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Der Moderne Man “80 Tage Aus See”
漸く、入手しました。Der Moderne Manのファースト・アルバム”80 Tage Auf See (80ターゲ・アウス・ゼェー)”です。が、再発盤ということで、比較的入手や代金はそんなに困る程ではありませんでした。Der Moderne Manのバイオグラフィーは、前回までに書いてありますので、そちらをご参照下さい。Der Moderne Man (デァ・モダーネ・マン)は、1979に独ハノーバーで結成されていますが、本作品では、若干メンバーの入れ替えがあったようで、参加者は、Ziggy XY (Vo, Synth; 本名Michael Jarick; ミヒャエル・ヤリック), E. K. T. (G, Back-Vo; 本名Eckart Kurtz; エッカート・クルツ), Mattus (B, Back-Vo; 本名Martin Simons; マルチン・ジモンズ), Claudi H. (Drs, Piano, Kravierteile; 本名Claudius Hempelmann; クラウディウス・ハンペルマン)の4人です。バンドとしては、1984年に解散しています。担当楽器からも予想できるように、シンセとかが隠し味になったニューウェーブ調〜パンク調の楽曲が並びます。内容はA面8曲/B面7曲が収録。それでは、各曲についてご紹介しますね。 ★A1 “Der Unbekannte” (2:12)は、イントロが特徴的ですが、何と無く投げやりなVoとベースラインが特徴的もパンキッシュな曲です。 ★A2 “Telefonlied” (2:04)は、シンコペーションのドラムで始まる曲で、語り調のVoが乗る曲ですが、途中で歌う部分もあります。 ★A3 “Dreizehn” (4:04) は、ややレゲエ調のリズムを用いた曲ですが、Voは怒声〜呟きまで使いこなして、サビになると通常のロック調になり、途中でブレイクが入り、そこにSE的シンセが加わります。 ★A4 “Haarschnitt” (3:17)は、直線的Bのリフに、SE的シンセとピアノが絡むドラムレスな曲で、そこにVoが入ってきますが、ピアノのアレンジが何か変です。 ★A5 “Dauerlauf” (1:39)は、突進するようなストレートなパンクな曲で、投げやりでヘナヘナなVoは相変わらずですが、コーラスは良いですね。 ★A6 “Licht Und Dunkelheit” (3:45)は、やや凝ったイントロで始まり、反復するようなリフ回しの後、サビはコーラスワークとバタバタなDrsで乗り切る曲で、間奏にはピアノソロが!でも合っていないような!? ★A7 “Mitternacht” (1:48)は、Wireの”Pink Flag”に入っていそうな反復する曲で、地味ながら興味深いです。また間奏には変なシンセが入ります。 ★A8 “Gib Mir Den Tod” (4:08)は、珍しく歪んだGを使った曲で、Bが活躍しており、コーラスがグー! カズーのようなシンセ音が面白いです。 ★B1 “Farblich Gesehen” (3:13)は、やたら慌ただしいアップテンポの曲で、Drsはハードコアと言うよりもカントリー&ウエスタン調に近いです。ダレたかなと思ったら、最後にVoが「黒!」って叫んで終わります。 ★B2 “Heute” (3:03)は、ドラマチックな曲調ですが、如何せんシンセの音がショボ過ぎるインスト曲です。 ★B3 “Vergesslichkeit” (2:56)も、スパイ映画のサントラのようですが、ちゃんとパンキッシュな曲になります。サビのコーラスは良いですねー。 ★B4 “Flucht” (5:52)では、シンバルが響き渡り、Gの爪弾かれるイントロから、単調なリフでのパンクな曲へと移ります。間奏ではBソロも聴取できますが、最後は息切れで終わります。 ★B5 “Unmodern” (1:48)でも、歪んだGがリフを刻むアップテンポな曲ですが、Voはタイトルを何度も叫んでいます。 ★B6 “30 Grad - / 30 Grad +” (3:35)は、中々カッコ良いイントロで始まる曲で、Voにもやる気が出てきたようです(おいおい、やっとかよ!)。 ★B7 “Disco-Lied” (3:51)では、直立したリズムに、正気を帯びたVoが歌い上げるノリの良い曲ですのら最後はちょっとだけグチャグチャに! しかしながら、Der Moderne Manってこんなんだっけと、そのショボさにビックリしました。確か、VoのZiggy XYことMichael Jarickは、あのKosmonauntentraumに在籍していたのだと思いましたが、如何にもぶっきらぼうに歌っており、録音の性か、どうも説得力に欠ける感じがします。逆に、それが面白いとも思えるのかも知れませんが。なお、彼はこのアルバムの後に脱退しています。どうにも彼にとっては、不完全燃焼だったのではないでしようか?でもここら辺の脱力が下手ウマで面白いとも言えますが、皆さんどうでしょう?私はもう一度、セカンドとかを聴き直してみたくなりました! https://youtu.be/02nuhhwO_W0?si=9xW2mPX6f0lhB3Ip [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLpKx6HYPySaQZOqRdW_TnLo-4dyb2jQIR&si=wokcCV4d0sfEm9w9 #DerModerneMan #80TageAufSee #FirstAlbum #2019年 #RockersRecords #Reissue #1980年 #NoFunRecords #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Punk #NewWave #Synthesizers #ZiggyXY #E.K.T. #Mattus #ClaudiH.
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Die Doraus und Die Marinas “Die Doraus Und Die Marinas Geben Offenherzige Antworten Auf Brennende Fragen”
ファースト・アルバムで、世界のロリコン・リスナーに衝撃を与えたDie Doraus & Die Marinasですが、今回は、この名義でのセカンド・アルバム”Die Doraus Und Die Marinas Geben Offenherzige Antworten Auf Brennende Fragen”(それにしても長いタイトル!「DorausとMarinasは、どんな炎上案件にも寛大な心で答えますよ」と言う意味らしい)を紹介します。私の購入したのは、Bureau Bによる再発盤の方です。この頃のAndreas Dorauには、私それ程の興味は無かったのですが、去年、彼のソロ名義のアルバムを聴いて、やっぱり、最初からちゃんと聴かなきゃと思い、聴いていなかったDie Doraus & Die Marinasのセカンド・アルバムを入手しました。一時期、アイドル的にもてはやされていたDorauですが、メジャーからのリリースになっており、今回は、ATA TAKやLost Gringos, Ja Ja Jaのメンバーの協力を得て、独自のポップ路線へと向かおうとしています。彼のバイオグラフィーとかは前回、書きましたので、詳しくはそちらをご参照下さい。今回は、首謀者としてAndreas Dorau以外に、Jürgen Keller (B), Moritz von Osswald (Drs), Christian Kellermann (Sax), Young-Hack Chi (Synth), Helge Gabrecht (Trumpet)が参加しており、彼等以外に、スタジオ・ミュージシャンのFrank Samba (Ja Ja Ja), Pete Jeckyll (Lost Gringos), Ralf Nowi, Rolf Albrichもヘルプで参加しています。なので、上述のスタジオ・ミュージシャンをまとめて、Die Dorausとし、女性コーラス隊(クレジットはされていない)をDie Marinasとしているようです。そして、Der PlanのFrank FenstermacherとPyrolatorことKurt Dahlkeがプロデュースをしています。それでは、各曲について紹介していきましょう。 ★A1 “Die Welt Ist Schlecht” (3:03)では、ノリノリのリズムに、若きDorauや女性コーラスが童謡ポップ調に歌っています。コーラス最高ですね。 ★A2 “Agent” (2:18)では、スラップ奏法もキメるBを含むリズム隊と豪華なホーン隊をバックに、Dorauが歌いまくってます。女性コーラスも良い感じです。 ★A3 “Feierabend” (2:31)では、リズム隊とホーンとオルガンをバックに、Dorauが歌い、時に入るアコーディオンや口笛が絶妙です。歌謡曲調?アニソン調? ★A4 “Zu Spät” (3:58)では、アコギのアルペジオとKbdに合わせて、女性(?)Voがしっとり歌っており、間奏のGやFluteも絶妙です。やがてリズム隊も入ってきます。 ★A5 “Polizist” (3:09)は、性急なテンポのリズム隊と若きDorauのVoとホーン類から成るポップな曲で、隠し味にシンセや女性コーラスが入ってきます。 ★A6 “Guten Morgen” (5:19)では、緩めのファンクなリズム隊に、呟くようなVoが入ってきます。間奏のホーン類やシンセもグー! ★A7 “Grosser Bär - Kleiner Bär” (3:17)は、簡素なリズム隊と女性コーラスに、若いDorauのVoが入ってくる曲ですが、ホーン類や鉄琴も良い味を出しています。 ★A8 “Texas” (3:30)は、いきなりバンジョーで始まっなら、直ぐにテープ操作した後に、何ちゃってカントリー調ポップソングになります。歌詞は勿論独逸語です! ★B1 “Fatme” (3:47)は、中近東風のGメロディで始まりますが、基本は子供ディスコな曲で、ホーン類や女性コーラスもバッチリです。 ★B2 “Satellit” (3:39)は、未来的なシンセのパルス音とトランペットで始まり、やがて、Dorauの初々しいVoとポップな曲調が見事にハマっている曲です。 ★B3 “Sandkorn” (3:32)は、アコースティックな楽器による曲で、ちょっとビックリします。幼なげなDorauのVoが何とも良い雰囲気です。 ★B4 “Die Welt Ist Schlecht (Dub)” (6:28)は、A1のダブ曲で、もうやりたい放題です。逆回転やサンプリングやVoのディレイ処理等々。それでもポップに聴かせるのは、彼の才能ですね。 ★B5 “Kleines Stubenmädchen” (3:40)は、シンセBで始まりますが、可愛いらしい曲調と女性Voによるポップソングに仕上がっています。間奏のストリングスが程良い感じです。 ★B6 “Katharina” (4:00)は、シンセBと生Drsの リズム隊とピアノを背景に、変調Voが入る曲で、ちゃんとポップソングとして成立しているのが、Dorauらしいです。 ★B7 “Höllentingeltangel” (2:53)は、性急なビートとホーン類(?ストリングス・シンセ?)から成る曲で、変調Voで歌いまくっていますが、これは既知の曲のセルフ・カバーですね。 Dorauのソロ名義よりも、意外と女性コーラスや女性Voも使っていて、その分量が何とも良い塩梅になっており、今で言う「地下アイドル」っぽいかな?と感じました。やっぱりDie Marinasはあるんだなと!それにも増して、Dorauの作曲能力の凄さが感じられ、所謂「Andreas Dorau節」と言うべき節回しと引き出しの多さとアレンジが優れていると実感しました。後、Dorauの声がまだ幼い感じが残っており、それが何とも言えず、気恥ずかしいような気がします。まぁ人それぞれだとは思いますが。この作品をもって、Die Doraus & Die Marinas名義での音源は終わります! https://youtu.be/ZCXB2K5p-Fw?si=Qb7am7fOwM-J6x4z [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_k1IpGjoDGgkMrCN5jgj9fi9JGLCUP2PE8&si=lU0JzCr1shxXNxot #DieDorausUndDieMarinas #DieDorausUndDieMarinasGebenOffenherzigeAntwortenAufBrennendeFragen #BureauB #2012年 #Reissue #CBS #1982年 #SecondAlbum #DieMarinas #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #NewWave #PopSong #FemaleChorus #AndreasDorau #JürgenKeller #MoritzVonOsswald #ChristianKellermann #Young-HackChi #HelgeGabrecht #StudioMusician #FrankSamba #PeteJeckyll #RalfNowi #RolfAlbrich #Producer #FrankFenstermacher #Pyrolator
