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S.Y.P.H. “Pst”
久々に引っ張り出してきました。独のS.Y.P.H.(いつも読み方が分からないのだが、「ジフ」で良いらしい)のセカンド・アルバム”Pst (プストと読む?)”です。当時、Neue Deutsche Welle (NDW: German New Wave)の中で、そのユニークな音楽性から、「Canの再来」とまで言われたグループが、S.Y.P.H.でした。ファースト・アルバムは同年2月で、本作品は8月にリリースされており、溢れるアイデアを即座にパックしているのが伺い知れます。しかも、今回は、元CanのHolger Czukayも参加していると言う豪華さです。S.Y.P.H.のバイオグラフィーは既に書いてあると思いますので、詳細はそちらをご参照して下さい。それで、本作品についてですが、バンドメンバーは、Harry Rag (Vo, G; ハリー・ラグ), Uwe Jahnke (G; ウーヴェ・ヤーンケ), Jürgen Wolter (B; ユルゲン・ヴォルター), Uli Putsch (Drs; ウリ・プッチュ)で、ゲストとしてHolger Czukay (Horn, Perc, B, Harmonica [A3, A5, A7, B1, B3])も参加しており、また、本作品は、S.Y.P.H.とHolger Czukayが共同プロデュースしており、録音もInner Space Studioを借りきって、10日間セッションをやり続け、その膨大な録音音源から、ロック色の強いテイクを厳選して作製されています (小柳カヲル氏「クラウトロック大全」による)。内容は、A面7曲/B面3曲となっています。それでは、各曲を紹介していきましょう。 ★A1 “Euroton” (0:52)は、ひたすら掻きむしられるGと一本調子のリズム隊に、笑い声すら使うVoが乗る小曲です。メタパーも使ってる? ★A2 “Einsam In Wien (Lustlos)” (5:32)は、単調で催眠的なビートを刻むリズム隊と自由に弾かれるGと呪文のようなVoが乗る曲で、バックの反復が気持ち良いです。Voとかは喚きそうになります。 ★A3 “Moderne Romantik” (3:01)は、16ビートのアップテンポの曲ですが、バックはひたすら反復しており、そこにGのカッティングや自在なVo(喚き声を含む)が絡んできます。何とも催眠的な曲です。 ★A4 “Lametta” (3:50)は、一転、静かな音数の少ないイントロで始まりますが、やがてキックとBのリフが延々と続き、フリーなVoも入ってくる曲で、背景にはGのスライド奏法や鋭いカッティングも聴取出来ます。 ★A5 “Modell” (1:47)は、単調なアップテンポな曲で、ひたすら反復するリズム隊に自在なGや喚き声のような多彩なVoが被ってきます。 ★A6 “Alpha & Vieta” (1:35)も、アップテンポな曲で、規則的なGのカッティングと単調なリズム隊に、機関銃のようなVoが逆に心地良いです。 ★A7 “Nachbar” (3:15)は、何ともゆったりとした土俗的リズム隊の静かな反復演奏に、呟くようなVoが乗る曲で、やがてGが弾きまくられます。小鳥の囀りも流されています。 ★B1 “Regentanz” (8:43)は、執拗に反復するリズム隊に、ホーンの音やGのカッティングやオルガン或いはファズG、叫び声なんかが無作為にカットイン/カットアウトしたりする、ミックスに凝ったフリーな曲で、Voも偶にはありますが、ほぼインスト扱いですね。 ★B2 “Stress” (6:45)は、静かで不穏なリズムレスなイントロから、民族楽器のような打楽器が立ち現れ、変調VoやGなどの音や物音音が人為的にミックスされている曲です。勿論、呪文のようなVoも微かに聴こえますが、テープの速度もイジっています。 ★B3 “Do The Fleischwurst” (4:26)は、B2に連続して、反復するリズム隊の上を、フリーフォームなGや他の音等が自在に跳ね回っている印象で、開放感が半端ないです。 以前、初めて聴いた時とは違う印象で、一聴すると有り勝ちな曲構造のようにも思えるのですが、本当に良く出来たフリーフォームな演奏で、特にB&Drsの禁欲的で催眠的な反復と、GやVoなんかの自由度のコンビネーションは神がかっていますね。それと、B面、特にB1のミックスが凄過ぎます!「流石、Holger Czukay!正しくCanだ!」と言うところでしようか。こう言う風に聴けるようになったのは、Canの良さが分かったからでは?と個人的に思っています。単にNDWのバンドとかパンクとかの先入観を捨てて聴いてみて下さい!完成度は非常に高いので、フリーなロックに関心のある方は、S.Y.P.H.のセカンド、是非とも聴いてみて欲しいです❗️正に、瞑想(迷走)する音楽ですね!名作! https://youtu.be/PeY2JzEu-S0?si=vpPPMPnlq1iPi9hN #S.Y.P.H. #Pst #PureFreude #SecondAlbum #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Can #Repetition #HarryRag #UweJahnke #JürgenWolter #UliPutsch #Guest #Co-Producer #HolgerCzukay
Neue Deutsche Welle (German New Wave) Pure Freude 不明Dr K2
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B.C. Gilbert & G. Lewis “3R4”
久しぶりですねー、あのWireのGだったBruce C. GilbertとBのGraham Lewisが、Wireの解散後、またDomeの結成前に制作したのが、pre-Domeとも言える本作品”3R4”です。実は、Domeは大体好きだったのですが、本作品はすっかり買い忘れており、後に、何とか入手したのです。ただし、Superior Viaductがリリースした再発盤なんですけど。そこら辺の契約については詳細が不明ですが、何せ、このレーベルは過去の名作と言われるアイテムを結構、再発していますので、要注目です。GilbertとLewisについては、WireやDomeの項目で、既にバイオグラフィーについては書いていると思いますので、そちらをご参照下さい。 本作品の参加者は、B. C. Gilbert (Perc [A1,A2], G&B [B1, B2]), G.Lewis (G&Synth&Tape [A1,A2], Perc)の他、Davyd Boyd (B, Voice&Others [B1,B2]), Russell Mills (Perc [A1,A2]), John Fryer (Tape [B1, B2])がゲスト参加しています。その後のGlibertとLewisが、あの硬質で無機質のDomeを結成したことを考えると、本作品は、まだそこまでの冷徹さは感じませんが、逆にWireがファースト・アルバム”Pink Flag”で1〜2分の短い曲を連射していたことを考えると、長尺の曲に挑戦しているだけで、興味深いじゃありませんか? なお、本作品は、MuteのBlackwing Studioで、1980年9月2日〜7日と言う短い期間で制作されています。それでは、本作品の各曲をご紹介していきましょう(ただ、A1とB1とは同名異曲です)。 ★A1 “Barge Calm” (1:11)は、プリペアード弦楽器を用いた擬似民族音楽のような小曲です。 ★A2 “3.4 ...” (17:03)は、不明瞭な反復音から始まり、徐々に硬質なインダストリアル音が混在して、やがて、大きなテープ音等が聴こえたかと思うと、不明瞭なBのリフの反復へと変化し、リズミックな電子音や打楽器音も加わり、延々と繰り返される「工場での祝祭」へと変貌していき、フェイドアウトしていきます。 ★B1 “Barge Calm” (1:08)は、インダストリアルな演奏が擬似民族音楽を演奏しているような小曲で、既にDome的ですね。 ★B2 “R” (20:03)も、硬質な音質の様々な音が、まるで工場の機械のようにミニマルに演奏されていますが、唐突にそれらは終わり、伸長した声へと、それから無機質なBとGも加わりますが、またもや工業的なフレーズ/リズムを奏で始め、最終的には、擬似アンビエントに変化して、音の祭儀は終焉に向かいます。 この盤に刻まれているのは、所謂「工業神秘主義的音楽」ではなかろうかと思います。そうして、ここに収録されている音楽は、確かに硬質で冷ややかなインダストリアルなのですが、何故か、民族音楽的な雰囲気を纏っており、その辺りの音作りがDomeへと繋がっていくのではないかと確信させてくれます。また、独特の「間」と言うか「空間」も彼等ならではだと思います。このインダストリアルな冷徹さと反復による祝祭性の同居がGilbert&Lewisの最大の特徴ですね。今、聴いても新鮮です❗️なので、1人でも多くの方に聴いて欲しい1枚ですね。 A1 “Barge Calm” https://youtu.be/rgrgR8H5FCo?si=x-yWUzQq5Kzd2-K- A2 “3.4 ...” https://youtu.be/gaQfoGZ4kS0?si=ps_wg2DfHgK3qIAE B2 “R” https://youtu.be/EN4aK6DhtmQ?si=KYK18FabBl1-IuMN #BruceCGilbert #GrahamLewis #3R4 #4AD #SuperiorViaduct #Reissue #FirstAlbum #Wire #Dome #Collaboration #Experimental #Industrial #Folklore #工業神秘主義的音楽 #Repetition #Guests #DavydBoyd #RussellMills #JohnFryer
Experimental / Industrial 4AD (Superior Viaduct) 不明Dr K2
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Der Plan “Die Letzte Rache”
皆んな、大好き、Der Planを久々に紹介します。今回は、彼等のサード・アルバム”Die Letzte Rache”ですが、当時は、セカンド・アルバム”Normalette Surprise”までは人気がありましたが、このサード・アルバムは今ひとつパッとしなかったですねー。彼等のバイオグラフィーは以前にも書きましたので、ここでは省略させて頂きます。メンバーは、Frank Fenstermacher, Moritz R, Pyrolator ことKurt Dahlkeの3人で、どうもこのアルバムは、映画のサントラとして制作されたらしいです(裏ジャケに曲名やコンセプトが載っていますが、デザイン上、非常に読み辛くなっています、と言うか読めません)。この作品は、Rainer Kirberg (ライナー・キルベルク)監督による、舞台のセットが舞台の実験映画”Die letzte Rache (英題: The Last Revenge: 邦題: 最後の復讐)”の為の音楽で、映画の方も筋書きがあって無いような内容だとか(私は未見)。と言うことを念頭に置いて、本作品の内容をご紹介していきましょう。因みに、映画の内容によるのか、A面14曲/B面16曲と短い曲がパッツンパッツンに詰まっています。 ★A1 “Die Wüste” (1:26)は、重厚なシンセによるアンビエント調の曲で、ちょっと物々しいです。 ★A2 “Sechs Fingen An - Titelsong Der Früchte Der Bestimmung” (0:54)は、物音系Percとシンセとふざけたような変調コーラスから成る曲です。 ★A3 “Aufbruch - Der Weltkenner Durchschneidet Den Zaun” (0:45)は、ワルツのようなトランペットが主体となった曲です。脱力しちゃいます。 ★A4 “Am Grab Des Sohnes” (1:07)は、怪しげな雰囲気のビートレスな曲です。室内楽的弦楽器も使用しています。 ★A5 “Im Unterirdischen Wassersaal” (1:02)も、怪しげな雰囲気の曲で、押しては引くシンセ音から成ります。 ★A6 “...Denn Alles War Nur Ein Trick! - Die Früchte Der Bestimmung” (0:41)は、軽いリズムと早回しVoから成る似非ボサノバな曲です。 ★A7 “Zur Alten Dschunke - Thema Der Großen Stadt” (0:53)は、強力なリズムにシンセや豪快なシンバルやホーンやらが絡む(昭和)歌謡的曲です。 ★A8 “Denkmal Des Scheiterns - Eröffnugsfeier” (2:08)は、A7に連続して、ごちゃごちゃした音に続いて、男性ナレーションが取って代わる曲です。最後に勝利のホーンが雄叫びをあげます。 ★A9 “Es Ist Schön, Schön Zu Sein - Der Schöne Mann” (0:32)は、ジャジーな雰囲気の曲です。Voも入っています。 ★A10 “Donnerwetter! - Der Starke Mann” (1:06)は、生DrsとBとファズGに素っ頓狂なVoと言う、彼等にしては珍しい編成の曲です。 ★A11 “Oh, Oh, Oh! - Der Kluge Man” (1:11)は、モールス信号のような金属質なシンセ音のシーケンスから成る曲です。 ★A12 “Der Kommissar - Ist Schon Da” (0:25)も、セクシーでジャジーなSaxとPercから成る曲です。 ★A13 “Ich Bin Es! - Der Weltkenner” (0:53)は、トランペットとマーチングDrsと挑発的Voから成る曲です。 ★A14 “‘Du Bist Es Nicht’ Junger Mann - Die Teenager” (2:29)は、いつものDer Planらしい戯けた曲で、シンセもたっぷりです。子供のようなVoと男性Voの掛け合いが面白い。 ★B1 “Früchte-Radio-Special” (0:50)は、ちょいとジャジーな雰囲気でのピアノ独奏(+ハイハット)です。 ★B2 “Des Kerkers Loch - Die Früchte” (0:29)は、シンセをバックに、何とも調子はずれなコーラス曲です。 ★B3 “Die Unterirdische Fabrik” (0:52)は、B2に連続して低音シンセの波状攻撃に、金属Percが降りかかります。 ★B4 “Oder Nicht? - Die Tötungsmaschine” (0:36)は笑い袋と変調Voや物音系Percから成る曲で、B3と連続して始まります。 ★B5 “Der Kommissar - Ermittelt Weiter” (0:25)も、ジャジーなSaxから成る曲です。 ★B6 “Chor Der Gefangenen” (1:18)は、単音のスカスカなシーケンスに、メンバーによるコーラスが被る曲です。 ★B7 “Der Assistenten-Song” (0:40)は、戯けたスパイ映画のような似非サスペンス曲です。 ★B8 “Chor Der Ausgebrochenen” (0:53)は、ヘンテコなシンセをバックに、何とも調子外れなコーラスから成る曲で、生Drsも加わります。 ★B9 “Schauet Her - Die Früchte” (0:32)は、アコーディオン風シンセと子供のコーラスから成る曲です。 ★B10 “Schönheit Der Macht - Monolog Des Herrschers” (1:41)は、ゆっくりしたキックと単音シンセとトイ・ピアノを中心に、感情のままに歌う曲です。 ★B11 “Zerstörung Der Grossen Stadt” (1:20)は、ゴジラ登場曲のような何とも仰々しい曲です。シンセとホーンも使ってますが、色々とギミックもあります。 ★B12 “Das Zimmer Der Tochter” (1:19)は、何とも悲しげなリコーダーの独奏曲です。 ★B13 “Showdown” (1:04)は、駆け回るネズミのような忙しないシンセ曲で、背景に時計の音も。 ★B14 “So Wurden Wir Zu Ihm Gemein - Sohn Und Tochter” (1:33)は、B13に連続しており、ややファンキーな雰囲気の曲で、BとDrsのリズム隊が、子供達のコーラスとマッチしています。 ★B15 “Das Ende” (1:26)は、不明瞭なオルガンとピアノをバックに、弦楽器らしき音や効果音や人声等が散りばめられた曲で、シンセのメロディが何故か物悲しい。 ★B16 “Der Todesmonolog - Gerät Dem Ausgespaceten Weltkenner Doch Noch Versöhnlich” (3:25)は、静かなアンビエント風の曲で、段々とそれぞれの音が明確になってきますが、いきなり、物音系PercやキックやシンセやVoから成るいつもの”Der Plan”節に替わってしまいます。 以上がサード・アルバムの内容になりますが、とにかく1分にも満たない曲が多く、また統一感もないので、元の映画を想像しにくいのですが、実験映画だったらしいので、きっと上手くマッチしていたのではないでしょうか? 映画のサントラと言う性格上、前作・前々作とはかなり異なった印象ですが、こんな実験的な音楽も出来るんだ!と感心してしまいます。是非とも映画を観てみたくなりますよね❗️ A14 "’Du Bist Es Nicht’ Junger Mann - Die Teenager” https://youtu.be/idRFkIfXZJM?si=N22uhWKVMtc0vNxz [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mnr4AMevgB9CTHvMgkhBgwx8rxSSNccOY&si=ETExTWcwZ2X6tvax #DerPlan #DieLetzteRache #ATATAK #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #ThirdAlbum #ExperimentalPop #Synthesizers #MusicForFilm #Soundtrack #RainerKirberg #Experimental Film #FrankFenstermacher #MoritzR #Pyrolator #KurtDahlke
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Synth Pop ATA TAK 不明Dr K2
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The Velvet Underground with Lou Reed “1969 Velvet Underground Live With Lou Reed”
久々にThe Velvet Underground (以下、Velvetsと表記)のアルバムを聴いてみようと思います。とは言っても、1974年にリリースされたライブ・アルバム”1969 Velvet Underground Live With Lou Reed”です。これは日本盤だと1枚のLPに短縮されてしまっているのですね(調べるまで知らなかったです)。私のは米国盤の再プレス盤ですので、2枚組です。Velvetsのバイオグラフィーは、以前にも書いてありますので、そちらをご参照下さい。本作品では、1969年10月19日、Texas州DallasのEnd of Cole Aveでのライブ(A1, B2, C2, D5 & intro D1)と1969年11月のCA州SFのThe Matrixでのライブ(A2-B1, B3-C1, C3-D4)の音源をまとめた内容となっており、この時のメンバーは、Sterling Morrison (G, Vo), Lou Reed (Vo, G), Maureen Tucker (Perc), Doug Yule (B, Organ, Vo)となっています。因みに、1969年と言うのは、Velvetsの4枚目のスタジオ・アルバム”Loaded”を録音中の年でもあります(リリースは翌年1870年です)ので、”Loaded”収録曲も、本作品には収められています。なお、本作品には、A面4曲/B面5曲/C面3曲/D面5曲がそれぞれ収められています。おっと、その前に、[1]はファースト・アルバム”The Velvet Underground & Nico”に、[2]はセカンド・アルバム”White Light/White Heat”に、[3]はサード・アルバム”The Velvet Underground”に、[4]は4枚目アルバム”Loaded”に、[VU]はコンピ・アルバム”VU”に、[AV]はコンピ・アルバム”Another View”に収録されている曲で、[?]は出典不明としています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ◼️LP1 ★A1 “Waiting For My Man” (7:00)[1]は、有名な代表曲ですね。簡素なDrsにルーズな2本のGが絡むと、やっぱり良いですわぁ。BPM上げての終わり方もグー! ★A2 “Lisa Says” (5:46)[VU]は、しっとりとしたスローな曲ですが、サビでのReedのVoが演奏と共に盛り上がるのはサイコー!後半の軽快なビートも良いです。 ★A3 “What Goes On” (8:47)[3]は、直線的なビートが効いた曲で、ひたすらジャカジャカかき鳴らすGと後半のYuleのオルガンはカッコ良いです! ★A4 “Sweet Jane” (3:58)[4]は、やや甘めのバラードですが、今なら見向きもされない程、演奏自体は下手くそです。でも沁みるんだよなぁ。 ★B1 “We're Gonna Have A Real Good Time Together“ (3:12) [AV]は、軽快な疾走感のある曲で、割とポップ色が強いですね。歌詞自体は単純極まりないけど。あと間奏Gは後のMarsへと受け継がれますね。 ★B2 “Femme Fatale” (3:01)[1]も、彼等の代表曲ですが、この曲はやはりNicoが歌った方がしっくりくる。 ★B3 “New Age” (6:31)[4]も、スローテンポで落ち着いた曲ですが、サビになる時だけ盛り上がります。しかしながら、最後のビートの効いたパートも捨てがたいです。 ★B4 “Rock And Roll” (6:00)[4]は、疾走感のあるカッコ良い曲ですが、偏執狂的な演奏は鬼気迫るものがありますね。でもカッコ良いです。 ★B5 “Beginning To See The Light” (5:26)[3]も、割とビートの効いたポップン・ロックですが、歌詞は単純なので、一種の呪文のようです。サビでハモるところはゾクゾクしますね。 ◼️LP2 ★C1 “Ocean” (10:46) [VU]では、Tuckerにしては、珍しくシンバルを叩きまくってはいますが、ビートの方はBとかがキープしています。次第にオルガンも加わり、Drsもドタドタしてきて、盛り上がっていきます。 ★C2 “Pale Blue Eyes” (5:50)[3]は、タンバリンでリズムを取るTuckerとBのYule、それにMorrisonのGがゆったりしたテンポを刻み、Reedのやや気怠げなVoとユラユラしたGから成る曲で、良い雰囲気です。 ★C3 “Heroin” (9:42) [1]も、時代を象徴する、彼等の代表曲の一つですが、ヘロったReedの囁くようなVoにユラつくGのアルペジオで静かに始まりますが、サビに近づくと高揚してきます。このセックスのような対比/緩急がこの曲の最も面白いところで、最後はまるで射精したかのように終わります。 ★D1 “Some Kinda Love” (4:44)[3]のMCは別にして、曲自体は、如何にもVelvetsらしい簡素なリズム隊と単純なビートを刻むGに、味のあるReedのVoが盛り上げていくものです。 ★D2 “Over You” (2:15) [?]も、軽快なリズム(Tuckerはシンバルを使っています)ですが、ポップ・ミュージックのセオリー通りに演奏しても、Velvetsらしさは残りますね。 ★D3 “Sweet Bonnie Brown/It's Just Too Much” (7:50) [?]の前半は、アップテンポなロッケンローなんですが、転調がVelvetsらしく、オルガンやGソロも良い味を出しています。後半になると、テンポはそのままに、Bがプレスリーのようなフレーズを叩き出し、ノリノリな正当派ロッケンローに移行します。 ★D4 “White Light/White Heat” (8:32)[2]も、彼等の代表曲の一つで、個人的には結構好きな曲ですね。コーラスワークとVoの掛け合いにはゾクっとします。長めのグチャグチャなGソロも後進に与えた影響は大きいと思います。 ★D5 “I'll Be Your Mirror” (2:17)[1]は、TuckerのタンバリンのリズムとYuleの控えめなのにツボを押さえたBとMorrisonのGに乗せて、透き通るようなコーラスとVoで、あっという間に終わってしまいます。 と言う訳で、Velvetsのライブを堪能しましたが、これを買った時には、余りピンと来なくて、正直、あんまり聴いていませんでしたが、今回、聴き直しで、やっぱりVelvetsには演奏能力とは違うベクトルでの魅力があるのだなあと感心させられました。知ってる曲も知らない曲も何かVelvets臭があり、それが彼等の魅力なんだろうと思います。決して、音が良いライブ盤ではないですが、そんなことを考えると、改めて、Velvetsの魅力を再認識させられたと言う感じです。 クレジット LP1 A1 “Waiting For My Man” (7:00) A2 “Lisa Says” (5:46) A3 “What Goes On” (8:47) A4 “Sweet Jane” (3:58) B1 “We're Gonna Have A Real Good Time Together“ (3:12) B2 “Femme Fatale” (3:01) B3 “New Age” (6:31) B4 “Rock And Roll” (6:00) B5 “Beginning To See The Light” (5:26) LP2 C1 “Ocean” (10:46) C2 “Pale Blue Eyes” (5:50) C3 “Heroin” (9:42) D1 “Some Kinda Love” (4:44) D2 “Over You” (2:15) D3 “Sweet Bonnie Brown/It's Just Too Much” (7:50) D4 “White Light/White Heat” (8:32) D5 “I'll Be Your Mirror” (2:17) D4 “White Light/White Heat” https://youtu.be/mVhGzWb2ci0?si=-T_IqPFJwgEbSZ7v *注意: 一応、Vol.1 とVol.2としましたが、本作品のLP1とLP2とは異なります。ダブっている曲もあります。 [Vol.1 album] https://youtube.com/playlist?list=PLokvsi1OMd-funNmAeMOi2TUcpG1RRL_k&si=TUwOoOPxHSFONhrJ [Vol. 2 album] https://youtu.be/8vXZPRO-1Gs?si=tiiMCxeGRvrL2gDS #TheVelvetUnderground #LouReed #1969VelvetUndergroundLiveWithLouReed #Mercury #LiveAlbum #1969年 #EndOfColeAve #Dallas #TheMatrix #SanFrancisco #Repress #ArtRock #PopMusic #Psychedelic #DougYule #MaureenTucker #SterlingMorrison #LouReed
