- Kinky Musik Museum
- 2F Underground music: Germany
- LP1: PVC / White Russia In V.A. “German Punk & Wave 1978-1984 vol.1”
LP1: PVC / White Russia In V.A. “German Punk & Wave 1978-1984 vol.1”
今回は、あの再発専門レーベルVinyl On Demandが自国独逸の初期のパンクやニューウェーブ等のバンドをコンパイルした5枚組LPと10インチミニLP1枚から成る豪華なボックスを1枚ずつ紹介していきたいと思います。
先ず、LP1には、A面にPVC、B面にWhite Russiaを収めています。それぞれのバンドのバイオグラフィーを書いて、各曲を紹介していきます。それで、PVCですが、このバンドは、英国パンクバンドThe Vibrators (The Advertsとの記述もある)の1977年2月25日のコンサートにヤラれたメンバーKnut Schaller (B, Vo; クヌート・シャラー), Raymond Ebert (G, Vo; ライモント・エベルト), Gerrit Meijer (G, Vo; ゲリット・メイヤー)が西ベルリンで、1977年3月10日に結成したパンクバンドで、ドラマーが中々決まらなかったのですが、Jürgen Dobroczek (Drs; ユルゲン・ドブロチェック)で取り敢えず落ち着いたのが、オリジナル・ラインナップとなり、1979年2月まで続きます。それまでに、1978年に、バンドは、”Wall City Rock”と言う言葉で自分達の音楽を表現しています。それは、より自由な音楽性を持たせる為に作った言葉らしいです。バンドのメンバーはその後も変わり続け、Gerrit Meijerだけが残り、1984年に一度解散しています。その後、1988年に再結成して、1991年に解散、2005年に1度だけライブをやっています。2012年3月10日がラストギグとなっています。PVCは大手RCAから1982年と1984年にアルバムを出しており、シングルも1982年に2枚出しています。以上からも分かるように、独におけるパンク第一波(ハノーファーのRotzKotzとデュッセルドルフのMale)の一つのバンドで、Meijerは後にPVCの自伝”Die Unzensierte Geschichte(「無修正の物語」;ディー・ウンツェンジールテ・ゲシュィヒテ)”と言う本も出しています。それで、ここでは、2回のセッション録音分が収められています。1回目は、1978年6月5日〜6日で、最初のパンクショップPunkhouseのオーナーFranz Antesberger (フランツ・アンテシュベルガー)が資金提供して、2枚シングル用に 4 曲 (“Wall City Rock”, “Rockin’ Till the Wall Breaks Down”, “Berlin By Night”, “Lost in Ulan Bator”) を録音する為に、ハードロック・バンドBel Ami(ベル・アミ)の練習場に集まった時の録音です。Bel AmiのギタリストJimi Voxx (ジミ・ファクス)がプロデューサー役をやっています。徹夜で12曲も録音していますが、結局、予定した4曲の内、“Berlin By Night“と“Wall City Rock“だけが採択されただけでした。しかしながら、この時の録音はラジオで結構掛けられていたそうです。2回目のセッションは、1978年8月と9月16日の分で、またBel Amiの練習場で、Jimi Voxxのプロデュースで録音を再開しますが、今度はLP制作の為に、先ず8月にベース・トラックを14曲分録音し、9月になってVoとGを重ねて録音しています。ただ、ベルリン在住の米国人アーティストJesse Ballardが、自分の機材だからと持っていってしまい、結局、1980年10月3日になって、急いでラフミックスすることが出来ただけでした。このA面に収められているのは、上記2回のセッションからの選曲となっています。
