映画の弁証法 セルゲイ・エイゼンシュテイン著 佐々木能理男訳編

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 エイゼンシュテインの名は『ポチョムキン』によって世界的になった。『ストライキ』『ポチョムキン』以後『十月』『古いものと新しいもの』『メキシコの嵐』『アレクサンダー・ネフスキー』『イワン大帝』などの作品において、かれは学識と演劇の経験と思索とによって発見した映画理論を実践に移し、実践を通じて理論を展開し、製作の余暇を見つけては卓越した映画論文を発表した。
 本書は、エイゼンシュテインの数多くの映画論文の中から、映画理論の上から重要なものを採り上げて、編集したものである。いずれの論文もかれの卓抜な思索の記念碑であるが、思索と実践との緊密な合作であるだけに、他の映画理論家の研究論文にみられるように体系的なものではない。その上、つねに前説が訂正されている。かれの理論の生長のあとをたどるのは、骨がおれるが、実に興味がある。芸術家の思索にふさわしい、かがやくような暗示にみちみちている。
(以上、本書後記より)
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