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Pop Song Bureau B (CBS) €40.99Dr K2
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Hans-A-Plast “2”
またまた、来ましたよ、Hans-A-Plastです。彼等は、1978年結成のHannover出身の独パンクバンドの古参で、以前に、彼等のライブ盤とファースト・アルバムをご紹介していると思うのですが、覚えていらっしゃいますか? 今回は、彼等のセカンド・アルバム”2”をご紹介します。Hans-A-Plastのバイオグラフィーは前回、書いてありますので、そちらをご参照下さい。メンバーは、いつものAnnette Benjamin (Vo, Sax), Jens Meyer (G, Vo), Micha Polten (G, Vo), Renate Baumgart (B, Vo), BettyことBettina Schröder (Drs, Vo)の5人組で、内容は、A面7曲/B面5曲となっています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。因みに、2021年にバンドの創設者でもあるJens Meyerは他界しています。 ★A1 “Spielfilm” (2:40)は、インダストリアルなイントロから始まるノリのよいパンキッシュな曲で、間奏の鈴の音も良いです。 ★A2 “Reicher Vati” (2:42)も、パンキッシュな元気一杯の曲ですが、ここに来て漸く、BenjaminのSaxプレイが聴けました。 ★A3 “Kunde Und Vieh” (3:30)は、シンコペーションなリズムも持ち合わせたアップテンポな曲ですが、最早、ポストパンクです。スキャットやBソロもあり、曲構成も凝っています。 ★A4 “Dicke Kinder” (2:37)は、それぞれが何となく勝手に音出ししているようなフリーなイントロから始まる、切羽詰まったような曲調が秀逸で、Saxも聴取できます。 ★A5 “Sicherheit” (2:42)は、独特なユーモアを感じることが出来る何処か変な曲で、それが結構速いテンポで演奏されています。最後のコーラスもグー! ★A6 “Machtspiel” ~ ★A7 “Eidexe Kriech (3:31)は、闇を切り裂くGで始まり、アップテンポな小気味良いポップパンクな曲と成りますが、その内、軍靴の靴音に合わせた、何とも心許ない合唱になっていきます。まるで、予測不可能な面白さです。A6とA7はメドレーです。 ★B1 “Humphrey Bogart” (2:47)では、単に直線的なビートだけではなく、突っかかるビートや緩急を付けたり、反復したりと中々凝った構成になっており、上物にはコーラス等を使ったりと曲構成も意外と複雑です。 ★B2 “Kurz Und Dreckig” (3:09)も、最初のコーラスで油断していたら、いきなりアップテンポなビートをかましてくれます。間奏ではSaxソロや時に聴かれる変なブレイクとかもアイデア一杯で絶品です。 ★B3 “Tuaregs” (5:25)は、ミドルテンポで、自在なSaxソロやGのリフで始まりますが、Voが出てくると硬く垂直飛びをするようなビートになります。スローな曲ですが、Saxも沢山入っています。 ★B4 “Ich Zünd Mich An” (2:10)では、Gのリフから始まるアップテンポな曲で、早口Voと対比して、途中のGのリフがしょぼくて素敵ですね。最後はスパニッシュっぽいアンサンブルで終わります。 ★B5 “Mono-Ton” (3:49)は、最初、片方のスピーカーからしか音が出ておらず、故障か?と思い、そのまま聴いているとアップテンポのパンキッシュな曲なんですが、意外とGもフリーキーにかき鳴らされています。途中で反対側から人声が聴こえてきて、わざとなんだなと安心しました。 確かに、このアルバムは、単にパンクの枠では収まらずに、割と変なアレンジやちょい複雑な曲構成も聴けて、Hans-A-Plastのよりフリーキーな面とかポストパンクな面が出てきているようです。なので、このメンツでは最高峰の出来ではないでしょうか?また、Bの音も充分聴こえ、そのフレーズも絶妙で、また、BettyのVoとの掛け合いも良い味付けになっています。しかも、独逸語歌詞を早口で歌ったりして、独特のユーモアもあり、正しく、Hannoverの代表的ポストパンク・バンドに成長していますね。なので、ポストパンク好きなリスナーさんはトライしてみては如何ですか? 因みに、元々、彼等はX-Ray Spexのライブで衝撃を受けて、バンドを始めたようです。 https://youtu.be/B_YGaSe5scs?si=tMRk_KzSumHk00HU #Hans-A-Plast #2 #TapeteRecords #Reissue #2023年 #NoFunRecords #1981年 #2ndAlbum #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Punk #PostPunk #AnnetteBenjamin #JensMeyer #MichaPolten #RenateBaumgart #BettinaSchröder
Neue Deutsche Welle (German New Wave) Post Punk Tapete Records (No Fun Records) €10.00Dr K2
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Stephen Mallinder “Pow-Wow”
Stephen Mallinderと言えば、ご存知、Cabaret Volaire (キャバレー・ヴォルテール、略称Cabs[キャブズ])のVo/Bとして長年活動してきましたが、最近、Cabsを脱退して、Phil Winter及びBengeと共にWranglerを結成しています。彼は、そう言ったグループ活動と並行して、ソロとしても活動しています。今回は、彼のソロアルバムとしては一番古いアルバム”Pow-Wow”を紹介したいと思います。Cabsについては既に書いていますが、Mallinderについてのバイオグラフィーは書いていませんので、ここで、改めて書くことにします。 Stephen Mallinderは、英国シェフィールドで1955年1月1日生まれで、1973年にCabaret VoltaireをRichard H. KirkとChris Watsonと共に結成し、Western Worksにて様々な音楽的実験を試みたおり、Cabsとしては30枚以上のアルバムをリリースしています。1995年に豪州に移住し、10年間そこで暮らしています。1996年には、Pete Carrolと共にOffWorld Soundsを運営し、Western AustraliaのMurdoch大学で、論文”Movement - Journey Of The Beat”を執筆し、博士号を取得しています。その後、英国に戻りBrighton大学で教鞭を取る傍ら、Phil Winter及びBengeと共にWranglerを結成して、未だ現役のミュージシャンでもあります。もう少し、詳しく書いておきますね。Mallinderは、Cabsと並行して、1980年代には、既にソロワークも始めており、その中には、本作品でもあるアルバム”Pow-Wow”も含まれています。1988年にはSoft Cellのメンバー達と、Love Street名義で録音も行っており、1989年には、MinistryのAl Jourgensen達とのバンドAcid Houseのメンバーでもありました。ちょっと話しが前後しますが、1982年に、英国初の自主制作ビデオレーベルDoublevisionをRichard H. Kirkと設立し、1990年には、そのビデオレーベル関係のレコードレーベルPlastex Recordsも始めています。その後、豪州に渡ってからは、Ku-Ling Bros.やSassi & Loco名義での作品のリリースの為、1998年に、Off World Sounds/Productionsも始めています。Mallinderは、豪州に渡った時には、音楽ジャーナリストとしても働いており、Ministry Magazine, Sunday Times, The West Australianに音楽記事を書いていました、また、コミュニティ・ラジオRTRFMのプレゼンテーターやプロデューサーも務めています。また、2000年代になると、本の執筆も手掛けるようになります。例えば、2013年に発刊された、Benjamin Halligan, Nicola Spelman, Michael Goddard編集の書籍”Resonances: Noise and Contemporary Music”でも1章執筆していますし、同年、S. Alexander Reed編集の本”Assimilate: A Critical History of Industrial Music”では、表書きも書いています。後、博士号については、前述の通りです。それで、最近の音楽活動ですが、まず、Fila Brazilliaの片割れのSteve ConnyとHey, Rube!名義で録音開始、2012年10月にファースト・アルバム”Can You Hear Me Mutha?”をリリース、Ku-Ling Bros.のファースト・アルバム”Creach”が2001年に米国でリイシューされ、その後、2010年にアルバム”Here Come the Astronauts”をリリースしています。2014年2月には、プロデューサー兼リミキサーDub Mentorとのコラボシングル”Obsession”をリリース、これにはCabsの曲も収録されています。また、先述のように、Phil WinterとBengeとWrangler名義で、3枚のアルバム” LA Spark” (2012年), “Sparked” (2014年), “White Glue” (2016)を出しています。また、2014年には、地元SheffieldのバンドClock DVAとIn The Nurseryのメンバーと一緒にIBBERSON名義でのパフォーマンスも行っています。そうして、2019年には、再びDub MentorによるAnna Dominoの”Lake”のスポークン・ワード・ヴァージョンのシングルを作成しており、まだまだ、彼の活動は衰えないようです。 以上が、Stephen Mallinder個人の活動歴なのですが、本作品”Pow-Wow”は、ソロとしてのファースト・フルアルバムに当たる訳で、ゲストには、Alan Fisch (Drs)とLast Few Days (Daniel Landin, a.k.a. D. Styme, Si Joyce, a.k.a. Si Gross, Keir Wahid, a.k.a. K. Warhead & K. Fraser)の3人が参加しています。内容は両面とも6曲ずつで、リリースは、当時、この界隈で人気のあったレーベルFetish Recordsからです。それでは、各曲についてご紹介していきますね。とは言っても、1分前後のインターバルな曲も入っていますので、実質的な曲としては合計8曲と考えてもらって構いません。 ★A1 “Temperature Drop” (5:02)は、リズムマシンとスチールドラムと簡素なBから成るダブ的ミックスの曲で、時に聴こえるVoやノイズが何とも不穏でダークな雰囲気が、初期Cabsっぽいです。 ★A2 “The Devil In Me” (5:01)は、バシャバシャしたリズムマシンとスラップ奏法のBに、シンセやG、不可聴なVoが挿入されるジャンク・ファンクな曲です。 ★A3 “0.58” (0:58)は、ヨレヨレのパルス音とホワイトノイズのスネアから成る小曲です。 ★A4 “Pow-Wow” (3:23)は、リズムマシンのキックとPercが引っ張っていく曲ですが、エフェクターを掛けたBもシンプルなリフを重ねています。トランペット音の残骸等も挿入されていますが、これらは多分サンプリング? ★A5 “Three Piece Swing” (2:52)は、ノリの良いリズムマシンに、テープ音やB等から成る曲ですが、Gのカッティングも入っているのかな? ★A6 “Cool Down” (3:55)は、音色がもろCabsのリズムマシンで、そこにシンプルなBやノイズが纏わりついていくます。これもCabsっぽい曲です。 ★B1 “1.37” (1:37)は、笛(?)の音のループに打楽器のループが重なっていきます。 ★B2 “In Smoke” (3:37)は、四つ打ちキックに上物(ブラスや打楽器、Vo等)が乗っていく曲で、いつの間にか”not funky”なBも加わってきます。 ★B3 “1.59” (1:59)は、金属を擦るような微音ノイズから成る小曲です。 ★B4 “Length Of Time” (6:05)は、シンセで作った機関車のようなリズムとシンセのリフで持って行くような曲で、まるで除雪車が走っているような曲で、段々と盛り上がっていきます。 ★B5 “1.34” (1:34)は、テープ音とワイヤーの音(?)のループから成る小曲です。 ★B6 “Del Sol” (5:36)も、Cabs直系のリズムで、簡素なBとGも初期Cabsっぽいですが、割とGがコードをちゃんと弾いてますし、Voも聴こえる方ですが、その分、首を絞められそうな音楽になっています。 と言う訳で、Stephen Mallinderのソロ第1作目ですが、Voの無い、初期Cabsの鬱々としたマシン・ミュージックをそのまま受け継いでいるようにも思えますね。しかしながら、本作品の方がヴァリエーションが豊富で、自由度も高いと思います。まだ、後のエレクトロ・ファンクな面は見せていませんが、それでもちょこっとだけ、その片鱗も伺えます。Cabsの”Voice Of America”辺りが好きな方ならきっと気に入るでしょう!それにしても、Mallinderの創作意欲は衰えを知りませんね。 https://youtu.be/hp4DT4d1mfA?si=r3StdBvwMjv2myc4 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mjFyGgTRLdWtoCm4vqsb6CMNWrWnY9nFk&si=a6cIwjdbBboRsX0b #StephenMallinder #Pow-Wow #FetishRecords #FirstSoloAlbum #日本盤 #CabaretVoltaire #Wrangler #Industrial #LeftField #Electro #Guests #AlanFisch #LastFewDays
