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Clock DVA “Digital Soundtracks”
中々、入手困難なClock DVAのアルバム”Digital Soundtracks”を紹介しましょう。Clock DVAについては、以前にバイオグラフィーを書きましたが、この前後の辺りをもう少し補足しておきます。1983年の欧州ツアーの後、Clock DVAは解散しており、首謀者のAdi NewtonはThe Anti-Group (T.A.G.C.)を結成、より実験的な音楽に演り続けます。その後、1987年にNewtonは、Dean DennisとPaul Browseと共に、Clock DVAを再始動します。それで、Newtonらは、Anti-Groupで培ったPCとサンプラーの機材を使って、1989年にアルバム”Advantage”をリリースします。このアルバムは、サイバーパンクの先駆者と評される電子音楽的な内容になっています。1989年にはBrowseが脱退し、代わりにRobert E. Bakerが加入、サイバネティクスの追求から、1992年にアルバム”Man-Amplified”を、同年には本作品でもあるアルバム”Digital Soundtracks”をリリースします。なお、後者はインスト・アルバムになっています。その後、Dennisが脱退し、NewtonとBakerは、1993年にアルバム”Sign”をリリースしています。その後、彼等は、Newton & Bakerに加えて、Andrew McKenzieとAri Newtonというメンツで、欧州ツアーを行い、その後、Newtonはイタリアに居を移します。しかし、その頃、関係のあったレーベルContempo Recordsは様々な問題を抱かえてました。1994年にアンソロジーとしてアルバム”Collective”をリリースし、NewtonはBrian Williams, Graeme Revell (SPK), Paul Haslingerと共同作業を始めますが、レーベル側の問題で、Clock DVA及びNewtonは再び休止期に入ります。しかしながら、2008年に、Newtonは、新たにJane Radion Newtonと共に、またもやClock DVAを再始動します。そして、2011年以降、Newton, Maurizio "TeZ" Martinucci. Shara Vasilenkoのメンバーで、欧州の電子音楽フェスやライブハウスに盛んに参加・演奏するようになります。そうして、2012年に、独逸のVinyl-On-Demandから古い音源をコンパイルした”Horology”がリリースされ、それに続いて、過去のデモ音源なども同レーベルからリリースされています。2013年7月には、Newtonが1994-1995年に録音していましたが、オクラ入りになっていたアルバム”Post-Sign”が彼等のレーベルAnterior Researchからリリースされており、世界的にClock DVAの再評価が高まってきました。2014年には、USBと言うフォーマットで、アルバム”Clock 2”をAnterior Researchからリリース、また、彼等とシェフィールドのバンドIn The Nurseryと共に、元Cabaret VoltaireのStephan Mallinderも加わってIBBERSONの名で、パフォーマンスをシェフィールド大学で行なっています。その後も、Clock DVAは米国などで盛んにライブも行っているようです。 それで、本作品についてなのですが、これは、彼等の6枚目のLP(その間や以前にもカセット作品が何本かありますが、今回はヴァイナルと言うことで、それらはカウントしませんでした)であり、この時のメンバーは、Adi Newton (Conceptual Audiographs), Robert Baker (Locational Techniques), Dean Dennis (Thematic Matrix)の3人組になっています。しかしながら、誰が何を担当しているかについての具体的情報はありません。先述のように、この時期のClock DVAは電子音楽的方向性が確立した頃なので、両面とも、シーケンサーやシンセを分断に使った「一風変わった」エレクトロ・ダンス・ミュージックから成ります。また、ほぼ全曲がインスト曲になっています。その為か、淡々とした曲調のものが多く、EP-4ではないですが、所謂「コールド・ファンク(Cold Funk)」と言った趣きです。なお、B1 "E-Wave"は独の俳優Klaus Kinskiに捧げられています。そんな禁欲的なアルバムですが、一番、脂が乗っていた頃のダンス・ミュージックなので、一度、聴いてみて下さい❗️ https://youtu.be/WfbH1XZ6CzA #ClockDVA #DigitalSoundtracks #ContempoRecords #Experimental #Electronic #DanceMusic #AdiNewton #RobertBaker #DeanDennis #Computer #Sampling #ColdFunk
Experimental / Electronic Contempo Records 不明Dr K2
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Amon Düül “Minnelied”
今回、漸く、独逸ロックの始祖的存在Amon Düül (Amon Düül IIではない)のファースト・アルバムを入手しましたので、紹介したいと思います。元々は、”Psychedelic Underground”と言うタイトルで、Metronomeよりリリースされていた作品ですが、Brainからの再発にあたって“Minnelied”とタイトルが変更になっています(内容は同じ)。それで、先ず、Amon Düül のバイオグラフィーについて書いていきます。Amon Düülは、1960年代に西独逸の政治的芸術コミューンから生まれたバンドで、フリーフォームな即興演奏で知られています。そして、そこから、Amon Düül (場合によってはAmon Düül Iとも表記)とAmon Düül IIに分かれます。その名前ですが、Amonと言うのはエジプトの太陽神のことで、Düülには意味がありません。それで、そのミュンヘンのコミューンの中で、1967年に、Ulirich Leopoldが、その兄弟Peter Leopoldとオーストリア人Rainer Bauer及びChris Karrerを誘って結成したのが始まりで、後にはBauerの妹EllaやHelge及びAngelika Filanda, Uschi Obermaier, Wolfgang Krischke, Falk Rogner, Renate Knaupも加わります。そこでは基本的に、自由な即興演奏、つまりジャムセッションが繰り広げられる訳ですが、所謂パプニングなどに基づいて行われており、また、このコミューンでは、芸術的にも自由で、その熱意だけを評価しており、音楽的技術とかについても一切不問であった為、参加メンバーは流動的でした。ただ、そのメンバーの中には、より音楽的な向上心を持ったメンバーもいたようで、その為、2つのグループAmon DüülとAmon Düül IIに分かれました。丁度、1968年9月に独逸初の地下音楽フェスInternationale Essener Songtageが行われ、その時に、先述の2つのグループは別々に参加しています。Amon Düülはよりオープンで熱狂的な試みを行なっていた為か、米国やブラジルのサイケデリック・ロックに共感しています。そうして、彼等はMetronomeと手堅く契約することになり、7年間、様々な紆余曲折を経て、活動していくことになります。1968年のジャムセッションが彼等のデビューアルバム”Psychedelic Underground”になりますが、これはプロデューサーのPeter Meiselがバンドの許可なしにリリースを決めたものらしいです。そうしたことを踏まえても、このアルバムは独逸ロック史の最重要作品であると認識されています。反対に、Julius Schittenhelmによってプロデュースされたアルバム”Paradieswärts Düül”は落ち着いたフォーク調のサウンドになっていますが、彼等の活動は1973年には弱まっていきます。