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Contrepoison “Discography 2010 - 2012”
Contrepoison。このバンド名を聞いても、よく分かんないですよね?実は、この前紹介しましたカナダのパワー・エレクトロニクス・ユニットÂmes SanglantesのPierre-Marc Tremblayの別名義なのです。このContrepoisonはTremblayがダーク・ウェーブをやる時の名義らしく、Cold CaveやAttritionにも匹敵する暗澹たるエレクトロ・ビート・ミュージックをやっています。この名義でのアルバムはまだ無く、カセット作品やシングルしかリリースはしていません。それが、いきなりのLP2枚組で、ドーンっと、米国Hospital Productionsから出たので、ビックリしました(Hospital ProductionsのDominick FernowもVatican Shadow名義でテクノもやっていますからね)。多分、今までの曲を全部ぶち込んでいるようで、かつ2曲だけ未発売曲も収録されています。あと、Vatican Shadowとのスプリット・カセットって言う作品もあるようで、多分気が合うんでしようね。この名義Contrepoisonについては、余り情報が無く、この位のことしか分かりませんでした(すまん!)。と言う訳で、内容について、紹介していきたいと思いますが、A1-A4が、2010年作” ...Until Next Morning”の全曲で、元々はTremblay自身がセルフ・リリースした作品収録曲です。B2, C1-3は、Hospital ProductionsとHeartworm Pressの共同リリースによるデジタル・ミニアルバム”I Keep On Searching”収録曲からとなっています。因みに、上記2作品は、伊レーベルAvant!がシングルとしてそれぞれリリースしています。B1は、Vatican Shadowとのスプリット・カセット・シングル” The Serpent Carries Him Back Into Paradise”収録曲と思われます。D1-D3は、米国(?)レーベル Sans Issueから出た片面のみのカセット作品” The Thunders Which Collide”収録曲です。B2-B4については、Discogsではその出自は確認出来ませんでした。そして、C4とD4が未発売曲と言う訳で、これらの作品を全てコンパイルしたのが、本作品となります。最初、各曲について紹介しようと思ったのですが、寧ろ、作品毎に紹介した方がベターと考えましたので、今回は元の作品毎に、紹介していきますね。 LP1: ★A1 “Until Next Morning” ★A2 “The Snake Has Bitten Its Tail” ★A3 “Heartbeat” ★A4 “To Never, Forever” 2010年作“ ...Until Next Morning”より。割とキックの効いた曲で、シンセもかなりメロディアスですが、Vo(Tremblay自身がVoだと思います!)が何か虚ろなトーンで、不安な気分にさせられます。また、ベースラインが余りハッキリしていないところも、そう言う気分にさせるのかも知れませんね。A3 “Heatbeat”はJoy Divisionっぽい曲で、VoもIan Curtis風です(Wireとは同名異曲です)。またA4はメロディアスなシンセは無く、ミニマルなベースラインで構成されています。 ★B1 “A Deserted Story” 元曲のタイトルは、”A Deserted Story Adam's Endless Fidelity To The Iblis”となっていますが、多分同一曲でしょう。重厚なシンセと適度なビートに乗って、Voが朗々と歌うスタイルで、宅録系ゴスとも言える曲です。 ★B2 “I Keep On Searching” これは、リズムもハッキリしており、かつシンセも分厚く、中々カッコ良い曲です。 ★B3 “Poisonous Desires” ★B4 “In Love With Mars, At War With Love ★B5 “A Soviet Ordeal” 一瞬、シューゲイザーかとも思えるような持続的な歪んだシンセ音とミドルテンポのマシンリズムから成りますが、B3なんかはインスト曲です。B4ではまたまた良く動くシンセのメロディとダルなVoが出てきます。B5はやや実験的なゴスなインスト曲です。 LP2: ★C1 “Every Dream I Have Is About You” ★C2 “No Need To Dream” ★C3 “Nectar Of Destiny” この作品収録曲は、技術的側面も音楽的側面も格段に向上しており、聴いていて引き込まれますね。ただC2なんかは、Voの処理の含めて、やや実験色が強いですが。なお、C1はインスト曲です。 ★C4 “The Moon Has Made The Eclipse”(未発表曲) この曲もゴスい曲ですが、ほぼほぼリズムとベースラインから成り、余り出しゃ張らないシンセのメロディが程良い佳作です。 ★D1 “Braving Through The Storm” ★D2 “The Thunders Which Collide” ★D3 “Of Greenery And Quietness” この作品も、リズムに凝ってはいますが、今までのゴス系と言うかシューゲイザー系(本当はギターも使っているのかも?)の打ち込みミニマル・ロックの進化形ですね。