Industrial / Left-Field Funk / Electro Fetish Records 不明Dr K2
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Harmonia “Live 1974”
またまた、来ましたよー!独のHarmoniaの1974年のライブ音源”Live 1974”です。本当は購入するつもりはなかったのですが、送料の関係で、一緒に注文してしまいました。Harmoniaのバイオグラフィーについては、以前にも書いてありますので、そちらをご参照下さい。簡単に言ってしまえば、Cluster+1/2Neu!って感じでしょうか?これじゃあ、ザックリし過ぎですかね。まぁ、メンバーは、Michael Rother (G, E-Perc, Piano, Organ), Hans-Joachim Roedelius (Organ, Piano), Dieter Moebius (Synth, E-Perc)の3人です。今回は、1974年3月23日に、独逸GriessemのPenny Stationでのライブ音源から、A面2曲/B面3曲と言う内容になっています。それでは、各曲について紹介していきましょう。 ★A1 “Schaumburg” (10:45)は、淡々とE-Percのリズムが刻まれる中、Rotherが伸びやかにGを弾きまくり、それに絡むようにエレピやシンセも入ってくる心地よい極楽浄土な曲です。ミックスがまた「変」なところもあって、それぞれの音量が微妙です。 ★A2 “Veteranissimo” (17:25)も、可愛らしいE-Percのフェイドインから始まり、オルガン?シンセ?の音が微かに聴こえてくると同時に、低音リズムが強調されたり、Gやエレピが入ってきたりしますが、基本のリフは一定ですので、心地よいです。しかしミックスが変! ★B1 “Arabesque” (5:20)では、手弾きシーケンスにGが絡んでいきますが、微かにE-Percの音も聴取できます。どちらかと言うとG主体の曲ですね。 ★B2 “Holta-Polta” (15:00)は、一転、強力なE-Percのリズムに、ヴァイオリンのようなヒュルヒュルしたシンセやGが入ってくる曲で、何か催眠的な雰囲気になります。 ★B3 “Ueber Ottenstein” (9:30)は、ちょっとエスノなリズムとGとシンセの混合物のような曲で、どの音も自由に放射されています。この曲でもRotherのGが効いてますね。 このアルバムで面白いと思ったのは、ミックスですね。E-Percなのに、全然「機械的」な感じではなく、それぞれの楽器の音量を上げたり下げたりして、意図的に音同士の距離感を錯覚するように操作され、それにより、曲としては、何か「生き物」のような(有機的)音楽として成立しています。このミックスを実際のライブで行っていたのか?後でミックス・ダウンしたのか?は分かりませんが、面白い効果だと思いました。目から鱗!それと、全体的にはRotherの演奏が目立つようにも思いましたが、そこら辺は好き好きかと。スタジオ盤とはまた違う印象なので、気になる方には、一聴をお勧めします❗️ https://youtu.be/1Tl5fvP7LBM?si=IqBDtvFp2AZPfoXO #Harmonia #Live1974 #GrönlandRecords #Reissue #LiveAlbum #Krautrock #Electronic #Mixing #ElectronicPercussions #Guitar #Piano #Organ #Synthesizers #PennyStation #Germany #MichaelRother #Hans-JoachimRoedelius #DieterMoebius
Krautrock / Electronic Grönland Records €18.00Dr K2
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B.C. Gilbert & G. Lewis “3R4”
久しぶりですねー、あのWireのGだったBruce C. GilbertとBのGraham Lewisが、Wireの解散後、またDomeの結成前に制作したのが、pre-Domeとも言える本作品”3R4”です。実は、Domeは大体好きだったのですが、本作品はすっかり買い忘れており、後に、何とか入手したのです。ただし、Superior Viaductがリリースした再発盤なんですけど。そこら辺の契約については詳細が不明ですが、何せ、このレーベルは過去の名作と言われるアイテムを結構、再発していますので、要注目です。GilbertとLewisについては、WireやDomeの項目で、既にバイオグラフィーについては書いていると思いますので、そちらをご参照下さい。 本作品の参加者は、B. C. Gilbert (Perc [A1,A2], G&B [B1, B2]), G.Lewis (G&Synth&Tape [A1,A2], Perc)の他、Davyd Boyd (B, Voice&Others [B1,B2]), Russell Mills (Perc [A1,A2]), John Fryer (Tape [B1, B2])がゲスト参加しています。その後のGlibertとLewisが、あの硬質で無機質のDomeを結成したことを考えると、本作品は、まだそこまでの冷徹さは感じませんが、逆にWireがファースト・アルバム”Pink Flag”で1〜2分の短い曲を連射していたことを考えると、長尺の曲に挑戦しているだけで、興味深いじゃありませんか? なお、本作品は、MuteのBlackwing Studioで、1980年9月2日〜7日と言う短い期間で制作されています。それでは、本作品の各曲をご紹介していきましょう(ただ、A1とB1とは同名異曲です)。 ★A1 “Barge Calm” (1:11)は、プリペアード弦楽器を用いた擬似民族音楽のような小曲です。 ★A2 “3.4 ...” (17:03)は、不明瞭な反復音から始まり、徐々に硬質なインダストリアル音が混在して、やがて、大きなテープ音等が聴こえたかと思うと、不明瞭なBのリフの反復へと変化し、リズミックな電子音や打楽器音も加わり、延々と繰り返される「工場での祝祭」へと変貌していき、フェイドアウトしていきます。 ★B1 “Barge Calm” (1:08)は、インダストリアルな演奏が擬似民族音楽を演奏しているような小曲で、既にDome的ですね。 ★B2 “R” (20:03)も、硬質な音質の様々な音が、まるで工場の機械のようにミニマルに演奏されていますが、唐突にそれらは終わり、伸長した声へと、それから無機質なBとGも加わりますが、またもや工業的なフレーズ/リズムを奏で始め、最終的には、擬似アンビエントに変化して、音の祭儀は終焉に向かいます。 この盤に刻まれているのは、所謂「工業神秘主義的音楽」ではなかろうかと思います。そうして、ここに収録されている音楽は、確かに硬質で冷ややかなインダストリアルなのですが、何故か、民族音楽的な雰囲気を纏っており、その辺りの音作りがDomeへと繋がっていくのではないかと確信させてくれます。また、独特の「間」と言うか「空間」も彼等ならではだと思います。このインダストリアルな冷徹さと反復による祝祭性の同居がGilbert&Lewisの最大の特徴ですね。今、聴いても新鮮です❗️なので、1人でも多くの方に聴いて欲しい1枚ですね。 A1 “Barge Calm” https://youtu.be/rgrgR8H5FCo?si=x-yWUzQq5Kzd2-K- A2 “3.4 ...” https://youtu.be/gaQfoGZ4kS0?si=ps_wg2DfHgK3qIAE B2 “R” https://youtu.be/EN4aK6DhtmQ?si=KYK18FabBl1-IuMN #BruceCGilbert #GrahamLewis #3R4 #4AD #SuperiorViaduct #Reissue #FirstAlbum #Wire #Dome #Collaboration #Experimental #Industrial #Folklore #工業神秘主義的音楽 #Repetition #Guests #DavydBoyd #RussellMills #JohnFryer
Experimental / Industrial 4AD (Superior Viaduct) 不明Dr K2
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Buzzcocks “Another Music In A Different Kitchen”
またまた来ましたよー、今回は、Buzzcocksのフルレングスとしては、ファースト・アルバムである”Another Music In A Different Kitchen”をご紹介します。Buzzcocksのバイオグラフィーは、以前に書いてありますので、知りたい方は前回をご参照下さい。一応、最低限の知識として、Buzzcocksは、英国マンチェスター出身のパンクバンドで、元々はPete Shelley (G)とHoward Devoto (Vo)を中心に、Sex PistolsのUKツアーを観た2人が感銘を受けて、1976年に結成しています。その後、Devotoは脱退して、Magazineを結成します。まあ、そんな感じで、Buzzcocksの方は、Shelleyを中心にメンバーをリクルートしたり、パートをチェンジしたりして、1977年8月16日(Elvis Presleyの命日)に、マンチェスターのElectric Circusにて、United Artists Recordsと契約しています。彼等は、他のパンク・バンドと違い、社会的問題を扱った歌詞ではなく、まあ所謂若者達自身のこと、特に色恋沙汰についての歌詞が多かったこともあって、一部のパンクスからは毛嫌いされていたらしいです。ただ、それも、Shelleyのジェンダーの問題とも関係していたらしいですが。それで、1977年11月4日に、デビューシングル”Organism Addict”をリリースしましたが、ジャケのデザインの良さで、注目されました。しかし、ラジオ局のBBCは、歌詞が余りに性的過ぎるとの理由で放送禁止にしています。この時に、ベースのGarth SmithことGarth Daviesが脱退し、代わりにSteve Garveyが加入しています。そうして、1978年2月3日に、セカンド・シングル”What Do I Get?”をリリースしており、このシングルは、Guitar Hero: Warriors of Rockと言うゲームや映画Ghost Worldに用いられています。それで、やっと、彼等のファースト・アルバムでもある本作品”Another Music In A Different Kitchen”を1978年3月10 日にリリースしています。ただ、曲は、Devotoが在籍していた頃の曲もあり、クレジットとして名前が載っています。参加メンバーは、Pete Shelley (Vo, G), Steve Diggle (G, Vo), Steve Garvey (B), John Maher (Drs, Vo)で、ペースだけはちょっと前のメンバーですね。また、このアルバムは、後に、Robert Dimery編集の書籍”1001 Albums You Must Hear Before You Die (死ぬ前に聴きたいアルバム1001枚)”にも入っています。まあ、それは置いておいて、本作品(A面6曲/B面5曲)の各曲についてご紹介していきましょう。 ★A1 “Fast Cars” (2:07)は、初っ端からアップテンポのソリッドなポップ・パンクな演奏で、血湧き肉躍りますね。タイトルは何かスラングなのでしょうか? ★A2 “No Reply” (2:07)も、アップテンポのポップパンクな曲で、これまたカッコ良いです。