Art Rock Mercury 不明Dr K2
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Andy Giorbino “Lied An Die Freude”
君は、Andy Giorbinoを覚えているかい? 嘗て、1980年に独の名門レーベルZick Zackよりデビューしたトイ・ポップ職人が、Andy Giorbino (アンディ・ジョルビーノ: 本名Andreas Gerth)です。そこで、先ずは、彼のバイオグラフィーを調べてみました。独Hamburg生まれで、1976年には、Radio Moon名義で、音楽とダンスを組合せたパフォーマンスを行なっていました。1979年になると、独のNeue Deutsche Welle (German New Wave)を語る上で最重要な自主レーベルZick ZackのAlfred Hilsbergs (アルフレッド・ヒルスベルクス)にコンタクトを取り、その結果、ファースト・ソロ7㌅シングル”Kredit"を出しています。1980年には、本作でもあるファースト・ソロ・アルバム”Lied An Die Freude (リード・アン・ディー・フロイデ)を同レーベルよりリリースし、レーベルカラーの一翼を担うことにもなります。それで、1980年〜1984年では、アルバムタイトル”Lied An Die Freude”と題して、再び、音楽とダンスとを組合せたパフォーマンスをHamburg, Köln, Berlin、更には隣国まで行って開催しており、その様子をカセット作品でも出していますね。その間にも、1982年にセカンド7㌅シングル”Stolpern”を、更に同年にセカンド・アルバム”Anmut Und Würde”を共にZick Zackよりリリースしており、カセット作品”Frechheit Siegt”も出しています。また、同年には、Jäki EldoradoとNicki Eldoradoと共にFSKと言うバンド名義で、IVANHOE!ツアーを敢行しています。その後1983年〜1984年には、彼自身のHeimatforscherで、Kosmonauntentraumと一緒に独蘭2国ツアーを敢行。1984年には、また”Lied An Die Freude”で、パリ・ビエンナーレに招聘されていますが、個人的理由で、このプロジェクトは解体されています。そうして、1985年には、HamburgのバンドGeisterfahrerにギタリストとして参加、翌年、このバンドのアルバム”Fi$ch Gott”がリリースされ、また、1987年には、別のバンドKastrierten Philosophenに参加して、アルバム”Between Shootings”がリリースされ、Roskildeフェスにも出演しています。1988年には、Gaistetfahrerはアルバム”Stein & Bein”をリリースし、また、LedernackenことFolke Jensenとも共同制作しており、その結果は、1989年リリースのアルバム “The Art Of Letting Go”となります。このアルバムは、独だけでなく、英国でも同時リリースされ、更に英国ではビデオでのプロモーションもあったとか。このアルバムは蘭ではスパイアクション番組でも用いられたらしいです。また、同年には、Geisterfahrerもアルバム”The G-Far-I”をWhat's So Funny Aboutから出しています。一方で、Giorbinoは、HamburgのDocksで上映されたAndy Warholの映画にライブで音楽を付けたりしています。1993年には、ギター・オーケストラRossburger Reportにも参加しており、同年にはアルバム”Whiteouts”をCDとVinyl両形態で、Vinc Lombardy Highschool Recordsから出しています。そうして、1996年には、アルバム”Bellymen”をCDでリリース。翌年1997年には、David Meyer/Sillywalksとのコラボで、CD”Les Fleurs Du Mal”をリリース。また、2000年になると、Peter Brötzmannのコンサートで、Folke Jensenと運命的再会を果たし、Ultraschall Studioで再度、コラボを開始して、2002年に、その結果であるEP "Überall Licht”をDian Recordingsから出しています。その後も、順調に、2005年には、シングル盤”Ich Sag Hallo”とCD “Schön"をOnomato-Popから出しており、2012年にもCD “The Artstore Takes”も出しています。一方、2009年以降は、映像作品に音楽を提供することを生業として、多くの作品に曲を付けています。その中でも、Film-Atonaleでは、Andy Giorbino (G), Krischa Weber (Cello)に加えて、更にKatrin Achinger, Kastrierte Philosophen, Jim Sudmann, Eisenvaterをゲストに迎えて音楽制作も行なっています。また、2014年12月には、印のHyderabadで開催されたBangalore International Film Festivalにも招聘されています。 とまあ、Andy Giobinoの今までの活動を見るとこんな流れでしようか。それでは、彼のデビュー・アルバム”Lied An Die Freude”について紹介したいと思います。ここでは、殆どの楽器(トイ楽器も含む、割とチープな楽器等)とVoを彼が演奏しており、少数のゲストが参加しているのみです。参加者は、Andy Giorbino (Vo, Instruments, Text [A1-A4, A6-B4, B6, B7], Music, Technical Support)の他に、Hajo Bauer (Text [B5]), Ivanhoe! (作曲 [A5]), Jäki Eldorado (G [A3]), Gitta L. aus E. (Text, Vo [A5]), Rajo Crash (Vo [A9])もゲスト参加しています。内容もA面9曲/B面7曲と言うだけで満腹になりそうですが、A面はFrühsommerseite (初夏サイド)と、B面はSpätsommerseite (夏の終わりサイド)と銘打たれています。それでは、各曲について紹介していきますね。 ★A1 “Motor Im Kopf”は、リズムマシンに合わせて、Gの切れのよいリズムとKbd、それにトイピアノとが組み合わさった曲で、途中のGは何故かヘンテコです。 ★A2 “Der Kleine Koch”は、性急なテンポで、ブクブクしたシンセと忙し無い展開に、独語Voがハマりますね。 ★A3 “Ich Lieb' Sie”は、如何にも似非スパニッシュな曲で、シンセのSEがそれを裏付けます。 ★A4 “Lied An Die Freude”は、性急なDR-55のリズムとシーケンスに乗って、反復する女性Voが聴かれるタイトル曲です。調子ハズレのシンセ・ソロも良し! ★A5 “Wer Denkt Mich”も、DR-55のリズムとGとベースラインに元気一杯の女性Voが乗ります。コーラスも良い塩梅で、シンセソロも良し! ★A6 “Luft Im Kopf”も、チープなリズムに太いシーケンスと不協和音なシンセが絡むインスト曲ですが、途中のSynth-BやGのソロもグー! ★A7 “!Viva!”は、弾き語りのような雰囲気の曲ですが、そこは流石、Giorbinoらしいヘンテコなアレンジが! ★A8 “Du, Nur Du”も、パルスで始まったかと思うと、スパニッシュなGとチープなリズムとVoが出てきます、勿論、調子外れなシンセやSE的音も! ★A9 “Kornblumenblau”は、LAFMSか?と間違うような鼻歌合唱による小曲です。 ★B1 “Urwald 1”は、Gで始まりますが、B?Synth-B?が絶え間なく上下し、更にはコンガなんかも。もう何でもありですね。囁くようなVoやメチャなGソロも入ってきます。 ★B2 “Nix Zu Spät”は、シンセ持続音からチープリズムか?と思うと一旦止まって、独語の会話とリズムマシンから成る曲です。 ★B3 “Wartet Auf Mich”は、割とまともな曲ですが、全編シンセとチープリズムと如何にもな独語Voからなります。間奏にはGソロも。 ★B4 “Urwald 2”は、ディレイをかけたリズムに、スムースな音色のシンセ、それに歌い上げるVoと言う頓珍漢な曲です。最後のワウGは? ★B5 “Der Mond”は、シンセで作ったリズムに、ハワイアンなスライドG、それにVoと言う、これまた不可思議な曲で、合ってないシンセも出現! ★B6 “Träum' Von Mir”は、リズムマシンに、呼吸音?のような呻き声と調子っぱずれのシンセから成る曲。 ★B7 “Aus Lauter Liebe”は、お得意のトイピアノの弾語りですね。もうヤケ糞なんでしようか? まあ、ここに紹介した記載は其々の曲の部分的なところだけですが、一曲一曲にたんまりと面白いアイデアやアレンジが施されていて、とても書き切れるものではないです。その位、良く考えられた(?)曲が詰まった面白アルバムなので、Zick Zackや初期のNDWがどんなカラーを持っていたかを知るには格好の音源です❗️なので、そこら辺に興味がある方は是非とも聴いてみて下さい。今は、日本のSuezan Studioから、ボートラ付きCDで再発されていますので、そちらの方が入手し易いかも! side Frühsommerseite A1 “Motor Im Kopf” (2:37) A2 “Der Kleine Koch” (2:01) A3 “Ich Lieb' Sie” (1:54) A4 “Lied An Die Freude” (3:14) A5 “Wer Denkt Mich” (3:12) A6 “Luft Im Kopf” (3:18) A7 “!Viva!” (2:35) A8 “Du, Nur Du” (2:49) A9 “Kornblumenblau” (0:32) side Spätsommerseite B1 “Urwald 1” (3:22) B2 “Nix Zu Spät” (2:32) B3 “Wartet Auf Mich” (4:01) B4 “Urwald 2” (2:47) B5 “Der Mond” (2:47) B6 “Träum' Von Mir” (1:47) B7 “Aus Lauter Liebe” (2:05) https://youtu.be/Z2j281Gaxaw?si=cErsv3S3chCmjlbr #AndyGiorbino #LiedAnDerFreude #ZickZack #FirstAlbum #Original #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #SynthPop #Electro #Experimental #Guitar #Synthesizers #ToyInstruments #Guests #HajoBauer #Ivanhoe! #JäkiEldorado #GittaL.AusE. #RajoCrash
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Synth Pop Zick Zack 不明Dr K2
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非常階段 “蔵六の奇病”