それで、Amon Düülのメンバーなのですが、1968年〜1969年では、Rainer Bauer (G, Vo), Ulrich (Uli) Leopold (B), Helge Filanda (Congas, Vo, Anvil, Perc), Wolfgang Krischke (Drs, Piano), Eleonora Romana (Ella) Bauer (Shaker, Vo, Perc), Angelika Filanda (Perc, Vo), Peter Leopold (Drs: 後にAmon Düül IIに移籍), Uschi Obermaier (Maracas, Perc)からなっています。その後、1970年6月に録音されたシングル"Paramechanical World"でもメンバーは変わり、1970年に録音された最後のアルバム”Paradieswärts Düülでのメンバーは、Ella Bauer (Harp, Vo, Bongos), Lemur (Klaus Esser: Drs, Vo, G), Ulrich Leopold (B, Vo, Piano, G), Dadam (Rainer Bauer: G, Vo, B), Helge Filanda (Drs), Noam (Angelika Filanda: African Drs)にHansi Fischer, John Weinzierl, Christian 'Shrat' Thieleが客演しています。と言うのが、Amon Düülの略歴なのですが、1980年にAmon Düül IIのJohn WeinzierlとDave Andersonが 立ち上げたバンドは過去の2つのグループと区別する為、Amon Düül UKと表記されています。 それで、本作品であるAmon Düülのファースト・アルバム”Minnelied”こと”Psychedelic Underground” (しかしながら、このオリジナルのタイトルはカッコいいなあ)の内容について紹介します。A面B面とも3曲ずつ収録されています。どの曲も、執拗な反復とロウなジャムセッションによるトラックから成ります。もう少し録音が良ければなとも思えるのですが、逆に、ロウで荒っぽい演奏だからこそ、ドラッグによる高揚感を再現するのに良いのかもと推測してしまいます。それと不明瞭なヴォーカルと言うか呪文のような声もその効果に寄与しているようにも思われます。また曲の途中に別のフレーズを挟み込んだり、同じ曲の別録音を繋いだりと、ポスト・プロダクションも行なっています。ここら辺は、同じ独逸のFaustを想起させますね。B2の最後にもちょっとビックリするような仕掛けや、B3にも合唱団の音声を挿入したりとギミックもありますので、そこら辺も楽しめますね。ネタバレになるので、詳しくは書きませんが、実際に聴いてみて下さい❗️ A2 “Kaskados Minnelied” https://youtu.be/zEJ5WEpsaRc [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_msl6gdm-uoTSya-9CuGGvVpvkauveR5YY #AmonDüül #Minnelied #PsychedelicUnderground #Brain #Metronome #Krautrock #Psychedelic #反復 #Repetition #DrugCulture #Commune #RainerBauer #Ulrich(Uli)Leopold #HelgeFilanda #WolfgangKrischke #EleonoraRomana(Ella)Bauer #AngelikaFilanda #PeterLeopold #UschiObermaier
Krautrock psychedelic Brain 不明Dr K2
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The New Blockaders “Live At Hinoeuma”
久々に出してきました。そうです、メタル・ジャンク・ニヒリストの巨人The New Blockaders (TNB)の英国ヴェニューHinouemaでのライブ盤です。しかも、Richard Rupenusのコラージュ・アートワークを使ったピクチャー盤で、400枚限定と言うレア・アイテムです。TNBについては以前にも紹介していますので、そちらを参考にして下さい。今回は、RichardとPhilip D.のRupenus兄弟による演奏(?)で、anti-performanceとして、英国Ashtray NavigationのPhil Toddのクレジットも見受けられます(何をしたかは不明)。なお、録音、ミックス及びマスタリングはAnomliことPaul Coatesが担当しています。当時としては鉄壁の布陣ですね。内容の方も、素晴らしい出来です。恐らくRupenus兄弟が発生させるメタル・ジャンクの音を加工した、それを大音量で放出するのが、眼に見えるようです。その「音」の豊穣さが故に、LP両面一気に聴いても、全然疲れませんよ❗️ガチャガチャ、キーキーと言う音以外にも、正体不明なノイズが入り込んできたりして、時々「この音はどのようにして出してるんだろう?」とすら思ってしまいます。また、時にはホワイトノイズだけにしか聴こえない点もあり、そこら辺にTNBのマジカルな面も堪能できますね。それと、ジャケのアートワークも如何にもTNBらしくてグーですね。このように、ピクチャー盤であることも踏まえて、トータルに「ライブ」な作品となっています。入力は困難が知れませんが、一家に一枚、常備しておくべきアルバムですね❗️ 本作品はYouTubeに上がっていないので、TNBの他のライブ音源を貼っておきます。 https://youtu.be/K_HUNSAyVxA #TheNewBlockaders #LiveAtHinoeuma #RRRecords #PictureDisc #Noise #MetalJunks #Manipulation #Anti-Performance #RichardRupenus #PhilipD.Rupenus
Noise / Experimental RRRecords 不明Dr K2
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Laibach “The Occupied Europe Tour 1985”
永遠の反逆芸術部隊にして、Neue Slowenische Kunstの音楽部門担当Laibachの初期のライブ盤です。しかも、初盤は、あのSPKのレーベルSide Effect Recordsよりのリリースです。Laibachのバイオグラフィーについては既に他の作品で書いていますので、そちらをご参照ください。前回は1980-1984年のライブ盤” Rekapitulacija 1980-84”を紹介していますが、今回は、1984年12月〜1985年7月に行われた欧州占拠ツアーからのライブ音源になります。ライブ公演自体は、トータル24ヶ所で行われており、その内、LjubljanaでのライブはRadio Študentによって、HamburgでのライブはUli Rehbergによって、LondonでのライブはSPKのGraeme Revelによって録音されており、その3ヶ所のライブ音源が今回、コンパイルされていると思われます。なお、裏ジャケには、1985年の米国大統領Ronald Reganの声明文「欧州のグローバリズム」についての一部が引用されており、ここら辺に、彼等の「政治的」」スタンスが感じられます。内容は、これまた、Laibachらしい「インダストリアル交響曲」とも言えるマーシャルな音で、初期の彼等の音楽を良く体現していると思います。まだあの低音のMilan FrasはリードVoではないようで、Voは恐らくIvo SaligerことTomaž Hostnikではないでしようか。この頃のLaibachのコアメンバーは、Dejan Knez, Milan Fras, Ervin Markošek, Ivan "Jani" Novakらしかったのですが、彼等はしばしば偽名を使うので、定かではないです。また、彼等はライブでは、コアメンバー以外にライブ要員を使いますので、ここでの参加メンバーについては不明です。A1 “Perspektive”でのテープ操作から始まり、A2 “Vier Personen”でのコーラスの巧妙な使い方や「全体主義的」で強靭な音作り、A3 “Nova Akropola”では大胆なホーン類の音の導入と今のLaibachとは異なるゲッペルスにも似た熱狂的ヴォーカルもカッコいいです。因みにこの曲は、当時のLaibachとしては有名な曲ですね。あと少し思ったのは、こう言うスローな曲で顕著なのですが、NYCの初期Swansとも共通する「重さ」があります。A4 “Vojna Poema”は渋いバラード調の曲で、ピアノと低音Voがグッときます。