ShelleyのVoの声質がまた癖になりますね。 ★A3 “You Tear Me Up” (2:32)も、またまたアップテンポで、その性急さが如何にも1970年代のパンクっぽいですが、演奏自体はタイトでソリッドです。 ★A4 “Get On Our Own” (2:31)でも、ドタドタしたDrsを中心にタイトかつアップテンポでパンキッシュな演奏で、ShelleyのVoもGソロもカッコ良いです。 ★A5 “Love Battery” (2:16)も、アップテンポなパンキッシュな曲で、Gのコードの刻み方も魅力的ですね。あのグランジ・バンドはここからバンド名を取ったのかな? ★A6 “Sixteen” (3:50)は、テンポは早いのですが、6/8拍子で、リズム隊は独自のアレンジが施された曲になっており、間奏部分は何でもありになってしまいます。 ★B1 “I Don't Mind” (2:20)は、ややテンポダウンしていますが、コーラスワークも含めて、イカした演奏で、痺れますね。 ★B2 “Fiction Romance” (4:38)は、やや早めのミドルテンポで、ザキザキとリズムを刻むGとリズム隊が非常にカッコ良く、ShelleyのVoも冴えています。 ★B3 “Autonomy” (3:52)も、やや早めのミドルテンポのリズムGの刻みで走る曲で、VoやリードGもイカしてます! ★B4 “I Need” (2:50)も、テンポの速いアップビートの曲で、コーラスワークもバッチリで、タイトかつソリッドな演奏を聴くことが出来ます。 ★B5 “Moving Away From The Pulsebeat” (5:40)は、タムを存分に使ったDrsのズンドコ・ビートなんですが、他の楽器が皆ソリッドな演奏なので、全然「失速感」は無いです。最後にちょっと◯◯があります。 総じて、このファースト・アルバムは、かなり「パンク」を意識したアップテンポの曲が多く、殆どが2分台の短い曲が中心に収録されています。それでも、A6やB5では単に3コードの8ビートからはみ出すような凝ったアレンジが成されており、恐らくはPete Shelleyのアイデアではないか?と想像します。あっと言う間に終わってしまいますので、もう一度聴きたくなりますね! あと、確かにShelleyの声質は独特なのですが、このファースト・アルバムではそれ程際立っていません。寧ろ、セカンド・アルバムの方が、その特異な声質が目立つ感じです。また、アルバム全体としては「パンク」なので、ここから入ったリスナーさんも多いのでは?と思います。Let's punk❗️ B1 “I Don't Mind” (live version) https://youtu.be/yzHEwX3d2AQ?si=kDA4XEfBthwhHUib [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLT02amAaNVD6EsyEa3dIZmXdHQGykF6zL&si=tSBAb7Z7Cl2G-mXN #Buzzcocks #AnotherMusicInADifferentKitchen #FanClub #UnitedArtistsRecords #Reissue #1978年 #Punk #PowerPop #FirstAlbum #Manchester #Bisexuality #LoveSong #SolidSound #HowardDevoto #Vocal #PeteShelley #SteveDiggle #SteveGarvey #JohnMaher
Punk / Power Pop Fan Club (United Artists Records) 不明Dr K2
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Buzzcocks “Love Bites”
またまた来ましたよー。皆んな大好き、Buzzcocksの登場です!今回は、彼等のセカンド・アルバム”Love Bites”を紹介します。Buzzcocksのバイオグラフィーについては、前回、書きましたので、そちらをご参照下さい。因みに、バンド名の意味は、「唸るチ◯ポ」ではなくて、「Buzzとはステージ上の興奮を、Cockとは北英国のスラングで友達を表すことから、『ステージ上で熱狂する友人達』」のことですから。なお、Buzzcocksは、前回書きましたが、ちょっとだけ補足をしておきます。3枚目のアルバム”A Different Kind of Tension”を出した後、4枚目のアルバムのデモテープを制作中の1981年に解散してしまいましたが、1988〜1989年に、EMIがBuzzcocksの初期のアルバムのバックカタログをCDフォーマットで再発したことや、BBCのJohn Peel Sessionでの録音盤やボックスセット”Product”をリリースしたことで、Buzzcocksは、オリジナル・メンバーで世界ツアーを行うことになりますが、ドラムのJohn Maherは、The SmithsのMike Joyceにツアー中だけ代わってもらってます。そうして、彼等はリユニオンし、4曲入りEP”Alive Tonight”を新録で出し、本格的に復活します。I.R.S. Recordsが、1991年にセルフ・コンピ・アルバム”Operator's Manual: Buzzcocks Best”を出したことから、米国でも彼等への関心が高まります。その後もBuzzcocksは盛んにツアーやリリースで活動を続けています。その中でも、2002年には、ShelleyとHoward Devotoは、1976年以来初めて、コラボ・アルバム”Buzzkunst”を制作し、リリースしていますが、内容は、エレクトロ・ミュージックとパンクを合わせたものだそうで、個人的には是非聴いてみたい作品ですね。前回と書きましたが、Vo/GのPete Shelleyが、2018年12月6日にエストニアのTallinの自宅で、心臓発作で他界してしまいます。その後をことを少し。Buzzcocksは、Shelleyに捧げると言う意味で、様々なゲストVoを入れて活動を続けましたが、彼等はバンドを続ける為に、Steve Diggle (G)が全てのVoを担当することとし、そう言った新体制でのアルバム”Sonics in the Soul”を2022年9月にリリースし、現在も活動中です。 本作品は、ファースト・アルバム”Another Music In A Different Kitchen”のリリース後、6ヶ月後にリリースされたと言うと、「即席アルバム』と思われるかもしれませんが、曲自体の構想が既にあって、かつファーストの評判も良かったことから、このスピード感で、本作品がリリースされたのだと思います。そう言う忙しない行程でリリースされた本作品ですが、1978年のアルバム・チャートは13位を獲得し、26日間の英国ツアー後、シングルカットされた”Ever Fallen in Love (With Someone You Shouldn't've)"は、1978年10月の英国チャートで12位にまで昇り、また12月にリリースしたシングル”Promises”も英国チャートで20位にまで達しています。また、シングルB面の”Lipstick”は、Magazineのデビュー・シングル”Shot By Both Sides"と同じコーラス・パートを使っていたのは良く知られた事実です。それで、セカンド・アルバムである本作品録音時のメンバーは、Pete Shelley (Vo, G, Kbd), Steve Diggle (G, Vo), John Maher (Drs), Steve Garvey (B)です。では、本作品の内容(A面6曲/B面5曲)について、各曲を紹介していきましょう。 ★A1 “Real World” (3:29)は、GのリフとBのリフがソリッドで、Shelleyの独特の声質のVoが良く映え、メロも切ないです(Pere Ubuの曲とは同名異曲)。 ★A2 “Ever Fallen In Love (With Someone You Shouldn't 've?)” (2:40)は、もう何も言うことの無い名曲中の名曲ですね。スピード感もソリッドな音そしてShelleyのVoの魅力が一杯詰まっています。 ★A3 “Operators Manual” (3:30)も、ゴタゴタしたリズム隊にGのコード弾きが乗り、サビでは3拍子になると言った、彼等にしては珍しいアレンジの曲です。 ★A4 “Nostalgia“ (2:51)は、典型的はBuzzcocksサウンドです。スピード感も申し分も無く、Shelleyも歌いまくっており、ちょっと甘酸っぱいメロにも興奮します。 ★A5 “Just Lust” (2:57)も、正にBuzzcocksそのものな曲で、更に早いテンポでのパンクな演奏で痺れますね。メロディ・ラインもエクセレント! ★A6 “Sixteen Again” (3:14)も、最早、金太郎飴なんですが、ソリッドでカミソリのような演奏に、歌いまくるShelleyのVo、もう堪りません!ちょっと甘酸っぱいところもミソです。これは1st収録曲”Sexteen”へのアンサーソングでしょうか? ★B1 “Walking Distance” (1:58)も、MaherのタイトなDrsとスピード感溢れるBとG、これだけでご飯3杯お代わりできます。因みにインスト曲です。 ★B2 “Love Is Lies” (3:10)は、意外にアコギを使った曲で、英国らしいアンサンブルが感じられ、Shelleyもしっとり気味に歌っています。隠れた名曲ですね。 ★B3 “Nothing Left” (4:23)では、ロータムのDrs後、堰を切ったように、始まるソリッドな演奏とShelleyのVoがビンビンにパンク心を刺激します。間奏のGソロもフリーキーでカッコ良いです。 ★B4 “E.S.P.” (4:39)も、2本のGを上手く使ったアレンジで、パンキッシュでソリッドな演奏に、同じリフを弾き続けるGが心地良く、素晴らしいです! ★B5 “Late For The Train” (5:51)では、リズムマシンのようなMaherのタイトかつ変則的Drsに、BとGの刻みがマッチしており、途中で、逆回転Gソロが挿入されるところもちょいと実験的なインスト曲で、グッときますね。そしてブレイクも! 個人的には、このアルバムも楽しめましたねぇ。元々は、私はセルフ・コンピ”Singles Going Steady”CDで、Buzzcocksを聴いていたのですが、そうすると、如何にもパンクな曲しか収められてはおらず、個々のアルバムに含まれているちょっと変わった毛色/実験的な曲を聴き逃してしまってました。例えば、A3のアレンジ、B1やB5のインスト曲やB2でのアコギを使った曲等も、ちゃんと聴いてこなかったのは後悔しました。それから、今回、聴いてみて思ったのは、John Maherのドラムの凄さです。勿論、Buzzcocksの魅力はそのソリッドなアンサンブルなんですが、とにかくそれを支えているMaherのDrsは凄いです。そんな発見をしたアルバムです。パンクのオリジネーターの諸バンドは、やはりひと癖あるので、パンクだからと馬鹿にせずに聴いてみて下さい❗️ A2 “Ever Fallen In Love (With Someone You Shouldn't 've?)” [live version] https://youtu.be/rQgjLkVzd8A?si=zy7Fq-kZms04QIYb [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mYTm4eShV63LiQ11dQ2O-uzPqHlAa487E&si=yNIhQT747OrW-zYy #Buzzcocks #LoveBites #Fame #UnitedArtistsRecords #Reissue #SecondAlbum #Punk #PowerPop #1978年 #Manchester #Bisexuality #LoveSong #SolidSound #Vocal #PeteShelley #SteveDiggle #JohnMaher #SteveGarvey
Punk / Power Pop Fame (United Artists Records) 3800円Dr K2
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Gaznevada “Sick Soundtrack”
