- Camera Museum
- 19F 標準レンズ
- Voigtlander Color Ultron 55mm F1.4
Voigtlander Color Ultron 55mm F1.4
フォクトレンダーというのは、世界最古のカメラメーカーと言われています。
1756年、神聖ローマ帝国時代のウィーンで創業した後、1849年にドイツ・ブラウンシュヴァイクに本拠を移しました。
ブラウンシュヴァイクこそはフォクトレンダーが黄金時代を築いた地、いわば聖地です。
イエナにカール・ツァイスあり、ウェッツラーにエルンスト・ライツあり、バート・クロイツナッハにシュナイダーあり、というようなものです。
ウルウルとトロけるような、甘美で柔らかな描写。
ウルトラトロピカルな抜けるようなコントラストと濃厚な発色。
甘く柔らかで艶やか、みずみずしく生命力にあふれた写真が撮れる伝説のレンズ。
ウルトロンといえば、銘玉中の銘玉です。
ゼプトン、ノクトンと並んで、フォクトレンダー神話を築き上げたレンズであり、レンズの格からいえば、ツァイス・プラナー、ライツ・ズミクロン、シュナイダー・クセノンあたりに匹敵します。
ウルトロン50mm/F2付のプロミネント、ヴィテッサなどのカメラは、今なお人気が高いです。
フォクトレンダーの黄金時代は1950年代です。
製品は素晴らしかったにもかかわらず、経営は大変だったようで、黄金時代の最中、1956年にはカール・ツァイス財団に経営権を売り渡しています。
1965年には、ツァイス・イコンとカルテルを結成し、「ツァイス・イコン・フォクトレンダー販売会社」を発足させています。
1969年、フォクトレンダーはツァイス・イコンに吸収合併されます。
1971年、そのツァイス・イコンは、一般用光学機器事業から撤退を決定。
1972年、伝統あるブラウンシュヴァイク工場は操業停止。フォクトレンダーの商標権は、ローライに譲渡移転されました。
そして1999年、コシナが商標使用権を得て、日本製フォクトレンダーが作られるようになりました。
このカラーウルトロンは1960年代後半の製品ですから、ローライが商標権を持っていた時代のものです。