D2では、四つ打ちリズムとシーケンスの絶妙なズレが隠し味ですし、D3のダウンテンポとエレピ(?)の組合せも味があります。なお、D1とD3はインスト曲です。 ★D4 “As The Blazing Sun Enters Scorpio”(未発表曲) まるでカシオトーンのリズムと重低音ベース・シンセがアンバランスでカッコ良いし、その後のシンセ・メロディも良いですね。 総じて、全部ぶち込んで2枚組にしたのは、ちょっと似たような音色の曲も多く、飽食気味で、お腹一杯になります。やっぱり腹八部目位が良かったのではないでしようか? しかしながら、Âmes Sanglantesでパワ・エレやっているPierre-Marc Tremblayが、こんなちゃんとした楽曲をやっていたとは、ちょっとビックリしました❗️しかも、曲自体の完成度は高いです。もう少し、良い曲に絞っての再発なら、飽きずに聴き通せたと思うと、ちょっと残念です。しかしながら、余り打ち込み感のない、ヒューマンな曲調は捨て難い魅力を持っていますので、パワ・エレ・ファンにこそ聴いて欲しいです❗️ A3 “Heartbeat” https://youtu.be/5IiBAxwfK78?si=pHeF-Eh5wsvYmsw7 B2 “I Keep On Searching” https://youtu.be/kWxYN_iZyyQ?si=PvE6rbvkDb_xJy4S D2 “The Thunders Which Collide” https://youtu.be/u-ZxNGct110?si=z1qaleukfEy5V0Cl [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lfxYmvngaq7GhdmGEjHpqQPoybD8jcHkU&si=vPL4_QDaIXvrP4Mv #Contrepoison #Pierre-MarcTremble #Discography2010-2012 #HospitalProductions #DarkWave #ColdWave #Electro #Goth #Shoegazer #Synthesizers #Canada #ÂmesSanglantes
Dark Wave / Ritual Industrial Hospital Productions 1100円Dr K2
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Wire “Nocturnal Koreans”
またまた、登場はWireです!今回は、前回紹介しましたセルフ・タイトルのアルバムの翌年(2016年)にリリースされましたミニ・アルバム”Nocturnal Koreans”で、両面とも4曲ずつ収録されています。一応、メンバーだけは書いておきます。Colin Newman (G, Kbd, Vo [A1-B3], Mix), Graham Lewis (B [A1-A3, B1-B4]), Robert Grey (Drs [A1-A3, B1-B4]), Matthew Simms (G)の4人です。バイオグラフィーについては以前に書いてありますので、そちらをご参照下さい。それでは、各曲について紹介していきます。 A1 “Nocturnal Koreans”は、いきなりのアップテンポの曲で、LewisのBとGreyのDrsが効いています。NewmanのVoはソフィストケートされており、聴き易いです。 A2 “Internal Exile”はミドルテンポの曲で、跳ねるようなリズムが特徴的で、間奏のシンセやアコギっぽい音も効果的です。 A3 “Dead Weight”では、NewmanのVoは囁くような繊細な印象です。曲のコード進行は特異なのですが、アレンジはシンプルそのものなので、Voがよく映えますね。 A4 “Forward Position”は、ドラムレスな曲で、バックに曖昧糢糊とした抽象的な音と僅かにアコギの弾き語りが聴こえますが、その分、Voはしっとりと歌っています。間奏では弦楽四重奏らしき音も聴こえます。 ではB面にいきます。 B1 “Numbered”は、やや激しい曲で、NewmanのVoも荒ぶっているようですし、GreyのDrsも前面に出ていますが、後半からは重目の突進力も聴けます。 B2 “Still”でもリズム隊がヘビーですね。曲もシンプルで、途中のプレイクとその後のSimmsのGはカッコ良いです。 B3 “Pilgrim Trade”はややスローな曲ですが、重くはないです。その分、リズム隊とリズムGの演奏が冴えていますし、Voの「通り」も良いです。 B4 “Fishes Bones”は、SimmsのGから始まりますが、語りのようなVo(Lewis?)とシンプルなDrsがイカしてます。 総じて、この時期のWireはシンプルな音楽を常に追求しており、それが得も言われぬ心地良さを醸し出しているようです。個人的には、Wireの音楽って、最初から一種の「ミニマル・ミュージック」ではなかったのかと言う風に考えると、彼等が、ここに来てシンプルな構成の曲を演奏しているのが、何となく腑に落ちます。尖ったエッジは無いのですが、その分、沁みてきますね❗️そんなWireの「真夜中の韓国人」、聴いてみてはどうでしょうか?ハマるかもよー❗️ A1 “Nocturnal Koreans” (live version) https://youtu.be/ZH59SWxlUD0?si=ZusFuKKSU9JtDm2z [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_ko-6kFJIep-aZNUUl9kC4F2GzD-lukkTw&si=n_5oYnmjJ37Kvfzt #Wire #NocturnalKoreans #Pinkflag #PostPunk #AlternativeRock #2016作 #Mini-Album #ColinNewman #GrahamLewis #RobertGrey #MatthewSimms