B1 “Panorama”もタイトルから想像出来ない位、マーシャルな曲で、B2 “Ti, Ki Izzivaš”も強靭な意志を感じさせる迫力のある行進曲です。B3 “Die Liebe Ist Die Grösste Kraft”は、女性の声で独逸語のナレーションから始まる、不協和音と重い疾走感のある曲で、カッコいいです。B4 “Vade Retro!”は怒号の飛び交う、やや実験的な曲で、B5 “Država”はサンプラー(?)を使用し、ネオ・クラシカルなアレンジを施した曲で、本アルバムを締めています。全体的に、3ヶ所でのライブ盤にしては、まとまったアルバムだと思いますし、音的にも迫力があるので、初期Laibachに興味のある方は是非聴いて欲しい一枚です❗️ B2 “Ti, Ki Izzivaš” https://youtu.be/AEF5EscHFbA [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLOuebjVJfxz_1y07-L-NF4qshAtzK_PWd #Laibach #TheOccupiedEuropeTour1985 #SideEffectsRecords #LiveAlbum #Ljubljana #Hamburg #London #Industrial #Martial #NeoClassical #DejanKnez #MilanFras #ErvinMarkošek #Ivan"Jani"Novak #TomažHostnik
Industrial Music Side Effects Records 不明Dr K2
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Haruomi Hosono with Friends of Earth. “S-F-X”
細野晴臣、このお方については、もう説明の要らないでしょう。と言う訳にもいかないないので、簡単に(?)かい摘んで紹介していきたいと思います。東京都港区生まれのボンボンで、最初は漫画家を目指していましたが、立教大学在学中にBをはじめ、数多くのバンドを経た1969年、エイプリル・フールのBとしてメジャー・デビュー。その後、大瀧詠一、松本隆、鈴木茂とはっぴいえんどを結成。日本語ロックの礎を築きます。1973年のはっぴいえんど解散後、ソロ活動と並行して鈴木茂、林立夫、松任谷正隆とキャラメル・ママ(のちにティン・パン・アレーと改名)を結成します。ソロ活動としては、1973年に1stアルバム”Hosono House”は、当時、狭山市のアメリカ村で宅録にて作製しており、その後もコンスタントにソロ名義でアルバムをリリースしていきます。シンセサイザー・コンピュータを用いた音楽やディスコへの興味が高まっていった1978年、元Sadistic Mika Bandの高橋幸宏、当時スタジオ・ミュージシャンでもあった坂本龍一とYellow Magic Orchestra(YMO)を結成しています。YMOは当初、細野氏の単発の企画ものでしたが、1980年にブレイクし、メディアへの露出が目立つようになっていきます。同時に、細野氏はヴィデオ・ゲーム・ミュージックの世界でも活躍し、アルバムを出しています。1983年のYMO散開後は、Non StandardとMonadoの2つのレーベルを立ち上げています。Non StandardからはPizzicato FiveやWorld Standardを輩出しており、Monacoはより実験的な音楽をサポートしています。YMO時代からの多忙に加えて、日本のバブル崩壊以前の消費社会に幻滅し、1980年代後期にはワールド・ミュージック、1990年代にはアンビエントにアプローチしていきます。自身のレーベルDaisyworld Discsを1996年に創設し、2002年よりYMO時代の盟友、高橋幸宏とSketch Showを結成し、フォーキーなエレクトロニカ・サウンドに取り組んでいます。Sketch Showは、坂本龍一ともコラボレートしており、ライヴやコンピレーション・アルバムでは3人でHuman Audio Sponge (HAS) として活動も行っており、2007年にはHASとしてのライブ活動のほか、YMOとしても”Rydeen 79/07”を発表し、更にはHASYMOとしても活発に活動をしています。一方で、2005年9月に狭山稲荷山公園で行われたハイドパーク・ミュージック・フェスティバルではアルバム”Hosono House”の曲を演奏しており、以降、東京シャイネスやHarry Hosono Quintetなどのユニットを結成し、カントリー&ウェスタンスタイルのライブ活動を行なっています。2008年3月には、平成19年度芸術選考の大衆芸能部門で文部科学大臣賞を受賞しています。殆どWikiを頼りにコピペしただけですが、細野晴臣氏の略歴は以上です。 今回、紹介するのは、1984年にリリースされた10枚目のソロアルバム”S-F-X”です。私は元々、YMOアレルギーがありますので、ここら辺の音楽はそんなに聴いてはいないのですが、ジャケ写で購入しました。それで、正式名称はHaruomi Hosono with Friends of Earthとなっていますが、このFriends of Earthは特定の人物ではなく、シンセやドラムマシンなどの機材自体或いはそのオペレーター(Eiki Nonaka)のことらしいです。それで全体の印象ですが、YMO的な部分とそこから逸脱しかけている部分はありますが、正直に言うと、どうにも中途半端な英詞で歌ったり、メロディの端にフュージョン臭いアレンジが滲んでいたりと、ちょっと私的には苦手な部分も感じました。A面B面3曲ずつで、ほぼほぼ5分台の曲から成ります。確かに、使っている機材は凄いのですが、何か複雑なことやり過ぎているようにも感じます。とは言っても、凄い機材で複雑な曲が書けて、演奏できるのはプロの特権でもある訳ですから、それはそうとして評価したいところですね。あと、多分、殆どのパートは打ち込みとコンピューターで作られているのではないでしようか? だとしたら、細野晴臣氏の音楽力は相当凄いですね。そのことを実感できるだけで、本作品を聴く価値はあると思います❗️それと、この時代に、かなり直角的なリズム(特にインスト曲)を使っている点も先見性がありますね。それとB3 “Dark Side of the Star”のリリカルなピアノ演奏に、細野氏の「その後」を感じます。あと、因みに、インサートの細野晴臣氏のポートレート、メチャクチャカッコいいです。別人みたい❗️ A3 “S-F-X” https://youtu.be/fO6ICzFEOsA [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kwhMY9A6u6v9d34PrhtqPFVZ4tsQ5vpdc #HaruomiHosono #FriendsOfEarth #S-F-X #Non-Standard #ElectronicMusic #Electronic #Synthesizers #Instrumental #VocalTracks #打ち込み #Computer #YMO
Electronic music Non-Standard 5775円Dr K2
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Dead Can Dance “Garden Of The Arcane Delights (深遠なる庭園にて)”
