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V. A. “Soft Selection ‘84”
実は、私はこのコンピレーション・アルバムの存在は全然知らなかったです。なので、1984年の日本のニューウェーブ(ややマイナーな?)を聴いてみようと思って購入してみました。私が知っているのは、この中では、Picky Picnicだけですね。また、レーベルのSoftと言うのも全然知りませんでしたが、どうもこのコンピレーション・アルバムだけしか出していないようです。なので、収録バンドと各曲についてご紹介出来ればと思います。 ◉Clä-Sickは、Kazuo Saida (Synth, TR-808, Program), Goro Some (Piano, Synth, Vo, Noises, Program)のデュオで、この名義ではこのコンピにしか参加していません。Goro Someは本作品以前には様々なアルバムに参加しています。 ◉La Sellrose Can Canは、Yasuyo Kawakita (Vo), Hiroshi Moriguchi (Synth), Hitoshi Uemura (G), Mahito Fujiwara (B, Synth), Soshi Tanaka (Synth)から成る5人組で、単独作品は無いようで、このコンピの他に2〜3のコンピ・カセットに参加しています。 ◉Linoliumは、Seigen Kyu (Synth, PC, Program), Hiroshi (Tapes, TR-808)から成るデュオで、ほぼこのコンピだけしか参加していません。 ◉Picky Picnicは、独ATA TAKからもアルバムを出している、Yuji Asuka (Synth, Drs, G)とKaoru Todoroki (Perc, Clap, etc)のデュオです。 ◉Pink Labelは、ちーぼー(Vo)とM. Tuno (G, Synth, TR-606)のデュオで、やはりこのコンピにしか参加していません。 ◉Nameは、Makiko Nakamura (Song)とHiroshi Matsuyama (Program, Vo, Synth)のデュオで、本作品以外では、2014年のネット・コンピに1曲参加しています。 ◉Reverは、Tetsuri Syunnosuke (Vo Performance)のソロユニットで、本作品以外には、1本のコンピ・カセットと2018年のネット・コンピに参加しているだけです。 ◉Classic Pearlは、Kazuo Saida (Program, Synth, Vo)とUmi (Back-Vo)のデュオで、本作品以外では、2008年のコンピCDに参加していますが、単独作はないです。 それでは、収録曲を其々、ご紹介していきますね。 ★A1 Clä-Sick “Morning In China”は、今一歩初期YMOに追いつけない中華民謡風のドラムレスの曲です。 ★A2 La Sellrose Can Can “Aerobicise”は、ディスコ風のドラムマシンに舌足らずのVoが英詞で歌う曲で、バックは唸るSynth-Bとシンセで固めています。 ★A3 Linolium “Unit 25”は、声のコラージュから始まり、中華風のメロディのシンセとシーケンサーとキックに、テープ音を挿入させた曲ですが、ちょっとした悪意を感じます。 ★A4 Picky Picnic “Sume Ba Miyako”では、シンセで変調させたリズムで始まり、変調Voに通常Voも加えてのサビが中々面白いです。コード進行自体はシンプルです。 ★A5 Pink Label “Good Luck”は、一言で言えば、ニューミュージック(シティーポップ)をテクノポップでやっている印象です。Voが当時のシティーポップのように歌い上げています。 ★A6 Name “N.H.K.”は、(時にエフェクトを掛けた)テープ音とドラムマシンを中心に、シンセの優しいメロディから成る曲で、バックて流れるシンセは南国風です。 ★A7 Picky Picnic “Kibo No Asu”は、オモチャ箱をひっくり返したようなテクノポップで、曲やハンド・クラップなどをコラージュしたようで展開の予測が不可能です。 ★A8 Rever “Performan”は、ドラムマシンとエフェクトを掛けたVo(何語かは分かりません)から構築された曲です。時に複数のVoから成る部分もあります。 ★B1 Name “Do We All Need Love”は、軽妙なマシンリズムとシーケンスに、雨音のテープ音と思ったら、囁くようなVoが英詞で語るように歌ってきます。間奏のオルガン風シンセも良い感じです。 ★B2 Classic Pearl “Pearl”は、大胆なポリ・シンセとマシンリズムで始まり、割とミニマルな展開の曲で、聴き取り辛いVoですが、日本語の歌詞なのでしようか。 ★B3 La Sellrose Can Can “Happy Morning”は、ややずっしりとしたマシンリズムとピコったシンセと分厚いシンセのコード弾きに英詞のVoが歌う曲ですが、どうもBも弾いているようです。 ★B4 Clä-Sick “Every Night”は、重めのキックとスネアのマシンリズムに、やはり英詞のVoと英国OMiDのような曲調の曲で、中々盛り上がっています。 ★B5 Clä-Sick “Black Nile”は、ややスローなテンポなドラムマシンとシンセ音にダブ処理が為されているインスト曲で、ちょっと実験なのでしょうか?この後、隠しトラックが2つ入っています。 私の個人的な意見なのですが、日本のニューウェーブなら、やはり日本語で歌って欲しいこと。英語で呟くように歌っても何も響かないです。それから、時代的そうだったのかもしれませんが、リズムマシンは良い機材を使っているのに、どうもどのグループも「軽さ」を押し出しているのも、何か納得出来ないんですよ。だから、日本のニューウェーブって、良い言い方をすれば「軽妙」、悪く言えば「軽薄」なんですよね。多分、本作品に参加している人達って、業界人かその取り巻きだと思うんですが、そう言うこともあって、どうも色眼鏡で見てしまいますね。そんな中でも、Picky Picnicは、音の面白さや曲構成のアイデアに満ちていて、やはり別格だなと納得しました。皆さんはどう思われますか? https://youtu.be/C6viA9Ex5as?si=rfhxmvobpx9kqrkE [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLuGAvXrEzoIn7b_WfbSFwGD4LbDCjenM5&si=Uh9L7uknxA5-_2MK #VariousArtists #SoftSelection’84 #GlossyMistakes #SpanishLabel #2024年 #Reissue #Remastering #LimitedEdition #Soft #1983年 #JapaneseNewWave #CompilationAlbum #NewWave #SynthPop #Experimental #Minimal #Abstract #Clä-Sick #Linolium #PinkLabel #PickyPicnic #Rever #Name #ClassicPearl #LaSellroseCanCan
Synth Pop / New Wave / Minimal Glossy Mistakes (Soft) 4950円Dr K2
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Thomas Leer “Contradictions”
勢い余って、買ってしまいましたが、この作品に関しては、再発CDの方が良かったかもしれません。と言うとも、CDの方は16曲入りで、本作品は12-inch Maxi-Singles2枚組で7曲入りだからです。ただ、これはCDで持っていたように思ったので、レコードでもと思って購入してしまいました。それで、Thomas Leerについてですが、かの名盤Thomas Leer & Robert Rental “The Bridge”で皆さん、良く知ってらっしゃると思いますし、その後もThomas Leerはアルバムを出していますので、そちらで聴いたこともあるでしょう。それか、ここでも以前に彼の2枚組アルバム”Letter From America”を紹介していますが、確認した所、これら2作品は同年にリリースされており、また内容もほぼ同様のようです。と考えると、今回のこのマキシ・シングル2枚組の購入はほぼダブりなのでは?と感じております。なので、Thomas Leerのバイオグラフィーに関しては、あちらの方をご参照下さい。取り敢えず、各曲について、ご紹介することにします。 ◼️MS1 ★A1 “Hear What I Say” (5:18)は、ホーン風シンセを弾きまくってカーニバル風のダンサブルな曲で、LeerのノリノリのVoまで聴くことが出来ます。BとGもファンキーですね。 ★A2 “Mr. Nobody” (5:22)は、タムを多用したリズムマシンとやはりホーン風のシンセと唸りまくるBから成るダンサブルな曲で、Leerも歌いまくってます。しかしながら、しっかりメロディアスなシンセの旋律も隠し味として入っています。 ★B “Contradictions” (4:49)も、ファンクのリズムパタンに、マリンバ風の旋律とホーン風シンセと唸るBから成る「陽キャ」のダンス・ミュージックで、途中にはホーン風シンセのソロや変調加工Voの挿入もあります。 ◼️MS2 ★C1 “Looks That Kill” (4:58)は、やや怪しげな雰囲気も漂わせてはいますが、やはりSynth-Bとタイトなマシンリズムから成るダンサブルな曲で、Leerも歌いまくってます。ただ、この曲はちょっとスパイ映画風で、純粋なダンス・ミュージックではないように思えます。 ★C2 “Soul Gypsy” (5:17)は、東欧風のリズムパタンをシンセで作り、スラップ奏法のBも交えて、ちょっと変わったダンサブルな曲ですが、それ程クセは強くはありません。クラリネット風シンセも加わり、複雑なアンサンブルを成しています。 ★D1 “Choices” (6:10)は、スパニッシュ系のアレンジが施されたマシンリズムに、Synth-Bやヴァイオリン風シンセやレゾナンスの発信音によるPerc、それに変調加工Voも加わり、また異なった雰囲気でのダンス・ミュージックとなっています。それからGも弾きまくっています。 ★D2 “Gulf Stream” (5:42)は、最初、摩訶不思議なダイナミックなマシンドラムの中近東風の不思議なリズムとシンセやGのメロディから成る似非民族音楽で、テープ音等が挿入され、まるで、Cabsの”Three Mantras”の如し! 流石に、厳選された曲ですね。まぁ、”The Bridge”とは全く異なるゴージャスなダンス・ミュージックではありますが、これはこれで非常に緻密な、ダンス・ミュージックに特化した機能的な音楽ですが、本作品の収録曲は、アルバム”Letter From America”に入ってますし、ヴァージョン違いでも無さそうなので、まあ、よっぽどThomas Leer好きか、クラブDJ仕様だとは思います。なので、気になる方だけ、入手して貰えば良いのではないかと、、、。あと、同時に出たCDの方が収録曲も多く、聴き応えがあると思いますよ! [本作品にセレクトされている各曲はバラバラだったので、1曲ずつURLを貼っておきます] A1 “Hear What I Say” (5:18) https://youtu.be/gqzgIetrqAM?si=0LTbeFQdaUvOtgDl A2 “Mr. Nobody” (5:22) https://youtu.be/u6bs1PEVMYM?si=7IDYdj7GCS4NBcMw B “Contradictions” (4:49) https://youtu.be/2fcZScndGi8?si=0qEXahnQb-eKMz_V C1 “Looks That Kill” (4:58) https://youtu.be/Ix4_twPVmTQ?si=kRabVa53MhyTLH5p C2 “Soul Gypsy” (5:17) https://youtu.be/BVqes5nz3YM?si=D9mTK0FbD4iQGUXF D1 “Choices” (6:10) https://youtu.be/yRVJf7QbXE8?si=4BukP8Frvghh5sP_ D2 “Gulf Stream” (5:42) https://youtu.be/KgjZ2rzjNas?si=7nSFdBKiA79BEbXY [再発CDのfull version] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nWgGTS1Wyz6rrOE3vFsP3yGdrxKJl2BdE&si=qnGNQ-OtUKyQBYVl #ThomasLeer #Contradictions #SpittleRecords #2022年 #Reissue #12-inchMaxiSingles #2枚組 #CherryRedRecords #1982年 #ElectroPop #Industrial #Synthesizers #DrumMachine #CDReissue
Electro Pop Spittle Records (Cherry Red Records) 3630円Dr K2
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Kas Product “Black & Noir (Mutant Experimental Synth Punk From France 1980-83)”
