の監修・選曲による41曲がデジタルリマスターされたベスト・アルバム”Golden☆Best Sheena & The Rokkets Early Rokkets 40+1”とGolden☆Best Sheena & The Rokkets Victor Rokkets 40+1”がそれぞれリリースされます。しかしながら、2023年1月29日、鮎川が膵臓癌で、東京都内の自宅で、74歳で他界して、シナロケは終わりを迎えます。 随分、端ょりましたが、シナロケの大体の歴史はこのようなものになります。それで、本作品”Channel Good”は先述のように、YMOの協力の元、細野晴臣と高橋幸宏のプロデュースによって制作されたアルバムで、時代的にも関わった人的にも、本来のシナロケよりは、随分とニューウェーブ色/テクノポップ色が強い内容になっています。一応、メンバーは、シーナ (Vo), 鮎川誠 (G, Vo), 浅田孟 (B, Chorus), 川嶋一秀 (Drs, Chorus)で、ゲストとして、細野晴臣 (Kbd), 高橋幸宏 (Drs [B5]), 坂本龍一 (Kbd [B1]), 松武秀樹 (Programming)が参加しています。それでは、各曲について内容を紹介していきたいと思います。 ★A1 “Hot Line”は、カントリー調のアップテンポの曲で、舌足らずなシーナのVoがキュートです。 ★A2 “My Boyfriend”は、Ramonesのカバーで、スカっぽいリズム。バックのKbdが如何にも細野晴臣のプロデュースですね。 ★A3 “I Spy”は、割と元々のシナロケに近いアレンジでしょうか。軽快なリズムの上に、鮎川誠のGが良く聞こえます。シーナのVoは可愛らしい! ★A4 “Dead Guitar”は、本来のシナロケらしいロックンロールで、メインVoは鮎川で若々しく、しっくりきますね。 ★A5 “Kiss Me Quick”は、シーナのキュートなVoとKbdのフレーズが、甘い砂糖菓子のような溶ろける曲です。間奏のGも良い! ★A6 “Oh! Suzy Q”もカバー曲みたいですが、タイトなリズムとGリフに、シーナの低めのVoが、Suzy Quattroへのシンパシーと直ぐに分かります。本当なら、もっとGをバリバリ前面に出したい所でしょうか? ★B1 “Ukabi No Peach Girl (浮かびのピーチガール)”は、YMO色の強いアレンジで殆どテクノポップですね。まあそれでもシーナのロリータなVoが合うんですが。これは日本語歌詞です。 ★B2 “Taikutsu Na Sekai (退屈な世界) und ”は、鮎川のGとシーナのドスの効いた日本語Voが、本来のシナロケ路線で、ロックンロールしてます!めちゃカッコ良いです。 ★B3 “Good Luck”も鮎川のGのリフと若々しいVoがガチンとハマった曲ですね。この曲もめちゃカッコ良いです!勿論、日本語歌詞です。 ★B4 “One Night Stand”は、バラード調の曲で、シーナの切な気なVoが沁みます。間奏の鮎川のGもハートフルでカッコ良い! ★B5 “Baby Maybe”は、再びテクノポップ調の曲で、ここでのシーナのコケティッシュなVoは堪らないですね。これは”You May Dream”へのアンサーソングなのかな? ★B6 “Snakeman”は、Gのカッティングから始めるスケールのデカいバネのあるパブロックっぽい曲で、こう言う曲でのシーナのVoは良く映えますね。 久々に聴いたのですが、やはりシーナのVoの多彩さが凄くて、表現力豊かなヴォーカリストだと思いました。また、前作”真空パック”より、またA面よりB面の方がよりロック・テイストが強く、ロック好きな鮎川を始め、バックの浅田や川嶋も生き生きと演奏しているようですね。やっぱり、シナロケはこうでなきゃと思いましたよ、ホント❗️なので、YMO色が弱まった、このアルバムは一度は聴いてみて下さい❗️ B1 “Ukabi No Peach Girl (浮かびのピーチガール)” https://youtu.be/xebOOjfkeyo?si=n97fztzFSHNjjJoY [full album] https://youtu.be/VGQfVhafG54?si=2ZAnfdoc4s6P5tdh #Sheena&TheRokkets #ChannelGood #AlfaRecords #ThirdAlbum #NewWave #MentaiRock #Producer #HaruomiHosono #YukihiroTakahashi #Programming #HidekiMatsutake #Sheena #シーナ #MakotoAyukawa #鮎川誠 #TakeshiAsada #浅田孟 #KazuhideKawashima #川嶋一秀
New Wave / Rock’n’Roll Alfa Records 不明Dr K2
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細野晴臣 (Haruomi Hosono) “フィルハーモニー (Philharmony”
やっと入手しました!細野晴臣氏のソロアルバム”フィルハーモニー (Philharmony)”で、純粋なソロアルバムとしては5作目になります。このアルバムはヤフオクでも高値で取引されていて、中々、入手困難でしたが、やっと落札出来ました。私は、YMOはそれ程好きではないですが、唯一好きなアルバム”BGM”の中でも、細野晴臣氏の曲(“Rap Phenomenon [ラップ現象]”と”マス [Mass]”)が大好きだったので、多分、私の中で細野晴臣氏は別格化されたのかも知れませんね。それで、今回は、ゲストに、Hajime Tachibana (立花ハジメ), Kazuhiko Katoh (加藤和彦), Keiko Shinozaki, Koji Ueno (上野耕路), Masayoshi Sukita, Moro, Namu, Ume, Yukihiro Takahashi (高橋幸宏), Yukimasa Okumuraを迎えて制作されていますが、誰がどの曲で何を担当していたのか詳細は不明です。 と言う訳で、本作品の内容について紹介していきます。 ★A1 “Picnic (ピクニック)”は、不明瞭なシンセの調べから始まるワルツのリズムの曲で、サンプリングした声をリズムに乗せたり、シンセと重ねたりと色々試しています。 ★A2 “Funiculi Funicula (フニクリ, フニクラ)”は、童謡をテクノでやったと言う曲ですが、歌詞は日本語で、結構、シーケンスが1980年代的で懐かしい感じです。 ★A3 “Luminescent / Hotaru (ホタル)”は、ガムランっぽい打楽器音をシンセで作って、簡素なシンセとヴォイスが色を付けると言った曲で、ミニマルですね。 ★A4 “Platonic (プラトニック)”は、ドラムが入って、多層的なシーケンスとサンプリングVoから成るミニマルな曲ですが、ガヤガヤした人の声がVo代わりに使われています。 ★A5 “In Limbo (リンボ)”では、多層的シーケンスによるミニマルな曲で、ドラムは使われていません。若干、ワールド・ミュージックっぽい雰囲気を感受出来ます。 ★B1 “Living-Dining-Kitchen (L.D.K.)”は、YMO的なドラムとシーケンスと英語Voの入った曲ですが、まあ可もなく不可もなくと言った印象です。 ★B2 “Birthday Party (お誕生会)”は、金属製の打楽器らしき音と合成音から作られた不思議なリズムの曲で、女性Vo/語りが薄ら乗った実験性を感じられます。 ★B3 “Sports Men (スポーツマン)”では、ドラムとベース・シーケンスと英語Voから成る曲で、ややハツラツとしていますが、何となく陰キャな(?)曲です。 ★B4 “Philharmony (フィルハーモニー)”は、多層的なシンセの小気味良いリズミックなシーケンスから成る曲ですね。ある種の実験性を感じます。 ★B5 “Air-Condition (エア・コン)”では、シンセによる波状の音を中心に、不明瞭なメロディが壮厳に鳴り響きます。バックには微かなパルス音も! と言う訳で、聴いてみて、如何にもYMO的な曲も多少混ざってはいますが、殆どの曲にマテリアリズムとミニマリズムなどの先見性/実験性を受け取ることが出来て、充分に楽しめました。 この頃に、既にミニマルなコード進行を持って、ポップミュージックの範囲内で曲を構築することを実践していたのは凄いですね。それと、シンセとコンピュータの可能性を追求していたのも先見の明があると思います。なので、ポップ・ミュージックの辺境まで行ってしまった細野晴臣氏の心意気を感じ取って下さい❗️ A2 “Funiculi Funicula (フニクリ, フニクラ)” https://youtu.be/d-Huc4cXz-E?si=dz3VEy93ENwluu9q [full album] https://youtube.com/playlist?list=PL4NXUZspQ7Bx_wqpSolNJhigWew9f4icA&si=YcazPPHsHC11oSk8 #細野晴臣 #HaruomiHosono #フィルハーモニー #Philharmony #YenRecords #AlfaRecords #SoloAlbum #5ThAlbum #ElectroPop #Experimental #YellowMagicOrchestra #HajimeTachibana #KazuhikoKatoh #KeikoShinozaki #KojiUeno #MasayoshiSukita #Moro #Namu #Ume #YukihiroTakahashi #YukimasaOkumura
Electro Pop / Experimental Yen Records (Alfa Records) 5775円Dr K2
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Lene Lovich “Stateless”
皆さんは覚えていらっしゃいますか? Lene Lovich (リーナ・ラヴィチのことを❗️私、この方のことを、当時、東欧から亡命してきたと思っていたんですよ。それで、ちょっと調べてみました。Lena Lovich、本名Lili-Marlene Premilovichは、米国ミシガン州Detroitの出身で、英国人の母親とセルビア系米国人の父親との間に生まれましたが、13歳の時に、英国東ヨークシャー州Hullに移住しています。その時に、Les Chappell (G/Songwriter)と出会い、長い間、彼女の公私に渡る協力者/パートナーとなります。1968年に、彼女は、アートスクールに通う為、Londonに移ります。その時に髪の毛をドレッド(?)にして、以降、彼女のトレードマークになります。そこから、彼女は、アートスクールに通いながら、地下鉄で大道芸をしたり、キャバレーで東欧系ダンサーをしたり、また、スペインに行ってSalvador Daliに会っていたりもしています。この頃、彼女はフォーク・ロックを演奏しており、Royal Albert HallでQuintessenceと呼ばれるショーで合唱団に参加したり、Arthur Brownのショーで兵士を演奏したり、Radio One Roadshowでゴーゴー・ダンサーとして働いたりしています。また西インドのソウルバンドでイタリアにツアーしたり、Bob Flag's Balloon & Banana BandやガールズバンドThe SensationsでSax を吹いたり、ホラー映画での叫び声や仏のディスコ・スターCerroneに仏語の歌詞を書いたり、その他にも色々な劇団とも仕事をしています。1975年には、彼女はThe Diversionsに参加して、3枚のシングルと1枚のアルバムもPolydor Recordsから出しています。翌年1976年に、彼女はLene Lovichの名前で、3曲入りシングルを英国で出していますが、これはクリスマス向けの音楽でした。