Post Punk Pinkflag 3500円Dr K2
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Conrad Schnitzler & Pharmakustik “Kontraktion”
買っちゃいました!Conrad Schnitzler先生とPharmakustikことSiegmar Fricke氏のコラボ作品3連作の第1弾”Kontraktion (収縮)”です(因みに前回、紹介した”Schubkraft”は第3弾です)。このお2人のバイオグラフィーについては、前回やそれ以前に書いてありますので、そちらをご参照下さい。それで、この3連作は、第1弾”Kontraktion”が2016年に出て、第2弾”Extruder”が2018年、そして第3弾”Schubkraft”が2012年に出ています。因みに、このシリーズは通常盤が限定400枚で、クリア盤が100枚限定となっています。まあ、これらの音源は、1986年11月〜1987年7月に、BerlinのLeberstrasseにあったConrad Schnitzler Studioで録音されており、その際、使用した楽器は、EMS Synthi A, Korg MS-20, Dynachord Echocord, Automatic Rhythm Player. Digital Delay, Emax Sampler, Farfisa Organ, Magnetophoneと記載されています。この時の音源を、Fricke氏が、2014年12月(2011年にSchnitzler先生は亡くなっています)に、自身のスタジオPharmakustik Studioで、リフレッシュして再構築した曲から成っているのが、本作品です。それで、A面2曲、B面3曲が収められています。それでは、各曲について詳細を紹介していきます。 A1 “Kontraktion (Phase 1)”は、ホワイトノイズによるリズムで導かれて、何か機械の中にいるような不思議な電子音(機械内の環境音)で出来ています。A2 “Kontraktion (Phase 2)”では、ディレイを効かせたシンセ音がやがて、のたうち回るように暴れ始めるユニークな曲になっています。 では、B面にいきます。B1 “Electric Transmission”では駆動力のあるリズムマシンを中心に、飛び道具的にシンセ音やラジオ音(?)が挿入されます。B2 “Chromit”は、ホワイトノイズを伴う強迫的低音シンセのドローン・パルスによって構成される曲で、アンビエント風ではありますが、アンビエントではないです。B3 “Werkstoff”では、変態的なシーケンスを中心に、ドローンが聴こえてきますが、やがて、ゲーセンのような環境音になってしまいます。 とまあ、今回も中々、面白い音楽になっていますが、マシンリズムは控えめで、全体的に掴みどころの無い抽象的な音楽に仕上がっています。プリミティブと言うと聞こえは良いですが、本当に個性的な音楽は、「言葉」に出来ない位、抽象的になるんだろうなと確信しました。これは、Fricke氏のミックスによるところもあるとは思いますが、元々の音源がそもそも掴みどころの無い抽象性を持っていたのではないかとも思います。そんな2人の時空を越えたコラボ作品を一度は体験してみてはどうでしょうか❓通常盤でも400枚限定ですので、見つけたら、即ゲットですよ! [trailer] https://youtu.be/_9zQpGMVwGk #ConradSchnitzler #Pharmakustik #SigmarFricke #Kontraktion #Rotorelief #CollaborationAlbum #第1弾 #ElectronicMusic #Experimental #1986-1987年録音 #2014年再構築 #LimitedEditions #400部
Electronic Music / Experimental Rotorelief 不明Dr K2
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Esplendor Geométrico “Fungus Cerebri: Selected Tracks From Cassettes 1981-1989”
久しぶりに出ました!スペインの至宝Esplendor Geométrico (以下EGと表記)の1980年代初期音源からのトラックをコンパイルした2枚組アルバム”Fungus Cerebri (「真菌[カビ]の生えた脳」の意味ですね)”です。しかも、元音源は1981年〜1989年に作製されたカセットとしてリリースされていた作品からのセレクトになっています。なので、レアトラックも含まれています。また、私の持っているのは黒盤なのですが、灰盤と赤盤とから成るスペシャル・エディションが100部の超限定でもあります。EGのバイオグラフィーは、以前に一部は書いてありますが、まだまだ未完なので、先ずはそちらから紹介しておきます。