今回、ご紹介するのは、仏ナンシーのシンセ・パンク・デュオKas Productです。1980年に、Spatsz (Electronics, Drum Machine; 本名Daniel Favre)とMona Soyoc (Vo, G, Piano)によって結成されたエレクトロ・パンク・デュオで、KasProduct結成以前には、Spatszは精神病院で働いており、Mona Soyocはジャズバンドに在籍していました。彼等の音楽は、ミニマル・エレクトロニクスとヴォーカルと言うスタイルで、”Kaleidoscope”時代のSiouxsie & the Banshees, Suicide, Soft Cellに近く、よくSoyocのヴォーカルは、Siouxieと比較されています。彼等は、最初の頃は、自身のレーベルPunk Recordsからシングルを数枚出していましたが、1981年頃にRCAと契約して、広く知られるようになります。彼等のファースト・アルバム”Try Out (1981年作)”とセカンド・アルバム”By Pass (1983年作)”は、その後も評価が高く、ボーナス・トラックを付けて、何度も再発されており、そのボーナス・トラックを中心にコンパイルしたのが、本作品となっています。当時の音楽記者は、彼等の音楽を「熱狂したり冷徹になったりするキーボード、不意に急降下する破壊的なギター、突き刺すようなエレクトロニック・リズムに囲まれ、又はその上に広がる、心に残る狂気のボーカル」と評しています。その後、彼等は1990年まで活動し、その後、休止していますが、2005年に復活しています。しかしながら、Spatszが2019年2月1日に61歳の若さで他界した為、Kas Productは、そこで終わっています。 以上が、Kas Productのバイオグラフィーになりますが、彼等は、2000年代以降のミニマル・ウェーブ/コールド・ウェーブで、再評価されており、そこそこ有名であったと認識しています。先述のようにボーナス・トラックを中心にしたセルフ・コンピレーションなので、既に聴いたことのあるリスナーさんもいらっしゃるかもしれませんね。また、この作品は、Soul Jazz RecordsのPunk 45シリーズの一貫としてリリースされています。(*はファースト・アルバムのボーナス・トラックで、^は、セカンド・アルバムのボーナス・トラックです。)それでは、各曲について紹介していきましょう。 ★A1 “Mind” (2:43)*は、ミニマルなリズムにGのリフと簡素なシンセのリフが乗り、そこにやや捨て鉢なVoが入り込む曲です。 ★A2 “Black & Noir” (1:49)は、雲のような波状のシンセの中で、ひたすらリフを刻むGとSoyocのVoから成る曲で、ドラムマシンは不使用。 ★A3 “Seven” (3:52)*は、ダウンテンポから始まり、段々と早くなり、怠そうなVoとGのリフと不明瞭なシンセ音から成る曲で、不吉な雰囲気がぷんぷんします。 ★A4 “Take Me Tonight” (3:58)では、凄くカッコ良いシーケンスとリズムマシンに、GとぶっきらぼうなVoの組合せが、ちょっとだけSuicideっぽいですが、完全ミニマルではないです。間奏のGもカッコ良い! ★A5 “In Need” (3:10)*は、DR-55のリズムに、Gによる構築とSoyocの自在なVoが乗り、シンセのリフも聴取できます。後半にはシーケンスも入ってきます。 ★B1 “Malena” (2:42)*は、チープなリズムマシンDR-55を使いながらも、ムーディな雰囲気の曲で、シンセが唸っています。途中から更に盛り上がります。 ★B2 “Crash” (3:04)^は、リズムマシンと同期したシーケンスに、GとエモーショナルなVoがどんどん曲を盛り上げていきます。シーケンスは複雑ですが、手弾き? ★B3 “Mezzo” (1:54)では、強靭なリズムと複雑なGのリフ、それにKbdとSynth-Bが華を添え、Soyocが歌い上げます。 ★B4 “Electric” (3:12)では、単調なリズムマシンに、Synth-Bとカッコ良いGのリフが乗り、更にエモーショナルなVoが曲を感情的に纏めています。 ★B5 “Party” (2:28)^は、スローなSynth-Bと呟くようなVoで始まり、段々とハイハットやスネア等が入ってくる電子シャンソン?な曲です。 ★B6 “Doctor Insane” (0:25)*は、男性Voのループと電子音から成る小曲です。 以外と、Gとかも多用されており、曲構成も、それ程ミニマルではないですね。逆にシンセやシーケンサーも余り使われていない感じで、これも意外でした。以前にどこかのコンピレーションで聴いた時には、もっとミニマルな印象でしたが、もっと複雑な曲構成を成していますし、また、SoyocのVoももっとエモーショナルになっている印象で、成る程、Siouxsieと比較されるのも分かる感じです。なので、シンセ・ウェーブを期待するよりも、ニューウェーブ的な音楽を期待した方がシックリきそうです。皆さんもそこら辺に気をつけて聴いてみて下さい! A4 “Take Me Tonight” (3:58) https://youtu.be/yDZ5eqTvafk?si=hOuYD35wSeg0P257 [full album] https://youtube.com/playlist?list=PL61D7C93788B158A1&si=zZr242dANIy_ycLI #KasProduct #Black&Noir #MutantExperimentalSynthPunkFromFrance1980-83 #SoulJazzRecords #Reissue #2017年 #Punk45Series #FanClub #1990年 #SelfCompilationAlbum #LimitedEdition #1000部 #NewWave #ColdWave #Electro #FemaleVocal #Synthesizers #Guitar #DrumMachine #Spatsz #DanielFavre #MonaSoyoc
Synth Wave / Cold Wave Soul Jazz Records 5170円Dr K2
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Elektric Music “TV”
ここらで、もう一度、元KraftwerkのKarl Bartos関係の1枚を!と言う訳で、今回は、Elektric Music名義の12-inch Maxi-Singleをご紹介します。Elektric Musicは、元々は、元KraftwerkのKarl Bartosと元RheingoldのLothar Manteuffelのデュオのことで、1991年〜1998年に活動していました。Bartosについては、前回、彼のソロアルバム”Off The Records”で書いてありますので、そちらをご参照下さい。それで、Lothar Manteuffelについて、少し調べてみました。先ず、Manteuffelが在籍していたRheingold(以前にもバイオグラフィーは書いてあります)と言うのは、Bodo Staiger (Vo, G), Lothar Manteuffel (Lyrics), Brigitte Kunze (Kbd)から成る独のNDWバンドで、彼等は、Düsseldorfの音楽シーンに触発された、Kraftwerkのフォロワーでもありました。デビューアルバムでは、Manteuffelが曲を書いて、Kunzeが少し歌うと言う形態でした。彼等の出したシングルで最も成功したのは、"Dreiklangsdimensionen"でしたが、他にも"Fluss"や"Fan Fan Fanatisch"も評判は良かったようです。また、この歌は、Staigerが主役の映画”The Fan”のサントラにも収録されています。また、彼等はは、英米のシーンへのアプローチとして、英詞ヴァージョンも作っていますが、思った程の成功は得難く、そうして、彼等のラスト・アルバムを出して、解散してしまい、Rheingoldの名前で、曲を作ることはありませんでした。その後、Lothar Manteuffelは、前述のようにKraftwerkのKarl Bartosと、Elektric Musicを結成し、Bodo Staigerは、1997年に、自身のソロアルバムの制作で、KraftwerkのWolfgang Flürとコラボしており、このコラボ作品はYamo名義でリリースされています。Brigitte KunzeことBrigitte Staigerは、夫のBodo Staigerと共にレーベル3Klangrecordsで働いていましたが、2019年12月に夫の方は他界しています。以上がLothar Manteuffelの略歴ですが、本作品は、Elektric Musicのファースト・アルバム”Esperanto”(1991年)とセカンド&ラスト・アルバム”Electric Music”(1998年)の間にリリースされたシングルの2枚目に当たりますが、2人のコラボとして録音されたのは、ファーストとセカンド・シングル及びファースト・アルバムだけのようです。Emil Schultが元のジャケ絵をデザインしています。それでは、各曲を紹介していきましょう。 ★A “TV 2” (5:40)は、Kraftwerk直系のリズム隊とメロディなんですが、よりダンサブルかつ強靭なリズム隊に、Manteuffelと思われる軟らかいVoの乗った極上のテクノ・ポップとなっていますね。流石ですね、Karl Bartos! ★B “Television” (4:00)では、変調ロボットVoと太い低音Synth-Bで始まり、そのまま、幾分軽めのE-Drsとシンセのリフが入ってきて、Kraftwerkよりも、Karl Barton’sよりも幾分叙情的なメロディが流れてきます。 A面は生の声で如何にもなテクノ・ポップを、B面では変調ロボットVoで若干抒情味を付け加えると言う真反対のアプローチをした、似て非なる曲をカップリングすると言うニクいピクチャー盤ですね。しかしながら、Kraftwerkファンほどうか分かりませんが、少なくともKarl Bartosファンにはマスト・アイテムだと思いますね! A “TV 2” (5:40) https://youtu.be/IrDHVNB5Lqs?si=wd_i-hPoYt23JWna B “Television” (4:00) https://youtu.be/xLiIjWe7IQE?si=qgAsKEoHVQDDfGL1 #ElektricMusic #TV #SPVglRecords #PictureMaxi-Single #SynthPop #Electro #Synthesizers #KarlBartos #LotharManteuffel #Kraftwerk #Rheingold #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #TV2 #Television
Techno Pop / Electro Pop SPV Records 2250円Dr K2
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Holger Hiller “As Is”
やっと入手しました。Holger Hillerのソロとしてのサード・アルバム”As Is”です!クリア盤で、透明ビニールに直接プリントされたバックに盤が収められていると言う、ちょっと凝った装丁になっています。Hillerのバイオグラフィーについては既に書いてありますので、そちらをご参照して下さい。今回は、Holger Hiller (Sampler, Edit, Produce)の他、Russell Haswell (Edit), Stefan Van Campenhout (Drs, Perc), Mimi Izumi Kobayashi (Programming), Karl Bonnie (Arrangement)がゲスト参加しています。内容的には、A面7曲/B面5曲が収録されています。それでは、各曲について、ご紹介していきましょう。 ★A1 “Königinnen” (3:50)では、Van Campenhoutのダイナミックなリズムに、チェンバロ音や電子音、何かを叩く音等のサンプリング音が同期されており、そこに呟くようなHillerのVoが乗ります。前作のような明確なメロディの断片も無いです。最後は持続音で終わります ★A2 “Sing Songs” (2:13)は、竹を叩く音や男性合奏や部族の歓声等、様々なサンプリング音を見事に同期させ、ダイナミックなDrsが入ってくる曲で、かなり抽象的な感触です。 ★A3 “Bacillus Culture” (4:34)は、何処かのBのフレーズをサンプリングして反復させ、Drsと同期させたさせた曲で、Hillerが囁くVoでメロディアスに歌います。この曲が最もポップと言うか「音楽的」ですね。間奏では自身の声もサンプリングしてコラージュしている? ★A4 “Sur La Tête” (1:08)は、男女其々の声や合唱、キャッシャー等の様々な音をサンプリングして、同期させている小曲です。 ★A5 “Neighbours” (3:21)も、ベル音や何かの具体音をサンプリングして、リズミックにプログラミングして一定のパタンを作ることで「音楽」として成立させ、そこにHillerのVoを乗せています。 ★A6 “Abacus” (3:08)は、木製の摩擦音、女性の声や会話のサンプリングをリズミックに同期させて、歌でも楽器でも無い音として曲を作っており、プログラミングの妙で聴かせています。 ★A7 “Gut Und Böse” (4:28)では、キックやPercを使っており、電子音や具体音(水を注ぐ音等)をサンプリングして同期させ、「音楽」として再構築しています。また、Hillerは消え入るようなVoも披露しています。 ★B1 “You” (4:13)は、ピアノやダブルB或いはバックの電子持続音(これらもサンプリング?)、そして途中でのヴァイオリンの音もサンプリングし、とてもジャズVoには思えない無調Voから成る似非ジャズな曲です。。 ★B2 “Mosaik” (3:12)は、カエルの鳴き声?やヴァイオリンやバネの音、その他の正体不明な具体音をサンプリングしまくって、題名通りまるでモザイクのように、一定のリズムのパズルにはめ込んだ曲で、HillerのVoも入っていますが、スパッと切った音片がシャープです。 ★B3 “Egg” (3:15)は、四つ打ちキックとハイハットのリズムに、他の歌やら何らかのメロディやら机/金物を叩いた音等もサンプリングしたインスト曲で、シャープなプログラミングが冴えていますね。 ★B4 “Trojan Ponies” (1:46)も、それこそ色んな具体音のサンプリングを同期させて、更に割とハッキリしたVoを乗せることで、メタ・ソングとして成立させています。 ★B5 “Cuts Both Ways” (4:02)は、ノリの良いBラインとDrsに、何かを叩いた音やドアの軋み音、キャッシャーの音等々、様々な具体音で上物を構成していますが、ビートがあるとかろうじてポップの範疇に留まりますね。最後はクチャクチャした音のコラージュで締めています。 前作”Oben Im Eck”では、交響楽の大胆なサンプリングを多用して、既にメロディがあるものを使っての曲が目立ったのですが、今回は、寧ろ、何かを叩いたり、鳴き声や生活音等の具体音を使った、極めて抽象的な曲作りを行っており、これを「現代音楽」の世界ではなくて、ポップミュージックのジャンルに落とし込んでいる所が、Hillerの凄いところですね。嘗て、ピンク・フロイドがやろうとして断念した方法論を、サンプラーを使って見事にやり遂げています。かなり抽象的な音楽ですが、ピンク・フロイドのファンの方にも聴いて欲しいです!勿論、Holger Hillerファンにも!!後、Izumi Kobayashiとコンビを組んだことで、サンプリングした音をプログラミングさせて、同期させることで、一定のパタンをリズムに転換しているところも、Holger Hillerの特徴だと思います。 A5 “Neighbours” (3:21 https://youtu.be/1BK80l1akSw?si=3WcPEqfu1gKlgYuS [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mtWZYHZELKarQpR7CbHejnMkkzOem0Z6I&si=q-H27TqjY9xM7BGB #HolgerHiller #AsIs #MuteRecords #ThirdAlbum #ClearVinyl #PrintedTransluscentPackage #ExperimentalPop #Electro #Sampler #Guests #StefanVanCampenhout #MimiIzumiKobayashi #KarlBonnie #RussellHaswell
Experimental Pop / Sampling Mute Records £28.99Dr K2
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V. A. “Devastate To Liberate”
昔は、YouTube等も無く、店内のポップや雑誌のレヴューなんかを頼りにして、レコードを買っていた訳ですが、例えば、ノイズ/インダストリアル系に関しては、先述のレヴューなんかも殆ど無く、情弱の状態での購入になることが多かったように思います。そんな中で、コンピレーションは、リスナーにとって良い道標になっていたこともあって、良く購入していました。そんな中で、このコンピ・アルバムは、「動物の権利を守る」と言うAnimal Liberation Front (ALF; 一時期、大学や研究所に忍び込んで、動物実験用の檻を破壊したりして問題になっていた過激な団体)のベネフィットの為の企画物ではありましたが、1980年代中期のノイズ・シーンを俯瞰するのにピッタリでしたので、購入した覚えがあります。それで、発行元のレーベルは、Yangkiですが、恐らく、United Diariesが絡んでいたようで、Steven Stapleton, Debby Sazer, Simon Edwardsに謝辞が書かれています。それで、少し注意点があります。A7は元々ロックト・グルーヴだったこと、A4&A5は2倍速でマスタリングされてしまっていること(正しい速度での再生は、後にアルバム”Tionchor”に収録)、B5&B6は、”The Nearest Door”で既にリリースされていること等です。それで、参加グループ/アーティストが全員、ALFを支持していたかは不明ですが、まぁラインナップを見れば、思わず買って聴いてみたくなるでしょう。と言う訳で、各曲/各グループを紹介していきましょう。 ★A1 Nurse With Wound “Elderly Man River” (3:46)は、前半2/3はドラムマシンの単調なビートに、Gの弦の摩擦音や声やKbd?クラリネット?等の音が絡んでくる曲で、途中から男性の叫びと共に、怒涛のサウンド・コラージュで締めています。 ◉NWWは、1978年にSteven Stapleton, John Fothergill, Heman Pathakによって結成された英コラージュ・ノイズ・プロジェクトで、後にStapletonのソロプロジェクトとなる。この頃にはアルバム”The Sylvie And Babs Hi-Fi Companion”やCurrent 93とのスプリット・アルバム”Nylon Coverin' Body Smotherin'”を出していた。 ★A2 Sema “The Pleasure Of The Text” (4:56)は、アコースティックで不定形のドローン音から成るダーク・アンビエントな曲で、オルガンの音が混じっていますが、何か有機的な感じですね。 ◉Robert Haighのソロ名義で、元Truth Club/元Foteのメンバーの英の実験アンビエント作家。この頃には、アルバム”Three Seasons Only”を出しています。 ★A3 Shock Headed Peters “Blue Rosebuds” (4:50)は、長めのGフィードバック音で始まる重いハードロック調の曲で、途中で早回しのコーラス或いはSaxやシンセも加わり、暴れまくりますが、やがて元に戻りますが、フィードバック音はしつこいですが、Voは気合い充分です。 ◉元Lemon KittensのKarl Blakeが、1982年に、Ashley Wales, Dave Knight, Mark Rowlatt, Clive Gloverと結成した英ポストパンク・バンドで、この頃に、ファースト・アルバム”Not Born Beautiful”を出しています。 ★A4 P16 D4 “'Okay' She Said With Her Customary Total Lack Of Consideration” (0:38)は、チョコマカするサウンドコラージュ作品で、本来の再生では無いことが分かりますが、当時はこんな曲なんだと思って聴いてました。 ◉P.D.のリーダーであったRalf Wehowskyが、Roger SchönauerとEwald Weberとで編成し直し、Stefan E. Schmidtも加入した独実験コラージュ・ノイズ・グループで、この頃には、S.B.O.T.H.I.との2枚組コラボ・アルバム”Nichts Niemand Nirgends Nie!”をだしています。 ★A5 P16 D4 “Aus Angst Davor, Zu Ersticken, Sprach Er Beim Essen Nie” (1:34)も、サウンド・コラージュですが、やはり倍速再生の為、ガサゴソしてチョコマカしたユーモラスな曲になってしまっています。 ★A6 Coil “Restless Day” (4:24)は、何処かの部族の儀式のような反復するDrsとBに、独特のメロディの歌から成る曲で、後半にGノイズが乱入してきます。 ◉1983年に、英Psychic TVのJohn Balanceのソロプロジェクトとして始まり、パートナーの元T.G.のPeter ‘Sleazy’ Christophersonが加入、翌年、フルスケールのグループとなったポスト・インダストリアル・バンドで、この頃に、アルバム”Scatology”を出しています。 ★A7 Current 93 “Jesus Wants Me For A Moonbeam” (3:05)は、ガラス瓶Percに、茫漠とした笛が始まり、少年少女合唱団の断片や正体不明の持続音が混ぜこぜになっていく曲で、NWW色が強いですね。 ◉David Tibetが、1982年にMichael CashmoreとSteven Stapletonらと結成した英ポスト・インダストリアル・グループで、後にネオ・フォークへと変遷する。この頃、アルバム”Dog Blood Rising”を出しています。 ★B1 Legendary Pink Dots “Mmmmmmmmmmmmmm” (4:14)は、リズムマシンのビートに乗せて、反復するBと暴れまくるKbd?のイントロから始まり、やや抑制的なVoが入るとG, B, Synthは其々カッコ良いアンサンブルを弾き始めます。 ◉1980年に、Edward Ka-Spelが中心となって、Erik Drost, Randall Frazier, Joep Hendrikx, Raymond Steegと共に結成した英蘭混成ネオサイケ・バンドで、この頃に、アルバム”Asylum”や”The Lovers”を出しています。 B2 Hafler Trio “In The Cradle” (1:15)は、フィールド録音を変調しまくった小曲で、それぞれの音はコラージュされています。 ◉1980年代初頭に、Andrew McKenzieと元CabsのChris Watson、それに架空の科学者Dr. Edward Moolenbeekで「トリオ」として結成された英の実験音楽バンドで、この頃には、アルバム”Seven Hours Sleep”を出しています。 B3 Annie Anxiety “Soweto Suntan” (4:58)は、ダルな女性Voに、不思議なバック音や民族音楽紛いの音が流れており、時にオーバー・ディレイの掛かった音も聴取されます。レコードからの音なんかも使用されており、やはりNWW色が強いです。 ◉本名Ann Robie Bandes O'Connorで、英の詩作家/ マルチメディア・アーティスト/ ポストモダン・キャバレークイーンで、この頃に、アルバム”Soul Possession”を出しています。 ★B4 Crass “Powerless With A Guitar” (7:13)は、笛のような音をバックにVoが乗っていますが、直ぐに政治的発言のコラージュになり、やがてハードなパンクソングに代わりますが、またまた女性Voのミディアムテンポの曲に代わり、コラージュと目紛しい曲です。最後は、電話のコール音と陽気な曲で終わります。 ◉1977年に英North Wealdで、Penny RimbaudとSteve Ignorantのジャムから始まったアナーコ・パンク・バンドで、徹底したDIYやアナーキズム、政治的風刺を主張・実践し、1984年には解散しています。 ★B5 D&V “Today's Conclusion” (1:33)は、シンバルを効かせたドラムに、生に近いVoからなります。英語が聞き取れたら、もう少し楽しめるかな?、 ◉1982年かそれ以前に、Andy LeachとJeff Antcliffeによって結成されたドラム&ヴォーカルの英デュオで、この頃に、Crass Recordsから”D & V (Inspiration Gave Them The Motivation To Move On Out Of Their Isolation)”を出しています。 ★B6 D&V “Wake Up” (1:36)でも、ドラムンヴォイスの曲ですが、鉄琴が使われています。Cuntsの原型なのかな? ★B7 Who Will Carry My Arms “Carnival Of Souls” (1:21)は、シンセ?オルガン?のリフと単調なDrsから成る短いインスト曲です。 ◉バンド或いはアーティストとしての情報は調べた限りありませんでしたが、聖書の文言らしいので、Crass関係かと思われます(自信無し)。 まぁ、メンツを見れば大体予想は付くのですが、ザックリと分けると、NWW系とCrass系になるのかなぁと思います。Crassもレコード等でコラージュをやっていますので、更に大雑把に言えば、サウンド・コラージュがこのアルバムの「主流」と言ってもよいかもしれません。多分、Crass系は、ダイレクトに「動物の権利」についてのナレーションを使っているようで、NWW系とは似て非なるものでしょう。しかしながら、1985年の音楽の流れの一面ではありますので、興味のある方は是非聴いてみて下さい! https://youtu.be/3hKeqY36DOg?si=ILOySxEFEvqmGTzW #VariousArtists #DevastateToLiberate #Yangki #UnitedDiaries #AnimalLiberationFront #1985年 #InternationalCompilationAlbum #Noise #Experimental #Ambient #Punk #NurseWithWound #Sema #ShockHeadedPeters #P16D4 #Coil #Current93 #LegendaryPinkDots #HaflerTrio #AnnieAnxiety #Crass #D&V #WhoWillCarryMyArms
Noise / Experimental / Ambient / Punk Yangki 不明Dr K2
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V.A. “From Brussels With Love (ブリュッセルより愛をこめて)”