これも、何で買ったのか?謎の1枚です。伊のGaznevada (ガズネウァグ?)のセカンド・アルバム”Sick Soundtrack”を今回は紹介しましょう。余りに無知だったので、ちょっと調べてみました。元々は、イタロ・ディスコの古典とも呼ぶべき曲”Special Agent Man”や”I.C. Love Affair”で人気が出たバンドとして有名になったのですが、その元は、パンク/ニューウェーブ/ノーウェーブな領域から始まったミニマル/シンセウェーブ・バンドなんです。バンドは、1977年、伊ボローニャで結成されており、その時のメンバーは、Billy Blade (本名: Alessandro Raffini; Sax, Kbd, Vo), Andy Droid或いはAndrew Nevada (本名: Giorgio Lavagna; Vo, Electronics), E. Robert Squibb (本名: Ciro Pagano; G), Bat Matic (本名: Marco Dondini; Drs), Johnny Tramonta (本名: Gianpietro Huber), Nico Gamma (本名: Gianluca Galliani)でした。グループ名は、Raymond Chandlerの本”Nevada Gas”を文字って付けられました。1978年には、「Gaznevada、Ramonesを歌う」と言うコンサートをやっており、最初期は、Andy WarholのThe Factoryのような場所Traumfabrikを中心に活動していました。それで、1979年に伊の自主制作レーベルItalian Recordsの傘下Harpo's Musicから、セルフタイトルのカセット作品を出しています(後にLPで再発されています)。その後、メンバーの交代があり、Chainsaw Sally或いは或いはMarco Nevada (本名: Marco Bongiovanni ; B)が加入し、Johnny TramontaとNico Gammaが脱退しています。そうして、1980年に、本作品でもあるセカンド・アルバム”Sick Soundtrack”をItalian Recordsからリリースしていますが、前作がパンクっぽい荒削りな音作りだったのに対して、グッとニューウェーブ風の音作りになっています。この時のマルチトラックのマスターテープは紛失していた為、今回の再発にあたっては、バンドのメンバー自身による追加演奏を追加したと言う前代未聞のリメイク企画になっています。また、フリーキーなSaxやTalking Heads的なファンクネスも合わせ持っており、その3年後の、イタロ・ディスコ・ヒットとは同一バンドと思えない位、パンキッシュです。その後、1981年にミニアルバム”Dressed to Kill”を出しています。1982年には、Andy Nevadaを中心にサイドユニットThe Stupid Setが作られ、よりエレクトロな音楽を始めています。そうして、1983年に、アルバム” Psicopatico Party”をリリースし、そこからのシングルカット”I.C. Love Affair”が、イタロ・ディスコとして大ヒットします。その後、1985年に大手レーベルEMIからアルバム”Back To The Jungle”を、1988年には、CBSからアルバム”Strange Life”をリリースしていますが、これが最後のアルバムになり、バンドは解散しています。特に、イタロ・ディスコとの関係が出来た1983年以降は、随分とスタイリッシュな音楽になっています。 とまあ、伊語読めないので、これ以上はよく分かりませんが、大体のあらすじはこんな感じです。それでは、本作品”Sick Soundtrack”について紹介していきます。この時のメンバーはBilly Blade (本名: Alessandro Raffini; Sax, Kbd, Vo), Andrew Nevada (本名: Giorgio Lavagna; Vo, Electronics), E. Robert Squibb (本名: Ciro Pagano; G), Bat Matic (本名: Marco Dondini; Drs), Chainsaw Sally (本名: Marco Bongiovanni ; B)の5人組で、A面4曲/B面5曲が収録されています。裏ジャケとかにはデカデカと日本語でバンド名が書いてあり、インナーにも、日本語での歌詞カードも付いていますが、何だかそれだけでも「ゲテモノ」っぽい感じがプンプンしますね。それでは、各曲について紹介していきます。 ★A1 “Going Underground” (2:11)は、いきなりリズムマシンと生Drsの同期リズムで始まり、直覚的ビートとSaxとVoでかなりニューウェーブ的にカッコ良い曲です。Gのリフもグー! ★A2 “Japanese Girls” (4:34)は、ややゆったりとしたポストパンク的な曲で、Gの音色とSaxがそれっぽいし、リズムマシンも使っています。またディレイを掛けたVoが怪しげでもあります。 ★A3 “Shock Antistatico” (3:20)は、かなりカッコ良いGのリフが持って行くような曲で、The Contortionsっぽい。 ★A4 “Pordenone UFO Attack” (4:35)は、またまたニューウェーブ曲ですが、Gは更にThe Contortionsっぽグループなっています。また怪しげなKbdも良い隠し味です。最後のSEが如何にもです! ★B1 “Tij-U-Wan” (3:42)も、リズムマシンと怪しいメロディのKbdで始まり、その途中から急に激しい生DrsとGのリフでアップテンポの曲が始まります。 ★B2 “Oil Tubes” (4:30)も、聴き方によっては、コンピ”Clear Cut”に入っていそうな曲で、珍しく爽やかさを感じます。が、やはり体臭が匂ってきそう。最後は骨折しそうな曲調に! ★B3 “Nightmare Telegraph” (3:19)は、またまた重めのリズムマシンとペケペケのGで始まり、微かに聴こえるフリーキーなSaxがムチウチ起こしたJames Chanceのよう? ★B4 “Walkytalkin'” (3:03)は、如何にも陽キャなニューウェーブな曲ですが、オルガンがキャッチーな隠し味になっていますね。最後はテープの再生速度が遅くなります。 ★B5 “Now I Want To Kill You (Joe Takes The Machine Gun)” (4:24)は、どうもライブトラックらしいが、ドカドカしたDrsとSaxとBによるゴッツリした録音で、Voは何となくプレスリーっぽい? 歌詞がほぼほぼ全て英語なのはちょっとだけ残念だけれども、曲そのものは、ニューウェーブ的と言うか、バッチリと時代を反映しているようで、更にそこに汗臭い体臭を加えたような垢抜けない感じが如何にもイタリア産の音楽と言う感じです❗️まあ、あんまり真夏には聴きたくないかもしれませんが、こんな伊っぽいニューウェーブも偶にはいいんじゃないかな? B1 “Tij-U-Wan” https://youtu.be/XTl8T_Ij7ak?si=dczWHA-BEXlpuHJz [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lV-Rfa88I_tP6ZlsJaZBx2gm6jntMz9-w&si=wqVIfxPTxMYuXXok #Gaznevada #SickSoundtrack #ItalianRecords #Disordine #Reissue #Repress #NewWave #NoWave #Punkish #Italian #1980年 #BillyBlade #AndrewNevada #ChainsawSally #E.RobertSquibb #BatMatic #Italo-Disco
New Wave / Synth Pop Disordine (Italian Records) 2300円Dr K2
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Be-Bop Deluxe “Sunburst Finish”
今回は、Bill Nelson繋がりで、Be-Bop Deluxeを紹介します。元々は、1972年に、Bill Nelson (Vo, G, Songwriting)が中心となって、英国West YorkshireのWakefieldで結成されたバンドで、その時のメンバーは、Nelsonの他に、Ian Parkin (G), Robert Bryan (B, Vo), Nicholas Chatterton-Dew (Drs), Richard Brown (Kbd)でした(Richard Brownはその年の12月には脱退)。名前からすると、ビーバップを演っていそうでしたが、彼等は全くそのような音楽は演ってはいません。また、David Bowieとも比較されたりしていましたが、Nelsonはその比較を嫌がっていました。それで、彼等は、EMI傘下のHarvest Recordsと契約し、1974年に、ファースト・アルバム”Axe Victim”をリリース、そしてツアーに出ていますが、Nelsonは、メンバーを一新し、Cockney RebelのPaul Jeffreys (B)とMilton Reame-James (Kbd)を加入させ、またSimon Fox (Drs)も誘いますが、JeffreysとReame-Jamesは直ぐに脱退し、代わりに豪州のMississippi and Healing Forceに在籍していたCharlie Tumahai (B, Vo)が1974年後半に加入します。このラインナップで、セカンド・アルバム”Futurama”を1975年に録音しています。この時、ツアー・メンバーであったAndrew Clark (Kbd)がゲスト参加しており、後に正式に加入しています。このラインナップは、1978年のバンドの解散まで続きます。彼等の音楽は、プログレやグラム及びハードロックの美味しい所をスタイリッシュに取り入れており、本作品でもあるサード・アルバム”Sunburst Finish”からのシングルカット曲”Ships In The Night”には、Billの弟Ian Nelson (Sax)も参加しており、Be-Bop Deluxe史上、最も売れました。また、このアルバムでは、初めて、EMI専属のJohn Leckieがプロデュースにも携わっており、最後のアルバム”Drastic Plastic”まで、更には、Bill Nelson’s Red Noiseまで続きます。そうして、米国ツアーの時に着想を得た組曲を含む、4枚目のアルバム”Modern Music”を同年1976年にリリースし、翌年1977年には、ライブ・アルバム”Live! In The Air Age”を出しています。そうして、1978年に、彼等は仏南部のJuan-Les-Pinsで録音した5枚目のアルバム”Drastic Plastic”をリリースしますが、このアルバムは、パンクやニューウェーブそしてDavid BowieのBerlin3部作からの影響を強く受けており、バンド活動初期のプログレやギターロックからのスタイルとは大きく方向転換しています。ただ、このような大きな音楽性の変化故に、NelsonはBe-Bop Deluxeを解散することにしたようです。その後、NelsonはClarkと共にRed Noiseを結成し、1枚のアルバム”Sound-On-Sound”を制作後、ソロ活動を始めています。 と言う訳で、本作品”Sunburst Finish”について紹介していきたいと思います。まず、この時の参加者は、Bill Nelson (Vo, G, Harmonica, Perc, Bells), Andrew Clark (Kbd), Charles Tumahai (B, Vo, Perc), Simon Fox (Drs, Perc)で、ゲストとしてIan Nelson (Alto Sax [A3])とAndrew Powell (Orchestral Arrangements [B3, B4])も参加しています。まだ、この頃までは、何れのアルバムも”ギター”をモチーフとしたアルバム・タイトルやジャケ写で、まだ、グラム・ロックっぽさがありますね。それでは、各曲について紹介していきたいと思います。 ★A1 “Fair Exchange”は、初っ端から元気一杯の「これぞ!グラム・ロック」な曲で、曲自体もノリが良くてグー!NelsonがGを弾きまくってます。 ★A2 “Heavenly Homes”は、ゆったりまったりしたバラード調の曲で、リリカルなピアノに合わせて、Voもしっとりと歌い込んでいます。 ★A3 “Ships In The Night”は、Kbdの刻みが特徴的なイントロで始まる良質なポップ・ミュージックで、Bラインもカッコ良いし、間奏でのIan NelsonのSaxやClarkのオルガンもグー! ★A4 “Crying To The Sky”は、ややしつとり系の曲で、優しく歌うNelsonのVoや間奏での激情的Gソロも聴きどころですね。 ★A5 “Sleep That Burns”は、間奏にスパニッシュなテイストを入れたりするやや複雑な構成の曲で、NelsonがGを弾きまくっているのにも、痺れますね。 ★B1 “Beauty Secrets”は、アコギで始まり、ピアノやオルガンなんかも使った如何にもゴージャスなアレンジの曲です。 ★B2 “Life In The Air-Age”もB1に連続して、パーカッションから繋がる曲で、ここでもNelsonのGとVoは生き生きとしていて、カッコ良いです。 ★B3 “Like An Old Blues”は、とにかく艶のあるゴージャスだけれども、跳ねるようなブギのリズムが心地良い曲です。間奏でもGやハーモニカは弾きまくりです。 ★B4 “Crystal Gazing”は、アコギとストリングスで始まるしっとりしたバラードで、Powelのアレンジが効いてます。 ★B5 “Blazing Apostles”は、ノリの良いGを全面に押し出した曲で、それを支えるハモンド・オルガンも絶妙な隠し味になっています。あと、曲構成自体は複雑です。 このアルバムでのBe-Bop Deluxeは、プログレ要素を含んだグラム・ロック的なノリで、まだまだシンセなんかも殆ど使っておらず、古いタイプのブギ的な曲が多いですね。それが良いとか悪いとかは別にして、そう言う時代性を上手く反映していたのではないかと思われます。まあ、曲構成も複雑なのは、プログレの影響なんですが、それをポップ・ミュージックに落とし込んだのが、素晴らしいです❗️是非ともご一聴を! A3 “Ships In The Night” https://youtu.be/FSYDqLmnYEA?si=iG-239E9Ym0brm2V [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kuh7ruwClwnIPoDIICtt4xPoUZ1IIYemc&si=EXAYoFo6s9mrOxFV #Be-BopDeluxe #SunburstFinish #Fame #HarvestRecords #Reissue #GlamRock #ProgressiveRock #PopMusic #Guitar #BillNelson #AndrewClark #CharlesTumahai #SimonFox #IanNelson #AndrewPowell