さてさて、今回はちょっと毛色の変わったバンドを紹介しますよ。Dead Can Danceです。それで作品は、彼等の12㌅EP “Garden Of The Arcane Delights (深遠なる庭園にて)”です。先ず、彼等のバイオグラフィーを簡単に書いておきます。Dead Can Dance (以下DCDと表記)は1981年8月に、豪州Melbourneにて、Paul Erikson (B)とLisa Gerrard (Vo, Perc: 元Microfilm)を中心に、Marching GirlsのSimon Monroe (Drs)とBrendan Perry (Vo, G)とが加わって結成されました。翌年5月には豪州を離れ、英国Londonに移り、Brendan PerryとLisa Gerrardは、the Isle of Dogsを名乗り、そこにPeter Ulrich (Drs)が加わり、そこで、インディー・レーベル4ADと契約しています。しかし、その時の契約では、Paul EriksonとPeter Ulrichのデュオの形態でしたが、録音は全員(5人)で行われ、1984年2月にデビュー・アルバム”Dead Can Dance”をリリース。そこでは、ニューギニアの儀式的仮面がジャケ写に使われたことで、注目を浴びます。同年8月に、本作品でもある12㌅EPをリリース、この時に彼等自身は否定していますが、「ゴス(Gothic)」と形容されています。1985年11月に、DCDはセカンド・アルバム”Spleen and Ideal”をコアメンバーであるGerrardとPerryに加えて、Cello, TromboneやTympaniなどのセッション・ミュージシャンと共に作り上げます。このアルバムは英国インディーチャートの2位になっています。しかし、1989年に、2人のコアメンバーは、物理的に別々の場所に移りますが、DCDとしては活動しています。その後、6枚目のアルバム”Into The Labyrinth”を1993年9月にリリースすると、これが大当たりで、ビルボード200に入り、4ADの稼ぎ頭になります。そんなDCDでしたが、1998年に、次のアルバム”Spiritchaser”に向けて録音を開始し、1999年初頭にリリース。その後、ツアーを組んでいましたが、突然、この2人は別れてしまい、ツアーもキャンセルとなってしまいます。その後、2人はそれぞれソロアルバムを出しており、ここで一旦、DCDは解散となります。しかしながら、2005年に、DCDは限定で再結成され、アルバムやツアーをこなします。限定であったはずですが、その後も、順調に活動を続けていきます。2021年にはCovid-19パンデミックでツアーをキャンサルしています。また、北米及び欧州ツアーについては、2022年9月に予期せぬ健康上の理由でキャンセルしています。 と言う訳で、DCDの最初期の作品である“Garden Of The Arcane Delights (深遠なる庭園にて)”の内容について紹介していきます。4曲入り45回転の12㌅EPで、A面B面それぞれ2曲ずつ入っています。A1 “Carnival Of Light (光の祭典)”は、Gerrardの歌い上げるような伸びやかなヴォーカルとギターのカッティングが特徴的なリチュアルな曲、A2 “In Power We Entrust The Love Advocated (愛の信託)”もPerryの伸びやかな歌声に優しいギターの音色が絡み合う割りかしポップな曲から成ります。一方、B1 “The Arcane (神秘)”はPerryの歌うダークな雰囲気の曲でドラムとギターの対比が面白いです。B2 “Flowers Of The Sea (海に咲く花)”では 再び、Gerrardの歌と、ドラムとパーカッションと弦楽器とから成る土着的な(少しトルコ辺りの民族音楽的雰囲気あり)曲になっています。当時の噂ではポジ・パン(ポジティブ・パンク)とかの括りだったと思いましたが、寧ろ、Coilとかのペーガン・フォークみたいなリチュアルな印象が強かったですね、それもアンチ・キリスト教的な! その流れで、捉えれば、分かり易いかも?こんな音楽が当時はポジ・パンと言われていたのもおかしな評価ですね。なので、そう言う風に聴いてもらえると面白い音楽だと思いますので、是非とも❗️ A2 “In Power We Entrust The Love Advocated (愛の信託)” https://youtu.be/qKciAhgdZBI [full album & BBC sessions] https://youtube.com/playlist?list=PLHP7bAjOIkpAq4OVkLxrbM2k-6Oy2KGoV #DeadCanDance #GardenOfTheArcaneDelights #深遠なる庭園にて #キングレコード #4AD #EP #PositivePunk #Gothic #RitualMusic #LisaGerrard #BrendanPerry #Australia #PaulErikson #SimonMonroe #PeterUlrich #AntiChristism
Goth Rock キングレコード (4AD) 不明Dr K2
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The Wirtschaftswunder “Preziosen & Profanes”
またまた、お世話になります、小柳カヲルさま。前回に引き続き、The Wirtschaftswunderのセルフ・コンピレーション・ミニ・アルバムを紹介します。The Wirtschaftswunderのバイオグラフィーにつきましては、以前にも書いてありますので、そちらを参照してください。本作品は再発ではなく、2021年にTapete Recordsが作ったセルフ・コンピです。と言うことは、やはり独逸でもこのバンドの再評価は高まっていると言うことでしょうか? 副題でも書いてあるのですが、 "Singles & Raritäten 1980-1981"と言うマニア飲唾の盤となっています。12㌅ですが、45回転で、A面5曲B面4曲が収められています(ただし、A1 “Anruf Schallplattenfirma”は47秒の謎曲ですので、ほぼほぼ両面4曲ずつと考えて良いでしょう)。A2-5には彼等のファースト・シングル”Allein”に収録されていた”Allein”, ”So Ist Es”, “(Don't Listen) Politsong”, “Metall”がそのまま収録されており、B1とB2にはセカンド・シングル”Television & Kommissar”のB面”Kommissar”とA面”Television”がそれぞれ収録されており、更にはB3にはソノシートでのみリリースされていた”Ich Steh Auf Hagen”も収録されています。なので、A1 “Anruf Schallplattenfirma”とB4 “Träum Was Schönes”は未発表曲と言うことでしょうか?この中でも、B1 “Kommissar”は名曲で、彼等のヒット曲でもあります。また、A2 “Allein”もNDWっぽい佳作ですし、A3 “So Ist Es”のコミカルさも捨てがたいですね。A5 “Metall”は、タイトル通り金属に対する「愛情」に溢れた曲でもあり、彼等の代表曲でもあります。B3 ”Ich Steh Auf Hagen”はソノシートだけだったので、これをちゃんと聴くことができただけでも儲け物です。B4 “Träum Was Schönes”は彼等にしてはマジなフリーっぽい曲で、意外です。と言う訳で、マニアなら、この12㌅Mini-LPは持っておいて良いでしょう❗️中々、日本国内では出回らないとは思いますので、海外通販で是非❗️ “Metall” (live) https://youtu.be/q3MZj80qW7U [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mtLH9ii20gNfL7uhlbH50BCdYMNc7QGSo #TheWirtschaftswunder #Preziosen&Profanes #TapeteRecords #Singles&Raritäten1980-1981 #Singles #PreviouslyUnreleasedTracks #Allein #Kommissar #Television #IchStehAufHagen #AngeloGalizia #TomDokoupil #MarkPfurtschneller #JürgenBeuth
Neue Deutsche Welle (German New Wave) Tapete Records 3940円Dr K2
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The Wirtschaftswunder “Salmobray”