1980年代の一つの傾向として、それまでは大雑把に言ってしまえば、ロックの中心は英国だったり、米国だったり、せめてものとして独クラウトロックやNDWであったりした訳でしたが、他の欧州の国から新しい音楽が、それこそカセット・カルチャーの拡がりと共に出てきた時代であったのではないかと思えます。そんな中でも、ベルギーのレーベルLes Disques Du Crépuscule (ラ・ディスクス・ドゥ・クレプスキュールと読む?通称「クレプスキュール」)は、独特の美的センスで、国に関わらず、精力的に活動していました。そんなクレプスキュールが、1980年にカセット作品として、自らの立ち位置を示す為にリリースしたのが、本作品のオリジナル”From Brussels With Love”です。ザッと眺めてみても、重鎮〜若手の旬なアーティスト/グループの音楽やインタビューが目に付くと思います。それで、このコンピのことを少し調べてみると、1980年リリースのオリジナル・カセット、1983年の再発カセット、1984年の日本盤、1986年のLP再発盤、1987年のCD再発盤、2020年のCD2枚組再発盤で、収録アーティストや微妙な収録時間、そして収録順序がどれも違っており、始め、本作品には日本語も併記されていることから、日本盤かとも思ったのですが、曲順等からして、1980年リリースのオリジナル・カセットに一番近く、2020年の40周年祈念の再発盤と特定しました。そもそも収録時間(カセット作品だと微妙にズレたり伸びたりしますから)も微妙に異なる表記が為されていますし、ジャケ写だけでは見分けがつかなかったです。と言う訳で、個々のアーティストについてはもう書きませんので、皆さん各人で調べてみて下さい。それでは、各収録曲(インタビューも含む)をご紹介していきましょう。 ◼️LP1 (黒盤) ★A1 John Foxx “A Jingle #1” (0:25)は、単音シンセのメロディの残骸と言うシンプルさです。 ★A2 Thomas Dolby “Airwaves” (5:14)は、ピアノの弾き語りから始まり、リズムマシンとBとシンセが支え、時にシンセ室内楽も入ってくる叙情派の曲です。 ★A3 Repetition “Stranger” (3:35)は、Gとかで始まり、女性Voが入ってくると、DrsやBが入り、更に違うGも入ってくる曲で、最後にシンセも入ってきますが、結構、VoとBがキモだと思います。 ★A4 Harold Budd “Children On The Hill” (5:10)は、ポロンポロンと弾くピアノ、しかもホンキートンクな音色のピアノをひたすら弾くリリカルさに、ノスタルジーを感じます。 ★A5 The Durutti Column “Sleep Will Come” (1:50)では、簡素なDrsとBに、エレピと茫漠としたVoが小曲の中に詰め込まれています。 ★A6 Martin Hannett “The Music Room” (4:40)は、単調なリズムマシンに主張の激しいGが唸るインスト曲です。荒ぶる中に叙情性を感じます。 ★B1 The Names “Cat” (3:15)は、怪しげなBに鋭いGのカッティングとノリの良いDrsで始まり、女性Voと主張するストリング・シンセが如何にも欧州的な曲ですね。 ★B2 Michael Nyman “A Walk Through H” (4:50)は、おもちゃ箱をひっくり返したような単音連打でのピアノやピッコロ等の楽器の演奏から成るインスト曲です。 ★B3 Brian Eno “Interview with Brian Eno” (10:00)では、インタビュアーが尋ねると、バックの持続音の音量が上がります。「音」で答えると言うことかな? ★B4 John Foxx “A Jingle #2” (0:08)は、B3と連続しているようで、殆どの聴き取れません。 ◼️LP2 (白盤) ★C1 Jeanne Moreau & Michel Duval “Un Entretien Avec Jeanne Moreau” (8:50)は、ラジオ体操のような明るいピアノに、おばさんのような声が語りのように乗る曲で、良くマッチしています。途中で、ピアノの伴奏がワルツのリズムに変わります。 ★C2 Richard Jobson “Armoury Show” (1:23)は、スポークン・ワードで、シアトリカルに発声しているようです。 ★C3 Bill Nelson “The Shadow Garden” (4:07)では、逆回転を利用して、その中に正回転の音も混ぜていき、ディレイを効かしたGやシンセで、見事なアンサンブルを作り出しています。なおインスト曲です。 ★C4 The Durutti Column “Piece For An Ideal” (2:05)は、ピアノと繊細なガラス細工のようなG、そして極めて簡素なドラムによるインスト曲です。 ★C5 A Certain Ratio “Felch (Live At Hurrah, New York)” (3:25)は、力強いキックとPercに、ややファットなBから、怒涛のようにファンク・サウンドに変わり、トランペットやGも混じって、熱演をしていますが、Voが何だか弱いですね。 ★D1 Kevin Hewick & New Order “Haystack” (3:35)は、軽く掻き鳴らされるGとミディアムなリズム隊に、女性Voが親しげに歌う曲で、怠い感じがまた良い。それと間奏のオルガン風シンセが一癖ありますね。 ★D2 Radio Romance “Etrange Affinite” (2:40)は、ビョーンと言うシンセとGで始まり、リズムマシンのビートに乗せて、Synth-BとGをバックに、やや舌足らずの女性Voが元気に歌う曲で、Saxも中々の味を出しています。 ★D3 Gavin Bryars ”White's S.S.” (5:00)は、重いピアノと弱々しい高音のピアノから成る演奏に混じって重低音ドローンが入ってたりするインスト曲ですが、表題はポリコレ的にマズいのでは? ★D4 Der Plan “Meine Freunde” (1:50)は、トンチキなリズムマシンにふざけたようなVoと脱力するシンセから成る曲ですが、コーラスワークは楽しいです。 ★D5 B.C. Gilbert & Graham Lewis “Twist Up” (4:24)は、如何にもDomeらしいインダストリアルで、機械の内部にいるような感覚を覚える曲ですが、呪文のようなVoも微かに入っており、後半には曲調が変わります。 ★D6 John Foxx “A Jingle #3” (0:13)は、ディレイ処理されたシンセの単音メロディの残骸です。 全体的には、余りロックっぽい曲は少なかった印象で、ピアノの弾き語りやインスト曲等が多く、ベルギーの背景にあるクラシックの伝統の為なのかなぁと思いました。いや、それが悪いとは思わないです。こう言う静か目で、寡黙な音楽が、日本に向けて届けられていたのが、嬉しいですね。聴き疲れた時にそんな音楽をダラダラと聴いてみるのも良いと思いますよ。個人的には、1980年代初頭に活動していたNico De Haanのことを思い出しました(知ってる人、少ないと思いますが)。また、機会があったら、ベルギーも行ってみたいと思わせる作品です! [full album except for D5] https://youtube.com/playlist?list=PLJqOpAp7DIJRn7BfADu58cmQ_RRSRHm2T&si=cEPv_E2TrbvnvhSL [D5: B.C. Gilbert & Graham Lewis “Twist Up”] https://youtu.be/ExuoLPVonXk?si=FyzD4xlcLDDZFI18 #VariousArtists #FromBrusselsWithLove #ブリュッセルより愛をこめて #LesDisquesDuCrépuscule #Reissue #Remastering #2020年 #Original #CassetteVersion #1980年 #Leftfield #Abstract #Ambient #Interview #Soundtracks #BelgianLabel #JohnFoxx #ThomasDolby #Repetition #HaroldBudd #TheDuruttiColumn #MartinHannett #TheNames #MichaelNyman #BrianEno #JeanneMoreau #RichardJobson #BillNelson #ACertainRatio #KevinHewick&NewOrder #RadioRomance #GavinBryars #DerPlan #B.C.Gilbert&GrahamLewis
Left field / Ambient / Abstract / Interview Les Disques Du Crépuscule 3850円Dr K2
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Chrome “The Visitation”
Chromeの音楽を知れば知る程、聴きたくなるのが、まだHelios Creedがメンバーでなかったファースト・アルバム”The Visitation”ですが、再発盤とは言え、やっと入手しました。私の個人的なChromeとの出会いは、国内盤も出ていた”Red Exposure”であり、そこから、Chromeを追いかけるようになりました。しかし、どんなに探しても、このファースト・アルバムには今まで出会いませんでした。そんなレアもんなのです。Chromeのバイオグラフィーは以前書いていますので、ここでは、省略しますが、このアルバムは、Damon Edge (Back-Vo, Drs, Tape Effects, Synth, Perc), Mike Low (Back-Vo, B, G, Lead-Vo, Synth), John Lambdin (Back-Vo, B, Lead-G, Mandolin, Strings, Synth, E-Vln), Gary Spain (B, Kbd, Vln)によって録音・作製されており、プロデュースもDamon Edge自身がやっています。オリジナルは、スプレーで殴り書きしたジャケに3枚のインサートが入っており、”Siren Records”のクレジットも入ってないもので、それ以外には、ゴム印でレーベル名が押してあるものもあります。セカンド・プレスでは、白ラベルに”produced by damon edge”とプリントされています。その後の再発盤では、黒ラベルに銀の手書きで書いてあるラベルに変わっています。このように最初のプレスでは3種類のものがありますが、これらは非常にレアです。その後も、再発盤は何度か出ていますが、今回、入手したのは、独レーベルDossierのもので、クリア盤になっています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ★A1 “How Many Years Too Soon” (5:10)には、既にChromeらしさ(変なシンセ音)が見え隠れしますが、どちらかと言うと、もっと1960年代のサイケっぽいアレンジと言うか曲調ですね。Voも初々しいですし。Gソロなんかも延々と入っていますし。 ★A2 “Raider” (3:58)は、ベル音やシンセ音に導かれて、諸USサイケ調の曲で、これがどうして「あんなChrome」になるのか?よく分かりませんね。まぁ、この曲のリードVoはDamon Edgeではないですし。 ★A3 “Return To Zanzibar” (3:52)は、変拍子の曲ですが、全体を通してもそれ程の違和感はなく、寧ろ、彼等の捻くれた面を垣間見た感じです。しかし間奏のGソロ、凄いな! そしてDrsの音は初期Chromeっぽいです。 ★A4 “Caroline” (3:42)は、激しいDrsソロで始まり、ややスローテンポの曲になりますが、もう完全にUSサイケな曲ですね。ユニゾンでのVoとGソロが諸です。 ★B1 “Riding You” (4:51)は、シンセによる「風」音から始まり、弾きまくるGを交えたサイケな曲調となり、Voも伸び伸びと歌っています。ただ何となくChromeっぽい臭いがします。 ★B2 “Kinky Lover” (3:32)は、非常にゆったりしたムーディな曲で、Bに合わせたVoとコーラスが中心ですが、歌詞がね!ちょっと不謹慎な感じです。 ★B3 “Sun Control” (3:10)では、フェイザーを掛けたBが既にChromeっぽいんです。結構、激しい曲調で、間奏のGソロもフランジャーかけまくりですが、最後は通常サイケで終わります。 ★B4 “My Time To Live” (4:20)は、段々とChromeっぽい音色になってきますが、曲調はまだ抜け出していませんね。結構「暑苦しい」感じがします。Gソロは弾きまくりですが、シンセも入っているのかな? ★B5 “Memory Cords Over The Bay” (4:46)は、ハイハットの連打にフランジャー掛けた所から始まり、オルガンと怒涛のGソロを効かせたややアップテンポのインスト曲で、このアルバムを締めています。 このアルバムから、Chromeが始まったと考えると、やはり彼等(主にDamon Edge)は、USサイケとガレージの暗部にルーツがあるのだなと言うことがよく分かる一枚ですね。この後から、Helios CreedとDamon Edgeが中心となっていく訳で、逆回転や過剰エフェクト、曲のコラージュ等、有りとあらゆる実験性を加えつつ、独自の「サイケデリア」を奏でていくことになります。そんな彼等、と言うかDamon Edgeの原点が窺い知れて、大変興味深かったですね! https://youtu.be/c0XVQ47Q44I?si=H5dieR2TSIlVtWF5 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_m9WBPRx3GZ-z3M8PQl9if8wzG7g-ocIxg&si=aKBM7RsYyNlIdciX #Chrome #TheVisitation #Dossier #1989年 #Reissue #ClearVinyl #SirenRecords #1976年 #FirstAlbum #PsychedelicRock #Experimental #DamonEdge #MikeLow #JohnLambdin #GarySpain
Experimental / Psychedelic Rock Siren Records (Dossier) 3650円Dr K2
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Nervous Gender “Music From Hell”