次に、White Russiaですが、このバンドも独ベルリンで結成されたパンクバンドで、メンバーは、Gerrit Meijer (G, Vo), Piers Headley (B, Vo; ピァーズ・ヘッドリー), Trevor Watkins (Vo;トレヴァー・ワトキンズ), Uwe Hoffmann (Drs; ウーヴェ・ホフマン)の4人組で、またGerrit Meijerが関わっていますが、実は彼は、2017年2月17日に生まれ育ったベルリンで亡くなっています。また、Piers Headleyは、現在では、テクノ・レーベルTresorを運営しているDimitri Hegemann (ドミトリ・ヘゲマン)と共に、ホステル/バー/レストランMarkthalleの共同オーナーとなっており、テープループを使って、レストランのBGMをやっていたり、偶にTresorの作品にも参加したりもしています。そして、Uwe Hoffmannは後に、独のポップ・パンクバンドDie Ärzte(ディー・エルツェ)のプロデューサーをやったり、オルタナ・バンドKing Køngのドラマーをやったりしています。また、Hoffmann以外の3人は嘗て、PVCにも在籍しています。バイオグラフィーは良くは分からないのですが、1981年にアルバム1枚、シングル1枚を、翌年にアルバム1枚を出して、それ以降のリリースはありません。それで、このB面に収録されているのも、2回のセッションの録音分です。先ず、1回目のセッションは、1980年2月23日に、Uwe Hoffmannの友達てあるStefan Stark (ステファン・シュタルク)が、HANZAスタジオでブームオペレーターをやっているMichael Zimmerling(彼は、David Bowieのアルバム”Heroes”の制作にも手を貸しています; ミヒァエル・ツィマーリンク)を面白がらせようと、White Russiaを呼び込んで、1980年2月23日に、HANZAスタジオでデモテープを録音させます。つまり無断で、White Russiaは8曲を、G, B, Drsを先ずは一発録音して、その後にVoを入れていますが、ミックスも含めて3時間で全て終わらせています。その後、1980 年 4 月 28 日〜29 日に2回目のセッション録音が行われており、同じように、HANZAスタジオを無断で使用しています。しかし、今回、Michael Zimmerlingは、今回はちゃんと録音してみようと通常のトラック分けでの録音を行なっていますが、「傑作!」と思っていたのは、Zimmerlingだけで、パンドのメンバーはそれ程気に入ってはいなかったそうです。こう言った過剰制作に寄るのか、次のAlphavelleのプロデューサーBernd Ramin (ベルント・ラミン)とMr. Witowski (ミスター・ヴィトヴスキー)と言う謎の男と知り合うことが出来、彼のお陰で、1980年夏には、White Russiaはデビュー・アルバム”Eastside Story”を作ることが出来、翌年に、Aladinと言うレーベルからリリースしています。1982年には、セカンド・アルバム”Language And Noise”をGood Noiseから出していますが、バンドとしてはこれが最終作となっています。本作品には、1980年の2月と4月のセッションからセレクトされた曲が収められています。
以上が、LP1収録バンドのバイオグラフィーですが、他の独パンク第一派勢が独逸語に拘っていたのに対して、英語のタイトルが多いようにも思いますね。それでは、それぞれのバンドの各曲をご紹介していきましょう。
VOD82.1 - PVC / White Russia
◼️Side A: PVC
★A1 “Wall City Rock” (1:51)は、捻くれたGと一丸となったパンクな演奏が力強い曲です。正にテーマソングです。
★A2 “Without You” (3:03)は、まんま英語で歌っていますし、GのリフなんかはJimiの影響でしょうか? ハードロック的です。またGソロパートが多目です。
★A3 “Concrete Jungle” (2:43)も、UKパンクな曲ですが、結構、演奏自体はまとまっていますし、コーラスワークもバッチリですし、間奏で囁くバックVoもグーです。
★A4 “Ice Cold Eyes” (3:20)も、UKパンクな曲ですが、がなるVoも含めて中々カッコ良いです。それは多分、高い作曲能力と演奏能力によるのでしょう。
★A5 “Deathline” (2:08)は、ミドルテンポの正当なロック風の曲ですが、パンク風にアレンジされています。結構、Gソロが派手です。
★A6 “No Escape” (2:35)は、タイトルからしてパンクですが、捨て鉢気味に叫ぶVoが余計にパンキッシュです。途中でやや感傷的メロディになるのが特徴ですね。
★A7 “Punk Idiots” (2:39)は、自嘲気味な歌詞を乗せて突っ走るカッコ良い曲です。途中からテンポアップになる所もグーです!