1977年には、彼女は、エンジニアAlain Wisniakの意見に沿って、仏人打楽器奏者/ディスコ・パフォーマーCerroneが書いた曲”Supernature”に歌詞を付けています。そして、1978年には、ラジオDJ/ 作家Charlie Gillettが、Lovichが録音した"I Think We're Alone Now"のカバー曲に注目して、Stiff RecordsのボスDave Robinsonに進言、すぐさま、シングルを出すことになり、LovichとChappellは曲を書いて、録音します。このシングルが彼女の出世作”Lucky Number”だった訳で、英国シングルチャートでトップ3になります。そうして、Robinsonの誘いを受けて、1978年のBe Stiff Route 78 Tourに参加しています。そして、直ぐに、彼女なりのパンクとかニューウェーブとかの解釈が詰め込まれた、本作品でもあるファースト・アルバム”Stateless”を作り上げます。その後数年で、彼女は、2枚のアルバム”Flex”と”No-Nan’s-Land”及びEP “New Toy”を制作しており、後者は、ツアー・メンバーでもあったThomas Dolbyによる曲です。また彼女は、The Residentsの”Picnic Boy”にVoで参加していたりもします。Lovichは、ChappellとChris Judge Smithと共に曲を書き、1982年10-11月に、LondonのLyric Hammersmithで、”Mata Hari”と言うミュージカルを行いますが、この頃に、Stiff Recordsとは離れ、米国のEpicと契約しています。その時に、Lovichは、映画”Cha Cha”でサントラを一緒に作ったNina Hagenと一緒にシングル"Don't Kill the Animals”をリリースしています。そうして、家族が出来たことで、暫く休業していましたが、1989年に、アルバム”March”をPathfinder Recordsよりリリース。このアルバムでは、Chappellと共に、エレクトロ・デュオTanz Waffenも参加して制作されており、1991年には、彼女は、オペラ”The Fall of the House of Usher”にも曲提供をしていますが、ここで、一旦、Lovichの音楽活動は、理由は不明ですが、停止しています。次にLovichが姿を現すのは2005年で、Hawkwindのアルバム”Take Me To Your Leader”と彼女の新作アルバム”Shadows And Dust”となりますが、今回は、ここまでとします。なお、彼女は今も現役で活動しているようです。 それで、ファースト・アルバム”Stateless”について紹介します。ここでは、Lene Lovich (Vo, Sax, Tuned-Perc)の他に、Les Chappell (G, EMS Synth, Synth, Perc, Vo), Ron Francois (B, Perc, Vo), Bobbi Irwin (Trap Drs, Perc, Vo), Nick Plytas (Organ, Piano), Jeff Smith (Synth, Solina), Roger Bechirian (Remix [A1-B3, B6])が参加して、A面5曲/B面6曲が収録されており、シングルカットされた”Lucky Number”や”Say When”もあります。それでは、各曲を紹介していきます。 ★A1 “Home”は、シンセやオルガンが使われたニューウェーブな曲で、正直カッコ良いです。直線的なベースラインが特にカッコ良いし、LovichのVoもキュート! ★A2 “Sleeping Beauty”は、アコギも使われた「青春」な曲です。独特のしゃくり上げるLovichの唱法がよく活かされています。 ★A3 “Lucky Number”は、ご存知のキャッチーでニューウェーブな曲ですね。やっぱりLovich独特のVoがキュート! ★A4 “Too Tender (To Touch)”は、リリカルなピアノに、切ないVoと言う悲しげなしっとりした良曲です。 ★A5 “Say When”も、LovichのVoが存分に活かされた、アップテンポな曲で、マカロニ・ウエスタン調にアレンジされています。 ★B1 “Writing On The Wall”は、一転、ジャジーな曲調で、Saxが悲しげです。語りも入っていますが、サビでは元気が出てきますね。 ★B2 “Telepathy”も、ニューウェーブっぽい曲ですが、LovichのVoも元気一杯ですね。 ★B3 “Momentary Breakdown”も、オルガンとシンセが程良いスパイスになった曲で、Lovichの個性と相性バッチリですね。 ★B4 “I Think We're Alone Now”では、イントロのGにやられますが、オルガン等のバックの演奏とLovichのVoが上手く絡んでます。ちょい「青春」っぽい。 ★B5 “One In A 1,000,000”でも、ウエスタン調のアレンジがカッコ良い曲で、こう言うアップテンポの曲にLovichのVoは映えますね。 ★B6 “Tonight”も、イントロのシンセとその後に切々と歌うLovichとが良くマッチしている、ちょい悲しげな曲です。 全体としては、Lovichの独特の唱法が良く映えるような曲作りやアレンジが為されており、彼女なりの「ニューウェーブ」を堪能出来ますね。また、ピアノやオルガンを中心としたアレンジも、1979年の当時を想起させます。いやー、今回聴き直してみて、LovichとChappellの曲の良さに改めて気が付きました❗️そんなお茶目なLovichのファースト・アルバムを一度は堪能してみて下さい‼️ A1 “Home” A2 “Sleeping Beauty” A3 “Lucky Number” A4 “Too Tender (To Touch)” A5 “Say When” B1 “Writing On The Wall” B2 “Telepathy” B3 “Momentary Breakdown” B4 “I Think We're Alone Now” B5 “One In A 1,000,000” B6 “Tonight” A5 “Say When” https://youtu.be/RqOg8fMMf8Q?si=65ubG9k-tUi18V-j [full album (曲順が違います)] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nhybTHzNx17YAzAEmkQUnms-4czGsZCJc&si=xNVGBlI-u2-_D6tC #LeneLovich #Stateless #Stiff-Epic #StiffRecords #UK #FirstAlbum #Sax #FemaleVocal #NewWave #Left-Field #LesChappell #RonFrancois #BobbiIrwin #NickPlytas #JeffSmith #RogerBechirian #LuckyNumber
Left-Field / New Wave Stiff-Epic (Stiff Records) 不明Dr K2
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Yellow Magic Orchestra “Technodelic”
正直言って、私はYellow Magic Orchestra (以下、YMO)の熱心なファンではありませんので、このアルバムも昔、何となく買いましたが、殆ど聴いていませんでした。なので、もう一度、聴いてみようと思い立って聴きました。YMOについてのバイオグラフィーは以前に書きましたので、ここでは省略させて頂きます。彼等の6枚目のアルバム”Technodelic”。正直、このアルバム・タイトルには「やられたなぁ」と思いました。当時のレビューでは、最新のテクノロジーを使って、各々の好き勝手な実験性を取り入れた音楽を、明らかにポップ・ミュージックの世界で展開した作品と言われていたように思います。そんなことも踏まえながら、各曲を紹介していきたいと思います。 ★A1 “Pure Jam (ジャム)”は、イントロでいきなりサビのコーラスから始まり、ジャストなリズム(特にDrs)で繋いでいく曲です。バックに人声が僅かに聴き取れます。 ★A2 “Neue Tanz (新舞踏)”は、一時のCabsも想起させるようなリズムと何とも不思議なメロディで構成されていますが、既にサンプラーも使われているようです。 ★A3 “Stairs (階段)”でも、サンプラーによってリズムや生ピアノのリフが作られており、ミニマルな展開になっています。途中のピアノ・ソロは手弾きかな? ★A4 “Seoul Music (京城音楽)”は、割と初期YMO的な中華風味の曲で、メインVoは歪んだ語り調ですが、サビは高橋氏の粘着質なVoになっています。ただ、合いの手がどうしても”fuck”に聴こえますが、大丈夫でしょうか? ★A5 “Light In Darkness (灯)”は、リズムに凝りまくったミニマルなインスト曲で、DrsとBがとにかく凄いです! ★B1 “Taiso (体操)”は、割とミニマルなピアノのリフと突進力のあるDrsから成る曲で、珍しく日本語歌詞で、語りと歌との上手いコンビネーションが光ってます。 ★B2 “Gradated Grey (灰色の段階)”では、リズムにリズムマシンと生Drsを組合せており、非常に分かりにくい形でバックの演奏や歌が入っているミニマルな曲です。 ★B3 “Key (手掛かり)”は、直線的で突進力のあるリズム隊がカッコ良い曲なのです。実は前作”BGM” の”Cue”と対の曲なのかな? ★B4 “Prologue (前奏)”は、シンセで雨垂れのようなリズムを作った、アンビエント・ミニマルなインスト曲で、Human Leagueの”Toyota City”っぽいですね。 ★B5 “Epilogue (後奏)”は、B4に連続して、サンプリングした物音をリズムに、淡々と時にドラマチックなシンセによるメロディが乗るインダストリアルな曲です。 今、聴き直すと、それ程、嫌な感じはしないですね。寧ろ、ミニマルだったり、サンプリングだったりを上手く使っており、これはこれでありじゃないか?と唸ってしまいました❗️しかしながら、やはり全体的な印象は脚を一歩、実験性に踏み込んでおり、それは結構、興味深かったです。まあ、今では当たり前になったテクノロジーですが、当時としては革新的であったのでしょう。それと、アルバム全体では、口ずさめる曲がないと言うで「抽象的」な印象でしたね。 [A3 “Stairs (階段)” live version] https://youtu.be/w71iOzRFrdc?si=YYma-SMCI8Og4yxm [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLmMmr1jpPlKPQ-uGqSAN9bfv04HxvI5Dl&si=39o9cdr9Gjets4Yc #YellowMagicOrchestra #Technodelic #AlfaRecords #6ThAlbum #TechnoPop #Experimental #Synthesizers #Drums #Bass #RyuichiSakamoto #坂本龍一 #YukihiroTakahashi #高橋幸宏 #HaruomiHosono #細野晴臣
Techno Pop / Experimental Alfa records 不明Dr K2
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The Danse Society “Seduction”