Subterranean Recordsがまだ、米国西海岸の小レーベルであった頃に、V.A. “Live At Target”と言うコンピ・アルバムに入っていたので、初めて、Nervous Genderを知ったのでした。その時、このバンドにはまだ小学生の男児がDrs担当と言うことで驚いたものでした。まぁ当時は、米国西海岸の地下音楽、特にSubterranean Recordsなら、間違い無く買っていたので、このNervous Genderのアルバムもジャケ買いどころかレーベル買いでした。 ここで、Nervous Genderのバイオグラフィーを書いておきます。Nervous Genderは、1978年に米国L.A.で、Gerardo Velazquez, Edward Stapleton, Phranc (本名Susan Gottliebでバイセクシャル。見た目は男性っぽい), Michael Ochoaによって結成されたエレクトロ・パンク・バンドで、当時はそのような概念が無かったので、インダストリアルとも呼ばれていました。1979年には、The GermsのドラマーDon Bollesが加入しましたが、翌年には、Phrancが脱退し、The ScreamersのPaul Roesslerが加入しています。この頃の編成でのサウンドは、先述の”Live At Target” LP/Videoで聴くことができますが、言葉通りのパンクだけではなく、初期のインダストリアルなFactrixやZ’evの変名ユニットUNS等も収められており、無調でノイジーであったので、普通のパンクバンドではないNervous Genderも受け入れてもらい易かったみたいです。また、彼等は、1980年代初頭には、SPK, Factrix, NON, Einstürzende Neubauten, Psychic TVとも対バンしています。それで、1981年に、ゲストVoにBagsのAlice Bagを迎えて、本作品でもあるファースト・フルアルバム”Music From Hell”を作製しますが、彼等はスタジオ録音をしたことがなかったそうです。アルバム・リリース後、Paul Roesslerが、Nena Hargen Bandで演奏する為に、NYCに引越し、代わりにBill Clineが加入、またDon Bollesが、45 Graveと演奏する為に脱退し、加入したのが、8歳の男児Sven Pfeifferでした。しかし、1982年には、Svenと彼の母親は強制退去させられ、2人は、ドイツに戻って暮らしています。ある音楽評論家はSvenのことを「LA音楽シーンにおける荊の棘みたいな、、、。」と評してします。その後、1980年代中期には、彼等のファンでもあったWall Of VoodooのBruce Moreland, Marc Moreland, Chas Greyが入り込んで、コラボしようとして、解散寸前までになります。それは、正にNervous Genderのギター版をやろうとしたからです。この時期、45 GraveのDinah Cancerがしばしばゲスト参加しており、彼等は、ひょっとしてChristian Death, Super Heroines, Kommunity FK, Gobsheit (Stapletonが、Patrice Reposeとやっていたサイド・プロジェクト)のようなゴス・ロックをやって、Anti Clubのようなライブハウスに出演しようとしていたように捉えられたからです。しかし、1988年に、Edward Stapletonは最後のステージに立って、Nervous Genderを脱退します。1990年初頭に、オリジナル・メンバーのGerardo VelasquezとMichael Ochoaは、長年のOchoaの協力者Joe Zinnatoで、トリオとしてNervous Genderを復活させます。このトリオで8回ライブを行い、45 GraveのPaul B. Cutlerをプロデューサーにして、Nervous Genderの最後のアルバム”American Regime"を作り始め、1991年8月26日に、CAのシルヴァーレイクのライブハウスClub A.S.S.で、Nervous Genderの最後のライブを行います。なお、翌年3月28日に、Gerardo Velasquezは、33歳の若さで他界しています。Velasquezの死後、OchoaとZinnatoは、Honeymoon KillersやHuge Killer ShipsのClaire Lawrence-Slaterをシンガーとして迎え入れて、パンクとインダストリアルとポップとグランジの混合物なアルバム”HighHeelTitWig"で作業を進めてましたが、1995年に、Zinnatoは重度の心臓発作によって、彼は音楽活動を辞めてしまいます。また。2000年からは、Edward Stapleton, Michael Ochoa, Joe Zinnatoの3人で、今までに録音してきた音源を、悪かった点を中心に全て聴き直していています。また、この頃、Edward StapletonとKarene Stapletonは、Kali’s Thugs名義でリリースしています。そして、2007年には、Stapleton, Ochoa, Zinnato, Tammy Fraserで、バンドを再構築していますが、2017年になると、StapletonとSan Diego Mod & Cal Artsにて作曲を学んでいたMatt Comeioneの2人で、再びバンドを組み直し、2021年に新録アルバム”Milking The Borg”をリリースしています。2023年には、Nervous Genderのデビュー・アルバム”Music From The Hell”の拡張版を2LPsとCDでリリースしています。 以上が、Nervous Genderの略歴ですが、本作品”Music From Hell”には、Edward Stapleton (Synth, Vo), Gerardo Velázquez (Synth, Vo), Jesus Pagano Lozada (Synth, Vo), Patrice Repose (Lead-Vo [B1-B6]), C. Duffy (Synth, Throat Noises, Lead-Vo [B1-B6]; 本名Edward Stapleton), Bill Cline (Synth, Back-Vo), Don Bolles (E-Perc, Noises, G, [A1-A7]/ Tape Loops, Effects, Tape Manipulation [B1-B6]), Jim Bigolo (Back-Vo, Tambourine)が参加しており、プロデュースは、Gerardo VelázquezとMichael Foxが行っています。また、B1-B5は、1971年5月30日にTraetionギャラリーでのライブ音源から成ります。そして、本作品は、東芝RT-8200aポータブル・カセット・レコーダーとサンキョウSTD-1700カセット・デッキで録音されています。そして、このアルバムは、36時間ものスピンで録音とミックスダウンが行われています。また、ジャケとかWebサイトにBeelzebub Youthとの表記がありますが、これは別バンドのことでは無く、単にB面のことです。このアルバムは2515枚プレスされたとのこと。それからA2とA5は誤記されており、A2が”Alien Point Over View”で、A5が”Nothing To Hide”なので、ここでは修正しておきました。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ◼️Martyr Complex ★A1 “Monsters” (3:27)は、アップテンポのドカドカした生Drsと手弾きのSynth-Bに、パンキッシュなVoが乗る曲で、落ち着きの無さが良い!ヴァイオリンのようなシンセ音もあるのかな? ★A2 “Alien Point Of View” (4:05)は、ドンドンするアップテンポのキックに、ジワる手弾きのSynth-Bと悪びれているようなVoから成る曲で、バックVoもお騒がせで盛り上げています。 ★A3 “Cardinal Newman” (1:46)でも、性急なビートと手弾きSynth-Bに、ヴァイオリンのような上物シンセと2人のVoが捲し立てる!捲し立てる! ★A4 “Fat Cow” (2:36)では、バタバタしたDrsと脳に直接響くようなシンセに、Voとコーラスがまた良くて、上物のシンセがキュルキュルしていて結構カッコ良い。 ★A5 “Nothing To Hide” (2:41)では、悪びれたリフを弾くSynth-Bと早口Voは、ポップ・パンクにも聴こえますが、そこはシンセ・バンドですね、変なアレンジを施しています。 ★A6 “People Like You” (2:40)は、ヘンテコなリズムに高音を強調したSynth-Bとまたもや早口Voが乗る曲で、間奏ではシンセ同士が打つかり合います。 ★A7 “Regress For You” (3:40)は、スローで怪しい雰囲気で始まり、のっそりと進む中で、ダルなVoとちょっと延長したコーラスワークが如何にも米国人っぽさを感じます。後半にはシンセによるリズムも出てきます。 ◼️Beelzebub Youth ★B1 “Christian Lovers” (4:45)は、何となくアラビックな旋律のシンセとユニゾンのVoが不気味に迫ってくる曲で、ベル音がリズム代わりで、バックでテープ音を流しています。 ★B2 “Exorcism” (2:10)は、ウニョウニョしたシンセと歪んだシンセと奥張ったキックに、叫ぶ女Voと語り口の男性Voが段々とグシャグシャに。最後はインストが続いて終わります。 ★B3 “Bathroom Sluts” (2:28)は、B2の続きのようなシンセ音に、呪文のような男女のVoが延々と続けられ、最後にシンセが暴れます。更に最後に喘ぎ声が、、、。 ★B4 “Pie On A Ledge” (3:23)は、Synth-Bよるパルス音が延々と続く中、男性Voが諭すように淡々と教義を吐き続け、SE的電子音も飛び回ります。 ★B5 “Push Push Push ” (1:56)は、リズムマシンのリズムに合わせて、女性Voが、初めはタイトルを鼓舞し、その内歌詞を投げ捨て続けます。 ★B6 “Alice's Song” (0:58)では、珍しくシーケンサーとドラムマシンに、優雅なシンセ音と男性コーラスと女性Voが乗っかる「欧州的」な小曲で、締めます。 この時代だと、既にシーケンサーは販売されていたの思うのですが、頑なにシーケンサーを避けてますね。なので手弾きになる訳ですが、その分、ノン・リズミックになってしまいますが、そこは、Nervous Gender!シンセでの参加人数を増やすことで、カバーしていのではないかな? それにしても、米国西海岸のこう言うシンセパンクとかインダストリアルは、編成やアレンジが変なものが多いですね。だからこそ、発掘するのは面白いのですが、、、まぁ一言て言うと「いびつ」とか「ダサい」なんですけれどもね。興味のある方はここら辺から入ると良いでしょう! https://youtu.be/BRZ7nTTLP1s?si=GHqaMhl8IXebBmhh [Nervous Genderのライブ”Regress For You (1981)] https://youtu.be/cPNq-DMsWQQ?si=9MYlwYiC_nOk0thA #NervousGender #MusicFromHell #SubterraneanRecords #FirstAlbum #US-Industrial #SynthPunk #Experimental #Industrial #Electro #Synthesizers #TapeManipulation #EdwardStapleton #GerardoVelázquez #DonBolles #JesusPaganoLozada #PatriceRepose #C.Duffy #BillCline #JimBigolo
Experimental / Synth Punk Subterranean Records 不明Dr K2
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ばねとりこ (Banetoriko) “片の轍 (Kata No Wadachi)
以前は米国LAで活動していたばねとりこ(Banetoriko)こと植田珠來さんが大阪に帰郷して、日本の地で新たに活動を始めたことは、ご存知の方もいるだろう。実は、私は、ばねとりこの大ファンで、コロナ禍直前にLAでThe HaterことG.X. Jupitter-Larsenと一緒に3人で会っています。その前後頃から、ばねとりこさんのことはジワジワと日本のノイズ・リスナーの耳には入っていたと思われます。実際、私がばねとりこさんの音を聴いたのは、2014年に岐阜のお化け工房から出たSalmonellaくんとのスプリットCD “Kagefumi”だったと記憶しています。それから、リリースの度に買ったり、交換したりして、ばねとりこさんの「妖怪ノイズ」を楽しんできました。しかしながら、実際にばねとりこさんのライブ・サウンドを生で体験したのは、2022年5月21日に落合Soupで対バンした時でした。ばねとりこさんは、通常、Banetekと言うリールが付いた、金属の摩擦音或いは軋み音を発する自作楽器を使っているのですが、実際のライブでは意外とマルチエフェクターのようなゴツい機材やその他小物等も交えて演奏するのに、ちょっと驚いたものでした。更にばねとりこさんの演奏や曲には、モチーフになる妖怪があり、特に生で観た演奏では、正に妖怪が「憑依」しているかのようなパフォーマンス性もあって、大変驚かされました。そんなばねとりこさんのLPが、親日の仏レーベルAn’archives出たとのことで、早速、入手しました。と、その前に、ばねとりこさんのバイオグラフィーを少し書いておきます。植田さんが、ばねとりこを名乗って、LAで活動し始めたのが2011年で、ずっとLAを中心に活動しています。その後、家庭の事情などで、2021年に日本(多分、生まれ故郷は奈良だと思いました)に帰国して、大阪を中心に活動をしています。そして、日本でも、マイペースながらも、類を見ない演奏で、ファンを増やしていきます。今回は初のVinylでのリリースとなりましたが、そのまえにも、2017年に、坂口卓也氏のレーベルNeurecより”Beside the Sluice”を、2022年より”Yorioto Hogiokuri ”等をリリースしています。