Suezan Studiosの小柳カヲル氏のお陰で、やっと入手しました❗️独逸のThe Wirtschaftswunderのファースト・アルバム”Salmobray”です。彼等のバイオグラフィーについては既に書いてありますので、詳しくはそちらをご参照ください。このアルバムのオリジナルは1980年に、あのZick Zackよりリリースされていますが、今回、入手したのはTapete Recordsからの再発盤です。因みに、このアルバムひ再発される度に、ジャケの色が変わっていきます。メンバーは、Angelo Galizia (Vo; 伊), Tom Dokoupil (G; チェコスロヴァキア), Mark Pfurtschneller (Kbd; 加), Jürgen Beuth (Drs; 独)の4人組ですが、出身国は皆んなバラバラです。その中でも、最重要人物がDokoupilで、彼の関わったバンド(The WirtschaftswunderやDie Radierer)やユニット(Siluetes 61)はどれもふざけたような無軌道振りを現しており、現在は、ケルンでWhitehouse-Studiosを運営し、Werkと言うレーベルもやっています。そんな彼等のファースト・アルバムですが、いきなりA1 “Analphabet”では、「あ、 え、い、お、う。僕はアナル・ファベッド」と言う歌詞で始まり、本気か?冗談なのか?よく分からないままに、進行していきます。サウンド面でも、スカスカで、ヘンテコですが、伊訛りの強いヴォーカルもまた特徴的です。彼等の音楽は、NDWに特徴的な柔軟なパートの入換えと硬いリズム、それに何とも合っているのかいないのかよく分からない独逸語歌詞が、コンパクトに収まっているところで、B面に行くと、更に「実験的」と言うか「ギャグ的」と言うか、自由な発想での曲が多くなってきます。そんな彼等のファースト・アルバムですが、一度、聴いたら、二度と忘れないでしょう (歌詞カード付きです!)‼️ B4 “Marktwirtschaft” https://youtu.be/w69T8hXRSO0 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nHuOrHqPk4oU-ZOo6dpQZCAdFK-kz46Ag #TheWirtschaftswunder #Salmobray #TapeteRecords #ZickZack #Reissue #FirstAlbum #NeueDeutscheWelle #Experimental #Pop #AngeloGalizia #TomDokoupil #MarkPfurtschneller #JürgenBeuth
Neue Deutsche Welle (German New Wave) Tapete Records (Zick Zack) 3940円Dr K2
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Colin Newman “Not To”
これまた続いて、Colin Newmanのソロとしてはサード・アルバム”Not To. (「納豆」では無いw)”を紹介します。Colin Newmanのバイオグラフィーについては前回も書いていますので、ここでは省略します。今回、参加しているメンバーは、Colin Newman (Vo, G, Piano, Tabla, Vibs, Perc, Effects, その他)に加えて、Robert Grey (Drs, Perc), Simon Gillham (B, Vo), Desmond Simmons (G, Piano, Recorder, その他)で、更に、Wireの盟友Bruce Gibert (G [B4])も客演しています。今回、プロデュースはNewman自身が行なっています。以前に紹介したセカンド・ソロ・アルバムでは殆どのの楽器をNewmanが演奏しており、かつ非常に抽象的な楽曲から成っていましたが、今回は、またファースト・ソロ・アルバム”A-Z”のようなヴォーカルもちゃんとある楽曲をここでは披露しています。A1 “Lorries”やA2 “Don’t Bring Reminders”とかはWireの曲としても遜色無いですね。そして間髪入れずに始まるA3 “You Me And Happy”はアップテンポでカッコいいです。A4 “We Meet Under Tables”は3拍子で、少し変化球か? A5 “Safe”アップテンポな曲ですが、NewmanのVoは囁き声で、その対比が面白い。A6 “Truculent Yet”は簡素な曲ながら、聴かせてくれます。それで、B面に行きます。B1 “5/10”はやや実験的な曲で、バックのリズム構築が興味深いです。B2 “1,2,3, Beep, Beep”は一転、アップテンポの曲で、P-Modelの「フルヘッヘッヘッ」を想起させます。B3はタイトル曲 “Not To”で、ドラムレスながらしっとりとしたした曲になっています。B4 “Indians!”はVibsやGirbertの特徴的なギターを使ったインスト曲です。B5 “Remove For Impoverishment”では、簡素ながらリズムの取り方に凝ったWireっぽい曲で、Newmanが朗々と歌うB6 “Blue Jay Way”で締めています。とまあ、ヴォーカリストとして、またソング・ライターとしてのColin Newmanを存分に楽しめる内容になっています。なので、そこら辺がツボっている方はハマるでしょう❗️ A1 “Lorries” https://youtu.be/HzxAwQJxaYA A6 “Truculent Yet” https://youtu.be/mFy09rGpIjk B3 “Not To” https://youtu.be/OW3o7j15858 #ColinNewman #NotTo #BeggarsBanquet #4AD #SentientSonics #SoloAlbum #ThirdAlbum #Wire #Vocalist #SongWriter #RobertGrey #SimonGillham #DesmondSimmons #BruceGilbert
Post Punk Sentient Sonics (Beggars Banquet / 4AD) 2976円Dr K2
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Colin Newman “A-Z”
ようやく入手しました。英国WireのVo/GのColin Newmanのソロとしてはファーストに当たるアルバム”A-Z”です。彼のソロとしてのバイオグラフィーは前回書きましたので、そちらを参照して下さい。なお、私の購入したのは、再発・リマスター盤です。それで、参加メンバーですが、Colin Newman (G, Vo)の他、Desmond Simmons (B, G), Robert Grey (Drs: WireのドラマーRobert Gotobedの本名), Mike Thorne (Synth, Kbd: Wire初期3枚のプロデューサー)で、B1 “Troisième”でBilly Bagg(実はThis HeatのCharles Bullen)がClarinetで参加しています。本作品は、元々は1981年にBeggars Banquetからリリースされたものですが、リマスターに際しては、Denis Blackhamが行っています。内容的には、驚く程、シンプルなロック・ミュージックで、尚且つWireの持っていた実験性も合わせ持った稀代の名作ですね。多分、Wireの成長を見てきたMike Thorneの全面的参加やWire時代からの盟友Robert Greyの参加もあるからではないでしょうか? 因みにDesmond Simmonsは、2013年1月16日に、58歳と言う若さで他界しています。また、A3 “Alone”はThis Mortal Coilがアルバム”Filigree & Shadow”でカバーしていたり、何と❗️P-ModelがB2 “S-S-S-Star Eyes”をファンクラブ用のカセットでカバーしていたりおり、一方で、映画”The Silence of the Lambs (羊たちの沈黙)”でもA3 ”Alone”が使われていたりもします。シンプルなビートにテープ操作や痙攣ギターがアクセントのA1 “I've Waited Ages”に始まって、畳み掛けるように、A2 “& Jury”のビートの効いたシュールな世界へ。先述のA3 “Alone”は割と重めのスローな曲です。そして、A4 “Order For Order”はノリの良いポップ志向の曲となりますが、A5 “Image”では、一転、Wire顔負けの捻くれた実験的ポップとなっています。そして、A6 “Life On Deck”でもNewmanのVoが凄い、これまたWireっぽい激しい曲でA面を締めます。B1 “Troisième”はMute期Wireを思わせるミニマルなペースラインが特徴的な曲に、Baggのクラリネットのフリーな演奏が絡んできます。B2 “S-S-S-Star Eyes”は反復する呪文のようなVoが当時のP-Modelの平沢進氏と共通するのかな? B3 “Seconds To Last”はギターとシンセ(特に後半のシンセ・ソロ)が中心となった落ち着いた曲で、B4” Inventory”はアップテンポな曲で、一時期のWire (Chairs Missing辺り)を想起させます。また、B5 “But No”もWireっぽいミドルテンポの曲ですが、サビのコーラスはカッコいいです。最後は、一瞬エレ・ポップ?と聴き間違うようなB6 “B”ですが、特徴的なKbdの不協和音で締めます。思ったのは、この頃は、まだ、Colin Newman自身もWireの呪縛から脱していないようにも思え、それがファンからすると良かったり、残念だったりとちょっと複雑な気分ですね。でも、ここから、これのソロ・ワークは始まっていきますので、押さえておいた方が良いでしょう❗️いづれにしろ重要作品だと思いますよ、ハイ。 A3 “Alone” https://youtu.be/1VzIvIacMSU [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_l6Ks8HIoKJEBop96Oigt7uBRgHU12k_0E #ColinNewman #A-Z #BeggarsBanquet #SentientSonics #SoloAlbum #FirstAlbum #PostPunk #ExperimentalPop #DesmondSimmons #RobertGrey #MikeThorne #Wire