Glam Rock Fame (Harvest Records) 不明Dr K2
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Ptôse “Ignobles Limaces”
ここまで来て、何かが足らないなぁと思って、よくよく考えたら、仏地下ポップ界の重鎮Ptôse Production、PPPことPtôseを紹介していないことに気が付きました!そこで、先ず、Ptôseのバイオグラフィーを書いておきます。Ptôseは、1979年に仏の地方都市Niort (二オール)で、Lionel JarlanとBenoît Jarlanが中心となり、Pascal ‘ZZe’ Elineau, Ericka Irganon, Li Khui, Patrick Pichonも巻き込んで結成されています。そうして、1980年代には、国際的カセットカルチャーで活動を拡大していき、コンピ・アルバム1984年作”Three Minute Symphony”、Ding Dongから出た1984年作2本組カセット・コンピ作品” Film noir-American Style”や同年にRecommended Recordsから出たコンピ・アルバム”Voices Notes and Noise”、翌年Auxilio De Cientosから出たコンピ・アルバム”Terra Incognita I”等に曲を提供しており、地下音楽界にその名が知られるようになります。彼等は、一貫して仏語でのミニマルで風変わりなエレ・ポップを作り続けており、仏の「The Residents」とも呼ばれています。また、その一方で、1980-1983年には、DIYで作られた多量のカセットのリリースを自身のレーベルPtôse Production Présente (これを略してPPPと言う)からも行なっております。また、1983年作の名曲”La Nuit des reptiles (The Night Of Reptiles)”をボーナス・トラックに加えたEP” Ignobles limaces”がGazul Recordsから、2005年にはトリビュート・アルバム“Ignobles Vermines - A Tribute to Ptôse”なんかもリリースされています。こう言った活動は、1979年から1987年まで続いていましたが、それ以降は一旦活動を停止します。しかしながら、2000年代になると、独Vinyl On Demandが、彼等の古いカセット作品をコンパイルして、LPとして再発するようになり、その為か、2019年と2021年に一過性に活動を再開しています。2019年には、同国グループPalo Altoとのコラボ・アルバム”Phantom Cosmonauts”をPsychofon Recordsからリリースしています。 まあ、Ptôseの活動は大体上記のようであり、本作品”Ignobles Limaces“も、彼等が1984年にリリースした作品の重量盤での再発です。ここでのメンバーは、Lionel (Lead-Vo, Programming, Xylophone, Balafon, Glockenspiel, Woodblocks, Bells, Gongs, Synth, Noises), Pascal [ZZe] (Programming, G, Synth, Mbira, Vo), Benoit (G, Synth, Vo)で、ゲストとしてPatrick Pichon (Sax [A3, B3])とPhilippe Sabourin (Vo [A4])も参加しています。内容としては、A面5曲/B面4曲となっており、ジャケのイラストは米国人のMark Beyerが描いています。それで、最初、各曲を個別に紹介しようと思っていたのですが、結構、過去曲のアレンジ違い等もあるので、ある程度、まとめて紹介します。 ★A1 “Boule (Viens Ici) !” (2:36) ★A2 “Eat Your Fish !” (2:52) ★A3 “Waiting For My Soul” (2:51) ★A4 “Ecraser La Vermine !” (2:22) A1-A4はどれも良く知られた彼等の曲で、今までもヴァージョン違いが多く発表されてきましたが、今回も、機材の進歩に合わせて、キック強めのマシンリズムと図太いベース・シーケンスに、木琴や独特のメロディを奏でるG等や野卑で芝居がかったVoで、1度聴いた人は皆知っている曲だと思い出させてくれます。このしつこい位のアレンジ力は他に例を見ないですね。 ★A5 “In Your Bush” (3:24)は、私は知らない曲です。しかし、似非アフリカンな曲調で、Percと木琴なんかを使って、それらしい雰囲気を出していますが、その実、全くズレているのが興味深いです。 ★B1 “La Nuit Des Sauriens” (7:10)は、始めはミニマルで重いマシンリズムとベースラインで始まるのですが、いきなりテンポアップして、明瞭なメロディのシンセも加わり、Voやヴォコーダーも入ってきます。 ★B2 “Like A Mouse” (3:24)は、イントロの宇宙電子音から簡素なリズムと太いベースラインにシーケンスに、やる気の無いコーラスワークが光る曲です。 ★B3 “Sticky Soul !” (3:46)では、Faustのような反復さるリズムで、Sax、木琴とG、それぞれのメロディが、如何にもPtôse的な似非ポップな曲です。Gの微妙にズレたチューニングがThe Residentsっぽいです。 ★B4 “The Big Chief” (2:28)でも、呪文のような卑下たVoとヘンテコなアレンジのGが、これまた上手いのか下手なのか良く分からないバックの演奏に乗ってきます。 聴いて思ったのは、確かに「仏のThe Residents」と言うのは、言い得て妙だ言うことです。そんな柔軟な変態性を持ったPtôseは、もっと評価されるべきではないか❗️と確信しました。この不可思議さと正体不明さが彼等の最大の特徴ですね。また、先述のように、彼等は凄いアレンジ力も持っている訳ですが、それを可能にする演奏技術や機材の進歩も凄い訳ですので、その点も評価されるべきですね。そんな彼等の似非ポップ・ミュージックを是非体験してみて下さい‼️ A2 “Eat Your Fish !” https://youtu.be/d-qNaQ5fQBw?si=qdhpWwAeiJam30GG [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mhhOTUn7HfdmlDQLC3Im9pJZ4rDZNPPOE&si=g0SxSJHa5EcSLv01 #Ptôse #IgnoblesLimaces #Ayaa #RepicaRecords #Reissue #French #Avant-Pop #SynthWave #ExperimentalPop #LionelJarlan #Pascal’ZZe’Elineau #BenoitJarlan #Synthesizers #PatrickPichon #PhilippeSabourin
Synth Wave / Experimental Repica Records (Ayaa) €14.00 + postageDr K2
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David Cunningham “Grey Scale”
今まで散々紹介してきたFlying LizardsのコンポーザーDavid Cunninghamのソロとしてはファーストに当たるのが、このアルバム”Grey Scale”です。今回は2023年に再発された盤を紹介しますが、これが最初にリリースされたのは、約45年前の1977年でした。彼は、既に、Flying Lizardsでポップ・ミュージック界ではある程度の成功を収めていましたが、ソロも結構、ぶっ飛んだ内容になっています。簡単に彼のバイオグラフィーを書いておきます。Cunninghamはアイルランド生まれで、Londonで育ち、Flying Lizardsのシングル”Money”で大ヒットを記録していますが、現在は、ニューキャッスル芸術大学で、ファイン・アートのAHRB研究員をやっています。彼の作品は、スタジオでの作業及びループと音の加工に特化しており、それはポップ・ミュージックから画廊でのインスタレーション(TV, 映像、現代ダンス)までに及び、数多くのヴィジュアル・アーティストとのコラボもやっています。1976年に、Cunninghamは、本作品でもあるファースト・ソロ・アルバム”Grey Scale”をリリースして以来、作曲家/プロデューサーとして活動してきており、それは、ロック・グループ(This HeatやOwada)から即興演奏家(David ToopやSteve Beresford)或いはPeter Greenaway作の映像作品のMichael Nymanによるサントラとかまで、多種多様で、Ute Lemperともコラボしたりしています。また、 Ian Spinkから依頼された”Canta”は、1980年代を通して、彼がやってきたダンスとパフォーマンスの一連のシリーズてあり、またそれ以降もGoro Namerikawaからも同様の依頼をされています。Bill T. JonesとArnie Zaneやフィンランドの振付師ともTiina Huczkowskiともコラボをやっており、同様に、John Cage, Kathy Acker, Michael Nyman, Peter Gordon, Pan sonic, Michael Giles, Scannerともコラボを行なっています。映像やテレビの音楽では、Ken McMullenによる”Zina”とか”Ghost Dance”では、Michael GilesとJimie Muirともコラボをやっています。更に、テレビ番組でのヴィジュアル・アーティストとのコラボでは、John Latham, David Hall, Stephen Partridge, Bruce McLeanらと一緒に作業しています。それに関係する作品には、インスタレーション用のサウンドの作製や加工もやっており、特に、Sam Taylor-Wood, Susan Hiller, João Penalva, Gillian Wearingらとのコラボも行なっています。1993年以降、Cunninghamは、1998年のシドニー・ビエンナーレでの作品”The Listening Room”のように、リアルタイムで音響を操作する一連のインスタレーションを開発してきており、またロンドンの確立美術館でのThe Tate Triennial of Contemporary British Artでの2つのインスタレーション作品"Days Like These"や、もっと最近では、東京ICCやバーミンガムIkonでのインスタレーションも手掛けています。 と言うのが、David Cunninghamのバイオグラフィーになりますが、その最初のソロ・アルバムである”Grey Scale”では、エラー・システムと言う手法を用いています。これは、演奏者が反復するフレーズを弾き続けて、もし、ミスをしたら、そのミスをそのまま直さないで弾き続けると言う手法で、これによって、演奏者自身が制御不能になるまで、演奏される音を変化されていくと言うコンセプトに基づいています。つまり、故意にミスをして音を変化させる訳でないとのことです。一言で言うと、エラーをし続けると言うことです。この作品ては、水とギターの音は、この演奏過程によく似ているが、それは自動的で、使用される機器によって固有の音像を作り出せるとのことです。しかしながら、このエラーシステムは、実際に演奏してみると、意外に難しかったようです。B面のB1“Ecuador”とB6”Bolivia”では、11221111223332112222331112332233331122232 と言う数のシーケンスを3回繰り返します。また B2”Water Systemised”とB4”Guitar Systemised”では、ロング・テープ・ディレイも使われており、意図的にミスを誘発する曲になっています。なお、このエラーシステムは、1976年にMaidstone College of Artに在学中に思い付いたらしいです。まあ、そんな難しいことは考えずに聴いてみていきましょう。