他にも、カセット作品やCDR作品も出していますが、どの作品も1曲に1ついての「妖怪 (この概念は海外では分かり難いかも?)」をモチーフとして、自作楽器を中心に様々な「背景」の音を混ぜ込み、作品化してきています。ばねとりこさんの音は、海外アーティストと比較すると、The New Blockaders, Organum, Ferial Confine等に近いかも知れませんし、音の使い方は1980年代のHands ToやJohn Hudakなんかも想起するかも知れませんが、そのコアな部分は大きく異なります。それは、ばねとりこさんが日本人であること、「妖怪」と言う極めて日本的な存在を知っていることと関係しているのかもしれませんが、金属質な音自体の即物性よりも、そんな音を通して現前化する「何か」に焦点を当てていることの違いかも知れないですね。また、ここら辺のコンセプトについては、ばねとりこさんから直接聞いてみたいです。 それで、本作品”片の轍”では、片輪車と輪入道と言う2人の妖怪がそれぞれ取り上げられており、A面には、片輪車の懸け歌(A1)と返し歌(A2)の2曲が、B面には輪入道の1曲が収められています。これらの妖怪のことを知らなくても、充分に「ばねとりこ」ワールドに没入できますので、ご安心を!また、本作品の制作には2022年〜2023年と時間を充分に掛けていますので、正に精魂込めた力作と言って良いでしょう。それでは、本作品の各曲をご紹介していきますね。 ★A1 “片輪車の懸け歌/Katawaguruma Kakeuta”は、不気味な重低音に金属質な軋み音と柔らかな打撃音が絡む曲で、反復する歌の一節(!)も入っており、やがてBenetekの軋み音が多層化しつつ空間を支配していきます。と思っていたら、いきなり終わります。 ★A2 “片輪車の返し歌/Katawaguruma Kaeshiuta”は、Banetekの独特の錆びついたような金属質の軋みを中心に奥張った通奏低音も聴取されます。その後、再び静謐な金属質な軋み音が微音から始まり、微音の歌も入ってきて、多層化していき、またフェイドアウトしていきます。 ★B “輪入道/Wanyudo”は、地響きのような音と低音摩擦音のループらしき音から始まり、段々と後者が空間を支配していき、そこに言葉にならない声が、、、まるで頭の中を掻き乱すようですが、この曲では、更にBanetekの摩擦音の逆回転のような音も入ってきて締めてくれます。 妖怪とは、幽霊や悪霊とも違って、元から異形の存在であり、それぞれに異なる異能力を持っている訳ですが、ばねとりこさんの音楽は、主にBanetekによる異形の摩擦音を組合せることによって、様々な音形態を紡ぎ出していく作業である訳で、向かうベクトルが異なるようにも思えますが、いわゆる「ばねとりこ節」とも言える自作楽器Banetekの金属質の軋み音から様々な表現を可能にしている所に、ばねとりこさんの異能力があるのでは?と思わざるを得ないんです。それによって(特にライブでは)、ある一つの妖怪をモチーフとして多彩な表現を可能にしているのではないかと思います。後、今回、初めて気付いたのですが、ばねとりこさんの歌(と言っても鼻歌のような微かな声?)を聴けたと言うこと。これはライブの時の小物の微音に繋がるような気がしました。また、個人的には、第二期K2時代に散々メタル・ジャンクの演奏(これには、摩擦音も含む)をやってきたことからも、ばねとりこさんの音が私の好みの音でもあると言うことで、全面的に応援したいと思う訳です!そして、ばねとりさんの本領はやはりライブを体験するのが最も良いとも思いますので、一度は観ておいた方がよいですよ。勿論、帯付きのこのアルバムもマスト・アイテムです! [本作品はYouTubeに上がっていないので、落合Soupでのライブ動画を貼っておきます] https://youtu.be/ISkq4oPUk1c?si=vMIPFHjRO-kHs8sb [BandcampのURLは貼っておきます] https://anarchiveslabel.bandcamp.com/album/kata-no-wadachi #Banetoriko #ばねとりこ #KataNoWadachi #片の轍 #An’archives #FirstVinylAlbum #LA-Osaka #Experimental #Yokai-Noise #妖怪ノイズ #Banetek #Self-BuildInstruments #MetalScratch #摩擦音 #軋み音 #歌 #憑依 #TamakiUeda
Experimental / Yokai-Noise An’archives 不明Dr K2
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CHBB “s/t”
CHBBを知っているかい?そう!あのデトロイト・テクノの源流とも言われており、1981年当時、最も先鋭的に電子音楽をやっていたChrislo HaasとBearte Bartelのデュオで、Liaisons Dangereusesの前身でもあるデュオのことです。当時は、10分カセット作品が4本(黒、赤、青、銀)50部限定で出ていただけで、その後、ブートでカセットやレコードが市場に出回ることもあったようですが、今回は、ちゃんと公式な発売で、しかも未発表音源も含む2枚組と言う仕様です。これは、 私が当時のRock MagazineでのNDW特集記事を読んで、死ぬ程聴きたかった音です。それで、ちょっとだけCHBBについて、このデュオ名はメンバーの頭文字を取っているのはよく知られていることですが、Chrislo Haasは、元々、初期のDAFに在籍しており、その時に知り合った(後にDer Planに加入するPyloratorこと)Kurt Dahlkeの使っていたKorg MS-20シンセとKorg SQ-10シーケンサーに魅了されて、DAFを脱退する際には、それらの機材に加えて、Korg MS-50シンセを購入し、毎日、黙々とこれらの機材で色んな実験を繰り返し、気に入った音等が出来た時には、サクッと録音をしていたとのこと。また、DAFのGabi Delgado-Lopezは、Virgin trilogyに影響を与えたのは、Chrislo Haasであると明言しています。一方、Bearte Bartelは、最初期のEinstürzende Neubautenの創設メンバーであり、その後、伝説のMの系譜Mania D.の創設メンバーでもあった女性アーティストで、Bartel自身もシンセに興味を持っており、新しいダンスミュージックを模索していました。CHBBは、そんな2人から結成されたデュオであり、各々の名前の頭文字を取って、CHBBと称されて、日々、上記のシンセを使っての音作りや曲作りに明け暮れていました。CHBB自体は1981年のかなり短い期間しか活動していませんでしたが、時々、後にLiaisons DangereusesのVoになるKrishna GoineauもVoで加わることもあったらしいです。そうして、3人で、Liaisons Dangereusesが結成されたのは必然であったと言えるでしょう。 本作品は、元のカセット作品の装丁を思わせる簡素なデザインで、公式に発売された作品で、また、未発表音源も含まれることになっているのは、電子音楽系NDWのファンには堪らない内容ですね。それでは、CHBBの、このアルバム収録の各曲についてご紹介したいきましょう。(なお、*は未発表曲です。) ◼️黒 ★A1 “Mau-Mau” (5:07)は、シンセで作った単調なリズムパタンに、変調Voと言うか変調ナレーションとホーンのようなシンセが被さる曲で、1980年代初頭の「不安感」を見事に表している。しかし、このタイトルはWolfgang Spelmannsとどっちが先だろう。 ★A2 “Nbke” (4:53)は、一転、ダンサブルなシンセでのリズム隊に合わせてBartelのVoが奔放に歌う曲で、その奥には、チベット仏教の読経のような音(多分シンセ)も聴取できます。 ★A3 “Bali” (3:18)は、マーチっぽいリズム隊に、金物様のPercと不明瞭なシーケンスから成る曲で、こじんまりと纏まっています。 ★A4 “Schatten” (3:12)*は、S/Hを効かせた浮遊感のあるシンセ音から始まり、海獣の鳴き声のような低音シンセとランダムなシーケンスから成る曲で、一種の独逸人らしい遊び心を感じます。 ★A5 “Highroller” (1:29)*は、重いキックの連打とシーケンスから成るミニマルな曲で、不器用に走り回る「何か」が想起させられます。 ◼️赤 ★B1 “Metall” (3:33)は、優しいシンセの持続音の後にいきなり機械の内部のようなシンセによるキックと電子(?)Percが挿入される激し目の曲で、至る所で金属質な音が聴かれます。 ★B2 “Nobodies Perfect” (5:35)は、海辺での音風景のようにディレイ処理された音が寄せたり引いたりするノンビートの曲ですが、後半では、シンセの持続音にBartelのVoやその他のテープ音もその持続音上に聴取できます。ただ、薄らとシーケンスは入っているみたいです。 ★B3 “Disconanz” (3:36)*も、太い低音持続音と不器用なホワイトノイズのスネアから成るミニマルな曲で、段々と圧迫感が増してきます。 ★B4 “Voyage Au Bout De La Nuit” (4:34)*は、何とも奇怪なバタンのシンセ・リズムに一定のシンセ・ベースが並走していますが、途中で、ブレイク後、何かが逆回転しているようになり、BartelのスキャットVoやカエルの声みたいな音も顕になります。 ◼️青 ★C1 “Chou-Frou” (4:33)は、シンセで作った強靭なドラムに、Bartelの不明瞭な声やSE的シンセ音やテープ音が塗されたミニマルなダンス・ミュージックです。最後は戦場音に飲み込まれます。 ★C2”La Petit Mort” (2:01)は、やや不明瞭なシンセのドラムに気体のような持続音とこれまた不明瞭なBartelのVoから成る曲で、最後で爆発します。 ★C3 “Irriter Les Esprits” (3:00)は、ガマガエルのようなリズムがユニークな曲で、彼等の音に対する思考の柔軟さが良く分かります。 ★C4 “Trigger Up Up!” (3:44)*は、割と正当なリズムとハイハットに、単調なシーケンスとSE的シンセ音が縦横無尽に飛び回る曲で、シンセの面白さや今までになかった楽器としての演奏を楽しんでいるようです。途中でテンポアップします。 ★C5 “Klick-Clac” (1:31)*は、重いシーケンスとキック及びハイハットが中心になり、後退したシーケンスやシンセの微音も聴取されます。 ★C6 “Speedloch” (2:59)*は、割とダウンテンポの単調なパタンから成るミニマルな曲で、所々でSE的シンセ音が挿入されますが、持続音にこそ成れ、決してメロディにはなりません。 ◼️銀 ★D1 “Ima Iki-Mashoo” (5:09)は、軽快なリズムパタンとシーケンスに、「今、いきましょ」と日本語で呟くようにVoが入る彼等の代表曲です、雷鳴のような音等も入っており、後半は、ドラムレスで、グラインドするようなシーケンスに、効果音的シンセ音や電子ノイズ音が絡みついています。 ★D2 “Go Go Go” (5:06)は、気合い一発で、ダンサブルなリズムとシーケンスが始まり、変調した男女のVoが交差する曲です。電子Percも良い塩梅で、かなりダンサブルですが、唐突に、ループ音を挟んで、リズムパタンが変わり、シーケンスと共に、男性の声のテープ音が挿入されてきます。 ★D3 “Monkey Rules” (3:33)*は、フェイドインしてくるキック音と何か良く分からないスネア音(?)から成るリズムに、不鮮明なベース・シーケンスと不明瞭なメロディから成る曲で、不安感が募ります。 ★D4 “Shapeshifter” (2:44)*は、直線的シークエンスとポストパンク的ドラムパタンの曲で、不鮮明な女性Voに混じってディストーションをかけたシンセ音がGを模して演奏されている曲です。流石にこのアレンジは嗅覚の良さを感じますね。 ★D5 “Two Track One” (1:23)*は、不可思議なパタンのシンセによるドラムパタンに、ランダムなシンセ音が絡んでくる小曲で、本作品を締めています。 多分、レコード・ラベルの色が4色あるので、それぞれのカセット作品に対応しているのではないかと思われます。ただ、D面は、曲のパタン同士が繋がっていたり次の曲だったりして、1曲1曲の判別が困難でした。それにしても、Korgのシンセとシーケンサー(とテープ音や肉声)でここまで作り込んでくるのは、流石だと思いました。多分、Haasによるところが大きいと思いますが、先ず第一に、リズムマシンを全面的に使わず、シンセでキック音やスネア音を作っている所に感激しましたが、これはThe Future〜初期Human Leagueと同じ発想ですね。そして、ダンス・ミュージックを目指していたのか、感情に訴えるメロディを敢えて不鮮明にして、リズムパタンで曲を構築している所は、如何にも独逸人らしいなと感心しました。未発表曲も沢山収録されており、それだけでも、このアルバムの価値はあると思います。なので、ジャーマン・テクノに興味のある方には、これはマスト! https://youtu.be/BG2ujGHnf_s?si=iBXfroFX-gIRj8U4 [partial album] https://youtube.com/playlist?list=PLfcEHo81lTFyLtp4x5Jl-Ml2SHh_ShKG4&si=ktvMtYR6KXiZLXlH [BandcampのURLも貼っておきます] https://chbb.bandcamp.com/album/chbb #CHBB #self-titled #SoulsheriffRecords #1981年 #OfficialReissue #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Electro #Experimental #DanceMusic #Synthesizers #Sequencer #KorgMS-20 #KorgSQ-10 #KorgMS-50 #ChrisloHaas #BearteBartel #pre-LiaisonsDangereuses #DAF #EinstürzendeNeubauten #ManiaD.