Post Punk Sentient Sonics (Beggars Banquet) 3188円Dr K2
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The Adverts “Crossing The Red Sea With The Adverts”
The Advertsのファースト・アルバム”Crossing The Red Sea With The Adverts”を紹介します。私が持っているのは、再発盤で、かつライブトラックも集めて2枚組になっている、ファンには嬉しい豪華盤です。ジャケも変更になっており、ゲートフォールド仕様です。The Advertsのバイオグラフィーは前回、書いてありますので、そちらをご参照ください。取り敢えず、この作品でのメンツだけ書いておきます。TV Smith (Vo), Gaye Advert (B), Laurie Driver (Drs), Howard Pickup (G)の4人組です。そして、今回の再発で新たに加えられたのは、C面がシングル・ヴァージョンで、D面がライブ録音となっており、貴重な音が聴けるだけで、テンション爆上がりですね。A面B面は元々のアルバム・ヴァージョンで、A1 “One Chord Wonders”やA2 “Bored Teenagers”からフレッシュなパンク・ナンバーから始まり、有名シングル曲A6 “Gary Gilmore's Eyes”やA7 “Bombsite Boy”と言ったポップ・パンクな曲も入っています。また、B面も、B1 “No Time To Be 21”なんて言うパンキッシュなナンバーから始まり、B6 “Great British Mistake”と言う、私の大好きなナンバーで締めています。全曲、TV Smithが作曲しており、彼のソング・ライティングのセンスが光ります。先述のようにC面は既発のシングル曲を集めたもので、プロデューサーの違うのですが、アルバム・ヴァージョンとの差異があまり無く、その点ではちょっと惜しいですね。まあ、それだけ、The Advertsの曲が完成しているってことかもしれませんが。ただし、アルバムに含まれていない曲(シングルB面の曲”Quickstep”や”We Who Wait)も収録されています。一方、D面は、拙い演奏にも関わらず、初期衝動に任せた貴重な音源が収められており、マニアには堪りませんね。ライナーノーツには、Dave Thompsonが、そしてTV Smithによる解説も掲載されていますので、当時を知る参考になるでしょう。と言う訳で、中堅パンクThe Advertsのファースト・アルバムとその頃の時代を知るアルバムですので、興味のある方は是非とも聴いてみて下さい。 A1 “One Chord Wonders” https://youtu.be/vEerO88_Enw [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kqzPN38BYUcTAA3bkW4kw69RZl1NvPeQI #TheAdverts #CrossingTheRedSeaWithTheAdverts #BrightRecords #FireRecords #Reissue #FirstAlbum #StudioTracks #LiveTracks #SingleVersion #Punk #PunkRock #TVSmith #GayAdvert #LaurieDriver #HowardPickup
Punk Fire Records (Bright Records) ?Dr K2
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Blaine L. Reininger “Book Of Hours”
前回、紹介しましたTuxedomoonの創設者でもあるBlaine L. Reiningerのソロ・アルバム”Book of Hours”を、今回は紹介します。Tuxedomoon時代に関しては前回書いた通りですので、ソロアーティストとしてのReiningerのバイオグラフィーについて書いてみます。彼は、Tuxedomoonのメンバーとして3枚のアルバムを出した後、1983年に完全にソロアーティストとして、1988年にバンドが再結成するまで活動に専念していますが、実は、その後も、ソロ活動も続けています。バンド在籍時には、John CageとAllen Ginsbergにインスパイアされており、それは、1982年にリリースされた彼のファースト・ソロ・アルバム”Broken Fingers”でも継承されています。1983年にバンドを脱退した時に、以前よりもっと電子音楽的な方向性の持ったアルバム”Night Air”を、Michael Belferと共に作製しています。なお、プロデュースはGareth Jonesが行っています。また、彼のソロは、ベルギーのレーベルLes Disques Du Crepusculeからリリースされています。その後、着実にEPやアルバムを出していきます。その後も、コラボ作品等も作製し、Durutti Columnとは”Short Stories For Pauline”と”Without Mercy”の2枚のコラボ・アルバムを出しており、この時期にはネオ・クラシックな音楽を作製しています。また、盟友Steven Brownとも”Colorado Suite”とライブ録音アルバム”Live In Lisbon”をリリース、ミニマルでクラシックな音楽をやっています。1989年には、William Lee SelfのバンドMontanablueにも曲を提供したりしていますが、Reininger自身もその曲を彼のソロアルバム"Songs From The Rain Palace"に再録音しています。この辺りで、本作品も録音されています。1990年代に、彼は、メジャーレーベルからソロのサントラ・アルバム”Radio Moscow”をPolygramから、”Kingdom Of Dreams”をSony Musicから出しており、後者はアンビエント・ハウスな曲だそうです。また、1994年には、UVO IIとコラボしたアンビエント・アルバム”Sound Of Heaven”を独自主レーベルからも出しています。1990年代後半には、ギリシャに移住し、まだ18歳だったJJ La Rueと結婚しますが、その直後に、彼女は心疾患で亡くなっています。この頃は、主に映像作品のサントラを主に作製しており、また彼自身も俳優業を始めています。また、2009年〜2011年に、再びWilliam Lee Selfとのコラボを行うことになり、Lee SelfのHamburgの自宅スタジオにて録音作業を行っています。2013年には、7人のダンサーと3人のミュージシャンの劇版もやっており、そのサントラはCrammed Discsよりリリースされています。Reiningerは2019年までは独自のペースで活動を続けています。 それで、本作品”Book Of Hours”は、Reiningerの活動が最も油の乗っていた頃の作品で、参加したメンツは、Blaine L, Reininger (Vo, Vln, G, Mandlin, Kbd, Drs [Octapad])の他に、Steven Brown (Sax, Kbd), Ivan Georgiev (B, Kbd), Luc Van Lieshout (Trumpet, Flugel Horn), Jo Moens (Drs), Paul Zahl (Octapad, Drs[B1]), Eric Sleichem (Sax [A1]), Ian Devine (G [A2]), Iben Larssen & Niki Mono (Back-Vo [B4])が参加しています。