1980年に、スペインMadridのシンセ・ポップ・バンドEl Aviador Dro y sus Obreros Especializados (「Aviator Droと彼の特殊な職人達」の意で、同級生だったArturo LanzとServando CarballarがThe ResidentsやT.G.に影響を受けて1979年に結成)のメンバーであったArturo Lanz, Gabriel Riaza, Juan Carlos Sastreによって結成されたGeometric SplendorがEGの母体になっています。このネーミングは伊の未来派F. T. Marinettiの文章”Geometric and Mechanical Splendor and the Numerical Sensibility (原文では、Lo splendore geometrico e meccanico e la sensibilità numerica)”から取られたとのこと。それで、彼等は最初のシングル"Necrosis en la Poya"を1981年にスペインの自主制作レーベルTic Tacからリリースし、続いてデビューアルバム”Héroe del Trabajo / El Acero del Partido”を1982年にリリースしています。これらを配給していた英国インダストリアル・レーベルSterile Recordsでは「スペインの機械偏執狂」と広告されており、また、EG自身も1980年初期の国際的カセット・テープ・シーンで活発に活動しており、特に独Datenverarbeitungからリリースされたカセット・アルバム”Eg1”で、国際的にも高評価されます。彼等の音楽は、リズミックな電子音から成る実験的なもので、その10数年以上後に、雨後の筍のように現れるテクノイズを先取りしていました。1982年に、Juan Carlos SastreはEGを脱退していますが、アートワークなどで、EGと関わっています。1985年には、彼等自身のレーベルDiscos Esplendor GeométricoをAndrés NoarbeとGabriel Riazaが運営開始し、セカンド・アルバム”Comisario de la Luz / Blanco de Fuerza”をリリースしています。その後、1989年に、Riazaはレーベルを去り、1995年にはEGも脱退して、音楽界からも足を洗って、イスラム教に改宗して、名前もGabriel-Jairodínに改名してしまいます。その代わりに、1990年に、Romaでのライブにヘルプで出演したSaverio Evangelistaが新メンバーとなって、Lanzとのデュオ体制でEGを現在まで継続しています。なお、Lanzは現在、パートナーの関係で、上海に住んでいます。1991年に、彼等のレーベルは、Discos Esplendor GeométricoからGeometrikに改名し、現在に至ります。その間も、EGはコンスタントに作品を出してはいますが、活動が鈍っていた時期もあります。しかし、1997年にアルバム”Polyglophone” で復活し、翌年には、CoilやChris & CoseyらによるEGの曲のリミックス・アルバム”EN-CO-D-Esplendor”もリリースされます。その後、2002年には新録アルバム”Compuesto de Hierro”がリリースされ、2005年には、過去作をセルフ・コンピ2枚組CD”Anthology 1981-2003”もリリースされ、インディー・シーンでヒットしています。現在も新譜”Cinética”(2020年)を出したり、過去のカセット音源をリマスターしたCDやLPで再発していたりと活発に活動を続けています。ザックリとEGの流れは上記のようになります。 それで、今回、ご紹介する”Fungus Cerebri”は、EGの初期の音源から選出されたトラックをコンパイルした2枚組アルバムで、2016年にリリースされています。それで、この時期のメンバーは、Arturo Lanz, Gabriel Riaza (1980-1989年), Juan Carlos Sastre (1980年-1981年)となっています。各曲についてですが、各面4曲ずつ収録されてします。A1 “2-TI-2”, A4 “Comisario De La Luz VI”, B1 “Llamada Del Afropoder”, B2 “Bleno Boca”, B3 “Tarikat”, C3 “El Resto Atrás”, C4 “Uasat”, D2 “Celda De Agua”, D3 “Autolesión”は 1991年にスペインのLinea Alternativaからリリースされた2本組カセット”Diez Años De Esplendor”から、A2 “Cuarenta Años Nos Iluminan”とA3 “Fungus Cerebri”は、1982年に、西独のDatenverarbeitungからリリースされた国際コンピ・カセット”Sinn & Form”収録曲で、B4 “Allo Terre?”は1987年のライブ録音で、同年に、自身のカセットレーベルEGKからリリースされた”En Directo: Madrid Y Tolosa”から、C1 “Trans-Umma”とC2 “Atlas-Yも1989年のライブ録音で1990年にLinea Alternativaからリリースされた”Madrid Mayo'89”から、D1 “Neuridina”も1986年のライブ録音で、1996年にEGKからリリースされた”En Roma”からセレクトされています。