★A8 “I'm Alive” (2:38)も、パンクらしいタイトルで、曲もそれに違わず、モロパンクソングです。Bの唸りと捨て鉢なVoが特徴で、Gソロも聴けます。
★A9 “In Your Face (3:06)も、カッコ良いGのリフから始まるパンク・ソングで、曲構成もストレートで好感が持てます。
★A10 “Spotlight Kid” (2:29)は、Drsから始まる、割と陽性のパンクソングです。コーラスワークが良いです。
★A11 “Rockin Till The Wall Breaks Down” (2:51)は、アップテンポのロッケンローな曲で、「ベルリンの壁」のことを歌っているのでしょうか? アジるようなVoとコーラスが印象的です。
◼️Side B: White Russia
★B1 “Victim” (1:48)も、パンクソングなんですが、PVCとは曲調が違って、ザクザク刻むGが目立ちます。でも歌詞は英語です。曲調もUKパンク風ですが、カッコ良いです。
★B2 “Emotions Had Slipped” (2:31)も、バックがPVCなので、パンクにしては上手いと思いますが、やはりGの刻みが特徴です。割とドラマチックな展開で、間奏ではハードロック並にGを目一杯弾いています。
★B3 “North Sibirian Madness” (2:23)もそうですが、Gのザクザクした刻みが、このバンドの特徴です。イントロもDrsだけから始まります。Voと呟くようなバックVoが面白いです。やはりチョーキングを多用したGソロは大胆に入っています。
★B4 “Well Do You” (2:16)も、アップテンポのパンク・ソングで、サビでの分厚いコーラスが特徴的です。Bラインも上手くて、思わず唸ってしまいます。
★B5 “Three Crosses In The Sunshine” (3:08)は、アップテンポなハードコア(と言うよりRezillosみたいなと言うべきか?)のようなパンクソングで、切迫感と陽性さを上手にバランスを取った曲に仕上げています。
★B6 “That's Alright By Me” (3:09)は、割と陽性のパンクな曲で、サビでのコーラスワークとが印象的ですが、Gソロは結構入っています。Bも目立ちます!終わり方が如何にもパンクバンドらしいです。
★B7 “Lost In Ulan Bator” (2:44)は、Gのコード弾きと細かく動くBが特徴なパンクソングで、サビで盛り上がり、また、間奏でGソロを弾きまくっています。
★B8 “Da Da Competition” (1:30)は、割とロッケンロー的なパンクソングですが、イントロのGや分厚いGが特徴です。歌詞もちょっとふざけてるし、Gの音色に気を使っているようです。
★B9 “Emotions Had Slipped” (2:26)は、アップテンポのパンク・ソングで、刻むGが特徴的ですが、音が荒くで、随分印象が変わっています。Gソロもグチャグチャで面白いです。
★B10 “Well Do You” (2:36)も、刻むGと間奏のGソロが特徴で、割と陽性のアップテンポのポップパンクな曲に仕上がっおり、やはり音は荒いんですが、こちらの方がより「パンク」らしいです。
★B11 “That's Alright By Me (Demo 2nd Studio-Session)” (2:54)は、若々しい演奏で好感が持てますし、サビのコーラスワークは健在です。Bラインが弱い感じがしました。
★B12 “North Sibirian Madness” (2:58)も、刻み続けるGと弾きっぱなしのGが特徴のパンクソングで、こちらの方はGソロにエフェクトをかけているようです。終わり方もこつていますさ。
PVCもWhite Russiaもちょこちょこ入ってくるGソロが目立ちます。多分、PVCは録音に関わったJimi Voxxの影響とギタリストGerrit Meijerの拘りだと思いますが、他の独パンク第一派の中では、最もハードロックの影響を受けたパンクバンドではないでしょうか? UKパンクでも、そう言うバンドが初期にはいたと思うのですが、独でも同じような現象が起こっていたのを確認できました。なので、正直言うと、このLP1に収録された2バンドにはそれ程「独逸らしさ」を感じないですね。まぁ、独にパンクが伝わって始めたバンドなので、そうなったんしよう。しかしながら、メンバーが殆ど重なっている2バンドですが、音楽性には違いありますね。大きな特徴としては、PVCは割とストレートなパンク、Whits Russiaはテイクに寄りますが、Gの刻みが特徴的なパンクと言うところでしようか?皆さんはどちらのパンクが好きですか?
[PVC recording in 1978]
https://youtu.be/F7Ss6JnrxSs?si=qhma93e48hXif-QG
[PVC early recording 1977]
https://youtu.be/EkFI8npyy4o?si=MyAbtyKV5YRRcCP3
B9 “Emotions Had Slipped” (2:26)
https://youtu.be/GGoOBLJwQBQ?si=5aWzTFqzvkLCWWzL
[White Russia 1st album + others]
https://youtube.com/playlist?list=PLLvdvodyj3fJ_JJXLixFuFmktCLMBm29H&si=25jl8KQbMal3Qskf
#VariousArtists #GermanPunk&Wave1978-1984vol.1 #VinylOnDemand #LP1 #SideA #PVC #GermanPunk #TheFirstWave #UKPunk #WallCityRock #1977年結成 #1978年録音 #BelAmi #KnutSchaller #RaymondEbert #GerritMeijer #JürgenDobroczek #Producer #JimiVoxx #SideB #WhiteRussia #GermanPunk #TheSecondWave #Ex-PVC #GerritMeijer #PiersHeadley #TrevorWatkins #UweHoffmann
4AD
3 days agoUKにもWHITE RUSSIAというバンドがありますね。
Good Noiseというレーベルには、Leningrad SandwichというドイツのCOLD WAVEとしてピカイチの素晴らしいバンドがいます。聴いてみてください。
90ユーロとは送料入れたら120ユーロぐらいですか?
すごいですね。 僕はコロナ禍以前にWhite Russiaのアナログは安く手に入れたのでラッキーでした。