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Electronic Music Soulsheriff Records 6450円Dr K2
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Andy Giorgbino & Prince Trust, Shanghai’s Guts, Blue Stories, The Honx “Elbground vol. 2”
何故、私がこのレコードを買ったかと言うと、多分、Andy Giorbinoの名前を見つけたことと独逸語表記のクレジットが裏ジャケにあったからだと思います。買ってから、余り聴いた記憶がないので、今回、聴き直しながら、ご紹介出来ればと思います。 ◉先ずは、The HONKSですが、ハンブルクのグラム・パンク・バンドで、メンバーは、Bacardi Honk (G,Vo), Mad Mike Honk (B, Vo), Marky Honk (Drs, Vo)から成り、アルバム1枚、シングル1枚を出しています。まるでRamonesみたいですね。マネージャーはBarbara Wetzerが担当しており、収録曲” What We Want”は、1989年6月16日にWhite Noiseスタジオで録音され、同年6月28日にミックスダウンされています。 ◉次は、Andy Giorbino & Prince Trustで、Andy Giorbino (G, Vo)自身はハンブルク出身で、他のメンバーは、Marco Hubethal (B, Vo), Manuela Rickerts (G, Vo), Thomas König (Drs, Vo)で、恐らくハンブルクだと思います(明確な記載は無い)。また、この組合せでのアルバム制作もシングル制作も無いです。マネージャーはZickZackのAlfred Hilsbergが担当しており、収録曲”Gasoline (Waterversion)”は、1989年5月24日に録音され、同年5月25日にミックスダウンされています。 ◉3番手は、ハンブルクのShanghai'd Gutsで、グラム・パンク・バンドで、メンバーは、Stevie S. Guts (Vo), Axl S. Guts (G, Vo), Ray Miller (G, Vo), Axel (B, Vo), Marcel Z (Drs)から成り、3枚のアルバムを出しています。マネージャーはGerd Krombholzが担当しており、収録曲”On The Road”は、1989年6月24-25日に録音され、同年6月9日にミックスダウンされています。 ◉そして、最後は、Blue Storieで、メンバーは、Helge Reich (B, Vo, G), Matthias Rumöller (G, Vo, B), Thomas Soltau (Drs, Vo)から成り、2枚のアルバムと1枚のシングルを出しています。マネージャーはいなくて、自分達でやっていいます。収録曲” Like A Gun”は、1989年5月30-31日にJörn Fischerスタジオで録音され、その日の内にマックスダウンまで終わらせています。 これらのデータを見ていると、皆、1989年に録音されており、NDWとしてはもう終焉していた可能性も高いので、これらの音楽やバンド自身をNDWと関係付けるのはちょっと無理があるかもしれませんね。まあ、そんなことも含めて、各曲を紹介出来ればと思います。因みに、このマキシ・シングルは、ハンブルクのG. Pfanzスタジオでマスタリングされています。 ◼️Linkes Ufer ★A1 The HONX “What We Want” (2:25)は、ギラついたGがカッコ良いグラム・ロック風の曲で、Voも含めて、全員で歌ってますが、個人的には、やはりピーンとはきませんでした。 ★A2 Andy Giorbino & Prince Trust “Gasoline (Waterversion)” (3:50)は、リズムマシンの導入とKbdの大々的に導入したロックで、流石はAndy Giorbinoが作詞作曲した曲だと思いました。ヘタすれば、MTVで流れていてもおかしくない程のポップネスを感じますね。 ◼️Rechtes Ufer ★B1 Shanghai'd Guts “On The Road” (3:30)は、英国パンク初期の頃のパンクロックみたいな感じの曲で、確かにカッコ良いんですが、全員でのシンガロングにも新しさを余り感じないですね。英詞だし。 ★B2 Blue Stories “Like A Gun” (4:04)は、ワウを掛けたGが特徴の1960年代の米国ロック、或いはやはり1970年代後期の英国パンクの影響をモロうけているような曲で、確かにカッコ良いんですが、それだけと言う感じです。 と言う訳で、個人的には、A2のように強い癖があったりしないと、この1バンド1曲と言うコンピレーション・マキシシングルでは、中々浮かび上がらないのではは?と心配してしまいました。まあ聴いている分にはカッコ良くて良いんですか、、、。 [本作品はYouTubeには上がっていなかったので、同時期の他の曲を貼っておきます] A1 The HONX “We Like It Simply” https://youtu.be/Gv56IccwL30?si=P65_qKefX0dp0uuu A2 Andy Giorbino ”Weiblichkeit https://youtu.be/3cX5XRrFKsE?si=gLnx6lb8WtWE1YIX B1 Shanghai'd Guts “Hearts Turned To Stone” https://youtu.be/CvE--XIkEGA?si=K9JcaBDruQXt8g5qe #VariousArtists #ElbgroundRecords #TheHonx #AndyGiorbino&PrinceTrust #Shanghai’Gut #BlueStories #GermanPunk #Postpunk #Gram-Punk #PostNeueDeutscheWelle #1989年 #PreviouslyUnreleasedTracks
Neue Deutsche Welle (German New Wave) Elbground Records 不明Dr K2
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Arno Steffen “Schlager”
私は、正直、Arno Steffen (アルノ・シュテッフェン)なるアーティストについては何も知らなかったんです。ただ、小柳カヲル氏著書「クラウトロック大全」で、Conny Plankと同じ頁に載っていたことで、興味を持ちました。それで、ちょっと調べてみました。 Arno Steffenは、独ケルン生まれの作曲家/演奏者で、彼の最初の学生バンドは、1970年結成のStellar Overdriveで、その後、1977年結成のJennifer、その後1977-1978年にはSuiciyde Ampheta (スイサイド・アンフェタ)をやっていましたが、その後1979年に加入したDie Zeltinger Band (ディー・ツェルティンガー・バンド)で、これは、巨漢VoのJürgen Zeltinger (ユルゲン・ツェルティンガー)のバンドで、Zeltinger自身、無理矢理メン募したり、誰でも気に入れば一緒に演奏したがったりと割と強引にメンバーを集めていました。その後、Steffenは、プログレ・バンドTriumvirat (トリウムウィラート)に加入しています。1983年に、Steffenは、ソロ・シングル”Supergut, ne”と、本作品でもあるソロ・アルバム”Schlager (シュラーガー)”をリリースしていますが、これらの作品は、最初の市販のサンプラーであるEmulator IIだけを使って作成されており、ギタリストとしては奇異な感じに受け止められています。これらの作品をキッカケに、Steffenは、Dieter Möbius (Cluster)やConny Plankと共に、Goethe-InstitutやAround the Globe及びWestworldの要望で、アートと音楽の為のパフォーマンスや映画音楽に注力するようになります。特に、映画”Tatort”と”Das Wunder von Lengede”のサントラを担当したことは好評でした。彼は、1993年に、クラウドロック、ニューウェーブ、ポストパンク、インディーロックで国際的に活動しているグループ/ミュージシャンをケルンに集め、様々な構成で作曲して、録音をしていますが、この模様は、ドキュメンタリー映画”Freispiel (フライシュピール)"に収録されており、長い間お蔵入りしていましたが、2021年に、「ケルン映画祭」でお披露目されています。その後、Steffenは、Jürgen Klauke (ユルゲン・クラウケ)と共に、幾つかの「ケルン-サンプラー」を作っており、Rolf LammersとTommy Engelと共に、L.S.E.と言うバンドを結成しており、これは彼にとっての最後のバンド・プロジェクトとなります。 以上が、Arno Steffenの略歴となりますが、本作品は、先述したように、サンプラーをフルに活用して、作成された音楽で、その音源は、ケルン動物園、ドイツ連邦鉄道の工場、ケルンの路上の音から収集されており、楽器やシンセ等は使用されていません。なお、このアルバムには、12 x 12 インチのインサートが 2 枚付属しており、1 つはオリジナルのドイツ語インナースリーブの両面を複製しており、もう 1 つは日本語のメモからなります。そして、本作品の参加者は、Christa Fast (Vo [A1, A2, A5|), Jürgen Klauke (Vo [A5]), Mascha Ohlow (パーティーケラーの娘役の声 [B5]), Arno Steffen(Singing Vo), Cay Wolf (Singing Vo), Conny Plank (低音Vo)であり、プロデュースは、Arno SteffenとConny Plankが共同でやっています。それでは、各曲(折角の日本盤なので、邦題も併記しておきます)についてご紹介していきましょう。因みに、Steffenは、1986年にDieter MöbiusとConny Plankと共に中南米ツアーもやってあります。 ★A1 “Hörprobe/試聴” (1:07)は、メトロノームのような電子音にパンされた複数の女性Voが点描されている曲です。 ★A2 “Schlager/流行歌” (3:55)は、強力なキックによるビートに叫び声や怒号等のスライスされた音片が乗り、更に、その上にSteffenのVoが挿入されるダンス・ミュージックですが、これが全部サンプラーで作られているのかと疑う位、ポップです。ミックスも最高! ★A3 “Berg In Flammen/炎の山” (4:09)は、反復するキックから成るビートに、象の鳴き声〜ガラスの音〜息切れ音等から成る音がバックを構成し、Steffen?のVoが挿入される曲で、音響構築が素晴らしい! ★A4 “Säubert Das Reich/権力を追放せよ” (3:36)は、アンサンブル音がサンプリングされてバックを堅める前で、サンプル音なのかな?プロパガンダ風の演説と混成コーラスが響き渡る強力な曲です。 ★A5 “Pearl Harbour/真珠湾” (4:19)は、一転、モゾモゾとした正体不明な音と大人し目なキックに、男性の語り口調Voが乗る曲で、知らない間に飛行機の飛昇音らしい音や女性の笑い声も混入されてきます。 ★B1 “Somewhere/どこかに” (4:49)は、静かな森の泉のようなイントロから、鳥の鳴き声やリズムっぽい打撃音や正体不明な柔らかい ドローン音をバックに、女性Voがエモーショナルに歌い上げています。 ★B2 “Supergut (Ne?)/超最高じゃねぇか⁈” (2:18)は、女性Voの反復するフレーズと同期したキックによるや」ユーモラスな音、そしてスクラッチ音も交えて、「最高」な音楽を聴かせてくれます。 ★B3 “Ba Ba/ふんふん” (3:47)は、反復するドラムマシン?のビートに、女性のうめき声や男性のコーラス等を同期させた曲で、どれがメインのVoかもよく分からないまま、進行していきます。バックには正体不明音も流れています。 ★B4 “Tanz Du Wanz/さわぎ過ぎ、踊れ” (3:44)は、反復するダンサブルなドラムマシン?のビートに、同期した女性コーラスや他の正体不明音による「リフ」が乗り、更に男性Vo隊がメインを張っている曲で、中々複雑な曲なのだか、充分に踊れます。 ★B5 “Partykeller/パーティの地下酒場” (4:02)は、いきなり場末の酒場っぽい雰囲気の環境音で、時折、遊園地っぽい音も聴取されるノンビートの曲で、このアルバムを締めるのに相応しい。 何だろう?映画的な音楽なのかな?1曲の中にストーリーがあり、そして、また1曲も1シーンとしてお互いの曲が次の曲に繋がっていく、そんな映画を観ているようなアルバムです。そう言う意味では、かなりのレアな極めて視覚的な音楽です。サンプラー(Emulater II)を駆使して作成されたとのことですが、やっぱりHolger Hillerのソロと比較してしまいますね。正直言って、Steffenの方が、スムースに情景が頭に思い浮かびます。それは、具体音の使い方であって、優劣ではなく、Steffenの音楽はより具体性を意識しているのだと思います。そう言う意味では、Hillerとは、サンプリング仕方とか対象とかが違うのでしょう。色々とサンプリング音楽のあり方を考えさせられてしまいましたが、Steffenのこのアルバムは一度聴いておいた方がよいですよ!加えて、この具体音から成るポップ・ミュージックにダンサブルな音響面で、Conny Plankのエンジニアリングが与えた影響は非常に大きかったと思います。 https://youtu.be/NrYBIds6uC0?si=4G7-3ppGSntduSqv [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLLvdvodyj3fKUwODddXwDBTUmEr9EVzhf&si=JuAXmrjLsydtRoqT #ArnoSteffen #Schlager #WEA #日本盤 #1983年 #GermanNewWave #Experimental #Electro #SamplingMusic #Emulator-II #FieldRecording #PopMusic #Co-Producer #ConnyPlank #GuestVocal #ChristaFast #JürgenKlauke #MaschaOhlow #CayWolf
Electro / Experimental / German New Wabe WEA 2300円Dr K2
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Kleenex / LiLiPUT “First Songs”