内容なんですが、EGの音楽は、基本的にリズムマシンの進化に伴って変わっていったと言う感じなので、この1980年代はアナログのリズムマシンが主たる楽器として使われており、それに同期したり或いは非同期のシーケンスやシンセ(Korg MS-20など)による電子音とテープ音やヴォイス(D3 “Autolesión) などを最小限に散りばめた音楽形態を取っています。なので、余り、どの曲にも大きな変化はありません。基本、エフェクトなどを掛けられたリズムマシンがドコドコと鳴っています。あとスネアの音とかをシンセのホワイト・ノイズで付け加えており、それが誇張されて、レッドゾーンを越えて録音されているので、かなり暴力的な音楽に聴こえますね。そんなところも、初期EGの特徴だと思います。多分、エフェクトも単純なディレイとかアンプのリバーブとかで、あとはシンセの外部入力にリズムマシンの出力を直接入れて変調していたり、リング・モデュレーターを掛けたりもしてます。まあ、リズムマシンで有りとあらゆる実験をしていると言っても良いでしよう。個人的には、コンピ・カセット”Sinn & Form”をリアルタイムで聴いていたので、A2 “Cuarenta Años Nos Iluminan”とA3 “Fungus Cerebri”と、カセット作品”En Roma”に入っていたD1 “Neuridina”なんかは懐かしかったですね。それにしても、この頃のEGの音楽はパワフルで、駆動力があって、凄まじいです。それを再認識しました。この後、アラビックな方向へと行き、音自体は洗練されていきます。まあ、それらについてはまたの機会にして、この作品は、初期EGの実験性・機械性・駆動力・野蛮さなどが詰まった良質のセルフ・コンピですし、収録曲も殆どが再発されていないレアトラックなので、彼等の音楽を語る上でも重要な資料でもあります。なので、インダストリアルに興味のある方は是非とも体験してみて下さい‼️ A2 “Cuarenta Años Nos Iluminan” https://youtu.be/3gRe2RJvWEk [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lPqFxulOi8-pFstYSTL9cXC_Qn_oC24LY #EsplendorGeométrico #FungusCerebri #SelectedTracksFromCassettes1981-1989 #Geometrik #Spain #Industrial #Technoise #ElAviadorDroYSusObrerosEspecializados #RhythmMachines #Electronics #Voice #Tapes #ArturoLanz #GabrielRiaza #JuanCarlosSastre #DiezAñosDeEsplendor #Sinn&Form #EnDirecto:MadridYTolosa #MadridMayo89 #EnRoma
Industrial / Technoise Geometrik 2100円位Dr K2
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Conrad Schnitzler “Filmmusik 1”
今回、紹介するConrad Schnitzler先生の作品 ”Filmmusik 1”は、再発モノではありません。彼は、2011年に他界していますが、そのアーカイブの中に、”Filmmusik 1975A”とFlimmusik 1980B”とだけ題されたビデオテープがありました。アーカイブの管理者で、生前からの音楽的パートナーでもあったWolfgang Seidel氏がそれらを見つけて、独逸レーベルBureau BのThomas Worthmannが纏め、Jonas Försterがマスタリングして、聴くべきして出来たアルバムと言えます。この未発表のビデオ音源は本作品”Filmmusik 1”と ”Filmmusik 2”(これも次回、紹介します)があります。今回は、その内、”Filmmusik 1”について紹介します。それで、Schnitzler先生は、1970年代初頭に、EMS Syntiをロンドンで入手しても、用いる機材はCello, Combo OrganとそのEMS Synti シンセサイザーだけで、それらをカセットテープに録音しています。彼のカセットテープ・コンサートでは、それらのカセットテープがリアルタイムでミックスされていたそうです。ただ、完全手作業なアナログなので、キチンと頭出しが合わないことも多く、この「非同期性」をSchnitzler先生は「演奏」と捉えていたとのことです。それは録音でも同様で、彼はMTR(当然、PCとかも)とかは使っておらず、既に録音されているカセットテープをその場でミックスして、作製していたとのことです。なので、彼のコンサートでは2つのスーツケースだけの機材で済んだとか(笑)。そんなSchnitzler先生の未発表音源な訳ですが、簡素なシンセの通奏低音のようなドローン音とメロディ、そしてチープなリズムボックスの音からのみ成っており、A面6曲、B面4曲で構成されています。当然、曲名はありません、と言うか記号で構成されています。正直、音質自体はそんなに良くはないです。それでも、やはりSchnitzler先生らしい音の構築がバンバン出てきますので、一聴して分かると思います。また、元になったビデオ作品は、映像作家Walter Ruttmannの抽象的実験映画やBauhaus(バンドじゃなくて独の美術学校ね)の教授László Moholy-Nagyの”Lightplay: Black White Grey”のような実験的写真等からインスパイアされていたらしいです。