当時、誰もが恐れた関西のノイズ・バンド、非常階段のフルでのファースト・アルバム”蔵六の奇病 (別名”2nd Damascus!”)を、今回は紹介します。非常階段については、もうバイオグラフィーを私が紹介するまでもなく、本まで出ているので、詳しくはそちらの本等を参照して下さい。でも、ちょっとだけ紹介しておきます。先ず、非常階段の前進は螺旋階段であり、1979年に、JOJO広重と頭士奈生樹の即興デュオで始まり、その後、Idiotこと高山謙一が加わります。後に高山が「これは螺旋階段ではない!非常階段だ!」と言ったとか。このトリオでの非常階段は2回ライブをやって、スタジオでの録音もしていますが、このトリオは「プレ非常階段」とか「オリジナル非常階段」とも呼ばれています。しかしながら、同年末に、頭士が脱退したことで、JOJO広重は当時やっていたバンド(非常階段、螺旋階段、ウルトラ・ビデ)をやめています。それで、1980年春に、広重は腐食のマリィ(Corroded Marie)と言う、Hawkwindみたいな曲を演奏する為のグループを立ち上げます。その時のメンバーは、広重の他に、岡俊行, ZukeことKatsuhiro Nakajima, マコことMasako Shigesugi, 市口章と美川俊治であり、スタジオで音出しすると、即興ノイズになってしまったことから、広重はこのバンドは一度やめようと考えていたらしいです。ただ、岡とZukeと市口は面白いと思っていたようで、バンドは存続します。そして、1980年6月に、新宿ACBホールでライブイベント「天国注射の夜」が開催される時に、工藤冬里が間違って、彼等のバンド名を「非常階段」と紹介してしまったのですが、広重はそれを暖簾に腕押しで、バンド名はそのまま「非常階段」で通すことになります。広重はHawkwindっぽくならない、この非常階段を壊そうと考えながら、その時のライブ音源を聴いていて、これは何らかの形でリリースしても良いんじゃないかと思えるようになります。そして、広重は、同年8月に、丁度、大阪で自主制作レーベルUnbalance Recordsを立ち上げた林直人に会う機会がありました。林は、岡とZukeにコンタクトを取り、ライブを観に行くことに。同年11月3日に、再度編成し直した非常階段は、大阪の創造道場で、Faustの”It’s A Rainy Day, Sunshine Girl”のカバーを演奏し始めてましたが、やはりフリーフォームなノイズになってしまい、また、Zukeがたこ焼きを客席にばら撒く等、パフォーマンス・アート的側面が前面に出始めたライブとなります。そうして、林のUnbalance Recordsから、非常階段、NG、Jurajiumの3組のノイズ・バンドのスプリット・アルバム”終末処理場”が、1980年12月にリリースされ、その中には、新宿ACBホールでの非常階段のライブ音源が、”腐食のマリィ”と言うタイトルで収められることになります。その後、非常階段のパフォーマンスは過激になっていき、ライブの時もメンバーが替わったりして(勿論、コアメンバーは替わりません)、不定形のノイズ・バンドとして活動して行くことになります。ライブで、納豆、ペンキ、放尿、何らかの液体、生魚、ゴカイやミミズ、使用済み生理用品などなどを暴力的に撒き散らすようになります。そして、音の方も、グチャグチャの即興ノイズの塊になっていきます。まあ当然、ライブハウスからは出禁になったりもしましたが、1980年〜1981年のライブ音源を厳選して集めたのが、今回のアルバムとなります。あと、付属のフォトブックや裏ジャケを観てもらえると分かるのですが、ステージ上はグチャグチャのドロドロになっています。それで、写真家の八木康夫が当時、とあるメジャー系の音楽雑誌に連載コーナーを持っていたのですが、ある時、彼が非常階段とほぶらきんとグンジョーガクレヨンの園田游の記事を写真付きで書いた所、いきなり掲載不可!のみならず、その連載コーナー自体も中止になると言う事件が起こり、その掲載予定だった記事と写真の一部が本アルバムの裏ジャケになっています。あともう一つ、慶應大学日吉校舎での非常階段のライブでは、消火器を撒き散らし、ガラスと言うガラス、蛍光灯も全て割ってしまい、それを観た灰野敬二が「これが君たちの表現か‼️」と劇オコだったとか。そんなことは、当時のFridayなんかでも変態バンドとして紹介されたりして、ちょっとだけお茶の間でも知られるようになったかも。そんな中で、音楽指向組とパフォーマンス組に何となく分かれ、後者は一度やったことは2回も3回もやっても意味が無いとして、段々と離れていき、1984年にセカンド・アルバム”Viva Angel”を出す頃には、録音参加メンバーも5人だけグッと少なくなり、ライブもビデオを投影しながらの演奏であったようです。その際に、広重は自身のレーベルAlchemy Recordsを設立して、現在も活動しています、勿論、非常階段も!その後、非常階段はKing of Noiseとして、JOJO広重 (G), Junko (Vo), T.美川 (Electronics), 岡野太 (Drs)から成る基本メンバーで、現在も活動しています。バイオグラフィーはここら辺までとします。 それで、本作品についてご紹介します。このアルバムのジャケの絵は、異形の漫画家 日野日出志が描いており、そのタイトルが「蔵六の奇病」であったことから、このアルバムはそう呼ばれるようになります。また、レコードが入っていたビニール袋には”2nd Damascus!”とも記載がありますが、これには「このアルバムが、セカンド・アルバムであるかのように騙すことはカス野郎である」と言うダブル・ミーニングがあったようで、何だか、Smegmaの”Glamour Girl”みたいですね。また、このアルバムの曲には、曲名は無く、演奏場所と演奏日時が記載されているだけで、A面4曲/B面2曲が収録されています。あと、白黒のライブ写真がブックレット風に付属しているのですが、この写真を見ながら聴くことをお勧めします。では、各曲を紹介していきます。 A1 “マントヒヒ(大阪) 1981/4/26”では、いきなり「嘔吐」する音だけが収録されています。これは、当時、ちょっとショッキングでしたね。 A2 “磔磔 (京都) 1981/4/19”では、美川俊治の電子音と市口章のSaxにオルガン(これはセミ丸がオルガンに乗っかってお尻で弾いている)とが中心となり、即興的な音の塊がノイズ化していき、後半にはDrsも入ってきます。因みに、市口はSaxに黒いビニール袋を被せて吹いています。 A3 “創造道場 (大阪) 1980/11/3”では、先述のFaustのカバーが聴けますが、フリーキーなSaxやG等が入ってきて、グチャグチャになっていきます。 A4 “新宿ロフト(東京) 1981/8/29”でも塊のような様々な音(=ノイズ)が、圧倒的パワーで放出されています。叫び声とオルガンが狂気の様です。 B1 “慶応大学日吉315教室 (神奈川) 1981/6/27”では、咆哮とSaxから始まり、更にフィードバック音や何か分からない音も混在して、カオスへと向かいます。後半ではDrsらしき音も入っています。 B2 “同志社大学至誠館24教室 (京都) 1981/11/27”でも、フリーに叩くDrsとフィードバック音や咆哮、Saxが入り乱れていきますが、途中でDrsとSaxだけになり、再び、Gなどの音も入ってきます。また、途中で観客が「怖いわ、これ、怖いぃ!」と言っている声が入っているので、何が起きているかが分かりそうですね。 ドキュメント的性格が濃厚なアルバムですが、当時の非常階段の「暴れっぷり」を知るには最適な作品ですね。しかしながら、そう言ったパフォーマンス的な面を想像するだけではなく、音自体も集団即興による「ノイズ化」も感受できる作品だと思います❗️何度もリマスターや再発されていますが、是非とも爆音で聴きたい1枚ですね❗️ A1 “マントヒヒ(大阪) 1981/4/26” A2 “磔磔 (京都) 1981/4/19” A3 “創造道場 (大阪) 1980/11/3” A4 “新宿ロフト(東京) 1981/8/29” B1 “慶応大学日吉315教室 (神奈川) 1981/6/27” B2 “同志社大学至誠館24教室 (京都) 1981/11/27” [full album] https://youtu.be/JPgGcMDt5lQ?si=oVMed9rRc4bNVtE5 #非常階段 #HijoKaidan #蔵六の奇病 #Zouroku-No-Kibyo #2ndDamascus! #UnbalanceRecords #FirstAlbum #Noise #Improvisation #LivePerformance #LivePhotoBooklet #凶悪 #Osaka #JOJO広重 #JojoHiroshige #谷口守 #岡俊行 #美川俊治 #ToshijiMikawa #Zuke #セミ丸 #Woo #上幸一郎 #市口章 #夕刊五郎 #すみれまん #林直人 #狩野由可子 #野生の驚異 #向井千恵 #山崎正太郎 #Geso #八木康夫 #日野日出志 #白石民夫 #古賀正恭 #早川光 #あらいりょうすけ #桑本正士 #西川義昌 #EU #守部立人 #みちろう #しんたろう #じゅん #たむ #堀井津矢子 #坂口倫靖 #武藤むねひろ #赤坂博 #広田ルーメン #石橋正二郎 #科伏 #Dr坂中 #中島・北島(マントヒヒ) #かがわ(キャリー・リー) #Bide #一生非常階段 #頭士奈生樹 #高山謙一 #螺旋階段
Noise / Improvisation / Performance Art Unbalance Records 2000円Dr K2
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Karlheinz Stockhausen “Mikrophonie I / Mikrophonie II”
いよいよ、御大登場ですか!今回は、現代音楽界きっての超有名にして超アヴァンな作曲家Karlheinz Stockhausen(カールハインツ・シュトックハウゼン)先生をご紹介します。作品は、彼の初期の曲で、ライブ・エレクトロニクスの代表作でもある”Mikrophonie I / Mikrophonie II”です。まあ、ここで、私が長々とまたStockhausen先生のバイオグラフィーを書くまでもないのですが、取り敢えず、彼の生い立ちと初期の作品位までは書いておきます。Stockhausen先生は、第二次世界大戦後、戦争孤児となりましたが、1947年4月に、ケルン音楽大学の入学試験を受け、音楽教育コースでは不合格でしたが、ピアノ・コースで合格しています。ただし、翌年には音楽教育コースにも合格し、新古典主義的な曲や十二音技法を用いた曲等を作曲しています。1951年に、彼は、Darmstadt夏季現代音楽講習会に参加し、Olivier Messiaenの”Mode de valeurs et d'intensités (音価と強度のエチュード)”に強い衝撃を受け、逆に、Arnold Schönbergの曲には失望しています。それで、彼は仏に移り、パリ国立高等音楽院の入学試験を受けます。しかしながら、Darius Milhaud(ダリウス・ミヨー)のクラスには、不合格となってしまいましたが、Messiaenの楽曲分析クラスへの聴講は認められ、1年ほどそのクラスで学んています。そこで、彼は、Group Composition (群の音楽)やPunctualism等の新しい概念を次々と考案し、また、世界で初めての電子音楽を作曲しています。更に、ベルギーの作曲家Karel Goeyvaerts (カレル・フイヴァールツ)の”Sonata for Two Pianos”を彼と共に初演して影響を受け、1951年には、Oboe, Bass Clarinet, Piano, Percussionsのための“Kreuzspiel (クロイツシュピール)”を作曲し、Total Serialismを採用しています。この時期に、仏作曲家Pierre Boulez (ピエール・ブーレーズ)や伊作曲家Luigi Nono (ルイジ・ノーノ)と議論を深め、20歳代で音楽院の講師を務めています。その後、1952年12月に、彼は、”Konkrete Etüde”を作曲し、Pierre SchaefferのParis musique concrète studioで構築しています。翌年3月に、彼は独ケルンに戻り、NWDRスタジオで、”Electronic Studies (習作IとII)”を2曲作曲しており、1955-1956年には、ミュージック・コンクレートと電子音楽とを合わせた”Gesang der Jünglinge (少年の歌)”を作曲しています。他にもこの時期に”Gruppen”, “Kontakte”, “Momente”等の代表作も発表しています。その一方で、彼は図形楽譜も用いるようになり、1959年作”Zyklus”で初めて使用されています。そして、1960年代後半以降は確定的な記譜法を離れ、電子音楽の経験を発展させて、リング・モデユレーター、フィルター、ディレイなどを生演奏に施して音響を変調させるライヴ・エレクトロニクスの手法も積極的に試みるようになります。この時期に書かれた作品に、1964年作の6人の奏者のための”Mikrophonie I (ミクロフォニー I)”、1965年作の合唱・ハモンドオルガン及び4台のリング・モデュレーターの為の”Mikrophonie II (ミクロフォニーII)”、更には、 や1964年作のオーケストラと4つの正弦波ジェネレーター及び4つのリング・モデュレーターのための”Mixtur (ミクストゥール)”等を作曲し、ライブ・エレクトロニクスの第一人者となります。その後、1960年代後半は、彼は、ライブ・パフォーマンスの為にProcess Compositionとして、自身の過去作品を出発点として、それを次々と変容してゆく1967年作”Prozession (プロツェッシオーン)”や短波ラジオが受信した音形を変容してゆく1968年作”Kurzwellen (クルツヴェレン)”等を作曲し、演奏の方向性がテキストの形で提示され、その不安定性を追求する「直観音楽」として、1968年作”Aus den sieben Tagen (7つの日)”や1968-1970年作の”Für kommende Zeiten (来るべき将来のために)”も作曲しています。この時期(1966年)に、Stockhausen先生は、来日し、NHK電子音楽スタジオにて、旋律楽器とフィードバックの為の1965-1966年作”Solo (ソロ)”と1966年作の電子音楽”Telemusik”を作曲してます。これらの作品は「相互変調」と呼ばれる手法で変形され、電子音楽の網の目の中に組み込まれると言った曲となっています。”Telemusik”は2時間近くに及ぶ大曲で、1966-1967年作”Hymnen (ヒュムネン)”にも使われています。これらの曲には即興性があり、また、後者2曲ではテープ音楽の手法も用いられています。ここら辺までが、Stockhausen先生の第2期(第3期は1970年以降となります)に相当しますので、一旦、バイオグラフィーの止めておきます。 そこで、本作品について紹介していきたいと思います。先述のように、この2曲は、Stockhausen先生のライブ・エレクトロニクスとしては代表的な作品で、しかも、この盤に納められているのは、2曲とも初演の記録となっていますので、貴重な演奏だと思います。それでは、各曲を紹介していきます。 