1970年代〜1980年代初頭のスイスパンク・バンドと聞いて、何を思い浮かべますか? 私は圧倒的にKleenex (後のLiLiPUT)ですね。それでは、Kleenex〜LiLiPUTのバイオグラフィーを書いておきます。 元々は、スイスZürichで1978年に、Regula Sing (Vo), Lislot Ha (Drs), Marlene Marder (G; 2016年死去), Klaudia Schiff (B)によって、Kleenexは結成されましたが、Regula Singが脱退して、Chrigle Freund (Vo)が加入した後に、バンド名が商品登録に引っかかるとの理由で、1979年/1980年頃にLiLiPUTと改名しています。彼女らのバンドは、エネルギッシュでオリジナリティもあって、当時は、”New The Slits”とも呼ばれていました。数枚のレコードを出して、1983年に解散しています。もう少し、詳しく書きますね。Kleenexの一番最初のラインナップは、Lislot Ha (Drs; 本名Lieselotte Hafner), Klaudia Schiff (B, Vo; 本名Klaudia Schifferle), Regula Sing (Vo)で、Marlene Marder (G; 本名Marlene Marti)がギタリストとして加入したかったので、最初のライブのアンコールの時に、加わってもらって、それからはパーマネントのメンバーとして正式に加入しています。Kleenexは、話題性のあるデビューEPの録音に入り、1978年に、バンド・メンバーの友人がやっていたSunriseからスイス国内でリリースしています。このEPが、英国のラジオDJ John Peelのお気に入りになり、それで彼のラジオ番組で何度も掛けられており、更にその後、英国レーベルRough Trade Recordsも彼女達と契約しています。それで、1978年11月に、正式なデビュー・シングル”Ain’t You”をリリースして、翌年、欧州ツアーを敢行しています。その1年間のツアー後、Regula Sing (Vo)が脱退し、代わりにChrigle Freund (Vo)が加入してきます。それで、彼女らは、セカンド・シングル”You”を1979年にリリースし、バンド名をLiLiPUTに改名しています。その理由は、テッシュ・メイカーのKleenex社の商品登録を所持しているKimberly-Clarkが法的処置を起こそうとした為です。LiLiPUTになって、直ぐにAngie Barrack (Sax)が加入し、バンドは1980年に”Eisiger Wind”シングルと、1981年に”Split”シングルをリリースしますが、共に英国インディーズ・シングルス・チャートに入るヒットソングとなります。特に、前者は、Rough Trade Recordsが、1981年にも再発しています。しかしながら、Ha (Drs)とBarrack (Sax)がこの時期に脱退し、またその後、Freund (Vo)も脱退してしまいます。Astrid Spirit (Vo; 本名Astrid Spirig)は、LiLiPUTのVoとして加入し、 更にChristoph Herzog (Sax)とBeat Schlatter (Drs)に加わり、独逸ツアーを敢行し、成功していたにも関わらず、Herzog (Sax)とSchlatter (Drs)も脱退してしまいます。特に、Schlatterはスタジオで録音時には、充分な貢献をしていたのにも関わらずに脱退したのでした。その時に残った3名、Schiff (B, Vo), Marder (G), Spirit (Vo)で、LiLiPUTは、セルフ・タイトルのアルバムを1982年にリリースしており、それを広く知らせ、新シングル”You Did It”のプロモーションも兼ねて、1983年にもツアーを行っています。Spiritがセカンド・アルバムの録音について前向きに考えている一方でらSchiffとMarderはツアーでボロボロになっており、もうバンドはやめようとさえ考えていました。Spiritは、2人のバンドメイトが疲れている状態からの負担も和らげようと、2人の体調管理等もマネージメントも行うようになります。そうして、3人は、極限状態で、セカンド・アルバム”Some Songs”を作り上げ、1983年12月にリリースしています。しかしながら、3人は、このアルバムのリリースまでに、バンドを解散しようと合意していました。そこで、LiLiPUTは、何故、バンドがアルバムの為にツアーが出来なかったのか?それはSpiritの妊娠と彼女の母性を尊重したからであると宣言して、バンドは解散してしまいます。 以上が、Kleenex/LiLiPUTの略歴です。結構、波瀾万丈でしたね。それで、本作品の内容やクレジットについてですが、どこにも記載が無く、出自は不明ですので、そこら辺の情報は勘弁して下さい。本作品の前に2011年に、Mississippi Recordsより4枚組のボックスセット”1977 1983”が出ており、そちらの方がクレジットがしっかり書いてあるみたいですので、詳しいことを知りたい方は、そちらの4枚組を入手された方が良いかもしれません。まぁ、それは置いておいて、本作品の各曲をご紹介していきたいと思います。 ◼️Kleenex/LiLiPUT ★A1 Kleenex “Ain’t You” (3:03)は、プリミティブでrawなパンク・ソングで、コーラスワークもあり、元気がもらえます。途中で不自然なテンポチェンジあり。 ★A2 Kleenex “Beri-Beri” (2:07)は、ややスローでBがキモな曲で、Voにも迫力がありますね。 ★A3 Kleenex “Madness” (3:03)は、リズム隊と共にセミアコのようなGをひたすらかき鳴らし、叫ぶようなVoが乗るパンキッシュな曲で、Bもカッコ良いです。 ★A4 Kleenex “Krimi” (1:39)は、典型的なヘタヘタなパンク・ソングですが、バックの叫び声がポイントか? ★A5 Kleenex “1978” (1:09)も、ヘタヘタなパンク・ソングですが、ほぼインストに近いです。 ★A6 Kleenex “Nighttoad” (3:07)は、パンクからポストパンクへ移行しつつある曲で、力強いVoとコーラスは健在で、全然背伸びしていない所に好感が持てます。 ★A7 Kleenex “Hedi's Head” (2:12)は、全員 ユニゾンVoで歌うパンキッシュな曲で、単純ですが、その引力は充ニ分です。 ★B1 Kleenex “Ü” (2:33)は、彼女達ならではのロッケンローなのかな?ひたすら反復するVoと奇声のような間の手、ミニマルな曲調、素晴らしい! ★B2 Kleenex “You” (3:19)は、やや重めのパンク・ソングで、ある意味「没個性的」な位パンクです。ただ途中に不自然な変拍子が挟まっています。 ★B3 Kleenex “Nice” (2:27)は、バックのコーラスワークが効果的な、G系ポスト・パンクな曲で、Voも力強くて、カッコ良いです。 ★B4 Kleenex “DC-10” (3:28)は、深いエコーのDrsから始まり、B→Gと入ってきて、力強いVoと共にSaxも入ってきます。段々とGやBはメチャクチャになっていきます。 ★B5 LiLiPUT “Die Matrosen” (3:49)は、何だかスッキリした音作りで、Saxや口笛のコーラスなんかも良い味を出しています。これは名曲ですね。 ★B6 LiLiPUT “Split” (2:00)は、元気一杯のパンク・ソングで、全員が何らかのVoやコーラスを担当して、曲に合わせて、それを繰り出すので、個人的は好みです! ◼️ LiLiPUT ★C1 LiLiPUT “Hitch Hike” (2:38)は、キャッチーなポップ・パンクな曲で、Saxや笛もしっくりと曲に馴染んでいます。 ★C2 LiLiPUT “Eisiger Wind” (3:28)は、太いGの単音リフから始まり、結構、空間的なアンサンブルを活かした曲になっています。相変わらずコーラスワークは良いですね。単に録音機材が良くなっただけかな? ★C3 LiLiPUT “Igel” (1:41)は、変拍子の曲で、サビだけ4/4拍子になっていますが、それ程違和感はありません。 ★C4 LiLiPUT “Türk” (2:50)は、イカしたSaxソロの聴けるポストパンクな曲で、サビのメロディは素晴らし過ぎて、泣けます。最後の拍手はライブだから? ★C5 LiLiPUT “Wig-Wam” (3:01)は、メインVoとバックVoを上手く活かしたポストパンクな曲で、Saxも良い感じです。やっぱりライブか? ★C6 LiLiPUT “Thumblerdoll” (2:51)は、複数Voによる元気でサーフなポストパンクな曲で、途中で曲調が変わりますが、また戻ります。 ★D1 LiLiPUT “Tisko” (1:52)は、ややハードな曲で、Voの緊迫感がバシバシ感じ、Saxも良い塩梅です。ライブかな? ★D2 LiLiPUT “Turn The Table” (4:35)は、鋭いGのカッティングとそれを宥めるようなSaxやVoのメロディが、新機軸なのかな? それにしても演奏は上手くなってますね。 ★D3 LiLiPUT “Dolly Dollar” (3:07)は、ダウンするメロディとコーラスワークのイントロから始まるパンキッシュな曲で、メインVoとバックVoそしてSaxのコンビネーションがイカしています。 ★D4 LiLiPUT “I Had A Dream” (3:10)は、カッコ良いイントロから始まるパンクな曲で、珍しくGが歪んでいます。メインVoとコーラスとSaxのコンビネーションは、やはりグー! ★D5 LiLiPUT “When The Cat's Away” (2:17)は、ワルツのリズムで、優雅なキックとGとアコーディオンがバックで、如何にも欧州風な曲なのですが、ここで聴くと新鮮です。 Kleenexの時は、良く言ってヘタウマ、正直言うと下手なんですが、それを自覚した上で、自分達に何が出来るかを模索しているような曲が多い印象でしたが、LiLiPUTになると、演奏技術も向上したこともあって、単に勢いだけじゃない「持ち味」を存分に奮っての曲や演奏を行っていると思われ、それがまた魅力的に思えます。本作品には当然、シングルカットされた曲もありますが、それ以外の曲にも、彼女達のオリジナリティが存分に感じられ、好感が持てました。Spiritの妊娠とその後の育児を優先して、バンドは解散した訳ですが、出来れば何らかの形で続けて欲しかったですね。ライブ音源らしき曲も含まれていましたが、どれも珠玉の名曲ばかりなので、ここら辺の1970年代末〜1980年代初頭の米英以外の国でのパンクに興味のある方には、お勧めします!特にフィメール・パンク・ファンには! https://youtu.be/MOgoSOqOkAs?si=didKwSnLM_ctCnWa [incomplete full album] https://youtube.com/playlist?list=PLpvztXgGzYSGLO5p-9KVcGqd9RFrFxJvB&si=2DXyqV5CCzRDU2Gs #Kleenex #Liliput #FirstSongs #KillRockStars #MississippiRecords #WaterWingRecords #Switzerland #UK #SwissPunk #PostPunk #RegulaSing #LislotHa #MarleneMarder #KlaudiaSchiff #ChrigleFreund
Punk / Post Punk Kill Rock Stars / Mississippi Records / Water Wing Records 5170円Dr K2
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Das Das “Leben In Bildschirmen”
独のDas Dasと言えば、英国のThe Theみたいなネーミングなのかな? かどうかは分かりませんが、メンバーは、Cosey MuellerとJo Schwundの2人で、ベルリンのシンセ・パンク・デュオのことです。再発/発掘専門レーベルDark Entryの紹介文によると、「”スクリーンの左側”の意のタイトルでのアルバムは、リスナーをシンガロングさせたり、踊らせたりするようなパンクロックのヴァイブに、単純だがキャッチーなシンセのメロディを備えています。特に、クラブでも自宅でも、土曜日の夜には最適です。その1980年代風のサウンドは、FuturiskやKas ProductはたまたAviador Droと言ったグループとの類似性も感じ取れます。このセカンド・アルバムには8曲が収録されており、その中でも”Invisible Man”などは、魅惑的なサイコビリーっぽいEBMのビート感すら感じさせてくれます。そして、このアルバムは、ダンス・ミュージックが政治的解放に対して、如何にパワフルなツールであるかを端的に表していると思います」と評されています。細かいバイオグラフィーについては調べても不明でした(すまん!)。 本作品は彼等のセカンド・アルバムで、先述のように、両面に4曲ずつ収録されています。まぁ細かいことは抜きにして、このアルバムを聴いて、土曜の夜は踊りに行こう!と言う訳で、各曲をそれぞれご紹介していきます。 ★A1 “Käfig” (4:20)は、直線的なシーケンスとドラムマシンのビートに、物憂げな女性Voが乗る曲で、控えめなシンセのリフとやや派手なGのリフが癖になりそうです。 ★A2 “Fremdes Auto” (3:45)は、強力てやや不協和音を取り込んだマシンビートに、強烈なGのリフが入り、女性Voと男性コーラスが乗る曲で、かなりの緊張感を感じます。 ★A3 “Stromlinienstadt” (2:54)は、ややアップテンポの曲で、太い音のシーケンスと女性Voが乗ってますが、間奏のロックっぽいGもイカしており、痺れます。構成もグーです。 ★A4 “Invisible Man” (3:05)は、やや焦燥感を煽るような曲調で、効果的にGも使われており、ディレイを掛けた女性Voは少しだけAlan Vegaっぽいです。 ★B1 “Kalte Zelle” (3:53)も、シンプルだけどカッコ良いシーケンスのリズムに、少し色っぽい女性Voと最小限のシンセと力強いGのリフが入ってきますが、間奏後半の不協和音も良い感じです。 ★B2 “Traumkabine” (4:21)は、キュートなシンセによるバックと囁くような女性Voで始まったかと思うと、ダンサブルな強力なリズムへとチェンジし、ミニマルなシーケンスもシンセのキュートなリフも完璧な曲です。 ★B3 “Zeitmaschine” (4:04)は、焦燥感を煽るようなシーケンスとコード進行のビート感に、女性Voが乗る曲ですが、サビでの男女Voの合わせ技にはヤラれてしまいますね。 ★B4 “Wundervolle Menschen” (3:27)は、今までと趣きの異なる曲調で、縦ノリ機械のマシンリズと男女Voが別々に重なってくる構成になっており、ディスコティックにしてはテンポが早く、また後半にはハードコアのようなリズムになります。 前書きで言った通りの「シンセ・パンク」であり、またダンス・ミュージックであるとも言えます。全体にハッピーよりはやや緊張感のある雰囲気が「ベルリンの音」だと思われます。その意味でもパンクですね。意外とギターの使い方がツボを心得ており、逆に上物シンセが抑制的かつ最適化して使われているのも、Das Dasの特徴と言えるでしょう。今なら、土曜日の夜では無くて、華金ですね!Let’s Dance in Friday night!! https://youtu.be/oG-Gx_y1pWE?si=pZIafenTrST4oixN [BandcampのURLも貼っておきます] https://das-das.bandcamp.com/album/leben-in-bildschirmen #DasDas #LebenInBildschirmen #DetritiRecords #SecondMiniAlbum #Berlin #Electro #SynthPunk #SynthWave #EBM #Synthesizers #DrumMachine #FemaleVocal #Guitar #CoseyMueller #JoSchwund
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