それらから、Schnitzler先生は、何かを表す映像や写真でもなく、何かの為の音楽でもないと言う「抽象性」に大きな影響を受けたとのこと。それで、彼は、特にタイトルも無い作品を敢えて多量に作り出したのでしょう。本作品は、彼の音楽の始原を探る上で、ヒントになるアルバムだと思いますので、是非聴いてみて下さい❗️ https://youtu.be/jBYoplkX2o8 #ConradSchnitzler #Filmmusik1 #BureauB #Krautrock #Electronic #VHSTapes #PreviouslyUnreleasedTracks #EMSSynti #Synthesizers #Organ #RhythmBox #Mastering #WalterRuttmann #LászlóMoholy-Nagy
Krautrock, Electronic Bureau B 不明Dr K2
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Die Krupps “Stahlwerkrequiem”
特殊打楽器Stahlophoneで一躍、独逸インダストリアル・ムーブメント躍り出た鋼鉄王Die Kruppsのファーストアルバム”Stahalwerksynfonie”のセルフ・カバー作が、このアルバム”Stahlwerkrequiem”です。多分若いリスナーさんはこのバンドのことを、EBM (electronic body music)と始祖の一つとして知っている方が多いかもしれませんが、実はこんなカオスな音楽を演っていたバンドなんです。バイオグラフィーは前回書いたと思いますので、ここでは省略させて頂きます。先述のように、本作品はDie Kruppsのセルフ・カバーなのですが、先ずは参加メンバーを書いておきます。因みにファーストアルバムと同様にA面もB面も同じ曲のヴォージョン違いです。両面参加は、Jürgen Engler (G, Ring Modulator), Mani Neumeier (Drs, Perc), Scott Telles (B)で、A面のみ参加は、Jean-Hervé Pero (Fuzz-B, A-G)、Zappi Diermaier (Perc [Steel Plate, Buzz Saw Blade, Aluminium, Steel Pipe], Roto Toms)と Ralf Dörper (Synth: Korg MS20)が、B面のみ参加はPyrolatorことKrut Dalkei (Synth: Korg MS20)となっています。因みに、Neumeierは元Guru Guruのメンバーで、PeroとDiermairはFaustのメンバーです。また、PyrolatorはDer Planのメンバーです。A面は”Stahlwerkrequiem / Rheinhausen”で、B面は”Stahlwerkrequiem / Westfalenhütteとなっており、所謂ヴァージョン違いになっています。もう内容は分かる通り、極めて単調なベースラインに、その他の楽器が時にフリーキーに、時にマイルドに絡まってくる曲で、初期Die Kruppsのヴァージョンと似てはいますが、圧倒的に、こちらの方がカオティックかつテクニカルです。また、こちらの方がややテンポが速いです。録音状態も良く、聴き応え満点です。なので、これはメタパー・マニア必聴のアルバムとなっています。もし、”Stahlwerksynfinie”が気に入ったリスナーさんは、合わせてこちらのアルバムも聴き比べても良いかもしれませんね。 https://youtu.be/S75CeJLEWks #DieKrupps #Stahlwerkrequiem #BBureau #SelfCoverAlbum #Stahlwerksynfoni #JürgenEngler #ManiNeumeier #ScottTelles #Baseline #Jean-HervéPero #ZappiDiermaier #RalfDörper #Pyrolator #GuruGuru #Faust #DerPlan
Industrial B Bureau 不明Dr K2
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Mars “Mars Archives volume two : 11000 Volts To Tunnel”
またまた、大好き!Marsのアーカイブシリーズ第2弾 “11000 Volts To Tunnel”です❗️この中期辺りが最も油がのっていた頃ではないでしょうか?既に何度も紹介してきていますので、もう野暮なバイオグラフィーは省略しますよ。一応、メンバーだけ書いておきます。Sumner Crane (G, .Vo), China Burg (G, Vo), Mark Cunningham (B, Vo), Nancy Arlen (Drs)の鉄壁の4人です。それで本作品は、1978年の2月5日(A1-A3)及び3月29日(B1-B5)のCBGBと1978年の4月25日のMax’s Kansas City (A4-A7)でのライブをカセット録音されたものをコンパイルしたライブ・アルバムです。キュレーションは、生き残りの1人Mark Cunninghamが行っており、マスタリングもされて、カセット録音ながら、音質も随分とマシになっています。