A面”(タムタム、2本のマイクロフォンと2台のフィルターとポテンシオメーターの為の)Mikrophonie I”の演奏者と担当は、FiltersとPotentiometers (Hugh Davies, Jaap Spek, Karlheinz Stockhausen), Microphones (Harald Bojé & Johannes Fritsch), Tamtam (Fred Alings & Aloys Kontarsky)となっています。この曲では、何かが軋むしような音と鉄板を演奏する音(打撃音や摩擦音など)がマイクの位置によって位相が変化し、更にフィルターを通すことである音域の音が強調されたりして、不思議な音像が提示されています。今なら、Korg MS-20やMS-10或いはモデュラーシンセでも出来る加工だとは思いますが、なんたって、これは、1964年作の1965年7月11日、独逸での演奏と言うから、先進性の塊ですよ。それにしても、タムタムらしき音は聞こえて来ないですねー。多分、変調・加工されているのでしょう。こう言うアイデアが、その後のP16.D4なんかの実験ロック/独逸音響ノイズに受け継がれたのでは?と思いますよ。そう言う意味では、ルーツを見つけて、類似性に確信できて興味深いです。 B面”(合唱、ハモンド・オルガンとリング・モデュレーターの為の)Mikrophonie II”の演奏者と担当は、指揮 (Herbert Schernus), Choir (ケルンのStudio Choir For New Music & The West German Radio Chorusのメンバー), Hammond Organ (Alfons Kontarsky), Timer (Johannes Fritsch)となっています。この曲では、2つずつに分けられたソプラノとバリトンのグループの声自体が音源となっており、如何にも現代音楽と言った歌い方です。一方、ハモンド・オルガンの音はよく分からないですが、恐らくリング・モデュレーターをかなり掛けられていると思われるます。それに対して、合唱の方が、リング・モデュレーターの効果はよく分かります。特に起承転結がある訳でもなく、フラットな状態で曲は進んでいきますが、この曲は、合唱(人数が多い)と言うこともあって、指揮者やタイマーの方がいるのだと思います。しかしながら、こんなことを大真面目に演ると言う行為やその過程の方が、実は面白かったりする訳で、そこら辺がまた現代音楽の肝だとも思えます。 久しぶりに聴いてみましたが、Stockhausen先生のぶっ飛び具合と、ライブ・エレクトロニクスの黎明期の演奏を堪能できました。今でこそ、ノイズ・ミュージックは、一種のライブ・エレクトロニクスな手法を使っている訳ですが、機材の進歩(使い易さと低価格と多機能)はアカデミックな音楽手法を、我々の元に還元してくれていることは有り難いなあと感じました。しかし、こう言う音楽は、やはり肩を張らずに聴き流す位の気持ちかつ爆音で聴くのが正解だと思います❗️皆さんもこんな音楽、聴いてみて、楽しんで下さいね‼️ 因みに、ジャケ写はNASAからの提供です。 A1 “Mikrophonie I” B1 “Mikrophonie II” [full album] https://youtu.be/TAtTv8tXwKM?si=e0sIMvntG2AQvYhR #KarlheinzStockhausen #MikrophonieI/MikrophonieII #CBS #US盤 #1967年 #初演 #ModernClassic #Avant-Garde #LiveElectronics #Composer #FirstRecording #Tamtam #Microphones #Filters&Potentiometers #Choir #HammondOrgan #RingModulator #KarlheinzStockhausenGroup
Modern Classical / Electronic / Experimental CBS 不明Dr K2
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Das Synthetische Mischgewebe “Inventaire & Contradictions - Retrospective 1982-1988“
君は、Das Synthetische Mischgewebe (「ダス・ジンテティッシェ・ミッシュゲヴーベ」と発音? 以下DSMと表記)を知っていますか? 1980年代初頭に、独Berlinで、Guido Hübnerを中心に結成された電子実験音楽/インダストリアル/アヴァン・ギャルド・グループです。当時は、他に、Isabelle CheminやYrefことRainer Freyなどが1〜2人程協力していたようです。 それで、活動初期はカセット作品を出していましたが、彼等のファースト・アルバムLP”The Harvest Of Magnetism”は、何と(!)スペインのDiscos Esplendor Geometricoからリリースされています。その後も、DSMの作品は、SFCR (仏), Pinch-A-Loaf Productions (米), Povertech (米)などの海外のレーベルからもレコードやCDとしてリリースされており、更にDSMは、MSBR (日), Frans de Waard (蘭), Ios Smolders (蘭), Artificial Memory Trace (捷), TBC (独), The Oval Language (波)などの様々なアーティスト/グループとコラボ作品も制作しています。先述のように、DSMはBerlinで活動を開始しましたが、この後、1987年にはスペインBalcelonaへ、そして1991年には仏Bordeauxへ移り、最終的には、仏Lower NormandyのCaenに活動の拠点を構えることになります。その際、1987年に、Cheminは、仏Nice近郊のSophia Antipoliに移り、社会的嫌悪に対して仮想空間がどれだけ耐えられるのかの環境開発に携わるコンサルティング・アーティストとして、DSMに参加しています。DSM、即ちHübnerは、国からグラント(資金)を貰いながら、科学的/医学的なプロジェクトとしても働いており、多くの欧州の大学と、音響環境に関するコラボをやってきています。既に、数多くのパフォーマンスやインスタレーションもやり続けており、活動を始めてから、40数年が経っていますが、今だに現役で活動しています。 DSMのバイオグラフィーはザッと上記のようになり、既に大ベテランですが、今回、紹介する作品は、DSMの極初期のカセット作品から抜粋されたトラックを集めたセルフ・コンピ・アルバムとなっています。貴重な曲も収録されていますので、機会があれば、是非体験してみて下さい❗️この時期のDSMのメンバーは、Guido Hübner (Electronics), Isabelle Chemin (アコースティック音収集), Yerf (弦楽器)となっています。それでは、各曲を紹介していきましょう。 A1 “Überlebensformen IV”(1987年, 未発表)では、フェイド・インする電子音に、強烈な弦楽器による打撃音や様々なテープ音/ジャンク音が混在してきて、独特の感触のサウンドスケープを描いています。また曲全体のミックスも緻密かつ秀逸で、長尺にも関わらず飽きないです。 A2 “Harvest Of Magnetism III” (1988年, 未発表)は、不気味で宗教的な雰囲気の強い曲で、低音(ベース?)の不安定な反復リズムと舎利のような音が印象的で、後半の電磁波音とのミックスが強烈! B1 “Works Pt. 2” (1982年, 独Das Cassettencombinatの同名カセットより抜粋)は、モコモコした不明瞭なリズムに、微かに乗ってくるジャンク音や環境音が絶妙で、タントラ様の感触が感じられます。 B2 “Loop Of Existence” (1985年, 独Alien Artists Berlinのコンピ”Illuminated No. 2”に収録曲)も、地響きのようなスローな反復リズムに、呻き声の如きテープ音がじわじわと被ってくる曲で、その恐ろしいまでの緊迫感が凄いです。 B3 “Ode An Conrad Elektronik” (1984年, 未発表)は、ラジオ波の迷宮のような曲で、ガソゴソと這いずり廻るノイズが脳波を錯乱させ、最後に素晴らしい歪みまくった演奏(?)へと跳躍します。 B4 “Bacchus Pt. 2” (1987年, 日ZSF Produktの同名カセットより抜粋)は、微かに聴こえるリズムとシンセによる電子音が織りなす舞踏曲で、やがて不明瞭に反復する雑音へと姿を変え、スピードを増したカオスへと変貌していきます。 総じて、DSMの初期の魅力が詰まった作品かと思います。その魅力とは、インダストリアルと音響系ノイズの狭間にある未分化なモノで、この1980年代と言う特異な時期にしか産み出されなかったのでは? そう言う意味では、DSMは早過ぎた「音響派ノイズ」なのでしよう。必聴です❗️ A2 “Harvest Of Magnetism III” https://youtu.be/YNHjIJ5BLG8?si=RKz-R8hDYLV9PA0f B1 “Works Pt. 2” https://youtu.be/I9_AqoKhQZo?si=GSgyX239zhsi9ljC B2 “Loop Of Existence” https://youtu.be/LFUS0_oBcUI?si=Cmz5Z_iBAae830Y3 #DasSynthetischeMischgewebe #Inventaire&Contradictions #Retrospective1982-1988 #VinylOnDemand #SelfCompilationAlbum #LimitedEditions #500部 #Experimental #Electro-Acoustic #Industrial #Performance #Installation #German/France #GuidoHübne #IsabelleChemin #Yref/RainerFrey
Electro-Acoustic / Experimental / Industrial Vinyl on Demand 不明Dr K2
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Lee Ranaldo “Scriptures Of The Golden Eternity”
Lee Ranaldo、彼の名前はSonic Youthのギタリストと言った方が良く分かるだろうか? と言う訳で、今回は、Ranaldoのソロとしてはセカンドに当たるアルバム”Scriptures Of The Golden Eternity”を紹介しましょう。まあ、皆さんもSonic Youthのことを含めてLee Ranaldoの方は良く知っているとは思いますが、恒例ですので、彼のバイオグラフィーを紹介します。Lee Ranaldoは、1956年2月にNYCのロング・アイランドのGlen Coveに生まれ、Binghamton大学で芸術を学んでいます。彼のNYCでのキャリアは、Rhy ChathamとのGuitar TrioやThe Fluctsと言ったバンドでギターを弾くことで始まり、その後、Glenn Brancaのエレキ・オーケストラに参加することになります。1981年に、RanaldoはDavid Lintonと、Truus de Grootが結成したPlus Instrumentsにちょっとだけ参加し、そのラインナップで、アルバム”February - April 1981”をリリースしています。そのリリース後に、Thurston MooreとKim Gordonと一緒にSonic Youthを結成することになります。そして、Sonic Youthをやりながらも、ソロ活動も並行して行うようになり、1987年に、彼の最初のソロアルバム”From Here To Infinity”をリリースしており、ロックト・グルーヴで終わるレコードでした。その後も、ソロでスポークン・ワードと音とを合わせた作品”Dirty Windows”やギターによる断片から成る作品“Amarillo Ramp (For Robert Smithson)”、そして、本作品でもある“Scriptures of the Golden Eternity”などをリリースしていきます。その一方で、Ranaldoは書籍(“Drift”, “Bookstore”, “Road Movie”や”Moroccan Journal”)も出しており、それらにはLeah Singerの写真や絵が多く含まれています。また彼は、Soft Skull Pressより”Jrnls80s”とか、Cynthia Connollyの写真を使った詩集”Lengths & Breaths”も出版しています。それで、2011年にSonic Youthが解散すると、Ranaldoは、2012年初頭にソロアルバム”Between The Times And The Tides”をMatador Recordsよりリリースしていますが、この作品は、彼のソロの中で、初めてのポップ・ロックなアルバムになっています。Ranaldoは、2013年に、Alan Licht (G), Steve Shelly (Drs: 元Sonic Youth), Tim Lüntzel (B)とでThe Dustと言うバンドを結成し、Lee Ranaldo and the Dust名義でアルバム”Last Night On Earth”をリリースしています。翌年には、オール・アコースティック・アルバム”Acoustic Dust”をリリースし、ソロやThe Dustの曲だけではなく、Niel YoungやSandy Dennyなどのカバー曲も収録されています。