番外編1 もうひとつのポリドール(ポリドール蓄音器〜ゼネラルレコード)

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ポリドール(グラモフォン)については既に取り上げましたが、これはまた別の「もうひとつのポリドール」です。SP盤のレーベル画像は、里見浩太郎(現在は浩太朗)さんのレコードデビュー曲「金獅子紋道中唄」で、レーベル名は「POLYDOR」。盤自体は特別珍しい訳ではなく、一見普通のポリドール盤に見えるかもしれません。が、会社名は「NIPPON POLYDOR CHIKUONKI K.K.」となっています。そう言えば、レーベルのロゴも古いですね。原盤番号の「33-8-1029」は、昭和33年8月(1958.08)のようです。

ポリドールの歴史は、以下の通りです。
 1953年1月 一旦会社を解散し、ここまでの流れを清算
 1953年5月 「日本ポリドール(株)」を改めて設立
 1956年4月 社名を「日本グラモフォン(株)」に変更
従って1958年8月時点では、とっくに「日本グラモフォン」に変わっている筈です。

実は、一旦会社を清算した後も旧会社の残党の動きがあったようなのです。
ひとつの足跡は森本敏克氏の「レコードの一世紀・年表」(沖積舎)にあります。

●1953.06.15 旧ポリドール蓄音器の職員が「東京レコード(株)」を設立
 ⇒何やら動きがあった様子、ただ「東京レコード(株)」のことはよく判りません
●1958.08  日本ポリドール蓄音器(株)が再発足
●1959.04  社名を「ゼネラルレコード(株)に変更
 何と、旧会社が復活しているのです。これは誰が見ても本流の「日本グラモフォン」と揉めそうですよね。

その辺りの経緯が「レコード年鑑1960年版」(音楽之友社)に記されていました。(画像参照)
旧会社の重役だった方々が「我々こそポリドール商標の継承者」(と仰ったかどうか判りませんけれど)と争ったが、結果は日本グラモフォンの勝利だったということですね。

で、里見浩太郎さんのレコード、これが再発足した「日本ポリドール蓄音器(株)」から発売されたものだったという訳です。

日本グラモフォン側のカタログをいくら探しても、このレコードは出て来ません。以前コメントした通り、1955年3月〜1958年5月の間は歌謡曲そのものが発売されていませんし、1958年6月の再スタート後もこのレコードの記録はありません。6年ほど前に、現在のユニバーサル・ミュージックのカスタマーセンターに本件を問い合わせしたことがあります。「60年も前のことなので…」と当惑しつつも、丁寧に調べていただけました。結果は「1955年の途中から1958年まで、発表した流行歌をまとめた資料に記載がありませんでした」。
当方で調べていた当時の月報とも完全に符号する回答でした。やはりこれは日本グラモフォンが作ったレコードではないのですね。

その後の「ゼネラルレコード」に変わってからのLPも一枚だけ手持ちにありましたので、掲載します。

なお、「金獅子紋道中唄」にはジャケットや同内容の45回転盤もあるのですが、私は所有していないため、 残念ながらお見せすることができません。

「月報」の話からは逸れますので、「番外編」として投稿致しました。

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