この中で、”Cairo”とら”RTMT”の2曲はスタジオ録音された方がなかったらしいですが、このアーカイブアルバムには、先述の2曲の他に、彼等のファースト・シングル(“3E”と”11000 Volts”)とコンピ・アルバム”No New York”に収録された曲で構成されています。A1 “3E” Velvet Underground (VU)の影響が感じられるノリの良い曲。ここではややダウンテンポしているかな?A2 “Helen Fordsdale”はスライド奏法の痙攣ギターとギチギチと刻む金属質なギターのコンピネーション及びSumnerのVoが凄い。A3 “Cairo”は、珍しくベースとドラムがしっかりとした曲ですが、呪文のようなSumnerのVoとの対比が興味深いです。A4 “11000 Volts”も混乱したようなVUの影が聴取できる曲。A5 “Hairwave”はカオスな演奏なのに、アルバム・ヴァージョンと大差がないのが、逆に凄いです。Chinaの虚なVoもグー。そのままA6 “RTMT”に突入します。この曲では弾けるようなリズムにも関わらず、SumnerとChinaのツインヴォーカルがズレまくってて、逆にカッコいいです。A7 Puerto Rican Ghost”はコンピ・アルバムの中でも全パートがズレまくっていた曲を再現しています。最後に観客の拍手がありますが、恐らく10-15人程度ではないか?と思われます。B面5曲は先述のようにCBGBでのライブ録音です。B1は“11000 Volts”ですが、こちらのテイクの方がベースが聴いていて、カッコいいかな? B2 “3E”ですが、混沌としてはいますが、やっぱりカッコいいです。B3 “Cairo”はこちらの方が、曲の輪郭がハッキリしてますね。客のノリが凄い❗️B4 “Tunnel”はアルバムよりも(Summary のVoを除くと)整然としている感じですが、これぞNo Waveな一曲ですね。B5 “Hairwaves”は虚なChinaのVoに切り裂くようなギターやドラムなどが絡んできます。しかしながら、これでちゃんと終われるのも凄いです。また観客の盛り上がりも凄いです❗️初期から中期のMarsを知るには本作品は最適ですので、是非とも聴いてみて下さい! Side A / 1-3 CBCB's February 5th, 4-7 Max's K.C. April 25th A1 “3E” A2 “Helen Forsdale” A3 “Cairo” A4 “11000 Volts” A5 “Hairwaves” A6 “RTMT” A7 “Puerto Rican Ghos Side B / CBGB's March 29th B1 “11000 Volts” B2 “3E” B3 “Cairo” B4 “Tunnel” B5 “Hairwaves” [BandcampのURL] https://marsnowave.bandcamp.com/album/mars-archives-volume-two-11000-volts-to-tunnel #Mars #MarsArchives:VolumeTwo #11000VoltsToTunnel #FeedingTubeRecords #LiveAlbum #NoWave #3E #HelenFordsdale #Cairo #11000Volts #Hairwaves #RTMT #PuertoRicanGhost #Tunnel
No wave Feeding Tube Records (Negative Glam) 不明。Dr K2
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Yasunao Tone, Talibam! Sam Kulik “Double Automatism”
刀根康尚 (Nasunao Tone [音楽家])、Talibam! (Kevin Shea [Drs]とMatt Mottel [Kbd])、Sam Kulik (Trombone)の3者による電子音楽のハードコアな作品が、本作です。少しだけ各人のバイオグラフィーを書いておきます。刀根康尚は米国在住の音楽家で、千葉大国文学専攻で、同大卒業。その後、一柳慧の紹介で知り合ったGeorge Maciunasの誘いで、Fluxus運動に参加、小杉武久、塩見允枝子らと即興音楽集団「グループ音楽」を結成、またHi-Red Center, Team Randomにも参加。後者は日本初のコンピューター・芸術集団でもあります。1972年に渡米し、John Cageらとも交流しています。刀根氏の音楽作品では、CDの盤面に意図的にキズを付けて、エラー再生によるディストーションを発生させるプリペアードCDを使うのか有名。一方、Talibam!はNYCのデュオ(始めはトリオだった)で、フリージャスドラマーのKevinと映像アーティスト兼パフォーマー兼作家のショルダーシンセを使うMattから成り、ジャズ、テクノ、即興、ノイズなどのジャンルを飛び越えて活動しています。2019年には来日しています.最後にSam Kulikは、2004年にNYCに移ってきたトロンボーン奏者で、New York Soundpainting Orchestraで演奏していましたが、それ以外にも多くの即興演奏家と対峙して来ています。 本作品は、以上のような3組4人が織りなす即興演奏の記録です。基本的には、刀根氏のmp3音をPCで加工した音を元に、他の3人の電子音やトロンボーンが絡みついたり離れたりという構成で、脳内を擽ぐる電子音がくすぐったいですが、Mattのシンセ音もいい感じに交わっており、時折り聴こえるSamのトロンボーンにもユーモアがありますね。A面が”Op Apsis”1曲、B面も”Spome Trope”1曲ですが、全然長いと感じませんねぇ。個人的にはB面の方が好きですね。でも、甲乙付け難いです。そんな一風変わった即興演奏と現代音楽のクロス・ポイントを体験してみては如何ですしようか? “Op Apsis” https://youtu.be/QS7T2I3lrzk #YasuaoTone #Talibam! #SamKulik #DoubleAutomatism #Karirecords #刀根康尚 #KevinShea #MattMottel #SamKulik #PC #Synthesizer #Percussions #Trombone #Improvisation #即興演奏 #Fluxus