今回は、ここら辺までにしておきます。 それで、Lee Ranaldoのソロアルバム”Scriptures Of The Golden Eternity”の内容ですが、A面1曲/B面2曲を収録していますが、A面は1988年7月18日でのNYC Knitting Factoryでのライブ音源を、B面2曲は1989年11月28日での同所でのライブ音源をそのまま収録しており、全てはギターとテープとヴォイスのみで演奏されて音源で、それに後から音を加えたりはしていないとのことです。 A面は、ギター・ドローンが延々と続き、やがてラジオのような音(恐らくテープ音)や語りのようなヴォイスなんかも聴こえてきて、その内、様々な物音のループ(これもテープ音と思われます)に取って代わられ、更に地声によるヴォーカリゼーションも乗っかってきて、極上のインダストリアルな作品になっています。ある種の物語性もあるようで、全然飽きません。 B面のB1は、ギターノイズのショートループを延々と繰り返しながら、段々と音が荒ぶっていき、最後にはギターノイズそのものに置き換わっていると言う秀逸な曲です。 B2は深いエコーを掛けたフリーキーなギターノイズから始まり、やがてそれがいつの間にか「ノイズの雲」のように変化していき、思わず、引き込まれてしまいます。 総じて、本作品は、元祖ノイズ・ロック・バンドSonic Youthのギタリストによる秀作だなと唸ってしまいました。そんなLee Ranaldoのソロ作品ですが、彼のポテンシャルを体感したい方或いは彼の過去を知りたい方には一聴をお勧めします。ただ、それ程、「楽しい」音楽ではありませんので、気になる方だけ聴いてみて下さい❗️ A “Scriptures Of The Golden Eternity” B1 “Naked & Alone At The Knitting Factory I” B2 “Naked & Alone At The Knitting Factory II” [full album] https://youtu.be/n4yQ1wKW_kI #LeeRanaldo #ScripturesOfTheGoldenEternity #FatherYod #Experimental #Industrial #Drone #Live #SoloAlbum #SecondAlbum #SonicYouth #Guitar #Tape #Voice
Experimental / Industrial / Drone Father Yod 不明Dr K2
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Wild Man Fisher & Smegma “Sing Popular Songs”
おっと、これはとんでもないブツですね。Smegmaについては今までも紹介してきていますので、補足する程度にしますが、Wild Man Fisherこと本名Lawrence Wayne Fischerについて少し詳しく紹介したいと思います。Fisher(Fischerとの表記もある)は、1944年11月生まれのアカペラをやる米国のストリート・パフォーマーで、ホームレスでしたが、西ハリウッドやサンセット・ストリップでよくやっていたそうです。後に「アウトサイダー・アートのゴッドファーザー」とも呼ばれるようにもなりました。彼は、10代の頃に統合失調症と双極性障害と診断されており、家族にも暴力を振るったりした為、精神病院にかかったり、入院したりしていました。退院後、R&BシンガーのSolomon Burkeが、彼にWild Manとニックネームを付けて、ツアーに連れて行ったりしています。それで、1967年から、Fisher は服薬を続けながら、ハリウッドでストリート・パフォーマーをして、小銭を稼いでいました。それを、偶々Frank Zappaが見つけ出し、1968年に、Zappaのプロデュースで、2枚組アルバム”An Evening with Wild Man Fisher”をレーベルBizarre Recordsからリリースしています。しかしながら、彼は、Zappaの娘Moonを突然ガラス瓶で殴ったことから、Zappaとは絶縁しています。その後、1974年に、Fisherは、Smegmaのゲスト・ヴォーカリストとして、本作品でもあるアルバム”Sing Popular Songs”に招かれて、参加しています。1975年には、Fisherの新曲を収録したシングル”Go To Rhino Records"をリリースしています。この2年後、Fisherは初ソロアルバム”Wildmania”をリリースし、1980年代になると、Barnes & Barnesコメディアンのコンビと一緒に2枚のアルバム”Pronounced Normal” (1981)と”Nothing Scary” (1984)をリリースしています。また、1986年には、Barnes & Barnesが書いた曲”It’s A Hard Business”を歌手/女優のRosemary Clooneyとデュエットしています。しかしながら、Fisherはその時点でもまだホームレスだったり、モーテル暮らしだったりしています。1998年には、Captain BeefheartのバンドのドラマーRobert Williamsと共に、アルバム”Date with the Devils Daughter”を作製、また、1999年には、Rhino Recordsから、100曲入りで20頁のブックレット付き2枚組CD “The Fischer King”を出しており、後者は数週間でソールドアウトしています。2000年代初頭になると、Fisherは、自身のドキュメンタリー”Derailroaded: Inside the Mind of Wild Man Fischer”の撮影を開始し、2005年3月にSouth by Southwestで初上映しています。DevoのMark Mothersbaughは、「Fischerこそが純粋なロックンロール・アイコンだ!」と表明しています。また、2004年には、Dennis EichhornのアメコミThe Legend of Wild Man Fischerの題材にもなっています。2003年に、Fisherは6ヶ月間に及ぶ強迫神経症で、誰か親しい人に殺されるとの妄想に取り憑かれ、一度はストリートに戻ってきたものの、結局、Van Nuys開放型精神病棟を受診し、最後は、2011年6月16日に、Fisherは、66歳と言う若さで、心不全の為、Ronald Reagan UCLA Medical Centerにて亡くなっています。 ちょっと前置きが長くなってしまいましたが、Wild Man Fisherの生涯は上述の通りです。それで本作品”Sing Popular Songs”ですが、脱力系のSmegmaの演奏をバックに、嗄れたダミ声で歌いまくるFisherが、もうグダグダで最高です。参加メンバーは、Fisher以外に、The Ace Of Space, Amazon Bambi, Bev, Cheez-It-Ritz, Chucko Fats, Danton Dodge, Dennis Duck, Dr. Id, Dr. Odd, Electric Bill, Jason, Ju Suk Reet Meate, Dana, Reed Burns, The Reverend Toadeaterと言うLAFMS周辺総動員と言う感じで、豪華です。大部分の録音は1974年-1975年にSmegmaの本拠地Pasadenaで行われていますが、B3 “Breakfast With Bananas”はTemple CityのPumkin Worksでライブ録音で、B4 “Auto Suk #2”はSan Diegoで1973年にリリースされた”Smegma Xmas Video”からの抜粋で、B6 “Fill The Boot”とB7 “The Party's Over”はCoronadoのJerry Lewis Fight M.S. Local Telethon 74でのライブ録音です。収録曲はA面5曲/B面7曲ですが、A面などは、A2のメドレーを除くと、1分未満の曲が殆どで、ここら辺にもSmegmaらしさを感じますね。確かに、B面に収録されている曲は、聴いたことのある曲もありますが、多分、米国のローカルな歌なんか なんだろうなと想像しますし、またB4 “Auto Suk #2”なんかはムーディーに歌っている曲もあります。しかしながら、お互いが共にグダグダなので、とても「親しみ易い」歌に聴こえませんね。しかし、まあ、FisherとSmegmaとは相性バッチシなので、ほぼほぼ予想通りだとは思いますが、この味わいは他では出せないだろうなあと感心してしまいます。そんな2者の相乗効果を堪能してみては如何ですか❓緩くなりますよー❗️ A1 “Stigmatize Your Mind” A2 “Midnight Train/Rock-n-Roll Star/Say It” A3 “Jimmy Durante” A4 “Dandylion Flower” A5 “Please Like Us” B1 “Potato War” B2 “Stino” B3 “Breakfast With Bananas” B4 “Auto Suk #2” B5 “When The Saints Go Marching In” B6 “Fill The Boot” B7 “The Party's Over” https://youtu.be/53ZJOqScdcA?si=igGMX09a-7GTpbpP #WildManFischer #Smegma #SingPopularSongs #BirdmanRecords #StreetPerformer #Avant-Garde #アカペラ #SlowLifeAvant-Garde #Schizophrenia #LAFMS #RhinoRecords #FrankZappa #LawrenceWayneFischer
Vocalization / Experimental / Avant-Garde Birdman Records 不明Dr K2
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Contagious Orgasm “Seeking Sensation Scale Music”
今回は、名古屋を拠点に活動し、今や、数千人規模のフェスにも招聘される程、欧州、特に独逸では有名な実力派ノイズ・ユニットContagious Orgasm (以下COと表記)の単独作”Seeking Sensation Scale Music”を紹介します。現在は、首謀者の橋本浩 (Sampler, Electronics)とMarvelこと新井正光 (Perc)のデュオでライブを行うことが多いようですが、少し前にはスギウラ・シンゴ (Sampler)も加わっていました。バイオグラフィーは以前に紹介してありますので、そちらをご参照下さい。それで、本作品のタイトルなんですが、これは橋本氏が運営する自身のレーベルSSSMに引っ掛けてつけたのではないかと思われます。COの音楽は、アンビエント〜インダストリアル〜テクノイズ〜ニューウェーブまでと時代により、また作品により振り幅が広いのですが、本作品は恐らく橋本氏の単独作だと思います。1990年代のいわゆるジャパノイズと言うと、大音量のハーシュ・ノイズと言うイメージがあると思いますが、名古屋と言う土地柄なのか?橋本氏の個人的な指向なのか?COは、そのジャパノイズの潮流とは一線を画して、ひたすら、サンプリングによる音の切り貼り(コラージュ)をやってきたように思います。そのことが、現在のよりリズミックになったCOの(欧州での)評価に繋がっているのだと思います。その結果、工場内或いは現場の音像の中にいる錯覚に陥るようです。かつて、橋本氏と話していた時に、「モジュラーシンセで面白い音が出来たら、それをサンプリングすれば、バッチリや!」と言っていたことから、COは単に即興的ではなく、楽曲としてノイズ・ミュージックをやっているのだなあと感心したことがあります。本作品ではまだ、パーカッションなどは使われておらず、ループ音などが通奏低音として使われている曲もあり、音(ノイズ)は適切に配置されて、最大の効力を発揮しています。それは単に即興的に組み立てるのではなく、橋本氏の頭の中で既にある程度、組み立てられているものを具現化したもが、本作品の真髄ではないかとさえ思えてきます。そんなジャパノイズの異端であるCOの一大絵巻のような本作品は、COファンは勿論、ノイズ・ミュージックの違う一面を垣間見たいリスナーさんにも是非体験してもらいたいです‼️あと既に気付いている方もいらっしゃるとは思いますが、本作品のタイトルも曲名も、そのイニシャルは、全て、橋本氏自身のレーベル名SSSMとなっています!これも彼独特のユーモアかもしれませんね。因みに、レーベルPraxis Dr. Bearmannは、1990年代の独逸で、Martin Bauer らによって運営されていた良質ノイズ専門レーベルで、お世話になった方も多いのでは? A1 “SS Slave Market” A2 “Suicide Stiffening Shaft Machine” A3 “Scandalous Stagnate Sweet Madonna” B1 “Spread Spectrum System Message” B2 “Slit Slit Slit Museum” B3 “Stainless Steel Sucking Mouth” A1 “SS Slave Market” https://youtu.be/BG5kzjuiwF0?feature=shared #ContagiousOrgasm #SeekingSensationScaleMusic #PraxisDr.Bearmann #JapaneseIndustrial #Industrial #Experimental #Noise #Sampler #Electronics #HiroshiHashimoto