掘り返していたら、こんなのも出てきました。英国のポスト・パンク・バンドThe Danse Societyのファースト・アルバム”Seduction”です。何で購入したのか?は忘れてしまいました。多分、勉強しようと思って、安かったので購入したのではないかと思われます。それで、彼等のバイオグラフィーを書いてみたいと思います。The Danse Societyは、1980年に英国Barnsleyで結成されたポスト・パンク/ゴス・ロック・バンドで、本作品でもあるファースト・アルバム”Seduction”は彼等自身のレーベルDanse Recordsからリリースされています。このアルバムは英国インディー・チャートで高評価だったこともあり、彼等はArista と契約を結びます。この時のオリジナル・メンバーは、Steven Victor Rawlings (Vo), Paul Nash (G). Lyndon Scarfe (Kbd), Tim Wright (B), Paul Gilmartin (Drs)です。セカンド・アルバム”Heaven Is Waiting”をリリースした 1983年以降に、Scarfeが脱退し、代わって元Music For PleasureのDavid Whitaker (Kbd)が加入し、Aristaの元で、2枚のシングル”Say It Again"と"Hold On"をリリースしています。そうして、彼等は古い曲をよりダンサブルでラジオでかかり易い曲にアレンジして再度、録音して、アルバムを制作するとアナウンスしますが、これは作製されませんでした。そして、彼等はAristaを去って、1986年には、Arista最後のアルバム”Looking Through”のリリースの為に、新曲を書いていますが、このアルバムは再び、自身のレーベルSociety Recordsから出しています。その時に、Steve Victor Rawlings (Vo)は、新バンドSocietyを始めますが、他のメンバーは、Johnny In The Cloudsとして活動を続けますが、レコード・リリース等には至っていません。そうして、長い間、The Danse Societyは活動休止していましたが、2009年末に、Paul Gilmartin (Drs), Paul Nash (G), David Whitaker (Kbd)は24年振り会って、The Danse Societyの再結成を約束し、Steve Victor Rawlings (Vo)も賛同しています。その後、9ヶ月以上も掛けて、楽器パートの録音を行なっていますが、2010年10月に、Rawlingは1曲だけヴォーカル・パートを入れただけで、米国に戻ってしまいます。そんなこともあって、残ったメンバーは、2011年1月に、元Blooding MaskのMaethelyiah (Vo)が誘い、全13曲に歌入れを行い、正式にメンバーとして彼女が加入して、アルバム”Change Of Skin”を2011年5月にリリースしています。その後、Martin Roberts (B)が加入して、2013年2月には、アルバム”Scarey Tales”をリリースしています。その1年後に、Gilmartin (Drs)とRoberts (B)が突如、脱退した為、ツアーをキャンセルしています。残ったメンバーは、Iain Hunter (Drs)とJack Cooper (B)を誘い、6枚目のアルバム”IV”を2015年9月にリリースします。その後、Hunterの代わりに、Josh Rylance (Drs)が加入し、EP “FUTUR1ST”を2018年にリリース。その後、Rylanceが脱退したので、代わりにTom Davenport (Drs)が加入、7枚目のアルバム”Sailing Mirrors”を2020年9月にリリース、同年11月には、過去の曲のライブ音源を集めたA-Zアンソロジー・アルバム”40 Years of Danse”もリリースして、2021年には英国ツアーも敢行し、現在も活動しているようです。 それで、今回のアルバム”Seduction”を紹介したいと思いますが、先述のように、このアルバムは彼等のファースト・アルバムで、A面4曲/B面2曲という内容になっています。一応、この時期のメンバーは、Steven Victor Rawlings (Vo), Paul Nash (G). Lyndon Scarfe (Kbd), Tim Wright (B), Paul Gilmartin (Drs)というオリジナル・メンバーです。では、各曲について紹介していきます。 A1 “Godsend”は、ゆっくりとフェイドインしてくるシンセから、Joy Divisionのような16ビートの曲が始まり、曲調もややダークで、モノクロな音楽です。 A2 “My Heart”では、印象的なシンセとエレピに導かれて、サビのドコドコなDrsを含んで、Voは切々と歌い上げています。サビの急かされる感じは良いです。 A3 “Falling Apart”もまた、静謐なイントロから始まり、呪詛のようなVoが聴こえてきて、割とアップテンポな曲が始まります。ディレイを掛けたGやドコドコなDrsが特徴的な曲になっています。 A4 “Danse/Move”は、シンプルなビートに低音シンセが乗ってくる、ダーク・テイストな曲となっています。やはり、DrsとGは印象的です。特にDrsの存在感は凄いです。 B1 “Ambition”は、イントロからしてダークなシンセで始まり、ここだけ聴いたら、ダーク・ウェーブみたいだと思ってしまいます。そうして、タムを多用するドコドコなDrsが始まり、朗々と歌うVoが雰囲気を盛り上げます。 B2 “In Heaven (Everything Is Fine)”も、ピアノの弾き語り調でしっとり始まり、やがて、ディレイを掛けたGをバックに呟くようなVoが入ってきますが、単調なスネアが続いた後で、フェイドアウトして、曲も終わります。 全体を通して感じたのは、タムを多用するDrsと16ビートを刻むハイハットで、これはJoy DivisionのDrsに似ているなと言う点と、Kbdがメンバーになっていますので、その部分についてはやはり強みだと言う点ですね。あと、Voにもう少し個性があったら、良かったかも?と思ってしまうのは、贅沢でしようか? まあ、曲調もダークなので、ゴスの元になったバンドと言われるのも納得です❗️それと、後にVoは、Steven Victor Rawlings (男性)からMaethelyiah (女性)に替わりますが、そこら辺の違いも聴いてみたいですね。Joy Divisionの”Closer”辺りが好きなリスナーさんにはお勧めします❗️ [John Peel Session 1982] https://youtu.be/SaesbzSZqLc?si=DI0A5O4jSyHk69Ta [BandcampのURLも貼っておきます] https://dansesociety.bandcamp.com/album/seduction [full album (complete)] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nlSVDVfhroArrYhY0c8QdG3SM7nIzKOJc&si=o9CzisEF4s_O1A69 #TheDanseSociety #Seduction #SocietyRecords #FirstAlbum #PostPunk #GothRock #1982年 #JoyDivision #SocietyRecords #StevenVictorRawlings #PaulNash #LyndonScarfe #TimWright #PaulGilmartin
Post punk / Goth Rock Society Records 不明Dr K2
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Urban Sax (Gilbert Artman) “Fraction Sur Le Temps”
来た来た来ましたよー!仏のGilbert Artman (ジルベール・アルトマン)率いる驚異のサックス・パフォーマンス集団Urban Saxの4枚目のアルバム”Fraction Sur Le Temps”(「時間経過による配分」との意らしい)を紹介します。Urban Saxのバイオグラフィーは以前に書いてありますので、そちらをご参照下さい。今回、参加のメンバーは、Baritone Sax(Gérard Amsellem, Armand Antonioli, Nicolas Carver); Bass Sax(Jean-Pierre Chaty); Alto Sax (Alain Brammer, Bernard Duplay, Charles N'Guyen, Christian Raynaud, Claude Giverne, François Hucliez, Gilbert Simana, Hélène Nougaret, Jean-Marc Gardeux, Jean-Michel Laugier, Marc Thomas, Marino Zappellini, Marlène Aufray, Patricia Guigui, Philippe Dibetta, Philippe Hollande, Sabine Joannot); Tenor Sax (Antoine Duvernet, Antoine Rossi, Bruno Riou-Maillard, Jacques Debray, Miguel Yannover, Moïse Sanchez, Olivier Poriel, Omar Mansouri, Pascal Nicolle, Philippe Dromard, Ruben Alterio, Yvan Feder); Soprano Sax (Fred Wallich, Pascal Quentin, Richard Foy, Sabine Breuillot, Thibaud Saladin); Strings[Quatuor A Cordes] (Pascal Morrow, Sophie Zananini, Thierry Arnould, Yves Moreau); Guitar (Didier Berland, Jacques Boucher, Jean-Pierre Comencas, Thierry Arredondo); Percussions (Mireille Bauer, Olivier Cole, Pierre Marcault, Vincent Lespagnol); Keyboards (Ann Ballester, Peter Varady); Gongs (Henri-Paul Gonzales, Philippe Vidal); Dance (Caroline Marcadé, Dominique Petit, Lila Greene, Mark Tompkins); Choir (Beatriz Sterne De Fonteneu, Catherine Mazauric, Deborah Kagan, Diane Dupuis, Dominique Hamen, Elisabeth Miailhe, Elisabeth Zimine, Galeta Streiter, Joëlle Papineau, Joëlle Saladin, Liliane Vaquero, Marie-Laure De Beausacq, Martine Desoille, Maryvonne Ssosse, Valérie Btesh, Véronique Kone)と言う約60人になります。曲名は特別なものは付いていませんが、作曲及び指揮はGilbert Artmanが行なっています。まあ、人数でも分かる通り、サックス集団で、音の方も正にそんな感じです。まあ、ライブでは、ライブハウスではなく、野外とかで、皆が宇宙服みたいな衣装を纏って、練り歩きながら演奏するスタイルです。1991年に来日した時には、坂田明らが参加しています。 それでは、本作品の内容について紹介していきます。A面4曲/B面2曲となっており、1982年6月と1985年5月にStudio CNACで録音されています(これだけの人を収容できるスタジオなのかな?)。 A1 “Part 1” (2:00)では、Saxによる分厚いドローン演奏が多層化していきます。 