Avant-garde Karirecords 不明。Dr K2
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Mike Majkowski “Swimming In Light”
このアーティストのことも殆ど知らないですねえ。何でこれを買ったのかもよく分からないです。Mike Majkowskiは豪州で生まれ育ち、2011年以降、ベルリンに移住。ダブル・ベース奏者で、今までに多くの即興者やアルバムに参加していますが、ソロアルバムとしては、このアルバムは6作目になります。それで、彼がコラボしてきたアーティストの代表的な奏者を挙げるとMike Nock, Bob Mintzer, Kristin Berardi, Jim Denley, Jon Rose, Chris Abrahams, Robbie Avenaimらであり、彼が組んだグループは、The Splinter Orchestraで、即興演奏を軸とする大きなエレクトロ・アコースティックなアンサンブルであるそうです。 本作品は彼のソロアルバムですが、使用している楽器はDouble Bass, B, Synth (Analogue Synths) , Vibraphone, Piano, Perc, Field Recordingです。一応、片面1曲づつと言う訳で、A面が”Radio Weather Vending Machine”、B面が”Structure and Posture”と名付けられています。しかしなから、曲の中に極めて微音や無音を設けられてるので、片面でも3曲位入っているように聴くこともできます。音の方は一言で言うとドローンなんですが、彼はベーシストなので、低音重きを置いているようです。まったりとした時に聴くには最高ですね。どの音がどれなんて野望なことは言わないで、例えば休日の午後なんかに聴くと良いかも。どうです?皆さんも聴いてみて下さい。 YouTubeに無かったので、デュオのライブ動画を、 https://youtu.be/rYIPMzA22D8 #MikeMajkowski #SwimmingInLights #Entracte #Drone #DoubleBass #Bassist #Improvisation #Solo #Piano #Percussions #Synthesizer #Mix
Experimental Entr'acte 不明Dr K2
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La Maison “ Collected Tape Experiments 1980-1984”
これは最近入手したのですが、イタリアのニューウェーブ・デュオと言う以外に、殆ど情報はありませんでした。何故、購入したか?多分に視聴して気に入ったからですね。それがこれLa Maison (「ラ・メゾン」と発音)です。メンバーは Livio Fogli (B, G, Electronics. Vo)とLuigi Mussi (Electronics, Tapes, Vo)のデュオで、ゲストにフルートでKirin FluteやヴォーカルでGiacomo Spazioも参加している曲もあります。イタリアはミラノのバンドみたいで、本作品はタイトル通り、1980-1984年の間に録音されたトラックをコンパイルしたものとなります。基本的にはBとSynthで、バックには(多分)Roland TR-606のリズムボックスを使ったインスト曲から成ります。まあ数曲はヴォーカル入りの曲もあります。この編成だと、英国のOrchestral Manoeuvres in the Darkを想起させますが、それよりももっとチープでrawなシンセ・ポップで、もう少し実験的な要素も強いですね。アルバム”Home Taping Is Killing Neighbors Vol.1”だけ出していますが、それも2014年にミラノのレーベルが過去音源をコンパイルしたもののようです。このタイトルからも分かるように、彼等は基本,宅録バンドであったようですが、そもそも1980-1984年のミラノにどう言うシーンがあったのかも分かりませんので、正体は不明です。もし、知っている方がいましたら、教えてください。そんなデュオの過去音源ですが、良かったら,聴いてみて下さい。 [“Inganni”] https://youtu.be/n1Ejv2LMscY [“Critical Situation”(Version違い)] https://youtu.be/_HO1lg0zKw0 #LaMaison #CollectedTapeExperments1980-1984 #SynthWave #Milano #Italy #NewWave
NEW WAVE Spittle Records 3080円Dr K2