Experimental / Noise / Industrial Praxis Dr. Bearmann 不明Dr K2
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Purrkur Pillnikk “EhgjI En:”
これはもう完全に謎物件!先ず、文字が筆記体でまともに読めないので、グループ名すらよく分からないし、いつ買ったのかも覚えていませんでした。まともなフォントで書かれていたレーベル名でやっと見つけました。アイスランドのパンク/ニュー・ウェーブ・バンドで、バンド名はPurrkur Pillnikk (「プルクーム・ピルニック」と読むのか?)で、そのファースト・アルバム“EhgjI En: (Ekki ennとも表記)”と突き止めました。それで、先ずはPurrkur Pillnikk (意味は「眠むそうなチェスプレイヤー」らしいです)は、1981年から18ヶ月の1982年の期間、ちょうど、アイスランドでのパンク・ムーブメントの最後の世代に当たる期間に活動していたバンドで、その間に2枚のLPと1枚のライブ・アルバムそして2枚のEPを出しています。メンバーは、Ásgeir R. Bragason (Drs), Bragi Ólafsson (B), Einar Örn Benediktsson (Vo, Trumpet), Friðrik Erlingsson (G)の4人で、後者3人は、Reykjavíkで、友人達とSmekkleysa (Bad Taste)と言う自主制作レーベルを始め、1986年には、Sugarcubesのメンバーにもなっています。言わずもがな、Sugercubesは、Björk Guðmundsdóttir (Vo, Kbd), Einar Örn Benediktsson (Vo, Trumpet), Þór Eldon (G), Bragi Ólafsson (B), Margrét "Magga" Örnólfsdóttir (Kbd), Sigtryggur Baldursson (Drs)から成り、後にBjörkの世界的デビューの足掛かりになったバンドです。と言うように、アイスランドでは最重要なバンドと言う訳です(この位しか分からんかった。すまん)。 と言う訳で、Purrkur Pillnikkのファースト・アルバム”EhgjI En:”の内容について紹介していきましょう。なお、録音はLondonのSouthern Studioで行われています。アイスランド語の歌詞は良く分からないですが、小気味良い短い曲が速射砲のように収録されています。時にフリーキーなギターなんかも聴くことができるし、諸パンクと言う訳ではなく、どちらかと言うとポスト・パンクに近いようにも思えますし、ノー・ウェーブの影響もあるように思えます。ただ、演奏自体はそれ程上手くはないですし、演奏も荒削りです。また、使用言語がアイスランド語の為なのか、ヴォーカルが独特で、それはそれで面白いです。まあとにかく聴いてみて下さい❗️ 在り来たりなパンクやポスト・パンクに飽きた方にはお勧めしますよ❗️Let’s Punk! クレジットされている曲名(綴りはアイスランド語: 英訳付き) A1 “Svebnphørgør (Twixt)” A2 “Nu: (Now)” A3 “EhgjI En: (Not Yet)” A4 “GrIm:d (Rage)” A5 “Gløg:agjai:Ir (Peeper)” A6 “FløqhəhbIđ (The Flight)” A7 “Fa:derland (Vaterland)” B1 “Nabn (Holy Terror)” B2 “Khva:đ Gje:d Je:q Gjerd (What Can I Do)” B3 “U:dIlə:gađør (Outlocked)” B4 “Øndanthehgniŋg (Exceptional Product)” B5 “Vəndør Sdraugør (Anonymous)” B6 “Au:n Nabns (Prime Target)” B7 “Əv:hraiđsdla (Bad Boy)” B8 “En: Uŋgør E:n (Still Young But)” B9 “Drøi:mør (Dream)” B10 “Rə:dIđ (Knockout)” A5 “Gløg:agjai:Ir/Gluggagægir(Peeper)” [live track] https://youtu.be/CdtDiggfdwo?si=ckS8Lzkn09OBkD8t [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_muLCPD2W_INuLldUdrwCIXLH8WvrDwedo&si=W0joFvwCCP-8jsNG #PurrkurPillnikk #EhgjIEn #Gramm #Punk #PostPunk #Iceland #Sugercubes #ÁsgeirRBragason #BragiÓlafsson #EinarÖrnBenediktsson #FriðrikErlingsson
Post Punk / Punk Gramm 不明Dr K2
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V. A. “Schau Hör Main Herz Ist Rhein”
西独の1980年前後で、各地方都市でも、パンクやNeue Deutsche Welleやインダストリアルやノイズやらが勃興して、自主制作レーベルが乱立しました。その一つに、工業都市Mainzを中心とした一帯にWahrnehmungen (「ヴァールネームンゲン」と発音)と言うレーベルがありました。それが、後にSelektionとなる前身だったのです。それで、このアルバムまでは、カセット作品をリリースしてきましたが、ここで、このレーベルは、ライン川周辺の都市(Mainz, Frankfurt, Wiesbaden)の音楽を集めたコンピ・アルバムをLPとしてリリースしています。それが、本作品“Schau Hör Main Herz Ist Rhein (「シャウ・ヘール・マイン・ヘルツ・イシュト・ライン」と発音。「見て、聴いて。ライン川こそ我が心」の意らしい?)”です。参加グループは、Fröhliche Eiszeit, P16.D4, No Aid, Jean Gilbert, Toto Lottoの5組です。それぞれをご紹介していきます。 先ずは、Fröhliche Eiszeit (フレーリッヒ・アイズツァイト)です。このバンドは、Bernd Hasenfus, Carl F. Peter, Manfred Hasenfus, Stefan Winczenczから成る4人組で、1979年〜1982年にMainzで活動していました。リズムはBOSS DR-55を使って、シンセのピコってる音とサックスらしき音やフリーキーなギター/怪しいシンセ、更には音吐き捨てるようなヴォーカルが特徴な曲が特徴。宅録バンドなのかな?如何にも独らしい異形の音楽。 A1 “Realität !?!” A2 “Die Welt Ist Die Mehrheit” A3 “Mädchen In Der Eisbar” P16.D4 (ペー・ゼヒツェーン・ダー・フィアー)は、この頃は、Ewald Weber, Gerd Poppe, Ralf Wehowsky, Roger Schönauerから成る4人組になっており、Wahrnemungenの中心バンドで、1979年〜1990年でMainzで活動していました。この頃は、宅録だけじゃ無くて、ライブも積極的にやってました。この頃のノイズ/インダストリアル・グループにしては、珍しく初期から生ドラムも使用。しかしながら、同時に、物音系の音やシンセも堂々使っており、実験的アプローチが伺えますが、クラリネットなんかも使っており、この頃に既にハイブリットな音楽をやっています。 A4 “Pix” (Tapes, Feedback, Vo) A5 “Ereignisse” (B, Drs, G, Vo, Echo, Fuzz, Synth, Perc, Melodica) A6 “Chinin” (Sax, Clarinet, Echo, Loop, Vo) No Aid (ノー・エイド)は、Anne Strubel (Drs) Axel (G), Gerd Neumann (Synth), Renate von Brevern (B), Steffen Schütze (Vo)から成る5人組。どちらかと言うと実験パンクを演っているバンドですが、ギター中心のサウンドとアジるようなヴォーカルが特徴。シンセの音も隠し味ですね。 A7 “Streetface-Mindmirror” B1 “Anarchie 2017” Jean Gilbert (ジーン・ギルバート)は、人物名ではなくて、Mulk (Instruments, Tapes), Pogo (Vo), Steffen Schütze (Instruments, Tapes)の3人組グループ名で、テープ音やマシンリズム/シンセのパルス音に重ねて、Gをフリーキーに掻きむしたり、爪弾いたり、更にアジるようなヴォーカルや語るようなヴォイスを乗せたりしています。このコンピの中では、Gが前面に出ているのが特徴ですが、シーケンスも用いています。 B2 “Elektrostuhl” B3 “Fröhliches Waidwerk” B4 “Weltkrieg” Toto Lotto (トト・ロット)はi 、1979年〜1982年初期に活動していたバンドで、メンバーはBernhard Wicke (Drs), Christoph Anders (Vo, Synth, Metals, Sax), Hans-U. Dietzel (Vo, G, Perc), Rüdiger Jestel (G), Walter Kranl (B)の5年組で、B5では、生ドラムのリズムやシンセの反復音に語り口調のヴォーカル、更にはギターノイズも加えたりで、面白い。B6ではベースが効果的。 B5 “Verkauf Deine Braut !” B6 “Ohne Worte” と言う内容で、1980年前後の独で出てきたグループ、特にライン川沿いの都市から出てきた実験的ポップ/ノイズ・ミュージックに重きを置いたグループの最初期の貴重な音源を聴くことができます。この中では、P16.D4が一番活動歴が長くなっているのですが、彼等の尽力で、このコンピができたのは、非常に重要と考えられます。歴史的資料としても重要ですね。そんな重要なコンピですので、当時の独の地下音楽を知る意味でも是非聴いてみて下さい‼️面白いですよー。因みに8頁のブックレットも付いていますので、それを眺めるのも楽しいですよ❗️ YouTubeにアップしてある曲のみ貼っておきます。 A1 Fröhliche Eiszeit “Realität !?!” https://youtu.be/_iAWnnvtlFo A3 Fröhliche Eiszeit “Mädchen In Der Eisbar“ https://youtu.be/mT9tjuvkaGM A5 P16 D4 “Ereignisse“ https://youtu.be/gmH-k14qGLQ B2 Jean Gilbert “Elektrostuhl“ https://youtu.be/vUVFijpvxVA B3 Jean Gilbert “Fröhliches Waidwerk“ https://youtu.be/0X8stHvv4Bc B4 Jean Gilbert “Weltkrieg“ https://youtu.be/lkV0CS_04KQ B5 Toto Lotto “Verkauf Deine Braut !“ https://youtu.be/gzKEFxaJgQA #VariousArtists #SchauHörMainHerzIstRhein #Wahrnemungen #Mainz #Frankfurt #Wiesbaden #CompilationAlbum #TheFirstVinyl #Industrial #Experimental #Punk #Noise #Primitive #FröhlicheEiszeit #P16.D4 #NoAid #JeanGilbert #TotoLotto
Experimental / Punk / Avant-Pop Wahrnehmungen 不明Dr K2
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V. A. “Insane Music For Insane People Vol. 13”