楽曲の紹介には、演奏者のクレジットも書いておきます。 A1 “Error System (BAGFGAB)” : David Cunningham (Piano, Glockenspiel, Synth, Perc): ここでは1人で多重録音していることもあって、どんどんミスが起こり、更にはテンポまでズレていきます。 A2 “Error System (C Pulse Solo Recording)”: David Cunningham (Vln, Piano, B, Glockenspiel): ここでは、更に単純なCの音だけを演奏しての多重録音であり、最早合っているかどうかも不明です。 A3 “Error System (C Pulse Group Recording)”: Stephan Reynolds (Glockenspiel), Alan Hudson (B), Derek Roberts (Piano), David Cunningham (Vln): A2を各パート別の演奏者でやっていますが、やはりテンポとかは合いませんね。どんどんズレていく様が面白いです。 A4 “Error System (E Based Group Recording)”: Alan Hudson (Perc), Michael Doherty (Perc), Derek Roberts (Glockenspiel), Stephan Reynolds (Piano): これまた、合っていません!が、しかし、途中で合っているようにも聴こえるから不思議です。 A5 “Error System (EFGA)”: David Cunningham (G, Synth, Glockenspiel): これまた1人での多重録音なので、テンポはバラバラですが、何となく「曲」っぽく聴こえますね。 B1 “Ecuador”: David Cunningham (Perc, Glockenspiel, Synth, Recorder): この曲も1人多重録音ですが、先述のように多少の規則性があるようですが、やはり崩れていきます。 B2 “Water Systemised”: David Cunningham (Tape Recorder, Water): テープに録音した様々な水の音を重ねており、具体音である為か、不自然な感じはしませんが、何だか生き物のような音楽になっています。 B3 “Venezuela 1”: David Cunningham (Piano, Vln, G, Perc): 何とも「下手」な演奏になっています。それぞれのパートは、固有のフレーズがあるようです。 B4 “Guitar Systemised”: David Cunningham (Tape Recorder, G): これも、全く同期していない「ヘタウマ」な曲のようにも聴けますね B5 “Venezuela 2”: Derek Roberts (Glockenspiel), Stephan Reynolds (Synth), David Cunningham (Perc)も同様ですが、Percが何とかテンポ・キープしていますが、その他はバラバラと散らばっていきます。 B6 “Bolivia”: David Guitar Systemised (Piano, Perc, Synth, Strings, others): もピアノが比較的しっかりしているので、何か1人だけ上手いピアニストがいるグループの演奏のようにも感じます。 と言う訳で、David Cunninghamのソロ・アルバムでしたが、あの1980年代のヘタウマと言われた日本の漫画、特にガロとかの作品を思い浮かべました。それと、大阪のスーパーボールって言うバンドとか。どうしてもテンポとかが合わないのですが、それがその時代の「新たな価値観」みたいなものを現出させているようで、時代背景などを考えると興味深いです❗️あと、全体の雰囲気は、Flying Lizardsとも共通点があるように感じました。 A1 “Error System (BAGFGAB)” A2 “Error System (C Pulse Solo Recording)” A3 “Error System (C Pulse Group Recording)” A4 “Error System (E Based Group Recording)” A5 “Error System (EFGA)” B1 “Ecuador” B2 “Water Systemised” B3 “Venezuela 1” B4 “Guitar Systemised” B5 “Venezuela 2” B6 “Bolivia” [original full album] https://youtu.be/NYEIjLj85oM?si=aEsbElXSJoRToMwK #DavidCunningham #GreyScale #SuperiorViaduct #PianoRecordings #Reissue #FirstSoloAlbum #MinimalMusic #Experimental #ErrorSystem #StephanReynolds #AlanHudson #DerekRoberts #MichaelDoherty #Piano #Glockenspiel #Percussions #Synthesizers #Guitar #Bass #Violin #TapeRecorder #Water
Minimal Music / Experimental Superior Viaduct (Piano Recordings) 2926円Dr K2
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Conrad Schnitzler & Ken Montgomery “Cas-Con II”
またまた、買っちゃいました。Conrad Schnitzler & (Gen) Ken Montgomeryによるライブ盤”Cas-Con II”です。これを聞いて、アレ?とかオッ!とか反応した方は、Schnitzler先生のことを良くご存知上げているリスナーさんだと思います。Schnitzler先生のソロ・コンサートと言うのは、いわゆる、カセット・コンサートと言うもので、既に録音済みの多数のカセット音源を「コンサート代理人」に渡して、その代理人(今回はMontgomery氏)がリアルタイムでそれらのカセット音源をミックスして流すと言う、一風変わった形態を指します。なので、Schnitzler先生本人はその場に居なくても良いと言う、これまた、ファンには焼きもきさせられるものであったようです。Montgomery氏は既に紹介したように、コラボをやっている米国NYCのミュージシャン兼ギャラリー・オーナーであり、その為、今回はSchnitzler先生のカセット・コンサートのライブ音源を担当したと言う訳です。それで、その「ライブ」は1986年9月3日夜に、西BerlinのErlöserkircheにて行われましたが、極私的なもので、親しい人にしか知らされておらず、また、場所自体も違法なスペースだったそうです。その模様をJörg Thomasiusが、録音しており、そのライブ音源を自身のレーベルKrötenkassettenから、1987年にカセット作品”Concert”としてリリースしています。それを、今回、Bureau Bが、”Cas-Con II”としてCD/LPとして再発したと言う経緯みたいです。内容はA面2曲/B面4曲で、曲名らしき記号は載っていましたが、明確な曲名はついていません。使用されたカセット音源は、4本の”5 5 85”と書かれたカセット・テープで、それぞれ1, 2, 4, 7と番号が振ってあります。まあ、これをMontgomeryがミックスして、「ライブ」として成立させた訳です。それでは、各曲について紹介していきます。 A1 “Cas-Con II 1” (10:55)は、低音と高音のシンセ音がこれからのライブの予兆を示し、ゆったりとしたアンビエンスが流れていきます。そして原子のダンスのような電子音の雨へと移行し、やがて、鐘のような音に変わり、その周りに水滴のような音が絡まり出しますが、その風情はまるで現代音楽のライブ・エレクトロニクスとか演奏のようにも聴こえます。ただ、A2 “Cas-Con II 2”(8:21)との境は、何度聴いても良く分かりませんでした。 B1 “Cas-Con II 3” (6:51)は不気味なヴァイオリンのような音と蠢く低音で始まり、珍しくベースラインがある低音へと移行、その周りには電子の蝶々が舞っているようです。B2 “Cas-Con II 4” (2:07)は始終、電子の舞が聴こえてくる曲です。B3 “Cas-Con II 5” (3:45)は、やや重力を感じさせる音と電子の舞から成ります。 B4 “Cas-Con II 6” (8:02)は、電子と原子のダンスから成る曲のようで、弦楽器と木管楽器の合奏のようになっていき、段々と終焉を迎えます。ただ、B面も余り各曲の境目はよく分かりませんでした。 これらの曲を合わせて、アルバムとして聴くと、何だか「現代音楽」、それも「アコースティックな」曲を聴いているようにも思えます、全て電子音を使っているにも関わらずです。何だか不思議な体験ですね。何らかの構成を感じますし、それ故の物語り性があるようにも思え、いつもの自由自在なSchnitzler先生の音楽とは異なる印象です。その「構成」と言うものをMontgomery氏が付与しているのだとすると、それはそれで凄い構成力だとも思えます。そんなオーケストレーションを感じるカセット・コンサートの貴重な記録が、このレコードには封じ込められていますね❗️そう言う意味で、本作品が通常のSchnitzler先生の作風とは違い、Montgomery氏の色が濃く出ている点で貴重な作品だと思いますので、心して聴いてみて下さい❗️ A1 “Cas-Con II 1” (10:55) A2 “Cas-Con II 2” (8:21) B1 “Cas-Con II 3” (6:51) B2 “Cas-Con II 4” (2:07) B3 “Cas-Con II 5” (3:45) B4 “Cas-Con II 6” (8:02) B1 “Cas-Con II 3” https://youtu.be/RQyogNnIaFs?si=aQVkGNGwn2TBQKsG [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_ljQjLiJnt9cuKk-y6jp1UdLBNVY_MF2N4&si=ompIVegO99Gkn0Vm #ConradSchnitzler #KenMontgomery #GenKenMontgomery #Cas-ConII #BureauB #Krötenkassetten #Reissue #Krautrock #Electronic #Synthesizers #LiveAlbum #LiveMixing #CassetteConcert #Concert #Orchestration
Krautrock / Electronic / Live Bureau B (Kröten Kassetten) 3344円Dr K2
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Detlef Funder & Bernd Sevens “Stumm”