A2 “Part 2” (4:36)では、A1の突然のブレイクから、Saxの輪唱のようなフレーズの反復演奏から始まり、段々とぶ厚くなっていきます。恐らく、Saxの種類によってフレーズを吹き分けているのだと思います。最後、バックにオルガンやフリーなSaxの演奏が短く入って終わります。 A3 “Part 3” (5:40)では、ゆったりとしたSaxの唸りと共に、単音による変拍子リズムが繰り返され、フレージングも乗っかる執拗にミニマルな構成になっており、最後にはシンバルの音とSaxドローンで終わります。 A4 “Part 4” (7:47)でも、弦楽器とSaxの持続音で始まり、遠くでSaxによる反復フレーズが聴こえ、やがて、弦楽器やコーラスによる反復も混在してきます。全体にミニマルな構成ですが、その内、コーラスと弦楽器に、オルガンも加わって、最後には短い独唱で終わりを告げます。 B1 “Part 5” (10:10)は、A4と連続するように、短い女性独唱から始まり、Saxの持続音の上に、木琴のような打楽器やアコギやゴングなどが混在していき、執拗にミニマルかつ変拍子で展開していき、更にはバリトンSaxによる反復フレーズが乗ってきて終わりを告げます。 B2 “Part 6” (7:37)も、B1の第二部のように始まり、Saxの単音によるリズムとフレーズが曲の根幹を形成し、その周りには、女性コーラス(笑い声?)や打楽器や弦楽器などが装飾していますが、Saxの音は厚くなり、ソプラノSaxによる新たなメロディも加わって、やがてフェイドアウトして締めます。 通して聴いてみると、この6曲は別々の曲ではなく、全体で1曲で、それが第1章から第6章まで便宜上、分けられているだけだと思います。そのどれもが、ミニマルな構成なので、飽きるかなあ?と思ったりしますが、いやいや、構成力が半端無くて、このSaxの音の海に身を委ねて、心地よい気分になります‼️とにかく、この人数で演奏されると、音の豊かさが凄いです❗️これがジャズなのかミニマル・ミュージックなのか、そんなことはどうでも良くなる位、音に没入してしまいます。なので、そんな体験をしたい方にはマストですよ❗️ A1 “Part 1” (2:00) A2 “Part 2” (4:36) A3 “Part 3” (5:40) A4 “Part 4” (7:47) B1 “Part 5” (10:10) B2 “Part 6” (7:37) [full album] https://youtu.be/f1hQCcPdTaM?si=_4iKu0WaTqUgct1C #UrbanSax #GilbertArtman #FractionSurLeTemps #Celluloid #French #Experimental #Jazz #Minimal #LivePerformance #StudioRecording #BaritoneSax #BassSax #TenorSax #SopranoSax #Strings #QuatuorACordes #Guitar #Percussions #Keyboards #Gongs #Dance #Choir #Composition #Direction
Experimental Jazz Celluloid 不明Dr K2
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Pussy Galore “Live In The Red”
やっと引っ張り出しました!Pussy Galoreのライブ・アルバム”Live In The Red”です。暫く聴いていなかったのですが、ちょっとロックなアルバムが聴きたくて、探しました。先ず、Pussy Galoreのバイオグラフィーについて書いておきます。Pussy Galoreは、米国Washington D.C.で、1985年に結成されたガレージ/パンク/ジャンク・ロック・バンドで、1990年に解散しています。彼等は “Rolling Stones meet Einstürzende Neubauten”と呼ばれる特異な立ち位置にいました。もう少し詳しく書きます。元々は、Ivy League college Brownの学生だったJohn Spencer (G, Vo)とJulia Cafritz (G, Vo)が、1984年にJohn Hammill (Drs)を誘って結成したのが、最初で、シングル” Feel Good About Your Body”を出しています。その後に、Neil Hagerty (G)が加入し、EP”Groovy Hate Fuck”を自身のレーベルShove Recordsから出しています。SpencerとCafritzが大学を卒業後、彼等はNYCに活動の場を移し、そこで、16歳のCristina Martinezをギタリストとして加入させますが、彼女は単に7㌅シングルの写真のモデルとしてだけで、演奏はしていません。そうして、Hammillはクビになり、元Sonic YouthのドラマーだったBob Bert (Drs)が加入します。その時に、Sonic Youthの誘いで、Rolling Stonesの”Exile On Main Street”を丸々カバーした限定カセット・アルバムを出しています。 Pussy Galoreは、1987年1月には、EP”Pussy Gold 5000”を自身のレーベルから出しますが、この時には、既にメタル・パーカッションを使っており、メンツはJohn Spencer (Vo, G, Metal-Perc), Neil Hagerty (G, Vo, Organ), Julie Cafritz (G, Vo), Cristina Martinez (G, Organ), Bob Bert (Drs, Metal-Perc)です。その直後に、Martínezは脱退しています。1987年9月に、彼等はデビュー・アルバム”Right Now!”をCaroline Recordsから出しますが、直後に、Hagertyが脱退し、代わってKurt Wolf (G)が加入します。しかしながら、Hagertyは、EP “Sugarshit Sharp”の時に戻ってきて、逆にWolfはLoudspeakerに加入する為に脱退しています。このEPは、1980年代中期の曲”Yu-Gung”から続く、Einstürzende Neubautenのインダストリアル/ダンス・バンド的側面をガレージ・ロックの文脈で解釈した名盤と評されています。彼等は、Neubautenの音をサンプリングしたり、引用したりしており、その為、F.M. Einheitが”Yu-Gung”のカバーをいたく気に入っています。そして、このEPでは、彼等は新しいロゴYu-Gung Man(Neubautenのロゴに、Rolling Stonesの舌のトレードマークを加えたPussy Galoreのロゴ)をジャケに使っています。そうして、1989年に、彼等はセカンド・アルバム”Dial 'M' for Motherfucker”をリリースします。初めはアルバム・タイトルは”Make Them All Eat Shit Slowly”にしようとしたのですが、レーベル側から拒否されてしまいます。この作品はより明確な実験性みたいなものがありました。このアルバムを作製したことで、Cafritzは、よりバンドにのめり込むことになったようです。1989年には、彼等は、Black Flagの曲”Damaged I”のカバーを含むスプリット・シングルを出しており、また、これとは別に、Black Snakesとのスプリット・シングルを日本のSupernatural Recordsから出しています。その後、Cafritzは脱退しており、Spencer, Hagerty, Bertのトリオになって、最後のスタジオ・アルバム”Historia de la Musica Rock”を1990年に出して、バンドは解散しています。 それで、本作品ですが、これは、1989年8月5日に行ったCBGBでのライブ音源で、この時のメンバーは、Jon Spencer (G, Vo), Neil Hagerty (G, Vo), Kurt Wolf (G), Bob Bert (Drs)です。A1以外は全曲、Spencerが曲を書いており、A1はThe Twighlitersの曲のカバーです。それから、BurtのDrsセットのスネアはメタパーで、シンバル類は殆ど使っていません。また、編成を見て分かる通り、トリプル・ギターで、ベースレスです(Copass Grinderzみたいですね)。今回は各曲の紹介はしませんが、とにかく、ぶっ壊れていて、カッコ良いロックを聴きたければ、是非とも自分の手に取って、聴いてみて下さい‼️音質は決して良くはありませんが、かなり熱量の高い音楽なので、ご注意を❗️またこの手のロックは一時期、Junk (Rock)とも呼ばれてみたいですが、どうも日本だけみたいです。語感はピッタリなんですけどね。 A1 “Nothing Can Bring Me Down” (1:39) A2 “Adolescent Wet Dream” (1:23) A3 ”Sweet Little Hi-Fi” (2:36) A4 “Understand Me” (2:25) A5 “Pig Sweat” (1:58) A6 “1 Hour Later” (2:37) A7 “Dead Meat” (2:05) A8 “SM57” (2:39) A9 ”DWDA “(0:31) A10 “Wretch” (1:53) A11 “Kicked Out” (1:17) B1 “Evil Eye” (3:21) B2 “New Breed” (1:49) B3 “Undertaker” (2:22) B4 “Dick Johnson” (2:09) B5 “Hang On” (6:46) B6 “Kill Yourself” (3:06) B7 “Alright” (2:31) A5 “Pig Sweat” [live in London] https://youtu.be/0CBUmkopM8c?si=jOQ45O_ce2g_AIbn [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mqxWTfMQe8MMqU75DY76ce0tVzAkSzXwQ&si=Ihkcbz-ghgLrFMIW #PussyGalore #LiveInTheRed #InTheRedRecordings #LiveAlbum #CBGB #Yu-GungMan #JonSpencer #NeilHagerty #KurtWolf #BobBert #RollingStones #EinstürzendeNeubauten #MetalPercussions #GarageRock #Lo-Fi
Gaage / Punk In The Red Recordings 不明Dr K2
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The Star Club “God Save The Punk Rock”