また、出ましたねぇ。ベルギーInsane Musicが世界のカセット・シーンを席巻していた頃の代表的コンピ・シリーズ”Insane Music For Insane People”が、初めてカセット媒体ではなく、LP/ヴァイナルでリリースされたのが、第13巻の本作品となります。Insane Musicについては、以前にも”The Insane Box”のところでも書いていますので、そちらをご参照下さい。まあ、一言で言うと、色んなユニットをやっていたAlain Neffeが立ち上げたベルジャン・レーベルと言うことになります。それでは、各グループと各曲を紹介していきましょう。 <Easy Side (A面)> A1 Lelu/Lu's (英) “Down My Spine”は重めのリズムから成る打ち込みサウンドと女性ヴォーカルから成る、EBM的エレ・ポップです。結構、凝っています。 A2 Bill Pritchard (英) “Black Souls Under White Skies”は、軽めですがダークな打ち込みに、これまたダークで耽美的な男性ヴォーカルが乗る、今で言うところのダーク・ウェーブです。 A3 Thalassa Kollectif (白) “Are You Beush”では、ループ音と民族打楽器に、電子音シーケンスやシンセ音等が付け加えられていくミニマルな似非民族的音楽です。 A4 Jean-Louis Descloux (仏) “Les Fourmis”は、これまたエスプリの効いたシャレ乙な打ち込み(TR-606を使用か?)によるエレ・ポップで、男性ヴォーカルも加わり、如何にもフレンチなテイストです。 A5 Ninove (白) “Mechante Souris”はややアップテンポな打ち込みにフラマン語(?)によるヴォーカルの乗ったエレ・ポップです。急かされる感じが良いです。 A6 Human Dance (白) “Magikal Hystery Sour (The Beatles Were Not So Bad After All)”は、マシンリズムにギターも加わって、シンセのメロディが哀愁を誘うインスト曲で、最後にちょっとしたギミックがあります。 <Strange Side (B面)> B1 D'Archangel II (英/白) “Beautiful, Plastic”は不思議なシーケンスとリズムの曲で、語りのような男性ヴォーカルとそのバックのシンセが特徴的です。 B2 Collectionism (独) “Xsass”は持続電子音と偶に聴こえる打楽器(?)の上に、中近東風女性ヴォーカルが乗っかる不思議な曲で、それが段々と捻れていきます。 B3 Craig Burk / Alain Neffe (米/白) “Afternoon Improvisation (Eighth Part)”では、ヴォイス・ループに、これまた変わったヴォイス・パフォーマンスが加わる曲です。 B4 Rik Rue (豪) “Voices From The Inner Ear”では、ナレーションから早回しヴォイスと物音ループが混ざり合う曲です。やがてループの応酬へ。 B5 Bene Gesserit (白) “Evening Star”は、Alain Neffeとその妻から成るデュオですが、キックと共に男女のヴォイス・パフォーマンスが繰り広げられます。 B6 Kaoru Todoroki (日) “Bobldg”は初期レジデンツのような捻れたユーモアを醸し出すポップ・ソングです。 B7 Human Flesh (白) “(Only A) Human Being”は、逆回転ヴォイスのループに別の逆回転ヴォイスがどんどん加わっていく曲で、如何にもな風情があります。 B8 Denis Mpunga & Paul K. (白) “Terra Incognita”は、オモチャのピアノのようなミニマルな演奏と変なヴォーカル(?)から成る曲です。 聴いて分かるように、A面は所謂、リズムのはっきりしたシンセ・ウェーブな曲を集めており、B面はリズムが不明瞭な、より実験的な曲を集めています。だからか?A面をEasy Sideと、B面をStange Sideとしています。ここら辺の音楽は、如何にも1980年代の世界の地下音楽の潮流を巧く捕まえていると思われますが、このように2つにキッチリ分けたのが良いか悪いかの評価は、リスナー次第ですね。と言う訳で、1980年代地下音楽を俯瞰出来る作品になっていますので、そこら辺に興味のある方は是非とも聴いてみて下さい‼️ 収録曲を全て(B4以外)のURLを貼っておきます。 A1 Lelu/Lu's “Down My Spine” https://youtu.be/HhXfxGXkKG4 A2 Bill Pritchard “Black Souls Under White Skies” https://youtu.be/5LDo7fNo1Go A3 Thalassa Kollectif “Are You Beush” https://youtu.be/gZgqcKVLtwk A4 Jean-Louis Descloux “Les Fourmis” https://youtu.be/l62VRo47QNI A5 Ninove “Mechante Souris” https://youtu.be/zBKyuzGXJlg A6 Human Dance “Magikal Hystery Sour (The Beatles Were Not So Bad After All)” https://youtu.be/dApfayuzx7E B1 D’Archangel II “Beautiful, Plastic” https://youtu.be/lt-Je7NEZDc B2 Collectionism “Xsass” https://youtu.be/_DiboAtjvaw B3 Craig Burk / Alain Neffe “Afternoon Improvisation (Eighth Part)” https://youtu.be/KD9xaH_6o9I B5 Bene Gesserit “Evening Star” https://youtu.be/KO61X5LdRms B6 Kaoru Todoroki “Bobldg” https://youtu.be/8H-RRgicRBg B8 Denis Mpunga & Paul K. “Terra Incognita” https://youtu.be/EEnhAw_si5o #VariousArtists #InsaneMusicForInsanePeopleVol13 #InsaneMusic #Belgium #Compilation #International #MailMusic #SynthWave #MinimalWave #Electronic #Experimental #Pop #Lelu/Lus #BillPritchard #ThalassaKollectif #Jean-LouisDescloux #Ninove #HumanDance #DArchangelII #Collectionism #CraigBurk/AlainNeffe #RikRue #BeneGesserit #KaoruTodoroki #HumanFlesh #DenisMpunga&PaulK.
Synth Wave / Experimental INSANE Music 不明Dr K2
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Kraang “Uro: 1981-83”
皆さんはKraangのことを知っていますが? Kraangとは、本名John Russell Murphy (以下、John Marphyと表記)のことで、彼は、主に、豪州や英国で、SPKやThe Associatesのドラムを担当していた伝説のドラマー/パーカッショニストですが、惜しくも2015年に他界しています。もう少し、詳しく、彼のバイオグラフィーを紹介しておきます。生まれは1959年に豪州VictoriaのMelbourneで生まれており、父親がジャズ・ドラマーだったこともあって、幼少の頃から打楽器の練習はしていたようです。1977年に、Murphy (Drs)は、Adam Punk (本名Gavin Quinn: Vo), Jarryl Circus (本名Jarryl Wirth: G), Joy Relentless (本名Julie Jordan: B)と共にパンクバンドNewsを結成しており、1978年には シングル"Dirty Lies"等数枚のシングルを出していました。しかし、MurphyはNewsを脱退し、Ollie Olsen (Vo)のバンドWhirlywirldに加入します。MelbourneのバンドPrimitive Calculatorsに習って、このバンドもちょっとした実験音楽シーンで、インスト・バンドとして活動していましたが、Murphyは、ここでかなりアクティブに活動しています。例えば、1986年には、Richard Löwensteinが脚色した映画”Dogs in Space”のディレクターをやったりもしています。1980年に、MurphyとOlsenはLondonに移り、そこでHugo Klangを結成、1982年にシングル"Grand Life for Fools and Idiots"をリリースしますが、1984年にMurphyは豪州に帰り、1990年代初頭までに、そこで、Olsenと共に、色々なポストパンク・バンド(Orchestra of Skin and Bone, NO, Max Q)で演奏しています。一方、Murphyは、英国/豪州でも、インダストリアル系のバンドを含めて、the Associates, Dumb and the Ugly, Harpoon, Sooterkin Flesh, the Slub, SPK, Lustmord, Our Father of Serpents, Stress, Jaundiced Eye, the Wreckery, Box the Jesuit, Bushpig, Whitehouse, Death in June, Der Blutharsch, Sword Volcano Complex, Browning Mummery, Current 93, Blood Axis, Kraang, Sleeping Pictures, Scorpion Wind, Naevus, Nikolas Schreck, NON, Of the Wand & the Moonでも活躍しており、Nico, Zeena Schreck, The The, Gene Loves Jezebel, Shriekbackでもヘルプで参加しています。Murphy自身は、Shining Vril名義でソロで録音もしており、また、インダストリアル・トリオKnifeladderやフォーク・ノイズ・グループForesta Di Ferroや、インダストリアル・トリオLast Dominion Lostの一員としても活動しています。しかしながら、Murphyは、2015年10月11日に、56歳と言う若さで、Berlinで病死しています。ザッとJohn Murphy個人のバイオグラフィーはこのように成りますが、Kraangは、1980年終わり頃に活動開始したMurphyのソロプロジェクトで、”Krang Music”をカセット作品で出しています。一方、Kräng, Krang, Rkang, Kangと言った名称でもライブ活動も行っており、2007年頃、Till BrüggemannとAnnie Stubbsと一緒に演る時にはKrankとも名乗っていました。 それで、本作品の内容についてご紹介します。本作品Kraag名義で、1981-1983年の期間にリリースした作品からの選曲となっています。Kraagが有名になったのは、恐らく、SPKやWhitehouse, Lustmordなどのインダストリアルやパワ・エレの大物に参加していたからでしよう。それで、独Tesco Organisationが、Kraang名義のセルフ・コンピをリリースしたのだと思います。それで、本作品ですが、両面共2曲ずつ収録されていますが、どこかのコンピやアルバムに発表済みで、未発表音源ではないです。また、これらは、1981年1月〜1983年9月にLondonで録音された音源で、使っている機材については、EMS AKS Synthと安物の機材だけだそうです。では、各曲を紹介していきます。 A1 “Agony”は、金属類等を引き摺るような/摩擦するような強靭なノイズの塊から成る6分程の曲で、恐らく、ライブ録音ではないかと思われる荒々しさをバシバシ感じます。 A2 “Neurasthenia”も金属質なノイズとザラザラして歪んだ電子音がゴリ押しのように押し寄せてきます。時にラジオ音のようなチューニング音等も聴取可能です。それにしても、凄い熱量ですねー! B1 “Man Is Meat”は、腐食した電子音に、ヘロヘロのヴァイスが被る曲で、これ、聴き方によっては、所謂「物音系」ノイズを激しくしたようでもありますね。ここではハッキリとラジオ音(或いはテープ音)が聴き取れるので、余計に怪しさ満点ですね。タイトルを見ると、某アーティストは嫌悪するかも。 B2 “Uro”はフィードバックを多用したノイズ曲で、カットアップのようなテープ操作もしているようです。今までの3曲と違って、音質がマシになっており、その分、荒々しさは無いですが、音を操作すると言う行為がより鮮明になっており、単に一発録りではないのだなと感心します。しかしながら、これがシンセの音か⁈と思える程、凶悪な出来栄えになっています。 正直、私は、このLPがリリースされるまで、John MurphyもKraangのことも知りませんでした。多分、WhitehouseやSPKが当時はそれ程好きでは無かったことによるのかも知れません。本作品は、正直言って、音は悪いです。しかしながら、それを越えるだけの熱量を持ったノイズ・ミュージックがそこにはあります。なので、初期ノイズ、時にSPKなんか辺りに興味のあるリスナーさんは是非とも聴いて欲しい一枚です‼️ A2 “Neurasthenia” https://youtu.be/wZNfo02eICM “Uro” (1982) https://youtu.be/XhkPE1hsLB4 #Kraang #Uro1981-83 #TescoOrganisation #SelfCompilation #LimitedEditions #Remastering #CassetteWorks #JohnMurphy #SoloWork #Industrial #PowerElectronics #EMS-ASK #Synthesizer #CheapDevices
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