これまた、謎物件です!どうも独逸モノだったので、ポチったのだと思います。サンプルはちょっと聴いたのかな? と言う訳で、謎の2人、Detlef Funder (「デトレフ・フンダー」と発音)とBernd Sevens (「ベルンド・ジーフェンス」と発音)の1984年のコラボ・カセット作品のLP再発物件です。タイトルは”Stumm”のままですが、どうもオリジナルのカセット作品には、A面/B面それぞれ1曲しかクレジットが無いのですが、今回はA面4曲/B面3曲としてクレジットされています。それで、彼等のバイオグラフィーを調べてみたのですが、Detlef Funderは、以前紹介したKonrad Kraftの本名です。なので、以前に紹介したKonrad Kraftの紹介文をご参照下さい。彼は今も現役で活動していますので、この作品を気に入った方は要チェックですよ。また相方のBernd Sevensは1984年に個人的なカセット・レーベルGaehnialtapesを運営、この作品が一番最初のリリースでしたが、1984年に数本のカセット作品を出して終了。その後、1987年にBrigit Gasserと共にレーベルSDV-Tonträgerを設立し、Seventh Dayとして活動して1990年代まで活躍しています。まあ、これ位しか新しい情報はありませんでした(すまん!)。それで、この作品の参加メンバーのクレジットは、1st Radium Report [Detlef Funder?] (Synth, B, Drs)とMentalimbiss [Bernd Sevens?] (Synth, Electro-Drs, G, Panpipes)とのことで、イマイチ良く分からないのですが、まあ、大体こんな割り振りだと思います。1980年には、FunderはシンセとしてKorg MS10を、リズムマシンとしてRoland CR-78を持っており、またリハの出来る地下室もあったので、FunderとSevensはそこで音を出して遊んでいました。その頃、丁度パンクとかのDIYの影響で、2人は演奏を録音してみようとなり、殆ど一発録りみたいに4トラック・レコーダーで録音、それで、このファースト・カセット作品を作ります。それで、Düsseldorfで有名だったRockOn Recordsで取り上げられたりしていましたが、RockOnは1982年3月で閉店。その後、Sevensは、Ursula Blockと一緒にレコード店兼レーベルPure Freudeで働いています。内容はもう1980年代初頭のバリバリの宅録物件と言う感じで、チープで味わい深い電子音楽っぽい実験を好き勝手にやっており、初々しいです。まあ、堪らない人には堪らない作品で、Neue Deutsche Welle (German New Wave)には乗り損ねてますが、歴史の狭間に埋もれず、再発されたのは嬉しい限りです。それでは、各曲について紹介していきましょう。 A1 “Sauerstoffmangel”は、バックでウニウニしたシンセが鳴っている中、マシンリズムとやたら主張の強いベースが響き、そこにリコーダーらしき音がヘロヘロなメロディを奏でている曲です。 A2 “Endlos”では、性急かつチープなビートと手弾きシーケンスが突っ走っており、落ち着かないです。そこにオモチャの機関銃のようなシンセも加わり、子供の戦争ごっこのように思えます。 A3 “Computersteuerung 1980 Pt.1”では、チープなマシンリズムと単調なシンセ・ベースと安っぽい電子音がピロピロと奏でられています。録音時、リズムマシンは弄っているみたいですが、最後にちょっと盛り上がります。 A4 “Computersteuerung 1980 Pt.2”でも、A3と同じような曲のテンポアップ・ヴァージョンが、足早に現れて、直ぐに消えます。 B1 “Shifting”では、不明瞭な電子音の中に、ちゃんと叩けていない生ドラムがやたらドタバタして、その内にシンセ音が絡んできて、まるでHalf Japaneseが電子音楽を演っているようです。 B2 “High Speed”は、またチープなマシンリズムに、太い低音担当の持続シンセ音とメロディ担当のシンセ音が鳴り響く曲ですが、意外にも良いフレーズを聴くことができて、お徳です(個人的には1番好きな曲です)。でも、何が”High Speed”なのかは不明のまま。 B3 “Koma”では、スローから始まるマシンリズムが変なフレーズとテンポを叩き出し、シンセ音もそれに合ってるのか?合っていないのか?分からないまま、突き進んでいきます。でも何となく辻褄は合っているようです。 そんな訳で、あっと言う間に終わってしまいますが、一回聴くと、もう一回聴きたくなる中毒性のある音楽です。演奏は決して上手くはないのです。しかし「酔拳」のような感じで、「酔っ払っているのに強い」=「下手なのに聴きたくなる」みたいな。なので、この手の音楽を聴く時は気を付けて下さい‼️ A1 “Sauerstoffmangel” https://youtu.be/CQ6ZNDm4JCk?si=h_nS8kLDxYWyiC0I A2 “Endlos” https://youtu.be/Qpgv-aE4X9I?si=jphSXObIQZY0Il8L A3 “Computersteuerung 1980 Pt.1” https://youtu.be/ufMHbJZpyso?si=9oT5hcKogCsftk62 A4 “Computersteuerung 1980 Pt.2” https://youtu.be/KFFh7hd4Hvs?si=W-gBRm88f69-0VEl B1 “Shifting” https://youtu.be/dvP9PY23Sls?si=V33h-iIrRwIAyocn B2 “High Speed” https://youtu.be/yJgxtdElAc4?si=FFJHewzReXDlwDOj B3 “Koma” https://youtu.be/LJ6bu7v3FUE?si=-av8mKklVNwT9vx6 [BandcampのURLも貼っておきます] https://detlefunderberndsevens.bandcamp.com/album/stumm #DetlefFunder #BerndSevens #Stumm #TAL #Gaehnialtapes #Reissue #1984年作 #宅録 #GermanUnderground #Electronic #Experimental #Synthesizers #DrumMachine #Drums #Guitar #Bass #KonradKraft
Electronic TAL (Gaehnialtapes) 4500円Dr K2
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Hans-Joachim Roedelius “Jardin Au Fou”
独電子系クラウトロックの先駆者でもあるClusterのDieter Moebius の方はソロも結構聴いていましたが、 もう1人の片割れHans-Joachim Roedeliusは、私は何故か聴いてかなったのです。なので、これを良い機会として、Roedeliusのソロも聴いてみようと思って、今回、購入しました。本作品”Jardin Au Fou”は、単独作としてはセカンド・アルバムに当たり、有名な「モアイ像シリーズ」の前にリリースされています。先ずは、Roedeliusのバイオグラフィーを紹介します。 Roedeliusは、1934年10月26日に、独Berlinで生まれ、少年時代にはヒトラー・ユーゲントに入っていたこともあり、戦後、糾弾されるも、西Berlinの端まで逃げて、1961年にはマッサージ師をやっていましたが、その後直ぐに、音楽をやり始めます。1968年に、Roedeliusは、”Human Being”として知られていた音楽コミューンを設立し、また、コンセプチュアル・アーティストのConrad Schnitzlerと共に、Berlinの地下文化センターでもあったZodiak Free Arts Labも設立しています。また、Dieter MoebiusともZodiakで出会い、1969年に、3人でKlusterを結成しています。1971年に、Schnitzlerが脱退し、残った2人は、バンド名をClusterと改名し、最初はPhilipsと契約しています。1973年に、RoedeliusとMoebiusは、Neu!のギタリストMichael Rotherと共に、Harmoniaの名の下にアルバムをリリースしており、更に1975年にはもう1枚アルバム”Deluxe”もリリースしています。この時期に、彼らのファンでもあった英国アーティストBrian Enoと何度かジャム・セッションを行なっており、1997年にアルバム”Tracks And Traces”を出しています。Enoとは、他にもClusterとのコラボ作があります(1977年の”Cluster & Eno”と1978年の”After The Heat”)。それで、漸く、Roedeliusは、ソロアルバムを作製し始めます。そうして、1978年に”Durch die Wüste”と1979年に本作でもある”Jardin Au Fou”をソロとしてリリースしています。そうして、1979年から、漸くSelbstportraitシリーズ(私がモアイ像シリーズと言っていたもの)を続けていきます。このシリーズは、2トラック・レコーダーで録音されており、このシリーズの作品が初期の彼の背景になっています。1982年に、彼はSky Recordsを離れ、よりnew age的な作風になり、2枚のアルバム”Geschenk des Augenblicks”と“Gift Of The Moment”をVirgin Recordsの傘下のVentureから出しています。しかしながら、1989年にはVentureとの契約は切れ、より小さいレーベルから、1996年には、”Sinfonia Contempora No. 2: La Nordica (Salz Des Nordens)”を、同時期に”Selbstportrait VI: The Diary of the Unforgotten, the first of the modern Selbstportraits”を出していますが、1970年代に録音したテープをリマスターしたようなものでした。彼は、更に、ClusterやHarmonia用に録り溜めていた音楽を使ったサウンド・モンタージュ作品”Homage á Forst”もリリースしています。その後、2000年〜2001年に、彼は少なくとも8枚のアルバムを出しており、最も精力的活動をしています。2000年のSelbstportraitシリーズの新作”Selfportrait VII: dem Wind voran – ahead of the wind”では過去音源を使用していません。また若いアーティストとのコラボも始めています。その一方で、Clusterは再結成され、1990年に、アヴァン・テクノとも評された新アルバム”Apropos Cluster”も出してきます。そして、1996年に2度の国際ツアーを敢行、また2007年にも、Clusterは再結成しています。しかしながら、2010年11月にClusterは3度目の解散し、Roedeliusは、Onnen BockとArmin Metzと共に、新プロジェクトQlusterを始め、2011年には、3部作 "Rufen", "Fragen", "Antworten"をリリースしています。2018年に、Roedeliusは自叙伝”The Book – The Autobiography of Hans-Joachim Roedelius”を出版、2021年4月にはYouTubeで、彼のライブを無料配信も行なって、現在に至ります。 それで、今回のソロ・アルバム”Jardin Au Fou (邦題「愚者の庭」)”を紹介していきます。両面5曲ずつ収録されており、参加メンバーは、Hans-Joachim Roedelius (Synth, Kbd)の他に、Schagzeig Greene (Drs [A3]), Ulrike Lau (Cello [B1, B2]), Wolfgang Dunnshede (Flute[B2]), Hans Brandeis (G [B2])がゲスト参加しており、プロデュースはPeter Baumanです。先ず、ジャケが非常に「淡い」ポートレートで、この淡さが本アルバムの音楽を端的に現しています。とにかく、落ち着かせる程、優しい音楽で、休日の朝にピッタリです。ちょっとだけ、初期のKraftwerkの曲との共通点もありそうです。それでは、各曲を紹介していきま★A1 “Fou Fou”では、軽やかなピアノをバックにシンセなどが軽いタッチで次々と柔らかいメロディが爪弾かれています。 ★A2 “Toujours”は、6/8拍子で目眩くダンスを踊り出したくなるような軽妙なリズムとメロディから成ります。 ★A3 “Rue Fortune”は3拍子の曲で、正にワルツ!オルガンらしき鍵盤が優雅な響きを演出しています。 ★A4 “Balsam”は、ややシリアスにピアノの多重録音の上品な響きが心地良い。まさかの逆回転も! ★A5 “Café Central”も6/8拍子のオルガンの上に、優雅なシンセのメロディが踊っています。極上の曲! ★B1 “Le Jardin”は小鳥の囀りと簡素なピアノから成る晴れた日曜日の朝のような曲です。オルガン等のメロディもグーで、重層化していきます。 ★B2 “Gloria Dolores”は、やや重めの低音とピアノで始まり、フルートやチェロの柔らかい音色に癒されます。ギターの隠し味が良い! ★B3 “Étoiles”は、B2と連続して始まりますが、通奏低音に、珍しくシーケンスが絡み、色んな電子音等でのメロディが美しくも素晴らしい。 ★B4 “Schöne Welt” は、アンビエンスを体現したかのような淡くて、ソフトな感触の曲です。どの音も雲の上のように優しい。 ★B5 “Finale”も、またもや3拍子のワルツの小曲で、A3の続きですね。 本作品は、Clusterの相方のMöbiusが、ウニョウニョした自由奔放な電子音楽をソロでやっていたのとは対象的に、Roedeliusは、既成の「音楽」の範疇で、自らの独自性を追求していたことが分かって、聴いていて興味深かったです。そう言う意味では、Clusterは2人の個性がお互いに干渉し合って、更なるコズミックな高みを目指したと言う意味で、特異なデュオであったのだと確信しました。皆さんもHand-Joachim Roedeliusの柔らかいアンビエンスに触れてみて下さい‼️ A5 “Café Central” https://youtu.be/OhuTJymqyq8?si=fjinVkcOroCbxvp_ [full album] https://youtu.be/Ga2jtDrtB-E?si=HUudvopD3JywRKzu #Hans-JoachimRoedelius #JardinAuFou #BureauB #EggRecords #Reissue #Krautrock #Electronic #Ambient #SecondAlbum #SoloAlbum #Minimal #Synthesizers #Cluster #愚者の庭
Krautrock / Ambient / Electronic Bureau B (Egg Records) 3250円Dr K2