日本のパンク・バンドってあんまり聴かないんですけど、ちょっとは勉強の為、聴いてみようと思って買ったのが、このThe Star Clubのアルバム”God Save The Punk Rock”です。The Star Clubが名古屋のバンドだとは知っていたのですが、このアルバムがUK/USパンクバンドのカバー集であるのは全く知らなかったです。それで、The Star Clubについてなのですが、簡単に彼等のバイオグラフィーを書いておきます。The Star Clubは、1977年に名古屋で結成され、1984年にメジャーデビューして、VoのHikageを中心に40年以上活動している日本のパンクバンドです。メジャーデビューした1984年以降、オリジナル・アルバムは35枚も出しており、ベスト・アルバムだけでも14枚、トリビュート・アルバムが3枚とボックスセットが2品、その他にもビデオやDVD等々途方もない作品数を出しています。Hikage (Vo)は結成時からずっと代わっていませんが、当然、メンバーチェンジも激しく、結成時は、元暴走族リーダーのカオル (G), 後に原爆オナニーズに加入するEddie (B), Kouji (Drs)と言うメンバーでした。本作品の頃は、元レジスタンスで4代目のLou (G), 元Head Acheで3代目のAkira/Akiller (B), 元Crowleyで6代目のHiro (Drs)となっています。現在は、再加入した11代目のToruxxx (G), 6代目のHiroshi (B), Masa (Drs)となっているようです。 それで、本作品ですが、彼等のルーツを巡る為なのか?結構、1970年代のパンク/プロト・パンクの名曲がカバーされています(同時にリリースされた同名CDの方が2曲多く収録されています)。 A1 “Pretty Vacant”(Sex Pistols)は、原曲よりややテンポが遅いが、選曲したセンスが良い。名曲ですね! A2 “Borstal Breakout” (Sham 69)も、Voのドスの効き具合と合唱が良い! A3 “Something Better Change” (The Stranglers)は、元々はKbdが入っている曲なので、代わりにギターがオーバーダブされてアレンジされています。 A4 “Love Comes In Spurts” (Richard Hell & The Voidoids)も、HikageのVoはハキハキとしており、原曲のナヨナヨしたところがありません。 A5 “New Rose” (The Damned)は、パンキッシュなVoでDave Vanianの艶っぽさとは違った雰囲気が出ているようですが、原曲の疾走感はバッチリです。 A6 “Rich Kids” (Rich Kids)は、元曲を良く知らないのですが、ポップ・パンクよりもやや粗暴な印象です。 A7 “I Don't Mind” (Buzzcocks)は、Pete Shelleyの声質は独特にも関わらず、かなり原曲に近いアレンジが施されています。VoはギターのLouが担当しています。 B1 “Tommy Gun” (The Clash)。The Clashのセカンドは過小評価されてますから、この曲を選んでくれただけで、個人的には嬉しい! B2 “One Hundred Punks” (Generation X)も、原曲の良く知らないのだが、紛うことなきパンク・ソングになってますね。HikageのVoに説得力を感じます。 B3 “Blitzkrieg Bop” (Ramones)は、小気味良いビートが弾けており、原曲の良さを引き出してます。 B4 “Lock It Up” (The Eater)も、原曲を良く知らないのですが、性急さが如何にもパンクな曲だと思います。 B5 “Wasted Life” (Stiff Little Fingers)も、Hikageの熱血Voが原曲よりも熱いですね。 B6 “Emotional Blackmail” (UK Subs)は、落ち着きの無い演奏がUK Subsらしくて、カッコ良いです。後半のハードコアへ向かう雰囲気も有りですね。 B7 “Born To Lose” (Johnny Thunders & The Heartbreakers)も、原曲自体が良いのか、結構忠実に演奏しており、雰囲気を壊していません。 The Star Clubのフィルターを通して、1970年代のパンク・ロックをたっぷり味わうことができました。原曲の良さ或いはアレンジの良さが際立つ好印象のカバー・アルバムだと思います❗️今度は、The Star Clubのオリジナル曲を聴いてみたいです!何か、甘酸っぱく、青臭い気持ちになりました(しかし、日本のパンクスのヤンキー臭は今一つ感情移入できません)。因みに、ライナーノーツでは、森脇美貴夫の熱い文章が読める。 [“1977”] https://youtu.be/_Ye4hIQI1D8?si=jqNQV9b7IfMqWjDQ [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_k_bsvKfc6OOZdgKoeNTsf4lyXBZ5cINmI&si=M_JTasLYBFLwWaKN #TheStarClub #GodSaveThePunkRock #Invitation #CoverAlbum #PunkRock #Japanese #SexPistols #Sham69 #TheStranglers #RichardHell&TheVoidoids #TheDamned #RichKids #Buzzcocks #TheClash #GenerationX #Ramones #TheEater #StiffLittleFingers #UKSubs #JohnnyThunders&TheHeartbreakers #Hikage #Lou #Akira #Hiro
Punk Invitation 不明Dr K2
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Bangles “Different Light (シルバー・スクリーンの妖精)”
何で?Bangles? とまあまあ、落ち着いて。これでも多少の思い入れがあって買ったんですよ。でももう、35年位聴いてないですけどね。久々に聴き直してみました。それで、先ず、Banglesのバイオグラフィーについて簡単に書いておきます。Banglesは、1981年に米国CAのL.A.で結成されたガールズ・バンドで、1980年代にヒット曲を飛ばし、有名になりました。もう少し詳しく書きますね。結成時のメンバーは、Susanna Hoffs (G, Vo), Vicki Peterson (G, Vo), Debbi Peterson (Drs, Vo), Michael Steele (B, Vo)です。元々、HoffsとVicki & Debbi姉妹は、1980年12月にL.A.でバンドを始めようとして、HoffsがThe Recycle紙にメンバー募集をかけ、Annette ZilinskasとPeterson姉妹のハウスメイトでThose GirlsをやっていたLynn Elkindが反応し、色々話しを聞いたりして、最終的に、Annette Zilinskas (B)が加入することになり、そのラインナップで、1981年にThe Coloursとしと言うバンドになります。その後直ぐに、バンド名をThe Bangsと替え、L.A.のペイズリー・アンダーグラウンド界で活動し、1981年に、自身のレーベルDownKiddie Recordsからシングル”Getting Out Of Hand" c/w "Call On Me"を出しています。その後、Faulty Productsと契約し、Susanna Hoffs (G, Vo), Vicki Peterson (G, Vo), Debbi Peterson (Drs, Vo), Annette Zilinskas (B, Vo)で、1982年にEP"The Real World"をリリース、これがハリウッドのクラブで掛かり、大いに受けますが、同名のバンドがいたことから、バンド名をBanglesにします。それで、最初のEPをBangles名義にして、1983年にリリースし直し、更にリミックス12㌅EPも出しています。このレーベルは、I.R.S. Recordsが配給するようになりますが、Zilinskasは自身のバンドBlood On The Saddleに集中する為、バンドを脱退します。その代わりに、The Runawaysなどに在籍していたMichael Steele (B)が加入します。そうして、1984年に、Banglesのデビュー・アルバム”All Over The Place”がColumbia Recordsよりリリースされ、そのパワー・ポップな音楽が受けます。シングルカットされた"Hero Takes A Fall"や"Going Down To Liverpool"はThe Beatlesっぽくもあって売れます。その時、MVを作製している過程で、HoffsとLeonard Nimoy (スタートレックのスポック役の俳優)は意気投合しています。そして、Banglesはシンディー・ローパのFun Tourのオープニング・アクトも務めています。これを気に入ったプリンスが、元々自身のグループApollonia 6の為に書いた曲"Manic Monday"をBanglesに提供しており、この曲は米・英・独で第2位のヒットを記録しています。そうして、1986年に、彼女らは、本作品でもあるセカンド・アルバム”Different Light”リリースします。より洗練されたアルバムで、Liam Sternbergによって書かれた曲"Walk Like an Egyptian"はナンバー1のヒットとなり、ビルボード200でも2位となり、一気にメインストリームに躍り出ることになります。その後も、1987年には、Simon & Garfunkelの"A Hazy Shade Of Winter"のカバーを出したり、1988年にも、アルバム”Everything”を出したりして活躍しています。しかしながら、誰がメイン・ヴォーカルを取るか?誰が曲を書くか?で揉めてしまい、Banglesは、1989年に解散してしまいます。その後、1998年に、Banglesは、再結成し、映画”Austin Powers: The Spy Who Shagged Me”のサントラを手掛けていますが、これは、監督がHoffsの旦那だったと言うこともあるようです。2003年にはアルバム”Doll Revolution”を出し、現在も活動中のようです。 と言うのが、Banglesの流れになります。それでは、セカンド・アルバムである本作品を紹介していきます。内容は両面6曲ずつで、メンバーは先述の通りです。 A1 “Manic Monday”は、キッチュなHoffsのVoとキャッチーなメロディで、コーラス・ワークも完璧な曲です。 A2 “In A Different Light (シルバー・スクリーンの妖精)”は、やや激しい曲で、これぞパワーポップと言う感じで、メインVoはVickiが担当しています。 A3 “Walking Down Your Street”は、美しいコーラスで始まり、舌足らずなHoffsのVoが可愛らしいです。途中ブレイクのギターがカッコ良い! A4 “Walk Like An Egyptian (エジプシャン)”もヒット曲で、軽妙なリズムとメロディが心地良いです。Voは、Vicki, Steele, Hoffsがとってます。 A5 “Standing In The Hallway (ホールウェイに立ちすくみ)”は、飛び跳ねるようなリズムがファンキーな曲で、オルガンが効いてます。VoはDebbiですが、コーラスワークが素晴らしいです。 A6 “Return Post”の出だしは、スパイ映画っぽいですが、その後のVickiのVoは可愛らしくて、如何にもアメリカンな曲調です。 B1 “If She Knew What She Wants”は、軽妙なVoが掛け合いが心地良い軽い曲で、メインVoはHoffsです。この曲はシンディー・ローバとの共作も行っているJules Shearによるものです。 B2 “Let It Go”は、アコギも弾きまくりで、素晴らしいコーラスワークを楽しめるテンポがやや早い曲です。 B3 “September Gurls (9月の少女)”は、Alex Chiltonのカバー曲ですが、すっかりBangles風にアレンジされています。VoはSteele。 B4 “Angels Don't Fall In Love (恋に堕ちた天使)”も、ハイテンポの曲で、VickiがVoですが、何処となくカントリー調ですね。最後の木琴が良い! B5 “Following”はアコギをメインにしたカントリー調の弾き語りで、VoはSteele。でも、染みるなぁ。 B6 “Not Like You”では、一転、跳ねるように明るい曲調となり、VoはDebbiが担当していますが、コーラスが素晴らしい! と言う訳で、聴き直しましたが、何だか、青臭い感じがして、ちょっと気恥ずかしいですね。しかしながら、如何にも「アメリカン」な曲やアレンジは流石にセンスを感じますね❗️こう言う「表」のアメリカンから「裏」に行くと、めちゃくちゃ、個人的には好きなポイントなんですが、偶には、「表」のアメリカン・ポップも良いですね! A4 “Walk Like An Egyptian”[live version] https://youtu.be/JA0VfqtIK_A?si=vFH5Ws7nZl73fWju [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lmP1iUgE5IC8hyq-M3vNP4TlEwJ9JakWU&si=WFyHbP1wOGDotSXA #Bangles #DifferentLights #シルバー・スクリーンの妖精 #CBS/Sony #US #AllFemaleBand #PowerPop #Rock #SecondAlbum #Hit #Prince #ManicMonday #WalkLikeAnEgyptian #SusannaHoffs #VickiPeterson #DebbiPeterson #MichaelSteele #AnnetteZilinskas