それで内容に関しては、一言で言えば、「ゴージャス」ですね。参加者の皆さん、結構、マルチ奏者の方が多いので、音にも厚みがありますし、アレンジも凝っています。A1 “Zombie Bop”やB4 “Come The Spring”なんかも、イカした曲ですし、A2 “Sainte Thérèse”やB3 “Salad Day”は色っぽいバラード調です。またA3 “Letter From Home”やB1 “El Paso”では、Reiningerがしっとりと歌い上げています。A4 “Software Pancake House”では歌詞に「寿司」とか「味の素」とか出てきて、意味不明です。B2 “To The Green Door”は中東風のアレンジに、朗々としたVoが響く曲で驚きます。また、A5 “Pavane”やB5 “Marchand De Feraille”なんかは、ピアノや弦楽器等を使ったインスト曲です。このように、色んなベクトルを持った曲で、我々を楽しませてくれます。正しく、映画のようなゴージャスさです❗️一度は聴いてみても良いのではないでしょうか。 https://youtu.be/q_EiP_HQ6vo #BlaineL.Reininger #BookOfHours #LesDisquesDuCrepuscule #SoloAlbum #Tuxedomoon #PopMusic #Theatrical #Gorgeous #Instrumental #VocalSong #StevenBrown #IvanGeorgiev #LucVanLieshout #JoMoens #PaulZahl #EricSleichem #IanDevine #IbenLarssen #NikiMono
Pop Rock Les Disques Du Crepuscule 2800円Dr K2
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Tuxedomoon “Desire”
当時・米国、今・欧州の実験的ポップ・バンドTuxedomoonを紹介します。Tuxedomoonは、パンク・ムーブメントと共に米国サン・フランシスコから現れたバンドで、当時、私はRock Magazine別冊で、その名を知り、早く聴いてみたいと切望していたバンドの一つです。それでは先ず、彼等のバイオグラフィーを見てみましょう。1977年に、アーティストのコミューンであったThe Angel of Lightに属していたSteven Brownが、SF市立大学電子音楽科で、Blaine L. Reiningerと出会ったことから、Tuxedomoonは生まれました。それで、Brownの協力者であり、後にマネージャーになるTommy Tadlockの家で、実際の音出しをし始めます。その時、Reiningerはe-VlnとGを弾いてましたが、Tadlickは「Teatment Mountain」と呼ばれるツール(エフェクト装置)を作ったりして貢献します。それで、パンクが出てきた1970年中盤に、2人は、「他のどんなグループにも似ていないことを唯一のルールとする」との約束で活動を始め、当初は、Vln, Sax, Polymoogシンセを使っており、Voもスクリーミング・スタイルでした。ドラムはいなかったのですが、そこに、Peter Principle (B)が加わり、Gregory CruikshankやVictoria LoweがVoとして参加したりしていました。更にコンサートの為にパフォーマンス・アーティストWinston Tongと映像作家Bruce Geduldigが加わります。その為、彼等のコンサートは"theatrical electronic cabaret"とも呼ばれてました。1979年に、彼等は電子音楽屈指の名曲と言われた”No Tears” EPをリリース、その年にThe ResidentsのレーベルRalph Recordsと契約、1980年に、デビュー・アルバム”Half-Mute”を出しています。なお、Lowe (Vo)はEPの前に脱退しており、また正式なメンバーではないですが、Michael Belfer (G)とPaul Zahl (Drs)が参加しています。それで、彼等はデビューアルバムのリリースの後に欧州ツアーを敢行し、その後、NYCに引っ越します。1981年にセカンド・アルバムでもある本作品”Desire”をリリースした後に、オランダやベルギーで好評だったこともあり、Rotterdamのアーティスト・コミューンで数カ月過ごし、その後、ベルギーのBrusselsに拠点を移します。そこでは、最初、Plan Kと言うライブ・スペースに身を寄せます。彼等は、Maurice Bejartのバレー曲を書き、それを1982年に、サード・アルバム”Devine”としてリリースしますが、その前後からReiningerはソロ活動を始め、1983年に脱退します。それで、Frankie Lievaartが代わりに加入、またLuc van Lieshout (Trumpet)が加入します(その後、直ぐに、Ivan Georgievに代わります)。そんな中で、彼等は4枚目のアルバム”Holy War”を1985年にリリース、最も売れた作品になります。しかしながら、Tongが脱退し、残ったSF組のBrownとPrincipleも続けて脱退。結局はマルチ奏者のGeorgievがバンドを立て直して、1986年にアルバム”Ship of Fools”をリリースし、無事ツアーもすることが出来ましたが、その後、1990年代には約8年間、一緒に演奏することはなかったので、半ば解散状態となり、2000年に再結成され、以前の曲を演奏します。そして、2004年に新作アルバム”Cabin in the Sky”をリリース。その後も順調に活動を続け、2015年には、10枚組LPボックスの”The Box”もリリースされています。しかしながら、Bruce Geduldig (映像)が2016年3月に63歳で他界し、Peter Principle (B)も翌年7月に63歳で他界しています。以上がTuxedomoonのあらましになります。 それで、セカンド・アルバムでもある本作品を紹介します。先ず、この時の録音に関与したメンバーは、Steve Brown (Horns, Vo, Kbd), Blaine L. Reininger (Strings, G, Kbd, Vo), Peter Principle (B, Perc, G), Winston Tong (Vo, Back-Vo)4人で、ゲストにAli Robinson (Cello)とVicky Aspinall (Vln)も参加しており、クレジットにはBruce Geduldig (Lights, Film, Mise En Scène)の名前も見られます。ドラムレスの編成なので、リズムボックスを使っています。多分、このアルバムを何の情報も無しに聴けば、米国のバンドとは誰も思わないと言う位、「欧州的な」フレージングや楽器編成を体験することが出来ます。そうですねぇ、ロックと言うよりも、一種の室内楽のような印象も有ります。ベースがボトムを支え、それに効果的なMoogシンセのフレーズや、伸び伸びとして、ラウンジ風のSaxが絡んでくる曲が多く、どちらかと言うとギターは控えめです。インスト曲もありますが、Voもがなり立てる訳ではなく、やや演劇調でしようか? それにしても、当時、このようなバンドが米国SFから出てきたことに驚きますね。なので、ちょいと変わったシャレ乙な音楽を聴きたければ、このアルバムも一度は聴いてみて下さい。ハマるかも❗️ “No Tears” https://youtu.be/1GwdHe5nQSQ [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLBD27CAC86FA83826 #Tuxedomoon #Desire #RalphRecords #ExperimentalRock #ChamberMusic #Electronic #Acoustic #Visual #NewWave #AmericanBand #SteveBrown #BlaineL.Reininger #PeterPrinciple #WinstonTong #Synthesizers #Sax #RhythmBox #AliRobinson #VickyAspinall #BruceGeduldig
Experimental Pop Ralph Records 不明Dr K2
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Amon Düül II “Viva La Trance (恍惚万歳!)”