Rock / Power Pop CBS/Sony 2800円Dr K2
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Ric Ocasek “Beatitude”
皆さん、Ric Ocasekについてどんなイメージがありますか? The Carsのメンバー?それともSuicideのプロデューサー? まあ、どちらもありだとは思うのですが、個人的には、やっぱりSuicideのセカンド・アルバムのプロデュースの方が大きいですね。そんなRic Ocasekのファースト・ソロ・アルバムが、この”Beatitute”です。それで、先ず、彼のバイオグラフィーを書いておきます。本名Richard Theodore Ocasekのチェコ系米国人で、父親はNASAで働いていました。彼はAntioch College and Bowling Green State Universityに入学しますが、音楽にのめり込んで、ドロップアウトしてしまいます。Ocasekは、1965年に、The CarsのBenjamin Orr (B)のバンドThe Grasshoppersのライブをテレビ番組Big 5 Showで観て、OrrとClevelandで出会います。その2〜3年後、Ocasekは、Ohio州ColumbusでOrrを再会し、2人は、1968年に、ID Nirvanaと言うパンドを結成し、大学とかで演奏しています。その後、2人は色々な場所に移りますが、1970年代初頭にBostonにやってきて、Crosby, Stills & Nash調のフォーク・ロック・バンドMilkwoodを結成し、1973年初頭にアルバムを出しますが、全然売れませんでした。このアルバムに参加していたGreg Hawkes (Kbd)は後のThe Carsのメンバーになります。Ocasekは、OrrとHawkesらと共に、Richard and the Rabbitsと言うバンドを結成していますが、一方でOcasekとOrrはアコースティック・デュオとしても演奏しています。この時に作った曲が、後のThe Carsの曲の原型になっているようです。その後、2人は、Elliot Easton (G)と共に、Cap’n Swingなるバンドを結成。このバンドはWBCNラジオのDJが直ぐに興味を示し、デモテープをラジオで掛けますが、レーベルは見向きもしませんでした。それで、Ocasekは、ベースとドラムを交代させ、The Modern LoversのDavid Robinson (Drs)を加入させ、更にHawkes (Kbd)を呼び戻し、1976年末にThe Carsを結成します。この時のメンバーは、Ric Ocasek (Vo, Rhythm-G), Benjamin Orr (Vo, B), Elliot Easton (Lead-G), Greg Hawkes (Kbd), David Robinson (Drs)でした。The Carsは、1978年〜1988年に、沢山のヒット曲を出し、Ocasekは大部分のVoを担当しています。その後、2010年に、OcasekはThe Carsをオリジナル・メンバーで再結成し、アルバム”Move Like This”を2011年5月にリリースしますが、長続きせず、解散。また、2018年にも一度だけ再結成して、ライブを行い、それでロックの殿堂入りを果たします。それで、Ocasekは、The Cars時代には、様々なジャンルのバンドをプロデュースしており、Suicideは元より、Bad Brains, The Weezer, Romeo Void, Black 47, Bad Religion, Johnny Bravo, D Generation, Martin Rev, Jonathan Richman等々に関わっています。その一方で、Ocasekは、1982年に、最初のソロ・アルバムである本作品をリリースしています。内容的には、The Carsよりも幾分実験的なニュー・ウェーブ・サウンドになっており、Greg Hawkes (Kbd)は勿論、Richard and The RabbitsのFuzzbee Morse (G, Kbd)も参加しています。その後、1986年には、よりシンセに比重を置いたソロ・アルバム”This Side of Paradise”をリリース。The Carsが1988年に解散後、Ocasekは公の場からは消えましたが、1990年にソロ・アルバム”Fireball Zone”を出して、再び姿を現します。その後、1993年に”Quick Change World”を、1996年にはAlan Vegaとカナダの詩人Gillian McCainとのコラボ”Getchertiktz”を、1997年には”Troublizing”を、2005年には”Nexterday”を出していますが、余りファンには人気がありませんでした(ただし、評論家には良い評価を受けていました)。そんなOcasekは、2017年に妻Paulina Porizkovaと別居していましたが、元々、高血圧と冠不全があったこともあって、2019年9月15日にNYCの自宅で亡くなっているのを、彼女に発見されています。 大体、これが、Ric Ocasekの流れになります。私は、個人的にはThe Carsはそんなに好きではなかったのですが、唯一良く聴いていたのが、セカンド・アルバム収録の”Candy-O”と”Shoo Be Doo"の2曲だけでした。また、Suicideのセカンドのプロデュースは秀逸だと思っています。そんなこともあって、このソロ・アルバムを購入したのだと思います。それでは、本作品(両面5曲ずつ)を紹介したいきます。その前に、本作品に参加したメンバーは、Ric Ocasek (G, Kbd, Vo)の他に、Roger Greenawalt (G [A3, B3, B4]), Fuzzbee Morse (G, Kbd [A2, A3, B5]), Casey Lindstrom (G [A2]), Greg Hawkes (Kbd [A4, A5, B2]), Stephen Hague (Kbd [A1-B1]), Darryl Jenifer (B [A2-A4, B4, B5]), Miss Linn (Drs [A1, B1-B3]), Stephen George (Drs [A2-A5, B4, B5]), Akio Akashi (B [B1]), Deric Dyer (Sax [A3]), Steve Cataldo (Back-Vo [A3]), Jules Shear (Back-Vo [A3]), Antonia De Portago (Back-Vo [A1])となっています。 A1 “Jimmy Jimmy”は、やっぱりThe CarsっぽいUS産ニュー・ウェーブかつダンサブルな曲ですね。ただしギターよりシンセの比重が大きいです。ヴォコーダーも使用。 A2 “Something To Grab For”では、ゴリゴリのベースが使われていますが、もしかしてMiss LinnってLinn Drumのことかな? この曲ではギターが結構効いています。 A3 “Prove”は、これまたスラッピーなベースも聴けるファンキーな曲ですが、サビがしっとりしていたり、間奏でSaxソロが入ったりと表情豊かです。 A4 “I Can't Wait”は、シンセとギターのコード進行がソフトな曲で、Ocasekの声質に合っていますね。 A5 “Connect Up To Me”では、A1と同様にベース・シーケンスが走る曲で、シンセのアレンジがニュー・ウェーブっぽいです。 B1 “A Quick One”は、1980年初頭のニュー・ウェーブなラブソングです。Ocasekが、シンセのバックで、ちょい切々と歌い上げます。 B2 “Out Of Control”のイントロのシンセは面白いです。そこから、やや重めのテンポとシンセ・ベースが良い塩梅で流れていきます。ギターのアルペジオもグー! B3 “Take A Walk”は、細いシンセのリフと太いベース・シンセがカッコ良い曲で、変調Voもピッタリです。 B4 “Sneak Attack”は、幾何学的なシーケンスに、直角的ビートが混じり合う、これまた1980年初頭のニュー・ウェーブ調の曲で、かつミニマルです。 B5 “Time Bomb”は、B4から連続して、テクノなシンセから成る曲ですが、ドラムとかが入って来ると、US産のソフト・ロックっぽくなります。Ocasekは切々と歌い上げ、最後はギター弾きまくりです。 色んな所に顔を突っ込んでいるRic Ocasekが、1982年当時に吸収した音楽が見事にこなれて、血肉になっていると思います。彼のイメージは、器用貧乏なんですが、まあ、そう言われても仕方ないかもしれませんね。しかしながら、彼の嗅覚とソング・ライティング能は非常に高いので、このアルバムが生まれたのだと思います。なので、好き嫌いは別にして、一聴の価値はあるかと思いますよ‼️ B1. “A Quick One” https://youtu.be/WDi6yzrY6Ug?si=UsvouyeS18HfzDJ0 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mdQAitA8qEqd5odPr3AoJIY-KBmYpfPO8&si=Bxgr_982PwWYwrwV #RicOcasek #Beatitude #GeffenRecords #FirstSoloAlbum #NewWave #SynthPop #TheCars #AmericanBand #Vocal #Guitar #Synthesizers #Keyboards #RogerGreenawalt #FuzzbeeMorse #CaseyLindstrom #GregHawkes #StephenHague #DarrylJenifer #MissLinn #StephenGeorge #AkioAkashi #DericDyer #SteveCataldo #JulesShear #AntoniaDePortago
New Wave / Synth Pop Geffen Records 不明Dr K2
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Wolf Eyes “Dreams In Splattered Lines”
久しぶりに、Wolf Eyesのアルバムをご紹介しましょう!モノは、彼等の2023年現在の新譜“Dreams In Splattered Lines”です。Wolf Eyesはもう多量の作品が出ていますので、何枚目のアルバムかは不明です。それで、彼等のバイオグラフィーについては、既に書いてあると思いますので、そちらを参考にして下さい。現在のメンバーはNate Young (Vo, 自作electronics, Drum-Synth, Harmonica, Sequential Circuit Pro-One)とJohn Olson (改造リード楽器, Feedback Electronics, Synth [ARP Odyssey]) で、OlsonはAmerican Tapesを運営しており、何百作品も実験的音楽等をリリースしています。今回のアルバムは、Wolf EyesのDIY電子音楽25周年記念として、ダダ運動体Fluxusの前衛性及び米国中西部の鬱々とした生活とで制作されたとのことです。このコンセプトは、別のアルバム”Difficult Messages”(また、別に紹介します)にもあり、そこでのコラボとか出来た曲とかは、不安定なサウンド・コラージュによるシュールな夢模様であり、そこに含まれるヒットソングは、音のフローラや全滅した動物などのテラリウム(槽)へとトランスフォームされたものであるらしいです。それはまるで、熱狂を夢見たように、1960年代のシュールレアリスト達が皆、誰も知らない地下世界で、異形の電子ブルース・ミュージシャンへと収束していったことと関係しているとのことです(解説より)。 とまあ、Wolf Eyesにとっては、記念すべきアルバムであることは確かなようです。内容としては、A面7曲/B面6曲が収録されており、A1はShort Handsとのコラボ曲で、A2は抜粋とのことです。それでは、各曲について紹介していきます。 A1 “Car Wash Two”は、Short Handsとのコラボですが、不明瞭なループ音とスモッグのようなノイズ、その背後にロックンロールな演奏が微かに聴こえます。 A2 “Radio Box (抜粋)”では、ラジオから取られたジャジーなSaxの演奏と微細な電子パルスがこんがらがっています。意外とLAFMSっぽいかも? A3 “Plus Warning”は、ループによる不安定な反復音とジャズっぽいSax(?)のような演奏の混合物です。 A4 “Engaged Withdrawal”は、いきなりなシンセのような電子音と語りのようなVoと金属質なノイズがごちゃ混ぜになっている曲です。 A5 “Exploding Time”は、再びループによるリズムと多層化していくクラリネット(?)の演奏テープから成る曲です。 A6 “My Whole Life”では、またまた語りのようなVoと電子音で始まり、やがてリズムボックスやシンセ音に取って代わられていきます。 A7 “The Museums We Carry”でも、リズムボックスとベースらしき低音と共に、語り調のVoが被っていきます。何となくMinimal Manっぽいかも? B1 “Pointerstare”は、管楽器や電子音が如何わしい似非民族音楽で、変調・加工された呻き声で、更に盛り上がります。 B2 “Comforts of The Mind”では、ポツポツとした加工ループによるスカスカな拍子の背後に、ラジオようなフィードバック音が微かに聴取出来ます。 B3 “In Society”は、ジャム・セッションのループらしき音に、オモチャの楽器やはしゃぎ声なんかを入れて、闇鍋で煮込んだような曲です。 B4 “Find You (Vocal)”では、しょぼいリズムボックスと飛び道具的な電子音や管楽器の上に、語り調Voが乗っていきます B5 “Days Decay”も、リズムボックスとシンセのパルス音と語り調Voから成る曲で、鬱病に掛かったDevoのようにも聴こえます。 B6 “Dreams in Shattered Time”では、何だか「熱中症に罹ったSmegma」のような鬱々とした演奏を繰り広げて、このアルバムを締めています。 そう言えば、最近、SNS上での彼等の発言の端々にpsycho-jazzと言う言葉が使われていますが、正にそんな感じがピッタリな脱力系/不安神経症系の音楽(少なくとも、以前のtrip hopではないです)を奏でています。後、ちょこちょこ書いていますが、LAFMSとかの米国西海岸の闇/地下みたいな音楽との共振性を感じまして。そう言う意味では、また彼等の別のルーツを聴いたように思います。なので、その辺に興味があるリスナーさんは一度、聴いてみては⁈ しかしながら、個人的には、Wolf Eyesの最近の機材の充実振りと如何にも「アメリカン」な音楽/音楽実験に驚いてしまいました。彼等の自由度は底無しですね❗️ [Wolf Eyes live at Rochester, NY, 2023/05/23] https://youtu.be/-SEGZaZqi7I?si=iDe-zZel5BtzCbpv [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_n3Nvaj6dRPdeyW0TLRFu16VdyUDUjqjvo&si=fsAydVc3wc9sev2f [BandcampのURLを貼っておきます] https://wolf-eyes.bandcamp.com/album/dreams-in-splattered-lines #WolfEyes #DreamsInSplatteredLines #Disciples #WarpRecords #NewAlbum #Experimental #Abstract #Noise #PsychoJazz #TapeLoop #JazzySound #ElectronicBlues #NateYoung #JohnOlson #Hand-MadeElectronics #MutatedReed #Synthesizers #DrumSynth #Software
Experimental / Psycho-Jazz / Abstract Disciples 2680円Dr K2
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Tommi Stumpff “Terror II”
皆さん、覚えてらっしゃるでしようか?かのNeue Deutsche Welle (NDW: German New Wave)の中にあって、パンク色が強かった異質なバンドDer KFCのギタリスト/ヴォーカル/リーダーであったTommi Stumpffのことを!彼のファースト・ソロ・アルバム”Zu Spät Ihr Scheißer. Hier Ist: Tommi Stumpff”は、1982年に早々とエレクトロ・パンクを確立しています。そんなStumpffのソロ・アルバム第2弾”Terror II”を今回は紹介します。Tommi Stumpffのバイオグラフィーは、以前に書いたと思いますが、ちょっとだけ補足しておきます。彼のソロ活動は、第1期1979–1993年、2008年に少し復活して、第2期2015–2023年となっています。第1期、特にDer KFC解散後の1982年以降では、Conny Plankのプロデュースもあって、ヒット・アルバムも出しています。ただ、音楽産業からリタイアした1993年からは、何と(?)IT会社にて、フルタイムで働いていたそうです。そうして、第2期(2015年)には、Stumpff名義で活動を開始し、3ピース・バンドで、Vo/Gを担当していており、2021年には、約30年振りにEP”Alles Idioten”をリリースしています。しかしながら、彼は今年2023年7月28日に、 65歳の若さで癌死しています。日本のNDW伝道師的レーベル某Sue◎an Studioが生前にコンタクトを取っていたようですが、Stumpffは再発に関して了承しなかったとか(ネット上の噂です)。 まあ、そんな訳で、Tommi Stumpffのソロアルバム第2弾”Terror II”を紹介していきます。本作品では、ヴォーカル・演奏は全てStumpff1人で行っており、文字通りの「ソロ」アルバムで、両面とも4曲づつ収録されていますが、その後の再発CDとかでは2曲程追加されているようです。それでは各曲を紹介します。 A1 “Meine Sklavin”は、スウングするマシンリズムと直線的シーケンスに、Stumpffの呟くような/語るようなヴォーカルが乗る、ややダウナーな曲で、ファーストとは違う歌い方をしています。 A2 “Eliminator”は、ダンサブルな打ち込みビートに、ダークな変調した掛け声とパンクスらしいStumpffのヴォーカルが冴える曲です。 A3 “La Lueur”は、スローな曲で、仏語の歌詞をしっとりとしたヴォーカルで伸びやかに歌っていますが、これは彼の新境地でしようか? A4 “The German Beat”も、ティンパニの音なども使った独特の軍隊行進曲調の曲で、右翼チックな歌詞(英語と独逸語)も時代を感じさせますね。また、パンキッシュなヴォーカルも聴けます! B1 “Robots Kill The Japanese”とは意味深なタイトルですが、シンコペーションの効いた複雑な打ち込みリズムに、サンプリングした声や歪んだギターなんかも使っての、ほぼほぼインストな曲です。 B2 “Niemals Mehr”も、またまたスローな曲で、語るようにしっとりとしたヴォーカルが悲しげに聴けます。段々と盛り上がっていきます。 B3 “Le Chien Andalou”は、どちらかと言うとイタロ・ディスコチックな曲なんですが、歌詞は仏語で、歌はパンキッシュで、無駄な音は徹底して排除されています。 B4 “Terror II”は、映画”Nosferatu”を想起させるような不気味な雰囲気のインスト曲で、ストリングスやホーンらしき音が奏でる多層的メロディが諦念感を醸し出します。 ファースト・アルバムとは、やや時間が経って制作されたこともあるかも知れませんが、かなり雰囲気が異なっており、本作はより音楽的に洗練された/音楽的に幅が広がった印象があります。それが良いか悪いかは聴く人に寄ると思いますが、個人的には、1回聴くと、もう一度聴きたくなるようなアルバムですので、「推し」の1枚です‼️ B1 “Robots Kill The Japanese” https://youtu.be/PxX7VOH_KLA?si=BPvwwDVMT5aJf81G [full album + α] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mi7HX2ro4JAwmf81M_EBDuwltu0nBV_Vc&si=4-YiF6-9QADZ3RRW [オマケ: “Contergan Punk” (1983) single B面] https://youtu.be/_E5RGhIPCHM?si=bCTGZzcGYNdXxGB- #TommiStumpff #TerrorII #NoDance #SecondAlbum #SoloAlbum #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #DerKFC #ElectroPunk #Vocal #Synthesizers #Programming #Sequence #Stumpff
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Synth Punk No Dance 不明Dr K2
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Lizard “Babylon Rockers (邪都戦士)”