やっと入手しましたAmon Düül IIの6枚目アルバム”Viva La Trance (恍惚万歳!)”です。何だか、タイトル、特に邦題だけで気に入っていて、欲しかったんですよ。Amon Düül IIのバイオグラフィーは前にも書きましたので、省略させて頂きます。”Lemmingmania”の紹介でも書きましたが、United Artists Recordsと契約を結んで、Amon Düül IIは比較的短い曲を書くようになりましたが、本作品をもって、UA Recordsからは除籍されています。この時のメンバーは、Robby Heibl (B, Cello, G, 12弦G, Strings [Gurke], Vln, Vo, Choir), Renate Krötenschwanz Knaup (Vo, Choir), Peter Leopold (Drs, Piano, Perc), John Weinzierl (G, A-G, B, Vo), Falk U. Rogner (Synth VCS3, Organ, Harmonium), Chris Karrer (Vo, G, 12弦G, Vln, Sax, Maracas, Mellotron)で、更にPeter Kramper (Piano) Desmond Bonner (Choir, Voice), Lothar Meid (Choir, Perc [Finger-Snips]), Keith Forsey (Choir, Perc [Finger-Snips])が客演しています。一応、ストーリー性のあるコンセプト・アルバムらしいです。それで、内容なんですが、これ(B面で顕著)はもう、英国ポップソングのような軽やかさを持った曲に多く占められてますので、ちょっと参ったなあと言う感じがありますね、特に、B3 “Trap”とかB4 “Pig Man”とか、、、。まあ、それはそれで面白いんですが、何か、「恍惚万歳」とは違うんじゃないかなぁとも。でも、A2 “Fly United”とかB2 “Dr. Jackyll”とかB5 “Manana”のポップさはどこか歪な所もあって、そごがまた良い味を出しているようにも思えます。また、A5 “Mozambique”のジャジーなイントロやB1 “Apocalyptik Bore”ギターソロもいい感じですし、A4 “Im Krater Blühn Wieder Die Bäume (不死木「爆撃の穴にもやがて花咲く木が生える」)のインスト曲も良いアクセントになってますね。因みに、私の持っている盤は見本盤なので、訳詩が付いているのですが、B2, B4とB6 “Ladies Mimikuri”は聞き取り不能のようで、元の英詩無しです。そして、そうなんですよ!歌詞が全部英語なんです。それも、英国寄りに寄せてきたのでは?と思わせるところもありますね。確かに、サイケな部分も有りますが、聴き易い点も特筆すべきかも知れません。コンセプトは良く分かりませんでしたが、そんなポップなAmon Düül IIのアルバムも聴いてみてね❗️ B2 “Dr. Jackyll” https://youtu.be/yTFrJNAvOak [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kgNcGUV7AZHUgQNiBnxlPoTDaS4SzUGI8 #AmonDüülII #VivaLaTrance #恍惚万歳 #UnitedArtistsRecords #Krautrock #PopMusic #Psychedelic #RobbyHeibl #RenateKrötenschwanzKnaup #PeterLeopold #JohnWeinzierl #FalkU.Rogner #ChrisKarrer
Krautrock psychedelic UNITED ARTISTS Records 3200円Dr K2
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Conrad Schnitzler “Filmmusik 2”
前回に続いて、Conrad Schnitzler先生の未発表音源”Filmmusik 2”を紹介します。今回もSchnitzler先生が生前、特に1975年に録音していた曲を集めたもので、B面には”Lichtepunkte Und Schwarze Zeichen”と題された長尺のビデオ用の曲が、収められています。それで、元々はこのアルバムは”Filmmusik 1”と同時発売の予定だったのですが、途中で色々あって、最終的に、別作品としてリリースされました。と言うのも、Bureau BのThomas Worthmannが、最初、仮に”02/1980”と呼んでいたトラックの一つが、元々は”Gute Fahrt (Nice Journey)”と言うビデオ作品の曲だったことに端を発します。それで、”Filmmusik 1980B”とした曲群は間違いで、”1975B”であり、本来、”02/1975B”と呼ぶべきであったとのこと。その後になって”Gute Fart”が見つかったことも大きかったようです。そして、”Filmmusik 1”がリリースされた時に、Schnitzler先生の音源を管理していたJin Kawaiから連絡があり、2009年に彼が、Conrad Schnitzler先生の全てのビデオ作品をネットにアップした時に、”Gute Fahrt”が一曲ではなく、数曲から成る作品群であったことが判明し、それで、今回、1975年録音未発表シリーズとして、本作品”Filmmusik 2”がリリースされることになりました。一方、本アルバムB面の曲” Lichtepunkte Und Schwarze Zeichen”は元から、ビデオ作品の為に、1978年に書かれた曲であり、2015年に見つかったものです。と言う、ややややこしい変遷の経て、リリースされた作品では、ありますが、内容は、”Filmmusik 1”を踏襲するように、簡素ながらも素晴らしい構成力と音色を持った電子音楽です。通奏低音のようなドローンやリズムボックスのチープな音によるミニマルな展開と、それに乗る上物のシンセ音で、全てを過不足なく表現し切っています。特に、B面一杯を占める曲は、その構成の巧みさもあり、一気に聴き通すことができます(実際、どんなビデオ作品であったかは不明ですが、、、)。それから、Schnitzler先生が、ビデオ等の映像作品に手を出し始めるキッカケは、先ずは、1968年に、彼とHans-Joachim RoedeliusとBoris Shaarkで作った西ベルリンのZodiak Free Arts Lab.で、24時間ラジオ放送をやっていたことに端を発し、”Totally free music. Everyone join in”と表明したことでしょう。その後、彼は、DüsseldorfでJoseph Beuysに師事して、米国のポップ・アートに触れ、そこで、活動していたKapitalistischer Realismusの”Akustische Raume”と言うインスタレーションに参加したこと、それと、Nam June PaikのTVとビデオを使ったインスタレーションを観て、友達になったことが大きかったようです。当然、Fulxus運動とも繋がっていきます。例えば、Schnitzler先生は、VHS以前のフィルムの時代に、Mike Steinerとコラボして、Steinerのギャラリーで、既にビデオ・ミュージックを録音・演奏(?)しています。そんなダダイスト達との交流で、Schnitzler先生はビデオ作品に関わったり、また自ら作製したりしていたようです。そんな彼のビデオ作品を妄想しながら聴いてみても良いのではないでしょうか‼️ A4 “14/1975A” https://youtu.be/BSsfQdnZ4aE Side B “Lichtepunkte Und Schwarze Zeichen” https://youtu.be/ypVlcoldu2o #ConradSchnitzler #Filmmusik2 #BureauB #Krautrock #Electronic #VideoMusic #1975作 #GuteFahrt #PreviouslyUnreleasedTracks #EMSSynti #Synthesizers #Organ #RhythmBox #Mastering #LichtepunkteUndSchwarzeZeichen #JosephBeuys #NumJunePaik #Fulxus #VideoWorks
Krautrock, Electronic Bureau B 不明Dr K2