またまた、紹介します。Lizardのセカンド・アルバム”Babylon Rockers (邪都戦士)”です。この時のメンバーは、Momoyo (G, Synth, Vo, Back-Noise), Waka (B, Back-Noise), Bell (Drs, Perc, Back-Noise )に加えて、Kitagawa (G [A6, B1, B3-5], Back-Noise; 元無限水路の北川哲生)となっており、ゲストとしてKoh (Kbd, Casiotone, Back-Noise), Zeldaのメンバー(Back-Vo [B5]), Ichikawa (Back-Noise)が録音に参加しています。プロデュースは、Momoyoこと菅原庸介とKatohが行っており、録音はSunrise Studioで行われています。なお、敢えて、このアルバムには、JJ Burnelのプロデュースでは無いこと、それとシーケンサーは使用していないことが明記されています。個人的には、Lizardに関しては、このアルバムまでは購入しましたが、その後のゴタゴタの噂等が色んな雑誌(この頃は、それ位しか媒体がない)で書かれていたこともあって、急速に興味を失ってしまいました。今回も40数年振りに聴いてみました。なので、個人的思い入れも強いので、各曲の解説は省略させて頂きますます。このアルバムでは、ファーストと違って、サウンド自体は、「日本のバンドらしく」と言うのも変ですが、国内に向けたような雰囲気になっているように感じました。具体的には、Kohがパーマネント・メンバーでなくなった為、キーボードのアレンジがパッとせず、代わりにギターの比重が多くなっています。まあ、それが良かったのか悪かったのかは別の話なんですが。また、A面(Babylon Rockerサイド)での、如何にも「東京」とか「下町」をベースにした曲や歌詞(特にA3 “Asakusa Rock / 浅草六区”やA6 “Moonlight Lover / 月光価千金”)は、東京以外の地方出身のリスナーには共感し辛く、キツかったですね。また、A5 “Kids/Babylon Rocker”やB2 “Kwangju Fighting / 光州市街戦”はまるで、初期のPublic Image Ltdのようなダブ・サウンドで、当時のトレンドもしっかり取り入れていますね。個人的には、当時は、水俣病を独自の表現で指し示したB4 “Sa. Ka. Na. (サ・カ・ナ)”が一番響きましたね。 と言う訳で、ファーストと比べて聴いてみると、全体の印象として、Momoyoの独特の視点/単語の選び方/唱法は一貫していると言えば良いのですが、彼のワンマン的或いは個的な側面が強く出てきた印象です。バンドと言う集合体の密度がやや希薄になっている感じですが、これを当時の東京在住のファンの方々とかはどう感じていたのでしょうか?ちょっと興味がありますね。また、このアルバムも2回程再発されていますが、その時に初めて聴いたリスナーさんの感想も聴いてみたいです❗️皆さんはどうですか? A面:Babylon Rockerサイド A1 “Rock 'N' Roll War (宣戦布告)” A2 “Goodbye! Plastic Age (さよならプラスティック・エイジ)” A3 “Asakusa Rock (浅草六区)” A4 “Instant Dream (自動販売機で愛を買ったよ)” A5 “Kids/Babylon Rocker” A6 “Moonlight Lover (月光価千金)” B面: Junky Townサイド B1 “Lizard Song” B2 “Kwangju Fighting (光州市街戦)” B3 “Baby, Hit Yourself (まっぷたつ)” B4 “Sa. Ka. Na. (サ・カ・ナ)” B5 “Gum Gum........ (ゴム)” [full album] https://youtu.be/ELsLxZJFtbo?si=8N8L8Ojewlfg-9QY #Lizard #BabylonRockers #邪都戦士 #KingRecords #Windmill #SecondAlbum #NewWave #PunkRock #JapaneseUnderground #TokyoRockers #Momoyo #Waka #Bell #Kitagawa #AsakusaRock #浅草六区 #Sa.Ka.Na. #サ・カ・ナ
NEW WAVE, Punk Rock King Records (Windmill) 2500円Dr K2
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Lizard “s/t”
私が、まだ田舎の高校生だった頃、東京ロッカーズとかのオムニバスを聴いており、そこに収められているバンドに大層憧れていた訳ですが、国内盤がリリースされたのを知って、早速購入したのが、Lizardのファースト・アルバムです。その頃は良く聴いていました。今回、棚を漁っていたら、見つけましたので、40数年振りに聴いてみましたので、ご紹介します。その前に、先ず、Lizardのバイオグラフィーを書いておきます。1970年頃、灰野敬二の即興演奏のライブにて、初ステージを踏んだMomoyoとKatsuを中心に、幻想鬼、通底器、エレクトリック・モスという名前で活動し、1972年に前身バンドである紅蜥蜴が結成されます。そして、2枚のシングル”Sexus”と”The Destroyer & Another Noise”をリリースした後(因みに、1980年には、唯一のアルバム”けしの華”が出ています)、バンド名が、現在のLizardに改名されて、本格的に活動を開始します。その頃、丁度、日本でのパンク的な活動を始めた5つのバンド(S-Ken, Friction, Lizard, Mirrors, Mr. Kite)が東京ロッカーズを名乗って、六本木S-Kenスタジオを中心に活動を広め、Lizardもそのムーブメントを牽引していきます。ただ、Lizardの音楽性は、もろパンクと言うよりも、キーボードやシンセを積極的に入れたニュー・ウェーブ寄りのサウンドでした。また、当時から、Momoyoのカリスマ性等から人気があり、Lizard Armyと呼ばれる親衛隊もいたそうです。そうして、1978年からS-Kenスタジオで、東京ロッカーズのシリーズ・ギグが行われ、1979年には、オムニバス・アルバム”東京Rockers”に、Lizardも2曲参加しています。その時のメンバーは、Momoyo (Vo, 本名:管原庸介), Waka (B, 本名:若林一彦), Katsu (G, 本名:塚本勝己), Koh (Synth, 本名:中島幸一郎), Belle (Drs, 本名:吉本孝)でした。同年11月に、King Recordsより、本作品であるセルフ・タイトルのファースト・アルバムを、英国The StranglersのJean Jacques Burnelのプロデュースでリリースしています。録音は、英国LondonのEden Studioで行われおり、その際には、Jean Jacques Burnel & Rowena Doe (Back-Vo)もゲスト参加しています。同時に、シングル”T.V. Magic”もリリースされています。この英国録音の為か、JJのプロデュースと為か、当時は大きな反響がありましたが、この渡英の為の資金繰りで、後にバンド・メンバー脱退が引き起こされたと言う噂もあります。1980年には、Momoyo自身のプロデュースで、セカンド・アルバム”Babylon Rockers”とシングル”浅草六区”がリリースされており、インディー・レーベルJunk Connectionより、Momoyo & Lizard名義で、水俣病をテーマにしたシングル”Sa Ka Na”をリリースしていますが、メンバーの交通事故や相次ぐ脱退、フロントマンのMomoyoの麻薬取締法違反容疑での逮捕(この時、裁判資金のカンパに対するお礼の意味で、シングル”Save Momoyo”がライブで無料配布されています)などが重なり、以降は断続的活動になっていきます。そんな中で、1981年には、サード・アルバム”Gymnopedia”をTrio Recordsからリリースしています。その後は、Momoyoは、元P-Modelの秋山勝彦と一緒に活動したり、ソロ・シングルをTelegraph Recordsよりリリースしたりしていますが、1986年に、Telegraph RecordsからLizard名義でミニアルバム”変易の書”をリリース、更に翌年にもアルバム”岩石庭園”をリリースして、活動を休止しています。そうして、2009年に、オリジナル・メンバーのMomoyo, Waka, Kohに加えて、Kieth (Drs, 元ARB)を加えて復活し、1973年〜2008年の全曲を網羅した10枚組CD+未公開ライブ映像DVDのボックス・セット”Book of Changes - Complete Works of Lizard”をリリースし、同年には、22年振りのスタジオ・アルバム”Lizard IV”をリリースしています。そして、2010年には、新宿Loftでワンマン・ライブを行い、その時には、30年振りにJJ Burnelと共演しています。現在はどうなっているのかは定かではありませんが、ただ、ベースのWakaは、国会前での反原発運動やロックバンドLoud Machineにも参加していました。個人的には、SNSで繋がっていましたが、つい最近(2023年)、アパートで孤独死していたのが見つかったと聞いています。 Lizardのバイオグラフィーは大体、こんな感じです。それでは、彼等のファースト・アルバムでもある本作品”Lizard”の内容を紹介したいと思います。メンバーは、先述のように5人組と言う最強の布陣で、JJ Burnelプロデュースによる英国録音(多分、日本のロックバンドでも海外録音としては早い方ではないかな?)と言う話題性もあって、当時のリスナーは大きな期待を持って聴いていたと思います(私もそうでした)。A面5曲/B面6曲が収録されており、地引雄一氏の写真を使ったジャケ写のイメージが、そのサウンドにもマッチしています。今回は、私自身の思い入れが強過ぎるので、各曲の解説はしませんが、本作品でのサウンドは、Wakaによる太く存在感のあるベースとKohのソフイストケートなシンセに、Momoyoの押し潰したような独特のヴォーカルが加わって、当時としては、例外的にタイトでカッコ良い仕上がりになっていたと思います。歌詞は全て日本語なんですが、何となく、当時、関心がありそうな/話題を呼びそうな/反発的な単語(例えば、「プラスティック」/「コンピューター」/「TV」/「マーケッティング」/「コンビナート」などのアンチ・ヒューマン或いは人工物や物質主義など)を選んで使ったり、時には自己陶酔的な詩的表現と混在したりして、今聴くと、何かあざといと言うか気恥ずかしいと言うかそんな感じもしますし、また、Momoyoの声質/唱法が独特なので、好き嫌いは分かれるのではないかと思います。ただ、アルバム全体のサウンドは、単にパンクとかニューウェーブとかの枠では収まらない絶妙なコンビネーションによって支えられており、今聴いても完成は素晴らしいです❗️それが、JJ Burnelのプロデュースによるかどうかは分かりませんが。その後も何度か再発されており、その時代時代での評価なんかも気になるところではあります。皆さんはどうですか? A1 “New Kids In The City” A2 “Plastic Dreams (プラスティックの夢)” A3 “Radio Controlled Life” A4 “Guyana (ガイアナ)” A5 “Asia (記憶/エイジャ)” B1 “T.V.Magic” B2 “Market(Ing) Research (マーケット・リサーチ)” B3 “Don't Touch The Switchboard (そのスウィッチに触れないで)” B4 “Modern Beat” B5 “Love Song” B6 “Kingdom (王国)” [full album] https://youtu.be/uWOKqNKL6IE?si=rKV67XdqCuS73qYZ #Lizard #KingRecords #Windmill #Change2000 #FirstAlbum #TokyoRockers #JapaneseUnderground #NewWave #PunkRock #UKRecording #Synthesizers #YosukeSugawara #JeanJacquesBurnel #Producer #Momoyo #Waka #Katsu #Koh #Belle
Punk Rock / New Wave King Records (Wildmill / Change 2000) 2500円Dr K2
